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JP4887664B2 - 多孔質構造体の製造方法及び光電変換素子の製造方法 - Google Patents
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多孔質構造体の製造方法及び光電変換素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、多孔質構造体の製造方法、及び太陽電池等の光電変換素子の製造方法に関するものである。
従来、ミクロな多孔質の構造体を作製する方法として、多孔質構造体を形成するための粒子と、高分子有機物などの増粘剤と、溶媒とを混合して、ペースト状、インク状又は粘土状の混合物を調製し、この混合物を基体上に塗布又は成型した後、焼成等の処理によって増粘剤を除去することにより、多孔質構造体を得るという方法が広く用いられている。
特開2001−196104号公報(4頁5欄47行目〜6欄27行目)
しかしながら、従来例による製造方法では、多孔質構造体における空孔のサイズを制御するのは困難である。また、空孔度を高くするためには増粘剤を増量する必要があり、空孔度の制御範囲が、塗布又は成型時の作業を困難にしない程度に限られる。
例えば、半導体粒子からなる多孔質構造体に増感色素を付着させて半導体層を形成し、この半導体層を用いて色素増感型太陽電池を製造する場合、従来例による製造方法では、増粘剤としての高分子有機物の分子量、濃度によって空孔率、サイズ、形状が限定されてしまい、その濃度も塗布性を損ねない範囲に限定されるため、所望の空孔を得ることが難しい。
また、増粘剤を均一に分散させるのは難しく、混合物中にランダムに偏在し易いため、増粘剤を除去することにより得られる空孔のサイズを制御することは事実上困難である。例えば、特開2004−207205号公報には、従来の方法によって空孔のサイズを制御することは困難であると記されている。
また、色素増感型太陽電池では、空孔度を高くすることにより、半導体層の内部へ電解質を円滑に供給することができ、これにより光電変換特性の向上を図ることができる。
しかしながら、増粘剤を除去することにより多孔質化するような従来例による方法において、増粘剤の濃度を高くして空孔度を高くしようとすると、混合物の粘性が高くなりすぎて、塗布などの形成方法が困難になる。従って、平滑な半導体層を得ることが困難となり、良好な光電変換特性を実現するのが難しい。このような場合、より平均分子量の小さいポリマーを用いる方法がとられるが、それによっても、必ずしも所望の空孔度を得ることはできない。
本発明は、上述したような問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、空孔の形状や大きさ及び空孔度を制御することができる多孔質構造体の製造方法、及び光電変換素子の製造方法を提供することにある。
即ち、本発明は、多孔質構造体を形成するための粒子と、増粘剤と、前記増粘剤以外の添加剤と、溶媒とを含有する混合物を調製する工程と、前記混合物を基体上に付着させる工程と、前記増粘剤と共に前記添加剤を除去することにより空孔を形成する工程とを有する、多孔質構造体の製造方法に係るものである。
また、第1極と、第2極と、これら電極間に挟持された半導体層及び電解質層とからなる光電変換素子の製造方法において、
多孔質構造体を形成するための半導体粒子と、増粘剤と、前記増粘剤以外の添加剤と 、溶媒とを含有する混合物を調製する工程と、前記第1極を設けた基体上に前記混合物 を付着させる工程と、前記増粘剤と共に前記添加剤を除去することにより空孔を形成す る工程と
を有することを特徴とする、光電変換素子の製造方法に係るものである。
本発明によれば、多孔質構造体を形成するための前記粒子(又は前記半導体粒子)と、前記増粘剤と、前記添加剤と、前記溶媒とを含有する前記混合物を前記基体上に付着させ、前記増粘剤と共に前記添加剤を除去することにより前記空孔を形成するので、前記添加剤の形状や大きさを適宜選択することにより、前記空孔の形状や大きさを制御することができる。
また、前記添加剤の添加量を適宜選択することにより空孔度を制御することができるので、所望の空孔度を実現することができる。
即ち、本発明の光電変換素子の製造方法は、前記半導体層における前記空孔の形状や大きさ及び空孔度を制御することができるので、前記電解質層からの電荷移動を最もスムーズにすることができる電気化学界面の形成を可能とし、これにより高い光電変換特性を実現することができる。
本発明において、前記添加剤として、増粘性を有さない非増粘性粒子を添加することが望ましい。これにより、前記混合物の粘度を特に考慮することなく、例えば前記非増粘性粒子の濃度を高くして、空孔度を高くすることができる。
また、前記非増粘性粒子として、ガラス転移点又は融点が50℃以上の微粒子を用いることが好ましい。これにより、前記増粘剤等との混合の際に予想される発熱、或いは前記溶媒を除去する際の加熱などによって、前記非増粘性粒子の形状が失われるのを効果的に防止することができる。
また、前記非増粘性粒子の形状は、球状、針状又は円柱状など如何なる構造であっても構わない。さらに、前記空孔同士が連結していても、或いは分離されていてもよく、本発明に基づく多孔質構造体の利用方法によって適宜選択することができる。そして、このような前記空孔の形状は、前記非増粘性粒子の形状により制御することができる。
また、前記非増粘性粒子の粒径又は短径を500nm以下、10nm以上とすることが好ましい。より好ましくは500nm以下、50nm以上であり、さらに好ましくは300nm以下、100nm以上である。500nmを超える場合、前記空孔が大きくなりすぎ、表面積を低下させる効果が支配的となってしまう。また、10nm未満の場合、得られる前記空孔のサイズが、前記増粘剤の除去によって得られるものとあまり変わらないため、上記したような本発明による効果を得られないことがある。また、前記非増粘性粒子が円筒形又は針状といった形状の場合には、長手方向には500nm以上(例えば数μm)の長さを有していても構わない。
具体的には、前記非増粘性粒子として、ポリマー又は炭素材料からなる微粒子を用いることが好ましい。
前記ポリマーとしては、特に限定されないが、例えばポリスチレン微粒子、ポリエチレン微粒子、ポリエステル微粒子、ポリウレタン微粒子、ポリプロピレン微粒子及びポリメチルメタクリレート微粒子からなる群より選ばれた少なくとも1種を用いることが好ましい。また、これら以外のポリマーも使用可能である。
前記炭素材料としては、マルチウォールのカーボンナノチューブ又はグラファイトを用いることが好ましい。前記カーボンナノチューブの径は例えば20〜30nmである。前記グラファイトは、気相成長させたカーボンであり、数十〜数百nmの径を有する繊維状又は針状の炭素材料である。
また、前記粒子又は前記半導体粒子として酸化物半導体材料を用いることが好ましい。前記酸化物半導体材料としては、例えばTiO2、MgO、ZnO、SnO2、WO3、Nb25、TiSrO3などの金属酸化物や、これらにN又はSをドープしたものが挙げられる。しかし、これらに限定されるものではなく、上記の2種以外の元素をドープ、或いは2種以上の金属酸化物を混合又は複合化して使用することも可能である。
また、前記非増粘性粒子を、前記酸化物半導体材料に対して体積比で1〜100%添加することが好ましく、より好ましくは15〜50%であり、さらに好ましくは約30%である。これにより、前記光電変換素子において、前記電解質層からの電荷移動を最もスムーズにすることができる電気化学界面の形成を可能とし、より高い光電変換特性を実現することができる。
また、前記混合物を前記基体上に塗布した後、加熱処理して前記溶媒、前記増粘剤及び前記非増粘性粒子等の前記添加剤を除去することが好ましい。
前記非増粘性粒子の除去方法としては特に限定されるものではないが、焼成による方法の他、有機溶媒により溶出させる方法、或いは電気化学的に溶解させる方法などを用いても構わない。焼成の場合、温度は700℃以下であることが好ましく、700℃を超えると前記基体が耐えられないことがある。また、下限値としては例えば250℃であり、前記非増粘性粒子を効果的に除去できる温度を適宜選択するのが望ましい。
さらに、前記加熱処理後に、紫外線照射、オゾン処理又はプラズマ処理を行うことが好ましい。これにより、微量の残留物を完全に除去することができる。例えば、紫外線照射は、(株)東芝製 UV照射装置 TOSCURE 401を用いてUV光を30分照射すればよい。オゾン処理は、アイグラフィックス(株)社製アイオゾン洗浄装置を用いて30分オゾン処理すればよい。なお、この処理方法は、目的とする多孔質構造体に要求される特性を損ねない方法であれば、上記の方法に限定されるものではない。
本発明に基づく光電変換素子の製造方法において、前記空孔を有する前記半導体層に増感色素を付着した後、前記半導体層と前記第2極との間に前記電解質層を配し、色素増感型太陽電池を製造することが好ましい。
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明に基づく光電変換素子の製造方法により作製される色素増感型湿式太陽電池の一例の概略断面図である。
色素増感型太陽電池1は、透明導電膜(透明電極)2を備えた透明基板3と、透明電極2の対極をなす導電膜(対向電極)4及び集電材5を有する基板6との間に、半導体層7と電解質層8とが設けられて構成されている。半導体層7は、例えば前記半導体粒子としての前記酸化物半導体材料と、前記増感色素とを有する。また、透明導電膜2と導電膜4は導線で接続されており、アンメータ(電流計)9を有する電流回路10が形成されている。
そして、半導体層7及び電解質層8の端面に封止材11が設けられ、半導体層7及び電解質層8が封止されている。
この色素増感型太陽電池1では、透明電極2側から光が照射される。なお、集電材5を省いたり、対向電極4と集電材5又は基板6との密着性を改善するためにCr等からなる層を設けたりしても構わない。また、導電膜4及び集電材5とが一体であっても構わない。
半導体層7は、前記酸化物半導体材料が透明電極2上に焼結され、またこの酸化物半導体材料上に前記増感色素が担持されている。前記酸化物半導体材料は、前記増感色素によって増感される。
以下、本発明に基づく製造方法による、半導体層7の製造方法の一例について、図2を参照して説明する。
まず、酸化物半導体材料等の前記半導体粒子と、前記増粘剤と、前記増粘剤以外の前記添加剤と、前記溶媒とを含有する前記混合物を調製する。
前記添加剤は、増粘性を有さない前記非増粘性粒子であることが望ましい。これにより、前記混合物の粘度を特に考慮することなく、前記非増粘性粒子の濃度を高くして空孔度を高くすることができる。
また、前記非増粘性粒子として、ガラス転移点又は融点が50℃以上の微粒子を用いることが好ましい。これにより、前記増粘剤等との混合の際に予想される発熱、或いは前記溶媒を除去する際の加熱などによって、前記非増粘性粒子の形状が失われるのを効果的に防止することができる。
また、前記非増粘性粒子の形状は、球状、針状又は円柱状など如何なる構造であっても構わない。さらに、前記空孔同士が連結していても、或いは分離されていてもよく、本発明に基づく多孔質構造体の利用方法によって適宜選択することができる。そして、このような前記空孔の形状は、前記非増粘性粒子の形状により制御することができる。
また、前記非増粘性粒子の粒径又は短径を500nm以下、10nm以上とすることが好ましい。より好ましくは500nm以下、50nm以上であり、さらに好ましくは300nm以下、100nm以上である。500nmを超える場合、前記空孔が大きくなりすぎ、表面積を低下させる効果が支配的となってしまう。また、10nm未満の場合、得られる前記空孔のサイズが、前記増粘剤の除去によって得られるものとあまり変わらないため、上記したような本発明による効果を得られないことがある。また、前記非増粘性粒子が円筒形又は針状といった形状の場合には、長手方向には500nm以上(例えば数μm)の長さを有していても構わない。
具体的には、前記非増粘性粒子として、ポリマー又は炭素材料からなる微粒子を用いることが好ましい。
前記ポリマーとしては、特に限定されないが、例えばポリスチレン微粒子、ポリエチレン微粒子、ポリエステル微粒子、ポリウレタン微粒子、ポリプロピレン微粒子及びポリメチルメタクリレート微粒子からなる群より選ばれた少なくとも1種を用いることが好ましい。また、これら以外のポリマーも使用可能である。
前記炭素材料としては、マルチウォールのカーボンナノチューブ又はグラファイトを用いることが好ましい。前記カーボンナノチューブの径は例えば20〜30nmである。前記グラファイトは、気相成長させたカーボンであり、数十〜数百nmの径を有する繊維状又は針状の炭素材料である。
また、前記酸化物半導体材料としては、例えばTiO2、MgO、ZnO、SnO2、WO3、Nb25、TiSrO3などの金属酸化物や、これらにN又はSをドープしたものが挙げられる。しかし、これらに限定されるものではなく、上記の2種以外の元素をドープ、或いは2種以上の金属酸化物を混合又は複合化して使用することも可能である。例えば、平均粒径25nmの酸化チタンナノ粒子を用いることができる。前記酸化物半導体材料などの前記半導体粒子の混合量は、適宜選択可能である。
また、前記非増粘性粒子を、前記酸化物半導体材料に対して体積比で1〜100%添加することが好ましい。より好ましくは15〜50%であり、さらに好ましくは約30%である。これにより、電解質層8からの電荷移動を最もスムーズにすることができる電気化学界面の形成を可能とし、より高い光電変換特性を実現することができる。
前記増粘剤としては、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG)等を用いることができる。その混合比は、例えば前記酸化物半導体材料に対して体積比で5〜50%が好ましい。
次に、上記のようにして調製した混合物を透明電極2上に、ドクターブレード法等により塗布する。
次に、酸化チタン等の前記酸化物半導体材料を焼結すると共に、前記非増粘性粒子、前記増粘剤及び前記溶媒を焼成により除去する。ここで、前記非増粘性粒子の除去方法としては特に限定されるものではなく、焼成による方法の他、有機溶媒により溶出させる方法、或いは電気化学的に溶解させる方法などを用いても構わない。焼成の場合、温度は700℃以下であることが好ましく、700℃を超えると前記基体が耐えられないことがある。また、下限値としては例えば250℃であり、前記非増粘性粒子を効果的に除去できる温度を適宜選択するのが望ましい。
また、前記加熱処理後に、紫外線照射、オゾン処理又はプラズマ処理を行うことが好ましい。これにより、微量の残留物を完全に除去することができる。例えば、紫外線照射は、(株)東芝製 UV照射装置 TOSCURE 401を用いてUV光を30分照射すればよい。オゾン処理は、アイグラフィックス(株)社製アイオゾン洗浄装置を用いて30分オゾン処理すればよい。なお、この処理方法は、目的とする多孔質構造体に要求される特性を損ねない方法であれば、上記の方法に限定されるものではない。
次に、上記のようにして作製した多孔質構造体に前記増感色素を付着する。前記増感色素としては、増感作用をもたらすものであれば、如何なるものでも使用することができるが、例えばビピリジン、フェナントリン誘導体、キサンテン系色素、シアニン系色素、塩基性染料、ポルフィリン系化合物、アゾ染料、フタロシアニン化合物、アントラキノン系色素、多環キノン系色素等が挙げられる。またこれらは、ルテニウム、亜鉛、白金、パラジウムといった金属と錯体を形成したものであってもよい。
以上のようにして、半導体層7を作製することができる。
本発明に基づく製造方法によれば、前記半導体粒子と、前記増粘剤と、前記非増粘性粒子などの前記添加剤と、前記溶媒とを含有する前記混合物を透明電極2上に付着させ、前記増粘剤と共に前記非増粘性粒子を除去することにより前記空孔を形成するので、前記非増粘性粒子の形状や大きさを制御することにより、容易に前記空孔の形状や大きさを制御することができる。
また、前記非増粘性粒子の添加量を適宜選択することにより空孔度を制御することができるので、特に前記混合物の粘度を考慮せずに、所望の空孔度を実現することができる。
即ち、半導体層7の空孔の形状や大きさ及び空孔度を制御することができるので、電解質層8からの電荷移動を最もスムーズにすることができる電気化学界面の形成を可能とし、これにより高い光電変換特性を実現することができる。
図1に示すような色素増感型太陽電池1において、透明基板3、基板6としては、例えばガラス基板、透明プラスチック基板等が好適である。
透明電極2は、透明導電性物質からなる。前記透明導電性物質としては、ITOが最も広く知られているが、ITO単独膜であっても、或いはZr、Hf、Te、F等の元素をドープしたものであっても、他の透明導電性材料と積層構造を形成したものであっても構わない。積層構造としては、例えばITO層間にAu、Ag、Cuといった金属を積層させたものや酸化物層間に窒化物層を積層させる構造などが知られているが、これに限られるものではない。
電解質層8は、電解質中に、少なくとも1種類の可逆的に酸化/還元の状態変化を起こす物質系(酸化還元系)が溶解されてなる。
溶媒としては、アセトニトリル等のニトリル系、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート等のカーボネート系、ガンマブチロラクトン、ピリジン、ジメチルアセトアミド、その他の極性溶媒、メチルプロピルイミダゾリウム−ヨウ素といった常温溶融塩或いはそれらの混合物が使用可能である。
前記酸化還元系としては、例えばI-/I3-、Br-/Br2といったハロゲン類、キノン/ハイドロキノン、SCN-/(SCN)2といった擬ハロゲン類、鉄(II)イオン/鉄(III)イオン、銅(I)イオン/銅(II)イオン等を挙げることができるが、これらに限られるものではない。
また、電解質中には支持電解質を加えてもよい。支持電解質としては、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウムといった無機塩やイミダゾリウム塩、4級アンモニウム塩といった有機塩を挙げることができる。
電解質は、液体電解質であってもよいし、又はこれを高分子物質中に含有させたゲル状電解質高分子固体電解質、無機の固体電解質であってもよい。
導電膜4は、良導体であり、化学的、電気化学的に安定なレドックス対の酸化・還元反応に対する過電圧の小さい白金、白金黒、パラジウム、ロジウム、ルテニウム等の金属や炭素、或いはそれらの化合物、導電性高分子、炭素材料或いはそれらの混合物又はそれらを担持した透明導電ガラスが好適なものとして挙げられる。
集電材5は、一般にガラス、透明導電性ガラス、金属、ポリマーフィルム等が用いられるが、これらに限られない。但し、導電膜4にピンホールが存在した場合等において、電解質と触れても反応しないものであることが望ましい。また、導電膜4との接着性を向上させるためCr等からなる層を導電膜4との間に設けることもできる。
図1に示すような色素増感型太陽電池1は、各要素がケース内に収納され封止されるか、またはそれら全体が樹脂封止されていることが好ましい。この場合、透明基板2側から半導体層4に光が当たる構造とする。
色素増感型太陽電池1の動作メカニズムは、透明基板2の受光面12で受光した光が、半導体層7の表面に担持された増感色素を励起し、増感色素は半導体層7へ電子を速やかに渡す。一方、電子を失った増感色素は、キャリア移動層である電解質層8のイオンから電子を受け取る。電子を渡した分子は、再び対向電極4から電子を受け取る。このようにして、両電極2、4間に電流が流れる。
本発明に基づく製造方法によれば、前記非増粘性粒子の形状や大きさ及び添加量を適宜選択することにより、半導体層7における空孔の形状や大きさ及び空孔度を任意に制御することができる。従って、製造される色素増感型太陽電池1は、電解質層8からの電荷移動を最もスムーズにすることができる電気化学界面が形成されているので、高い光電変換特性を実現することができる。
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
例1
TiO2ペーストの作製は「色素増感太陽電池の最新技術(シーエムシー)」を参考に行った。そして、図1に示すような色素増感型太陽電池を作製した。
まず、125mlのチタンイソプロポキシドを、750mlの0.1M硝酸水溶液に室温で撹拌しながらゆっくり滴下した。滴下が終了したら80℃の恒温槽に移し、8時間撹拌すると、白濁した半透明のゾル溶液が得られた。このゾル溶液を室温まで放冷し、ガラスフィルターでろ過した後、700mlにメスアップした。得られたゾル溶液をオートクレーブへ移し、220℃で12時間水熱処理を行った後、1時間超音波処理により分散処理した。次いで、この溶液をエバポレーターにより40℃で濃縮し、TiO2の含有量が11質量%になるように調製した。この濃縮ゾル溶液に分子量が50万のPEO(ポリエチレンオキサイド)をTiO2に対して体積比で15%添加し、遊星ボールミルで均一に混合した。
ここに、平均粒径200nmのポリスチレン微粒子(前記非増粘性粒子)をTiO2に対して体積比で30%となるように加え、さらに、シェーカーを用いて均一になるまで混合し、増粘したTiO2ペーストを得た。このように調製したTiO2ペーストの粘度を測定したところ、3.2×103cpであった。
また、FTO(フッ素をドープしたITO(indium tin oxide))基板を透明電極として用い、上記のようにして作製したTiO2ペーストをFTO基板にスクリーン印刷法で0.7cm×0.7cmの大きさで塗布した後、窒素雰囲気下450℃に60分間保持し、ナノポーラスTiO2をFTO基板(15Ω/cm2)上に焼結した。
さらに、紫外線照射装置(TOSHIBA製、TOSCURE401)で1hUV光を照射し、TiO2半導体層を得た。
次いで、0.5mMのシス−ビス(イソチオシアナート)−N,N−ビス(2,2’−ジピリジル−4,4’−ジカルボン酸)−ルテニウム(II)二水和物及び20mMのデオキシコール酸を溶解した脱水エタノール溶液に12時間浸漬させ、色素を吸着させた。この半導体層を4−tert−ブチルピリジンのエタノール溶液、脱水エタノールの順で洗浄し、暗所で乾燥させた。
対向電極としては、Ptスパッタガラスを用いた。
また、アセトニトリル30.5gにヨウ化リチウム(LiI)2g、1−プロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウムヨーダイド5g、ヨウ素(I2)0.5g、4−tert−ブチルピリジン2gを溶解させ、電解液を調製した。
上記のようにして作製した電解液を、半導体層上に滴下し、シリコンゴムスペーサー(30μm)を介して対向電極と接合し、図1に示すような色素増感型太陽電池を作製した。ここで、上記のようにして作製した半導体層の断面のSEM写真を図3、図4に示す。図3、図4に示すように、前記非増粘性粒子としてのポリスチレン微粒子の粒径200nmに相当する空孔を得ることができた。
例2
酸化チタンペースト中に導入するポリスチレン微粒子の平均粒径を500nmとした以外は、例1と同様にして多孔質酸化チタン並びに色素増感型太陽電池を作製した。なお、調製したTiO2ペーストの粘度を測定したところ、2.9×103cpであった。
例3
酸化チタンペースト中に導入するポリスチレン微粒子の平均粒径を100nmとした以外は、例1と同様にして多孔質酸化チタン並びに色素増感型太陽電池を作製した。なお、調製したTiO2ペーストの粘度を測定したところ、3.0×103cpであった。
例4
酸化チタンペースト中に導入するポリスチレン微粒子の平均粒径を1000nmとした以外は、例1と同様にして多孔質酸化チタン並びに色素増感型太陽電池を作製した。なお、調製したTiO2ペーストの粘度を測定したところ、2.8×103cpであった。
例5
酸化チタンペースト中に導入するポリスチレン微粒子のTiO2比を2%とした以外は、例1と同様にして多孔質酸化チタン並びに色素増感型太陽電池を作製した。なお、調製したTiO2ペーストの粘度を測定したところ、3.0×103cpであった。
例6
酸化チタンペースト中に導入するポリスチレン微粒子のTiO2比を5%とした以外は、例1と同様にして多孔質酸化チタン並びに色素増感型太陽電池を作製した。なお、調製したTiO2ペーストの粘度を測定したところ、3.1×103cpであった。
例7
酸化チタンペースト中に導入するポリスチレン微粒子のTiO2比を15%とした以外は、例1と同様にして多孔質酸化チタン並びに色素増感型太陽電池を作製した。なお、調製したTiO2ペーストの粘度を測定したところ、3.1×103cpであった。
例8
酸化チタンペースト中に導入するポリスチレン微粒子のTiO2比を50%とした以外は、例1と同様にして多孔質酸化チタン並びに色素増感型太陽電池を作製した。なお、調製したTiO2ペーストの粘度を測定したところ、2.8×103cpであった。
例9
酸化チタンペースト中に導入するポリスチレン微粒子のTiO2比を100%とした以外は、例1と同様にして多孔質酸化チタン並びに色素増感型太陽電池を作製した。なお、調製したTiO2ペーストの粘度を測定したところ、2.8×103cpであった。
例10
酸化チタンペースト中に導入する微粒子をカーボンナノチューブ(平均粒径50nm)とし、O2をフローしながら焼成した以外は、例1と同様にして多孔質酸化チタン並びに色素増感型太陽電池を作製した。なお、調製したTiO2ペーストの粘度を測定したところ、2.9×103cpであった。
例11(比較例)
酸化チタンペースト中にポリスチレン微粒子を加えなかった以外は、例1と同様にして多孔質酸化チタン並びに色素増感型太陽電池を作製した。なお、調製したTiO2ペーストの粘度を測定したところ、3.0×103cpであった。
上記のようにして作製した各色素増感型太陽電池について、光電変換特性の評価を行った。光電変換効率は、各色素増感型太陽電池における透明電極側のフッ素ドープ導電性ガラス基板と対向電極とにそれぞれ、ワニ口クリップを接続し、色素増感型太陽電池に光を照射して発生した電流を電流電圧測定装置にて測定した。この測定で得られた最高出力と光照射強度との比を光電変換効率とした。また、光の照射は、光源としてキセノンランプを用い、色素増感型太陽電池上での光強度を100mW/cm2とした。結果を下記表1、図5、図6に示す。
Figure 0004887664
上記表1より明らかなように、本発明に基づく製造方法によれば、多孔質構造体を形成するための前記粒子(前記半導体粒子)としてのTiO2粒子と、前記増粘剤としてのPEOと、前記非増粘性粒子としてのポリスチレン微粒子(又はカーボンナノチューブ)と、前記溶媒とを含有する前記混合物を前記基体としてのFTO基板上に付着させ、前記増粘剤と共に前記非増粘性粒子を除去することにより前記空孔を形成したので、前記非増粘性粒子のサイズを制御することにより、容易に空孔のサイズを制御することができた。
また、前記非増粘性粒子としてのポリスチレン微粒子の添加量を適宜選択することにより、空孔度を制御することができ、所望の空孔度を実現することができた。
また、上記表1及び図5より明らかなように、前記非増粘性粒子としてのポリスチレン微粒子の平均粒径を500nm以下とすることが好ましく、500nmを超える場合、前記空孔が大きくなりすぎ、表面積を低下させる効果が支配的となってしまう。下限値としては、例えば10nm以上とすることが好ましく、10nm未満の場合、前記空孔のサイズが、前記増粘剤の除去によって得られるものとあまり変わらないため、上記したような本発明の効果を得られないことがある。
さらに、上記表1及び図6より明らかなように、前記光電変換素子として色素増感型太陽電池を作製する場合、前記非増粘性粒子としてのポリスチレン微粒子を、前記酸化物半導体材料としてのTiO2粒子に対して体積比で1〜100%添加することが好ましい。より好ましくは15〜50%であり、さらに好ましくは約30%である。これにより、前記電解質層からの電荷移動を最もスムーズにすることができる電気化学界面の形成を可能とし、より高い光電変換特性を実現することができた。100%を超える場合、電極表面積の低下のために光電変換効率が低下する。
即ち、本発明に基づく製造方法によれば、前記非増粘性粒子の形状や大きさ及び添加量を適宜選択することにより、前記半導体層における空孔の形状や大きさ及び空孔度を制御することができるので、前記電解質層からの電荷移動を最もスムーズにすることができる電気化学界面の形成を可能とし、これにより高い光電変換特性を実現することができた。
以上、本発明を実施の形態及び実施例について説明したが、上述の例は、本発明の技術的思想に基づき種々に変形が可能である。
例えば、前記色素増感型光電変換装置の形態、構造や使用材料等は、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、適宜選択可能であることは言うまでもない。
また、図1には、単一の太陽電池セルの例を挙げて説明したが、この太陽電池セルを複数並列に配列し、スタック構造としてもよい。
さらに、光電変換素子として色素増感型太陽電池を例に挙げて説明したが、本発明は色素増感型以外の太陽電池や、太陽電池以外の光電変換素子についても適用可能である。
本発明の実施の形態による、本発明に基づく製造方法により作製される色素増感型太陽電池の一例の概略断面図である。 同、本発明に基づく製造方法の一例のプロセスフロー図である。 本発明の実施例による、例1で作製した半導体層の断面のSEM写真である。 同、例1で作製した半導体層の断面のSEM写真である。 同、前記非増粘性粒子としてのポリスチレン微粒子の平均粒径と光電変換効率との関係を示すグラフである。 同、前記非増粘性粒子としてのポリスチレン微粒子の添加量と、光電変換効率との関係を示すグラフである。
符号の説明
1…色素増感型太陽電池、2…透明導電膜(透明電極)、3…透明基板、
4…導電膜(対向電極)、5…集電材、6…基板、7…半導体層、8…電解質層、
9…アンメータ(電流計)、10…電流回路、11…封止材、12…受光面

Claims (17)

  1. 多孔質構造体を形成するための粒子と、増粘剤と、増粘性を有さない非増粘性粒子からなる添加剤と、溶媒とを含有する混合物を調製する工程と、前記混合物を基体上に付着させる工程と、前記増粘剤と共に前記添加剤を除去することにより空孔を形成する工程とを有する、多孔質構造体の製造方法。
  2. 前記非増粘性粒子として、ガラス転移点又は融点が50℃以上の微粒子を用いる、請求項に記載した多孔質構造体の製造方法。
  3. 前記非増粘性粒子として、ポリマー又は炭素材料からなる微粒子を用い、前記ポリマーとして、ポリスチレン微粒子、ポリエチレン微粒子、ポリエステル微粒子、ポリウレタン微粒子、ポリプロピレン微粒子及びポリメチルメタクリレート微粒子からなる群より選ばれた少なくとも1種を用い、前記炭素材料として、カーボンナノチューブ又はグラファイトを用いる、請求項に記載した多孔質構造体の製造方法。
  4. 前記非増粘性粒子の粒径又は短径を500nm以下、10nm以上とする、請求項に記載した多孔質構造体の製造方法。
  5. 前記粒子として酸化物半導体材料を用いる、請求項1に記載した多孔質構造体の製造方法。
  6. 前記添加剤を、前記酸化物半導体材料に対して体積比で1〜100%添加する、請求項に記載した多孔質構造体の製造方法。
  7. 前記混合物を前記基体上に塗布した後、加熱処理して前記溶媒、前記増粘剤及び前記添加剤を除去する、請求項1に記載した多孔質構造体の製造方法。
  8. 前記加熱処理後に、紫外線照射、オゾン処理又はプラズマ処理を行う、請求項に記載した多孔質構造体の製造方法。
  9. 第1極と、第2極と、これら電極間に挟持された半導体層及び電解質層とからなる光電変換素子の製造方法において、
    多孔質構造体を形成するための半導体粒子と、増粘剤と、増粘性を有さない非増粘 粒子からなる添加剤と、溶媒とを含有する混合物を調製する工程と、前記第1極を設け た基体上に前記混合物を付着させる工程と、前記増粘剤と共に前記添加剤を除去するこ とにより空孔を形成する工程と
    を有することを特徴とする、光電変換素子の製造方法。
  10. 前記非増粘性粒子として、ガラス転移点又は融点が50℃以上の微粒子を用いる、請求項に記載した光電変換素子の製造方法。
  11. 前記非増粘性粒子として、ポリマー又は炭素材料からなる微粒子を用い、前記ポリマーとして、ポリスチレン微粒子、ポリエチレン微粒子、ポリエステル微粒子、ポリウレタン微粒子、ポリプロピレン微粒子及びポリメチルメタクリレート微粒子からなる群より選ばれた少なくとも1種を用い、前記炭素材料として、カーボンナノチューブ又はグラファイトを用いる、請求項に記載した光電変換素子の製造方法。
  12. 前記非増粘性粒子の粒径又は短径を500nm以下、10nm以上とする、請求項に記載した光電変換素子の製造方法。
  13. 前記半導体粒子として酸化物半導体材料を用いる、請求項に記載した光電変換素子の製造方法。
  14. 前記添加剤を、前記酸化物半導体材料に対して体積比で1〜100%添加する、請求項13に記載した光電変換素子の製造方法。
  15. 前記混合物を前記基体上に塗布した後、加熱処理して前記溶媒、前記増粘剤及び前記添加剤を除去する、請求項に記載した光電変換素子の製造方法。
  16. 前記加熱処理後に、紫外線照射、オゾン処理又はプラズマ処理を行う、請求項15に記載した光電変換素子の製造方法。
  17. 前記空孔を有する前記半導体層に増感色素を付着した後、前記半導体層と前記第2極との間に前記電解質層を配し、色素増感型太陽電池を製造する、請求項に記載した光電変換素子の製造方法。
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