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JP4891166B2 - 放射性廃棄物溶融炉の排ガス処理方法 - Google Patents
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本発明は、原子力発電所に代表される放射性物質取り扱い設備から排出される不燃性雑固体廃棄物を溶融処理する際に発生する放射性廃棄物溶融の排ガス処理方法に関するものである。
原子力設備から排出される不燃性雑固体廃棄物には、一般に鉄、ステンレス、コンクリート、保温材、フィルタ等が含まれている。これらは廃棄物であるために完全な分別は困難であり、若干の亜鉛や塩化ビニールが混入していることがある。
これら不燃性雑固体廃棄物を減容処理する方法として、従来、特許文献1に示される放射性廃棄物の溶融固化方法および装置が従来から広く用いられている。この放射性廃棄物の溶融固化方法は、不燃性雑固体廃棄物を溶融炉に設けられた誘導加熱コイルで加熱して溶融して減容させる処理方法である。
この方法で不燃性雑固体廃棄物を溶融処理した場合には、不燃性雑固体廃棄物に含まれる金属やコンクリートなども溶融するために溶融温度は1500℃を越える高温となり、溶融炉からはダスト、塩化物、金属類を含有する高温の溶融排ガスが排出される。この放射性廃棄物溶融炉の溶融排ガスは、耐熱性、耐久性に優れたセラミックフィルタに導かれ、溶融排ガス中に含まれる粒子状物質を捕集し、さらにHEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filterの略)で、溶融排ガス中に含まれる微細な粒子状物質を捕集したうえで放出している。
不燃性雑固体廃棄物を溶融処理する際には、不燃性雑固体廃棄物中に含まれる亜鉛や塩化ビニールが溶融炉で溶融して、塩化亜鉛(ZnCl)が生成され、溶融排ガス中に含有することとなる。溶融排ガス中に含まれる塩化亜鉛の融点が約280℃であるため、この塩化亜鉛がセラミックフィルタに捕集されると、セラミックフィルタ表面で溶融し、目詰まりの原因となるため、セラミックフィルタの温度は250℃以下で運転されるのが一般的である。通常溶融炉の出口は1000℃程度であるため、従来では、溶融炉の排ガスをセラミックフィルタに導く煙道の途中で冷却空気を混合し、セラミックフィルタの温度を250℃以下の温度にして運転することとしていた。
しかしながら、この方法であっても、短期(運転回数100回)にセラミックフィルタの目詰まりが発生してしまう。発明者等が、この目詰まりの物質を分析すると、微細な酸化亜鉛(ZnO、融点1725℃)であることが判明した、これは、前述したように、通常不燃性雑固体廃棄物を溶融処理する溶融炉は、1500℃程度の高温で運転されるため、沸点が907℃である亜鉛が投入されると、直ちに亜鉛蒸気となり揮発し、溶融排ガス系に移行する。この亜鉛蒸気は冷却空気と接触すると、微細酸化亜鉛となり、これがセラミックフィルタ内に侵入して、セラミックフィルタを目詰まりさせていることが判った。
そこで、このような問題を解決するために、特許文献2に示されるような放射性廃棄物溶融炉の排ガス処理方法が提案されている。この放射性廃棄物溶融炉の排ガス処理方法は、溶融排ガスに、溶融炉出口直近位置で空気、又は空気と水とを混合して600℃以下に冷却し、溶融排ガス中の亜鉛を、酸化亜鉛粒子を核として凝縮させ、更に、セラミックフィルタの前段に空気を供給して、250℃以下に冷却したうえでセラミックフィルタに導く方法である。つまり、溶融排ガスを一段目の空気の供給により冷却することにより、600℃以下にして酸化亜鉛を生成させ、これに亜鉛を凝集させる、あるいは酸化亜鉛同士を凝集させて大粒径化し、2段目の空気の供給による冷却で、更に酸化亜鉛を大粒径化させるとともに、溶融排ガスの温度を塩化亜鉛の融点温度以下の250℃以下にすることが狙いであった。
しかしながら、この特許文献2に示される方法であっても、従来の方法に比べてセラミックフィルタの寿命が約1.5倍程度になるだけで、十分なものではなかった。これは、1段目の空気の供給により微細酸化亜鉛が生成するが、微細酸化亜鉛には亜鉛は凝集しがたく、また、一旦微細酸化亜鉛が生成すると、その下流側では、いくら滞留時間を大きくとっても、凝集しにくいことが原因であることが判明した。
このように、短期間にセラミックフィルタが目詰まりを起こすと、溶融炉の稼働率の低下となるため、セラミックフィルタの寿命をさらに延ばすことができる溶融排ガス処理方法の開発が要望されていた。
特公平3−2440号公報 特開2005−127767号公報
上記問題を解決して、長期間セラミックフィルタの目詰まりが起こらず使用することができる放射性廃棄物溶融炉の排ガス処理方法を提供する。
上記課題を解決するためになされた本発明は、亜鉛を含む放射性廃棄物を処理する放射性廃棄物溶融炉から排出される高温の溶融排ガスに、無酸素ないし低酸素状態において水を噴霧し、この噴霧水の表面に溶融排ガス中の亜鉛を凝縮させて大粒径化させたうえ、セラミックフィルタに導くことを特徴とする。
なお、水を噴霧することにより、溶融排ガスを250℃以下にまで冷却して、セラミックフィルタに導くことが好ましい。
また、水を噴霧することにより、溶融排ガスを550℃〜420℃にまで冷却したうえで、更に空気を供給して250℃以下に冷却した状態で、セラミックフィルタに導くことが好ましい。
なお、放射性廃棄物溶融炉出口から排出される溶融排ガスを、昇温させて、水を噴霧するまで、前記溶融排ガスを亜鉛の沸点以上に維持することが好ましい。
亜鉛を含む放射性廃棄物を処理する放射性廃棄物溶融炉から排出される高温の溶融排ガスに、無酸素ないし低酸素状態において水を噴霧し、この噴霧水の表面に溶融排ガス中の亜鉛を凝縮させて大粒径化させたうえ、セラミックフィルタに導くこととしたので、新たな空気を供給しないことから、凝集されにくい酸化亜鉛が殆ど生成されずに、凝集されやすい液体もしくは固体の亜鉛同士で凝集されることとなり、亜鉛を十分な大きさの粒子径にすることが可能となる。このため、亜鉛がセラミックフィルタ内に侵入して目詰まりが起こることを防止し、セラミックフィルタを長期間使用することが可能となる。また、気体の亜鉛が、水滴の表面で急冷されて凝縮・凝結するので、気体の亜鉛が煙道の壁面で凝縮することを抑制することが可能となる。これにより、水噴霧した下流側の煙道への亜鉛の付着が低減され、煙道の清掃頻度を低減させることが可能となり、運転効率が向上するだけでなく、作業員の被曝低減に寄与することが可能となる。
なお、水を噴霧することにより、溶融排ガスを250℃以下にまで冷却して、セラミックフィルタに導くこととすると、溶融排ガスが塩化亜鉛の融点以下の温度であるので、塩化亜鉛が溶融してセラミックフィルタ内に浸入することがなく、このことにより、セラミックフィルタが閉塞することを防止することが可能となる。
また、水を噴霧することにより、溶融排ガスを550℃〜420℃にまで冷却したうえで、更に空気を供給して250℃以下に冷却した状態で、セラミックフィルタに導くこととすると、溶融排ガス中に含まれる水分量を、酸露点腐食が生じない程度にまで低減することが可能となる。また、溶融排ガスが塩化亜鉛の融点以下の温度であるので、塩化亜鉛が溶融してセラミックフィルタ内に浸入することがなく、このことにより、セラミックフィルタが閉塞することを防止することが可能となる。
なお、放射性廃棄物溶融炉出口から排出される溶融排ガスを、昇温させて、水を噴霧するまで、亜鉛の沸点以上に維持することとすると、亜鉛が煙道の内壁面で凝縮することを防止することが可能となり、煙道が閉塞することを防止することが可能となる。
(第1の実施形態の構成)
以下に、図面を参照しつつ本発明の好ましい実施の形態(第1の実施形態)を示す。
図1は本発明の第1の実施形態を示すブロック図である。図中、1は原子力発電所などから排出される低レベル放射性廃棄物を溶融処理する放射性廃棄物溶融炉であり、例えば特許文献1に示されたような誘導加熱コイルを備えた溶融炉が用いられる。この形式の放射性廃棄物溶融炉1は、放射性廃棄物をキャニスタに投入して高周波により誘導加熱を行い、そのまま冷却してキャニスタに収納された固化体を得ることができるため、各地の原子力発電所で採用されている。しかし本発明において放射性廃棄物溶融炉1の形式は特に限定されるものではない。なお、本発明で溶融処理する放射性廃棄物には、亜鉛や塩化ビニール等から由来の塩化物が含まれていることがある。
2は耐火物で構成された煙道であり、一端は放射性廃棄物溶融炉1出口に接続し、他端はセラミックフィルタ3に接続している。本実施形態では煙道2は、略円筒形状をしており、内径は例えば100mm〜300mmであり、本実施形態では150mmである。煙道2の長さは5m〜20mであり、本実施形態では10mである。セラミックフィルタ3は、多孔質のセラミックで構成されており、溶融排ガス中に含まれる粒子状物質を捕集するためのものである。
本発明では放射性廃棄物溶融炉1の出口直近位置に噴霧装置4を設けている。この噴霧装置4は、水を噴霧するものである。噴霧装置4から噴霧される水の平均粒子径は本実施形態では10μm〜30μmである。ここでいう平均粒径は、ザウター平均粒子径のことをいう。(ザウター平均粒子径:前粒子の全表面積に対する全粒子の全体積と同じ表面積対体積率を有する粒子径 DS=Σ(n・d)i/Σ(n・d2)i、但し DS:ザウター平均粒子径、n:粒子数、d:直径)
なお、噴霧装置4をなるべく放射性廃棄物溶融炉1の出口に近づけることが好ましいが、水が放射性廃棄物溶融炉1の内部に侵入すると炉内温度が低下するため、噴霧装置4は放射性廃棄物溶融炉1の出口側に設置する必要がある。本発明では炉出口から1m以内とすることが好ましい。
また、噴霧装置4は、煙道2の内壁面に対向させて設置することが好ましく、一方の噴霧装置4から噴霧される水が、他方側の煙道2の壁面に付着しないように、つまり、他方側の煙道2の側面に到達する前に水が蒸発するように噴霧装置4から噴霧される水の平均粒径や噴霧量を調節することが好ましい。これは、溶融排ガス中には腐食性ガスが含まれるので、煙道2の壁面に水が付着し、この水に前記腐食性ガスが溶解して煙道2が腐食することを防止するためである。
セラミックフィルタ3の後段には、HEPAフィルタ7(High Efficiency Particulate Air Filterの略)が設けられている。セラミックフィルタ3とHEPAフィルタ7とは、煙道8により接続されている。HEPAフィルタ7は、ガラス繊維の不織布等で構成されており、溶融排ガス中に含まれる微細な粒子状物質を捕集するためのものである。
HEPAフィルタ7の後段には、後処理装置9が設けられている。HEPAフィルタ7と後処理装置9とは、煙道10で接続されている。後処理装置9の後段には、煙突11が設けられている。後処理装置9と煙突11とは、煙道12で接続されている。
溶融排ガスに塩化物や硫化物が生成されると、水蒸気と反応して塩酸蒸気や硫酸蒸気となる。溶融排ガスが酸露点(塩酸蒸気や硫酸蒸気等が凝縮する温度)以下に低下すると、前記塩酸蒸気や硫酸蒸気が凝縮して、塩酸水溶液や硫酸水溶液になってしまう。このため、HEPAフィルタ7を通過した溶融排ガスを、後処理装置9に導いて、煙道12や煙突11が、前記塩化物や硫化物により腐食されることを防止するための後処理を行うことにしている。この後処理は、例えば、塩酸蒸気や硫酸蒸気を含む溶融排ガスを、後処理装置9で加熱する処理であり、煙道12や煙突11を流通する溶融排ガスが酸露点以上の温度に維持されるようにして、煙道12や煙突11が腐食されることを防止することとしている。あるいは、前記後処理は、溶融排ガスに含まれる塩酸蒸気や硫酸蒸気を、後処理装置9で凝縮させて、溶融排ガス中から塩化物や硫化物を除去する処理であっても差し支えない。
(第1の実施形態の作用)
次に、第1の実施形態の作用について説明をする。放射性廃棄物中に含まれる金属やコンクリートなどをも溶融するために放射性廃棄物溶融炉1の溶融温度は1500℃に達するのが普通であり、ダスト、塩化物、金属類を含有する高温の(700℃〜1100℃)溶融排ガスが発生する。放射性廃棄物には、亜鉛(Zn、融点420℃、沸点907℃)や塩化物が存在するため、塩化亜鉛(ZnCl、融点約280℃、沸点730℃)が生成される。図2に亜鉛の蒸気圧曲線を示す。図2に示されるように、放射性廃棄物溶融炉1から排出される溶融排ガスは高温であるため、この溶融排ガス中に含まれる亜鉛や塩化亜鉛は気体になっている。
高温の溶融排ガスは、煙道2内を流通して、セラミックフィルタ3に導かれるが、本実施形態では、放射性廃棄物溶融炉1から排出される高温の溶融排ガスに、放射性廃棄物溶融炉1出口直近位置で水を噴霧することにより、溶融排ガスを一挙に250℃以下に下げることとしている。つまり、噴霧装置4から噴霧される水の噴霧量は、溶融排ガスを250℃以下に低下させるのに十分な噴霧量である。噴霧装置4の下流側に設けられた温度計により、煙道2内を流通する溶融排ガスの温度を測定して、溶融排ガスが250℃以下になるように噴霧量を調整している。
このように、煙道2中を流通する溶融排ガスに、水を噴霧して、溶融排ガスを250℃以下にすると、溶融排ガス中に含まれる亜鉛が、噴霧された水滴の表面で急冷されて凝縮・凝結する。この際に、液体もしくは固体の亜鉛同士が凝集して、亜鉛が大粒径化する。
ここで、煙道2は密閉されており、空気の供給は遮断されている。また通常、放射性廃棄物はバッチで放射性廃棄物溶融炉1に投入されるが、亜鉛を含む放射性廃棄物を放射性廃棄物溶融炉1に投入した際には、亜鉛の沸点は低いため短時間で亜鉛は気体となり、気体の亜鉛が多量に発生する時の煙道2内の酸素濃度は5〜15%程度となっている。このため、気体の亜鉛が凝縮・凝結する際には、煙道2内は低酸素状態のため、亜鉛が殆ど酸化されず、凝集されにくい酸化亜鉛(ZnO)が殆ど生成されない。このため、煙道2を流通する溶融排ガスに含まれる亜鉛は、亜鉛の状態で凝縮・凝結し、液体もしくは固体の亜鉛同士が凝集して、亜鉛が大粒径化することとなる。
一方で、亜鉛が液体や固体になった時に、煙道2内の酸素濃度が上がり、排ガス中の残留空気により煙道2及びセラミックフィルタ3内で空気と接触して、融点温度が高く、安定した酸化亜鉛(融点1725℃)になる。
溶融排ガス中に含まれる、気体の亜鉛は、前述したように、水滴の表面で凝縮・凝集するので、殆ど煙道2の壁面で凝縮することが抑制され、亜鉛が煙道2の壁面に付着することが低減される。
亜鉛を十分に大粒径化させてから、空気と接触させて、酸化亜鉛にすることとしたので、セラミックフィルタ3に導かれる前の溶融排ガスに含まれる酸化亜鉛の平均粒子径は、10μm〜30μmとなり、酸化亜鉛が十分な大きさの粒子になっているので、酸化亜鉛粒子の大部分は、セラミックフィルタ3の表面で捕集されることとなる。このため、酸化亜鉛粒子は、殆どセラミックフィルタ3内に侵入することがなく、セラミックフィルタ3の閉塞を抑制することが可能となる。このように、酸化亜鉛粒子は、殆どセラミックフィルタ3内に侵入することがないので、逆洗することにより容易に圧力損失を回復させることが可能となる。
また、溶融排ガスの温度が、250℃以下になっているので、溶融排ガス中に含まれる塩化亜鉛は固体であり、液体の塩化亜鉛がセラミックフィルタ3内に浸入してセラミックフィルタ3を閉塞させることもない。
セラミックフィルタ3で、酸化亜鉛や塩化亜鉛等の粒子状物質が捕集された溶融排ガスは、煙道8を流通して、HEPAフィルタ7により微細な粒子状物資が捕集される。HEPAフィルタ7を通過した溶融排ガス9は、煙道10を流通して後処理装置9導かれ、前述したように後処理装置9で後処理を行い、煙道12を通じて、煙突11から外部に排出することとしている。
(第2の実施形態の構成)
図3に第2の実施形態のブロック図を示し、以下に、第2の実施形態の構成の説明をする。第2の実施形態の実施形態の、放射性廃棄物溶融炉1、煙道2、セラミックフィルタ3、噴霧装置4、HEPAフィルタ7、煙道8、煙突11は、第1の実施形態と同じものである。この第2の実施形態では、セラミックフィルタ3の前段に、空気供給管5を接続している。この空気供給管5には、ブロア等の空気供給装置6から空気が供給されるようになっている。また、第2の実施形態では、後処理装置9は不要であり、HEPAフィルタ7の後段に、煙突11が設けられ、煙道15で、HEPAフィルタ7と煙突11を接続している。
(第2の実施形態の作用)
次に第2の実施形態の作用について説明をする。高温の溶融排ガスは、煙道2内を流通してセラミックフィルタ3に導かれるが、本実施形態では、放射性廃棄物溶融炉1から排出される高温の溶融排ガスに、放射性廃棄物溶融炉1出口直近位置で水を噴霧することにより、溶融排ガスを420℃〜550℃まで下げることとしている。つまり、噴霧装置4から噴霧される水の噴霧量は、溶融排ガスを420℃〜550に低下させるのに必要十分な噴霧量である。噴霧装置4の下流側に設けられた温度計により、煙道2内を流通する溶融排ガスの温度を測定し、溶融ガスが420℃〜550℃になるように噴霧量を調整している。
このように、煙道2中を流通する溶融排ガスに、水を噴霧して、溶融排ガスを420℃〜550℃にすると、図2に示されるように、溶融排ガス中に含まれる亜鉛の殆どが、気体から液体になる。つまり、気体の亜鉛が、噴霧された水滴の表面で急冷されて凝縮する。この際に、液体の亜鉛同士が凝集して、亜鉛が大粒径化する。
煙道2は密閉されており、空気供給管5が接続されている部分まで、空気の供給は遮断されているので、低酸素状態であるので、亜鉛は殆ど酸化されることなく、凝集されにくい酸化亜鉛が殆ど生成されない。このため、煙道2を流通する溶融排ガスに含まれる亜鉛は、亜鉛の状態で凝縮し、液体の亜鉛同士が凝集して、亜鉛が大粒径化することとなる。
溶融排ガス中に含まれる、気体の亜鉛は、前述したように、水滴の表面で凝縮するので、殆ど煙道2の壁面で凝縮することが抑制され、亜鉛が煙道2の壁面に付着することが低減される。
煙道2中を流通する溶融排ガス中に含まれる大粒径化された亜鉛は、空気供給管5から供給された空気と接触して、酸化亜鉛になる。
また、煙道2を流通する溶融排ガスは、空気供給管5から供給される空気により冷却されて、セラミックフィルタ3の入口で、250℃以下になる。つまり、空気供給管5から供給される空気量は、セラミックフィルタ3に導かれる溶融排ガスの温度を250℃以下にするのに十分な空気量である。
亜鉛を十分に大粒径化させてから、空気と接触させて、酸化亜鉛にすることとしたので、セラミックフィルタ3に導かれる前の溶融排ガスに含まれる酸化亜鉛の平均粒子径は、10μm〜30μmとなり、酸化亜鉛が十分な大きさの粒子になる。このため、第1の実施形態で説明したように、酸化亜鉛粒子は、殆どセラミックフィルタ3内に侵入することがなく、セラミックフィルタ3の閉塞を抑制することが可能となる。また、逆洗することにより容易に圧力損失を回復させることが可能となる。
また、溶融排ガスの温度が、250℃以下になっているので、溶融排ガス中に含まれる塩化亜鉛は固体であり、液体の塩化亜鉛がセラミックフィルタ3内に浸入してセラミックフィルタ3を閉塞させることもない。
第2の実施形態では、煙道2中の流通する溶融排ガスを、亜鉛の融点よりも高い420℃〜550℃にまで、水の噴霧により冷却することとし、空気供給管5から供給される空気により、セラミックフィルタ3に導かれる溶融排ガスの温度を250℃以下冷却することとしている。このため、第1の実施形態に比べて、水の噴霧量が少なくなり、溶融排ガス中に含まれる水分量が10%とすることが可能となる。溶融排ガス中に含まれる水分量が増えるに従って酸露点は高くなるが、第2の実施形態では、溶融排ガス中に含まれる水分量を10%以下にすることが可能となるので、酸露点は高くならず、煙突11から排出されるまで溶融排ガスは酸露点以下とならず、塩酸水溶液や硫酸水溶液等の腐食性物質が生成されない。このため、第1の実施形態のように、HEPAフィルタ7から排出される溶融排ガスを後処理する必要がなく、後処理装置9が不要となる。
(第3の実施形態の構成)
次に第3の実施形態の構成を説明する。第3の実施形態の構成は、第2の実施形態の、放射性廃棄物溶融炉1出口にバーナ(図示せず)を設けた構成である。このバーナは、放射性廃棄物溶融炉1から排出される溶融排ガスを昇温させるものである。
(第3の実施形態の作用)
次に第3の実施形態の作用について説明をする。放射性廃棄物溶融炉1から排出された溶融排ガスの温度が低いと、放射性廃棄物溶融炉1出口近傍の煙道2に亜鉛が凝縮して、煙道2が閉塞する。このため、第3の実施形態では、放射性廃棄物溶融炉1から排出された溶融排ガスを、水を噴霧する前段で前記バーナにより昇温して、放射性廃棄物溶融炉1出口から噴霧装置4が設けられている位置まで(煙道2内を流通する溶融排ガスに水を噴霧するまで)、流通する溶融排ガスの温度を、亜鉛の沸点以上に維持することにより、亜鉛が煙道2の壁面で凝縮して付着することを防止し、亜鉛で煙道2が閉塞されることを防止している。
また、噴霧装置4の下流側では、溶融排ガスに水が噴霧されるので、噴霧された水滴の表面で気体の亜鉛が凝縮され、気体の亜鉛が煙道2の内壁で凝縮することが抑制され、煙道2の内壁面への亜鉛の付着が低減される。
以上第1〜第3実施形態で詳細に説明したように、放射性廃棄物溶融炉1から排出される溶融排ガスに、無酸素ないし低酸素状態において水を噴霧し、この噴霧水の表面に溶融排ガス中の亜鉛を凝縮させて大粒径化させた後で、空気と接触させて酸化亜鉛を生成することとした。このためセラミックフィルタ3に導かれる酸化亜鉛の粒径を十分大きな粒径とすることが可能となり、セラミックフィルタ3の閉塞を抑制することが可能となった。
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う放射性廃棄物溶融炉の排ガス処理方法及もまた技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
第1の実施形態を示すブロック図である。 亜鉛の蒸気圧曲線示すグラフである。 第2の実施形態を示すブロック図である。
符号の説明
1 放射性廃棄物溶融炉
2 煙道
3 セラミックフィルタ
4 噴霧装置
5 空気供給管
6 空気供給装置
7 HEPAフィルタ
8 煙道
9 後処理装置
10 煙道
11 煙突
12 煙道
15 煙道

Claims (4)

  1. 亜鉛を含む放射性廃棄物を処理する放射性廃棄物溶融炉から排出される高温の溶融排ガスに、無酸素ないし低酸素状態において水を噴霧し、この噴霧水の表面に溶融排ガス中の亜鉛を凝縮させて大粒径化させたうえ、セラミックフィルタに導くことを特徴とする放射性廃棄物溶融炉の排ガス処理方法。
  2. 水を噴霧することにより、溶融排ガスを250℃以下にまで冷却して、セラミックフィルタに導くことを特徴とする請求項1に記載の放射性廃棄物溶融炉の排ガス処理方法。
  3. 水を噴霧することにより、溶融排ガスを550℃〜420℃にまで冷却したうえで、更に空気を供給して250℃以下に冷却した状態で、セラミックフィルタに導くことを特徴とする請求項1に記載の放射性廃棄物溶融炉の排ガス処理方法。
  4. 放射性廃棄物溶融炉出口から排出される溶融排ガスを、昇温させて、水を噴霧するまで、亜鉛の沸点以上に維持することを特徴とする請求項1〜請求項3にいずれかに記載の放射性廃棄物溶融炉の排ガス処理方法。
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