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JP4882566B2 - 光学フィルムの製造方法 - Google Patents
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本発明は、液晶表示装置(LCD)等に用いられる偏光板用保護フィルム、位相差フィルム、視野角拡大フィルム、プラズマディスプレイに用いられる反射防止フィルムなどの各種機能フィルムまた有機ELディスプレイ等で使用される各種機能フィルム等にも利用することができる光学フィルムの製造方法に関する。
昨今、自動車搭載用の液晶ディスプレイ、大型液晶テレビのディスプレイ、携帯電話、ノートパソコン等の普及から液晶表示装置の需要が増えてきている。液晶表示装置は、従来のCRT表示装置に比べて、省スペース、省エネルギーであることからモニターとして広く使用されている。さらにTV用としても普及が進んできている。このような液晶表示装置には、偏光フィルムや位相差フィルムなどの種々な光学フィルムが使用されている。
この液晶表示装置の基本的な構成としては液晶セルの両側に偏光板を設けたものである。偏光板は、一定方向の偏波面の光だけを通すものである。従って、液晶表示装置においては、電界による液晶の配向の変化を可視化させる重要な役割を担っている。即ち、偏光板の性能によって液晶表示装置の性能が大きく左右される。偏光板の一般的な構成を、図で説明する。
図7は偏光板の概略断面図である。図中、1は偏光子であり、この偏光子1の両側に保護フィルム2が積層されている。保護フィルムは場合によっては位相差補正機能を持つ場合もある。この様な構成の偏光板を液晶セルに対して積層することで、液晶表示装置が構成されている。保護フィルムは、偏光子の耐久性を向上させる目的から設けられ、従来、偏光板保護フィルムとしては、透明で優れた物理的、機械的性質を持ち、温湿度に対する寸度変化が小さい光学フィルムが使用されている。
本発明では、図7に示す保護フィルムを含め、液晶表示装置(LCD)等に用いられる位相差フィルム、視野角拡大フィルム、プラズマディスプレイに用いられる反射防止フィルム等の各種機能フィルムまた有機ELディスプレイ等で使用される各種機能フィルムを光学フィルムと言う。
従来、このような光学フィルムの製造には、溶液流延製膜法、溶融流延製膜法が用いられている。溶液流延製膜法を用いる場合では、溶剤に樹脂を溶解した溶液を金属支持体上に流延し、乾燥工程で溶剤を除去してフィルムを巻き取ることで製造されている。また溶融流延製膜法を用いる場合には、樹脂を熱で溶融し、高温になった溶融樹脂をダイより溶融押し出しし、冷却ロール上で製膜し、フィルムの温度を下げるための搬送工程を得てフィルムを巻き取ることで製造されている。これら両方法とも、光学特性や平面性を調整するために、製膜後にテンターにより延伸することで調整する場合もある。いずれにしても、製膜後の表面がやわらかい状態のフィルムを搬送ロールで搬送する際には、搬送ロールの表面形状が転写しないように、表面粗度の小さいロールを用いる必要があった。
又、昨今の液晶表示装置の需要増加に伴い光学フィルムの増産に対応するため生産の高速化が進められている。しかし、高速化を行う場合、表面粗度の小さい搬送ロールのみでは搬送される光学フィルムの搬送速度と、搬送に使用される搬送ロールの周速度とが一致しない、所謂、ロール滑りが発生し、光学フィルムの搬送ロールの接触面にスリキズが発生し製品として使用出来なくなってしまうと言う問題があった。この問題は溶融流延製膜法、溶液流延製膜法の何れでも問題であるが、溶液流延製膜法を用いる場合では、溶剤を除去するために長い乾燥工程を必要とし、搬送ロールと接触する回数が多いので、ため搬送速度を早くする場合は、擦り傷が発生する危険が溶融流延製膜法に比べ高い。
搬送ロールの表面と光学フィルムとの摩擦力を大きくすることでロール滑りは抑制することが可能であるが、摩擦力を大きくするために搬送張力を大きくすると搬送時に光学フィルムにシワが発生したり、リタデーションや寸法安定性が悪くなる危険がある。又、別の手段として搬送ロールの表面の粗さを大きくする方法があるが、この場合搬送ロール表面の微小な凹凸がフィルム面に転写し、出来上がったフィルムの平面性が製品に適さないものになってしまう。この様に高速化に伴うロール滑り対策として、搬送ロールの表面のうち製品にならない部分のみを粗面加工した搬送ロールを使用し搬送するセルロースエステルフィルの製造方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1に記載の様な搬送ロールを使用することでロール滑りに対しては効果があるが、次の様な問題点が挙げられる。
1.昨今の液晶ディスプレイは、液晶ディスプレイの大型化に合わせ広幅の光学フィルムの需要の増加に対応するため、従来の幅の光学フィルムの生産とを含めた各種の幅の光学フィルムの製造が必要となっている。このため広幅の光学フィルムの生産に合わせた搬送ロールを使用した工程で、狭幅の光学フィルムを生産した場合は、ロール滑りが発生する危険があるため高速化が出来ない。
2.狭い幅の光学フィルムの生産に合わせた搬送ロールを使用した工程で、広幅の光学フィルムを生産した場合は、搬送ロールの端部の形状が光学フィルムに転写して製品部分に入るため生産することが出来ない。
3.広幅の光学フィルムの生産に合わせた搬送ロールを使用した工程で、狭い幅の光学フィルムを生産する場合に、搬送ロールの両端部に搬送中のフィルム両端部が接触するようにすると、巻き取り前に製品とならない端部トリムの量が増えてしまい不経済である。
4.安定に生産するためには、生産する光学フィルムの幅に対応して搬送ロールを変えればよいのであるが、これでは多大な工数と費用が掛かり、且つ生産効率も落ちてしまう。
このため、多岐に渡る幅に対応するために、幅の広い光学フィルムに合わせ搬送ロールを配設し、高速搬送で生産し、幅の狭い光学フィルムの生産はロール滑りが発生しない程度に搬送速度を下げて生産している。このため、生産効率が上がらない原因の一つとなっている。これらの状況の下、生産する光学フィルムの幅の変更に伴い搬送ロールの幅を変えることなく、高速搬送が可能で安定した品質の光学フィルムの生産方法の開発が望まれている。
特開2003−19726号公報
本発明は、上記状況に鑑み成されたものであり、その目的は、製造する光学フィルムの幅の変更に伴い搬送ロールの幅を変えることなく、高速搬送が可能で安定した品質の光学フィルムの製造方法を提供するものである。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成された。
1.原料樹脂を溶媒に溶解した液体または加熱して溶融した液体を無端支持体の上に流延しウェブを形成し、前記ウェブを前記無端支持体より剥離した後、搬送ロールと接触させ搬送させ、巻き取ることにより製造する光学フィルムの製造方法において、前記搬送ロールは少なくとも片方の端部近傍の幅方向の周面に搬送補助部を有し、前記ウェブの一方の端部と前記搬送補助部とを接触させて搬送する光学フィルムの製造方法において、
前記ウェブのどちらかの一方の端部が搬送補助部と接触するように、前記ウェブの搬送方向を変更する搬送角度変更ロールを設置した搬送角度変更工程を該ウェブの搬送工程の中に設けることで、該ウェブの一方の端部と搬送補助部とを接触させて搬送することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
2.前記搬送補助部が平均粗さRa、1μm〜100μmの粗面で形成されていることを特徴とする前記1に記載の光学フィルムの製造方法。
3.前記搬送補助部が高さ10μm〜500μmの凸部で形成されていることを特徴とする前記1に記載の光学フィルムの製造方法。
4.前記搬送補助部が深さ0.05mm〜1mmの凹部で形成されていることを特徴とする前記1に記載の光学フィルムの製造方法。
5.前記ウェブの搬送速度が30m/min〜150m/minであることを特徴とする前記1〜4の何れか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
6.前記ウェブの残留溶媒量が2質量%〜30質量%の領域で該ウェブの一方の端部と搬送補助部とを接触させて搬送することを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
7.前記ウェブのどちらかの一方の端部が搬送補助部と接触するように、前記ウェブの搬送方向を変更する搬送角度変更ロールを設置した搬送角度変更工程を該ウェブの搬送工程の中に設け、該ウェブの残留溶媒量が2質量%〜30質量%の領域で該搬送角度変更工程に搬送し、該ウェブの一方の端部と搬送補助部とを接触させて搬送することを特徴とする前記1〜の何れか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
8.前記搬送角度変更ロールは、該搬送角度変更ロールの軸に垂直な方向とウェブの搬送方向とのなす角度が0.3°〜3°となるように配設されていることを特徴とする前記1〜7の何れか1項に記載の光学フィルムの製造方法。

生産する光学フィルムの幅の変更に伴い搬送ロールの幅を変えることなく、高速搬送が可能で安定した品質の光学フィルムの生産方法を提供することが出来、ユーザーの要求に応えて各種幅の光学フィルムを高速搬送で生産することが可能となり、工程の生産効率の向上が可能となった。
本発明の実施の形態を、光学フィルムとしてセルロースエステルフィルムを代表として図1〜図6を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1は光学フィルムの溶液流延製膜法の模式図である。図1(a)は流延後、テンター搬送し、その後乾燥工程で乾燥を行う場合の光学フィルムの溶液流延製膜法の模式図である。図1(b)は流延後、乾燥工程で予備乾燥し、その後テンター搬送した後乾燥工程で乾燥を行う場合の光学フィルムの溶液流延製膜法の模式図である。図1(c)は流延後、乾燥工程で予備乾燥し、その後乾燥工程で乾燥を行う場合の光学フィルムの溶液流延製膜法の模式図である。図1(d)は流延後、乾燥工程で乾燥を行う場合の光学フィルムの溶液流延製膜法の模式図である。
図1(a)に示される光学フィルムの溶液流延製膜法の模式図を説明する。図中、3aは光学フィルムの溶液流延製膜装置を示す。溶液流延製膜装置3aは、流延工程301と、延伸工程302と、乾燥工程303と、巻き取り回収工程304とを有している。
流延工程301は、エンドレスで走行(図中の矢印方向)する無端支持体の鏡面帯状金属流延ベルト(以下、ベルトという)301aと、セルロースエステル樹脂を溶媒に溶解したドープ4を、ベルト301aに流延するダイス301bとを有している。5はベルト301aに流延されたドープが固化したセルロースエステルフィルムを剥離する剥離点を示し、6は剥離されたセルロースエステルフィルムを示す。
延伸工程302は、乾燥風取り入れ口302aと排出口302bとを有する外箱302cと、外箱302cの中に入れられたテンター延伸装置302dとを有している。テンター延伸装置302dに使用するテンターは特に限定はなく、例えば、クリップテンター、ピンテンター等が挙げられ、必要に応じて選択し使用することが可能である。尚、乾燥風取り入れ口302aと排出口302bとは逆であってもよい。延伸工程302で必要とする幅に延伸し、セルロースエステルフィルムに含まれる溶剤量を、スリキズ、収縮率、変形等を考慮し、5質量%〜30質量%にすることが好ましい。
乾燥工程303は、乾燥風取り入れ口303bと排出口303cとを有する乾燥箱303aと、セルロースエステルフィルム6を搬送する上部の搬送ロール303dと下部の搬送ロール303eとを有している。上部の搬送ロール303dと下部の搬送ロール303eとは上下で一組で、複数組から構成されている。303fは延伸工程302から出てくるセルロースエステルフィルム6を搬送する搬送ロールを示す。乾燥工程303に配設される搬送ロールの数は、乾燥条件、方法、製造されるセルロースエステルフィルムの長さ等により異なるが、通常は、例えば200本〜800本程度である。上部の搬送ロール303dと下部の搬送ロール303eとは駆動源によって回転駆動されない自由回転ロールとなっている。又、フィルム搬送工程から巻き取り工程までの間には、全て自由回転する搬送ロールが用いられるわけではなく、通常、1本〜数本の搬送用駆動ロール(駆動源によって回転駆動するロール)の設置を必要とする。基本的に、搬送用駆動ロールは、その駆動でセルロースエステルフィルムを搬送するのが目的であるので、ニップやサクション(エアの吸引)などにより、セルロースエステルフィルムの搬送と、駆動ロールの回転とを同期させる機構が付いている。
巻き取り回収工程304は、巻き取り装置(不図示)を有し、乾燥終了したセルロースエステルフィルム6を必要量の長さに巻き芯に巻き取る。304aは巻き芯に巻き取られたロール状のセルロースエステルフィルムを示す。尚、巻き取る際の温度は、巻き取り後の収縮によるスリキズ、巻き緩み等を防止するために室温まで冷却することが好ましい。図1(b)〜図1(d)に示される光学フィルムの溶液流延製膜法の模式図の場合も同じである。使用する巻き取り機は、一般的に使用されているものでよく、定テンション法、定トルク法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法などの巻き取り方法で巻き取ることが出来る。
図1(b)に示される光学フィルムの溶液流延製膜法の模式図を説明する。図中、3bは光学フィルムの溶液流延製膜装置を示す。溶液流延製膜装置3bは、流延工程301と、第1乾燥工程305と、延伸工程302と、第2乾燥工程306と、巻き取り回収工程304とを有している。図1(a)に示される溶液流延製膜法模式図との違いは、延伸工程で延伸する前に、ベルトから剥離したセルロースエステルフィルム6を、一旦第1乾燥工程305で乾燥することである。他の工程は図1(a)に示される溶液流延製膜法の模式図と同じである。第1乾燥工程305は、乾燥風取り入れ口305bと排出口305cとを有する乾燥箱305aと、セルロースエステルフィルム6を搬送する上部の搬送ロール305dと下部の搬送ロール305eとを有している。上部の搬送ロール305dと下部の搬送ロール305eとは上下で一組で、複数組から構成されている。第1乾燥工程305で延伸工程302(図1(a)の延伸工程と同じ)に入る前のセルロースエステルフィルム6に含まれる溶剤量の調整が行うことが可能となっている。
第2乾燥工程306は、乾燥風取り入れ口306bと排出口306cとを有する乾燥箱306aと、セルロースエステルフィルム6を搬送する上部の搬送ロール306dと下部の搬送ロール306eとを有している。上部の搬送ロール306dと下部の搬送ロール306eとは上下で一組で、複数組から構成されている(図1(a)に示される乾燥工程305と同じ構成となっている)。他の符号は図1(a)と同じである。
図1(c)に示される光学フィルムの溶液流延製膜法の模式図を説明する。図中、3cは光学フィルムの溶液流延製膜装置を示す。溶液流延製膜装置3cは、流延工程301と、第1乾燥工程305と、第2乾燥工程307と、巻き取り回収工程304とを有している。第2乾燥工程307は、乾燥風取り入れ口307bと排出口307cとを有する乾燥箱307aと、セルロースエステルフィルム6を搬送する上部の搬送ロール307dと下部搬送ロール307eとを有している。上部の搬送ロール307dと下部の搬送ロール307eとは上下で一組で、複数組から構成されている(図1(a)に示される乾燥工程305と同じ構成となっている)。尚、第2乾燥工程307は図1(b)に示される延伸工程を有していないため、延伸工程で乾燥する分を第2乾燥工程307で行うため工程全体が図1(b)に示される第2乾燥工程306よりも長くすることが好ましい。図1(b)に示される溶液流延製膜法模式図との違いは、延伸工程を有していないこと、ベルトから剥離したセルロースエステルフィルム6は、第1乾燥工程305と第2乾燥工程で乾燥され巻き取り回収工程304で巻き取られ回収される。他の符号は図1(a)、(b)と同じである。
図1(d)に示される光学フィルムの溶液流延製膜法の模式図を説明する。図中、3dは光学フィルムの溶液流延製膜装置を示す。溶液流延製膜装置3dは、流延工程301と、乾燥工程308と、巻き取り回収工程304とを有している。図1(c)に示される溶液流延製膜法模式図との違いは、第1乾燥工程を有していないこと、ベルトから剥離したセルロースエステルフィルム6は、乾燥工程308で乾燥され巻き取り回収工程304で巻き取られ回収される。乾燥工程308は、乾燥風取り入れ口308bと排出口308cとを有する乾燥箱308aと、セルロースエステルフィルム6を搬送する上部の搬送ロール308dと下部の搬送ロール308eとを有している。上部の搬送ロール308dと下部の搬送ロール308eとは上下で一組で、複数組から構成されている(図1(a)に示される乾燥工程305と同じ構成となっているが、第1乾燥工程350(図1(b)を参照)の機能も有するため全体が長くなっている)。他の符号は図1(a)と同じである。
次に図1(a)〜図1(d)に示される各工程におけるセルロースエステルフィルムの残留溶媒量に付いて説明する。
図1(a)の場合、流延工程301で流延後、ベルト301aから剥離されたセルロースエステルフィルムの残留溶媒量は、ベルトから剥離する時の残留応力の均一性、延伸性、寸法安定性、乾燥時の収縮性等を考慮し、50質量%〜250質量%であり、好ましくは80〜140質量%である(図1(b)〜図1(d)の場合も同じである)。
延伸工程302でテンター延伸装置302cで処理後のセルロースエステルフィルムの残留溶媒量は、乾燥部でのセルロースエステルフィルムの伸縮率調整、スリキズ等を考慮し、5質量%〜30質量%が好ましく、より好ましくは6質量%〜25質量%である。
乾燥工程303での乾燥処理後のセルロースエステルフィルムの残留溶媒量は、乾燥工程の負荷、保存時の寸法安定性伸縮率等を考慮し、0.1質量%〜15質量%が好ましい。
図1(b)の場合、第1乾燥工程305の乾燥処理後のセルロースエステルフィルムの残留溶媒量は、延伸工程302での乾燥負荷、延伸工程の延伸性等を考慮し、5質量%〜40質量%が好ましく、より好ましくは10〜35質量%である。後の延伸工程302終了後の残留溶媒量は図1(a)の場合と同じであり、第2乾燥工程306で乾燥終了後の残留溶媒量は図1(a)の乾燥工程303での乾燥終了時の場合と同じである。
図1(c)の場合、第1乾燥工程305の乾燥処理後のセルロースエステルフィルムの残留溶媒量は、図1(b)の場合と同じである。第2乾燥工程307で乾燥終了後の残留溶媒量は図1(a)の乾燥工程303での乾燥終了時の場合と同じである。
図1(d)の場合、乾燥工程308での乾燥終了時の場合のセルロースエステルフィルムの残留溶媒量は図1(a)の乾燥工程303での乾燥終了時の場合と同じである。
図1(a)の場合は、延伸工程302が終了し乾燥工程303に入る時である。図1(b)の場合は、延伸工程302が終了し第2乾燥工程306に入る時である。図1(c)の場合は、第2乾燥工程307でセルロースエステルフィルムの残存溶媒量が5質量%〜30質量%となる所である。図1(d)の場合は、乾燥工程308でセルロースエステルフィルムの残存溶媒量が5質量%〜30質量%となる所である。
本発明における残留溶媒量(質量%)の値は一定の大きさのセルロースエステルフィルムを115℃で1時間乾燥した時のセルロースエステルフィルムの質量をBとし、乾燥前のセルロースエステルフィルムの質量をAとした時、((A−B)/B)×100=残留溶媒量(質量%)で求めた値である。
図1(a)、図1(b)に示されるベルト上のドープの溶媒を蒸発させる手段としては、特に限定はないが、例えばベルトのドープ接触面に温風を吹き付ける方法、赤外線ヒータで加熱する方法、ベルトの裏面に温風を吹き付け裏面側から加熱する方法、ベルトの裏面に温水や加熱オイルを接触し加熱する方法等が挙げられる。流延後、剥離までの間での時間は作製するセルロースエステルフィルムの膜厚、使用溶剤によって異なるが、ベルトからの剥離性、成膜効率、工程の長さ等を考慮し、0.5分〜5分の範囲が好ましい。
ベルトから剥離された後のセルロースエステルフィルムを乾燥させる手段は特に制限なく、図1(a)、図1(b)に示される延伸工程では一般的に熱風、赤外線等で行う。簡便さの点で熱風で行うのが好ましい。乾燥温度は、延伸工程に入る時のセルロースエステルフィルムの残留溶剤量により異なるが、溶媒の蒸発に伴うセルロースエステルフィルムの表面への露結、残留溶媒量、伸縮率の調整、溶媒の発泡等を考慮し、30℃〜180℃の範囲で残留溶剤量により適宜選択して決めればよく、一定の温度で乾燥してもよいし、数段階の温度に分けて乾燥しても構わない。
図1(a)、図1(b)に示される延伸工程後の乾燥工程、図1(c)、図1(d)に示される乾燥工程では加熱空気、赤外線等単独又は加熱空気と赤外線乾燥を併用しても構わない。簡便さの点で加熱空気で行うのが好ましい。乾燥温度は、乾燥工程に入る時のセルロースエステルフィルムの残留溶剤量により異なるが、乾燥時間、収縮ムラ、伸縮量の安定性等を考慮し、30℃〜180℃の範囲で残留溶剤量により適宜選択して決めればよく、一定の温度で乾燥してもよいし、3〜4段階の温度に分けて、数段階の温度に分けて乾燥しても構わない。
図1(a)〜図1(d)に示される溶液流延製膜法により製造されるセルロースエステルフィルムの膜厚は、使用目的によって異なるが、図6に示される保護フィルムとして使用する場合、20μm〜120μm、望ましくは40μm〜100μmである。
本発明は、図1(a)〜図1(d)に示す溶液流延製膜法で、製造する光学フィルムの幅を変更したとき、搬送ロールの幅を変更することなく、高速搬送した場合でも搬送ロールでロール滑りに伴うスリキズが発生しない光学フィルムの生産方法に関するものである。
図2は光学フィルムの溶融流延製膜法の一例を示す模式図である。
図中、7は溶融流延製膜装置を示す。溶融流延製膜装置7は、製膜工程701、延伸工程702と、熱処理工程703と、冷却工程704とを有している。製膜工程701は溶融押出し機701aと、Tダイ701bと、冷却ロール701cとを有している。延伸工程702は、冷却ロール701cから剥離され、得られた未延伸フィルムを延伸する延伸装置を有している。延伸装置としては搬送方向に延伸する縦延伸と、横方向に延伸する横延伸があり、それぞれ延伸する方向により延伸装置が異なっている。例えば、縦延伸の場合は複数のロール群及び/又は赤外線ヒーター等の加熱装置を有する縦延伸装置により非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)からTg+100℃の範囲内に加熱し、一段又は多段縦延伸することが好ましい。横延伸の場合は、横延伸装置としてのテンター延伸装置で延伸することが好ましい。
延伸工程702は、加熱風取り入れ口702aと排出口702bとを有する外箱702cと、外箱702cの中に入れられたテンター延伸装置702d又は縦延伸装置(不図示)とを有している。テンター延伸装置に使用するテンターは特に限定はなく、例えば、クリップテンター、ピンテンター等が挙げられ、必要に応じて選択し使用することが可能である。尚、加熱風取り入れ口702aと排出口702bとは逆であってもよい。延伸工程702で必要とする幅に延伸した後、テンター工程内の熱固定工程(不図示)に搬送され延伸した状態が固定される。横延伸後、フィルムをその最終横延伸温度以下でTg−40℃以上の範囲に0.01〜5分間保持すると幅方向の物性の分布が更に低減出来好ましい。延伸後、必要であれば熱処理を実施する。
熱処理工程703は加熱風取り入れ口703a1と排出口703a2とを有する外箱703a3と複数の搬送ロール703a4とを有する熱固定装置703aを有している。この後、冷却工程704で熱固定されたフィルムは通常Tg以下まで冷却され、回収される。
冷却工程704は熱固定されたフィルムを冷却する冷却風取り入れ口704a1と排出口704a2とを有する外箱704a3と複数の搬送ロール704a4とを有する冷却装置704aと、巻き取り装置704bとを有している。
次に本図に示す製造装置7を使用し光学用フィルムを製造する時の一般的条件を示す。冷却ロールでの引取り速度は、分子配向性、複屈折性を考慮し5m/分〜100m/分で行うことが好ましい。
溶融押出し機701aでの非晶性熱可塑性樹脂の溶融温度は使用する非晶性熱可塑性樹脂により適宜選択すればよく、その中でも溶融樹脂の熱分解によるフィルム外観性の悪化を避けるため、樹脂を溶融させた後Tダイから吐出されるまでの間を300℃以下に維持することが好ましく、290℃以下であることが特に好ましい。
冷却ロール701cの温度設定は、得られる光学フィルムの外観性や光学特性に与える影響の大きい重要な製造条件の1つであり、溶融フィルムの冷却ロールへの密着性及び離型性のバランスを考慮して最適化されるものであり、表面温度を示差走査熱量計(以下、DSCという。)により昇温速度10℃/minで測定した樹脂組成物のガラス転移温度に対して−40℃〜+20℃とすることが好ましく、特に−35℃〜+10℃とすることが好ましい。
溶融押出し機701aのスクリュー回転数、Tダイからの吐出量は、製造する光学用フィルムの厚みや引取り速度等に応じて適宜選択することが可能である。又、溶融樹脂の酸化による熱分解や黄変を抑制するため、ホッパー、押出し機シリンダ内部等を窒素、アルゴン等の不活性ガスでパージ或いは真空にすることが好ましい。
本発明に係わる溶融押出し機としては、例えば単軸押出し機、同方向回転二軸押出し機、異方向回転二軸押出し機、タンデム型押出し機等が代表例として挙げられが、得られるフィルムの機械特性、光学特性の点から、一軸押出し機を用いることが好ましい。使用する非晶性熱可塑性樹脂、添加物等に水などの揮発性成分が含まれていると、光学フィルム押出時にフィルム外観性が悪化するため、これら押出し機は揮発性成分を除去するための真空ベント、ホッパドライヤー等が具備されたものが適宜使用される。又、シリンダ径、L/D、圧縮比、スクリューデザインは一般的に生産速度、フィルムの寸法などに応じて最適化すればよく、特に光学フィルムの製造の際には、吐出速度を安定化させるとともに、摩擦発熱の抑制や樹脂温度を分解温度以下に維持することを目的に最適化すればよい。
溶融押出し時の溶融物の温度は、通常150〜300℃の範囲、好ましくは180〜270℃、更に好ましくは200〜250℃の範囲である。溶融物の温度は、接触式温度計を使用して測定した値である。
熱固定は、その最終横延伸温度より高温で、Tg−20℃以下の温度範囲内で通常0.5〜300秒間熱固定する。この際、2つ以上に分割された領域で温度差を1〜100℃の範囲で順次昇温しながら熱固定することが好ましい。
熱固定されたフィルムは通常Tg以下まで冷却され、巻き取られる。この際、最終熱固定温度以下、Tg以上の温度範囲内で、横方向及び/又は縦方向に0.1〜10%弛緩処理することが好ましい。又冷却は、最終熱固定温度からTgまでを、毎秒100℃以下の冷却速度で徐冷することが好ましい。冷却、弛緩処理する手段は特に限定はなく、従来公知の手段で行えるが、特に複数の温度領域で順次冷却しながらこれらの処理を行うことがフィルムの寸法安定性向上の点で好ましい。
尚、冷却速度は、最終熱固定温度をT1、フィルムが最終熱固定温度からTgに達するまでの時間をtとした時、(T1−Tg)/tで求めた値である。
これら熱固定条件、冷却、弛緩処理条件のより最適な条件は、使用する非晶性熱可塑性樹脂により異なるので、得られた二軸延伸フィルムの物性を測定し、好ましい特性を有するように適宜調整することにより決定すればよい。
本発明は、本図に示す溶融流延製膜法で、製造する光学フィルムの幅を変更したとき、熱処理工程703の熱固定装置703aと回収工程704の冷却装置704aとにおける搬送ロールの幅を変更するることなく、高速搬送した場合でも搬送ロールでロール滑りに伴うスリキズが発生しない光学フィルムの生産方法に関するものである。
図3は図1(a)のPで示される部分の拡大概略斜視図である。
図中、6aはセルロースエステルフィルム5の片方の端部を示し、6bは他の端部を示す。303f1は搬送ロール303fの端部近傍の幅方向の周面に配設された搬送補助部を示す。303f2は搬送ロール303fの反対の端部近傍の幅方向の周面に配設された搬送補助部を示す。搬送補助部は少なくとも片方の端部近傍の幅方向の周面に配設されていればよい。本図に示す様な搬送補助部が図1(a)の場合は乾燥工程303の搬送ロール303d(303e)に、図1(b)の場合は第1乾燥工程305の搬送ロール305d(305e)と、第2乾燥工程306の搬送ロール306d(306e)に、図1(c)の場合は第1乾燥工程305の搬送ロール305d(305e)と、第2乾燥工程307の搬送ロール307d(307e)に、図1(d)の場合は乾燥工程308の搬送ロール308d(308e)、図2の場合は熱固定装置703aの搬送ロール703a4、冷却装置704aの搬送ロール704a4に設けられている。
本図は、セルロースエステルフィルム6の片方の端部6aが搬送ロール303fの搬送補助部303f1に接触し搬送(図中の矢印方向)している場合を示している。勿論、セルロースエステルフィルム6の片方の端部6bを搬送ロール303fの搬送補助部303f2に接触し搬送(図中の矢印方向)する様にしても構わない。本発明のウェブ(本図のセルロースエステルフィルム)の一方の端部と、搬送補助部とを接触させて搬送することとは本図に示す状態を言う。尚、搬送ロールの搬送補助部と接触する端部とは、ウェブ(本図のセルロースエステルフィルム)の端辺から幅方向に向けてウェブ全幅の1〜20%程度の部分を言う。
本図に示される状態でセルロースエステルフィルムを搬送する時の搬送速度は、流延時のエア巻込み、無端支持体から剥離する際のウェブの残留溶媒量、延伸部の残留溶媒量等を考慮し、30m/min〜150m/minが好ましい。搬送速度は、搬送工程に配設された駆動モータのモータ軸につけられたパルスジェネレータにより回転数を求め、モータに結合されたロールの径/モータとロールの間の減速比を用いて演算して求めた値を示す。
図4は図3に示す搬送ロールの搬送補助部の拡大概略平面図である。
図中、Eは搬送ロール303fの端部303f3から搬送補助部303f2までの距離を示す。距離Eは、搬送されるウェブの幅、搬送されるウェブの蛇行量等を考慮し、100mm以下が好ましい。Fは搬送補助部303f2の幅を示す。幅Fは、製品フィルムの幅、ロール滑り等を考慮し、30mm〜150mmが好ましい。尚、図3に示す搬送ロール303fの搬送補助部303f1も搬送補助部303f2と同じ幅で搬送ロール303fの端部から同じ距離で配設されている場合もある。本発明において搬送ロールの端部近傍とは、距離Eと距離Fとを含めた範囲を言う。
本図に示す搬送補助部の配設位置及び幅は、図1(a)に示される乾燥工程303の搬送ロール303d(303e)に、図1(b)に示される第1乾燥工程305の搬送ロール305d(305e)と、第2乾燥工程306の搬送ロール306d(306e)に、図1(c)に示される第1乾燥工程305の搬送ロール305d(305e)と、第2乾燥工程307の搬送ロール307d(307e)に、図1(d)に示される乾燥工程308の搬送ロール308d(308e)に、図2に示される熱固定装置703aの搬送ロール703a4、冷却装置704aの搬送ロール704a4に適用される。
図5は搬送ロールの異なった形態の搬送補助部の概略図である。図5(a)は搬送補助部が粗面で形成されている搬送ロールの概略斜視図である。図5(a′)は図5(a)のA−A′に沿った拡大概略断面図である。図5(b)は搬送補助部が凸部で形成されている搬送ロールの概略斜視図である。図5(b′)は図5(b)のB−B′に沿った拡大概略断面図である。図5(c)は搬送補助部が複数の凸部で形成されている搬送ロールの概略斜視図である。図5(c′)は図4(c)のC−C′に沿った拡大概略断面図である。図5(d)は搬送補助部が複数の凹部で形成されている搬送ロールの概略斜視図である。図5(d′)は図4(d)のD−D′に沿った拡大概略断面図である。
図5(a)に示される搬送ロールに付き説明する。303f21は粗面形状の搬送補助部を示す。搬送補助部303f21の表面粗さRaは、ウェブの搬送速度、ロール径、ウェブとロールとのラップ角、搬送張力等を考慮し、1μm〜100μmであることが好ましい。表面粗さRaは、JIS B 0601−2001に準じて測定した値である。
図5(b)に示される搬送ロールに付き説明する。303f22は凸部形状の搬送補助部を示す。Gは凸部形状の搬送補助部の搬送ロール303fの表面からの高さを示す。高さGは、ウェブの搬送速度、ロール径、ウェブとロールとのラップ角、搬送張力等を考慮し、10mm〜500mmであることが好ましい。高さGは、一般のマイクロメータや表面粗さ測定機(例えば株式会社ミツトヨ製小形表面粗さ測定機 サーフテストSJ−400等)により測定した値である。尚、凸部の形成は搬送ロールを作製する時に同時に加工しもよいし、テープを貼着しても構わない。
図5(c)に示される搬送ロールに付き説明する。303f23は複数の凸部形状で形成された搬送補助部を示す。凸部形状の高さは図4(b)に示される搬送ロールの凸部形状の搬送補助部の303f22の高さと同じである。凸部形状の数は特に限定はなく、搬送するセルロースエステルフィルムの種類に合わせ適宜設定することが好ましい。
図5(d)に示される搬送ロールに付き説明する。303f23は複数の凹部形状(溝形状)で形成された搬送補助部を示す。Hは凹部形状(溝形状)の深さを示す。深さHは、ウェブの搬送速度、ロール径、ウェブとロールとのラップ角、搬送張力等を考慮し、0.01〜1mmであることが好ましい。凹部形状(溝形状)の数は特に限定はなく、搬送するセルロースエステルフィルムの種類に合わせ適宜設定することが好ましい。凹部形状(溝形状)の深さは、一般のマイクロメータや表面粗さ測定機(例えば株式会社ミツトヨ製小形表面粗さ測定機 サーフテストSJ−400等)で測定した値を示す。尚、本図は周面に沿って配設した場合を示しているが、軸方向に沿って配設しても構わない。又、搬送補助部の形状として本図に示される以外に菱形のローレット/網目状(蜂の巣状、丸穴パンチ板状)、その他不定形、それらの組み合わせた形状等も使用することが可能である。
面粗度、凸/凹部ともにあまり小さいとウェブとロールの充分な摩擦力が得られず、ロールすべりが発生する。またあまりに大きいと、摩擦力が大きすぎ、搬送中のウェブにシワがよってしまう。
図5(a)〜図5(d)に示す形状の搬送補助部を搬送ロールの端部近傍に配設することで次の効果が挙げられる。
1)セルロースエステルフィルムと搬送ロールの搬送補助部の片側だけの接触で、十分な摩擦力が得られ搬送(搬送速度40m/min〜150m/min)時にロール滑りが発生することなく搬送することが可能となり、幅対応が容易になった。
2)ロール滑りがなくなることでスリキズの発生がなくなり、良品率が上がり生産効率の向上が可能となった。
図6は、図1に示す溶液流延製膜装置で図3に示す状態でセルロースエステルフィルムを搬送する方法を示す模式図である。図6(a)は流延工程でベルト上にドープを流延する際、どちらか一方の端部が搬送ロールの搬送補助部の位置に合う様にエンドレスベルトの上にセルロースエステルフィルムを形成する方法を示す模式図である。図6(b)は、流延工程終了後、所定の残留溶媒に達した時点で搬送されるウェブの走行角度を変えることで搬送ロールに対するウェブの幅手の搬送位置を変更する方法を示す模式図である。図6(c)は、図6(b)のQで示される部分の拡大概略図である。
図6(a)に示す模式図に付き説明する。本図は図1(a)に示される溶液流延製膜装置で延伸工程終了後に図2に示す状態でセルロースエステルフィルムを搬送する方法を示している。尚、本図では乾燥箱303a(図1(a)を参照)は省略してある。図5(a)に示す方法は、流延時にベルト301aの上に形成されるセルロースエステルフィルム6の端部6a(6b)のどちらか一方が搬送ロール303f、303dの端部近傍に形成されているどちらか一方の搬送補助部に接触する様に、ダイス301bから流延工程301のベルト301aにドープ4を流延し搬送する方法である。本図に示すセルロースエステルフィルムを搬送する方法は、図2に示す溶融流延製膜装置の場合、Tダイから溶融フィルムを冷却ロールの間に押出すとき、どちらか一方の端部が熱処理工程の搬送ロールの搬送補助部の位置に合う様にすることで本図に示す状態でセルロースエステルフィルムを搬送することが可能となる。本図に示す方法で得られる効果を以下に示す。
1)幅が狭くても光学フィルムの一方の端部と搬送ロールの片側の搬送補助部とが接触して搬送されるため、ロール滑りによるスリキズの発生がなく、あらゆる幅の光学フィルムにも対応が可能となった。
2)最大幅に合わせた溶液流延製膜装置を使用して、製造するセルロースエステルフィルムの幅に合わせてダイスの位置のみを変えることで、如何なる幅に対しても対応が可能となるため製造コストを抑えることが可能となる。
3)最大幅に合わせた溶液流延製膜装置を使用して、搬送速度を下げることなく、狭い幅のセルロースエステルフィルムの製造が生産効率を下げることなく可能となる。
図6(b)に示す模式図に付き説明する。本図は図1(a)に示される溶液流延製膜装置で延伸工程終了後に搬送角度変更工程で搬送角度を変え、図3に示す状態でセルロースエステルフィルムを搬送する方法を示している。尚、本図では乾燥箱303a(図1(a)を参照)は省略してある。図6(b)に示す方法は、延伸工程終了時にベルト301aの上に形成されるセルロースエステルフィルム6は、幅に関係なくベルト301aの中心線とセルロースエステルフィルム6の中心がほぼ一致するように形成し、その後ベルトから剥離され、延伸工程での処理が終了した時点で、搬送角度変更工程に配設された搬送方向角度変更ロール303gにより搬送ロール303f、303dの端部近傍に形成されているどちらか一方の搬送補助部に接触する様に走行角度が変えられて搬送する方法である。搬送方向角度変更ロール303gの設置する本数は、通常は2本で1組となっており搬送方向角度を大きくしたい場合は2本の搬送方向角度変更ロール303g間隔を長くしたり、搬送方向角度変更ロール303gの組数を必要に応じて本数を増やして設置することが可能となっている。例えば、図6(b)に示す模式図で、最大幅が1500mmに設定された搬送ロールに対して、幅が900mmのセルロースエステルフィルムを搬送する場合は、搬送ロール303fの搬送補助部とセルロースエステルフィルムの端部とを接触するまでに複数本の搬送方向角度変更ロール303gを配設し急激に角度を変えないで搬送することが好ましい。搬送方向角度変更ロール303gの角度の変更は、例えば、予め角度を決めて架台に配設してもよいし、角度変更可能な架台に設置し、架台を例えばサーボモータ、又は手動により移動することで可能であり、必要に応じて適宜選択することが可能である。
本図の場合は、搬送ロールの上側(図面上)の搬送補助部に接触する様に走行角度を変えた場合を示している。θはウェブの搬送方向と搬送方向角度変更ロール303gのロール軸と直角な方向のなす角度を示す。角度θは、幅手方向の物性分布(特に、光学的遅相軸の向きの分布)、シワの発生、設備の大きさ、生産効率等を考慮し、0.3°〜3°が好ましい。搬送方向角度変更ロール303gの角度θは、搬送方向角度変更ロール303gが固定されている場合は、金尺やダイヤルゲージを組み合わせたもので測定することが可能である。又、角度変更可能な架台に設置した場合は、例えばサーボモータ内の回転角エンコーダの値を使用して演算して求めることが可能である。
図2に示す溶融流延製膜装置の場合、延伸工程と熱処理工程との間に搬送角度変更工程を設け搬送方向角度変更ロールの組数を必要に応じて配設することで本図に示す状態でセルロースエステルフィルムを搬送することが可能となる。本図に示す方法で得られる効果を以下に示す。
1)幅が狭くても光学フィルムの一方の端部と搬送ロールの片側の搬送補助部とが接触して搬送されるため、ロール滑りによるスリキズの発生がなく、あらゆる幅の光学フィルムにも対応が可能となった。
2)最大幅に合わせた溶液流延製膜装置を使用して、搬送方向角度変更ロールを設置するだけで如何なる幅に対しても対応が可能となる。
3)最大幅に合わせた溶液流延製膜装置を使用して、搬送速度を下げることなく、狭い幅のセルロースエステルフィルムの製造が生産効率を下げることなく可能となる。
4)最大幅に合わせた溶液流延製膜装置一台で幅対応が可能になるため製造コストを押さえることが可能となる。
図1〜図6に示す様に、少なくとも片方の端部近傍の幅方向の周面に搬送補助部を有する搬送ロールを用いた溶液流延製膜装置を使用し、光学フィルムの一方の端部と搬送補助部とを接触させて搬送することで製造することで次の効果が挙げられる。
1.幅が狭くても光学フィルムの一方の端部と搬送ロールの片側の搬送補助部とが接触して搬送されるため、ロール滑りによるスリキズの発生がなく、あらゆる幅の光学フィルムにも対応が可能となった。
2.製造する最大幅の光学フィルムに合わせて設計された溶液流延製膜装置を使用して、幅が狭い光学フィルムを搬送速度を下げることなく製造することが可能となり、生産効率の向上が可能となった。
3.搬送ロールの片側の搬送補助部と接触した部分のみを切除するため、製品収率の向上が可能となった。
4.生産する光学フィルムの幅対応が容易になり、オンデマンド方式の生産が可能になり要求に対しての素早い対応が可能となる。
以下に本発明に係わる光学フィルムに使用する樹脂に付き説明する。光学フィルムに使用する樹脂としては、透明で優れた物理的、機械的性質を持ち、温湿度に対する寸度変化が小さい樹脂が使用され、例えば、セルロース樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ノルボルネン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。これら樹脂の中で特に、セルロースエステル樹脂が好ましく用いられている。以下、セルロースエステル樹脂に付き説明する。
本発明のフィルムの製造に用いられるセルロースエステル樹脂としては、セルロースの低級脂肪酸エステル樹脂であることが好ましい。セルロースの低級脂肪酸エステルにおける低級脂肪酸とは炭素原子数が6以下の脂肪酸が好ましく、例えば、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート等がセルロースの低級脂肪酸エステルの特に好ましい例として挙げられる。
又、上記以外にも、特開平10−45804号、同8−231761号、米国特許第2,319,052号等に記載のセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートブチレート等の混合脂肪酸エステルを用いることが出来る。上記記載の中でも、最も好ましく用いられるセルロースの低級脂肪酸エステルとしてはセルローストリアセテート(以下、TACという)、セルロースアセテートプロピオネートである。
本発明に係るセルロースエステルの数平均分子量は、70,000〜250,000が、成型した場合の機械的強度が強く、適度なドープ粘度となり好ましく、更に好ましくは、80,000〜150,000である。
本発明で用いられるセルロースエステルとしては、アセチル基及び/又はプロピオニル基を置換基として有し、アセチル基の置換度をX、又プロピオニル基の置換度をYとした時、下記式(I)及び(II)を同時に満たすセルロースエステルが好ましい。
(I)2.3≦X+Y≦3.0
(II)0≦X≦2.5
特に下記式(III)及び(IV)(V)を同時に満たすセルロースエステルが特に好ましい。
(III)2.3≦X+Y≦2.85
(IV)1.5≦X≦2.5
(V)0.1≦Y≦1.0
アシル基の置換度の測定方法はASTM−D817−96の規定に準じて測定することが出来る。
これまで、置換度が2.85未満のセルロースエステルを用いると寸法安定性が低下することがあったが、本発明の製造方法を適用することによって置換度が低いセルロースエステルを用いても優れた寸法安定性を有するフィルムを得ることが可能となった。
セルロースエステルは綿花リンターから合成されたセルロースエステルと木材パルプから合成されたセルロースエステルのどちらかを単独あるいは混合して用いることが出来る。支持体やドラムからの剥離性がもし問題になれば、支持体やドラムからの剥離性がよい綿花リンターから合成されたセルロースエステルを多く使用すれば生産性が高く好ましい。木材パルプから合成されたセルロースエステルを混合し用いた場合、綿花リンターから合成されたセルロースエステルの比率が40質量%以上で、剥離性の効果が顕著になるため好ましく、60質量%以上が更に好ましく、単独で使用することが最も好ましい。
ドープを作製する際に使用される溶媒としては、セルロースエステルを溶解出来る溶媒であれば何でもよく、又単独で溶解出来ない溶媒であっても他の溶媒と混合することにより、溶解出来るものであれば使用することが出来る。一般的には良溶媒であるメチレンクロライドとセルロースエステルの貧溶媒からなる混合溶媒を用い、且つ混合溶媒中には貧溶媒を4〜30質量%含有するものが好ましく用いられる。
この他、使用出来る良溶媒としては、例えばメチレンクロライド、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン等を挙げることが出来るが、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物、ジオキソラン誘導体、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン等が好ましい有機溶媒(即ち、良溶媒)として挙げられる。
セルロースエステルの貧溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール等の炭素原子数1〜8のアルコール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸プロピル、モノクロルベンゼン、ベンゼン、シクロヘクサン、テトラヒドロフラン、メチルセルソルブ、エチレングリコールモノメチルエーテル等を挙げることが出来、これらの貧溶媒は単独もしくは2種以上を適宜組み合わせて用いることが出来る。
本発明で用いることの出来る可塑剤としては特に限定しないが、リン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤、グリコレート系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤などを好ましく用いることが出来る。
リン酸エステル系では、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等、フタル酸エステル系では、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ブチルベンジルフタレート等、トリメリット酸系可塑剤として、トリブチルトリメリテート、トリフェニルトリメリテート、トリエチルトリメリテート等、ピロメリット酸エステル系可塑剤として、テトラブチルピロメリテート、テトラフェニルピロメリテート、テトラエチルピロメリテート等、グリコール酸エステル系では、トリアセチン、トリブチリン、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等、クエン酸エステル系可塑剤として、トリエチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリ−n−(2−エチルヘキシル)シトレート等を好ましく用いることが出来る。ポリエステル系可塑剤として脂肪族二塩基酸、脂環式二塩基酸、芳香族二塩基酸等の二塩基酸とグリコールの共重合ポリマーを用いることが出来る。脂肪族二塩基酸としては特に限定されないが、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸などを用いることが出来る。
グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコールなどを用いることが出来る。これらの二塩基酸及びグリコールはそれぞれ単独で用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい。ポリエステルの分子量は重量平均分子量で500〜2000の範囲にあることが、セルロースエステルとの相溶性の点から好ましい。
又、本発明では特に200℃における蒸気圧が1333Pa未満の可塑剤を用いることが好ましく、より好ましくは蒸気圧666Pa以下、更に好ましくは1〜133Paの化合物である。不揮発性を有する可塑剤は特に限定されないが、例えばアリーレンビス(ジアリールホスフェート)エステル、リン酸トリクレシル、トリメリット酸トリ(2−エチルヘキシル)、上記ポリエステル可塑剤等が挙げられる。これらの可塑剤は単独あるいは2種以上併用して用いることが出来る。
可塑剤の使用量は寸法安定性、加工性の点を考慮すると、セルロースエステルに対して、1〜40質量%添加させることが出来、3〜20質量%の範囲で添加することが好ましく、更に好ましくは4〜15質量%である。3質量%未満の場合は、スリット加工や打ち抜き加工した際、滑らかな切断面を得ることが出来ず、切り屑の発生が多くなる。
本発明のフィルムには酸化防止剤や紫外線吸収剤などを添加することが好ましい。上記酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の化合物が好ましく用いられ、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト等が挙げられる。特に2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。又例えば、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン等のヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等のリン系加工安定剤を併用してもよい。これらの化合物の添加量は、セルロースエステルに対して質量割合で1ppm〜1.0%が好ましく、10〜1000ppmが更に好ましい。
又、この他、カオリン、タルク、ケイソウ土、石英、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナ等の無機微粒子、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属の塩などの熱安定剤を加えてもよい。
本発明の製造方法で製造された光学フィルムは、その高い寸法安定性から、偏光板又は液晶表示用部材等に使用することが可能であり、この場合、偏光板又は液晶等の劣化防止のため、紫外線吸収剤が好ましく用いられる。
紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、且つ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。具体的には380nmの透過率が10%未満であることが好ましく、特に5%未満であることがより好ましい。
好ましく用いられる紫外線吸収剤の具体例としては、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物、トリアジン系化合物などが挙げられる。例えば、特開平10−182621号、特開平8−337574号、記載の紫外線吸収剤が好ましく用いられる。又、特開平6−148430号、特開平12−273437号に記載の高分子紫外線吸収剤も好ましく用いられる。あるいは特開平10−152568号に記載されている紫外線吸収剤を加えてもよい。
これらの紫外線吸収剤の中では、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましい紫外線吸として挙げられる。以下にベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール(TINUVIN171、チバスペシャルティケミカルズ(株)製)、オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物(TINUVIN109、チバスペシャルティケミカルズ(株)製)
以下にベンゾフェノン系紫外線吸収剤の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)
紫外線吸収剤の添加方法は、アルコールやメチレンクロライド、ジオキソランなどの有機溶媒に紫外線吸収剤を溶解してからドープに添加するか、又は直接ドープ組成中に添加してもよい。無機粉体のように有機溶剤に溶解しないものは、有機溶剤とセルロースエステル系樹脂中にデゾルバーやサンドミルを使用し、分散してからドープに添加することが好ましい。紫外線吸収剤の使用量は、紫外線吸収剤としての効果、透明性等を考慮し、0.1質量%〜2.5質量%が好ましい。更に、好ましくは、0.8質量%〜2.0質量%%である。
又、セルロースエステル系樹脂フィルムには、フィルム同士の張り付きを防止したり、滑り性を付与したりして、ハンドリングしやすくするために、マット剤として微粒子を添加してもよい。微粒子としては、無機化合物の微粒子又は有機化合物の微粒子が挙げられる。無機化合物としては、珪素を含む化合物、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等が好ましく、更に好ましくは、珪素を含む無機化合物や酸化ジルコニウムであるが、セルロースエステル積層フィルムの濁度を低減出来るので、二酸化珪素が特に好ましく用いられる。
二酸化珪素の微粒子としては、例えばアエロジル株式会社製のAEROSIL−200、200V、300、R972、R972V、R974、R976、R976S、R202、R812,R805、OX50、TT600、RY50、RX50、NY50、NAX50、NA50H、NA50Y、NX90、RY200S、RY200、RX200、R8200、RA200H、RA200HS、NA200Y、R816、R104、RY300、RX300、R106などが挙げられる。これらのうち、分散性や粒径を制御する点では、AEROSIL−200V、R972Vが好ましい。
酸化ジルコニウムの微粒子としては、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)等の市販品が使用出来る。
有機化合物としては、例えば、シリコーン樹脂、弗素樹脂及びアクリル樹脂等のポリマーが好ましく、中でも、シリコーン樹脂が好ましく用いられる。
上記記載のシリコーン樹脂の中でも、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(以上東芝シリコーン(株)製)等の商品名を有する市販品が使用出来る。
本発明に係る微粒子の1次平均粒子径としては、ヘイズを低く抑えるという観点から、20nm以下が好ましく、更に好ましくは、5〜16nmであり、特に好ましくは、5〜12nmである。
微粒子の、見掛比重としては、70g/リットル以上が好ましく、更に好ましくは、90〜200g/リットルであり、特に好ましくは、100〜200g/リットルである。見掛比重が大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましく、又、本発明のように固形分濃度の高いドープを調製する際には、特に好ましく用いられる。
1次粒子の平均径が20nm以下、見掛比重が70g/リットル以上の二酸化珪素微粒子は、例えば、気化させた四塩化珪素と水素を混合させたものを1000〜1200℃にて空気中で燃焼させることで得ることが出来る。又例えばアエロジル200V、アエロジルR972V(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、それらを使用することが出来る。
尚、見掛比重は二酸化珪素微粒子を一定量メスシリンダーに採り、この時の重さを測定し、下記式で算出した。
見掛比重(g/リットル)=二酸化珪素質量(g)÷二酸化珪素の容積(リットル)
本発明に係る微粒子の分散液を調製する方法としては、例えば以下に示すような3種類が挙げられる。
《調製方法A》
溶剤と微粒子を撹拌混合した後、分散機で分散を行う。これを微粒子分散液とする。微粒子分散液をドープ液に加えて撹拌する。
《調製方法B》
溶剤と微粒子を撹拌混合した後、分散機で分散を行う。これを微粒子分散液とする。別に溶剤に少量のセルロースエステルを加え、撹拌溶解する。ここで添加するセルロースエステルとして、本発明の固形物を添加することが特に好ましい。
これに前記微粒子分散液を加えて撹拌する。これを微粒子添加液とする。微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する。
《調製方法C》
溶剤に少量のセルロースエステルを加え、撹拌溶解する。これに微粒子を加えて分散機で分散を行う。これを微粒子添加液とする。微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する。
調製方法Aは二酸化珪素微粒子の分散性に優れ、調製方法Cは二酸化珪素微粒子が再凝集しにくい点で優れている。中でも、上記記載の調製方法Bは二酸化珪素微粒子の分散性と、二酸化珪素微粒子が更に再凝集しにくい等、両方に優れている好ましい調製方法である。
《分散方法》
二酸化珪素微粒子を溶剤などと混合して分散する時の二酸化珪素の濃度は5〜30質量%が好ましく、10〜25質量%が更に好ましく、15〜20質量%が最も好ましい。分散濃度は高い方が、添加量に対する液濁度は低くなる傾向があり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。
使用される溶剤は低級アルコール類としては、好ましくはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられる。低級アルコール以外の溶媒としては特に限定されないが、セルロースエステルの製膜時に用いられる溶剤を用いることが好ましい。
セルロースエステルに対する二酸化珪素微粒子の添加量はセルロースエステル100質量部に対して、二酸化珪素微粒子は0.01〜0.3質量部が好ましく、0.05〜0.2質量部が更に好ましく、0.08〜0.12質量部が最も好ましい。添加量は多い方が、動摩擦係数に優れ、添加量が少ない方がヘイズが低く、凝集物も少ない点が優れている。
分散機は通常の分散機が使用出来る。分散機は大きく分けてメディア分散機とメディアレス分散機に分けられる。二酸化珪素微粒子の分散にはメディアレス分散機がヘイズが低く好ましい。
メディア分散機としてはボールミル、サンドミル、ダイノミルなどが挙げられる。
メディアレス分散機としては超音波型、遠心型、高圧型などがあるが、本発明においては高圧分散装置が好ましい。高圧分散装置は、微粒子と溶媒を混合した組成物を、細管中に高速通過させることで、高剪断や高圧状態など特殊な条件を作りだす装置である。高圧分散装置で処理する場合、例えば、管径1〜2000μmの細管中で装置内部の最大圧力条件が9.807MPa以上であることが好ましい。更に好ましくは19.613MPa以上である。又その際、最高到達速度が100m/秒以上に達するもの、伝熱速度が420kJ/時間以上に達するものが好ましい。
上記のような高圧分散装置にはMicrofluidics Corporation社製超高圧ホモジナイザ(商品名マイクロフルイダイザ)あるいはナノマイザ社製ナノマイザがあり、他にもマントンゴーリン型高圧分散装置、例えばイズミフードマシナリ製ホモジナイザ、三和機械(株)社製UHN−01等が挙げられる。
又、これらの微粒子はフィルムの厚み方向で均一に分布していてもよいが、より好ましくは主に表面近傍に存在するように分布していることが好ましく、例えば、共流延法により、2種以上のドープを用いて、微粒子を主に表層側に配置されたドープに添加することが、滑り性が高く、ヘイズが低いフィルムが得られるので好ましい。好ましくは3種のドープを使用して表層側の2つのドープに主に微粒子を添加することが望ましい。
又、本発明のフィルムには導電性を有する物質を添加することで好ましいインピーダンスを有する光学フィルムを得ることも出来る。導電性物質としては特に限定はされないが、イオン導電性物質や導電性微粒子あるいはセルロースエステルと相溶性を有する帯電防止剤などを用いることが出来る。
ここでイオン導電性物質とは電気伝導性を示し、電気を運ぶ担体であるイオンを含有する物質のことであるが、例えば、イオン性高分子化合物を挙げることが出来る。
イオン性高分子化合物としては、特公昭49−23828号、同49−23827号、同47−28937号にみられるようなアニオン性高分子化合物、例えば特公昭55−734号、特開昭50−54672号、特公昭59−14735号、同57−18175号、同57−18176号、同57−56059号などにみられるような、主鎖中に解離基を持つアイオネン型ポリマー、特公昭53−13223号、同57−15376号、特公昭53−45231号、同55−145783号、同55−65950号、同55−67746号、同57−11342号、同57−19735号、特公昭58−56858号、特開昭61−27853号、同62−9346号にみられるような、側鎖中にカチオン性解離基を持つカチオン性ペンダント型ポリマー等を挙げることが出来る。
又、導電性微粒子の例としては導電性を有する金属酸化物が挙げられる。金属酸化物の例としては、ZnO、TiO2、SnO2、Al23、In23、SiO2、MgO、BaO、MoO2、V25等、あるいはこれらの複合酸化物が好ましく、特にZnO、TiO2及びSnO2が好ましい。異種原子を含む例としては、例えばZnOに対してはAl、In等の添加、TiO2に対してはNb、Ta等の添加、又SnO2に対しては、Sb、Nb、ハロゲン元素等の添加が効果的である。これら異種原子の添加量は0.01〜25mol%の範囲が好ましいが、0.1〜15mol%の範囲が特に好ましい。
又、これらの導電性を有する金属酸化物粉体の体積抵抗率は107Ωcm以下特に105Ωcm以下であって、1次粒子径が10nm以上0.2μm以下で、高次構造の長径が30nm以上6μm以下である特定の構造を有する粉体をフィルム内の少なくとも一部の領域に体積分率で0.01%以上20%以下含んでいることが好ましい。
特に好ましくは、特開平9−203810号に記載されているアイオネン導電性ポリマーあるいは分子間架橋を有する第4級アンモニウムカチオン導電性ポリマーなどを含有することが望ましい。
架橋型カチオン性導電性ポリマーの特徴は、得られる分散性粒状ポリマーにあり、粒子内のカチオン成分を高濃度、高密度に持たせることが出来るため、優れた導電性を有しているばかりでなく、低相対湿度下においても導電性の劣化は見られず、粒子同志も分散状態ではよく分散されているにもかかわらず、塗布後造膜過程において粒子同志の接着性もよいため膜強度も強く、又他の物質、例えば基体にも優れた接着性を有し、耐薬品性に優れている。
架橋型のカチオン性導電性ポリマーである分散性粒状ポリマーは一般に約0.01μm〜0.3μmの粒子サイズ範囲にあり、好ましくは0.05μm〜0.15μmの範囲の粒子サイズが用いられる。ここで用いている「分散性粒状ポリマー」の語は、視覚的観察によって透明又はわずかに濁った溶液に見えるが、電子顕微鏡の下では粒状分散物として見えるポリマーである。
帯電防止剤もしくはマット剤の添加は光学フィルムの表層部(表面から10μmの部分)に含まれていることが好ましく、共流延等の方法によってフィルムの表面に帯電防止剤及び/又はマット剤を含有させることが好ましい。具体的には、導電性物質及び/又はマット剤を含有するドープAと実質的にこれらを含有しないドープBを使用し、ドープBの少なくとも片側の面にドープAがあるように流延されることが好ましい。
必要に応じて、更に帯電防止剤、難燃剤、滑剤、油剤、マット剤、その他添加剤を加えてもよい。
本発明の製造方法により製造された光学フィルムは液晶ディスプレイに使用する偏光板、その他液晶表示装置に用いる反射防止用フィルムあるいは光学補償フィルムの基材としても使用することが可能である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
(ドープ組成物の調製)
セルローストリアセテートプロピオネート 100質量部
(アセチル基置換度1.95、プロピオニル基置換度0.7)
トリフェニルホスフェート 10質量部
エチルフタリルエチルグリコレート 2質量部
チヌビン326(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) 1質量部
AEROSIL 200V(日本アエロジル(株)製) 0.1質量部
メチレンクロライド 300質量部
エタノール 40質量部
上記材料を、順次密閉容器に投入し、容器内温度を20℃から80℃まで昇温した後、温度を80℃に保った状態で3時間攪拌を行って、完全に溶解した。その後、攪拌を停止し、液の温度を43℃まで下げた後、濾紙(安積濾紙株式会社製 安積濾紙No.244)を使用して濾過し、ドープを得た。
(セルローストリアセテートプロピオネートフィルムの製造)
図1(c)で示される工程を用い次に示す方法でセルローストリアセテートプロピオネートフィルムを製造した。調製したドープを温度33℃で流延ダイスよりステンレス鋼製エンドレスベルトよりなる支持体上に表1に示すように幅を変えて流延した後、ベルトから剥離し、延伸工程での延伸処理が終了した後、図3に示すようにセルローストリアセテートプロピオネートフィルムの片側の端部を搬送ロールの端部の近傍に形成された搬送補助部と接触する様にして、搬送速度50m/minで搬送し、100℃で20分間乾燥し厚さ80μmのセルローストリアセテートプロピオネートフィルムを各1000m作製し、試料No.101〜103とした。尚、図3に示すようにセルローストリアセテートプロピオネートフィルムの片側の端部を搬送ロールの端部の近傍に形成された搬送補助部と接触する方法としては、流延する時、エンドレスベルトから剥離され形成されたセルローストリアセテートプロピオネートフィルムの片側の端部が搬送ロールの端部の近傍に形成された搬送補助部と接触するように流延ダイスの位置を決めてエンドレスベルトの上にドープを流延した。
尚、搬送ロールは幅1800mmで、両端から100mmに幅100mmで表面粗さ(Ra)10μmの粗さ加工をした図5(a)に示される搬送ロールを使用した。又、延伸処理が終了した時点でのセルローストリアセテートプロピオネートフィルムの残留溶媒量は15質量%になる様に調整した。表面粗さRaは、JIS B 0601−2001に準じて測定した値を示す。搬送速度は、搬送工程に配設された駆動モータのモータ軸につけられたパルスジェネレータにより回転数を求め、モータに結合されたロールの径/モータとロールの間の減速比を用いて演算して求めた値を示す。
尚、各試料No.101〜103の比較試料として、セルローストリアセテートプロピオネートフィルムの両端を搬送ロールの搬送補助部と接触させずに搬送させた他は全て同じ条件で作製しNo.104〜106とした。
評価
作製した各試料No.101〜106に付き、以下に示す方法でロール滑りによるスリキズの有無を観察し、以下に示す評価ランクに従って評価した結果を表1に示す。
スリキズの確認方法
作製したセルローストリアセテートプロピオネートフィルムの1000mにつき、目視でスリキズの有無を確認した。
スリキズの評価ランク
○:スリキズの発生が認められない
△:フィルム幅手1〜2箇所に5mに1箇所程度スリキズが発生した
×:フィルム全面にスリキズが発生した
Figure 0004882566
本発明の有効性が確認された。
実施例2
(ペレットの作製)
シクロオレフィン樹脂 100質量部
トリフェニルフォスフェイト 10質量部
エチルフタリルエチルグリコレート 2質量部
チヌビン109(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 0.5質量部
チヌビン171(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 0.5質量部
チヌビン326(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 0.3質量部
AEROSIL 200V(日本アエロジル社製) 0.1質量部
酸化防止剤 0.01質量部
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕
上記材料の混合物を、2軸式押出し機を用いて230℃で溶融混合し、ペレット化した。
(セルロースアシレートフィルムの製造)
図2に示される溶融流延製膜装置を用いて次ぎの方法でセルロースアシレートフィルムを製造した。準備したペレットを用いて、Tダイから溶融物をフィルム状に冷却ロール上に幅を1300mmで、溶融温度250℃で溶融押し出し、冷却固化させた後、剥離ロールによって剥離したセルロースアシレートフィルムを、連続して延伸工程に搬送しテンターで、幅手方向に160℃で1.5倍延伸した後、幅手方向に3%緩和しながら30℃まで冷却し、その後テンターから開放し、延伸工程と熱処理工程との間に設けた搬送方向角度変更工程の搬送方向角度変更ロールの角度を表2に示す様に変えることでセルロースアシレートフィルムの片側の端部が搬送ロールの端部の近傍に形成された図5(d)に示される形状の搬送補助部と図3に示すような状態で接触するようにして、搬送速度40m/minで、熱処理工程と冷却工程を搬送した後、巻き取り張力150N/mの均一な張力で巻取り装置によって巻き取り、厚さ80μmの光学用のセルロースアシレートフィルムを1000m作製し、試料No.201〜205とした。
尚、熱処理工程はセルロースアシレートフィルムのTg−10℃で3分間行い、冷却工程では25℃まで冷却した。搬送ロールは幅1800mmで、両端から100mmに幅100mmで搬送補助部の形状(図5を参照)は深さ1.0mm、幅0.5mm、間隔2mmで40本とした。搬送方向角度変更ロールの角度を変えて熱処理工程の搬送ロールの搬送補助部への接触は、搬送方向角度変更ロールの角度に合わせ搬送方向角度変更ロールの本数を変えることで行った。尚、搬送補助部の深さ、幅及び間隔は株式会社ミツトヨ製小形表面粗さ測定機 サーフテストSJ−400を用いて測定した値を示す。
評価
作製した各試料No.201〜205に付き、以下に示す方法でロール滑りによるスリキズの有無及び光学的遅相軸の角度を測し、以下に評価ランクに従って評価した結果を表2に示す。
スリキズの有無の観察
実施例1と同じ方法で行った。
スリキズの評価ランク
実施例1と同じ
光学的遅相軸の角度の測定方法
王子計測機器株式会社製 KOBRA−WPRを用いて、幅方向に50mm間隔で30点を測定し、測定値の最大と最小の差を計算で求めた。
光学的遅相軸の角度の評価ランク
○:光学的遅相軸の角度の最大と最小の差が2°未満
△:光学的遅相軸の角度の最大と最小の差が2°以上、7°未満
×:光学的遅相軸の角度の最大と最小の差が7°を超える
Figure 0004882566
試料No.201は光学的遅相軸に対する影響もなく、スリキズの発生もないが搬送方向角度変更ロールの本数が多くなり工程の長さが長くなるため場合によっては工程の改良が必要になる。尚、搬送ロールの搬送補助部の形状を、図5(a)に示される搬送ロール(表面粗さ(Ra)20μm)、図5(b)に示される搬送ロール(凸部の高さ50μm、幅10mm)、図5(c)に示される搬送ロール(1本の凸部の高さ50μm、幅を1mm、間隔を2mm、本数を30本)に変更しても同じ結果が得られた。本発明の有効性が確認された。
実施例3
(ドープ組成物の調製)
実施例1と同じドープを調製した。
(セルローストリアセテートプロピオネートフィルムの製造)
図1(a)で示される工程を用い次に示す方法でフィルムを調製した。調製したドープを温度33℃で流延ダイスよりステンレス鋼製エンドレスベルトよりなる支持体上に表2に示すように幅を1300mmで流延した後、ベルトから剥離し、延伸工程での延伸処理が終了した後、搬送方向角度変更ロールの角度を表3に示す様に変えることでセルローストリアセテートプロピオネートフィルムの片側の端部が搬送ロールの端部の近傍に形成された搬送補助部と接触するようにして、搬送速度50m/minで搬送し、100℃で20分間乾燥し厚さ80μmのセルローストリアセテートプロピオネートフィルムを各1000m作製し、試料No.301〜305とした。尚、搬送方向角度変更ロールは、サーボモータを有した角度変更架台に配設されたものを使用した。尚、延伸処理が終了した後、図3に示すようにセルローストリアセテートプロピオネートフィルムの片側の端部を搬送ロールの端部の近傍に形成された搬送補助部と接触する方法としては図6(b)に示す様に、セルローストリアセテートプロピオネートフィルムの中心線とベルトの中心線とがほぼ一致する様にドープを流延し、延伸工程での延伸処理が終了した時形成されたセルローストリアセテートプロピオネートフィルムを搬送方向角度変更ロールの角度に合わせ搬送方向角度変更ロールの本数を変えることでセルローストリアセテートプロピオネートフィルムの片側の端部が搬送ロールの端部の近傍に形成された搬送補助部と接触するようにした。尚、搬送ロールは幅1800mmで、両端から50mmに幅100mmで表面粗さ(Ra)20μmの粗さ加工をした図5(a)に示される搬送ロールを使用した。又、延伸処理が終了した時点でのセルローストリアセテートプロピオネートフィルムの残留溶媒量は15質量%になる様に調整した。搬送方向角度変更ロールの角度θは、サーボモータ内の回転角エンコーダの値を使用して演算して求めた値である。
評価
作製した各試料No.301〜305に付き、以下に示す方法でロール滑りによるスリキズの有無及び光学的遅相軸の角度を測定し、以下に評価ランクに従って評価した結果を表3に示す。
スリキズの有無の観察
実施例1と同じ方法で行った。
スリキズの評価ランク
実施例1と同じ評価ランクとした。
光学的遅相軸の角度の測定方法
実施例2と同じ方法で行った。
光学的遅相軸の角度の評価ランク
実施例2と同じ評価ランクとした。
Figure 0004882566
試料No.301は光学的遅相軸に対する影響もなく、スリキズの発生もないが搬送方向角度変更ロールの本数が多くなり工程の長さが長くなるため場合によっては工程の改良が必要になる。本発明の有効性が確認された。
実施例4
(ドープ組成物の調製)
実施例1と同じドープを調製した。
(セルローストリアセテートプロピオネートフィルムの製造)
調製したドープを使用し、実施例3の試料No.303を製造する時、図4(a)に示す搬送ロールの搬送補助部の粗さを表4に示す様に変えた他は同じ条件で、厚さ80μmのセルローストリアセテートプロピオネートフィルムを各1000m作製し試料No.401〜406とした。搬送補助部の形成位置は、搬送ロールの端部から50mmとし、幅は100mmとした。表面粗さRaは、実施例1と同じ方法により測定した値である。
評価
作製した各試料No.401〜406に付き、搬送状態を目視で観察し、以下に示す評価ランクに従って評価した結果を表3に示す。又、ロール滑りによるスリキズの有無に付きを実施例1と同じ方法で測定し、実施例1と同じ評価ランクに従って評価した結果を表3に示す。
搬送状態の評価ランク
○:シワの発生もなく正常に搬送されている
△:製品としても問題とならない程度の僅かなシワの発生が認められる
×:シワの発生が確認される
Figure 0004882566
本発明の有効性が確認された。
実施例5
(ドープ組成物の調製)
実施例1と同じドープを調製した。
(セルローストリアセテートプロピオネートフィルムの製造)
調製したドープを使用し、実施例1の試料No.102を製造する時、図5(b)に示す搬送ロールの搬送補助部の凸部の高さを表4に示す様に変えた他は同じ条件で、厚さ80μmのセルローストリアセテートプロピオネートフィルムを各1000m作製し試料No.501〜506とした。搬送補助部の形成位置は、搬送ロールの端部から50mmとし、幅は100mmとした。尚、凸部はニチバン(株)製の耐熱テープ(#695 PPSテープ)を貼着することで形成した。尚、高さは耐熱テープを巻き重ねることで変化させた。
評価
作製した各試料No.501〜506に付き、搬送状態を目視で観察し、実施例3と同じ評価ランクに従って評価した結果を表5に示す。又、ロール滑りによるスリキズの有無を実施例1と同じ方法で測定し、実施例1と同じ評価ランクに従って評価した結果を表5に示す。
Figure 0004882566
本発明の有効性が確認された。尚、図5(c)に示される形状の搬送補助部(1本の凸部の高さ50μm、幅を1mm、間隔を2mm、本数を30本で形成)でも同様な結果が得られた。
実施例6
(ドープ組成物の調製)
実施例1と同じドープを調製した。
(セルローストリアセテートプロピオネートフィルムの製造)
調製したドープを使用し、実施例3の試料No.302を製造する時、図5(d)に示す搬送ロールの搬送補助部の凹部(溝部)の深さを表5に示す様に変えた他は同じ条件で、厚さ40μmのセルローストリアセテートプロピオネートフィルムを各1000m作製し試料No.601〜606とした。搬送補助部の形成位置は、搬送ロールの端部から50mmとし、幅は100mmとした。尚、凹部(溝部)は、幅0.5mm、間隔2mmで40本設けた。搬送補助部の凹部(溝部)の深さ、幅、間隔は実施例2と同じ方法で測定した値を示す。
評価
作製した各試料No.601〜606に付き、搬送状態を目視で観察し、実施例3と同じ評価ランクに従って評価した結果を表6に示す。又、ロール滑りによるスリキズの有無を実施例1と同じ方法で測定し、実施例1と同じ評価ランクに従って評価した結果を表6に示す。
Figure 0004882566
本発明の有効性が確認された。
実施例7
(ドープ組成物の調製)
実施例1と同じドープを調製した。
(セルローストリアセテートプロピオネートフィルムの製造)
調製したドープを使用し、実施例1の試料No.101を製造する時、搬送速度を表7に示す様に変え、厚さ80μmのセルローストリアセテートプロピオネートフィルムを作製し試料No.701〜706とした。尚、乾燥温度は搬送速度に合わせ、残留溶媒量が同じになるように変えて行った。その他の条件は実施例1と同じ条件で行った。又、実施例3の試料No.303を製造する時、搬送速度を表7に示す様に変え、厚さ40μmのセルローストリアセテートプロピオネートフィルムを各1000m作製し試料No.707〜712とした。尚、乾燥温度は搬送速度に合わせ、残留溶媒量が同じになるように変えて行った。その他の条件は実施例3と同じ条件で行った。搬送速度は実施例1と同じ方法で測定した値を示す。
評価
作製した各試料No.701〜712に付き、搬送状態を目視で観察し、実施例3と同じ評価ランクに従って評価した結果を表7に示す。又、ロール滑りによるスリキズの有無を実施例1と同じ方法で測定し、実施例1と同じ評価ランクに従って評価した結果を表7に示す。
Figure 0004882566
本発明の有効性が確認された。
実施例8
(ドープ組成物の調製)
実施例1と同じドープを調製した。
(セルローストリアセテートプロピオネートフィルムの製造)
調製したドープを使用し、実施例3の試料No.302を製造する時、延伸処理工程を終えた時点のセルローストリアセテートプロピオネートフィルムの残存溶媒量を表8に示す様に変えた他は同じ条件で、厚さ80μmのセルローストリアセテートプロピオネートフィルムを各1000m作製し試料No.801〜806とした。尚、残留溶媒量(質量%)の値は、乾燥前の大きさ(200mm×200mm)のセルロースエステルフィルムを115℃で1時間乾燥した時のセルロースエステルフィルムの質量をBとし、乾燥前のセルロースエステルフィルムの質量をAとした時、((A−B)/B)×100=残留溶媒量(質量%)で求めた値である。
評価
作製した各試料No.801〜806に付き、光学的遅相軸の角度を実施例2と同じ方法で測定し、実施例2と同じ評価ランクに従って評価した結果を表8に示す。又、搬送状態を目視で観察し、実施例3と同じ評価ランクに従って評価した結果を表8に示す。又、ロール滑りによるスリキズの有無を実施例1と同じ方法で測定し、実施例1と同じ評価ランクに従って評価した結果を表8に示す。
Figure 0004882566
本発明の有効性が確認された。
実施例9
(ドープ組成物の調製)
実施例1と同じドープを調製した。
(セルローストリアセテートプロピオネートフィルムの製造)
図1(a)で示される工程を用い次に示す方法でフィルムを調製した。調製したドープを図6(b)に示す様な状態で、温度33℃で流延ダイスよりステンレス鋼製エンドレスベルトよりなる支持体上に幅1300mmで流延した後、表9に示す様に残留溶媒濃度を変えてベルトから剥離し、延伸工程での延伸処理が終了した後、搬送方向角度変更ロールの角度を表9に示す様に変えることでセルローストリアセテートプロピオネートフィルムの片側の端部が搬送ロールの端部の近傍に形成された搬送補助部と接触する様にして(図3を参照)、搬送速度50m/minで搬送し、100℃で20分間乾燥し厚さ80μmのセルローストリアセテートプロピオネートフィルムを各1000m作製し、試料No.901〜923とした。
尚、延伸工程での延伸処理が終了した時、セルローストリアセテートプロピオネートフィルムの片側の端部が搬送ロールの端部の近傍に形成された搬送補助部と接触する様に方法としては、搬送方向角度変更ロールの角度に応じて搬送方向角度変更ロールの本数を変えることで行った。尚、搬送ロールは幅1800mmで、両端から50mmに幅100mmで深さ0.5mm、幅2mm、本数40本の凹部(溝部)を設けた図5(d)に示される搬送ロールを使用した。残留溶媒量(質量%)の値は、実施例8と同じ方法で測定した値を示す。搬送方向角度変更ロールの角度θは、実施例3塗同じ方法で測定した値を示す。
評価
作製した各試料No.901〜923に付き、光学的遅相軸の角度を実施例2と同じ方法で測定し、実施例2と同じ評価ランクに従って評価した結果を表9に示す。又、搬送状態を目視で観察し、実施例3と同じ評価ランクに従って評価した結果を表8に示す。又、ロール滑りによるスリキズの有無を実施例1と同じ方法で測定し、実施例1と同じ評価ランクに従って評価した結果を表9に示す。
Figure 0004882566
本発明の有効性が確認された。
光学フィルムの溶液流延製膜法の模式図である。 光学フィルムの溶融流延製膜法の一例を示す模式図である。 図1(a)のPで示される部分の拡大概略斜視図である。 図2に示す搬送ロールの搬送補助部の拡大概略平面図である。 搬送ロールの異なった形態の搬送補助部の概略図である。 図1に示す溶液流延製膜装置で図2に示す状態でセルロースエステルフィルムを搬送する方法を示す模式図である。 偏光板の概略断面図である。
符号の説明
1 偏光子
2 保護フィルム
3a〜3d 溶液流延製膜装置
301 流延工程
301a 鏡面帯状金属流延ベルト(ベルト)
301b ダイス
302 延伸工程
302c テンター延伸装置
303、308 乾燥工程
303d〜303f、305d、305e、306d〜306f、307d、307e、308d、308e、703a4、704a4 搬送ロール
303f1、303f2、303f21〜303f24 搬送補助部
303g 搬送方向角度変更ロール
304 巻き取り回収工程
305 第1乾燥工程
306、307 第2乾燥工程
4 ドープ
6 セルロースエステルフィルム
6a、6b、303f3 端部
7 溶融流延製膜装置
701b Tダイ
703a 熱固定装置

Claims (8)

  1. 原料樹脂を溶媒に溶解した液体または加熱して溶融した液体を無端支持体の上に流延しウェブを形成し、前記ウェブを前記無端支持体より剥離した後、搬送ロールと接触させ搬送させ、巻き取ることにより製造する光学フィルムの製造方法において、前記搬送ロールは少なくとも片方の端部近傍の幅方向の周面に搬送補助部を有し、前記ウェブの一方の端部と前記搬送補助部とを接触させて搬送する光学フィルムの製造方法において、
    前記ウェブのどちらかの一方の端部が搬送補助部と接触するように、前記ウェブの搬送方向を変更する搬送角度変更ロールを設置した搬送角度変更工程を該ウェブの搬送工程の中に設けることで、該ウェブの一方の端部と搬送補助部とを接触させて搬送することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
  2. 前記搬送補助部が平均粗さRa、1μm〜100μmの粗面で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
  3. 前記搬送補助部が高さ10μm〜500μmの凸部で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
  4. 前記搬送補助部が深さ0.05mm〜1mmの凹部で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
  5. 前記ウェブの搬送速度が30m/min〜150m/minであることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
  6. 前記ウェブの残留溶媒量が2質量%〜30質量%の領域で該ウェブの一方の端部と搬送補助部とを接触させて搬送することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
  7. 前記ウェブの端部の一方のみが搬送補助部と接触するように、前記ウェブの搬送方向を変更する搬送角度変更ロールを設置した搬送角度変更工程を該ウェブの搬送工程の中に設け、該ウェブの残留溶媒量が2質量%〜30質量%の領域で該搬送角度変更工程に搬送し、該ウェブの一方の端部と搬送補助部とを接触させて搬送することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
  8. 前記搬送角度変更ロールは、該搬送角度変更ロールの軸に垂直な方向とウェブの搬送方向とのなす角度が0.3°〜3°となるように配設されていることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
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