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JP4887699B2 - 4−(メチルチオ)ブタン−1,2−ジオールの製造方法 - Google Patents
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本発明は、4−(メチルチオ)ブタン−1,2−ジオールの製造方法に関する。
4−(メチルチオ)ブタン−1,2−ジオールは、医薬中間体(例えば、特許文献1参照。)やメチオニンアナローグ(例えば、非特許文献1参照。)として重要な化合物である。4−(メチルチオ)ブタン−1,2−ジオールの製造方法としては、3−ブテン−1,2−ジオールにメタンチオールを付加させる方法が知られており、例えば、有機過酸化物を触媒として用いる方法(例えば、非特許文献1参照。)やホウ素化合物の存在下に実施する方法(例えば、特許文献2参照。)が挙げられる。しかしながら、前者は反応に長時間を要し、後者は高価な試薬を用いる必要があるなど、いずれも工業的に満足できるものではなく、さらに効率のよい製造方法の開発が望まれていた。
特公平6−37459号公報 欧州特許公開第1260500号公報 J. of Agricultural and Food Chemistry, 23, 1137(1975)
このような状況の下、本発明者は、さらに効率のよい4−(メチルチオ)ブタン−1,2−ジオールの製造方法について鋭意検討したところ、安価で入手容易なアゾ化合物が、3−ブテン−1,2−ジオールへのメタンチオール付加反応の優れた触媒になることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、3−ブテン−1,2−ジオールとメタンチオールとを、アゾ化合物の存在下に反応させる4−(メチルチオ)ブタン−1,2−ジオールの製造方法を提供するものである。
本発明によれば、安価で入手容易なアゾ化合物の存在下に、3−ブテン−1,2−ジオールとメタンチオールを反応させることにより、温和な条件下、比較的短時間で4−(メチルチオ)ブタン−1,2−ジオールを得ることができるため、工業的に有利である。
以下、本発明を詳細に説明する。
原料である3−ブテン−1,2−ジオールは、市販のものを用いてもよいし、例えば、硫酸触媒の存在下に1,2−エポキシ−3−ブテンと水との付加開環反応させる方法(例えば、米国特許第5250743号公報参照。)、七酸化二レニウム触媒の存在下に2−ブテン−1,4−ジオールを異性化させる方法(例えば、特開平6−32751号公報参照。)等の公知の方法に準じて製造することができる。
原料であるメタンチオールは、一般には、メタノールと硫化水素から合成されるが、市販のものを使用することができる。メタンチオールは、ガス状のものを用いてもよいし、液状のものを用いてもよい。液状のメタンチオールは、例えば、ガス状のメタンチオールを、その沸点(6℃)以下に冷却した容器内に導入して、凝縮させる方法等により調製することができる。
メタンチオールの使用量は、3−ブテン−1,2−ジオールに対して、通常1モル倍以上であり、その上限は特にないが、経済的な面を考慮すると、実用的には、3−ブテン−1,2−ジオールに対して、10モル倍以下である。
本発明において、アゾ化合物とは、分子内にアゾ結合(−N=N−)を有し、分解温度が250℃以下の化合物を意味し、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、4,4’−アゾビス−4−シアノペンタノイックアシッド、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2−シアノ−2−プロピルアゾホルムアミド等のアゾニトリル類;アゾビスイソブタノールジアセテート、アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビスイソ酪酸エチル等のアゾエステル類;2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩等のアゾアミジン類;2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等のアゾイミダゾリン類;1,1’−アゾビスホルムアミド、1,1’−アゾビス(N−メチルホルムアミド)、1,1’−アゾビス(N,N−ジメチルホルムアミド)等のアゾアミド類;アゾ−tert−ブタン等のアゾアルキル類;などが挙げられ、入手性の点から好ましくはアゾニトリル類、アゾエステル類、アゾアミジン類およびアゾイミダゾリン類が用いられる。かかるアゾ化合物は、通常市販されているものが用いられる。
アゾ化合物の使用量は、3−ブテン−1,2−ジオールに対して、通常0.001モル倍以上であり、その上限は特にないが、経済的な面を考慮すると、実用的には、3−ブテン−1,2−ジオールに対して、0.2モル倍以下である。
3−ブテン−1,2−ジオールとメタンチオールとの反応は、通常、無溶媒で実施されるが、溶媒を用いてもよい。溶媒としては、付加反応を阻害しないものであれば特に制限無く用いることができ、例えば、水;ヘキサン、ヘプタン、トルエン等の炭化水素溶媒;クロロベンゼン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素溶媒;ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル溶媒;酢酸エチル等のエステル溶媒;tert−ブタノール等の第三級アルコール溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル溶媒;などの単独または混合溶媒が挙げられる。かかる溶媒の使用量は特に制限されないが、容積効率等を考慮すると、実用的には、3−ブテン−1,2−ジオールに対して100重量倍以下である。
反応温度は、用いるアゾ化合物の種類や量により異なるが、あまり低過ぎると付加反応が進行しにくく、また反応温度があまり高過ぎると原料3−ブテン−1,2−ジオールや生成物の重合等副反応が進行する恐れがあるため、通常の反応温度は−10〜100℃、好ましくは0〜50℃の範囲である。
反応は、減圧、常圧、加圧いずれでも実施可能であるが、メタンチオールの沸点が6℃であり常温では気体であるため、通常は、常圧または加圧の条件下で実施する。
3−ブテン−1,2−ジオールとメタンチオールとの反応は、アゾ化合物の存在下に、3−ブテン−1,2−ジオールとメタンチオールとを接触、混合することにより実施され、その混合方法は特に限定されない。常圧条件で実施する場合は、通常、アゾ化合物と3−ブテン−1,2−ジオールとの混合物を所定温度に調整し、これにガス状のメタンチオールを吹き込む方法により、反応が実施される。加圧条件で実施する場合は、例えば、アゾ化合物と3−ブテン−1,2−ジオールとをオートクレーブ等の密閉可能な容器に加えて、該容器を密閉した後、所定温度でガス状のメタンチオールを圧入する方法、アゾ化合物と3−ブテン−1,2−ジオールと液状のメタンチオールとを前記密閉容器に加えて、該容器を密閉した後、所定温度に調整する方法等により反応が実施される。3−ブテン−1,2−ジオールとメタンチオールとアゾ化合物を混合した後、所定温度に調整して反応させる場合や3−ブテン−1,2−ジオールとメタンチオールとを混合しておき、これにアゾ化合物を加えて反応させる場合には、円滑に反応を開始させるため、3−ブテン−1,2−ジオールとメタンチオールとを含む混合物中のメタンチオールを、3−ブテン−1,2−ジオールに対して、4モル倍以下としておくことが好ましい。
反応の進行は、例えばガスクロマトグラフィ、高速液体クロマトグラフィ、薄層クロマトグラフィ、核磁気共鳴スペクトル分析、赤外吸収スペクトル分析等の通常の分析手段により確認することができる。
反応終了後、親油性のアゾ化合物を用いた場合には、例えば、反応混合物から残存するメタンチオールを除去した後、必要に応じて、水や非極性溶媒を加え、抽出処理し、得られる4−(メチルチオ)ブタン−1,2−ジオールを含む水層を濃縮処理することにより、4−(メチルチオ)ブタン−1,2−ジオールを取り出すことができる。また、親水性のアゾ化合物を用いた場合には、例えば反応混合物から残存するメタンチオールを除去した後、必要に応じて、水や水に不溶の有機溶媒を加え、抽出処理し、得られる4−(メチルチオ)ブタン−1,2−ジオールを含む有機層を濃縮処理することにより、4−(メチルチオ)ブタン−1,2−ジオールを取り出すことができる。反応混合物から残存するメタンチオールを除去する方法としては、例えば、反応混合物を濃縮処理する方法、反応混合物に、窒素ガス等の不活性ガスを吹き込む方法等が挙げられる。非極性溶媒としては、例えばヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン等の炭化水素溶媒等が挙げられ、その使用量は特に制限されない。水に不溶の有機溶媒としては、例えば前記炭化水素溶媒のほか、例えば酢酸エチル等のエステル溶媒、例えばメチルtert−ブチルエーテル等のエーテル溶媒等が挙げられ、その使用量は特に制限されない。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
参考例1
磁気回転子を付した100mLフラスコに、3−ブテン−1,2−ジオール880mgとアゾビスイソブチロニトリル10mgを加え、内温25℃で攪拌下に、ガス状のメタンチオールを約10〜20mL/分の速度で1時間かけて吹き込んだ。同温度で、さらに1時間攪拌後に、窒素ガスを吹き込むことにより、残存するメタンチオールを除去し、1245mgの無色オイルを得た。このオイルをガスクロマトグラフィ面積百分率法により分析したところ、4−(メチルチオ)ブタン−1,2−ジオールの収率は73%であった。
原料の3−ブテン−1,2−ジオールが27%残存していた。
参考例2
磁気回転子を付した100mLオートクレーブに、3−ブテン−1,2−ジオール1300mgとアゾビスイソブチロニトリル20mgを加え、内温0℃に冷却した後、メタンチオールを1400mg加えた。オートクレーブを密閉したのち、30℃に保温して2時間攪拌した。オートクレーブの内圧(ゲージ圧)は当初2kg/cm(0.2MPa相当)であり、反応終了時には1kg/cm(0.1MPa相当)であった。反応後、常圧に戻し、溶液中に窒素ガスを吹き込むことにより、残存するメタンチオールを除去し、1790mgの無色オイルを得た。このオイルをガスクロマトグラフィ面積百分率法により分析したところ、4−(メチルチオ)ブタン−1,2−ジオールの収率は67%であった。原料の3−ブテン−1,2−ジオールが33%残存していた。
参考例3
磁気回転子を付した100mLオートクレーブに、3−ブテン−1,2−ジオール1300mgとアゾビスイソブチロニトリル20mgを加え、内温0℃に冷却した後、メタンチオールを1400mg加えた。オートクレーブを密閉したのち、40℃に保温して4時間攪拌した。オートクレーブの内圧(ゲージ圧)は、当初2.5kg/cm(0.25MPa相当)であり、反応終了時には0.5kg/cm(0.05MPa相当)であった。反応後、常圧に戻し、溶液中に窒素ガスを吹き込むことにより、残存するメタンチオールを除去し、1990mgの無色オイルを得た。このオイルをガスクロマトグラフィ面積百分率法により分析したところ、4−(メチルチオ)ブタン−1,2−ジオールの収率は94%であった。原料の3−ブテン−1,2−ジオールが5%残存していた。
実施例4
磁気回転子を付した50mLオートクレーブに、3−ブテン−1,2−ジオール2000mgと2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]20mgを加え、内温0℃に冷却した後、メタンチオールを1500mg加えた。オートクレーブを密閉したのち、40℃に保温して4時間攪拌した。オートクレーブの圧力(ゲージ圧)は当初2.5kg/cm(0.25MPa相当)であり、反応終了時には0.5kg/cm(0.05MPa相当)であった。反応後、常圧に戻し、溶液中に窒素ガスを吹き込むことにより、残存するメタンチオールを除去し、酢酸エチル10gで希釈した。得られた溶液をガスクロマトグラフィ内部標準法により分析したところ、4−(メチルチオ)ブタン−1,2−ジオールの収率は94%であった。原料の3−ブテン−1,2−ジオールが5%残存していた。
実施例5
実施例4において、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]に代えて、アゾビスイソ酪酸メチルを用いる以外は実施例4と同様に実施し、4−(メチルチオ)ブタン−1,2−ジオールを含む溶液を得た。得られた溶液をガスクロマトグラフィ内部標準法により分析したところ、4−(メチルチオ)ブタン−1,2−ジオールの収率は98%であった。

Claims (3)

  1. 3−ブテン−1,2−ジオールとメタンチオールとを、アゾ化合物の存在下に反応させる4−(メチルチオ)ブタン−1,2−ジオールの製造方法であり、
    アゾ化合物がアゾエステルまたはアゾイミダゾリンであることを特徴とする4−(メチルチオ)ブタン−1,2−ジオールの製造方法
  2. アゾエステルまたはアゾイミダゾリン、アゾビスイソブタノールジアセテート、アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビスイソ酪酸エチルまたは2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]であることを特徴とする請求項1記載の4−(メチルチオ)ブタン−1,2−ジオールの製造方法。
  3. 反応温度が、−10〜100℃の範囲であることを特徴とする請求項1または2記載の4−(メチルチオ)ブタン−1,2−ジオールの製造方法。
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