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JP4884044B2 - 摩擦攪拌接合工具及びこれを用いた接合方法 - Google Patents
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JP4884044B2 - 摩擦攪拌接合工具及びこれを用いた接合方法 - Google Patents

摩擦攪拌接合工具及びこれを用いた接合方法 Download PDF

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Description

本発明は、金属材同士の溶接に用いる工具に関し、例えばアルミニウム材や鋼材、それらの合金材、MMC材(金属基複合材)等の金属材を接合一体化する際に用いられる摩擦撹拌接合工具及びこれ用いた接合方法に関する。
従来のイナートガスを用いたアーク溶接手法に代わる金属材料の接合方法としては、摩擦圧接法、レーザー溶接法、機械的接合法、接着法等があるが、これらは施工性や信頼性の面、あるいは装置コストが高い等の理由から、各接合法が適用される分野が制限されているのが現状である。
特に、摩擦圧接法は、古くから利用されている技術であり、接合する被接合材を相対的に高速回転させて、被接合材の接合面同士を擦り合わせて、接合面から発生した摩擦熱で接合面が融点に達した時点で、さらに被接合材同士を押し付けて、回転させながら接合する方法である。この技術は、例えば、金属バットのグリップの接合などにおいて実用化されている。しかしながら、この摩擦圧接法は、材料の形状が円柱や円筒管などの柱形状や中空形状など、比較的接合面積の狭い被接合材に限られており、接合面積が広いもしくは長い被接合材の接合には適用しにくいという課題を有していた。
ところで、近年、上述の摩擦圧接法と同様に、被接合材から発生する摩擦熱を利用して接合する方法として摩擦攪拌接合法がある。
摩擦撹拌接合は、良好な接合部を得るために、接合部の摩擦撹拌によって塑性流動する被接合材の撹拌効率を向上させることが重要である。また、接合部に発生する被接合材のバリの発生および肉盛り部の形成を抑制し、接合後の接合部内に発生する欠陥(空隙)を防止するために、塑性流動する被接合材を塑性流動領域の内部へ押し込む作用が必要とされている。さらに、被接合材が鉄、ステンレスなどの難接合材の接合に適用できる摩擦撹拌接合工具も要求されている。また、摩擦撹拌接合工具のピンの破損防止、耐摩耗性の向上など長寿命化に対する要求もある。
ここで、前記の課題を解決する手段として、図9(a)〜(d)に示すように、軸心回りに回転させる略円柱状の本体22の先端に、被接合材に差し込まれる円柱状のピン21を設けており、ピン21の外周面にピン21の軸方向の少なくとも一部にわたって、凸条31または凹部溝32をらせん状に設けた摩擦撹拌接合工具210が提案されている。これら摩擦撹拌接合工具210によると、凸条31および凹部溝32の回りの被接合材の塑性流動を効率的に発生させることができるとともに、接合部分の表面付近よりも、内部の塑性流動を大きくできるとされている。このことから、接合部分における被接合材の材料組織を均一に攪拌し、安定して均質な接合組織を得られるとされている。さらに、被接合材の表面の酸化被膜が塑性流動領域の内部に巻き込まれたとしても、上述のような効果的な塑性流動により酸化被膜は微細に分断され、接合部分に及ぼす酸化被膜の影響もほとんど無いとされている(特許文献1参照)。
また、図10(a)、(b)に示すように、本体22の先端に、円柱状のピン21が同心に設けられており、本体の端面25に渦巻状溝(不図示)を形成し、さらに、渦巻状溝(不図示)の深さはピン21に近づくほど浅く形成する摩擦撹拌接合用工具220が提案されている。この摩擦撹拌接合用工具220によると、渦巻状溝(不図示)の効果により、塑性流動領域の内部へ塑性流動する被接合材を押し込む作用が増大でき、接合部の欠陥(空隙)の発生を防止できるとされている。さらに、ピン21の外周面にも、らせん状溝34を形成することにより、塑性流動領域の内部へ塑性流動する被接合材を押し込む作用をさらに増大できるとされている(特許文献2参照)。
さらに、図11(a)、(b)に示すように、被接合材に差し込まれるピン21の先端に、傾斜面35を有し、さらに好ましくは、ピン21の先端面に凹凸などの突起形状(不図示)を設けた摩擦撹拌接合工具230が提案されている。従来、平面上の治具(不図示)に配置された被接合材を接合する際に、摩擦撹拌接合用工具230のピン21の先端と治具との間に間隔が生じ、この間隔の間では、塑性流動が生じない部分となっていた。このために、ビード裏側の被接合材の突合せ面が接合されずに残る課題があったが、この摩擦撹拌接合工具230によると、治具とピン21との間隔にも塑性流動を発生させることが可能となり、ビード裏側の突合せ面の未接合部が残らないとされている(特許文献3参照)。
さらにまた、図12に示すように、本体22の端面25にピン21を取り巻く態様で渦巻状溝33が形成されるとともに、ピン21の外周面に、ピン21の軸方向に延びた縦溝36が設けられている摩擦撹拌接合用工具240が提案されている。この摩擦撹拌接合用工具240によると、ピン21による撹拌力を向上させることが可能となり、接合速度の高速化が可能になるとされている(特許文献4参照)。
特開H10−249551号公報 特開2003−48083号公報 特開2000−153374号公報 特開2004−141897号公報
しかしながら、特許文献1に記載の摩擦撹拌接合用工具210では、ピン21の凹部溝32は、その溝幅が0.5〜1.0mm、溝深さが0.1〜0.8mm程度に設定されているが、溝幅を狭く設定した場合、溝深さを広く設定したとしても、被接合材の撹拌時において、この凹部溝32に被接合材の材料が詰まり、撹拌効率が低下するといった課題が生じる。また、凹部溝32の溝幅、溝深さを広く設定すると、ピン21の機械的強度が低下し、撹拌途中にピン21が破損するといった課題が生じる。また、凸条31は、凸条幅0.5〜1.3mm、凸条高さ0.1〜0.8mmと設定されているが、加工時に発生する摩擦熱によって凸条31の変形が発生したり、凸部31自体が欠けるといった課題が生じる。さらに、凸条31は被接合材に差し込む際にも欠けるといった課題が生じる。
さらに、特許文献2に記載の摩擦撹拌接合用工具220では、ピン21のらせん状溝34の底面に応力集中が発生し、撹拌途中のピン21が破損しやすいという課題があった。また、渦巻状溝において塑性流動領域の内部へ塑性流動する被接合材を押し込む作用が増大できたとしても、ピン21のらせん状溝34は、ピン21の近傍のみの撹拌効率を向上させるに止まるため、深さ方向への撹拌効率の向上を図ることができないといった課題が生じる。
また、さらに、特許文献3では、傾斜面35は、本体22を回転させることによって、回転軸中心に概略円錐形状の空間が発生するため、撹拌効果が不足するといった課題があった。また、ピン21の端面の突起や溝は、ピン21の挿入時において被接合材が予熱前の時点では、突起や溝部のエッジが非常に破損しやすく、鉄、ステンレスなどの高硬度の難接合材では、特にその傾向が強いという課題があった。
また、特許文献4では、ピン21の縦溝36は、4〜8mm、さらに曲率半径4〜16mmが好ましい範囲として設定されているが、縦溝36の形状が大きすぎるために、被接合材の撹拌中にピン21に応力が集中し破損しやすく、工具寿命が短いといった課題が生じている。
前記課題を解決するため、本発明の摩擦攪拌接合工具は、円柱状の本体と、該本体の先端に本体と略同軸に設けられた円柱状のピンとを有する摩擦攪拌接合用工具において、前記ピンの外周面は、前記外周面の周回方向に沿って曲面をなす周縁部と、該周縁部を前記周回方向に延長した仮想周縁よりも前記軸側に配されるように前記周縁部に接続する少なくとも1つ以上の三角形又は四角形の平面部と、該平面部に略直角の角度を成して前記軸より離間する方向に連続するとともに前記周縁部に接続する前記平面部の面積より小さい小面部とを有することを特徴とする。
また、前記ピンは、先端に向けて先細り状であることを特徴とする。
さらに、前記ピンは、窒化珪素質焼結体から成ることを特徴とする。
またさらに、前記ピンは、炭化硼素質焼結体から成ることを特徴とする。
さらにまた、前記ピンは、前記小面部から前記平面部へ向かって回転可能であることを特徴とする。
また、前記平面部および小面部は、3個以上設けられたことを特徴とする。また、前記平面部は、四角形であり、前記小面部は、前記四角形の平面部の2辺にわたり連続するように形成されていることを特徴とする。また、前記平面部は、前記本体側の上底が短く、前記本体と反対側の下底が長い台形状であることを特徴とする。また、前記平面部は、三角形であり、前記平面部と前記小面部との稜線は、曲線状であることを特徴とする。
本発明の接合方法は、前記摩擦撹拌接合用工具を用いることを特徴とする。
本発明の摩擦撹拌接合工具によれば、ピンの外周面に少なくとも1つ以上の三角形または四角形の平面部を有し、該平面部に略直角の角度を成して連続する小面部を有することから、被接合材の接合部に発生するバリを抑制することによって、接合部における材料減肉が無いため、接合部の欠陥(空隙)の発生しない被接合体を得ることができる。さらに、ピンの外周面に螺旋状の溝などが無いため、被接合材の撹拌において、ピンへの応力集中が少なくピン1が破損(折損)しにくいため長寿命化を図ることができる。
また、平面部および小面部は、塑性流動を塑性流動領域の内部へ押し込む効果を有しているため、より均質な安定した塑性流動を発生させ効率の高い接合を行うことができる。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
図1(a)、(b)は、本発明の摩擦撹拌接合用工具の一実施形態を示す工具の先端部分を示す斜視図である。
本発明の摩擦撹拌接合用工具100は、その軸心回りに回転させる円柱状の本体2と、本体2の先端に、本体2と同心に被接合材に差し込まれる円柱状のピン1を有してなる
なお、ピン1は、本体2の先端面5に形成されており、本体2とピン1とは軸を略同一として成るものである。接合時には本体2を装置にチャッキングして回転させられるため、ピン1と本体2との同軸度が略同一であると、本体2の回転に伴うピン1の回転にブレが生じず、被接合材に差し込む際にピン1の破損を防止することができる。また、接合時の回転による被接合材との摩擦、被接合材の塑性流動との応力によって、ピン1が本体2から折れることを防止するために、ピン1と本体2は接合体でない一体型であることが好ましい。
本発明の摩擦撹拌接合工具100は、図1(a)に示すようにピン1の外周面に複数の三角形状の平面部3、図1(b)に示すように四角形の平面部3を有し、各平面部3には略直角の角度を成して軸に離間する方向に連続する小面部4を有することが重要である。
この理由を図2(a)〜(c)に示す接合時に発生する被接合材の塑性流動と摩擦撹拌接合工具100の関係を用いて説明する。
接合時には摩擦撹拌接合用工具100は、図2中ω方向に回転しながら被接合材500の端面同士の突合せ面7付近にピン1を差し込むことにより、ピン1および本体2の端面5との摩擦熱を生じさせ、この摩擦熱により被接合材500に塑性流動8を発生させる。なお、図2中の塑性流動8は模式的にその方向を矢印で表した。
次に、工具100を回転させつつ図2中X方向に移動させ、被接合材500の突合せ面7を中心とした部分に接合部10を形成しながら被接合材500を接合する。
この時、ピン1に形成された小面部4は平面部3に略直角に連続して形成されているため、平面部3と本体2の端面5とで形成された空間に流動してきた被接合材500の塑性流動8が小面部4により押し返され、塑性流動領域9の内部へ押し込む効果を成す。つまり、接合時に本体2の端面5も被接合材500に押し込まれるため、被接合材500には本体2の端面5による押し圧が作用することになる。そのため、塑性流動8の状態になった被接合材500の一部は、本体2の端面5により上方に押し出されるが、本発明の摩擦撹拌接合工具100では、小面部4により下向きの塑性流動8を発生させることができ、本体2の端面5により押し圧を受け、上方に押し出されようとする被接合材500を塑性流動領域9の内部に押し込むことができる。また、上方に押し出された被接合材500は、接合部10の周囲にバリや盛り肉部として残り、接合後の接合部10は厚みが減少し材料減肉となる。しかし、本発明の摩擦撹拌接合工具100を用いることにより、上述の通り、被接合材500の上方への押し出しを抑制するために、得られる被接合材500の接合部10付近に発生するバリや盛り肉部を抑制することができる。
さらに、小面部4は、塑性流動する被接合材500の撹拌効率を向上させるため接合強度の向上を図ることができる。
なお、本発明における平面部3と小面部4の成す角度が略直角とは、両者の成す角度αが80〜120°であることを示し、さらには、この角度αは、80〜100°の範囲とすることが好ましく、これにより、上述の塑性流動8の押し返し作用をより効率的に得ることができる。角度αが80度よりも小さいと、平面部3による塑性流動8の小面部4に対向させる効果が低下するからであり、100度より大きいと、小面部4による塑性流動8を塑性流動領域9の内部へ押し込む効果が低下するからである。
また、平面部3は、図2(b)に示すように、ピン1の外周に沿って発生する塑性流動8を小面部4に対向させる作用を成し、小面部4による塑性流動8の効率をさらに向上させることができる。したがって、本発明の摩擦撹拌接合工具100は、平面部3と小面部4の組合せにより塑性流動8の効率をより向上させるとともに、小面部4の効果によりバリの少ない接合部10を得ることが可能となり、さらには接合部10における材料減肉が発生していないため、接合部10の欠陥(空隙)の発生しない被接合体500を得ることができる。さらに、ピン1の外周面に螺旋状の溝などが無いため、被接合材500の撹拌において、ピン1への応力集中が少なく、ピン1が破損(折損)しにくいため、長寿命化を図ることができる。
これに対して、図2(c)に示すようなピン1の外周面に平面部3と小面部4との成す角度が80°未満の小さなものとした場合には、平面部3はピン1の外周に沿って発生する塑性流動8を小面部4に誘導させる作用を成すことができず、塑性流動領域9が小さくなり、撹拌効率が低下するため、接合強度の高い被接合体500を得ることが困難になる。
また、図3に示すように、ピン1の先端面の周縁の曲線の割合、即ち図3における太線Aの割合は、ピン1先端の仮想周縁、即ち図3における破線とそれに連続する太線で示される円相当の周縁Bに対して40〜60%の範囲で形成されることが好ましい。
これは、太線の割合が40%よりも小さくなると、ピン1を被接合材に差し込むときの抵抗が大きくなり、ピン1の周縁の摩擦摩耗が大きくなったり、周縁に割れ、チッピングが生じやすい。一方、60%よりも大きくなると、必然的に平面部3の面積が小さくなり、平面部3および小面部4による塑性流動8を塑性流動領域9の内部へ押し込む効果が低下する。
さらに、ピン1の外周面に形成する平面部3の数は2〜4個であることが好ましい。平面部3の数が1個の場合、平面部3および小面部4による塑性流動8を塑性流動領域9の内部へ押し込む効果が低下するからである。また、平面部3の数が4個よりも多くなると、各々の平面部3の面積が減少し平面部3による塑性流動8の小面部4に対向させる効果が低下するからであり、ピン1先端の周縁の曲線の割合が小さくなり、ピン1を被接合材に差し込むときの抵抗が大きくなり、ピン1の周縁の摩擦摩耗が大きくなったり、周縁に割れ、チッピングが生じやすくなる。
特に好ましくは、平面部3の数が3個の場合で、ピン1の摩擦摩耗や割れ、チッピングなど機械的特性の低下を防止しつつ、塑性流動8を塑性流動領域9の内部へ押し込む効果が最大限に得ることができる。
また、ピン1の外周面に形成する平面部3は三角形である場合、図4(a)に示すように平面部3と小面部4との稜線が曲線状であることが好ましい。図4(b)は同図(a)の摩擦撹拌接合工具100を用いた場合の塑性流動8の様子を模式的に示すものであり、曲線状の稜線により小面部4の形状に沿ってスムーズに塑性流動8を生じることが可能となるため、塑性流動8する被接合材500を塑性流動領域9の内部へ押し込む作用を増大させることができ、これにより被接合材500のバリの発生をさらに抑制することができとともに接合部10における材料減肉が無いため、接合部10内の欠陥(空隙)の発生を防止することができ、良好な接合部10を得ることができる。また、小面部4におけるピンの端面と対向する頂角が大きくなり、小面部4のほぼ全領域にわたって塑性流動8が効果的に対向することになるため、塑性流動領域9の内部へ押し込む効果を増大させることができる。これに対し、図4(c)では、小面部4の稜線が直線となっており三角形の本体側の端面5側の頂点部では急激に塑性流動8の方向が下方向に変化させられる。そのため、図4(c)の形状でも下方向の塑性流動8は発生するが、図4(b)と比較して一部の塑性流動8が下方向に流動しないため、内部へ押し込む効果が劣ってしまう。
なお、三角形である平面部3は角部が曲線状であっても構わない。
次いで、本発明の摩擦撹拌接合工具100のピン1の外周面に形成する平面部3が四角形である場合について、図5、図6を用いて説明する。
図5(a)は小面部4が四角形の平面部3の2辺にわたり連続するように形成されたものであり、同図(b)は小面部4が四角形の平面部3の1辺のみに連続するように形成されたものである。これら摩擦撹拌接合工具100を用いて接合する際の塑性流動8を、それぞれ図6(a)、(b)に示す。図6(a)は、小面部4が平面部3の四角形の2辺にわたって連続するように形成されているため、ピン1の端面と対向する小面部4により上向きの塑性流動8を有効に抑えることが可能になる。また、図6(b)に示すように、小面部4が平面部3の四角形の1辺にのみ連続するように形成されている場合、小面部4の下部では塑性流動8する被接合材500を塑性流動領域9の内部へ押し込む作用を増大させることは可能であるが、小面部4の上部では上向きの塑性流動8が発生することがあり、さらに本体2の端面5の回転によって、被接合材500の表面部では逆方向の塑性流動8が発生することがある。したがって、平面部3が四角形の小面部4と平面部3の四角形の2辺にわたって連続するように形成されていることがより好ましい。
なお、四角形である平面部3は、ピン1側の下底が長く、本体2の端面5側の上底が短い台形状であっても、角部が曲線状であっても構わない。
また、本発明の摩擦撹拌接合工具100は、図7(a)、(b)に示すように、ピン1が先端に向けて先細りであることが好ましい。この場合、被接合材への挿入時にピン1への抵抗が軽減されるため、破損を防止することができる。さらには、ピン1と本体2との境界への応力集中が緩和でき、ピン1の破損、折損をより確実に防止することができる。またピン1が先細り形状になることからピン1自体の体積が小さくなることによって、塑性流動領域9の体積を大きくすることができ、接合効率を向上させることができるとともに、塑性流動領域9の体積をより大きくすることができるため、被接合材500の表面酸化物の粉砕と分散が可能となり接合部10に及ぼす酸化被膜の影響を少なくすることができる。
また、本発明の摩擦攪拌接合工具100は、窒化珪素質焼結体、炭化硼素質焼結体、アルミナ質焼結体、炭化珪素質焼結体等のセラミックスにて形成されていることが好ましく、これによりピン1および本体2の端面5の耐摩耗性が向上し、長寿命となる。また、セラミックスは耐熱性が非常に高いため、より高負荷条件での使用に耐える他、高硬度のため、鋼材、ステンレス合金、チタン合金、MMCなどの難接合材の接合に適用できるため、より多くの種類に適用できる。このセラミックスのうち、特に窒化珪素質焼結体が好ましく、アルミナ質焼結体や炭化珪素質焼結体と比較して高温強度が高いため、摩擦熱による接合を行う摩擦撹拌接合工具100の材料としては好適である。また、圧縮強度が約4000MPa、3点曲げ強度も約1000MPaと機械的特性にも優れているので、高負荷の接合用として好適である。さらに、見掛密度が小さいために、本体2を高回転させる際に、装置自体への負荷を低減することができ、熱伝導率も約15〜30W/m・Kと、従来より摩擦攪拌接合工具として使用されてきたダイス鋼、ハイス鋼、ステンレス鋼の熱伝導率とほぼ同等のため、加工条件を大きく変更する必要が無い。
また、炭化硼素質焼結体は、ビッカース硬度で約50GPaの高硬度を有し、耐摩耗性に優れていること、さらに、融点が2350〜2470℃で高融点であることから、より難接合材料に用いることができる。
次いで、上述のような摩擦撹拌接合工具100を用いた接合方法について図8(a)、(b)を用いて詳細を説明する。
図8(a)は、被接合材500の端面同士を突き合わせた突合せ面7を中心に接合する場合の模式図を示し、同図(b)は、被接合材500の端部を重ねた重ね部6を中心に接合する場合の模式図を示す。
先ず、準備した被接合材500の突き合せ面7付近もしくは重ね部6に、工具100を回転させながらピン1を埋め込む。ここで、工具100の回転方向ωはピン1に設けた小面部4が回転方向に対向するように設定し、さらに本体2は被接合材500に対して相対的に移動させる。この接合方法によると、回転するピンの外周面に設けた四角形または三角形の平面部3と該平面部と連続した小面部4の作用によって、下向きの塑性流動を発生させることができるため、均質な接合組織が安定して形成されるとともに、接合部10の周囲にバリや盛り肉部が少ない高品質の接合部を得ることができる。
なお、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能であることは言うまでもない。
(a)、(b)は本発明の摩擦撹拌接合工具の一実施形態を示す部分斜視図であり、(a)は小面部が三角形であり、(b)は小面部が四角形である実施形態を示す。 (a)は本発明の摩擦撹拌接合工具を用いて被接合材を接合する状態を示す概念図であり、(b)は同図(a)の接合時の様子を接合部の上面から見た概念図であり、(c)は従来の実施形態の摩擦撹拌接合工具を用いた接合時の様子を接合部の上面から見た概念図である。 図1(a)の摩擦撹拌接合工具のピンの先端面から見た平面図を示す。 (a)は本発明の摩擦撹拌接合工具の別の実施形態を示す部分斜視図であり、(b)、(c)は同図(a)の種々の摩擦撹拌接合工具を用いた接合時の様子を示す概念図である。 (a)、(b)は本発明の摩擦撹拌接合工具の種々の実施形態を示す部分斜視図である。 (a)は図5(a)の摩擦撹拌接合工具を用いた接合時の様子を示す概念図であり、(b)は図5(b)の摩擦撹拌接合工具を用いた接合時の様子を示す概念図である。 (a)、(b)は本発明の摩擦撹拌接合工具のさらに別の実施形態を示す部分斜視図である。 (a)、(b)は本発明の摩擦撹拌接合用工具を用いた接合方法を説明するための概念図である。 (a)、(b)は従来の摩擦撹拌接合工具を示す平面図であり、(c)(d)は同図(a)、(b)をHの方向から見た平面図である。 (a)は従来の摩擦撹拌接合工具の別の例を示す平面図であり、(b)は同図(a)をIの方向から見た平面図である。 (a)は従来の摩擦撹拌接合工具のさらに別の例を示す平面図であり、(b)は同図(a)をJの方向から見た平面図である。 (a)は従来の摩擦撹拌接合工具のまたさらに別の例を示す平面図であり、(b)、(c)は同図(a)をLの方向から見た平面図である。
符号の説明
100、210、220、230、240:摩擦撹拌接合工具
1、21:ピン
2、22:本体
3:平面部
4:小面部
5、25:端面
6:重ね部
7:突合せ面
8:塑性流動
9:塑性流動領域
10:接合部
31:凸部
32:凹部溝
33:渦巻状溝
34:らせん状溝
35:傾斜面
36:縦溝
500:被接合材

Claims (10)

  1. 円柱状の本体と、該本体の先端に本体と略同軸に設けられた円柱状のピンとを有する摩擦攪拌接合用工具において、
    前記ピンの外周面は、前記外周面の周回方向に沿って曲面をなす周縁部と、該周縁部を前記周回方向に延長した仮想周縁よりも前記軸側に配されるように前記周縁部に接続する少なくとも1つ以上の三角形又は四角形の平面部と、該平面部に略直角の角度を成して前記軸より離間する方向に連続するとともに前記周縁部に接続する前記平面部の面積より小さい小面部とを有することを特徴とする摩擦撹拌接合用工具。
  2. 前記ピンは、先端に向けて先細り状であることを特徴とする請求項1に記載の摩擦攪拌接合用工具。
  3. 前記ピンは、窒化珪素質焼結体から成ることを特徴とする請求項1または2に記載の摩擦攪拌接合用工具。
  4. 前記ピンは、炭化硼素質焼結体から成ることを特徴とする請求項1または2に記載の摩擦攪拌接合用工具。
  5. 前記ピンは、前記小面部から前記平面部へ向かって回転可能であることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の摩擦攪拌接合用工具。
  6. 前記平面部および小面部は、3個以上設けられたことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の摩擦攪拌接合用工具。
  7. 前記平面部は、四角形であり、
    前記小面部は、前記四角形の平面部の2辺にわたり連続するように形成されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の摩擦攪拌接合用工具。
  8. 前記平面部は、前記本体側の上底が短く、前記本体と反対側の下底が長い台形状であることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の摩擦攪拌接合用工具。
  9. 前記平面部は、三角形であり、
    前記平面部と前記小面部との稜線は、曲線状であることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の摩擦攪拌接合用工具。
  10. 前記請求項1乃至9の何れかに記載の摩擦撹拌接合工具を用いて、接合を行うことを特徴とする接合方法。
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