JP4895448B2 - 多層配線基板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面多層配線層がコア基板の表面に積層されてなる多層配線基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯情報端末の発達やモバイルコンピューティングの普及に伴い、小型、高精細かつ高速動作に適した多層配線基板が求められている。このような要求に対応するための多層配線基板として、従来よりビルドアップ法で作製されるものが知られている。
【0003】
このような多層配線基板は、ガラス−エポキシ複合材料からなるコア基板の表面に感光性樹脂を塗布して絶縁層を形成し、この絶縁層に対して露光/現像を行うことにより貫通孔が形成される。次に、この貫通孔の内壁を含む絶縁層の全表面に銅などのメッキ層を形成した後、このメッキ層表面に感光性レジストを塗布し、露光/現像を行い、余分なメッキ膜をエッチングにより除去し、さらにレジスト剥離を経て導体配線層を形成することにより作製される。
【0004】
しかしながら、ビルドアップ法により形成される多層配線基板では、感光性樹脂からなる絶縁層に対して導体配線層の密着強度が低いという問題があった。
【0005】
また、ビルドアップ法では、コア基板の表面に形成された絶縁層や導体配線層に対して、さらに、この表面上に絶縁層あるいは導体配線層が逐次形成されることから、工程の途中で発生した不良層を除くことが困難であることから工程歩留まりが低下しやすく、このため高コストになるという問題があった。
【0006】
そこで、このような問題に対して、さらに近年においては、予め作製された配線パターンを、これも予め作製された絶縁シート上に転写して作製する方法が考案されており、このように予め作製された配線パターンや絶縁シートは良品が選別され用いられる。このような多層配線基板として、例えば、特開2000−133916号公報に開示されるようなものが知られている。
【0007】
この公報に開示された多層配線基板は、上記の転写法により作製されるものであり、以下の工程からなる。ここでは、まず、少なくともアルミナ等の無機絶縁粉末と有機バインダとを含む絶縁シートに貫通孔を設け、この貫通孔に導電性ペーストを充填してバイア導体を形成し、この表面に有機フィルム上に形成した銅箔からなる配線パターンを転写する。次に、絶縁シートの表面に配線パターンが形成された絶縁シートを所望の層数だけ積層して再度加熱加圧を行うことにより多層配線基板を作製することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した特開2000−133916号公報に開示される多層配線基板では、多層配線基板の熱膨張係数を考慮して絶縁シート中に多くの無機絶縁粉末を含んでいることから、絶縁シートの可とう性や柔軟性およびシート強度が低下するとともに、表面に欠けやクラックが発生しやすいという問題があった。
【0009】
また、配線パターンを転写する際に、絶縁シート中に含まれる樹脂成分が溶融する温度まで加熱加圧しても、無機絶縁粉末の間を通って表面付近まで到達する樹脂成分の移動量が少ないために、特に導体配線層を微細化した場合に、金属箔表面の凹凸部に樹脂が入り込み形成される有機樹脂のアンカーが少なくなり、広い面積の導体配線層に比較して接着力が低くなり、転写された導体配線層が剥がれやすいという問題があった。このため導体配線層とバイア導体との接続信頼性が低下するという問題があった。
【0010】
一方、上記のような問題から、絶縁シートに含まれる熱硬化性樹脂量を多くした場合には、絶縁シートに対する導体配線層の密着性は向上するものの、転写時の導体配線層の位置ずれや絶縁シートの変形が発生するという問題があった。
【0011】
従って、本発明は、寸法精度に優れた表面多層配線層を有する多層配線基板を提供することを目的とする。
【0026】
【課題を解決する手段】
本発明の多層配線基板は、少なくとも熱硬化性樹脂および繊維体を含む絶縁基板の表面および/または内部に導体配線層が形成され、該導体配線層間を接続するために前記絶縁基板内部にバイア導体が形成されてなるコア基板と、該コア基板の表面に、熱硬化性樹脂と無機絶縁粉末からなり繊維体を含まない絶縁層および金属箔からなる導体配線層が積層されてなり、該導体配線層間を接続するために前記絶縁層にバイア導体が形成されてなる表面多層配線層と、を具備する多層配線基板において、前記表面多層配線層を構成する前記絶縁層が高濃度粉末層と低濃度粉末層との重畳体からなり、前記高濃度粉末層は、前記低濃度粉末層よりも前記コア基板側に配されていることを特徴とする。
【0027】
このような構成によれば、導体配線層が形成される絶縁層の表面側が、相対的に熱硬化性樹脂量の多い低濃度粉末層により構成されていることから、導体配線層の表面の凹凸部に多くの熱硬化性樹脂が入り込み、このため多層配線基板を構成する導体配線層と絶縁層との密着強度を高めることができる。
【0028】
また、低濃度粉末層に熱硬化性樹脂量が多いことから表面の導体配線層がこの低濃度粉末層に埋設され、絶縁層と導体配線層とを実質的に同一面とすることができることから、多層配線基板を構成する絶縁層および導体配線層同士の平行度が高まり、このため導体配線層とバイア導体との接続を均一にでき、多層配線基板の電気特性を高め、接続信頼性を向上できる。
【0029】
さらに、絶縁層が低濃度粉末層とともに高濃度粉末層により構成されていることから、絶縁層のヤング率や機械的強度を高めることができるとともに、熱膨張係数を低くできることから、半導体素子等の実装信頼性を向上できる。
【0030】
即ち、絶縁層がこのように高濃度粉末層と低濃度粉末層により構成される形態であることにより、高濃度粉末層に含まれる無機絶縁粉末量を変えることで、絶縁層のヤング率や機械的強度および熱膨張係数を任意に変更でき、多様な多層配線基板を形成できる。
【0031】
上記多層配線基板では、高濃度粉末層全体に含まれる無機粉末量が35体積%以上でありかつ低濃度粉末層全体に含まれる無機絶縁粉末量が20体積%以下であることが望ましい。
【0032】
このように高濃度粉末層に含まれる無機絶縁粉末量を35体積%以上とすることにより絶縁層の熱膨張係数をさらに小さくし、ヤング率を高めることができるとともに、低濃度粉末層中に含まれる無機絶縁粉末量を20体積%以下とすることにより、導体配線層の表面の凹凸部にさらに多くの熱硬化性樹脂が入り込み、このため多層配線基板を構成する導体配線層と絶縁層との密着強度をさらに高めることができる。
【0033】
また、低濃度粉末層に熱硬化性樹脂量が相対的に多いことから埋設される導体配線層による凹凸をさらに低減でき、このことから多層配線基板を構成する絶縁層および導体配線層同士の平行度がさらに高まり、このため導体配線層とバイア導体との接続をさらに均一にでき、多層配線基板の電気特性を高め、接続信頼性をさらに向上できる。
【0034】
上記多層配線基板では、導体配線層の厚みをt1、低濃度粉末層の厚みをt2としたときに、t2/t1>0.15であることが望ましい。導体配線層の厚みに対する低濃度粉末層の厚みの比を0.15より大きくすることにより、絶縁層の熱硬化性樹脂量が相対的に多くなることから、導体配線層の絶縁層中への埋設を改善し平坦度をさらに高めることができる。
【0035】
上記多層配線基板では、絶縁層の厚みが50μm以下であり、かつ少なくとも一方面側に形成される低濃度粉末層の厚みが2μm以上であることが望ましい。このように絶縁層の厚みが50μm以下と薄い場合であっても、熱硬化性樹脂量の多い低濃度粉末層の厚みを2μm以上形成することにより、低濃度粉末層に多く含まれている熱硬化性樹脂同士の結合の寄与を高めることができ、絶縁層の強度並びに可とう性を向上できる。また、絶縁層の表面に形成される導体配線層の平坦度を向上できる。
【0036】
上記多層配線基板では、絶縁層に含まれる無機絶縁粉末の平均粒径が1μm以下であることが望ましい。絶縁層がこのように平均粒径の小さい無機絶縁粉末を用いて形成されることにより、例え、絶縁層が薄い場合であっても無機絶縁粉末の周囲を取り巻く熱硬化性樹脂量を均一にできることから絶縁層の強度や柔軟性を高めることができる。
【0037】
上記多層配線基板では、絶縁層を構成する無機絶縁粉末のアスペクト比が1.2以上であることが望ましい。本発明の多層配線基板が、一般に流動性の低い無機絶縁粉末を用いて形成される絶縁層に対して用いることができるものであることから、無機絶縁粉末のアスペクト比が1.2以上と大きい場合に好適である。
【0042】
【発明の実施の形態】
(絶縁シート)
(構造)
本発明の絶縁シートの一例の概略断面図を図1に示した。
【0043】
本発明の絶縁シートAは、図1に示すように、少なくとも熱硬化性樹脂1と無機絶縁粉末3との複合体により構成されており、厚み方向に無機絶縁粉末3量の多い高濃度粉末シート5と、無機絶縁粉末3量の多い高濃度粉末シート5よりも無機絶縁粉末3量の少ない低濃度粉末シート7が2層重畳されている。
【0044】
また、高濃度粉末シート5全体に含まれる無機絶縁粉末3の含有量は、絶縁シートAのヤング率や機械的強度を高めかつ熱膨張係数を小さくするという理由から35体積%以上が望ましく、特に、絶縁シートAに可とう性や柔軟性を持たせ製造工程におけるハンドリング性や脱粒、欠け、クラックを抑制するという理由から、40〜80体積%が望ましい。
【0045】
一方、低濃度粉末シート7全体に含まれる無機絶縁粉末3の含有量は、絶縁シートA表面の可とう性や柔軟性および平滑性を得るために20体積%以下が望ましく、特に、絶縁シートAの耐熱性を高め、寸法変化を抑えかつ熱膨張係数を低くするという理由から5〜15体積%が望ましい。
【0046】
また、高濃度粉末シート5および低濃度粉末シート7が重畳されたときの絶縁シートAの全厚みは、例えば、多層配線基板の表面多層配線層Cの絶縁層21a〜21dとして用いられインダクタンスを低減しかつインピーダンス整合を行うという理由から50μm以下が望ましい。そして、このとき絶縁シートAの少なくとも一方面側に形成される低濃度粉末シート7の厚みは、低濃度粉末シート7に多く含まれている熱硬化性樹脂1同士の結合の寄与を高め欠けやクラックを防止し、絶縁シートAの機械的強度並びに可とう性を向上できるという理由から2μm以上であることが望ましい。特に、この低濃度粉末シート7の厚みは、絶縁シートAのヤング率、機械的強度および耐熱性を高めるという理由から、5〜10μmが望ましい。
【0047】
また、本発明の絶縁シートAを構成する高濃度粉末シート5および低濃度粉末シート7に含まれる無機絶縁粉末3の平均粒径は、薄い絶縁シートAを形成したとしても無機絶縁粉末3の周囲を取り巻く熱硬化性樹脂1量を均一にでき、絶縁シートAの強度や柔軟性を高めることができるという理由から1μm以下であることが望ましい。特に、絶縁性スラリーに含まれる熱硬化性樹脂量を抑えかつその分散性を高め良好な成形ができかつ絶縁シートAの機械的強度を高めるという理由から無機絶縁粉末3の平均粒径は、0.1〜0.8μmであることが望ましい。
【0048】
また、高濃度粉末シート5および低濃度粉末シート7に含まれる無機絶縁粉末3の平均粒径は、同一である必要は無く、特に、薄層化して形成される低濃度粉末シート7に含まれる無機絶縁粉末3の平均粒径が高濃度粉末シート5に含まれる無機絶縁粉末3の平均粒径よりも小さい場合にも好適に用いることができる。
【0049】
また、本発明の絶縁シートAが一般に流動性の低い無機絶縁粉末3に対して適用されるものであることから、絶縁シートAを構成する高濃度粉末シート5および低濃度粉末シート7に含まれる無機絶縁粉末3のアスペクト比は、1.2以上であることが望ましい。特に、絶縁性スラリーに含まれる熱硬化性樹脂1量を抑えかつ分散性を高めるという理由から、アスペクト比は1.5〜2であることが望ましい。
【0050】
(材料)
本発明の絶縁シートAは、少なくとも熱硬化性樹脂1を含有する絶縁材料からなるものであり、例えば、A−PPE(ポリフェニレンエーテル樹脂)、BTレジン(ビスマレイドトリアジン)、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、ポリアミノビスマレイミド樹脂、エポキシ樹脂からなり、とりわけ原料として室温で液体の熱硬化性樹脂1であることが望ましい。本発明の絶縁シートAは高濃度粉末シート5と低濃度粉末シート7が重ね合わされているものであるが、両シートに含まれる熱硬化性樹脂1は化学的な重合反応や密着性を高めるという理由から同じ熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。
【0051】
また絶縁シートAを構成する無機絶縁粉末3としては、SiO2、Al2O3、ZrO2、TiO2、AlN、SiC、BaTiO3、SrTiO3の少なくとも1種の材料が使用できる。また、その形状としては球状、針状など任意のものとすることができる。このように絶縁シートA中で不連続に存在する無機絶縁粉末3を用いることにより、例えば、多層配線基板の耐マイグレーション性を高めることができる。
【0052】
(製法)
次に、本発明の絶縁シートAの製法を図2の工程図をもとに説明する。
【0053】
まず、本発明の多層配線基板を形成する絶縁シートAは以下のように作製される。図2に示すように、まず、高濃度粉末シート5を作製するために、各々所定量の熱硬化性樹脂1、無機絶縁粉末3、分散剤、硬化剤および溶剤とを(加熱式攪拌混合機)を用いて、温度80℃で2時間混合することにより高濃度スラリー11を調製する。このとき、高濃度スラリー11の粘度は、ハーケ社製レオメータRS−100を用いて、直径φ20mm、角度1°のコーンを用いて、せん断速度100s-1で測定したとき3〜5Pa・sの範囲であることが望ましい。
【0054】
次に、高濃度スラリー11と同様の成分を用いて、この場合には、高濃度スラリー11よりも熱硬化性樹脂1量に対して無機絶縁粉末3量を低減して、この無機絶縁粉末3に対して、各々所定量の熱硬化性樹脂1、分散剤、硬化剤および溶剤とを混合して低濃度スラリー13を調製する。低濃度スラリー13の粘度は1〜2Pa・sであることが望ましい。
【0055】
次に、調製された2種の絶縁性スラリー11、13のうち、まず、高濃度スラリー11を用いて有機樹脂製のキャリアフィルム15上にドクターブレード法などのシート成形法により高濃度成形シート5を形成し、さらに、この高濃度成形シート5の表面に低濃度スラリー13を用いて同じくドクターブレード法などのシート成形法により塗布することで低濃度粉末シート7を積層形成する。このようにして高濃度粉末シート5の片面に低濃度粉末シート7が形成された2層構造の絶縁シートAが形成される。この場合、上記の方法により無機絶縁粉末3量の異なる2種類の絶縁シートAを作製し、これらの高濃度粉末シート5および低濃度成形シート7を加圧加熱して一体化することによっても形成できる。
【0056】
尚、本発明の絶縁シートAでは、高濃度粉末シート5に重畳されて形成される低濃度粉末シート7は片面のみではなく両面に形成されてもよい。この場合には、図3(a)に示すように、まず、前述のキャリアフィルム15上に低濃度スラリー13を塗工して余分な溶剤が揮発する程度に乾燥させ低濃度粉末シート7を形成する。次に、図3(b)に示すように、成形した低濃度粉末シート7のうち、約半量分に対して、この低濃度粉末シート7上に高濃度スラリー11を塗工し、これも余分な溶剤が揮発する程度に乾燥させキャリアフィルム15側に低濃度粉末シート7が、表面側に高濃度粉末シート5が重畳された2層構造の絶縁シートAを形成する。次に、図3(c)に示すように、上記2種のシートの表面側同士を重ね合わせて室温以上の温度にて加熱しながら加圧して密着させることにより高濃度粉末シート5の両面に低濃度粉末シート7が形成された3層構造の絶縁シートAが形成される。
【0057】
上記の製法では、高濃度粉末シート5を成形した直後に、低濃度スラリー13を塗布することから、高濃度粉末シート5表面の粘着性が保持された状態で低濃度粉末シート7が密着され、このため高濃度粉末シート5と低濃度粉末シート7との密着性の高い絶縁シートAを容易に形成できる。
【0058】
また、この方法によれば、先に形成された高濃度粉末シート5あるいは低濃度粉末シート7は溶剤が揮発し高粘度状態にあり、後に塗布させる高濃度スラリー11あるいは低濃度スラリー13と混ざり合わないことから、厚み方向に無機絶縁粉末3量の異なる絶縁シートAを容易に形成できる。
【0059】
次に、成形された絶縁シートAは、まず、ピンホールや色調等の外観検査を行い、次に、厚みや表面粗さを測定し、さらには、絶縁シートAの機械的強度(引張り強度)試験を行い、多層配線基板に用いられる絶縁シートAととしての各特性が評価される。
【0060】
(多層配線基板)
(構造)
以下、本発明の多層配線基板の一例の概略断面図を図4に示した。
【0061】
図4に示すように、本発明の多層配線基板は、コア基板Bの表面に表面多層配線層Cが形成されている。
【0062】
コア基板Bは、少なくとも熱硬化性樹脂を含有する複数の絶縁層13a〜13eを複数積層して形成された絶縁基板15と、その絶縁基板15の表面および内部に形成された導体配線層17と、この導体配線層17間を接続するバイア導体18により構成されている。
【0063】
また、コア基板Bの上下面に相当する表面上に積層されている表面多層配線層Cもまた、コア基板Bと同様、少なくとも熱硬化性樹脂を含有する複数の表面絶縁層21a〜21dが複数積層され、この表面および内部には導体配線層23が形成されており、これらの導体配線層23間を接続するためのバイア導体25が各絶縁層21a〜21dの内部に形成されている。
【0064】
次に、表面多層配線層Cを構成する絶縁層21a〜21dを図5の要部拡大図をもとに説明する。この表面絶縁層21aは、図5に示すように、コア基板B側に無機絶縁粉末3が多く含まれている高濃度粉末層27とその高濃度粉末層27の上方側に、高濃度粉末層27よりも無機絶縁粉末3が少ない低濃度粉末層29が重畳されて構成されている。
【0065】
また、この表面絶縁層21a〜21d上に形成された導体配線層23は、無機絶縁粉末3の少ない低濃度粉末層29の熱硬化性樹脂を排除して埋設されている。このため表面絶縁層21a〜21dと導体配線層23とは実質的に同一平面となっており、このため表面多層配線層Cの導体配線層23とコア基板Bの表面に形成された導体配線層17との間のバイア導体25は両方の導体配線層17、23の厚み分だけ圧縮され高密度化されており、このためバイア導体25と導体配線層17、23との接続が強固になり導電性ならびに接続信頼性を向上できる。
【0066】
なお、表面多層配線層Cに形成されたバイア導体25は導体配線層23を介して多層配線基板の厚み方向にコア基板Bに形成されたバイア導体18とビアオンビアの形体で接続されている。
【0067】
そして、表面多層配線層Cを構成する表面絶縁層21a〜21dは高濃度粉末シート5および低濃度粉末シート7からなる前記の絶縁シートAにより形成されることから、この表面絶縁層21a〜21dは前記の絶縁シートAの特徴を受け継ぐものである。
【0068】
即ち、高濃度粉末層27全体に含まれる無機絶縁粉末3の含有量は、表面絶縁層21a〜21dのヤング率や機械的強度を高めかつ硬化後の熱膨張係数を、例えば、25×10-6/℃以下に小さくするという理由から40体積%以上が望ましく、特に、表面絶縁層21a〜21dに可とう性を持たせ、脱粒、欠け、クラックを抑制するという理由から、50〜80体積%が望ましい。
【0069】
一方、低濃度粉末層29全体に含まれる無機絶縁粉末3の含有量は、表面絶縁層21a〜21d表面の可とう性および平滑性を得、多層配線基板の耐水性を向上させるために20体積%以下が望ましく、特に、表面絶縁層21a〜21dの耐熱性を高め、寸法変化を抑えかつ熱膨張係数を70×10-6/℃以下にするという理由から5〜15体積%が望ましい。
【0070】
また、高濃度粉末層27および低濃度粉末層29が重畳されたときの表面絶縁層21a〜21dの全体厚みは、例えば、多層配線基板の表面配線層の絶縁層として用いられインダクタンスを低減しかつインピーダンス整合を行うという理由から50μm以下が望ましい。そして、このとき表面絶縁層21a〜21dの少なくとも一方面側に形成される低濃度粉末層29の厚みは、この低濃度粉末層29に多く含まれている熱硬化性樹脂1同士の結合の寄与を高め、欠けやクラックを防止し、表面絶縁層21a〜21dの機械的強度並びに可とう性を向上できるという理由から2μm以上であることが望ましい。特に、この低濃度粉末層29の厚みは、表面絶縁層21a〜21dのヤング率、機械的強度および耐熱性を高めるという理由から、0.1〜0.5μmが望ましい。
また、導体配線層23の厚みをt1、低濃度粉末層29の厚みをt2としたときに、t2/t1>0.15であることが望ましい。特に、導体配線層23を転写した際に表面絶縁層21a〜21dとともに発生する変形やずれを抑制するという理由から、t2/t1は0.2〜1.5の範囲であることが望ましい。
【0071】
また、本発明の表面絶縁層21a〜21dを構成する高濃度粉末層27および低濃度粉末層29に含まれる無機絶縁粉末3の平均粒径は、表面絶縁層21a〜21dを薄くした場合であっても無機絶縁粉末3の周囲を取り巻く熱硬化性樹脂1量を均一にでき、表面絶縁層21a〜21dの機械的強度や可とう性を高めることができるという理由から1μm以下であることが望ましい。特には、表面絶縁層21a〜21dの機械的強度を高めるという理由から無機絶縁粉末3の平均粒径は、0.1〜0.8μmであることがより望ましい。
【0072】
また、高濃度粉末層27および低濃度粉末層29に含まれる無機絶縁粉末3の平均粒径は、同一寸法である必要は無く、特に、薄層化して形成される低濃度粉末層29に含まれる無機絶縁粉末3の平均粒径が高濃度粉末層27に含まれる無機絶縁粉末3の平均粒径よりも小さい場合にも好適に用いることができる。
【0073】
また、本発明の表面絶縁層21a〜21dが一般に流動性の低い無機絶縁粉末を用いて形成される表面絶縁層21a〜21dに対して好適であることから、表面絶縁層21a〜21dを構成する高濃度粉末層27および低濃度粉末層29に含まれる無機絶縁粉末3のアスペクト比は、1.2以上であることが望ましい。特に、表面絶縁層21a〜21dに含まれる熱硬化性樹脂量を抑えかつ分散性を高めるという理由から、アスペクト比は1.5〜2が望ましい。
【0074】
(材料)
本発明の多層配線基板において、表面多層配線層Cを構成する表面絶縁層21a〜21dは、前記絶縁シートAと同様に熱硬化性樹脂を含有する絶縁材料からなるものであり、例えば、A−PPE(ポリフェニレンエーテル樹脂)、BTレジン(ビスマレイドトリアジン)、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、ポリアミノビスマレイミド樹脂、エポキシ樹脂からなり、とりわけ原料として室温で液体の熱硬化性樹脂であることが望ましい。
【0075】
一方、コア基板Bを構成する絶縁層13a〜13eとなる絶縁基材61もまた、表面多層配線層Cを構成する表面絶縁層21a〜21dと同様のA−PPE(ポリフェニレンエーテル樹脂)等の熱硬化性樹脂が好適に用いられる。また、絶縁層13a〜13e中に混合される充填材としては無機絶縁粉末3や繊維体があり、織布、不織布など任意の性状のものを用いればよい。また、アラミド繊維、セルロース繊維などの有機繊維体を用いることもできる。特に、コア基板Bに用いる繊維体として、ガラス繊維に前記熱硬化性樹脂を含浸したものが強度を高める点で最も望ましい。
【0076】
また、表面多層配線層Cを構成する表面絶縁層21a〜21d中の無機絶縁粉末3の成分としては、これも前述の絶縁シートAに含まれる無機絶縁粉末3と同じ物であり、SiO2、Al2O3、ZrO2、TiO2、AlN、SiC、BaTiO3、SrTiO3の少なくとも1種類の材料が使用できる。また、その形状も同じく球状、針状など任意のものとすることができる。このように表面絶縁層21a〜21d中で不連続に存在する無機絶縁粉末を用いることで耐マイグレーション性を高めることができ、表面多層配線層Cの導体配線層23およびバイア導体25の高密度化を図ることができる。
【0077】
また、コア基板Bおよび表面多層配線層Cを構成する導体配線層17、23としては、導体配線を形成するに好適な金属より形成され、例えば、金、銀、銅、アルミニウムの少なくとも1種を含む低抵抗金属の電解金属箔が好適に使用される。この電解金属箔の厚みは1〜35μmが良く、望ましくは、導電性が低く配線の微細化に適しているという点から5〜18μmが良い。この電解金属箔の厚み、言い換えれば導体配線層17、23の厚みが1μmより小さいと配線の抵抗率が高くなり、また35μmより大きいと、積層時にコア基板Bや表面多層配線層Cの変形が大きくなったり、絶縁層13a〜13eおよび表面絶縁層21a〜21dへの金属の埋め込み量が多くなり、コア基板Bや表面多層配線層Cの歪みが大きくなり樹脂硬化後に基板が変形を起こしやすいなどの問題がある。
【0078】
また、バイア導体18、25となる貫通孔中に充填される導体ペーストとしては、導体配線層17、23を形成する金属粉末にエポキシ、セルロース等の樹脂成分を添加し、酢酸ブチルなどの溶媒によって混練したものが使用される。この導体ペーストは貫通孔への充填後溶剤を乾燥させるがはじめから無溶剤であることが望ましい。また、バイア導体18、25の低抵抗化とバイア導体18、25上部、底部の導体配線層23、17を形成する金属箔との接続性向上のために、錫、鉛、ビスマス、インジウムの少なくとも1種の金属、あるいはそれらの合金を含有することが望ましく、特に、導体配線層17、23を構成する金属成分が銅である場合に、銅との合金もしくは単体よりも高融点と成る金属間化合物を形成できるという点から錫が望ましい。
【0079】
また、バイア導体18、25に用いられる金属粒子の平均粒子径は1〜15μmとされ、導電性ペーストの分散性と導体配線層との濡れ性および充填性を高めるために3〜10μmであることが望ましい。
【0080】
(製法)
次に、本発明の多層配線基板の製造方法を図6をもとに説明する。この図6は、図4の多層配線基板を作製するための工程図である。
【0081】
まず、図6(a)に示すように、半硬化状態の絶縁基材61に対して、レーザ加工により所望のバイアホール63を形成する。そして図6(b)に示すように、そのバイアホール63内に金属粉末を含有する導体ペーストを充填してバイア導体65を形成する。
【0082】
次に、図3(b)の半硬化状態の絶縁基材61のバイア導体65の一方表面に電解金属箔からなる導体配線層67を加熱加圧による転写により埋設させる。本発明では、この導体配線層67の形成をあらかじめ樹脂フィルム69上にラミネートした金属箔をエッチングして作製したパターンの転写によって行う。転写条件は導体配線層67が絶縁基材61上に埋設されて転写されるとともに、加圧加熱した際に絶縁基材61が変形せず、さらにこの後の積層が可能なように未硬化状態を保持する温度、圧力、時間が望ましく、その温度は100〜140℃、圧力は30〜100Pa、時間は1〜10分が適当である。
【0083】
例えば、導体配線層67の形成には、まず、適当な樹脂フィルム69の表面にメッキ法などによって作製された銅、金、銀、アルミニウム等から選ばれる1種または2種以上の合金からなる厚さ1〜35μmの電解金属箔を接着し、その電解金属箔の表面に所望の配線パターンの鏡像パターンとなるようにレジスト層を付設した後、エッチング、レジスト除去によって所定の配線パターンの鏡像の導体配線層67を形成する。この導体配線層67の厚みは微細化が可能で導体抵抗を低くするという理由から厚みは7〜18μmが望ましい。また、通常、レーザ加工されない、バイア導体65の最大径側に当接される導体配線層67の表面粗さ(Rz)は疎化処理により調整される。
【0084】
樹脂フィルム69としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、塩化ビニル、ポリプロピレン等公知のものが使用できる。樹脂フィルム69の厚みは10〜100μmが適当であり、望ましくは25〜50μmが良い。これは、樹脂フィルム69の厚みが10μmより小さいとフィルムの変形や折れ曲がりにより形成した導体配線が断線を引き起こし易くなり、厚みが100μmより大きいとフィルムの柔軟性がなくなるためシートの剥離が難しくなるためである。また、樹脂フィルム29表面に電解金属箔を接着するための接着剤としては、アクリル系、ゴム系、シリコン系、エポキシ系等公知の接着剤が使用できる。
【0085】
また、内部の導体配線層67を形成するためには、あらかじめ表面粗さ(Ra)が0.2μm以上のものを貼り合わせた方が絶縁基材61を形成する熱硬化性樹脂をエッチング処理において水分に曝すことがないので吸水率を低くできる。この時、電解金属箔のカップリング処理を施さない方が、導体配線層67を転写後のフィルムから剥離しやすい。
【0086】
次に、上記のようにして作製された表面用の導体配線層67を具備する樹脂フィルム69とともに、同様な方法によって作製された裏面用の導体配線層67を具備する樹脂フィルム69を作製し、これらを図3(c)に示す方法と同様に、バイア導体65が形成された絶縁基材61の両面に積層する。そして、図6(d)に示すように、その積層物を温度60〜150℃、圧力1〜50MPa、時間1〜10分の条件で加圧加熱した後、樹脂フィルム69を剥がすことにより、図6(e)に示すような、絶縁基材61の両面に、導体配線層67が埋設された配線シートcを作製することができる。
【0087】
このように、配線シートcの形成にあたって、この両面に導体配線層67が形成された樹脂フィルム69を積層し圧着することにより、多層配線基板における2層の導体配線層67の転写工程を同時に行うことができる。
【0088】
また、上記のようにして作製した配線シートcの表面に埋設された導体配線層67のうち、コア基板Bの表面側に位置する導体配線層67に対して粗面化処理を行い、導体配線層67の表面粗さ(Ra)が0.2μm以上、特に0.4μm以上となるようにすることが望ましい。
【0089】
この粗面化処理は、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、蟻酸などの酸処理による化学的なエッチング処理によって施すことができ、例えば、酸溶液を導体配線層67の表面に噴霧することが望ましい。また、粗面化処理面(エッチング面)には、尖頭状の突起を多数形成することが望ましく、このような尖頭状の突起は、例えば、10質量%蟻酸溶液によって1μm/分以上の粗化速度で良好に形成できる。
【0090】
そして、図6(e)に示すように、上記(a)及至(e)と同様にして作製された配線基材b、dを配線シートcとともに加熱加圧硬化して一体化してこれらを絶縁基材中の熱硬化性樹脂が完全に硬化する温度に加熱することにより、コア積層体Cを作製することができる。この場合の硬化温度は、コア積層体C上に表面多層配線層Bとなる絶縁シートAとともに再硬化するために200〜250℃であることが望ましい。
【0091】
次に、図6(f)に示すように、上記のコア積層体Dの表面71上に表面多層配線層Cとなる絶縁シートAを形成するには、このコア積層体D上に、無機絶縁粉末3を分散させた熱硬化性樹脂を含む絶縁シートAを積層する。ここで用いる絶縁シートAは、以下の方法によって作製される。
【0092】
まず、前述したような適当な無機絶縁粉末3に、前述した液状の熱硬化性樹脂を無機絶縁粉末3量が50〜80体積%となるように溶媒とともに加えた高濃度スラリーと、無機絶縁粉末3量が5〜15体積%とした低濃度スラリーを作製する。
【0093】
絶縁性スラリーは、好適には、前述したような有機樹脂と無機フィラーの複合材料に、トルエン、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メタノール、メチルセロソルブアセテート、イソプロピルアルコール、メチルイソブチルケトン、ジメチルホルムアミド等の溶媒を添加して所定の粘度を有する流動体からなる。スラリーの粘度は、シート成形法にもよるがハーケ社製レオメータRS100を使用し、直径20mmφ、角度1°のコーンを用いて、せん断速度100s-1の条件で1〜30Pa・sが適当である。
【0094】
そして、これら2種類の絶縁性スラリーを圧延法、押し出し法、射出法、ダイコーター法、ドクターブレード法などのシート成形法によって、無機絶縁粉末3量の異なるシートが2層重畳された絶縁シートAを形成し、所望により熱硬化性樹脂1が完全硬化するに十分な温度よりもやや低い温度に加熱して熱硬化性樹脂を半硬化させて、厚み20〜50μmの絶縁シートAを作製できる。
【0095】
この絶縁シートAを温度100〜150℃、圧力1〜10MPa、時間1〜10分の条件で、コア積層体Cの表面に接着した後、UV−YAGレーザなどで貫通孔75を形成する。この貫通孔75はコア積層体の上面に埋設されている導体配線層67が露出するような構造である。このとき貫通孔75の底部の導体配線層67は、その表面が金属箔形成時のマット面またはパターン作製の際に加工された粗化面であり、レーザ加工による有底の貫通孔75を形成する際、表面の凹凸がレーザ加工によって一部、溶融、または昇華することで平滑化されてもよい。ここでレーザ加工の条件は、例えばUV−YAGレーザ加工機の場合、加工エネルギーが0.1〜1.0W、単位時間のパルス数が1〜50kHzの範囲であることが適当である。0.1Wより低い場合、もしくは50kHzより大きい場合、貫通孔75の底部に樹脂残渣が残りやすく、また1.0Wより高い場合、もしくは1kHzより低い場合、貫通孔75底部の金属箔に貫通する穴が開いたり金属箔にダメージが残る。
【0096】
その後、この貫通孔75にコア基板Bで行ったのと同様に金属粉末を含有する導体ペーストを充填してバイア導体80を形成する。この導体ペーストは、錫、鉛、ビスマス、インジウムなどの低融点金属を少なくとも1種含むもの、またはその合金であり、この低融点金属は硬化時の加圧、加熱によってバイアホール上部と底部の金属箔に濡れるか、金属の種類によっては金属箔中に拡散するものである。
【0097】
さらに上記コア基板Bで導体配線層67を形成したのと同様に、エッチングによりあらかじめ作製した金属箔の配線パターンを粗面化した後、積層した絶縁シートAに転写することにより絶縁シートA上に埋設された導体配線層67を形成してコア基板Bの両面に表面多層配線層Cが形成された図6(g)に示すような多層配線基板を形成することができる。
【0098】
その後、必要に応じ上記の工程を繰り返すことにより、絶縁シートAおよび導体配線層67を多層化できる。
【0099】
また、この表面多層配線層Cの表面上にさらにソルダーレジスト層を形成する場合は、この多層配線基板の表面にエポキシ樹脂などのソルダーレジスト層を全面に塗布し、その後、露光/現像して所定の箇所にパターンを露出させることによって図4に示すような多層配線基板を作製することができる。
【0100】
【実施例】
コア基板を形成する絶縁基材にはポリフェニレンエーテル樹脂(A−PPE樹脂)を含浸したプリプレグを用意した。
【0101】
次に、このプリプレグから成る絶縁シートにCO2レーザを用いて100μmφの径を有するバイアホールを形成した。
【0102】
次に、このバイアホールに導体ペーストを充填した。導体ペーストは銅粉末の表面に3質量%銀コートした平均粒径5μmの導電性粒子と低融点金属粉末として平均粒径が7μmの錫粉末との混合粉末に対してトリアリルシアヌレート(TAIC)からなる有機成分を混合して調製し、この導体ペーストの粘度は10〜100Pa・s(ハーケ社製RS100レオメータ、コーン20mmφ、コーン角度1°、せん断速度100s-1)とした。
【0103】
次に、絶縁シートに転写する導体配線層として、厚み38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに、厚み12μmの電解銅箔を貼り合わせて転写用の銅箔付きフィルムを準備した。銅箔表面にドライフィルムレジストを貼付し、露光、炭酸ナトリウム溶液の噴霧による現像、塩化第二鉄によるエッチングを行い台形の形成角60°の形成角をもつ導体配線層を形成した。その後、水酸化ナトリウム溶液を用いてレジスト膜を剥離し、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に配線パターンを形成した。この後、蟻酸10質量%の水溶液を噴霧して配線パターンの表面を表面粗さ(Rz)で約3μmに粗化した。なお、配線パターンはランド径が125μm、配線幅は50μmで作製した。
【0104】
次に、導体ペーストを充填したプリプレグに対して、このPETフィルム上に形成した配線パターンを位置あわせした後、120℃、5MPa、3分間の熱圧着により転写した。
【0105】
次に、導体配線層を形成したプリプレグ4層を120℃、5MPa、3分間の条件で加圧加熱を行い積層して半硬化状態のコア基板を作製した。
【0106】
次に、表面多層配線層用の絶縁シートを作製した。この絶縁シートは、コア基板と同様、A−PPE樹脂を用い、無機絶縁粉末として平均粒径0.6μm、アスペクト比1.2の溶融シリカを表1の比率で秤量して混合し、これに熱硬化性樹脂の硬化を促進させるための触媒を熱硬化性樹脂に対して3質量%、さらに有機溶剤としてトルエンを加えてスラリー粘度が約2Pa・sのスラリーを調製した。これをドクターブレード法により2回塗工して、厚さ35μmあるいは40μmの2層および3層構造の絶縁シートを作製した。低濃度粉末シートおよび高濃度粉末シートに含まれる無機絶縁粉末量およびそれらの厚みは表1に示した。
【0107】
種々の無機絶縁粉末量比率で作製したこれらの絶縁シートは、引張り強度および伸び率を評価を評価した。測定条件は長さ80mm、幅40mm、長さ方向中央部のくびれ部の幅10mmのダンベル状に加工し、引張り速度100mm/min.とした。
【0108】
また、転写性については、多層配線基板の作製に用いる転写用の配線パターンを絶縁シート上に通常の転写条件(温度130℃、圧力5MPa、時間3分)にて転写を行い、その後、絶縁シート上に形成された導体配線層間の位置ずれ量を測定した。位置ずれ量は配線パターン4角(間隔250mm)のターゲットマーク間の距離を測定し、転写前の寸法と比較して評価した。また、パターン化されていない銅箔のある周縁部を長さ100mm、幅10mmに切断し、島津製作所製のオートグラフを用いて、引張り速度300mm/min.接着強度を測定し、転写強度を評価した。試料数はそれぞれn=10とした。
【0109】
次に、これら2層、3層構成の絶縁シートを予め作製した半硬化状態のコア基板の表面上に、転写条件と同じ条件にて、130℃、5MPa、3分間の加圧加熱条件で積層した。
【0110】
次に、コア基板上に積層された絶縁シートの所定位置に、UV−YAGレーザ装置を用いて、加工エネルギーを0.5W、単位時間のパルス数が10kHzとし、バイアホールを形成した。
【0111】
次に、コア基板に用いた導体ペーストをこのバイアホールに埋め込みバイア導体を形成した。
【0112】
その後、コア基板の導体配線層を形成したのと全く同様にして、表層配線用としては厚み18μmの電解銅箔を配線パターンが形成されたポリエチレンテレフタレートフィルムをバイア導体が形成された絶縁シートの表面に積層して、温度130℃、圧力5MPa、時間3分間の加熱加圧を行い、樹脂フィルムと接着層のみを剥離して絶縁シート表面に配線回路層を転写させた。
【0113】
その後、上記の工程を再度繰り返し行い、コア基板の表面および裏面に、それぞれ2層の絶縁層と導体配線層を有する表面多層配線層を形成した後、温度240℃、圧力4MPa、1時間の条件で一括硬化し多層配線基板を作製した。
【0114】
作製した多層配線基板の評価としては、この多層配線基板の内部にバイア導体が360個直列に連結された部分に対して、240℃、2分のはんだディップ試験を行い、その前後の電気抵抗を測定した。試料数はn=10とした。結果を表1に示した。
【0115】
(比較例)
比較例として、表面多層配線層を構成する絶縁シートとして、無機絶縁粉末量を40体積%として作製した1層の絶縁シートおよびそれを用いて作製した多層配線基板を作製し本発明品と同様の評価を行った。
【0116】
【表1】
【0117】
表1から明らかなように、高濃度粉末シートと低濃度粉末シートとを重畳させて作製した絶縁シートの試料No.1〜18では、高濃度シートに含まれる無機絶縁粉末量が少ないほど、また低濃度粉末シートの厚みが大きくなると転写時の伸び率に増加がみられるものの絶縁シートの引張り強度が4MPa以上、伸び率が5.6%以下、また、銅箔の転写強度が5N/cm以上、転写時の位置ずれ量が17%以下となり、粉体充填率を高めても、位置ずれ量を小さくして転写性を改善できた。これらの絶縁シートを用いて作製した多層配線基板のバイア導体1穴あたりの抵抗変化率が14.3%以下であった。特に、高濃度シートに含まれる無機絶縁粉末量を40〜80体積%とし、低濃度シートの無機絶縁粉末量を5〜20体積%以下とした試料No.2〜17では、転写強度が7N/cm以上と高かった。
【0118】
一方、高濃度粉末シートに低濃度粉末シートを形成しなかった絶縁シートの試料No.19では、転写強度が0.5N/cmと極端に低くなり、このためバイア導体の抵抗変化率が25%まで大きくなった。
【0120】
【発明の効果】
本発明によれば、導体配線層が形成される絶縁層の表面側が、相対的に熱硬化性樹脂量の多い低濃度粉末層により構成されていることから、導体配線層の表面の凹凸部に多くの熱硬化性樹脂が入り込み、このため多層配線基板を構成する導体配線層と絶縁層との密着強度を高めることができる。
【0121】
また、低濃度粉末層に熱硬化性樹脂量が多いことから表面の導体配線層がこの低濃度粉末層の埋設され、絶縁層と導体配線層とを実質的に同一面とすることができることから、多層配線基板を構成する絶縁層および導体配線層同士の平行度が高まり、このため導体配線層とバイア導体との接続を均一にでき、多層配線基板の電気特性を高め、接続信頼性を向上できる。
【0122】
さらに、絶縁層が低濃度粉末層とともに高濃度粉末層により構成されていることから、絶縁層のヤング率や機械的強度を高めることができるとともに、粉末量を変えることで熱膨張係数を任意調整できることから、半導体素子等の実装信頼性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の絶縁シートを示す概略断面図である。
【図2】本発明の2層絶縁シートの作製方法の一例を説明するための概略工程図である。
【図3】本発明の3層絶縁シートAをの作製方法の一例を説明するための概略工程図である。
【図4】本発明のコア基板表面に表面多層配線層を形成した多層配線基板の一例を説明するための概略断面図である。
【図5】図4の多層配線基板を構成する表面多層配線層の要部拡大図である。
【図6】本発明の多層配線基板の製造方法の一例を説明するための工程図である。
【符号の説明】
A・・・・・・・・・・・・絶縁シート
1・・・・・・・・・・・・熱硬化性樹脂
3・・・・・・・・・・・・無機絶縁粉末
5・・・・・・・・・・・・高濃度粉末シート
7・・・・・・・・・・・・低濃度粉末シート
10・・・・・・・・・・・絶縁性スラリー
11・・・・・・・・・・・高濃度スラリー
13・・・・・・・・・・・低濃度スラリー
B・・・・・・・・・・・・コア基板
C・・・・・・・・・・・・表面多層配線層
D・・・・・・・・・・・・コア積層体
11、17・・・・・・・・表面
13a〜13e・・・・・・絶縁層
15・・・・・・・・・・・絶縁基板
17、23、67・・・・・導体配線層
18、25、65、80・・バイア導体
21a〜21d・・・・・・表面絶縁層
27・・・・・・・・・・・高濃度粉末層
29・・・・・・・・・・・低濃度粉末層
75・・・・・・・・・・・貫通孔
Claims (9)
- 少なくとも熱硬化性樹脂および繊維体を含む絶縁基板の表面および/または内部に導体配線層が形成され、該導体配線層間を接続するために前記絶縁基板内部にバイア導体が形成されてなるコア基板と、該コア基板の表面に、熱硬化性樹脂と無機絶縁粉末からなり繊維体を含まない絶縁層および金属箔からなる導体配線層が積層されてなり、該導体配線層間を接続するために前記絶縁層にバイア導体が形成されてなる表面多層配線層と、を具備する多層配線基板において、
前記表面多層配線層を構成する前記絶縁層が高濃度粉末層と低濃度粉末層との重畳体からなり、
前記高濃度粉末層は、前記低濃度粉末層よりも前記コア基板側に配されていることを特徴とする多層配線基板。 - 前記絶縁層は、両側に前記導体配線層が配されているとともに、該導体配線層のうち、前記低濃度粉末層側の前記導体配線層のみが埋設されていることを特徴とする請求項1に記載の多層配線基板。
- 前記低濃度粉末層に含まれる無機絶縁粉末の平均粒径は、前記高濃度粉末層に含まれる無機絶縁粉末の平均粒径よりも小さいことを特徴とする請求項1または2に記載の多層配線基板。
- 前記絶縁層の前記バイア導体は、前記コア基板と反対側における幅が前記コア基板側における幅よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれかに記載の多層配線基板。
- 高濃度粉末層全体に含まれる無機粉末量が35体積%以上でありかつ低濃度粉末層全体に含まれる無機絶縁粉末量が20体積%以下であることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれかに記載の多層配線基板。
- 導体配線層の厚みをt1、低濃度粉末層の厚みをt2としたときに、t2/t1>0.15であることを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれかに記載の多層配線基板。
- 絶縁層の厚みが50μm以下でありかつ低濃度粉末層の厚みが2μm以上であることを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれか記載の多層配線基板。
- 絶縁層に含まれる無機絶縁粉末の平均粒径が1μm以下であることを特徴とする請求項1乃至7のうちいずれか記載の多層配線基板。
- 絶縁層を構成する無機絶縁粉末のアスペクト比が1.2以上であることを特徴とする請求項1乃至8のうちいずれか記載の多層配線基板。
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