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JP4884954B2 - カチオン可染性複合繊維、およびそれを含む繊維製品 - Google Patents
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カチオン可染性複合繊維、およびそれを含む繊維製品 Download PDF

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本発明は、カチオン染料に対する染色性、および強伸度特性に優れ、かつソフト風合いを有する複合繊維と、同複合繊維を含んだ繊維製品に関する。
従来、エンブロイダリーレース分野においては種々の異なる素材が使用されている。例えば、刺繍糸は主にレーヨン又は綿が使用され、刺繍の裏糸であるコップ糸には主にナイロンが使用されている。そして刺繍の基布となるチュールレース、オーガンジーにはナイロンや絹が使用されてきた。
エンブロイダリーレース分野においては前記のように種々の繊維素材が混用されているため、染色に当っては、常圧染色が必須であるとともに、それぞれの繊維に先染工程が必要であり、染色工程が複雑であるといった問題があった。前記問題点を改善すべく、常圧染色が可能で、かつ鮮明性に優れたカチオン染料可染性ポリエステル繊維を刺繍糸、基布のすべてに使用することが試みられ、刺繍工程後の一段階染色、および鮮明性に優れたエンブロイダリー製品の要求が高まっている。
例えば、特開平06−166910号公報(特許文献1)には、穴あき対策として主たる繰り返し単位がポリエチレンテレフタレートから構成され、5−ナトリウムスルホイソフタル酸1.5〜3.5mol%及びアジピン酸2.0〜7.0mol%が共重合された改質ポリエステルを鞘部に、95mol%以上がポリエチレンテレフタレートであるポリエステルを芯部に配し、繊維断面に占める芯部と鞘部との面積比が4/1〜1/4の範囲であり、繊度3デニール以下、破断強度(DS)が4.0g/デニール以上、破断伸度(DE)が30%以上のエンブロイダリー用ポリエステル繊維が記載されている。
また、特開昭59−30912号公報(特許文献2)には、より高強度でかつ常圧可染性を得るための対策として、85mol%以上がエチレンテレフタレート単位であり、3〜6mol%のエチレン−5−ナトリウムスルホイソフタレート単位を有するポリエステルを鞘成分とし、ポリアミドを芯成分とする複合繊維が記載されている。
しかしながら、従来のカチオン染料可染性ポリエステル繊維は、通常のポリエステル繊維と比較して強伸度特性が低く、刺繍工程時で刺繍糸の進入に対して基布が耐え切れずに破断しやすく、穴あきが多発し、工程通過性、および商品性に問題が発生した。
特開平06−166910号公報 特開昭59−30912号公報
本発明の目的は、常圧染色が可能で、鮮やかな染色性を示し、さらに高い強伸度特性を示す、ソフトな風合いを有するカチオン可染性複合繊維を提供するとともに、同繊維を含むエンブロイダリーレース等の繊維製品を提供することにある。
本発明の第1の要旨は、主たる繰り返し単位がポリエチレンテレフタレートから構成され、ジカルボン酸成分として5−ナトリウムスルホイソフタル酸単位が1〜3mol%及びアジピン酸単位が3〜10mol%含まれる変性ポリエステルを鞘部に配し、芯部にポリアミドを配した、芯部/鞘部の体積比が1/1〜4/1のカチオン可染性複合繊維であって、破断強度(DS)が4cN/dtex以上、破断伸度(DE)が40%以上、かつDS×(DE)1/2が27以上であるカチオン可染性複合繊維にある。
また、第2の要旨は、前記カチオン可染性複合繊維を含む繊維製品にある。
本発明は、カチオン染料可染性で、常圧染色が可能であり、かつ強伸度特性が向上したカチオン可染性複合繊維であり、前記カチオン可染性複合繊維を用いた水着、スポーツインナー、ランジェリー、ファンデーション等の繊維製品は、鮮やかな染色性と良好な強伸度特性、およびソフト風合いを有したものとなる。特に、前記繊維を用いたエンブロイダリーレースは、刺繍工程での穴あきの発生がなく、かつ染め品位も良好な製品となる。さらに、刺繍糸と基布の両方をカチオン可染性とすることにより、刺繍工程後の一段階染色も可能となる。
以下、本発明の複合繊維について詳細に説明する。
本発明によるカチオン可染性複合繊維、破断強度(以下、DSと標記)が4cN/dtex以上、破断伸度(以下、DEと標記)が40%以上、DS×(DE)1/2が27以上である強伸度特性を有しており、DSが4cN/dtex未満である場合や、DEが40%未満である場合、さらに、DS×(DE)1/2が27未満である場合は、刺繍工程で繊維の進入に対する摩擦力に、繊維が耐え切れず、得られるエンブロイダリーレースに穴あきが発生する
本発明において、カチオン可染性複合繊維の鞘部に配する変性ポリエステルは、カチオン染料で染色可能であり、かつ常圧可染性を示すものであり、主たる繰り返し単位がポリエチレンテレフタレートから構成され、ジカルボン酸成分として5−ナトリウムスルホイソフタル酸単位が1〜3mol%及びアジピン酸単位が3〜10mol%共重合されて含まれるものである。
5−ナトリウムスルホイソフタル酸が1〜3mol%の範囲でのアジピン酸の共重合量について、3mol%未満であると、常圧染色における染色性が低下する。10mol%を超えると、融点が低下し、加工工程での200℃程度の熱セットに耐えられなくなり、穴あきが発生する。
また、固有粘度については、0.46〜0.63程度が好ましく、0.46未満での場合は、芯成分との粘度差が大きくなり過ぎ、均一な芯鞘複合断面が安定して得られ難くなる。固有粘度が0.63を超えると、5−ナトリウムスルホイソフタル酸の増粘作用により溶融粘度が高くなり過ぎて、製糸性が悪化する。
芯部に配するポリアミドとしては、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン4、ナイロン7、ナイロン11、ナイロン12等従来から知られているものが利用可能である。中でも、汎用性からナイロン6が好ましい。また、ナイロン6とナイロン66、あるいは、ナイロン6とナイロン12等の共重合ポリアミドも利用可能である。
芯鞘型繊維断面に対する芯/鞘の体積比は、1/1から4/1の範囲にする必要がある。芯/鞘の体積比が1/1より低下すると、繊維の強伸度特性が低下し、刺繍工程での穴あきが発生する。逆に、芯/鞘の体積比が4/1を超えると、均一な芯鞘複合断面を安定して得られ難くなり、また、繊維の常圧カチオン可染性が低下する。
次に、本発明のカチオン可染性複合繊維の製造方法ついて、一例を挙げて詳細に説明する。まず、紡糸については、主たる繰り返し単位がポリエチレンテレフタレートから構成され、ジカルボン酸成分として5−ナトリウムスルホイソフタル酸が1〜3mol%、及びアジピン酸が3〜10mol%共重合された変性ポリエステルを鞘部に配し、ポリアミドを芯部に配し、芯部/鞘部の体積比が1/1から4/1の芯鞘型の複合繊維とする。
次いで、延撚機を用い、未延伸糸を次のように延伸することで得られる。まず、第1段延伸域での延伸倍率は、糸がたるまない程度の倍率である、1倍を超え、1.2倍未満の範囲とする。次に、60〜90℃に加熱した第1段延伸域の引取ローラーで加熱して第2延伸域で最大延伸倍率(以下 MDRと標記)の0.6倍を超え、0.8倍未満の範囲の倍率で延伸し、100〜170℃に加熱した第2延伸域の熱板で熱セットをする。
第1段延伸域の延伸倍率が、1倍以下であると、糸弛みが発生して、ローラーへの巻き付きが発生する。また、1.2倍以上であると、延伸斑が発生して染色後の品位が低下する。
第1段延伸域の引取ロ−ラ−の表面温度は、ポリマーのガラス転移温度が比較的高い鞘成分のポリエステルのガラス転移温度〜(ガラス転移温度+30℃)までの範囲、すなわち、60℃以上、90℃以下程度とする。第1段延伸域の引取ロ−ラ−の表面温度が前記範囲を外れると、延伸斑が発生して染色後の品位が低下する。
第2段延伸域の延伸倍率がMDRの0.6倍以下であると、繊維のDSが過度に低下し、DSが4cN/dtex以上を維持できない。逆に、MDRの0.8倍以上であると、繊維のDEが過度に低下し、DEが40%以上を維持できなくなる。
第2段延伸域の熱板の表面温度は、100〜170℃が好ましい。100℃未満であると繊維の収縮率が高くなり、織編物の風合いが硬くなりやすい。170℃を超えると、延撚工程において、糸切れが発生しやすくなる。
また、本発明のカチオン可染性複合繊維を含む水着、スポーツインナー、ランジェリー、ファンデーション、エンブロイダリーレース等の繊維製品は、本発明のカチオン可染性複合繊維を単独で用いても、また他繊維を含んでいても良いが、エンブロイダリーレースの基布については、基布の穴あきを少なく、染め品位を良好にするためには、エンブロイダリーレースを構成する基布中に本発明のカチオン可染性複合繊維を、50質量%以上含んでいることが好ましい。
さらに、本発明のカチオン可染性複合繊維を使用した基布と、他のカチオン可染性繊維を用いた刺繍糸との組み合わせにより、刺繍工程後の一段階染色も可能となる。
以下、実施例1〜6、及び比較例1〜3を挙げて本発明を具体的に説明する。なお各評価は以下の方法に従った。
(変性ポリエステルの固有粘度[η])
ポリマー0.25gを粉砕し、フェノール/テトラクロルエタン(50/50)の混合溶媒50mlに溶解させ、25℃に温調した自動粘度計(サン電子工業株式会社製、製品名:AVL−4型)で測定した。なお、計算式は以下の通りである。
[η]={(1+1.04ηsp)1/2−1}/0.26
(ナイロンの溶融粘度(Pa・秒))
ポリマーを窒素雰囲気下で、温度280℃で溶融させ、シェアレート2.43×10−1としたときの溶融粘度をキャピログラフ(株式会社東洋精機製作所製、製品名:キャピログラフ1B)を用いて、測定を3回行い、平均値を溶融粘度とした。
(ポリマーの融点)
セイコー電子工業社製DSC220を用いて、昇温速度10℃/分で測定した。
(繊維の破断強度(DS)、および破断伸度(DE))
島津製作所製オートグラフSD−100−Cを用いて、試長200mm、引張速度200mm/分で応力伸長曲線を測定し、繊維の破断点の強度および伸度を求めた。
(カチオン染色による染色性評価)
カチオン染料(保土ケ谷化学株式会社製、製品名:AIZEN CATHILON MARINEBLUE GPLH)を濃度1.5%owf、温度98℃で、60分間染色を施し、鮮明性、均染性に優れるものを、○○、○、×の順で3段階に評価した。
以下実施例により本発明を説明する。
(実施例1)
ナイロン6(融点224℃、溶融粘度170Pa・秒)を260℃に溶融し、5−ナトリウムスルホイソフタル酸(以下 DMSと標記する)を2.25mol%、及びアジピン酸(以下 ADEと標記する)5mol%を共重合した融点242℃、固有粘度0.55の変性ポリエステルを280℃に溶融した後に、芯部にナイロン6を配し、鞘部に変性ポリエステルを配して芯部/鞘部=2/1(体積比)とし、紡糸温度280℃、巻取速度1400m/分にて芯鞘型複合紡糸を行なって未延伸糸を得た。次いで下記条件で延伸し、40dtex/16fの延伸糸を得た。得られた延伸糸の強伸度特性は、DS4.16cN/dtex、DE47.6%、DS×(DE)1/2 =28.7であり、カチオン可染性繊維としては非常に高いレベルであり、かつエンブロイダリー基布用としても充分なレベルであった。
DR1 =1.011
HR =68℃
DR2 =2.154(MDR×0.7)
HP =125℃
ただし、DR1 :第1段延伸域での延伸倍率
MDR :予熱温度70℃で測定した最大延伸倍率
HR :第1段延伸域の引取ロ−ラ−の表面温度(℃)
DR2 :第2段延伸域での延伸倍率
HP :第2段延伸域の熱板の表面温度(℃)
さらに、得られた延伸糸の筒編地をカチオン染料(保土ケ谷化学社製AIZEN CATHILON MARINEBLUE GPLH)にて濃度1.5%owf、温度98℃、60分間染色を施した結果、鮮明性および均染性に優れ、かつ非常にソフトな風合いが得られた。
(実施例2)
芯部と鞘部の体積比を3/1に変更した以外は、実施例1と同様のポリマーを使用して延伸糸を得た。得られた延伸糸の強伸度特性はカチオン可染性繊維としては非常に高いレベルであり、かつエンブロイダリー基布用としても充分なレベルであった。前記延伸糸を用いて、実施例1と同様に筒編地を作成し、染色したところ、鮮明性および均染性に優れ、かつ非常にソフトな風合いが得られた。
(実施例3)
芯成分のポリアミドを、ナイロン6にナイロン66を共重合した共重合ポリアミド(融点203℃、溶融粘度188Pa・秒)に変更した以外は、実施例1と同様にして延伸糸を得た。得られた延伸糸の強伸度特性は、カチオン可染性繊維としては非常に高いレベルであり、かつエンブロイダリー基布用としても充分なレベルであった。前記延伸糸を用いて、実施例1と同様に筒編地を作成し、染色したところ、鮮明性および均染性に優れ、かつ非常にソフトな風合いが得られた。
(実施例4)
芯成分のポリアミドを、ナイロン12(融点178℃、溶融粘度190Pa・秒)に変更した以外は、実施例1と同様にして延伸糸を得た。得られた延伸糸の強伸度特性は、カチオン可染性繊維としては非常に高いレベルであり、かつエンブロイダリー基布用としても充分なレベルであった。前記延伸糸を用いて、実施例1と同様に筒編地を作成し、染色したところ、鮮明性および均染性に優れ、かつ非常にソフトな風合いが得られた。
(実施例5)
鞘成分である変性ポリエステルを、DMSの変性量が1.5mol%、融点244℃、固有粘度0.64のポリマーに変更した以外は、実施例1と同様にして延伸糸を得た。得られた延伸糸の強伸度特性は、カチオン可染性繊維としては非常に高いレベルであり、かつエンブロイダリー基布用としても充分なレベルであった。前記延伸糸を用いて、実施例1と同様に筒編地を作成し、染色したところ、鮮明性および均染性に優れ、かつ非常にソフトな風合いが得られた。
(実施例6)
鞘成分である変性ポリエステルを、ADEの変性量が9mol%、融点234℃、固有粘度0.59のポリマーに変更した以外は、実施例1と同様にして延伸糸を得た。得られた延伸糸の強伸度特性は、カチオン可染性繊維としては非常に高いレベルであり、かつエンブロイダリー基布用としても充分なレベルであった。前記延伸糸を用いて、実施例1と同様に筒編地を作成し、染色したところ、鮮明性および均染性に優れ、かつ非常にソフトな風合いが得られた。
(比較例1)
鞘成分である変性ポリエステルを、DMSの変性量を5mol%、融点237℃、固有粘度0.41のポリマーに変更した以外は、実施例1と同様にして延伸糸を得たが、得られた延伸糸の強伸度特性は、低いレベルであり、かつエンブロイダリー基布用としても不充分なレベルであった。
(比較例2)
鞘成分である変性ポリエステルを、ADEの変性量を5mol%、融点245℃、固有粘度0.75のポリマーに変更した以外は、実施例1と同様にして延伸糸を得た。得られた延伸糸の強伸度特性は、非常に高いレベルであり、かつエンブロイダリー基布用としても充分なレベルであったが、前記延伸糸を用いて、実施例1と同様に筒編地を作成し、染色したところ、染色性が極めて低かった。
(比較例3)
芯成分を、ポリエチレンテレフタレート(融点255℃、固有粘度0.83、溶融粘度201Pa・秒)に変更し、芯成分の溶融温度、および紡糸温度を290℃とした以外は、実施例1と同様にして延伸糸を得た。得られた延伸糸の強伸度特性は、従来のカチオン可染性繊維と比較すると高かったが、エンブロイダリー基布用としては不充分なレベルであった。
Figure 0004884954
3段延撚機の全容を示す概略図である。 2段延撚機の全容を示す概略図である。
符号の説明
1 未延伸糸
2 供給ローラー
3 第1段延伸域の引取ロ−ラ−
4 第2段延伸域の引取ロ−ラ−
4´第2段延伸域の熱板
5 第3段延伸域の熱板
6 第3段延伸域の引取ローラー
7 延伸糸

Claims (2)

  1. 主たる繰り返し単位がポリエチレンテレフタレートから構成され、ジカルボン酸成分として5−ナトリウムスルホイソフタル酸単位が1〜3mol%及びアジピン酸単位が3〜10mol%含まれる変性ポリエステルを鞘部に配し、芯部にポリアミドを配した、芯部/鞘部の体積比が1/1〜4/1のカチオン可染性複合繊維であって、破断強度(DS)が4cN/dtex以上、破断伸度(DE)が40%以上、かつDS×(DE)1/2が27以上であるカチオン可染性複合繊維。
  2. 請求項1に記載のカチオン可染性複合繊維を含む繊維製品。
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