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JP4889040B2 - 金属配線の信頼性評価装置及び方法、並びに金属配線の信頼性評価のためのプログラムを格納した記録媒体 - Google Patents
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JP4889040B2 - 金属配線の信頼性評価装置及び方法、並びに金属配線の信頼性評価のためのプログラムを格納した記録媒体 - Google Patents

金属配線の信頼性評価装置及び方法、並びに金属配線の信頼性評価のためのプログラムを格納した記録媒体 Download PDF

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Description

本発明は、金属配線の故障原因であるエレクトロマイグレーション(EM)損傷を予測して、信頼性を評価する技術に関する。
技術背景
半導体デバイスの高集積化に伴い、微細素子を接続する金属配線に関し、その微細化に伴う信頼性低下が重要な問題である。金属配線の主な故障原因としてエレクトロマイグレーション(EM)が挙げられる。EMとは、高密度電子流により配線を構成する金属原子が移動する現象のことである。EMによる原子流束が不均一な場所では、局所的な原子の損失あるいは蓄積が生じ、これを原子流束の発散という。原子の損失あるいは蓄積によりそれぞれボイド(空隙部)やヒロック(金属原子塊)が生じる。通電に伴いボイドが成長し配線の断面積が減少すると、電流密度は増加しそれに伴い局所的に温度が上昇して溶断に至る。配線の信頼性確保のためには、ボイドあるいはヒロックの形成および断線といったEM損傷の的確な予測が肝要である。
これまでに、二次元の電流密度および温度分布がボイド形成に与える影響についての検討がなされ、配線の電流密度、電流密度勾配、温度、温度勾配、配線を構成する材料の物性がボイド形成の影響因子であることが明らかにされている。原子流束の発散を如何に高精度にしかも容易に求めるかがEM損傷予測の鍵である。これまでも一次元の温度分布を考慮した原子流束の発散の定式化が行われてきており、これに基づいて直線状の多結晶配線を対象に断線予測が行われている。しかし、配線の結晶粒組織すなわち、配線構造を考慮していないため、その適用は限られたものであった。また、単結晶の連続であるバンブー配線に関しては電流密度と温度の二次元分布を考慮した原子流束の発散については未だ検討がされていない。
配線の寿命予測はEM加速条件下の断線試験結果を実用条件下に外挿することにより行われる。この外挿には現在経験式が用いられているが、加速試験条件の選択や配線形状により予測結果が異なるといった問題があり普遍的な寿命予測法の開発が待たれていた。
本発明の目的は、バンブー配線のEM損傷支配パラメータである原子流束発散(AFDgen)により、ボイド或いはヒロック形成といったEM損傷および同損傷による配線の断線故障に関する予測を行うことである。
上記目的を達成するために、本発明は、バンブー配線を要素分割して、数値解折手法により、電流密度および温度分布を求め、結晶粒内の原子流束の発散式AFDlatを求め、バンブー配線における原子流束発散(AFDgen)の式を以下のように予め導出し、
Figure 0004889040
導出した原子流束発散(AFDgen)の式を用い、前記電流密度および温度分布と配線材料の物性定数とにより、前記分割した各要素の原子流束発散を計算し、計算した原子流束発散から、各要素の体積減少を求め、各要素の厚さの変化を求めとともに、各動作を繰り返すことにより、厚さを貫通する要素が配線幅を占める状態、或いは厚さを貫通する要素または温度が材料の融点を超える要素が配線幅を占める状態となるまで処理を行い、配線寿命および断線箇所を予測することを特徴とする。
上記の処理を実行する装置および上記の処理をコンピュータに実行させるプログラムを格納した記録媒体も本発明である。
上記の説明のように、本発明のシミュレーションにより、金属配線の寿命および故障箇所の的確な予測を行うことができる。
本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。まず、EM損傷支配パラメータ(AFDgen)の導出の概要を説明する。
(基礎的な式)
金属薄膜配線におけるEMは、結晶粒界に沿って、さらに格子拡散として結晶粒内でも生じる。よって、配線における原子流束の発散の総和AFDgenを結晶粒界および結晶粒内における原子流束の発散(Atomic Flux Divergence)の和で表し、次式で定義する。
[数2]
AFDgen=AFDgb+AFDlat (1)
ここに、AFDgbおよびAFDlatはそれぞれ結晶粒界および結晶粒内における原子流束の発散である。式(1)は、多結晶配線およびバンブー配線の双方について成立する。AFDgbおよびAFDlatを、多結晶配線およびバンブー配線の各々の配線構造を考慮して導出する。ここで結晶粒界および結晶粒内における原子の移動はともに次式で与えられる。
Figure 0004889040
ここに、Jは原子流束ベクトル、Nは原子密度、kはボルツマン定数、Tは絶対温度、Z*は有効電荷数、eは単位電荷、およびρは電気抵抗率であり、Dは次式で表される拡散係数である。
Figure 0004889040
ここに、D0は振動数項であり、Qは活性化エネルギである。またj*はJ方向の電流密度であり、結晶粒界においては原子が粒界にそって移動することから、j*は電流密度ベクトルjの結晶粒界方向成分である。一方、結晶粒内においては、Jとjの方向が一致することから、j*は|j|と等しくなる。図1に示す様に、jと結晶粒界とのなす角をφとすれば、
Figure 0004889040
Qは、結晶粒界または結晶粒内における値をとり、それぞれQgb、Qlatと表す。
(結晶粒界における原子流束の発散)
最初に結晶粒界における原子流束の発散を考える。まず多結晶配線における結晶粒界を扱う。多結晶配線における結晶粒界を考慮するために、結晶粒界構造のモデルを導入する。図2に示す様に、平均結晶粒径bの√3/6倍の長さを持つ3本の結晶粒界で構成される三重点を内部に一つだけ含む単位厚さの四角形要素を仮定する。同要素の面積は√3b2/4である。結晶粒界IIおよびIIIは結晶粒界Iに対して対称であり、その挟角は120°に近いが、わずかに偏差2Δφが存在するものとする。
電流密度ベクトルjのx方向成分およびy方向成分をそれぞれjx,jyとし、結晶粒界Iとx軸とのなす角をθとすると、結晶粒界I,IIおよびIIIの端部における電流密度ベクトル成分および温度は、図2に示すようにそれぞれ次のように表される。
Figure 0004889040
上述の電流密度ベクトルの成分および温度を式(2)および(3)に代入することにより、それぞれの結晶粒界端における結晶粒界にそった原子流束が得られる。ここに要素から外に出る方向を正と定義する。結晶粒界I,IIおよびIIIの端部における原子流束に粒界の幅δおよび単位厚さを乗じることにより、それぞれの粒界端における単位時間あたりの原子の移動数を得、それらを各々加える。そして微小項を無視し、さらに電流保存則を用いることで式を簡単化し、要素の体積√3b2/4で除す。このようにして、結晶粒界Iとx軸とのなす角がθなる場合の結晶粒界拡散における単位時間、単位体積あたりの減少原子数、すなわち原子流束の発散AFDgbθが次のように与えられる。
Figure 0004889040
ここに、C=ND0*e/k、ρは温度に依存した局部的な抵抗率、およびQgbは結晶粒界における活性化エネルギである。式(5)の右辺におけるかぎ括弧内の第一項は結晶粒界三重点での原子流束の発散に関係する項であり、第二項および第三項は結晶粒界自身での原子流束の発散に関係した項である。また、AFDgbθが正の値をとる場合はボイド(空隙部)の形成を、負の場合はヒロック(金属原子塊)の形成を意味する。
実際の配線を考えた場合はθは任意の値をとる。よってθのとり得るすべての範囲(0<θ<2π)を考慮した流束の発散を求める必要がある。ここでボイド形成のみに着目するものとして、θが0から2πまで変化する場合のAFDgbθの正値のみの期待値を求める。ここに、AFDgbθの負の値はボイド形成に寄与しないために0とみなす。AFDgbθとAFDgbθの絶対値との和をとり2で除すことよって、AFDgbθのボイド形成への寄与分のみを抽出できる。このようにして、多結晶配線の結晶粒界におけるボイド形成に関する原子流束の発散AFDgbを次式のように導出する。
Figure 0004889040
次にバンブー配線における結晶粒界を扱う。バンブー配線においては結晶粒界がほとんど存在せず、存在したとしても配線長さ方向に垂直であるため、バンブー配線における結晶粒界での原子流束の発散は無視することができる。よって次式を得る。
[数9]
AFDgb=0 (バンブー配線) (7)
(結晶粒内における原子流束の発散)
結晶粒内におけるEMによる格子拡散を考える。多結晶配線においてもバンブー配線においても格子拡散は同様に扱うことができる。結晶粒内においては原子流束ベクトルJに関してベクトル解析が可能である。式(2),(3)および(4b)に基づいて単位時間、単位体積あたりの原子の減少数AFD’latは次式で得られる。
Figure 0004889040
ここにQlatは格子拡張の支配的な粒内拡散の活性化エネルギである。さらに結晶粒界における原子流束の発散AFDgbの導出と同様に、ボイド形成のみに着目すると、多結晶配線およびバンブー配線の結晶粒内におけるボイド形成に関する原子流束の発散は次式にように導出される。
Figure 0004889040
(多結晶配線およびバンブー配線のEM損傷支配パラメータ)
式(1)のAFDgbとAFDlatの和で表される配線の原子流束の発散の総和AFDgenに基づいて、多結晶配線およびバンブー配線における原子流束の発散を考える。さて、一般的な使用温度においては、結晶粒内での原子流束の発散は結晶粒界のそれと比較して無視できるほど小さい。よって、多結晶配線における原子流束の発散は、結晶粒界での原子流束の発散のみを考慮すれば十分である。したがって、多結晶配線におけるEM損傷の支配パラメータは以下の式で表される。
Figure 0004889040
式(10)および式(5)より、多結晶配線における原子流束の発散には、電流密度、電流密度勾配、温度および温度勾配が影響を及ぼしていることが分かる。
次に、バンブー配線における原子流束の発散を考える。バンブー配線における原子流束の発散は、式(7)と式(9)の和で表されるので、結晶粒内の発散のみを考慮すればよい。したがって、バンブー配線におけるEM損傷の支配パラメータは以下の式で表される。
Figure 0004889040
式に与える電流密度および温度の分布は数値解析により求める。解析の基礎式は、次のように表される。電界のポテンシャルφeを支配する式は
Figure 0004889040
で表される。オームの法則は、
Figure 0004889040
と表される。定常熱伝導方程式は、
Figure 0004889040
ここで、電流問題における抵抗率は一定と仮定しており、Hは配線から基板への熱の流れに関する定数で、∇2=∂2/∂x2+∂2/∂y2である。
配線材料の物性定数は、直線状の配線を用いた加速試験(acceleration test)により決定される。定数ρ0およびαは、直線形状の金属配線の電気抵抗を計測することで得られる。定数Hは数値解折から得た温度分布を基に計算した金属配線の電気抵抗値が計測値と等しくなるように決める。多結晶配線に対する活性化エネルギQgbは、1/Tに対するlnVT/(jinρ)のプロットの傾斜から与えられる。ここでjinは入力電流密度、Vは3つの加速条件の場合における一定時間通電後の配線の中心領域のボイドの体積である。ボイドの体積は走査電子顕微鏡(scanning electron microscope:SEM)により計測したボイドの全面積に薄膜の厚さを乗じることで推定する。一方、バンブー配線における結晶粒内の活性化エネルギQlatは、lnVT2/ρを1/Tに対してプロットした直線の傾きから求める。ここでVは、直線形状のバンブー配線に3種類の異なる基板濃度において電流を一定時間入力し、通電後それぞれについて配線陰極端近傍を原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope AFM)により計測して得られるボイド体積である。定数Δφは、配線の中心領域内のボイド体積と陰極側の端近傍のボイド体積の比の計算値が、計測値の比と等しくなるように決める。定数Cgbは実験で計測されたボイド体積と計算値との関係から得られる。このように、すべての未知定数は直線の配線を用いた実験結果のみから決定できる。
(AFDgenを用いた数値シミュレーション)
金属配線における寿命および断線箇所は、ボイドの初生、成長から断線故障までのプロセスの数値シミュレーションを多結晶配線やバンブー配線のAFDgenを用いて行うことにより予測する。ここで、ボイド成長に伴う電流密度および温度の分布の変化をAFDgenの計算において考慮する。
数値シミュレーションにおいて、金属配線は要素に分割される。より小さい要素サイズを用いるとより現実に近い結果を得ることができる。要素の厚さは、図3のフローチャートに示される手順で変化させる。まず、電流密度および温度の分布は2次元有限要素解析(FEM解析)などの数値解析手法により得られる(S304)。各要素の原子流束の発散AFDgenは、これらの分布と予め加速試験により決定される配線材料の物性定数(S306)を用いることにより計算される(S308)。シミュレーションにおける1計算ステップあたりの体積減少(S312)は、各要素の体積、1計算ステップに対応する時間、原子体積を計算された原子流束の発散に乗じることにより与えられる(S310)。ここで1計算時間は現実の時間を割り当てる。体積の減少量を、各要素における厚さの減少量に換算する(S314)。厚さが減少した要素においては、ボイドが形成されたことを示しており、そのボイドの深さは要素の厚さの減少量に対応している。金属配線における電流密度と温度の分布の数値解析を各要素の厚さを考慮して再び行う(S304)。このように図3に示す計算を繰り返し行う。
(多結晶配線における数値シミュレーション)
この手順による多結晶配線に対する数値シミュレーションは、ある時間経過後のボイドの分布および故障箇所を十分に予測することができる。さらに寿命の予測を行うために、次のことをシミュレーションにおいて考慮する必要がある。結晶粒界に沿って選択的に成長し、スリット状に成長したボイドが互いに結合しながら配線幅の方向へ伸びるという、多結晶配線におけるボイドの成長形態(morphology)である。パラメータAFDgenは、ボイド形成が結晶粒界において行われるとの仮定に基づいて導出されているが、最終的に金属配線の任意の点におけるボイド形成の期待値に拡張されている。ここで、もう一度ボイド形成の形態を、結晶粒界に沿ったスリット状のボイドの形成に変換する。配線の要素分割において、スリット状のボイドを構成するための専用の要素を、図4のように配置する。ここで、図4Aは、後に図6で用いられる配線の有限要素モデルの例を示している。図4B、図4C、図4Dはそれぞれの箇所の拡大図である。
スリット状のボイドのための専用の要素の厚さは、その要素および隣接する要素におけるAFDgenの計算に基づいて減少する。スリットのピッチは平均結晶粒径により定められる。スリットの幅は、配線材料の物性定数の1つであるが、図5に示す手順に従って得ることができる。
図5において、SEM観察を行いながら、加速試験を断線故障が起こるまで実施する(S504)。故障が起きる寸前に得た金属配線のSEM画像から、スリット状のボイドが密集する領域、即ち断線故障がまもなく生じる場所を抽出する(S502)。配線の長手方向軸に沿った密集する領域の長さ(S506)をスリットのピッチで割って、密集領域に含まれるスリットの数を得る(S510)。他方、密集領域中のスリット状のボイドの全面積を測定する(S508)。ボイドの全面積をスリットの数および配線幅で割ると、シミュレーションにおけるスリットの実効幅が得られる(S512)。スリット幅の決定の実験は、定数ρo ,α,H,Δφ,およびCgbを決定するために使用される試料を用いて行われる。
スリット状ボイド形成用の要素の厚さの変化を考慮して、寿命予測に対する数値シミュレーションの計算プロセスは、厚さを貫通する要素が配線幅を占める状態或いは厚さを貫通する要素または温度が材料の融点を超える要素が配線幅を占める状態と定義した金属配線の故障まで繰り返し実行される。このように、数値シミュレーションは、動作条件における金属配線の寿命とともに故障箇所を予測することができる。
(多結晶配線における予測方法の検証)
図6に示す2つのアルミニウム多結晶配線を寿命と故障箇所の予測に使用した。折れ曲がった金属配線は電流密度と温度が2次元分布となる。また予測に必要な定数は、直線配線を用いた簡単な加速試験により与えられる。2つの配線を試料1および試料2と呼ぶ。これらは図6Aに示す様に、形状のみならず試験条件も異なっている。
一般的な動作条件と比較して、高い電流密度と温度を試験条件として選択した。この理由は、実験による検証に必要な時間を短縮するためである。AFDgenを計算するための物性定数は、図14の表に示すように求められる。平均結晶粒経サイズは、集束イオンビーム(focused ion beam :FIB)装置を用いて測定される。数値シミュレーションを実行することにより、エレクトロマイグレーションによる断線故障は、試料1および試料2のそれぞれに対して予測される。試料1の場合の、AFDgen分布およびボイド分布における時間に対する変化は、図7および図8にそれぞれ示されている。試料2の場合の、AFDgen分布およびボイド分布における時間に対する変化は、図9および図10にそれぞれ示されている。時間に関するボイド分布の変化は、膜厚の等値線により示されている。ボイド成長による電流密度と温度の分布の変化により、AFDgen分布は時間とともに変化する。試料1の場合、金属配線故障は、7700sの寿命で起こり、故障箇所は配線の陰極端部であると予測される。他方、試料2に対する故障は、寿命3400sで起こるとともに、故障箇所としては角部の陰極側であると予測される。
この予測結果を検証するために、シミュレーションと同じ配線の寸法および条件で実験が行われた。試料1として11個の試験片が使用され、試料2として12個の試験片が使用された。アルミニウム薄膜を真空蒸着により、シリコン酸化膜に覆われているシリコン基板上に形成する。試験片は、アニーリングの後、エッチングによりパターン化する。試験片は図11に示す装置を用いて、金属配線が開路(open)するまで試験される。その後、試験片はSEMで観察される。
図12および図13に、断線故障の頻度分布と故障するまでの平均時間の実験結果を示す。図12Aに示すように、試料1の場合、11個の試験片全てから得られた故障までの平均時間は6731sである。最も頻度が高い故障箇所は、配線の陰極端である。予測された故障箇所、即ち陰極端で開路した6個の試験片の平均断線時間は6820sであり、これは11個の試験片から得られた故障までの平均時間に近い。他方、試料2では、12個全ての試験片から得られた故障までの平均時間は3655sであり、角部の陰極側が最も故障の頻度の高い箇所の1つである(図13A参照)。
(バンブー配線における数値シミュレーション)
バンブー配線EM損傷の支配パラメータAFDgenを用い、EMによるボイドの形成、成長から断線に至る過程の数値シミュレーションを行う。これにより、ボイドの形成、成長に伴う電流密度の分布および温度分布の時間変化を考慮して配線寿命および断線箇所を予測することが可能となる。
シミュレーションでは、想定した配線を図15に示すように要素分割し、各々の要素厚さを図3のフローチャートに示した方法で変化させる。二次元有限要素解析等の数値解析手法により配線内の電流密度および温度の分布を求め(S304)、その結果と予め実験で求めた配線の物性定数(S306)を用いて、各要素のAFDgenを計算する(S308)。これに各要素の体積、シミュレーション上の1タイムステップの時間および原子体積を乗じる(S310)ことにより、各要素で1タイムステップの間に減少する体積を算出する(S312)。ここに1タイムステップの時間は実際の時間に対応している。各要素の体積を減少させ、これに応じて各要素の厚さを変化させる(S314)。厚さが減少した要素においてはその減少分に対応した厚さのボイドが形成されたとみなす。次いで、厚さ変化に対応した電気抵抗変化および熱伝導変化を各要素に考慮した上で、再度電流密度、温度の数値解析を行い、以降の計算を繰り返す。厚さが初期の厚さに比べ十分に零とみなせるようになった要素が配線幅方向に貫通した時点、或いは厚さが零の要素または温度が材料の融点を超える要素が配線幅を占めた時点をシミュレーション上の断線と定義し、計算を終了する。
(バンブー配線における予測方法の検証)
断線予測対象として図16に示す三種類のAlバンブー配線を用いた。ここで折れ曲がる配線においては電流密度分布、温度分布は二次元分布を呈する。配線角部から陽極端までの長さをA、配線角部から陰極端までの長さをBとする。A=14.0μm、B=8.0μmの配線をASYM(+)、A=11.2μm、B=10.9μmの配線をSYM、A=8.0μm、B=13.9μmの配線をASYM(−)と呼ぶことにする。それぞれの形状において、入力電流密度、基板温度の試験条件は同一とした。配線幅は図16に示すが如く一定ではなく、角部より陽極側の配線幅の方が陰極側よりわずかに細い。検証実験に要する時間の短縮のため、一般的な実用条件よりも高い約15MA/cm2なる高密度電流と393Kなる温度を試験条件として選んだ。流した電流量は72.0mAである。AFDgen計算に必要な薄膜の物性値は、図17に示す表のように求まった。なお本予測において定数Hとλは、直線形状の配線と折れ曲がる配線の各々について、二次元有限要素解析による温度分布のシミュレーションに基づいて計算した配線抵抗値とそれぞれの形状における実験で計測した配線抵抗値が一致するように決定した。一般に薄膜の熱伝導率はバルクのそれよりも低いといわれているが、得られたλは1.55×10-4W/(μm・K)であり、バルク値よりも低い。
以上のような物性を用いて数値シミュレーションを行い、ASYM(+)、SYM、ASYM(−)の三種類の配線各々についてEMによる断線を予測した。
ASYM(+)の場合におけるAFDgenの分布とボイドの分布の経時変化をそれぞれ図18および19に示す。また同様に、SYMの場合を図20および21に、ASYM(−)の場合を図22および23にそれぞれ示す。ここでボイド分布は配線厚さの等値線により表示している。AFDgenの分布はボイドの成長に伴う電流密度および温度分布の変化により通電開始後、時間の経過とともに変化をしている。ASYM(+)については、配線角部の陽極側で通電開始後7100s後の断線を予測した。また、SYMについては、角部陽極側で7000s後の断線を予測した。一方ASYM(−)については、配線の陰極端近傍で5200s後の断線を予測した。
本断線予測法の有効性の検証のため、断線予測で想定した三種類の形状の配線を用い、同様の試験条件で断線試験を行った。この断線試験は、図11に示す実験装置を用い断線まで通電を行った。断線後、電界放出型電子顕微鏡(FE-SEM)で観察を行った。実験にはそれぞれASYM(+)で9本、SYMで10本、ASYM(−)で11本の試験片を用いた。以上の断線実験について、ASYM(+)、SYMおよびASYM(−)の試験片の実験結果をそれぞれ図24〜26に示す。図中に配線の断線の度数分布と配線寿命の平均値を示す。ASYM(+)の場合、9本の試験片における平均断線時間は9160sであり、配線が最も多く破断した箇所は配線角部陽極側であった。数値シミュレーションで予測した断線箇所である角部陽極側で断線した4本の試験片の平均断線時間は7965sであり、9本すべての試験片における平均断線時間と近かった。一方、SYMの場合、10本の試験片における平均断線時間は7836sであり、配線が最も多く破断した箇所は配線角部陽極側であった。断線した5本の平均断線時間は7344sであり、ASYM(+)と同様に10本すべての試験片における平均断線時間と近かった。さらにASYM(−)の場合、11本の試験片における平均断線時間は6996sであり、最も多く破断した箇所は配線の陰極端近傍であった。数値シミュレーションで予測した断線箇所である配線陰極端で断線した6本の試験片の平均断線時間は6160sであり、11本すべての試験片における平均断線時間と近かった。
(結論)
予測と実験結果は配線寿命、断線箇所の両者において良好な一致を示した。実験の断線箇所には若干のばらつきが存在するが、本予測法では配線が最も多く破断した箇所を予測することができた。このことから、配線を構成する薄膜の物性値と実用条件が与えられれば、EM損傷の支配パラメーターであるAFDgenを用いた数値シミュレーションを実行することにより、任意の形状の金属薄膜配線の任意の実用条件下における寿命と断線箇所の予測を行うことが可能であることが示され、本予測法の有効性が実証できた。
エレクトロマイグレーションにより誘発されるボイド形成は、電流密度、温度、これらの勾配のほか、電気抵抗率、平均結晶粒径、活性化エネルギー、結晶粒界間の相対角度、原子密度、拡散係数、実効電荷、結晶粒界の実効幅のような材料物性に依存する。これらの因子の関数として求められたパラメータAFDgenは、ボイド形成を支配している。金属配線の断線故障は、ボイド形成とその成長の結果起こる。故障箇所は配線の形状や基板温度および入力電流密度等の動作条件により決まるこれら因子の組合せで変化する。すなわち、ある場合には折れ曲がる金属配線の角部で故障が生じ、ある場合には折れ曲がる配線の陰極端部で起こる。AFDgenを基礎とする本発明のシミュレーションにより、金属配線の寿命および断線故障箇所の予測が的確に行われる。
本発明は、スタンド・アローンのコンピュータ・システムばかりではなく、複数のシステムから構成される例えばクライアント・サーバ・システム等に適用してもよい。本発明に関する予測を行うためのプログラムを格納した記憶媒体から、プログラムをシステムで読み出して実行することにより、本発明の構成を実現することができる。この記録媒体には、フロッピー・ディスク、CD−ROM、磁気テープ、ROMカセット等がある。
結晶粒界における原子流束と電流密度を示す図である。 3本の結晶粒界で構成される三重点を内部に一つだけ含む単位厚さの四角形要素の結晶粒界構造のモデルを示す図である。 数値シミュレーションの処理を示すフローチャートである。 多結晶配線の数値シミュレーションに用いる要素分割の例を示す図である。 配線材料の物性定数であるスリットの実効幅を求めるための手順を示すフローチャートである。 多結晶配線の数値シミュレーションを行う2つの試料について示した図である。 多結晶配線(試料1)におけるAFDgen分布の数値シミュレーション結果を示す図である。 多結晶配線(試料1)におけるボイド分布の数値シミュレーション結果を示す図である。 多結晶配線(試料2)におけるAFDgen分布の数値シミュレーション結果を示す図である。 多結晶配線(試料2)におけるボイド分布の数値シミュレーション結果を示す図である。 検証実験のための装置を示すブロック図である。 多結晶配線(試料1)における実験結果を示す図である。 多結晶配線(試料2)における実験結果を示す図である。 多結晶配線の数値シミュレーションに用いる材料物性の定数である。 バンブー配線の数値シミュレーションに用いる要素分割の例を示す図である。 バンブー配線の数値シミュレーションを行う3つの試料について示した図である。 バンブー配線(ASYM(+))の数値シミュレーションに用いる材料物性の定数である。 バンブー配線(ASYM(+))におけるAFDgen分布の数値シミュレーション結果を示す図である。 バンブー配線(ASYM(+))におけるボイド分布の数値シミュレーション結果を示す図である。 バンブー配線(SYM)におけるAFDgen分布の数値シミュレーション結果を示す図である。 バンブー配線(SYM)におけるボイド分布の数値シミュレーション結果を示す図である。 バンブー配線(ASYM(−))におけるAFDgen分布の数値シミュレーション結果を示す図である。 バンブー配線(ASYM(−))におけるボイド分布の数値シミュレーション結果を示す図である。 バンブー配線(ASYM(+))における実験結果を示す図である。 バンブー配線(SYM)における実験結果を示す図である。 バンブー配線(ASYM(−))における実験結果を示す図である。

Claims (3)

  1. バンブー配線を要素分割して、数値解折手法により、電流密度および温度分布を求める手段と、
    結晶粒内の原子流束の発散式AFDlatを求め、バンブー配線における原子流束発散(AFDgen)を以下の式で予め導出し、
    Figure 0004889040
    導出した原子流束発散(AFDgen)の式を用い、前記電流密度および温度分布と配線材料の物性定数とにより、前記分割した各要素の原子流束発散を計算する手段と、
    計算した原子流束発散から、各要素の体積減少を求める手段と、
    各要素の厚さの変化を求める手段とを有し、
    各手段の動作を繰り返すことにより、厚さを貫通する要素が配線幅を占める状態、或いは厚さを貫通する要素または温度が材料の融点を超える要素が配線幅を占める状態となるまで処理を行い、配線寿命および断線箇所を予測することを特徴とする金属配線の信頼性評価装置。
  2. バンブー配線を要素分割して、数値解折手法により、電流密度および温度分布を求めるステップと、
    結晶粒内の原子流束の発散式AFDlatを求め、バンブー配線における原子流束発散(AFDgen)を以下の式で予め導出し、
    Figure 0004889040
    導出した原子流束発散(AFDgen)の式を用い、前記電流密度および温度分布と配線材料の物性定数とにより、前記分割した各要素の原子流束発散を計算するステップと、
    計算した原子流束発散から、各要素の体積減少を求めるステップと、
    各要素の厚さの変化を求めるステップとを有し、
    各ステップの動作を繰り返すことにより、厚さを貫通する要素が配線幅を占める状態、或いは厚さを貫通する要素または温度が材料の融点を超える要素が配線幅を占める状態となるまで処理を行い、配線寿命および断線箇所を予測することを特徴とする金属配線の信頼性評価方法。
  3. 請求項2に記載の信頼性評価方法の各ステップをコンピュータに実行させるプログラムを格納した記録媒体。
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