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JP4891482B2 - カルボン酸の製造方法 - Google Patents
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JP4891482B2 - カルボン酸の製造方法 - Google Patents

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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、窒素環を含む多孔質架橋構造を有する樹脂担体と第VIII族金属の塩を用いて製造されるカルボニル化反応用固体触媒、特に、従来の触媒に比べて著しく高い反応速度を達成することができる触媒に関する。さらに当該触媒を用いて実施されるカルボン酸の製造方法およびカルボン酸無水物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、商業的レベルの酢酸の製造方法として、ロジウム錯体を担持させた多孔質架橋構造を有するビニルピリジン系樹脂をカルボニル化反応用固体触媒として用い、ヨウ化アルキルの存在下、反応溶媒中でメタノールと、一酸化炭素とを反応させてカルボニル化合物を製造する方法は知られている(例えば、特開昭63−253047号公報)。
【0003】
また、当該特開昭63−253047号公報には、ビニルピリジン系樹脂として、レイリー・ター・アンド・ケミカル社から市販されている「レイレックス425(登録商標)」が最も好ましいと記載されており、この「レイレックス425(登録商標)」をメタノールのカルボニル化反応に用いると、いわゆる均一系モンサント法触媒と比べて4倍以上の反応活性が得られると報告されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年のカルボニル化反応用固体触媒における反応活性向上への要求レベルは極めて高度となっており、上記従来のレベルに満足することなく、さらなる反応活性の向上が望まれている。
【0005】
このような実状のもと、本出願に係る発明者らが、窒素環を含む多孔質架橋構造を有する樹脂担体の粒径と、当該樹脂担体への触媒金属の担持量とにおける関係を、反応活性の観点から鋭意実験を進めたところ、驚くべきことに、いままで使用しようとも思っていなかった樹脂担体の粒径範囲において、さらに触媒金属の担持量を特定することにより、反応活性が格段と向上する範囲を見出し、本発明に想到することができたのである。
【0006】
すなわち、本発明は、反応器入口に供給されるメタノール(MeOH)と酢酸メチル(MeOAc)の重量比を(MeOH)/(MeOAc)≧0.7且つ、反応器出口の水(H2O)および酢酸メチル(MeOAc)の濃度を、それぞれ、0.3wt%≦H2O≦10wt%、1.0wt%≦MeOAc≦40wt%の条件でカルボニル化反応用固体触媒を用いて、流通式撹拌混合式反応器を用いて連続的にカルボン酸を製造する方法であって、前記カルボニル化反応用固体触媒は、樹脂担体であるビニルピリジン樹脂と第VIII族金属の塩を用いて製造され、前記樹脂担体は、30〜60%の架橋度、0.2〜0.4mL/gの細孔容積および20〜100nmの平均細孔径を有し、前記樹脂担体の平均粒径が、350μm以下であり、当該樹脂担体への第VIII族金属の担持量が0.5wt%以上となるように構成される。
【0007】
また、本発明の好ましい態様として、前記樹脂担体の平均粒径は、170〜325μmであり、当該樹脂担体への第VIII族金属の担持量が0.8〜6.0wt%となるように構成される。
【0008】
また、本発明の好ましい態様として、反応器入口に供給されるメタノール(MeOH)と酢酸メチル(MeOAc)の重量比が、(MeOH)/(MeOAc)≧1.0となるように構成される。
【0009】
また、本発明の好ましい態様として、反応器出口の水(H2O)および酢酸メチル(MeOAc)の濃度が、0.5wt%≦H2O≦5wt%、1.0wt%≦MeOAc≦35wt%となるように構成される。
【0010】
また、本発明の好ましい態様として、反応器出口の水(H2O)および酢酸メチル(MeOAc)の濃度が、1.0wt%≦H2O≦3wt%、1.0wt%≦MeOAc≦30wt%となるように構成される。
【0011】
また、本発明のカルボン酸の製造方法は、流通系の反応器を用いて行われ、反応器入口に供給されるメタノール(MeOH)と酢酸メチル(MeOAc)の重量比が、(MeOH)/(MeOAc)≧0.7、好ましくは、(MeOH)/(MeOAc)≧1.0となるように構成される。
【0012】
また、本発明のカルボン酸の製造方法は、流通系の反応器を用いて行われ、反応器出口の水(H2O)および酢酸メチル(MeOAc)の濃度が、
0.3wt%≦H2O≦10wt%
1.0wt%≦MeOAc≦40wt%、
好ましくは、
0.5wt%≦H2O≦5wt%
1.0wt%≦MeOAc≦35wt%
より好ましくは、
1.0wt%≦H2O≦3wt%
1.0wt%≦MeOAc≦30wt%
となるように構成される。
【0013】
ちなみに、従来例である、ロジウム担持量を0.5wt%以上とし、「レイレックス425(登録商標)」のような平均粒径400μm以上の樹脂を用いた場合には、担持量を0.5wt%以上に増加させ、反応活性をさらに向上させようとしても反応活性は頭打ちとなりそれ以上、反応活性は向上しないという現象が生じていた。
【0014】
これに対して、本発明では、樹脂担体の粒径を350μm以下とし、当該樹脂担体への第VIII族金属の担持量を0.5wt%以上となるようにすると、従来に比べて反応活性が格段と向上するように作用する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0016】
本発明の貴金属錯体を担持するために用いられる触媒用樹脂担体
本発明の触媒用樹脂担体は、窒素環を含む多孔質架橋構造を有する樹脂を、有機溶媒中で沃化アルキルを混合して4級化することにより形成された触媒用樹脂担体である。
【0017】
本発明においては、前記窒素環を含む多孔質架橋構造を有する樹脂の4級化が、0.1〜25モル%/分、より好ましくは0.3〜2.3モル%/分の4級化速度で行なわれることが好ましい。これにより耐熱安定性および耐摩耗性が飛躍的に優れた担体が形成されるからである。4級化速度が、2.5モル%/分を超えると、樹脂担体の物理構造の変化が急激に起こり、部分的な重合鎖の切断等が生じるためか、結果として触媒樹脂担体の耐熱安定性および耐摩耗性の飛躍的な改善が見られないという傾向にある。また、4級化速度が、0.1モル%/分未満となると、樹脂の4級化に必要な時間が長くなってしまい、経済的な面からの不都合が生じる傾向にある。
【0018】
ここでいう4級化速度とは、初期の10分間に4級化されたピリジン基のモル数を、仕込み樹脂中のピリジン基のモル数で割り、1分間当たりの値に換算して100%表示したものをいう。通常、反応初期の沃化アルキル濃度が最も高いので、いわゆる初期4級化速度が最大の4級化速度であり、初期4級化速度を前記範囲内に制御するようにすればよい。
【0019】
このような4級化速度を規制するパラメータとしては、4級化の際の操作温度、用いる有機溶媒の種類、沃化アルキルの濃度などが挙げられる。また、樹脂の細孔容積、平均細孔径など用いる樹脂の物理性状によって4級化速度が異なる。
【0020】
これらの中でも、4級化の温度の設定が大きな影響を及ぼす。後述する実施例からもわかるように、4級化の温度は、上記4級化速度との関係から5〜65℃、好ましくは10〜60℃の操作温度で行なうのがよい。4級化の操作温度が65℃を超えると、樹脂担体の物理構造の変化が急激に起こりすぎて、結果として触媒樹脂担体の耐熱安定性および耐摩耗性の飛躍的な改善が見られない傾向にある。また、4級化の操作温度が5℃未満となると、反応器を冷却するための新たな装置が必要となるわりには、樹脂担体の耐熱安定性および耐摩耗性について格別の改善が見られないという不都合が生じる傾向にある。
【0021】
なお、有機溶媒としては、メタノール、酢酸、酢酸メチル、その他のアルコール類、カルボン酸類、カルボン酸エステル類等の極性溶媒が用いられる。また、有機溶媒中に限られた範囲の水が含まれてもよい。これらの中でも、反応を行う際に分離する必要がないという観点から、目的生成物を溶媒として用いることが好ましい。
【0022】
また、上記の好ましい態様の4級化速度を、4級化完了時の樹脂の樹脂体積膨張率という観点からみれば、樹脂体積膨張率は20%未満、特に15%未満、さらには7%未満の範囲内に設定されることになる。下限は、0.5%程度であることが実験的に確認されている。樹脂体積膨張率の値が20%を超えると、樹脂担体の耐熱安定性および耐摩耗性向上の効果を発現することができない程度に樹脂担体の物理構造の変化が著しくなっているものと考えられる。
【0023】
4級化工程における低い体積膨張率は、酢酸等を用いて実現可能である。
【0024】
ここで体積膨張率δは、最終的な使用溶媒中の4級化樹脂の体積V4から4級化前の使用溶媒中の樹脂体積V0を引いた値を、V0で除した値の%表示で定義される(δ=(V4ーV0)/V0×100)。
【0025】
具体的な測定方法は、樹脂を使用溶媒中に浸して十分に溶媒和した後、樹脂と使用溶媒をメスシリンダに入れる。そして、常温にて樹脂体積(V0およびV4)を測定すればよい。
【0026】
本発明における窒素環を含む多孔質架橋構造を有する樹脂担体の平均粒径は、350μm以下、特に、50〜300μm、さらには、100〜250μmが好ましい。樹脂担体の平均粒径が350μmを超えると、後述する触媒金属の担持量との関係と相俟って、触媒としての反応活性(触媒活性)の格段の向上がみられなくなってしまう。一方、平均粒径が50μm未満となると反応器もしくは固液分離器において、固体触媒と反応液の分離が静置等の簡便な操作によって容易に行えず、ろ過等の操作を必要とし、経済的に好ましくないものとなる。
【0027】
本発明における窒素環を含む多孔質架橋構造を有する樹脂としては、多孔質架橋構造を有するビニルピリジン系樹脂(以下、単に『VP樹脂』と称する)が好適である。
【0028】
本発明でいう樹脂担体の平均粒径とは、個数平均ではなく、重量若しくは体積平均粒径を意味し、4級化処理が行なわれる前の状態で測定された平均粒径をいう。後述するように、4級化により粒径は10〜20%程度増大する。
【0029】
VP樹脂は、ビニルピリジン系単量体と、架橋剤としての2個のビニル基を持つ化合物を共重合させることによって製造される。VP樹脂を得るための共重合方法は、従来すでに公知となっている方法を用いればよく、例えば、(1)沈殿剤添加法、(2)線状重合体添加法、(3)膨潤剤・沈殿剤添加法、(4)希釈剤・線重合体添加法等が使用される。
【0030】
本発明で用いられるVP樹脂は、架橋度が30〜60%のものが好ましい。VP樹脂の架橋度が小さくなりすぎると、触媒の耐久性及び耐摩耗性が低下する傾向が生じる。この一方で、VP樹脂の架橋度が大きくなりすぎると、触媒活性が低下する傾向が生じてしまう。
【0031】
さらに、本発明で用いられるVP樹脂の細孔容積は、0.2〜0.4mL/gが好ましく、平均細孔径は、20〜100nmが好ましい。細孔容積および平均細孔径が小さくなり過ぎると触媒活性が低下する傾向にあり、また、細孔容積および平均細孔径が大きくなり過ぎると耐摩耗性が低下する傾向にある。
【0032】
本発明で用いられるVP樹脂の好ましい製造方法については、特公昭61−25731号公報に詳細に記載されている。すなわち、この公報記載の方法によると、VP樹脂は、ビニルピリジン系単量体と、2個のビニル基を持つ架橋剤と、必要に応じて用いられるビニル単量体との混合物を、ラジカル重合反応触媒の存在下で重合反応させることによって製造される。この場合、重合反応は、水を媒体とする水系懸濁重合が採用される。また、重合反応系には、懸濁安定剤及び沈殿剤が添加される。懸濁安定剤としては、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリメタクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、澱粉、ゼラチン、スチレン/無水マレイン酸共重合体のアンモニウム塩等の水溶性高分子、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、ベントナイト、ケイ酸マグネシウム等の無機塩が用いられる。また、反応系には、塩化ナトリウムや、亜硝酸ナトリウムを添加することができる。沈殿剤としては、単量体に対しては溶剤として作用するが、生成ポリマーに対しては貧溶媒として作用する有機溶媒、例えば、イソオクタン等の炭素数5〜10の炭化水素の他、アルコール、エステル等が用いられる。
【0033】
このようなVP樹脂の製造方法において、その架橋度は架橋剤の添加量でコントロールすることができ、その細孔容積及び平均細孔径は、沈殿剤の種類とその添加量によって主にコントロールすることができる。さらには、懸濁安定剤の種類とその添加量及び反応温度等によりコントロールすることもできる。
【0034】
VP樹脂を得るために用いられるビニルピリジン系単量体としては、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、ピリジン環にメチル基やエチル基等の低級アルキル基を有する4−ビニルピリジン誘導体または2−ビニルピリジン誘導体等が挙げられる。また、このようなビニルピリジン系単量体には、他のビニル単量体、例えば、スチレン、ビニルトルエン等の芳香族系ビニル単量体またはアクリル酸メチル、メタクリル酸メチルなどの脂肪族系ビニル単量体を混入させることができる。これらのビニル単量体の混入量は、全単量体中、30モル%以下、特に、1〜30モル%、好ましくは20モル%以下、特に、5〜20モル%にするのがよい。
【0035】
前記ビニルピリジン系単量体を共重合させる架橋剤は、2個のビニル基を有する化合物である。このようなものとしては、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン等の芳香族化合物の他、ジアクリル酸エチレングリコール、ブタジエン等の脂肪族化合物を挙げることができる。工業的に用いられるジビニルベンゼンは通常約50モル%のエチルビニルベンゼンを含んでいるが、本発明では、このようなジビニルベンゼンを用いることもできる。このような架橋剤の使用量は、所望するVP樹脂の架橋度に応じで適宜、定めればよい。
【0036】
なお、本発明で用いられるVP樹脂の粒径を、上記の範囲とするためには、例えば、懸濁重合の際の重合速度および液滴径を制御すべく反応温度、溶媒の種類および量、重合時の撹拌速度(例えば、撹拌速度を高めることにより、粒径の小さいVP樹脂となる)等のパラメータに留意して樹脂の製造を行えばよい。粒径の分布は均一なものが好ましいが、実際にはある分布を持つ。この分布は、対数確率分布に従うとされており、前述の重合方法により、その均一度は制御される。又は、一旦製造したVP樹脂をふるいを用いて所望の粒径範囲に分割して用いてもよい。
【0037】
カルボニル化反応用固体触媒
本発明のカルボニル化反応用固体触媒は、触媒化前に予め所定の4級化速度で4級化処理がなされた上記の触媒用樹脂担体を用いるのが好ましい。つまり、本発明のカルボニル化反応用固体触媒を製造するに際しては、ピリジン環を含有する樹脂の沃化アルキルによる4級化処理と、第VIII族金属のカルボニル錯体をイオン的に結合させる触媒化処理とを分けて行い、かつ前記ピリジン環を含有する樹脂の4級化の速度を所定範囲に制御することが望ましい。これにより、触媒樹脂担体の耐熱安定性および耐摩耗性が格段と向上する。
【0038】
ただし、この方法に限定されることなく、本発明の反応活性のみの向上を目的とし、触媒樹脂担体の耐熱安定性および耐摩耗性が特に要求されないのであれば、ピリジン環を含有する樹脂の沃化アルキルによる4級化処理と、第VIII族金属のカルボニル錯体をイオン的に結合させる触媒化処理を同時に行なうようにしてもよいことは勿論である。
【0039】
ピリジン環を含有する樹脂の沃化アルキルによる4級化処理と、第VIII族金属のカルボニル錯体をイオン的に結合させる触媒化処理を同時に行なう方法は極めて一般的であるので、ここでは、触媒樹脂担体の耐熱安定性および耐摩耗性が特に要求される場合の2段階製法を例にとって、以下詳細に説明する。
【0040】
本発明のカルボニル化反応用固体触媒は、窒素環を含む多孔質架橋構造を有する樹脂と第VIII族金属の塩を用い、製造されたカルボニル化反応用固体触媒であって、当該触媒は、
(I)窒素環を含む多孔質架橋構造を有する樹脂を、有機溶媒中で沃化アルキルを混合して0.1〜2.5モル%/分の4級化速度で4級化する工程(いわゆる4級化処理)、および
(II)しかる後、反応温度を100〜250℃とし、一酸化炭素分圧0.7〜3.0MPa、全反応圧1.5〜6.0MPaの条件下で触媒化反応処理される(いわゆる触媒化処理)にするのが望ましい。
【0041】
以下、上記工程(I)の4級化処理と、工程(II)の触媒化処理に分けて説明する。なお、工程(I)と工程(II)では各処理目的に応じて処理温度が異なっており、工程(I)では4級化をマイルドに進行させるために、例えば5〜65℃の温度条件、工程(II)では第VIII族金属のカルボニル錯体をイオン的に結合させるために100〜250℃の温度条件となっている。なお、工業的観点から、後述する触媒化処理に必要なCOは、工程(I)の最初から、供給するようにしてもよい。工程(I)と工程(II)とでは、温度条件が異なり、工程(II)で初めて触媒化処理可能な温度になるからである。
【0042】
上記工程(I)の4級化処理
ここでの4級化処理は上記の触媒用樹脂担体の製造における説明と同様であるので、ここでの重複する説明は省略する。この工程で重要なポイントは、4級化速度を0.1〜2.5モル%/分の範囲内とし、触媒樹脂担体の物理構造の変化を急激にさせないことである。4級化の温度条件(5〜65℃、好ましくは10〜60℃)や、樹脂体積膨張率(20%未満、特に15%未満、さらには7%未満)への配慮も上述したとおりである。
【0043】
上記工程(II)の触媒化処理
ここでの触媒化処理とは、上記4級化処理された樹脂担体のピリジン環の少なくとも1つに、例えばロジウムカルボニル錯体陰イオンなどの第VIII族金属カルボニル錯体陰イオン(貴金属錯体陰イオン)を結合させる処理である。
【0044】
この触媒化処理を行うためには、4級化処理されたVP樹脂を、一酸化炭素加圧下において、ヨウ化アルキルを含む溶媒中で例えばロジウム塩などの第VIII族金属の塩と接触させればよい。
【0045】
用いられる第VIII族金属としては、上記のロジウム、コバルト、ルテニウム、イリジウム等が好適例として挙げられる。特に、酢酸の製造にあっては、ロジウムが好適に用いられる。
【0046】
触媒化処理においては、通常、メタノールのカルボニル化反応条件下で、ロジウム塩と4級化処理されたVP樹脂を接触させればよい。この場合の接触反応において、VP樹脂に含まれるピリジン環の沃化アルキルで4級化されたピリジニウに、ロジウム塩とヨウ化アルキルと一酸化炭素との反応により生成したロジウムカルボニル錯体[Rh(CO)22]- がイオン的に結合する。
【0047】
本発明においては、VP樹脂に担持されたロジウムカルボニル錯体などのVIII族金属カルボニル錯体の担持量は、VP樹脂に対して、VIII族金属換算量で、0.5wt%(重量%)以上、好ましくは、1.0〜10wt%、より好ましくは3.8〜8.0wt%とすることが必要である。担持量が0.5wt%未満となると、前記樹脂担体の粒径との関係と相俟って、触媒としての反応活性の格段の向上がみられなくなってしまう。さらに、担持量が0.5wt%未満の範囲では、樹脂担体の粒径の大きさに限らず触媒金属の担持量に比例して反応活性が向上するために、本発明の極めて特異的な効果の対象とならない。一方、担持量が10wt%を超えると、VIII族金属カルボニル錯体の結合力が十分に保てず、一部がVP樹脂により流出する問題があるので好ましくない。
【0048】
このような触媒化処理は、反応温度100〜250℃、好ましくは、130〜230℃、一酸化炭素分圧0.7〜3.0MPa、好ましく1.0〜2.5MPa、全反応圧は1.5〜6.0MPa、好ましくは2.0〜5.0MPaの条件下に行なわれる。
【0049】
反応温度が100℃未満になると、極めて低いカルボニル化反応速度しか得られないために工業的に許容できない傾向にあり、また、250℃を超えると、樹脂の分解が促進されるため、使用条件として好ましくない傾向にある。
【0050】
また、一酸化炭素分圧が0.7MPa未満となると、安定なロジウムカルボニル錯体を形成できず、十分なカルボニル化反応速度が得られない。この一方で、一酸化炭素分圧が3.0MPaを超えても、カルボニル化反応速度はあまり向上せず、格別の反応系の利点は得られず、経済的観点からは、そのCO分圧は3.0MPa程度にするのがよい。
【0051】
また、全反応圧が1.5MPa未満となると、溶媒の気相分圧によりCO分圧を0.7MPa以上に保持できなくなる場合が生じる。全反応圧が6.0MPaを超えると、反応器として、特別の耐圧容器を使用する必要がでてくるが、格別の反応上の利点は得られない。
【0052】
なお、触媒化処理に際しては、上述したようにロジウム塩等の第VIII族金属の塩が混合される必要がある。混合の時期は、上記工程(I)または工程(II)の内、いずれかの工程で行えばよいが、工業的には操作上の簡便性を考慮して工程(I)で混合しておくことが望ましい。
【0053】
前記第VIII族金属の塩の好適例であるロジウム塩としては、塩化ロジウムや、臭化ロジウム、ヨウ化ロジウム等のハロゲン化ロジウム;酢酸ロジウムやプロピオン酸ロジウム等のカルボン酸ロジウム塩といった水溶性の塩が挙げられる。これらの塩は、限られた水を含有する極性溶媒中で容易に溶解する。
【0054】
また、本発明で用いられるヨウ化アルキルとしては、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピル等の炭素数1〜5の低級アルキル基を有するものが挙げられる。中でも、特に、ヨウ化メチルの使用が好ましい。例えば、ロジウム塩に対するヨウ化アルキルの使用割合は、ロジウム塩1モル当たり、ヨウ化アルキル2〜2000モル、好ましくは、50〜500モルの割合である。
【0055】
なお、有機溶媒としては、メタノール、酢酸、酢酸メチル、その他のアルコール類、カルボン酸類、カルボン酸エステル類等の極性溶媒が用いられる。また、有機溶媒中に限られた範囲の水が含まれてもよい。これらの中でも、反応を行う際に分離する必要がないという観点から、目的生成物を溶媒として用いることが好ましい。
【0056】
カルボン酸およびカルボン酸無水物の製造方法
上述してきたようなカルボニル化反応用固体触媒は、カルボン酸やカルボン酸無水物などのカルボニル化合物製造用触媒として用いられる。カルボン酸は、例えば、アルコール類をカルボニル化することにより製造される。カルボン酸無水物は、例えばアルコールとカルボン酸のエステル類をカルボニル化することにより製造される。
【0057】
本発明のカルボン酸やカルボン酸無水物の製造反応は、いわゆる不均一反応系で行われる。すなわち上記のカルボニル化反応用固体触媒を用いて、被カルボニル化原料と、一酸化炭素とを反応させて酢酸などのカルボン酸、無水酢酸などのカルボン酸無水物が製造される。
【0058】
被カルボニル化原料としては、アルコール類、エーテル類(例えば、ジアルキルエーテル)およびオレフィン類などが好適に用いられる。特に、酢酸の製造にあっては、例えば、ヨウ化メチルの存在下、反応溶媒中でメタノールおよびジメチルエーテルのなかから選ばれる被カルボニル化原料と、一酸化炭素とを反応させることによって、酢酸が製造される。
【0059】
本発明における好適な一例である酢酸の製造方法において、被カルボニル化原料と一酸化炭素を反応させるカルボニル化工程は、前述したVP樹脂に担持させたロジウムカルボニル錯体触媒を用い、ヨウ化アルキルの存在下、有機溶媒中で被カルボニル化原料と一酸化炭素とを反応させることにより行われる。酢酸の製造における被カルボニル化原料としては、メタノールおよびジアルキルエーテル(例えば、ジメチルエーテル)の中から適宜選定される。カルボニル化反応は、種々の反応器を用いて実施することができる。このような反応器の形式としては、例えば、固定床、混合槽、膨張床などが挙げられる。
【0060】
反応器内における触媒充填量は、一般には、反応器内溶液に対して2〜40wt%であるが、混合槽反応器の場合、2〜25wt%に選ぶのがよい。
【0061】
反応溶媒(有機溶媒)としては、従来公知の各種のものが用いられるが、一般には、炭素数が2以上のカルボニル基含有有機溶媒を含むものが用いられる。このような反応溶媒としては、酢酸、酢酸メチル等のカルボン酸やカルボン酸エステル等が挙げられる。中でも、酢酸を用いるのが好ましい。また、有機溶媒は、水を含有することができる。この場合、有機溶媒中の水の含有率は、反応生成液中の水分濃度が、0.5〜10wt%、好ましくは、2〜7wt%、さらに好ましくは、3〜5wt%となるような量とされる。ヨウ化アルキルとしては、炭素数1〜5のヨウ化アルキルが用いられる。中でも特にヨウ化メチルを使用することが好ましい。水分濃度が0.5%未満となると、十分なカルボニル化反応速度が得られず、10%を超えると例えばロジウムのリーチングが大きくなる。
【0062】
反応器内における反応溶媒の量は、上記被カルボニル化原料の1重量部に対し、0.30重量部以上に規定することがよい。好ましい有機溶媒量は、被カルボニル化原料1重量部に対し2.40重量部以上である。反応溶液中の有機溶媒量を上記の範囲内に保持することにより、触媒の活性中心であるロジウムカルボニル錯体(貴金属錯体)の反応活性が高められるとともに、ロジウムカルボニル錯体(貴金属錯体)とVP樹脂との結合安定性も向上し、高い反応速度でかつVP樹脂からのロジウム(貴金属)の離脱を効果的に防止して、被カルボニル化原料のカルボニル化反応を円滑に進行させることができる。さらに重要なことは、反応器内の有機溶媒量を前記の範囲内に保持することによって、例えば0.7MPaという極めて低いCO分圧条件下においてもロジウム錯体(貴金属錯体)が安定に存在し、高い反応速度で被カルボニル化原料のカルボニル化反応を進行させることができる。このことは、反応器として特別の耐圧容器を使用する必要がなくなり、反応器コストを大幅に節約でき、実用性ある経済的カルボニル化合物(酢酸)製造プロセスが得られることを意味する。
【0063】
特に、酢酸の製造において、被カルボニル化原料のカルボニル化反応を行う際のCO分圧(一酸化炭素分圧)は、0.7MPa以上あればよく、好ましくは1.0MPa以上である。このCO分圧を特に高くしても反応速度はあまり向上せず、格別の反応上の利点は得られない。従って、経済的観点からはそのCO分圧は、0.7〜3.0MPa、好ましくは、1.0〜2.5MPaの範囲に規定するのがよい。CO分圧をこのような範囲に保持することによって、全反応圧力を経済的な1.5〜6.0MPa、さらに好ましくは2.0〜5.0MPaという低圧に保持することができる。なお、無水酢酸の製造におけるCO分圧は、0.7〜6.0MPaの範囲に規定するのがよい。
【0064】
カルボニル化反応における反応温度は100〜250℃、好ましくは130〜230℃である。また、反応系におけるヨウ化アルキルの存在量は、反応器内溶液中、1〜40重量%、好ましくは5〜30重量%である。
【0065】
被カルボニル化原料としてメタノールを用いる場合のカルボニル化反応においては、下記反応式(1)の主反応とともに、下記反応式(2)、(3)の副反応が起る。
【0066】
CH3OH+CO →CH3COOH (1)
CH3COOH+CH3OH⇔CH3COOCH3+H2O (2)
2CH3OH ⇔CH3OCH3+H2O (3)
【0067】
本発明において、カルボニル化合物としての酢酸を収率よく製造するには、前記副反応(2)、(3)を抑え、含酸素化合物のカルボニル化反応(1)を選択的に進行させることが必要になる。このためには、有機溶媒として、酢酸メチルや水を含むものを用いるのが有効である。
【0068】
被カルボニル化原料のカルボニル化に用いる反応器の具体例としては、反応液を撹拌翼で撹拌する撹拌混合式反応器や、反応液を気泡で撹拌する気泡塔型反応器等の反応器が好適に用いられる。本発明の触媒を用いて高い反応速度を得るためには、流通系の反応器を用いて下記の原料組成の条件範囲で操作することが必要である。回分式反応器では高い反応速度を得ることはできない。
【0069】
即ち、流通系の反応器を用いて行われるカルボン酸の製造方法においては、反応器入口のメタノール(MeOH)と酢酸メチル(MeOAc)の重量比が、(MeOH)/(MeOAc)≧0.7、好ましくは(MeOH)/(MeOAc)≧1.0となるように構成される。酢酸メチル(MeOAc)が零の場合も含まれ、この場合には(MeOH)/(MeOAc)=∞となる。(MeOH)/(MeOAc)の値が0.7以上、特に、1.0以上となると、反応活性をさらに向上させることが可能となる。
【0070】
また、流通系の反応器を用いて行われるカルボン酸の製造方法においては、反応器出口の水(H2O)および酢酸メチル(MeOAc)の濃度が、
0.3wt%≦H2O≦10wt%
1.0wt%≦MeOAc≦40wt%、
好ましくは、
0.5wt%≦H2O≦5wt%
1.0wt%≦MeOAc≦35wt%
より好ましくは、
1.0wt%≦H2O≦3wt%
1.0wt%≦MeOAc≦30wt%、
となるように構成される。上記の範囲において、触媒からのRhリーチングが抑えられ、触媒寿命の長い製造方法が提供されることになる。さらに、副生成物の生成量が低減可能となる。
【0071】
【実施例】
以下に具体的な実験例(実施例)を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
【0072】
〔実験例I〕
触媒樹脂担体の粒径および、当該樹脂担体への触媒金属の担持量が、反応活性(触媒活性)に及ぼす影響を調べる実験を行なった。
【0073】
(実施例I−1)
平均粒径170μmのビニルピリジン樹脂14.0g(ビニルピリジン樹脂担体の乾燥重量)を、酢酸ロジウム2.28g、メタノール40g、酢酸75g、および沃化メチル25gの混合溶液に加え、その混合液を撹拌器付Ti製オートクレーブに仕込み、COによって加圧し、180℃、4.0MPa、1000rpmの条件下で、1時間、触媒調製を行ない、乾燥樹脂基準でロジウム担持量が6.0wt%の触媒を得た。
【0074】
その後、内容物をオートクレーブから取り出し、メタノールで数回洗浄し、ロジウム錯体が担持されたビニルピリジン系樹脂からなる触媒を得た。
【0075】
次いで、このようにして得られた触媒を内容量60mLの撹拌器付きTi製の混合槽流通式反応器を用いて、180℃、4.0MPa、1000rpmの条件下で160時間、カルボニル化反応を行った。前記触媒9.0g(ビニルピリジン樹脂担体の乾燥重量相当)をオートクレーブ内に予め酢酸および沃化メチルとともに仕込んだ。反応器に供給する原料は、CO:70NL/hr、メタノール(MeOH):149g/hr、沃化メチル:53g/hr、酢酸:112g/hr、合計314g/hrで供給した。酢酸メチル(MeOAc)はゼロであるので、(MeOH)/(MeOAc)=∞となる。
【0076】
反応の結果、沃化メチル11.7wt%、メタノール0.9wt%、酢酸66.9wt%、酢酸メチル(MeOAc)16.2wt%、水4.4wt%からなる反応生成液を連続的に得ることができた。
【0077】
反応中に消費されたCO量、すなわち反応に関与したCO量を測定し、1時間当たり、1リットル当たりの反応量(Space Time Yield =STY)を算出したところ、51.6mol/L/hrであった。
【0078】
なお、この実施例で用いた平均粒径170μmのビニルピリジン樹脂の粒径分布は水中で測定したところ、以下のとおりであった。
【0079】
Figure 0004891482
【0080】
(実施例I−2)
上記実施例I−1において、酢酸ロジウムを2.28gから1.14gに変え、上記実施例I−1と同様な方法で触媒調製を行ない、乾燥樹脂基準でロジウム担持量3.0wt%の触媒を得た。次いで、反応器に供給する原料をCO:70NL/hr、メタノール(MeOH):117g/hr、沃化メチル:52g/hr、酢酸:143g/hrに変えた以外は、上記実施例I−1と同様な方法で反応試験を行ない、1時間当たり、1リットル当たりの反応量(Space Time Yield =STY)を算出したところ、40.1mol/L/hrであった。
【0081】
なお、反応器出口の酢酸メチル(MeOAc)の濃度は、15.6wt%、水は、4.4wt%であった。また、沃化メチルの濃度は12.8wt%、メタノール(MeOH)の濃度は1.1wt%、酢酸の濃度は66.1wt%であった。
【0082】
(実施例I−3)
上記実施例I−1において、酢酸ロジウムを2.28gから0.30gに変え、上記実施例I−1と同様な方法で触媒調製を行ない、乾燥樹脂基準でロジウム担持量0.8wt%の触媒を得た。次いで、反応器に供給する原料をCO:50NL/hr、メタノール(MeOH):64g/hr、沃化メチル:52g/hr、酢酸:198g/hrに変えた以外は、上記実施例I−1と同様な方法で反応試験を行ない、1時間当たり、1リットル当たりの反応量(Space Time Yield =STY)を算出したところ、18.8mol/L/hrであった。
【0083】
なお、反応器出口の酢酸メチル(MeOAc)の濃度は、15.5wt%、水は、4.3wt%であった。また、沃化メチルの濃度は13.5wt%、メタノール(MeOH)の濃度は0.6wt%、酢酸の濃度は66.1wt%であった。
【0084】
(実施例I−4)
上記実施例I−1において、樹脂担体として用いていたビニルピリジン樹脂の平均粒径を170μmから325μmに変え、それ以外は、上記実施例I−1と同様な方法で触媒調製を行ない、乾燥樹脂基準でロジウム担持量6.0wt%の触媒を得た。次いで、上記実施例I−1と同様な方法で反応試験を行ない、1時間当たり、1リットル当たりの反応量(Space Time Yield =STY)を算出したところ、40.2mol/L/hrであった。
なお、この実施例I−4で用いた平均粒径325μmのビニルピリジン樹脂は、後述する比較例I−1で用いた平均粒径500μmの樹脂を300μm〜350μmのメッシュを用いてふるい分けで得たものである。
【0085】
(実施例I−5)
上記実施例I−4において、酢酸ロジウムを2.28gから1.14gに変え、それ以外は、上記実施例I−4と同様な方法で触媒調製を行ない、乾燥樹脂基準でロジウム担持量3.0wt%の触媒を得た。次いで、上記実施例I−4と同様な方法で反応試験を行ない、1時間当たり、1リットル当たりの反応量(Space Time Yield =STY)を算出したところ、29.8mol/L/hrであった。
【0086】
(実施例I−6)
上記実施例I−4において、酢酸ロジウムを2.28gから0.30gに変え、上記実施例I−4と同様な方法で触媒調製を行ない、乾燥樹脂基準でロジウム担持量0.8wt%の触媒を得た。次いで、上記実施例I−4と同様な方法で反応試験を行ない、1時間当たり、1リットル当たりの反応量(Space Time Yield =STY)を算出したところ、17.0mol/L/hrであった。
【0087】
(比較例I−1)
上記実施例I−1において、樹脂担体として用いていたビニルピリジン樹脂の平均粒径を170μmから500μmに変え、それ以外は、上記実施例I−1と同様な方法で触媒調製を行ない、乾燥樹脂基準でロジウム担持量6.0wt%の触媒を得た。次いで、上記実施例I−1と同様な方法で反応試験を行ない、1時間当たり、1リットル当たりの反応量(Space Time Yield =STY)を算出したところ、15.0mol/L/hrであった。
【0088】
なお、この比較例で用いた平均粒径500μmのビニルピリジン樹脂の粒径分布は水中で測定したところ、以下のとおりであった。
【0089】
Figure 0004891482
【0090】
(比較例I−2)
上記比較例I−1において、酢酸ロジウムを2.28gから1.14gに変え、それ以外は、上記比較例I−1と同様な方法で触媒調製を行ない、乾燥樹脂基準でロジウム担持量3.0wt%の触媒を得た。次いで、上記比較例I−1と同様な方法で反応試験を行ない、1時間当たり、1リットル当たりの反応量(Space Time Yield =STY)を算出したところ、14.5mol/L/hrであった。
【0091】
(比較例I−3)
上記比較例I−1において、酢酸ロジウムを2.28gから0.30gに変え、上記比較例I−1と同様な方法で触媒調製を行ない、乾燥樹脂基準でロジウム担持量0.8wt%の触媒を得た。次いで、上記比較例I−1と同様な方法で反応試験を行ない、1時間当たり、1リットル当たりの反応量(Space Time Yield =STY)を算出したところ、13.7mol/L/hrであった。
【0092】
(比較例I−4)
上記比較例I−1において、酢酸ロジウムを2.28gから0.076gに変え、さらに上記比較例I−1と同様な方法で触媒調製を行ない、乾燥樹脂基準でロジウム担持量0.2wt%の触媒を得た。次いで、上記実施例I−3と同様な方法で反応試験を行ない、1時間当たり、1リットル当たりの反応量(Space Time Yield =STY)を算出したところ、5.3mol/L/hrであった。
【0093】
(比較例I−5)
上記比較例I−4において、酢酸ロジウムを0.076gから0.152gに変え、上記比較例I−4と同様な方法で触媒調製を行ない、乾燥樹脂基準でロジウム担持量0.4wt%の触媒を得た。次いで、上記比較例I−4と同様な方法で反応試験を行ない、1時間当たり、1リットル当たりの反応量(Space Time Yield =STY)を算出したところ、10.1mol/L/hrであった。
【0094】
(比較例I−6)
上記実施例I−1において、酢酸ロジウムを2.28gから0.076gに変え、上記実施例I−1と同様な方法で触媒調製を行ない、乾燥樹脂基準でロジウム担持量0.2wt%の触媒を得た。次いで、上記実施例I−3と同様な方法で反応試験を行ない、1時間当たり、1リットル当たりの反応量(Space Time Yield =STY)を算出したところ、5.4mol/L/hrであった。
【0095】
(比較例I−7)
上記比較例I−6において、酢酸ロジウムを0.076gから0.152gに変え、上記比較例I−6と同様な方法で触媒調製を行ない、乾燥樹脂基準でロジウム担持量0.4wt%の触媒を得た。次いで、上記比較例I−6と同様な方法で反応試験を行ない、1時間当たり、1リットル当たりの反応量(Space Time Yield =STY)を算出したところ、10.0mol/L/hrであった。
【0096】
触媒活性の指標となる反応量(Space Time Yield =STY)の結果を下記表1に示した。
【0097】
【表1】
Figure 0004891482
【0098】
表1の結果より本発明の効果は明らかである。すなわち、実施例I−1〜実施例I−6では、樹脂担体の粒径が350μm以下であるので、ロジウム担持量0.5wt以上の所定量に応じて(略比例して)反応活性が向上していることがわかる。しかしながら、樹脂担体の粒径が350μmを超える比較例I−1〜比較例I−3では、ロジウム担持量を0.5wt以上に増加させ反応活性を更に向上させようとしても反応活性は頭打ちとなり、それ以上向上していないことがわかる。
【0099】
なお、比較例I−4〜比較例I−7に見られるように、ロジウム担持量が0.5wt%未満においては、樹脂粒径の大きさに関わらずロジウム担持量に比例して反応活性は向上しているが、反応活性の値そのものは低い。なお、前述したように樹脂担体の粒径が350μmを超える場合では、ロジウム担持量を0.5wt以上に増加させ反応活性を更に向上させようとしても反応活性は頭打ちとなり、それ以上向上しない。
【0100】
(比較例I−8)
実施例I−2の方法によって、乾燥樹脂基準でロジウム担持量3.0wt%の触媒を得た。その触媒14.0g(ビニルピリジン樹脂担体の乾燥重量相当)を、沃化メチル15.2g、メタノール34.9g、酢酸42.5gとともに撹拌器付Ti製オートクレーブに仕込み、COによって加圧し、180℃、4.0MPa、1000rpmの条件下で、反応せしめた。
【0101】
ガスだめの圧力減少によって、反応速度を測定したところ、初期反応速度は27.0mol/L/hrであり、30min後の反応速度は17.0mol/L/hrであった。
【0102】
実施例I−2と、この比較例I−8の対比によって明かなように、同一触媒と同一反応条件であっても、反応器が流通式であるのと回分式であるのとでは、得られる反応速度が異なるものであることが分かった。この現象は、本発明触媒の平均粒径が350μm以下であり、金属担持量が0.5wt%以上のものに特有であり、粒径が大きい触媒では見られなかった。従って、本触媒を有効に利用するためには、流通式反応器を用いることが経済上好ましい。
【0103】
〔実験例II〕
上記の流通系の反応器を用いた酢酸の製造方法において、反応器入口のメタノール(MeOH)と酢酸メチル(MeOAc)の重量比の設定値が、反応活性に及ぼす影響を確認するための実験を行った。
【0104】
(実施例II−1)
平均粒径170μmのビニルピリジン樹脂14.0g(ビニルピリジン樹脂担体の乾燥重量)を、酢酸ロジウム2.28g、メタノール40g、酢酸75g、および沃化メチル25gの混合溶液に加え、その混合液を撹拌器付Ti製オートクレーブに仕込み、180℃、4.0MPa、1000rpmの条件下で、1時間、触媒調製を行ない、乾燥樹脂基準でロジウム担持量が6.0wt%の触媒を得た。
【0105】
その後、内容物をオートクレーブから取り出し、メタノールで数回洗浄し、ロジウム錯体が担持されたビニルピリジン系樹脂からなる触媒を得た。
【0106】
次いで、このようにして得られた触媒を内容量60mLの混合槽流通式反応器を用いて、180℃、4.0MPaの条件下で160時間、カルボニル化反応を行った。前記触媒9.0g(ビニルピリジン樹脂担体の乾燥重量)をオートクレーブ内に予め酢酸および沃化メチルとともに仕込んだ。反応器に供給する原料は、CO:70NL/hr、メタノール(MeOH):126g/hr、沃化メチル:56g/hr、酢酸メチル(MeOAc):12.6g/hr、酢酸:119g/hrで供給した。(MeOH)/(MeOAc)=10.0となる。
【0107】
反応の結果、沃化メチル13.6wt%、メタノール1.6wt%、酢酸57.1wt%、酢酸メチル23.3wt%、水4.5wt%からなる反応生成液を連続的に得ることができた。
【0108】
反応中に消費されたCO量、すなわち反応に関与したCO量を測定し、1時間当たり、1リットル当たりの反応量(Space Time Yield =STY)を算出したところ、42.0mol/L/hrであった。
【0109】
(実施例II−2)
上記実施例II−1における反応器に供給する原料を変えて、CO:70NL/hr、メタノール(MeOH):94g/hr、沃化メチル:53g/hr、酢酸メチル(MeOAc):41g/hr、酢酸:119g/hr、水:6g/hrとした。(MeOH)/(MeOAc)=2.3となる。
【0110】
反応の結果、沃化メチル14.1wt%、メタノール2.9wt%、酢酸51.0wt%、酢酸メチル25.4wt%、水6.4wt%からなる反応生成液を連続的に得ることができた。
【0111】
反応中に消費されたCO量、すなわち反応に関与したCO量を測定し、1時間当たり、1リットル当たりの反応量(Space Time Yield =STY)を算出したところ、31.3mol/L/hrであった。
【0112】
(実施例II−3)
上記実施例II−1における反応器に供給する原料を変えて、CO:70NL/hr、メタノール(MeOH):71g/hr、沃化メチル:52g/hr、酢酸メチル(MeOAc):83g/hr、酢酸:89g/hr、水18g/hrとした。(MeOH)/(MeOAc)=0.86となる。
【0113】
反応の結果、沃化メチル13.6wt%、メタノール2.2wt%、酢酸40.8wt%、酢酸メチル34.6wt%、水8.6wt%からなる反応生成液を連続的に得ることができた。
【0114】
反応中に消費されたCO量、すなわち反応に関与したCO量を測定し、1時間当たり、1リットル当たりの反応量(Space Time Yield =STY)を算出したところ、22.2mol/L/hrであった。
【0115】
触媒活性の指標となる反応量(Space Time Yield =STY)の結果を下記表2に示した。
【0116】
【表2】
Figure 0004891482
【0117】
表2の結果より、本発明の効果は明らかである。すなわち、(MeOH)/(MeOAc)の値が0.7以上、特に1.0以上となると、反応活性をさらに向上させることが可能となる。
【0118】
〔実験例III〕
上記実施例I−2について、反応生成物中のRh濃度を分析したところ、0.94wtppmであった。原料供給組成および生成物組成を表3に示し、下記実施例III−1、実施例III−2と対比する実験を行った。
【0119】
(実施例III−1)
上記実施例I−2において、反応器に供給する原料を下記表3に示す組成となるようにした。ただし、合計供給速度は実施例I−2と同じ314g/hrとして、他の条件は実施例I−2と同様にして反応試験を行った。
【0120】
得られた反応速度は35.2mol/L/hrであり、生成物組成を分析したところ、酢酸メチル22.6wt%、水2.5wt%、Rh濃度0.33wtppmであった。
【0121】
(実施例III−2)
上記実施例III−1において、反応器に供給する原料を下記表3に示す組成となるように行った以外は、上記実施例III−1と同様にして反応試験を行った。
【0122】
得られた反応速度は32.4mol/L/hrであり、生成物組成を分析したところ、酢酸メチル25.3wt%、水1.6wt%、Rh濃度0.21wtppmであった。
【0123】
(参考例III−1)
上記実施例III−1において、反応器に供給する原料を下記表3に示す組成となるように行った以外は、上記実施例III−1と同様にして反応試験を行った。
【0124】
得られた反応速度は27.3mol/L/hrであり、生成物組成を分析したところ、酢酸メチル33.1wt%、水9.6wt%、Rh濃度2.5wtppmであった。
【0125】
【表3】
Figure 0004891482
【0126】
表3に示されるように、生成物中のRh濃度は、生成物中の酢酸メチルおよび水の含有割合を適当に制御することにより低減させることができ、水は好ましくは0.5〜5.0wt%の範囲(実施例I−2)、より好ましくは1.0〜3.0wt%の範囲(実施例III−1、実施例III−2)に制御するのがよいことがわかる。
【0127】
(IV)本発明における無水酢酸の製造実験
上記実施例I−1に用いた流通式撹拌混合式反応器を用いて、無水酢酸の製造実験を行った。反応器内部に実施例I−1の触媒を充填し、原料供給ラインから原料化合物(酢酸メチル:45wt%、酢酸:38wt%、沃化メチル:17wt%)を314g/hrの流量で反応器内に供給し、反応性ガス供給ラインから水素(5モル%)およびCO(95モル%)を含む反応性ガスを70NL/hrの流量で反応器内に供給し液中に噴出させつつカルボニル化反応させた。
【0128】
反応液は、製品抜き出しラインから抜き出し、また、未反応ガス(H2,CO)および気化した反応液は、塔頂のガス抜き出しラインから抜き出し、冷却器で凝縮させた一部を反応容器内に返送するようにした。反応条件は、温度:190℃、全圧:5.0MPa、触媒充填量:15wt%/反応液、攪拌速度:1000rpmとし、製品抜き出しラインからの反応液組成は、酢酸メチル:25wt%、酢酸:36wt%、沃化メチル:16wt%、無水酢酸:23wt%であった。
【0129】
【発明の効果】
上記の結果より、本発明の効果は明らかである。すなわち、本発明は、窒素環を含む多孔質架橋構造を有する樹脂担体と第VIII族金属の塩を用いて製造されたカルボニル化反応用固体触媒であって、前記樹脂担体の平均粒径が、350μm以下であり、当該樹脂担体への第VIII族金属の担持量が0.5wt%以上となるように設定されているので、従来のレベルに比べ格段と向上した反応活性が得られる。

Claims (5)

  1. 反応器入口に供給されるメタノール(MeOH)と酢酸メチル(MeOAc)の重量比を(MeOH)/(MeOAc)≧0.7且つ、反応器出口の水(H2O)および酢酸メチル(MeOAc)の濃度を、それぞれ、0.3wt%≦H2O≦10wt%、1.0wt%≦MeOAc≦40wt%の条件でカルボニル化反応用固体触媒を用いて、流通式撹拌混合式反応器を用いて連続的にカルボン酸を製造する方法であって、
    前記カルボニル化反応用固体触媒は、樹脂担体であるビニルピリジン樹脂と第VIII族金属の塩を用いて製造され、
    前記樹脂担体は、30〜60%の架橋度、0.2〜0.4mL/gの細孔容積および20〜100nmの平均細孔径を有し、前記樹脂担体の平均粒径が、350μm以下であり、当該樹脂担体への第VIII族金属の担持量が0.5wt%以上であることを特徴とするカルボン酸の製造方法。
  2. 前記樹脂担体の平均粒径が、170〜325μmであり、当該樹脂担体への第VIII族金属の担持量が0.8〜6.0wt%である請求項1に記載のカルボン酸の製造方法。
  3. 反応器入口に供給されるメタノール(MeOH)と酢酸メチル(MeOAc)の重量比を、(MeOH)/(MeOAc)≧1.0とする請求項1または請求項2に記載のカルボン酸の製造方法。
  4. 反応器出口の水(H2O)および酢酸メチル(MeOAc)の濃度を、
    0.5wt%≦H2O≦5wt%
    1.0wt%≦MeOAc≦35wt%
    とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のカルボン酸の製造方法。
  5. 反応器出口の水(H2O)および酢酸メチル(MeOAc)の濃度を、
    1.0wt%≦H2O≦3wt%
    1.0wt%≦MeOAc≦30wt%
    とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のカルボン酸の製造方法。
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