本発明を実施するための最良の形態として、摩擦攪拌を利用した金属要素(金属部材)同士の接合方法であって、金属要素同士の突合部における前記金属要素の表面側から前記突合部に沿った方向としての縦方向に摩擦攪拌接合を行う第一の本接合工程と、当該第一の本接合工程の後に、前記突合部における前記金属要素の裏面側から前記縦方向に摩擦攪拌接合を行う第二の本接合工程とを含む接合方法を例示する。
この実施形態では、図1に示すように、金属部材1,1を直線状に繋ぎ合せる場合を例示する。
まず、接合すべき金属部材1,1を詳細に説明するとともに、この金属部材1,1を接合する際に用いられる第一タブ材2と第二タブ材3を詳細に説明する。
金属部材1は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、チタン、チタン合金、マグネシウム、マグネシウム合金など摩擦攪拌可能な金属材料からなる。本実施形態では、一方の金属部材1および他方の金属部材1を、同一組成の金属材料で形成している。金属部材1,1の形状・寸法に特に制限はないが、少なくとも突合部J1における厚さ寸法を同一にすることが望ましい。
第一タブ材2および第二タブ材3は、金属部材1,1の突合部J1を挟むように配置されるものであって、それぞれ、金属部材1,1に添設され、金属部材1の側面14側に現れる金属部材1,1の継ぎ目(境界線)を覆い隠す。第一タブ材2および第二タブ材3の材質に特に制限はないが、本実施形態では、金属部材1と同一組成の金属材料で形成している。また、第一タブ材2および第二タブ材3の形状・寸法にも特に制限はないが、本実施形態では、その厚さ寸法を突合部J1における金属部材1の厚さ寸法と同一にしている。
次に、図2を参照して、仮接合に用いる回転ツールA(以下、「仮接合用回転ツールA」という。)および本接合に用いる回転ツールB(以下、「本接合用回転ツールB」という。)を詳細に説明する。
図2の(a)に示す仮接合用回転ツールAは、工具鋼など金属部材1よりも硬質の金属材料からなり、円柱状を呈するショルダ部A1と、このショルダ部A1の下端面A11に突設された攪拌ピン(プローブ)A2とを備えて構成されている。仮接合用回転ツールAの寸法・形状は、金属部材1の材質や厚さ等に応じて設定すればよいが、少なくとも、後記する第一の本接合工程または第二の本接合工程で用いる本接合用回転ツールB(図2の(b)参照)よりも小型にする。このようにすると、本接合よりも小さな負荷で仮接合を行うことが可能となるので、仮接合時に摩擦攪拌装置に掛かる負荷を低減することが可能となり、さらには、仮接合用回転ツールAの移動速度(送り速度)を本接合用回転ツールBの移動速度よりも高速にすることも可能になるので、仮接合に要する作業時間やコストを低減することが可能となる。
ショルダ部A1の下端面A11は、塑性流動化した金属を押えて周囲への飛散を防止する役割を担う部位であり、本実施形態では、凹面状に成形されている。ショルダ部A1の外径X1の大きさに特に制限はないが、本実施形態では、本接合用回転ツールBのショルダ部B1の外径Y1よりも小さくなっている。
攪拌ピンA2は、ショルダ部A1の下端面A11の中央から垂下しており、本実施形態では、先細りの円錐台状に成形されている。また、攪拌ピンA2の周面には、螺旋状に刻設された攪拌翼が形成されている。攪拌ピンA2の外径の大きさに特に制限はないが、本実施形態では、最大外径(上端径)X2が本接合用回転ツールBの攪拌ピンB2の最大外径(上端径)Y2よりも小さく、かつ、最小外径(下端径)X3が攪拌ピンB2の最小外径(下端径)Y3よりも小さい。攪拌ピンA2の長さLAは、少なくとも、本接合用回転ツールBの攪拌ピンB2の長さL1よりも小さくすることが望ましい。
図2の(b)に示す本接合用回転ツールBは、工具鋼など金属部材1よりも硬質の金属材料からなり、円柱状を呈するショルダ部B1と、このショルダ部B1の下端面B11に突設された攪拌ピン(プローブ)B2とを備えて構成されている。
ショルダ部B1の下端面B11は、仮接合用回転ツールAと同様に、凹面状に成形されている。攪拌ピンB2は、ショルダ部B1の下端面B11の中央から垂下しており、本実施形態では、先細りの円錐台状に成形されている。また、攪拌ピンB2の周面には、螺旋状に刻設された攪拌翼が形成されている。
以下、本実施形態に係る接合方法を詳細に説明する。本実施形態に係る接合方法は、(1)準備工程、(2)第一の予備工程、(3)第一の本接合工程、(4)第一の補修工程、(5)歪矯正工程、(6)第二の本接合工程、(7)第二の補修工程、(8)仕上げ工程を含むものである。なお、第一の予備工程、第一の本接合工程および第一の補修工程は、金属部材1の表面12側から実行される工程であり、第二の本接合工程および第二の補修工程は、金属部材1の裏面13側から実行される工程であり、歪矯正工程および仕上げ工程は、金属部材1に全体的に施す工程である。
(1)準備工程 :
図1を参照して準備工程を説明する。準備工程は、接合すべき金属部材1,1や摩擦攪拌の開始位置や終了位置が設けられる当て部材(第一タブ材2および第二タブ材3)を準備する工程であり、本実施形態では、接合すべき金属部材1,1を突き合せる突合工程と、金属部材1,1の突合部J1の両側に第一タブ材2と第二タブ材3を配置するタブ材配置工程と、第一タブ材2と第二タブ材3を溶接により金属部材1,1に仮接合する溶接工程とを具備している。
突合工程では、図1の(c)に示すように、一方の金属部材1の側面11に他方の金属部材1の側面11を密着させるとともに、一方の金属部材1の表面12と他方の金属部材1の表面12を面一にし、さらに、一方の金属部材1の裏面13と他方の金属部材1の裏面13を面一にする。
タブ材配置工程では、図1の(b)に示すように、金属部材1,1の突合部J1の一端側に第一タブ材2を配置してその当接面21を金属部材1,1の側面14,14に当接させるとともに、突合部J1の他端側に第二タブ材3を配置してその当接面31を金属部材1,1の側面14,14に当接させる。このとき、図1の(d)に示すように、第一タブ材2の表面22と第二タブ材3の表面32を金属部材1の表面12と面一にするとともに、第一タブ材2の裏面23と第二タブ材3の裏面33を金属部材1の裏面13と面一にする。
溶接工程では、図1の(a)および(b)に示すように、金属部材1と第一タブ材2とにより形成された入隅部2a,2a(すなわち、金属部材1の側面14と第一タブ材2の側面24とにより形成された角部2a,2a)を溶接して金属部材1と第一タブ材2とを接合し、金属部材1と第二タブ材3とにより形成された入隅部3a,3a(すなわち、金属部材1の側面14と第二タブ材3の側面34とにより形成された角部3a,3a)を溶接して金属部材1と第二タブ材3とを接合する。なお、入隅部2a,3aの全長に亘って連続して溶接を施してもよいし、断続して溶接を施してもよい。
準備工程が終了したら、金属部材1,1、第一タブ材2および第二タブ材3を図示せぬ摩擦攪拌装置の架台に載置し、クランプ等の図示せぬ治具を用いて移動不能に拘束する。なお、溶接工程を省略する場合には、図示せぬ摩擦攪拌装置の架台上で、突合工程とタブ材配置工程を実行する。
(2)第一の予備工程 :
第一の予備工程は、第一の本接合工程に先立って行われる工程であり、本実施形態では、摩擦攪拌接合によって仮接合する。
本実施形態の第一の予備工程では、図4に示すように、一の仮接合用回転ツールAを一筆書きの移動軌跡(ビード)を形成するように移動させて、突合部J1(図1の(a)参照)に対して連続して摩擦攪拌を行う。すなわち、摩擦攪拌の開始位置SPに挿入した仮接合用回転ツールAの攪拌ピンA2(図2の(a)参照)を途中で離脱させることなく終了位置EPまで連続的に一直線に移動させる。なお、本実施形態では、第一タブ材2に摩擦攪拌の開始位置SPを設け、第二タブ材3に終了位置EPを設けているが、開始位置SPと終了位置EPの位置を限定する趣旨ではない。また、この実施形態では、後記するように、第一タブ材2に設定した開始位置SPと、突合部J1と、第二タブ材3に設定した終了位置EPとが一直線上に並ぶように、仮接合用回転ツールAのルートが設定されている。ちなみに、終了位置EPは、後記する第一の本接合工程における摩擦攪拌の開始位置SM1でもある。
本実施形態の第一の予備工程における摩擦攪拌の手順を図3および図4を参照してより詳細に説明する。
まず、図3の(a)に示すように、第一タブ材2の適所に設けた開始位置SPの直上に仮接合用回転ツールAを位置させ、続いて、仮接合用回転ツールAを右回転させつつ下降させて攪拌ピンA2を開始位置SPに押し付ける。攪拌ピンA2が第一タブ材2の表面22に接触すると、摩擦熱によって攪拌ピンA2の周囲にある金属が塑性流動化し、図3の(b)に示すように、攪拌ピンA2が第一タブ材2に挿入される。
攪拌ピンA2の全体が第一タブ材2に入り込み、かつ、ショルダ部A1の下端面A11の全面が第一タブ材2の表面22に接触したら、図4に示すように、仮接合用回転ツールAを回転させつつ突合部J2に向けて相対移動させる。仮接合用回転ツールAを移動させると、その攪拌ピンA2の周囲にある金属が順次塑性流動化するとともに、攪拌ピンA2から離れた位置では、塑性流動化していた金属が再び硬化する。
なお、仮接合用回転ツールAの攪拌ピンA2が突合部J2を横切る際に、金属部材1と第一タブ材2を引き離そうとする力が作用するが、金属部材1と第一タブ材2により形成された入隅部2aを溶接により仮接合しているので、金属部材1と第一タブ材2との間に目開きが発生することがない。
突合部J2を横切らせた後は、仮接合用回転ツールAを離脱させずにそのまま突合部J1に移動させて、突合部J1に対して摩擦攪拌を行う。具体的には、金属部材1,1の継ぎ目(境界線)上に摩擦攪拌のルートを設定し、当該ルートに沿って仮接合用回転ツールAを相対移動させることで、突合部J1の全長に亘って連続して摩擦攪拌を行う。続いて、仮接合用回転ツールAが突合部J3に達したら、そのまま仮接合用回転ツールAを離脱させることなく、突合部J3を横切らせて、第二ダブ材3に設定された終了位置EPまで摩擦攪拌接合を連続的に行う。
なお、仮接合用回転ツールAの攪拌ピンA2(図2の(a)参照)が突合部J3を横切る際に、金属部材1と第二タブ材3を引き離そうとする力が作用するが、金属部材1と第二タブ材3の入隅部3aを溶接により仮接合しているので、金属部材1と第二タブ材3との間に目開きが発生することがない。
仮接合用回転ツールAが終了位置EPに達したら、仮接合用回転ツールAを回転させつつ上昇させて攪拌ピンA2(図2の(a)参照)を終了位置EPから離脱させる。
(3)第一の本接合工程 :
第一の本接合工程は、金属部材1,1の突合部J1を本格的に接合する工程である。本実施形態に係る第一の本接合工程では、図2の(b)に示す本接合用回転ツールBを使用し、仮接合された状態の突合部J1に対して金属部材1の表面12側から摩擦攪拌を行う。
第一の本接合工程では、図5の(a)〜(c)に示すように、開始位置SM1に本接合用回転ツールBの攪拌ピンB2を挿入(圧入)し、挿入した攪拌ピンB2を途中で離脱させることなく終了位置EM1まで移動させる。すなわち、第一の本接合工程では、開始位置SM1から摩擦攪拌を開始し、終了位置EM1まで連続して摩擦攪拌を行う。なお、本実施形態では、第二タブ材3に摩擦攪拌の開始位置SM1を設け、第一タブ材2に終了位置EM1を設けているが、開始位置SM1と終了位置EM1の位置を限定する趣旨ではない。
図5の(a)〜(c)を参照して第一の本接合工程をより詳細に説明する。
まず、図5の(a)に示すように、開始位置SM1の直上に本接合用回転ツールBを位置させ、続いて、本接合用回転ツールBを右回転させつつ下降させて攪拌ピンB2の先端を第二タブ材3の表面32に当接すると、第二タブ材3の表面から金属が塑性流動化する。このような状態になると、塑性流動化した金属を攪拌ピンB2の周面で押し退けながら、攪拌ピンB2が圧入される。
攪拌ピンB2の全体が第二タブ材3に入り込み、かつ、ショルダ部B1の下端面B11の全面が第二タブ材3の表面32に接触したら、図5の(b)に示すように、摩擦攪拌を行いながら金属部材1,1の突合部J1の一端に向けて本接合用回転ツールBを相対移動させ、さらに、突合部J3を横切らせて突合部J1に突入させる。本接合用回転ツールBを移動させると、その攪拌ピンB2の周囲にある金属が順次塑性流動化するとともに、攪拌ピンB2から離れた位置では、塑性流動化していた金属が再び硬化して塑性化領域W1(以下、「表側塑性化領域W1」という。)が形成される。なお、本接合用回転ツールBを移動させる際には、ショルダ部B1の軸線を鉛直線に対して進行方向の後ろ側へ僅かに傾斜させてもよいが、傾斜させずに鉛直にすると、本接合用回転ツールBの方向転換が容易となり、複雑な動きが可能となる。
金属部材1への入熱量が過大になる虞がある場合には、本接合用回転ツールBの周囲に表面12側から水を供給するなどして冷却することが望ましい。なお、金属部材1,1間に冷却水が入り込むと、接合面(側面11)に酸化皮膜を発生させる虞があるが、本実施形態においては、仮接合工程を実行して金属部材1,1間の目地を閉塞しているので、金属部材1,1間に冷却水が入り込み難く、したがって、接合部の品質を劣化させる虞がない。
金属部材1,1の突合部J1では、金属部材1,1の継ぎ目上(仮接合工程における移動軌跡上)に摩擦攪拌のルートを設定し、当該ルートに沿って本接合用回転ツールBを相対移動させることで、突合部J1の一端から他端まで連続して摩擦攪拌を行う。突合部J1の他端まで本接合用回転ツールBを相対移動させたら、摩擦攪拌を行いながら突合部J2を横切らせ、そのまま終了位置EM1に向けて相対移動させる。
なお、本実施形態では、金属部材1の表面12側に現れる金属部材1,1の継ぎ目(境界線)の延長線上に摩擦攪拌の開始位置SM1を設定しているので、第一の本接合工程における摩擦攪拌のルートを一直線にすることができる。摩擦攪拌のルートを一直線にすると、本接合用回転ツールBの移動距離を最小限に抑えることができるので、第一の本接合工程を効率よく行うことが可能となり、さらには、本接合用回転ツールBの磨耗量を低減することが可能となる。
本接合用回転ツールBが終了位置EM1に達したら、図5の(c)に示すように、本接合用回転ツールBを回転させつつ上昇させて攪拌ピンB2を終了位置EM1(図5の(b)参照)から離脱させる。なお、終了位置EM1において攪拌ピンB2を上方に離脱させると、攪拌ピンB2と略同形の抜き穴Q1が不可避的に形成されることになるが、本実施形態では、そのまま残置する。
(4)第一の補修工程 :
第一の補修工程は、第一の本接合工程により金属部材1に形成された表側塑性化領域W1に対して摩擦攪拌を行う工程であり、表側塑性化領域W1に含まれている可能性がある接合欠陥を補修する目的で行われるものである。
本実施形態に係る第一の補修工程では、図6の(a)および(b)に示すように、表側塑性化領域W1のうち、少なくとも、第一の補修領域R1、第二の補修領域R2および第三の補修領域R3に対して摩擦攪拌を行う。
第一の補修領域R1に対する摩擦攪拌は、本接合用回転ツールBの進行方向に沿って形成される虞のあるトンネル欠陥を分断することを目的として行われるものである。本接合用回転ツールBを右回転させた場合にはその進行方向の左側にトンネル欠陥が発生する虞があり、左回転させた場合には進行方向の右側にトンネル欠陥が発生する虞があるので、本接合用回転ツールBを右回転させた本実施形態においては、平面視して進行方向の左側に位置する表側塑性化領域W1の上部を少なくとも含むように第一の補修領域R1を設定するとよい。
第二の補修領域R2に対する摩擦攪拌は、本接合用回転ツールBが突合部J2を横切る際に表側塑性化領域W1に巻き込まれた酸化皮膜(金属部材1の側面14と第一タブ材2の当接面21に形成されていた酸化皮膜)を分断することを目的として行われるものである。本実施形態の如く本接合工程における摩擦攪拌の終了位置EM1を第一タブ材2に設けた場合、本接合用回転ツールBを右回転させた場合にはその進行方向の右側にある表側塑性化領域W1の上部に酸化皮膜が巻き込まれている可能性が高く、左回転させた場合には進行方向の左側にある表側塑性化領域W1の上部に酸化皮膜が巻き込まれている可能性が高いので、本接合用回転ツールBを右回転させた本実施形態においては、第一タブ材2に隣接する表側塑性化領域W1のうち、平面視して進行方向の右側に位置する表側塑性化領域W1の上部を少なくとも含むように第二の補修領域R2を設定するとよい。
第三の補修領域R3に対する摩擦攪拌は、本接合用回転ツールBが突合部J3を横切る際に表側塑性化領域W1に巻き込まれた酸化皮膜(金属部材1の側面14と第二タブ材3の当接面31に形成されていた酸化皮膜)を分断することを目的として行われるものである。本実施形態の如く本接合工程における摩擦攪拌の開始位置SM1を第二タブ材3に設けた場合、本接合用回転ツールBを右回転させた場合にはその進行方向の左側にある表側塑性化領域W1の上部に酸化皮膜が巻き込まれている可能性が高く、左回転させた場合には進行方向の右側にある表側塑性化領域W1の上部に酸化皮膜が巻き込まれている可能性が高いので、本接合用回転ツールBを右回転させた本実施形態においては、第二タブ材3に隣接する表側塑性化領域W1のうち、平面視して進行方向の左側に位置する表側塑性化領域W1の上部を少なくとも含むように第三の補修領域R3を設定するとよい。
本実施形態に係る第一の補修工程では、本接合用回転ツールBよりも小型の仮接合用回転ツールAを補修用の回転ツールとして用いて摩擦攪拌を行う。このようにすると、塑性化領域が必要以上に広がることを防止することが可能となる。なお、ここでは、仮接合用回転ツールAを用いることとしたが、本接合用回転ツールBよりも小型の補修用の回転ツールによって摩擦攪拌を行っても構わない。また、以下では、第一の補修工程で用いる仮接合用回転ツールAを補修用回転ツールAと称して説明することとする。
第一の補修工程における摩擦攪拌の手順を、図7を参照してより詳細に説明する。
まず、第一タブ材2の適所に設けた開始位置SRに補修用回転ツールAの攪拌ピンA2(図6の(b)参照)を挿入(圧入)して摩擦攪拌を開始し、第二の補修領域R2に対して摩擦攪拌を行う。
第一の補修工程では、一の補修領域に対する摩擦攪拌が終了する度に補修用回転ツールAを離脱させてもよいし、補修領域ごとに形態の異なる補修用回転ツールAを使用してもよいが、本実施形態では、図7に示すように、一の補修用回転ツールAを一筆書きの移動軌跡(ビード)を形成するように移動させて、第一の補修領域R1、第二の補修領域R2および第三の補修領域R3に対して連続して摩擦攪拌を行う。すなわち、本実施形態に係る第一の補修工程では、摩擦攪拌の開始位置SRに挿入した補修用回転ツールAの攪拌ピンA2(図6の(b)参照)を途中で離脱させることなく終了位置ERまで移動させる。なお、本実施形態では、第一タブ材2に摩擦攪拌の開始位置SRを設けるとともに、第二タブ材3に終了位置ERを設け、第二の補修領域R2、第一の補修領域R1、第三の補修領域R3の順序で摩擦攪拌を行う場合を例示するが、開始位置SRと終了位置ERの位置や摩擦攪拌の順序を限定する趣旨ではない。
第一の補修工程における摩擦攪拌の手順を、図7を参照してより詳細に説明する。
まず、第一タブ材2の適所に設けた開始位置SRに補修用回転ツールAの攪拌ピンA2(図2の(a)参照)を挿入(圧入)して摩擦攪拌を開始し、第二の補修領域R2に対して摩擦攪拌を行う。
第二の補修領域R2に対して摩擦攪拌を行うと、金属部材1の側面14と第一タブ材2の当接面21にある酸化皮膜が表側塑性化領域W1(図6の(b)参照)に巻き込まれた場合であっても、当該酸化皮膜を分断することが可能となるので、第一タブ材2に隣接する表側塑性化領域W1においても接合欠陥が発生し難くなる。なお、補修用回転ツールAで摩擦攪拌できる領域に比して第二の補修領域R2が大きい場合には、摩擦攪拌のルートをずらしつつ補修用回転ツールAを何度かUターンさせればよい。
第二の補修領域R2に対する摩擦攪拌が終了したら、補修用回転ツールAを離脱させずにそのまま第一の補修領域R1に移動させ、前記した第一の本接合工程における摩擦攪拌のルートに沿って連続して摩擦攪拌を行う。このようにすると、本接合工程における摩擦攪拌のルートに沿ってトンネル欠陥が連続して形成された場合であっても、これを確実に分断することが可能となるので、接合欠陥が発生し難くなる。
第一の補修領域R1に対する摩擦攪拌が終了したら、補修用回転ツールAを離脱させずにそのまま第三の補修領域R3に移動させ、第三の補修領域R3に対して摩擦攪拌を行う。このようにすると、金属部材1の側面14と第二タブ材3の当接面31にある酸化皮膜が表側塑性化領域W1(図6の(b)参照)に巻き込まれた場合であっても、当該酸化皮膜を分断することが可能となるので、第二タブ材3に隣接する表側塑性化領域W1においても接合欠陥が発生し難くなる。なお、補修用回転ツールAで摩擦攪拌できる領域に比して第三の補修領域R3が大きい場合には、摩擦攪拌のルートをずらしつつ補修用回転ツールAを何度かUターンさせればよい。
第三の補修領域R3に対する摩擦攪拌が終了したら、補修用回転ツールAを終了位置ERに移動させ、補修用回転ツールAを回転させつつ上昇させて攪拌ピンA2(図6の(b)参照)を終了位置ERから離脱させる。
(5)歪矯正工程
ところで、表側塑性化領域W1は、温度が下がってくると収縮する。そのため、図8の(a)に示すように、VI-VI断面(横方向)において下に凸の反り、つまり、裏面13側に凸かつ表面12側に凹の反りを生じてしまう。また、図8の(a)(b)に示すように、V−V断面(縦方向)において下に凸の反り、つまり、裏面13側に凸(表面12側に凹)の反りを生じてしまう。
そこで、第一の補修工程が終了したら、第一の予備工程、第一の本接合工程、および、第一の補修工程における摩擦攪拌で発生したバリを除去するとともに、金属部材1,1を裏返し、裏面13を上にして、金属部材1,1の突合部J1の表面12側に引張応力が発生するような曲げモーメントを作用させる歪矯正工程を行う。この歪矯正工程は、第一の本接合工程や第一の補修工程で生じた横方向の反りを、曲げモーメントで作用する引張応力により矯正する工程である。
以下、歪矯正工程についてさらに詳細に説明する。この歪矯正工程では、図9の(a)に示すように、表側塑性化領域W1を形成した表面12を下側にし、表面12の両側縁に沿って全長に亘り帯状の補助部材Q1,Q2を表面12に当接させ、裏面13の突合部J1に沿って全長に亘り帯状の補助部材Q3を当接させる。そして、補助部材Q3の上側にロールR1を配置し、補助部材Q1,Q2の下側にロールR2を配置する。つまり、金属部材1,1の接合体は、上側に凸の状態でロールR1,R2の間に配置され、補助部材Q1,Q2,Q3を介してロールR1,R2に狭持される。
なお、ここでは、図9の(c)に示すように、第一タブ材2や第二タブ材3にも補助部材Q1,Q2,Q3を連続させて位置させることとするが、反りの状態に応じて、第一タブ材2や第二タブ材3に補助部材Q1,Q2,Q3が第一タブ材2や第二タブ材3に架からないようにしてもよい。
また、第一タブ材2や第二タブ材3を取り除いた金属部材1にロール矯正を行って、反りを矯正するようにしてもよい。また、補助部材Q1,Q2,Q3としては、金属部材1よりも軟質の材料であればよく、例えば、アルミニウム合金、硬質ゴム、プラスチック、木材を用いることができる。
ここで、ロールR1,R2が互いに近づいて金属部材1,1に圧力を加えると、図9の(b)に示すように、補助部材Q3が突合部J1を下側に押し、補助部材Q1,Q2が金属部材1,1の両端側を上側に押すため、突合部J1には曲げモーメントが作用する。この曲げモーメントは金属部材1,1の表面12側に引張応力を発生させるため、金属部材1,1が強制的に下側に凸に撓ませられる。
また、図9の(c)に示すように、ロールR1が矢印α方向に回転するとともに、ロールR2が矢印β方向に回転すると、ロールR1,R2は金属部材1,1に対して矢印γ方向(ロール送り方向)に相対的に移動する。また、ロールR1が矢印β方向に回転するとともにロールR2が矢印α方向に回転すると、ロールR1,R2は金属部材1,1に対して矢印δ方向(ロール送り方向)に相対的に移動する。なお、ロール送り方向は、突合部J1に沿った縦方向に相当する。
したがって、突合部J1に作用する曲げモーメントの位置が、その相対的な移動に伴って遷移していくため、金属部材1,1の全体が強制的に下側に凸に撓まされる。そのため、この相対的な移動を繰り返して往復動させることによって、反りをならしていくことが可能になる。なお、補助部材Q1,Q2,Q3は、金属部材1,1の力学特性や反りの曲率に応じて、反りとは反対側に撓ませて反りを矯正するのに十分な厚みを設定すればよい。補助部材Q1,Q2,Q3は、金属材料1を傷つけることなくロール矯正するために、金属部材1よりも硬度の低い材料によって成形することが好ましい。
なお、ここでは、金属部材1,1(接合体)の裏面13を上にして、歪矯正工程を行うものとして説明したが、裏返さずに表面12を上にして歪矯正工程を行うようにしてもよい。この場合、前記した各構成部品は、表裏対称に表れるため、説明を省略する。
(6)第二の本接合工程 :
続いて、歪矯正工程を経て横方向の反りの矯正が終わると、第二の本接合工程を行う。この第二の本接合工程は、金属部材1,1の突合部J1を本格的に接合する工程である。本実施形態に係る第二の本接合工程では、図10の(a)および(b)に示すように、第一の本接合工程で使用した本接合用回転ツールB(図2参照)を使用して、突合部J1に対して金属部材1の裏面13側から摩擦攪拌を行う。ところが、前記したように、突合部J1には、縦方向の反りが生じている。そこで、この実施形態では、後記するように、突合部J1の途中であって反りの頂上から端部に向かって摩擦攪拌接合を行う。そこで、まず、摩擦攪拌接合の平面視における様子について説明する。
第二の本接合工程では、まず、突合部J1の途中に設定した開始位置SM1(第一の開始位置)に本接合用回転ツールBの攪拌ピンB2を圧入(挿入)し、挿入した攪拌ピンB2を途中で離脱させることなく、図10の(a)の左側に向けて、第一タブ材2に設けた終了位置EM1(第一の終了位置)まで移動させる。すなわち、第二の本接合工程では、まず、開始位置SM1から摩擦攪拌を開始し、塑性化領域W21を形成しつつ終了位置EM1まで連続して摩擦攪拌を行う。
続いて、開始位置から終了位置の突合部J1であって、塑性化領域W21に含まれる位置に設定した開始位置SM2(第二の開始位置)に本接合用回転ツールBの攪拌ピンB2を圧入(挿入)し、挿入した攪拌ピンB2を途中で離脱させることなく第二タブ材3に設けた終了位置EM2(第二の終了位置)まで移動させる。すなわち、第二の本接合工程では、開始位置SM2から摩擦攪拌を開始し、塑性化領域W22を形成しつつ終了位置EM2まで連続して摩擦攪拌を行う。なお、開始位置SM1と終了位置EM1とを結ぶ線分と、開始位置SM2と終了位置EM2とを結ぶ線分とが重なるように、各位置が設定されている。そのため、反りの頂上付近で塑性化領域が重なって繋がるため、突合部を確実に高品質な摩擦攪拌接合を行うことができる
次に、図11Aの(a)〜(c)および図11Bの(a)〜(c)を参照して、第二の本接合工程の深さ方向の様子について、より詳細に説明する。
まず、図11Aの(a)に示すように、開始位置SM1の直上に本接合用回転ツールBを位置させ、続いて、本接合用回転ツールBを右回転させつつ下降させて攪拌ピンB2の先端を挿入(圧入)する。
攪拌ピンB2の全体が金属部材1に入り込み、かつ、ショルダ部B1の下端面B11の全面が金属部材1の表面に接触したら、図11Aの(b)に示すように、摩擦攪拌を行いながら本接合用回転ツールBを突合部J1に沿って第一タブ材2に設定した終了位置EM1に向けて相対移動させる。このとき、図11Aの(c)に示すように、縦方向の反りに合わせて階段状に回転ツールBを下げながら、ショルダ部B1の軸線を垂直にした状態で相対移動させる。
本接合用回転ツールBを移動させると、その攪拌ピンB2の周囲にある金属が順次塑性流動化するとともに、攪拌ピンB2から離れた位置では、塑性流動化していた金属が再び硬化して塑性化領域W21(以下、「裏側塑性化領域W21」という。)が形成される。本実施形態においては、第一の本接合工程と第二の本接合工程において同一の本接合用回転ツールBを用いているので、裏側塑性化領域W21の断面積は、表側塑性化領域W1の断面積と同等になる。
なお、ここでは、ショルダ部B1の軸線を垂直にした状態で本接合用回転ツールBを移動させることとしたが、反りの曲率に合わせて鉛直線に対して一定の傾きで前側に傾斜させた状態で行うようにしてもよい。また、傾き方は、ショルダ部B1の軸線を鉛直線に対して進行方向の後ろ側へ僅かに傾斜させてもよい。
また、金属部材1への入熱量が過大になる虞がある場合には、本接合用回転ツールBの周囲に裏面13側から水を供給するなどして冷却することが望ましい。この場合、熱収縮によって生じる可能性のある新たな反りの影響を予め考慮して、本接合用回転ツールBを相対移動させることが望ましい。
突合部J1に対して摩擦攪拌を行う際には、第一の本接合工程で形成された表側塑性化領域W1に本接合用回転ツールBの攪拌ピンB2を入り込ませつつ摩擦攪拌を行う。このようにすると、第一の本接合工程で形成された表側塑性化領域W1の深部が、攪拌ピンB2によって再び摩擦攪拌されることになるので、表側塑性化領域W1の深部に接合欠陥が連続的に形成されていたとしても、当該接合欠陥を分断して不連続にすることが可能となり、ひいては、接合部における気密性や水密性を向上させることが可能となる。
本接合用回転ツールBが終了位置EM1に達したら、本接合用回転ツールBを回転させつつ上昇させて攪拌ピンB2を終了位置EM1から離脱させる(図11Aの(c)参照)。
なお、第一の本接合工程で残置された抜き穴Q1と第二の本接合工程における本接合用回転ツールBの移動ルートとが重なると、塑性流動化した金属が抜き穴Q1に流れ込み、接合欠陥が発生する虞があるので、抜き穴Q1から離れた位置に第二の本接合工程における摩擦攪拌の終了位置EM1(抜き穴Q2)を設けるとともに、抜き穴Q1を避けるように第二の本接合工程における摩擦攪拌のルートを設定し、当該ルートに沿って本接合用回転ツールBの攪拌ピンB2を移動させることが望ましい。
また、第二の本接合工程で用いる本接合用回転ツールBの攪拌ピンB2が第一の本接合工程の抜き穴Q1を通過しない場合であっても、その離隔距離が小さい場合には、塑性流動化した金属が抜き穴Q1に押し出され、接合欠陥が発生する虞があるので、より好適には、第一の本接合工程における摩擦攪拌の終了位置EM1と、第二の本接合工程における本接合用回転ツールBの移動軌跡(本実施形態では終了位置EM1)との平面視での最短距離を、本接合用回転ツールBのショルダ部B1の外径以上にすることが望ましい。
続いて、終了位置EM1から離脱された本接合用回転ツールBは、図11Bの(a)に示すように、開始位置SM2の直上に本接合用回転ツールBを位置させ、続いて、本接合用回転ツールBを右回転させつつ下降させて攪拌ピンB2の先端を挿入(圧入)する。同様に、攪拌ピンB2の全体が金属部材1に入り込み、かつ、ショルダ部B1の下端面B11の全面が金属部材1の表面に接触したら、図11Bの(b)に示すように、摩擦攪拌を行いながら本接合用回転ツールBを突合部J1に沿って第二タブ材3に設定した終了位置EM2に向けて相対移動させる。このとき、図11Bに示すように、縦方向の反りに合わせて階段状に回転ツールBを下げながら、相対移動させる。
本接合用回転ツールBを移動させると、その攪拌ピンB2の周囲にある金属が順次塑性流動化するとともに、攪拌ピンB2から離れた位置では、塑性流動化していた金属が再び硬化して塑性化領域W22(以下、「裏側塑性化領域W22」という。)が形成される。本実施形態においては、第一の本接合工程と第二の本接合工程において同一の本接合用回転ツールBを用いているので、裏側塑性化領域W22の断面積は、表側塑性化領域W1の断面積と同等になる。
そして、本接合用回転ツールBは、終了位置EM2に到達すると、本接合用回転ツールBを回転させつつ上昇させて攪拌ピンB2を終了位置EM1から離脱させ(図11Bの(c)参照)、裏面13側の摩擦攪拌接合が終了する。
なお、本実施形態の如く第一の本接合工程で使用した本接合用回転ツールBを使用して第二の本接合工程を行えば、作業効率が向上してコストの削減を図ることが可能になり、さらには、表側塑性化領域W1の断面積と裏側塑性化領域W2の断面積とが同等になるので、接合部の品質が均質になるが、第一の本接合工程と第二の本接合工程とで異なる形態の本接合用回転ツールを用いても差し支えない。
(7)第二の補修工程 :
第二の補修工程は、第二の本接合工程により金属部材1に形成された裏側塑性化領域W21,22に対して摩擦攪拌を行う工程であり、裏側塑性化領域W21,22に含まれている可能性がある接合欠陥を補修する目的で行われるものである。この第二の補修工程では、第一の補修工程と同様に、本接合用回転ツールBよりも小型の仮接合用回転ツールAを補修用の回転ツールとして用いて摩擦攪拌を行う。以下、ここでも、第二の補修工程で用いる仮接合用回転ツールAを補修用回転ツールAと称して説明することとする。
前記したように、第二の本接合工程では、突合部J1の途中に設定した開始位置からオーバーラップさせてから左右両端に摩擦攪拌を行っている。本接合用回転ツールBを右回転させて摩擦攪拌接合を行った場合には、進行方向の左側に欠陥が発生している可能性が高い。そのため、塑性化領域W21では、進行方向の左側、図12を参照すると、開始位置SN1から終了位置EN1までの摩擦攪拌を行う。
具体的には、補修用回転ツールAを開始位置SN1の上方に位置させた後に、右回転させながら開始位置SN1に挿入し、終了位置EN1まで摩擦攪拌を行う。一方、塑性化領域W22では、塑性化領域W21と同様に、進行方向の左側、図12を参照すると、開始位置SN2から終了位置EN2までの摩擦攪拌を行う。具体的には、補修用回転ツールAを開始位置SN2の上方に位置させた後に、右回転させながら開始位置SN2に挿入し、終了位置EN2まで摩擦攪拌を行う。なお、第二の補修工程でも、突合部J1の途中であって反りの頂上から端部に向かって摩擦攪拌接合を行うが、第二の本接合工程と同様であるため詳細な説明を省略する。
(8)仕上げ工程
最後に、第二の補修工程が終了したら、仕上げ工程に移行する。この仕上げ工程には、第二の予備工程、第二の本接合工程、および、第二の補修工程における摩擦攪拌で発生したバリを除去するバリ除去工程と、第一タブ材2および第二タブ材3を切除するタブ切除工程と、第一タブ材2および第二タブ材3を切除され、バリが除去されている金属部材1に焼きなましを行う焼きなまし工程とが含まれる。第一の本接合工程や第二の本接合工程を経て接合された金属部材1,1の接合体に焼きなまし工程を行って、図13に示すように、金属部材1、第一タブ材2、第二タブ材3に生じていた反りを矯正する。
以上に説明した実施形態によれば、金属部材1,1同士の突合部J1に反りが生じていても接合不良を招くことなく、高品質な摩擦攪拌接合を行うことが可能になる。
なお、この実施形態の歪矯正工程では、焼きなまし工程によって金属部材1,1に残存する反りを矯正するものとしたが、反りを取り除くことができるのであれば、焼きなまし工程に限らない。例えば、ローラ矯正工程によって反りを矯正するようにしてもよい。
また、この実施形態の第二の本接合工程や第二の補修工程では、突合部J1の途中であって反りの頂上から端部に向かって摩擦攪拌接合を行うようにしているが、高さ調整(Z軸調整)は、目視によって行うようにしても、図示しないセンサによって計測した物理量(距離、主軸負荷等)を一定値になるように制御して行うようにしてもよい。また、各回転ツールに掛かる回転負荷が一定になるように反りの湾曲面に合わせて各回転ツールを下げつつ摩擦攪拌接合を行うようにしてもよい。
また、回転ツールのショルダ部が塑性流動化した突合部から離れていくに従って、回転ツール(攪拌ピン)の遠心力等によって塑性流動化している金属が外周に硬化して付着することでバリとして成長していく量が増えることに着目して、バリの量を一定に維持するように回転ツールの高さを下げるように調節するようにしてもよい。この場合でも、摩擦攪拌の深さを一定値に維持できるため、接合箇所の厚み不足(接合不良)を招くことなく、高品質な摩擦攪拌接合を行うことができる。
また、第二の本接合工程や第二の補修工程の各工程前に、超音波検査等によって、反りの状態を計測しておき、摩擦攪拌の開始位置から終了位置までに相対移動する間に、その高度差分だけ徐々に(連続的に)回転ツールを下げるようにしてもよい。
なお、この実施形態の第二の補修工程では、幅方向(横方向)に2本の塑性化領域が形成されるように、摩擦攪拌を行う場合を示したが、3本以上の塑性化領域が形成されるように、さらに小型の回転ツールを用いて摩擦攪拌を行うようにしてもよい。また、同一条の塑性化領域には、回転ツールが複数回通過するようにすることが好ましい。