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JP4890106B2 - 機能性フィルタ材の製造法 - Google Patents
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JP4890106B2 - 機能性フィルタ材の製造法 - Google Patents

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Description

本発明は、高温使用時の耐久性が高く且つ通気性が良好であるフィルタ材の製造法に関する。
都市ゴミ焼却炉やボイラから空気中へ放出される排ガスには、煤塵などの固形成分、塩化水素、窒素酸化物、硫黄酸化物、一酸化炭素に加えて、ダイオキシン類のような有害物質が多種多量に含まれている。この排ガスの放出基準は、公害防止のために年々厳格化されているので、焼却炉メーカは、高度な排ガス処理が可能なように炉の構造や機能を改善するとともに、フィルタ製造業者に対してバグフィルタ自体の性能アップを強く要望している。
この種のフィルタ材として、特開平8−196830号では、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製の基布をステープルファイバのフェルト層の中央部に配置し、該基布の両側または2枚の基布の間に触媒などの微粉末を混在させてからニードルパンチを行って濾過布を形成する。特開平10−230119号では、触媒粉末を濾布の繊維に付着させ、さらに該濾布の片面にPTFEの多孔質薄膜を貼り合わせている。特開平11−244636号では、触媒などの活性微粒子スラリを基布に含浸させて乾燥し、ついで該基布の両側にウェブ状のフィルタ材を供給してから全体を圧着する。また、特開2005−7394号では、触媒粉末を粉末状接着剤と混合し、この混合粉末をフェルトシート上に散布してから、別のフェルトシートを積層して全体を加熱処理し、さらに全体にニードルパンチ加工を行っている。
特開平8−196830号に開示のフィルタ材は、触媒などの微粉末が混在した基布をフェルト層の内部に挟持させ、外側のフェルト層で微粉末を担持するので、微粉末が脱落することなく長期間保持され、排ガス中の有害物質を効率良く除去する。特開平10−230119号に開示のフィルタ材は、濾布の表面に密着した多孔質薄膜によって逆洗時の触媒粉末の脱落を防止するとともに、ダストなどによる触媒の汚損を防止する。特開平11−244636号に開示のフィルタ材は、活性微粒子を担持する基布が両側のフィルタ材で保持されることにより、活性微粒子がフィルタ材表面から脱落せず活性を長期間維持できる。また、特開2005−7394号に開示のフィルタ材は、触媒粉末が接着剤の溶融で固着され、使用時に該接着剤を排ガスの熱で変性させるので、別のフェルトシートを積層して全体を加熱処理し製造時と使用時において触媒粉末の脱落が殆どなく、長期間に亘って排ガス中に含まれる有害物質を除去できる。
特開平8−196830号公報 特開平10−230119号公報 特開平11−244636号公報 特開2005−7394号公報
特開平8−196830号に開示のフィルタ材は、触媒などの微粉末を外側のフェルト層で微粉末を担持するだけであるので、ニードルパンチ加工時に微粉末が飛散したり、逆洗時にパルスジェットによる衝撃で微粉末がフェルト層から脱落しやすく、長期間に亘って使用することが困難である。特開平10−230119号や特開平11−244636号に開示のフィルタ材は、基布を触媒スラリに浸漬した後に乾燥するいわゆる含浸法によって触媒が保持されるため、前記と同様に触媒の付着が十分ではなく、パルスジェットなどによって触媒がフィルタ材から脱落しやすく、長期間の使用が不可能でフィルタ材の寿命が短く、脱落した触媒が系外に流出して汚染問題が発生することもある。
一方、特開2005−7394号に開示のフィルタ材は、触媒を含む混合粉末がフェルトシートに挟み込まれたうえに接着剤で該シートに固着されているので、製造や使用段階において触媒粉末が脱落しない反面、触媒粉末を混合機からシート上に散布するので、シート間の触媒層の厚みが不均一になりやすく、有害物質を確実に除去する点で不十分な場合が生じる。さらに、触媒粉末と共存する粉末状接着剤は、製造時に溶融されるけれどもフィルタ材の使用時まで存在することにより、該接着剤がPVA(ポリビニルアルコール)であると、150〜250℃の高温で排ガス処理が行われた際に、PVAと触媒が化学反応してPTFEのフェルトシートを溶かし、フィルタ材が短期間で使用不可能になってしまうおそれがある。このフィルタ材は、触媒を担持するために全体を熱圧着するので通気性が低下し、高温の排ガスの通過の際にムラができて局部的に高温になり、PVAが反応を起こす可能性がさらに高くなる。
本発明は、従来のフィルタ材に関する前記の問題点を改善するために提案されたものであり、機能性物質の微粉末を液状バインダに分散させて固着することにより、製造時および使用時に機能性物質の微粉末の脱落が殆どなく且つ機能性物質層の厚みが均一である機能性フィルタ材の製造法を提供することを目的としている。本発明の他の目的は、使用前にバインダを熱処理によって取り去ることにより、長期間に亘って使用可能な機能性フィルタ材の製造法を提供することである。本発明の別の目的は、機能性物質を担持させるための熱圧着を行わないので、通気性が低下することが少なく、高温の排ガスの通過にムラが発生しない機能性フィルタ材の製造法を提供することである。
本発明に係る製造法は、機能性物質の厚みが全表面で均一に形成されている機能性フィルタ材を製造する方法である。本発明に係る製造法で、機能性物質の微粉末を液状バインダに分散させ、この分散溶液をフェルトシートに付着させて微粉末をシート面に均一に固着してから、高温の熱処理によってバインダを熱分解または気化させて取り去る。さらに、機能性物質の微粉末の固着面上に他方のフェルトシートを重合させ、ニードルパンチによって全体を一体化させる。また、機能性物質の微粉末をシート面に固着してから、この機能性物質の微粉末の固着面上に他方のフェルトシートを重合させ、ニードルパンチによって全体を一体化させた後に、高温の熱処理によってバインダを熱分解または気化させて取り去ってもよい。
本発明に係る製造法では、2枚のフェルトシートは、耐熱性繊維のカードラップをプレパンチすることによって作製し、両フェルトシートを両者の重合前にいずれも200〜250℃で熱処理すると好ましい。好ましくは、液状バインダは温水に溶解したPVAであり、機能性物質の微粉末に水を加えて撹拌して分散させ、ついでこの分散液を撹拌しながら所定量の液状バインダを添加する。
本発明に係る製造法では、2枚のフェルトシートの一方または両方に耐熱性繊維の基布を介在させて一体化させ、該基布はフェルトシートの内側面または中間に配置すると好ましい。また、ニードルパンチによって全体を一体化させた後に、さらにフッ素系樹脂の多孔質膜をラミネートしたり、フッ素系樹脂をコーティングすることが可能である。さらに、機能性物質の微粉末を含む分散バインダ液を2枚のフェルトシートの表面のいずれにも付着させて微粉末を固着し、ついで両方の微粉末の固着面を接合して一体化させることも可能である。
本発明を図面によって説明すると、図1には本発明方法で製造した機能性フィルタ材1を例示し、該フィルタ材は、典型的にはフェルトシート2,3の間に機能性物質層5を挟み込んだ構造を有する。機能性物質の微粉末は、液状バインダに分散させ、図5に示すように、この分散バインダ液6をフェルトシート2または3に付着させて微粉末をシート面に均一に固着すればよく、ついで加熱炉7などを通過させて乾燥し、機能性物質層5を積層したフェルトシートを得る。
本発明で用いる繊維シートであるフェルトシート2,3は、耐熱性繊維のウェブまたはカードラップをプレパンチして作製すると好ましく、通常のウェブや不織布を使用することも可能である。この繊維シートとして、製造プロセスから分類するとニードルパンチ、スパンボンド、スパンレース、メルトブロ−ン、ステッチボンド、湿式フェルトなどが例示できる。このプレパンチは、例えば、針本数30〜200本/cm、深さ10〜17mmで下向きまたは上下方向にパンチすればよい。各フェルトシートの目付は、一般に200〜500g/mである。
フェルトシート2,3に使用する耐熱性繊維として、PTFE繊維、ポリアミド繊維、ポリイミド繊維、ポリアミドイミド繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、セラミックス繊維、ガラス繊維が例示できる。この耐熱性繊維は、高温の熱処理の際に溶融しないように、融点が250℃前後であると好ましい。この種の好適な有機繊維として、PTFE繊維(融点327℃)、ポリエステル繊維(融点255〜260℃)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)繊維(融点287℃)、ポリエーテルエーテルケトン繊維、66ナイロン繊維(融点250〜260℃)、ヘテロ環繊維などがあり、これらの繊維および他の高耐熱性繊維や無融点繊維を複合繊維や混合繊維の態様で使用してもよい。
フェルトシート2,3は、触媒などの機能性物質の粒径に対して、プレパンチによってより小さい開孔にすることが望ましい。フェルトシート2,3の開孔は、例えば、排ガスの通過を妨げない程度の30〜80μmであり、基布8(図2)を介在させる場合には、フェルトシート2,3の開孔を適宜調整すればよい。このような開孔であると、逆洗時の打撃の際に機能性物質の粉末の脱落をより確実に防止できる。
2枚のフェルトシート2,3は、所望に応じて、その一方または両方に耐熱性繊維の基布8を介在させてもよく、該基布はプレパンチによってシートと一体化させることが望ましい。基布8は、フェルトシート2,3と同様に耐熱性であって、織布、編物、不織布、メッシュ地などであればよく、その目付は通常80〜150g/mである。フェルトシート2,3と基布8との一体化は、プレパンチ加工のほかに、縫製または接着剤によって別個に行ってもよい。基布8は、一般にフェルトシート2,3において機能性物質層5側の片面に介在させると好ましい。
本発明で使用する微粉末状の機能性物質は、用途に応じて、排ガス中のダイオキシン類などの有害物質を分解する触媒、塩化水素や酸化硫黄などを吸着する活性炭または活性コークスなどである。通常使用する触媒は、例えば、チタン、ケイ素、銅、鉄、マンガン、銀、クロム、アルミニウム、ジルコニウム、金、白金、モリブデン、バナジウム、タングステン、コバルトなどの金属酸化物のうちの少なくとも1種からなればよい。特に、チタン、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウムのような金属酸化物を主成分とし、さらにバナジウム、タングステン、銀、クロム、モリブデン、金、白金、コバルト、銅、鉄のような金属酸化物を担持させると好ましい。一例として、触媒は、チタンおよびバナジウムの酸化物である二酸化チタン(TiO)および五酸化バナジウム(V)からなる。
金属酸化物の触媒は、排ガス中の有害物質であるダイオキシン類に対する分解能が高く、有機ハロゲン化合物以外の有機化合物、硫黄酸化物、窒素酸化物、一酸化炭素などを分解・変性することも可能である。例えば、触媒の粒径は、フェルトシート2,3の開孔より大きくなるようにハニカム状の塊をジェット粉砕すればよく、平均粒径が100〜300μmであると好ましい。
機能性物質には、前記の金属酸化物触媒に加えて、硫黄またはその化合物、リンまたはその化合物などを微量含有してもよく、これらの物質を金属酸化物触媒に添加すると、ダイオキシン類に対する分解作用をいっそう向上させることができる。触媒の含有量は、排ガスに含まれる有害物質を効率的に除去でき且つ所定のガス通過量を確保することができる範囲で設定すればよく、例えば、50〜1000g/m含有すると好ましい。
一方、本発明で用いる液状バインダは、機能性物質の微粉末を確実にシート面に固着でき、且つ高温の熱処理によって熱分解、気化、溶解、収縮などで実質的に除去できることを要する。高温の熱処理によって実質的に取り去り可能な液状バインダは、例えば、水などの溶媒に溶解したPVA溶液であり、この他に比較的低融点である熱可塑性樹脂溶液であると使用可能である。液状バインダがPVA溶液である場合、機能性物質の微粉末に水を加えて撹拌して均一に分散させ、ついでこの分散液を撹拌しながら所定量の液状バインダを添加すればよい。
機能性物質の微粉末を分散させたバインダ液6は、フェルトシート2および/または3に付着させて微粉末をシート面に均一に固着してから乾燥する。この液状バインダの付着は、図5に例示するようなローラ10を用いるロールコーティングであっても、スクリーン印刷法、含浸法、ローラ含浸法、スプレ法などを利用してシート面に付着させてもよい。シート面に固着した液状バインダは、該バインダを取り去る高温の熱処理の前に乾燥させ、機能性物質の微粉末をシート面に確実に固着すると好ましい。
シート面に固着した液状バインダは、乾燥後に高温の熱処理によって熱分解や気化などによってシート面から取り去り、バインダに覆われていた機能性物質の表面を露出させ、排ガスを処理する段階において有害物質と機能性物質との接触頻度を高め、効率的に有害物質を除去することが可能になる。この液状バインダは、機能性物質を確実にフェルトシート2に固着し、逆洗時におけるパルスジェットによる機能性物質の脱落を防止するとともに、通常、200〜250℃で熱処理されることにより、機能性物質の表面を覆ってその働きを妨げる作用が取り除かれることにより、機能性物質による有害物質の除去機能を有効に発揮させる。用いる液状バインダについて、その種類またはその濃度や機能性物質の添加量を増減することにより、熱処理温度と処理時間を調整することができる。
液状バインダの量は、機能性物質を固着するのに十分な量であり且つ高温の熱処理によって実質的に除去できる範囲に設定すればよい。液状バインダの量は、機能性物質に対して70〜200%であればよく、PVAの場合には、PVA粉末が70〜140g/m、水が150〜400g/m程度であると好ましい。
図3に示すように、機能性フィルタ材には、その片面または両面にフッ素樹脂の多孔質膜12を重ね合わせて熱圧着してもよい。図3では、多孔質膜12をフェルトシート3に熱圧着しており、さらにフェルトシート2に多孔質膜を熱圧着することも可能である。また、フェルトシート2,3にフッ素樹脂のディスパージョンなどを含浸してから多孔質膜12を重ね合わせて熱圧着してもよい。図3に示す機能性フィルタ材14は、フェルト本来の特性と多孔質膜12の特性とを併せ持ち、ダストの捕集性能が高く、多孔質膜12に由来する高い非粘着性、低摩擦抵抗性、通気性、撥水性などを有する。
多孔質膜12の素材であるフッ素樹脂は、耐熱性、耐薬品性、非粘着性が優れた厚さ10〜100μmのPTFE樹脂であると好ましい。PTFE樹脂は、そのファインパウダーをペースト押出して延伸・熱処理すると、柔軟で強靱な多孔質膜となる。多孔質膜12として主に機械的特性や電気的特性も利用する分野では、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体(ECTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリビニルフルオライド(PVF)なども使用可能である。PTFE多孔質膜は、十分な捕集性能を有しているので孔径、気孔率、厚さなどを特に限定する必要はない。
本発明の機能性フィルタ材では、その片面または両面にフッ素系樹脂をコーティングすることもできる。このコーティングにより、ダストの離型性が良化する。用いる樹脂は限定されないが、PTFEやFEPのディスパージョンが好ましい。コーティング方法も特に限定することなく、ロールコート法、リバースコート法などを用いると好ましい。コーティング量は10〜100g/m2、好ましくは30〜60g/m2である。100g/m2を超えると通気性の低下が大きくなり、10g/m2未満では離型効果が小さいので好ましくない。
機能性フィルタ材1の厚みは、全体として1〜10mmであり、その全目付は500〜2000g/mであると好ましい。厚みが1〜10mmであると所定のガス流量を確保できるとともに、該フィルタ材をバグフィルタに使用した際に圧損が小さくなる。また、全目付が500g/mより少ないと十分な剛性が得られず、2000g/mを超えると通気性が低下するので好ましくない。
本発明方法で製造した機能性フィルタ材1は、図1のような構造のほかに、図2に示すように、フェルトシート3の片面に基布8を介在させてもよい。この場合には、フィルタ材16は、排ガスの流通方向の上流に向かってフェルトシート3、基布8、機能性物質層5、フェルトシート2の順で積層されるように配置する。排ガスの流通方向の最上流に向かってフェルトシート3を配置することにより、排ガスに含まれるダストがフィルタ内部まで浸入することを基布8で防ぎ、ダストによる触媒の急速な汚損を回避できる。また、図3に示すように、多孔質膜12を積層したフィルタ材14では、排ガスの流通方向の最上流に向かって多孔質膜12を配置することにより、排ガスに含まれる多量のダストを多孔質膜12に付着させ、ダストによるフェルトシート2,3および触媒の急速な汚損を防止できる。この機能性フィルタ材の積層構造は、図1から図3に限定されるものではなく、例えば、フェルトシート2に基布を介在させることも可能である。
機能性フィルタ材1の製造方法は、図5および図6から明らかである。図5では、機能性物質の微粉末を分散したバインダ液6を槽18に収容し、ローラ10を介してフェルトシート3の片面に付着させ、次に加熱炉7を通過させて十分に乾燥する。分散バインダ液6は、ローラ10によって500〜1000g/m付着され、付着量が不足する場合にはローラで2回付着させてもよい。付着したバインダ液6は、約140℃に熱した加熱炉7を通過すると水分が蒸発して固化し、機能性物質の微粉末をバインダ成分によってフェルトシート3に固着でき、機能性物質層5を積層したフェルトシート3をロール20に巻き取ることができる。
図6では、フェルトシート2および積層フェルトシート3をいずれも高温加熱炉22を通し、200〜250℃の高温で熱処理してから両フェルトシート2,2を重合し、さらにニードルパンチ加工を施す。積層フェルトシート3は、加熱炉22において200〜250℃で熱処理されることにより、機能性物質層5中のバインダ分が熱分解または気化され、該機能性物質層5から除去される。フェルトシート2,3を構成する繊維は、高温の熱処理によって柔軟化しているので、上下方向からのニードルパンチ加工24によって十分に絡合し、さらに圧着処理を施すことが不要である。
前記では、機能性物質を分散したバインダ液をフェルトシートに塗布・乾燥し、高温の熱処理でバインダ成分を気化・除去してから、他のフェルトシートとニードルパンチによって一体化した例を示している。この場合、前記バインダを塗布・乾燥し、先にフェルトシートとニードルパンチによって一体化した後に、高温の熱処理でバインダ成分を除去することも可能である。
本発明に係る製造法により、触媒や吸着剤のような機能性物質の微粉末が液状バインダに分散されてフェルトシートに接着され、粉末の散布に比べて機能性物質層の厚みが均一であり、高温の排ガスが通過する際にムラができないので有害物質を確実に除去できる。本発明方法で製造した機能性フィルタ材は、機能性物質がバインダによってフェルトシートに固着され、さらにフェルトシート間に挟み込まれるので、製造時および使用時において機能性物質の微粒子が脱落することが生じない。この機能性フィルタ材は、使用時において機能性物質の微粉末が脱落せず、機能性物質を長期間を保持できることにより、排ガス中の有害物質を効率的に除去できる。
本発明方法で製造した機能性フィルタ材は、使用前にPVAなどのバインダが熱処理によって除去されており、150〜250℃の高温で排ガス処理が行われた際に、残存のPVAが触媒などの機能性物質と化学反応してPTFEのフェルトシートを溶かすことがなく、長期間に亘って使用することが可能である。この機能性フィルタ材は、機能性物質を担持するための熱圧着を行わないので、使用時に通気性が低下することが少なく且つ高温の排ガスの通過が表面全体で均一になり、排ガス中の有害物質をより確実に除去できる。
次に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。図2において、機能性フィルタ材16を例示し、該フィルタ材を構成するフェルトシート2,3は、いずれもPTFE繊維のカードラップをプレパンチして作製する。
フェルトシート2は、プレパンチにおいて、36番手のニードルを用いて針深さ13mmの条件で上方向からニードルパンチし、その目付が420g/mである。一方、フェルトシート3は、プレパンチにおいて、36番手のニードルを用いて針密度40本/cm、針深さ15mmの条件で上方向からニードルパンチした後に、PTFE織布の基布8を重ねてさらに36番手のニードルを用いて針密度150本/cm、針深さ13mmの条件で上下方向からニードルパンチして基布8を一体化する。得たフェルトシート3の目付が420g/m基布8の目付が120g/mである。
機能性物質は、図4に従って液状バインダに分散させる。この機能性物質は、金属酸化物触媒の粉末であり、チタンおよびバナジウムの酸化物である二酸化チタン(TiO)および五酸化バナジウム(V)からなる。液状バインダは、例えば、水などの溶媒に溶解したPVA溶液である。図4のS1において、70〜80℃の温水を撹拌しながら、PVA粉末(品番:JMR−10MDV、日本酢ビ・ポバール製)を徐々に加え、全量110gをダマができないように十分に撹拌する。得たPVA溶液は、S2において1〜2日間放置することで常温まで冷却させる。
一方、機能性物質5である金属酸化物触媒は、S3において40メッシュの篩に掛けて微粉末を取得し、S4において330gを計量し、さらにS5において水250gを加えて良く撹拌する。この撹拌を続けながら、S6において前記のPVA溶液を所定量添加し、ダマが完全になくなるまで撹拌する。金属酸化物触媒の微粉末を分散させたPVA溶液6(図5)の配合率は、触媒330g、PVA110g、水360gであり、触媒とPVAとの濃度は55%である。
図5において、フェルトシート3を水平に走行させるとともに、分散PVA溶液6を槽18に収容し、ローラ10によってフェルトシート3の基布側の片面に付着させ、次に140℃に熱した加熱炉7を通過させて乾燥し、触媒層5を積層したフェルトシート3をロール20に巻き取る。触媒の微粉末を分散させた分散PVA溶液6は、約140℃に加熱した乾燥炉7を通過すると水分が蒸発して固化して、該触媒をフェルトシート3に固着する。この触媒層は、触媒330g/mおよびPVA110g/mからなる。
フェルトシート2および積層フェルトシート3は、さらに図6において、いずれも高温加熱炉22を通し、200〜250℃の高温で熱処理する。積層フェルトシート3は、触媒層5を上向きにし、加熱炉22において200〜250℃で熱処理されることにより、触媒層5中のPVAが熱分解または気化され、該触媒層から除去される。この高温熱処理から次のパンチ加工24へは、図示のように一度ロールに巻き取っても、連続的に処理してもよい。この高温熱処理により、フェルトシート2,3を構成する繊維は、高温の熱処理によって柔軟化しているので、上下方向からのニードルパンチ加工24によって十分に絡合し、さらに圧着処理を施すことが不要である。
パンチ加工24は、40番手のコニカルニードルを用いて針密度100本/cm、針深さ17mmの条件で上下方向からニードルパンチして全体を一体化させる。得たフィルタ材16において、フェルトシート2,3の目付420g/m基布8の目付120g/m、触媒330g/mであった。パンチ加工24では針詰まりを起こすことがなく、フィルタ材16におけるフェルトシート2,3が剥離することもない。
機能性フィルタ材16では、触媒層5の厚みが均一であり、高温の排ガスが通過する際にムラができないので有害物質を確実に除去できる。触媒層5における触媒はバインダによってフェルトシート3に固着され、さらにフェルトシート2,3間に挟み込まれるので、製造時および使用時において触媒の微粒子が脱落することなく、触媒を長期間を保持できる。機能性フィルタ材16は、使用前にPVAが高温の熱処理によって除去されるので、150〜250℃の高温で排ガス処理が行われた際に、残存のPVAが触媒と化学反応してPTFEのフェルトシートを溶かすことがなく、長期間に亘って使用できる。機能性フィルタ材16は、熱圧着を行わないので使用時に通気性が低下することが少なく、排ガス中の有害物質を確実に除去できる。
実施例1と同様に加工して機能性フェルト材を製造する。このフェルト材の表面に、孔径15μm、厚さ25μmのPTFE多孔質膜12(商品名:ポアフロン、住友電工ファインポリマー製)を重ね合わせ、ロールラミネータ(図示しない)を通して、温度220℃、線圧0.08MPa・cm、速度1m/分の条件で多孔質膜12を熱接着した。
得た機能性フェルト材14(図3)は、フェルトシート3と多孔質膜12との接着が良好であり、その通気度は2cc/cm秒である。機能性フェルト材14に関して、その通気度は、フラジール型通気度試験機によって測定した。機能性フェルト材14は、ダストの捕集性能が非常に高く、汚染度が高くてダスト付着が多い排ガス用バグフィルタを含む各種のフィルタ用途に適している。
本発明に係る機能性フィルタ材を示す拡大断面図である。 機能性フィルタ材の変形例を示す拡大断面図である。 機能性フィルタ材の別の変形例を示す拡大断面図である。 本発明で用いる分散バインダ液の製造工程を例示するフローチャートである。 フェルトシートへの分散バインダ液の付着および乾燥工程を示す概略側面図である。 2枚のフェルトシートから機能性フィルタ材を製造する工程を示す概略側面図である。
符号の説明
1 機能性フィルタ材
2,3 フェルトシート
5 機能性物質層
6 分散バインダ液
8 基布
12 多孔質膜

Claims (8)

  1. 少なくとも金属酸化物を含む層の厚みが全表面で均一に形成されているフィルタ材を製造する方法であって、金属酸化物の微粉末を液状バインダに分散させ、この分散バインダ液を繊維シートに塗布後に乾燥させて微粉末をシート面に均一に固着してから、熱処理によってバインダを熱分解または気化させて取り去り、さらに金属酸化物の微粉末の固着面上に、熱処理した別繊維シートを重ね合わせ、両繊維シートが熱処理で繊維が柔軟化している状態においてニードルパンチによって全体を一体化させるフィルタ材の製造法。
  2. 少なくとも金属酸化物を含む層の厚みが全表面で均一に形成されているフィルタ材を製造する方法であって、ウェブをニードルパンチで前処理した開孔30〜80μmのフェルトシートである繊維シートを用い、金属酸化物の微粉末を液状バインダに分散させ、この分散バインダ液を繊維シートに塗布後に乾燥させ、この金属酸化物の微粉末をシート面に固着してから、この金属酸化物の微粉末の固着面上に繊維シートを重ね合わせ、ニードルパンチによって全体を一体化させた後に、熱処理によってバインダを熱分解または気化させて取り去るフィルタ材の製造法。
  3. 前記2枚の繊維シートは、耐熱性繊維のウェブニードルパンチで前処理することによって作製し、両繊維シートを両者の重ね合わせ前にいずれも200〜250℃で熱処理する請求項1記載の製造法。
  4. 液状バインダは温水に溶解したポリビニルアルコールであり、金属酸化物の微粉末に水を加えて撹拌して均一に分散させ、ついでこの分散液を撹拌しながら所定量の液状バインダを添加する請求項1または2記載の製造法。
  5. 前記2枚の繊維シートの一方または両方に耐熱性繊維の基布を介在させて一体化させ、該基布は繊維シートの内側面または中間に配置する請求項1または2記載の製造法。
  6. ニードルパンチによって全体を一体化させた後に、さらにフッ素樹脂の多孔質膜をラミネートする請求項1または2記載の製造法。
  7. ニードルパンチによって全体を一体化させた後に、さらにフッ素樹脂をコーティングする請求項1または2記載の製造法。
  8. 金属酸化物の微粉末を含む分散バインダ液を前記2枚の繊維シートの表面のいずれにも付着させて微粉末を固着し、ついで両方の微粉末の固着面を接合して一体化させる請求項1または2記載の製造法。
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