JP4897153B2 - カメラの自動露出制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の技術分野】
本発明は、逆光時にストロボを自動発光可能なカメラの自動露出制御装置に関する。
【0002】
【従来技術およびその問題点】
ストロボを内蔵し、逆光状態のときには露出時にストロボを自動発光させる逆光時ストロボ自動発光モードを備えたカメラが知られている。逆光の判断は、通常、撮影画面中央の主要被写体の輝度よりも、主要被写体を囲む周辺被写体の輝度の方が所定値以上高い場合に逆光と判断している。この従来の逆光時ストロボ自動発光モードは、逆光であると判断したときは、被写体の距離と関係なく、ストロボを自動発光させていた。そのため、主要被写体が遠い場合は主要被写体に対してはストロボ有効距離範囲外となってストロボの光量が不足して無駄な発光となりアンダー露出となるばかりか、電池を無駄に消費させることとなっていた。
また、レンズシャッタ式カメラの場合、逆光状態は測光値としては高輝度になるので撮影時の絞りは絞り込まれ、小絞りでのストロボ自動発光となるためストロボ光の有効距離がさらに短くなり、ストロボ発光が無駄になる可能性が高かった。
【0003】
【発明の目的】
本発明は、かかる従来の逆光時ストロボ自動発光における問題に鑑みてなされたもので、逆光時において無駄なストロボ発光を減らすとともに、適正な露出を可能にするカメラの自動露出装置を提供することを目的とする。
【0004】
この目的を達成する本発明は、ストロボと、主要被写体およびその周辺被写体の輝度を測光する測光手段と、主要被写体までの距離を測距する測距手段と、前記測光手段の測光結果に基づいて主要被写体が逆光状態か否かを判定する逆光判定手段と、絞り値情報、フィルム感度に対応するISO感度情報およびストロボの発光量情報に基づいて、ストロボ光の有効到達距離を演算する演算手段と、前記測距手段が測距した主要被写体までの距離が前記演算手段により演算された有効到達距離以上の場合はストロボの発光を禁止する逆光時ストロボ発光禁止手段と、前記測光手段の測光結果及びISO感度情報に基づいて露出値を演算し、その演算した露出値で露出するストロボ発光露出制御手段とを備え、前記ストロボ発光露出制御手段は、前記ストロボ発光禁止モードが選択されていないときに前記逆光判定手段が逆光と判定し、かつ前記逆光時ストロボ発光禁止手段がストロボの発光を禁止していないときに、周辺被写体輝度と主要被写体輝度の輝度差が第1の所定値より大きいときは周辺被写体輝度から前記第1の所定値を減算し、前記輝度差が前記第1の所定値以下のときは前記周辺被写体輝度から前記輝度差を減算し、前記減算後の周辺被写体輝度に基づいて露出値を演算し、その演算した露出値によって、ストロボを発光させて露出すること、および前記ストロボ発光禁止モードが選択されているときまたは前記逆光時ストロボ発光禁止手段がストロボの発光を禁止したときに前記逆光判定手段が逆光と判定したときに、周辺被写体輝度と主要被写体輝度の輝度差が前記第1の所定値より大きい第2の所定値より大きいときは前記周辺被写体輝度から前記第2の所定値を減算し、前記輝度差が前記第2の所定値以下のときは前記周辺被写体輝度から前記輝度差を減算し、前記減算後の周辺被写体輝度に基づいて露出値を演算し、その演算した露出値によって、ストロボを発光させないで露出することに特徴を有する。
前記測光手段は、主要被写体の輝度を測光する主要被写体測光手段と、該主要被写体の周囲の被写体輝度を測光する周辺被写体測光手段とを備え、前記逆光判定手段は、該主要被写体測光手段が測光した主要被写体輝度と周辺被写体測光手段が測光した周辺被写体輝度との差が所定値以上ある場合に逆光状態であると判定する。
前記ストロボ発光露出制御手段は、主要被写体測光手段が測光した主要被写体輝度と前記周辺被写体測光手段が測光した周辺被写体輝度に基づいて露出値を演算する露出演算機能を有し、前記ストロボ発光露出制御手段は、前記周辺被写体輝度と主要被写体輝度の差を前記第1または第2の所定値以下の値で主要被写体がプラス露出となるように被写体輝度を補正する。
本発明のカメラの自動露出制御装置において、前記逆光時ストロボ発光禁止手段は、前記主要被写体または周辺被写体輝度が所定値以下の場合は前記被写体までの距離にかかわらずストロボの発光を禁止しない。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下図面に基づいて本発明を説明する。図1(A)は、本発明のカメラの自動露出制御装置をストロボ内蔵のレンズシャッタ式カメラに適用した実施形態の電気回路の要部をブロックで示す図、図1(B)は同実施形態の測光領域を模式的に示す図である。
【0006】
このレンズシャッタ式カメラは、カメラ全体の動作を統括的に制御する制御機能、露出値、被写体までの距離などを演算する演算機能を有するCPU11を備えている。このCPU11は、バッテリBATTの電圧が昇圧回路(DC/DCコンバータ)13によって昇圧され、定電圧として供給された状態で動作する。CPU11には、駆動系として、内蔵ストロボのストロボ回路15、シャッターを駆動するシャッタ駆動回路17、フィルムを巻き上げるフィルム巻上モータ駆動回路19が接続されている。ストロボ回路15は、発光部としてフレネルレンズ、クセノン管、リフレクタ等を備えた内蔵ストロボを発光させるための回路であって、電荷を蓄積するメインコンデンサ、メインコンデンサを充電する充電回路、メインコンデンサを放電させてクセノン管を発光させ、また発光を停止させる発光制御回路を備えている。このストロボ回路15は、CPU11からの制御信号を受けて動作する。
【0007】
このカメラは、測光手段として、主要被写体の輝度を測光するメイン測光素子21およびサブ測光素子23の電流出力を電圧に変換し、主要被写体輝度信号としてCPU11に出力するメイン測光回路21c、主要被写体の周囲の輝度を測光するサブ測光素子23およびサブ測光素子23の電流出力を電圧に変換し周辺被写体輝度信号としてCPU11に出力するサブ測光回路23cを備えている。図1(A)に、撮影画面に対するメイン測光素子21とサブ測光素子23の測光エリアとの関係を示した。図示実施例ではメイン測光素子21、サブ測光素子23をそれぞれ1個としたが、複数個備える構成でもよい。
これらCPU11、メイン測光素子21、メイン測光回路21c、サブ測光素子23、サブ測光回路23cが逆光判定手段を構成している。つまりCPU11は、測光回路21c、23cからの主要被写体輝度信号および周辺被写体輝度信号に基づいて平均被写体輝度を求め、さらに主要被写体輝度信号および周辺被写体輝度信号の差から逆光かどうかを判断する。例えばCPU11は、主要被写体輝度よりも周辺被写体輝度の方が所定値以上明るい場合を逆光と判断する。
【0008】
さらにカメラは、測距手段として、測距回路25を備えている。この測距回路25は、いわゆる三角測量法を利用した測距手段を備え、測距手段の測距信号をCPU11に出力する。測距手段は、いわゆるアクティブ方式なら、発光素子および受光素子を備え、発光素子で発光され、主要被写体で反射した測距光を受光素子で受光し、受光位置に応じた位置信号を受光素子がCPU11に出力する構成のものを使用できる。CPU11は、入力した位置信号に基づいて基線距離を演算し、さらに基線距離から主要被写体までの距離を演算する。また、パッシブ方式いわゆる位相差式なら、主要被写体光を瞳分割した一対の被写体像をそれぞれラインセンサで受光し、光電変換して、一対の主要被写体像の輝度分布信号をCPU11に出力する。CPU11は、一対の輝度分布信号に基づいて一対の主要被写体像間隔を演算し、像間隔から被写体までの距離を演算する。
なお、測距回路25は、いずれの方式の場合であっても、メイン測光素子21の測光エリア内の主要被写体に含まれる被写体領域について測距可能である。また、被写体までの距離は、被写体距離、撮影距離のいずれでもよく、カメラの任意の基点からの距離であればよい。
【0009】
このレンズシャッタ式カメラは、スイッチ類として、メインスイッチSWMAIN、測光スイッチSWSおよびレリーズスイッチSWRを備えている。メインスイッチはメインスイッチボタンと連動し、OFFしているときは、CPU11はストロボ回路15および他の周辺回路等への電源をオフしてスリープ状態になり、オンするとストロボ回路15および他の周辺回路等への電源をオンして撮影可能状態になる。測光スイッチSWSおよびレリーズスイッチSWRはシャッタボタンに連動して、シャッタボタンが半押しされたときに測光スイッチSWSがオンし、シャッタボタンが全押しされたときに、測光スイッチSWSがオン状態を維持してレリーズスイッチSWRがオンする。CPU11は測光スイッチSWSがオンすると測光、測距処理等を実行し、レリーズスイッチSWRがオンすると露出処理を実行する。
【0010】
レンズシャッタ式カメラにはさらに、装填されたフィルムのパトローネの表面に形成されたDXコードに接触して導通するDX切片の組み合わせでISO感度を読み込むDX切片群27、裏蓋が開閉したかどうかを検知する裏蓋スイッチSWBACK、自動露出モードを設定する自動露出モード設定スイッチSWAEMODE、自動焦点モードを設定する自動焦点モード設定スイッチSWAFMODEを備えている。CPU11は、これらのスイッチのオン/オフ状態を検知して、次のような処理、設定をする。DX切片群27の信号レベルの組み合わせからISO感度を識別してISO感度を設定する。自動露出モード設定スイッチSWAEMODEがオンされる毎に、露出モードを、ストロボ自動発光モード、赤目防止自動発光モード、ストロボ発光禁止モード、逆光時ストロボ自動発光モード、シャッタ長秒時連動モード(スローシャッタ・ストロボ発光禁止)等のモードを循環して変更し、設定する。自動焦点モード設定スイッチSWAFMODEがオンされる毎に、通常撮影モードと遠景撮影モード(ストロボ発光禁止)を交互に選択し設定する。
【0011】
さらにこのカメラは、内蔵ストロボの充電中、充電完了状態を表示する赤ランプ29を備えている。この赤ランプ29は通常発光ダイオードで構成され、カメラボディ背面のアイピース枠の側に設けられる。
このレンズシャッタ式カメラは通常のカメラが備える機能を備えているが、この発明の理解には不要なのでそれらの図示および説明は省略する。
【0012】
本発明の実施の形態において、遠景撮影モードは、ストロボの発光を禁止し、主要被写体が逆光のときは主要被写体輝度を第1の所定値を限度として輝度差分補正する。第1の所定値は、本実施例では1Ev相当である。
逆光時ストロボ自動発光モードは、主要被写体が逆光と判定されたときにストロボを自動発光させるモードであって、本実施の形態は、主要被写体がストロボ有効距離よりも遠くに位置するときはストロボの発光を禁止するとともに、主要被写体輝度を第2の所定値を限度として輝度差分補正する。この第2の所定値は第1の所定値よりも大きい(明るい)値であって、本実施例では2Ev相当である。
また、本実施形態において、逆光時ストロボ発光モードにおいて、逆光かつ主要被写体がストロボ有効距離よりも遠くに位置していても、周辺被写体輝度が所定の輝度よりも低い場合は、ストロボの発光は禁止しない。
【0013】
このカメラの露出連動範囲をダイヤグラムにして図2に示した。同ダイヤグラムにおいて、縦軸左の数字はアペックス表示の絞り値AvおよびFナンバーを表し、横軸はシャッタ速度(秒)を表している。右下がり線はアペックス表示の露出値Evを表していて、この右下がり線上の座標が、その露出値Evとなる絞り値Avおよびシャッタ速度Tvの組み合わせを示している。絞りとシャッタ速度で決まる露出値をEvsとすると、
Evs=Av+Tv=log2(Fno×T)2
となる。
【0014】
図2において右側の縦軸の数字は、その絞り値Avにおいて、内蔵ストロボ光の有効到達距離(m)、すなわち、有効なストロボ照射が可能な被写体の距離である。この実施形態の内蔵ストロボは、ISO100におけるガイドナンバーGnoが11、アペックス表示値Gvが7である。以下、フィルム感度がISO100の場合について説明する。
ストロボ到達距離(m)は、ストロボのガイドナンバーGnoと、設定露出値Evに基づいて設定された絞り値Avに対応するFナンバーFnoとにより決まる値であって、式
Gno/Fno
により求まる。
【0015】
このカメラのレンズシャッタは、絞り連動範囲が、アペックス表示の絞り値Avでは5〜9、FナンバーではF5.6〜F22であり、シャッタ速度連動範囲は、図示の都合上、低速側を1/16秒、高速側を1/300秒、アペックス表示のシャッタ速度Tvでは4〜8+1/4としてある。実線FM1は、このカメラのプログラムラインである。フラッシュマチック方式による連動範囲(FM連動範囲)は、プログラムラインFM1上および上方の領域となる。
【0016】
図2において、破線FM2は、ストロボ光の有効到達距離の限界を示し、同破線FM2よりも下方の領域は、被写体の距離が遠すぎるのでストロボの発光を禁止するストロボ発光禁止領域を示している。本実施の形態では、被写体輝度に応じて設定される絞り値によって決まるストロボ有効到達限界距離よりも測距した被写体距離が1Ev相当遠い場合をストロボ到達距離境界FM2としてある。
【0017】
本実施例では、ストロボ発光禁止領域では、ストロボの発光禁止による露出量の減少を補填するために、遠景撮影露出補正よりも大きい露出補正を行うことに特徴を有する。
【0018】
また、このカメラの通常の自動発光モード、すなわち低輝度時自動発光モードでは、シャッタ速度が所定値よりも遅くなるときに、手ブレ防止のために、フラッシュマチック方式によりストロボを自動発光させる。この実施例では、シャッタ速度(1/T)が約1/40秒、露出値Evsf1が10.5のときを境界として、これよりもシャッタ速度が遅くなるときは内蔵フラッシュを自動発光させている。
【0019】
次に、このカメラの主要動作にさらに図3、4、5に示したフローチャートを参照して説明する。図3は、このカメラのメイン処理である。この処理は、バッテリBATTが装填された状態で実行される。
【0020】
『メイン処理』
「電源スイッチオフ」
メイン処理に入ると、電源スイッチがオンしているかオフしているかチェックする(S101)。オフしていれば赤ランプ29を消灯させて、ストロボ回路15に充電動作を停止させ、他の周辺機器への電源供給を遮断して低消費電力モードに移行する(S101;OFF、S103、S105、S107)。この低消費電力モードでは、CPU11自体は低速クロックにより動作可能状態にあり、定期的に起動して電源スイッチ状態をチェックする処理を繰り返す。
【0021】
「電源スイッチオン」
電源スイッチがオンしたら(S101;ON)、測光スイッチSWSおよびレリーズスイッチSWRの両方がOFFしているかどうかをチェックするS109)。いずれもOFFしている場合は、ストロボ回路15にストロボ充電を開始させると共に、他の周辺回路の電源もONする(S109;OFF、S111)。そして、ストロボ回路15がフル充電したかどうかをチェックし(S113)、フル充電していなければS101に戻り(S113;N、S101)、フル充電していれば赤ランプ29を消灯させ、ストロボ回路15の充電処理を停止させてS101に戻る(S113;Y、S115、S117、S101)。つまり、電源スイッチがONしている間は、ストロボ充電を継続し、フル充電状態を保つ。
【0022】
「測光スイッチSWSオン」
測光スイッチSWSがONすると(S109;SWS ON)、ストロボの充電処理を停止し(S119)、測光して主要被写体輝度および周辺被写体輝度信号を入力し(S121)、測距して被写体距離を演算する(S123)。さらに逆光判定し(S129)、露出演算をする(S131)。
【0023】
「ストロボを発光させる場合」
次に、ストロボを発光させるか否かをストロボ発光フラグに“1”がセットされているか否かで判定する(S133)。ストロボ発光フラグに“1”がセットされるのは、ストロボ強制発光モードの他に、逆光時ストロボ自動発光モードにおいて逆光と判定されたとき、ストロボ自動発光モードにおいて露出値Evが発光切り替え基準Ev値以下であった場合等である。
【0024】
ストロボを発光させる場合は(S133;Y)、赤ランプ29を第1の周期(4Hz)で点滅させ(S135)、ストロボ充電を開始させてからフル充電か否かチェックする(S137、S139)。赤ランプ29が第1の周期で点滅することにより、撮影者は充電中であると認識できる。フル充電でない場合は測光スイッチSWSがONしているかどうかをチェックし(S139;N、S141)、測光スイッチSWSがONしている場合はS137に戻ってストロボ充電を継続する(S141;ON、S137)。
【0025】
フル充電である場合は(S139;Y)、赤ランプ29を点灯(連続点灯)させてストロボ充電が完了した旨を表示し、ストロボ充電を停止させてS149に進む(S143、S145、S149)。そして測光スイッチSWSおよびレリーズスイッチSWRの状態をチェックする(S149)。
なお、S141のチェックにおいて測光スイッチSWSがオフしている場合はS101に戻り(S141;OFF、S101)、その後電源スイッチSWMAINがONしていればS101〜S113の処理によって、赤ランプ29の点滅を継続した状態でストロボをフル充電させ、フル充電させると赤ランプ29を消灯させてストロボ充電を終了させる(S113;Y、S115、S117)。
【0026】
測光スイッチSWSがONしている間は、レリーズスイッチSWRがONするのを待つ(S149;SWS ON & SWR OFF)。測光スイッチSWSがOFFすると、赤ランプ29を消灯させてからS101に戻る(S149;SWS OFF、S151、S101)。赤ランプ29が消えることで、撮影者はストロボは発光しないことが分かる。
【0027】
「露出処理」
レリーズスイッチSWRがONすると、赤ランプ29を消灯させる(S149;SWR & SWS ON、S153)。そして、ストロボ発光であるかどうかをチェックし(S155)、ストロボ発光であればストロボを発光させての露出値によりストロボを発光させて露出作動し(S155;Y、S157)、フィルムを巻き上げ(S161)、S101に戻る。
【0028】
ストロボを発光させない場合(S133;N)は、赤ランプ29を消灯させてから測光スイッチSWSおよびレリーズスイッチSWRの状態をチェックする(S147、S149)。そしてレリーズスイッチSWRがONしたら(S149;SWS & SWR ON)、赤ランプ29を消灯させ、ストロボを発光させないときの露出値でストロボを発光させずに露出動作し、フィルムを巻き上げてS101に戻る(S153、S155;N、S159、S161、S101)。
【0029】
『逆光判定処理』
次に、S129で実行される逆光判定処理について、さらに図4に示したフローチャートを参照して詳細に説明する。
逆光判定処理に入ると、先ず、主要被写体輝度Bv_mainと周辺被写体輝度Bv_subの輝度差ΔBvを求める(S201)。そして、輝度差ΔBvが所定値である1Ev以上あるかどうかをチェックする(S203)。つまり、本実施例では、輝度差ΔBvが1Ev以上あるときは逆光と判定し、1Ev以上ないときは逆光とは判定しない。
輝度差ΔBvが1Ev以上あったとき(周辺被写体輝度Bv_subの方が1Ev相当以上高い(明るい)とき)は、ストロボ発光フラグに“1”をセットしてS211に進み(S203;Y、S205、S211)、輝度差ΔBvが1Ev以上ないときは輝度差ΔBvを0に書き換え、ストロボ発光フラグに“0”をセットしてS211に進む(S203;N、S207、S209、S211)。
つまり、逆光と判定したときはストロボ発光フラグに“1”がセットされ、露出時にストロボ発光を可能にする。
【0030】
S211では、主要被写体の測距値がストロボ到達距離以上であるかどうかをチェックする。ストロボ到達距離(m)は、ISO感度に応じたストロボのガイドナンバーGnoと、設定露出値Evに基づいて設定された絞り値Avに対応するFナンバーFnoとにより決まる値であって、式
Gno/Fno
により求められている。
【0031】
「逆光かつ測距値がストロボ到達距離以上でない場合」
測距した主要被写体の距離がストロボ到達距離以上でない場合(S211;N)は、遠景撮影モードでなく(S213;N)、裏蓋が開かれておらずかつフィルム無しでないことを条件に(S215;N)、露出補正するためのリミット補正値ΔBvlimitに所定値として1Bvをセットする(S217)。
そして、輝度差ΔBvがリミット補正値ΔBvlimitよりも大きいかどうか比較し(S223)、輝度差ΔBvの方が大きければ輝度差ΔBvをリミット補正値ΔBvlimitの値で書き換えてS227に進み(S223;Y、S225、S227)、輝度差ΔBvの方が大きくなければそのままS227に進む(S223;N、S227)。
【0032】
S227では、周辺被写体輝度Bv_subから輝度差ΔBvを差し引いた値を被写体輝度Bvとして設定する。そして、被写体輝度Bvが最小輝度Bvmin未満であるかどうかを比較し、未満でなければそのままリターンし(S229;N)、未満であれば被写体輝度Bvを最小輝度Bvminの値で書き換えて設定してリターンする(S229;Y、S231)。
以上の処理により、逆光かつ被写体の距離がストロボ到達距離未満のときは、周辺被写体輝度Bv_subから輝度差Bv(最大1Ev)を減算した輝度を被写体輝度Bvとして設定し、かつストロボを発光させる。
【0033】
「逆光かつ測距値がストロボ到達距離以上の場合」
測距値がストロボ到達距離以上の場合は、ストロボを発光させても適正露出値とならない。そこで、測距値がストロボ到達距離以上の場合はストロボ発光フラグに“0”をセットしてストロボ発光を禁止させる(S211;Y、S219)。そして、リミット補正値ΔBvlimitに第2の所定値である2EvをセットしてS223に進む(S221、S223)。つまり、被写体がストロボ到達距離よりも遠くに位置する場合は、リミット補正値ΔBvlimitを通常の第1の所定値の2倍の値にするのである。また、裏蓋が開かれているか、フィルムが無い場合も(S215;Y)、ストロボ発光フラグに“0”をセットし(S219)、リミット補正値ΔBvlimitに2BvをセットしてS223に進む(S221、S223)。
【0034】
そして、輝度差ΔBvがリミット補正値ΔBvlimitよりも大きいかどうか比較し(S223)、輝度差ΔBvの方が大きければ輝度差ΔBvをリミット補正値ΔBvlimitの値で書き換えてS227に進み(S223;Y、S225、S227)、輝度差ΔBvの方が大きくなければそのままS227に進む(S223;N、S227)。
【0035】
S227では、周辺被写体輝度Bv_subから輝度差ΔBvを減算した値を被写体輝度Bvとして設定する。そして、被写体輝度Bvが最小輝度Bvmin未満であるかどうかを比較し、未満でなければそのままリターンし(S229;N)、未満であれば被写体輝度Bvを最小輝度Bvminの値で書き換えて設定してリターンする(S229;Y、S231)。
以上の処理により、逆光かつ被写体の距離がストロボ到達距離以上のときは、ストロボを発光させず、周辺被写体輝度Bv_subから輝度差Bv(最大2Ev)を減算した輝度、つまりプラス露出となるように補正した輝度を被写体輝度Bvとして設定する。
【0036】
なお、本実施例では、逆光である無し、測距値がストロボ到達距離未満である場合にかかわらず、遠景撮影モードが設定されている場合(S213;Y)、裏蓋が閉じられていないかフィルムが装填されていない場合(S215;Y)はS219においてストロボ発光フラグに“0”がセットされるので、ストロボは発光されない。この場合、リミット補正値ΔBvlimitには2Bvがセットされる(S221)。
【0037】
『露出演算処理』
次に、S131で実行される露出演算処理について、さらに図5を参照して詳細に説明する。演算処理に入ると、まず、DX切片群27を介して入力したDXコードをアペックス表示のフィルム感度Svに変換し(S301)、このフィルム感度Svと測光した被写体輝度Bvから適正露出値Evを求める(S303)。次に、撮影モードがストロボ発光オートかどうかをチェックする(S305)。
【0038】
「ストロボ発光オートの場合」
ストロボ発光オートの撮影モード、例えばストロボ自動発光モードまたは逆光時ストロボ自動発光モードの場合は、撮影モードがオートの場合は、露出値Evが発光切換値Ev_f1以下かどうかをチェックする(S305;Y、S307)。
発光切換基準値Ev_f1は、ストロボを発光させるか発光させないかの境界値となる発光切換基準値Evのことであって、本実施例では図2に示すように10.5である。
発光切換基準値Ev_f1以下の場合は、ストロボを発光させるストロボ発光フラグに“1”をセットしてS311に進み(S307;Y、S309、S311)、発光切換基準値Ev_f1以下でない場合は、S309をスキップしてS309に進む(S307;N、S311)。
【0039】
S311では、設定露出値Evが、最小露出値Ev_min_a以下かどうかをチェックする。ここで最小露出値Ev_min_aとは、ストロボ自動発光モード、ストロボ強制発光モード時における下限露出値Evのことである。本実施例では、ISO100における最小露出値Ev_min_a時のシャッタ速度Tvは1/16秒になる。
設定露出値Evが最小露出値Ev_min_a以下の場合は、設定露出値Evを最小露出値Ev_min_aの値に書き換えてS323に進み(S311;Y、S313、S323)、以下でない場合はそのままS323に進む(S311;N、S323)。
【0040】
S323では、設定露出値Evが上限露出値Ev_max以上であるかどうかをチェックする。以上であれば設定露出値Evを上限露出値Ev_maxで書き換えてリターンし(S323;Y、S325)、以上でなければそのままリターンする(S323;N)。S323、S325の処理は露出値Evの上限値を制限する処理である。
【0041】
「ストロボ強制発光モードの場合」
ストロボ発光オートでない場合は、撮影モードが強制発光モードか否かをチェックする(S305;N、S315)。強制発光モードの場合はS309に進み(S315;Y)、S309〜S313の処理を経てS323に進む。
【0042】
「ストロボオートでも強制発光でも無い場合」
ストロボオート、強制発光モードでない場合は(S305;N、S315;N)、ストロボ発光フラグに“0”をセットし(S317)、設定露出値Evが発光禁止モードにおける下限露出値Ev_mins以下かどうかをチェックする(S319)。下限露出値Ev_minsは、このカメラの開放絞り値と最長シャッタ秒時とで決まる露出値Evである。なお、本実施例では、ISO100における下限露出値Ev_mins時のシャッタ速度Tvは2秒になる。設定露出値Evが下限露出値Ev_mins以下の場合は設定露出値Evを下限露出値Ev_minsで書き換えてS323に進み(S319;Y、S321、S323)、以下でない場合はそのままS323に進む(S319;N、S323)。S319、S321の処理は、設定露出値Evの下限値制限処理である。
S323に進むと、S323、S325の上限値制限処理を経てリターンする。
なお、ストロボオート、強制発光モードでない場合はストロボ発光禁止であり、例えばシャッタ長秒時連動モードなどがある。
【0043】
以上の本発明の実施形態によれば、逆光時ストロボ自動発光モードにおいて、逆光と判定したとき主要被写体の距離がストロボ光到達有効距離よりも遠い場合はストロボの発光を禁止するので、無駄なストロボ発光が無くなり、電池の消耗を防止できる。さらにストロボの発光を禁止したときは、主要被写体の輝度に合わせて露出補正するので、主要被写体について適正露出が可能になる。さらに本発明の実施例では、逆光と判定しても被写体輝度が所定値よりも低いときは、被写体の距離にかかわらずストロボ発光を禁止せず発光させるので、撮影者がカメラ、ストロボの故障だと誤解することが無くなる。
【0044】
以上、本発明についてストロボ内蔵のレンズシャッタ式カメラに適用した実施形態に基づいて説明したが、本発明は、ストロボのガイドナンバー情報を入力できれば外付けストロボにも適用できる。
【0045】
【発明の効果】
以上の説明から明らかな通り本発明は、逆光時に主要被写体がストロボ光の有効到達距離よりも遠くに位置した場合、ストロボの発光を禁止するので、無駄な発光が無くなり、電池使用量を抑えて電池寿命を延ばすことができる。さらにこの場合、主要被写体に対して適正露出となるように露出補正するので、逆光時にストロボを発光させない場合も、主要被写体に対して適正露出が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明のカメラの自動露出制御装置をストロボ内蔵のレンズシャッタ式カメラに適用した実施形態の電気回路の要部をブロックで示す図、(B)は同実施形態の測光エリアを模式的に示す図である。
【図2】同カメラの露出連動範囲をダイヤグラムとして示す図である。
【図3】同カメラの主要動作をフローチャートで示す図である。
【図4】同カメラの露出演算動作をフローチャートで示す図である。
【図5】同カメラの逆光判定動作をフローチャートで示す図である。
【符号の説明】
11 CPU(演算手段、逆光判定手段、逆光時ストロボ発光禁止手段、ストロボ発光露出制御手段)
13 昇圧回路(DC/DCコンバータ)
15 ストロボ回路(ストロボ)
17 シャッタ駆動回路
19 フィルム巻上モータ駆動回路
21 メイン測光素子(測光手段、主要被写体輝度測光手段)
21c メイン測光回路
23 サブ測光素子(測光手段、周辺被写体輝度測光手段)
23c サブ測光回路
25 測距回路(測距手段)
27 DX切片群
29 赤ランプ
Claims (4)
- ストロボと、
主要被写体およびその周辺被写体の輝度を測光する測光手段と、
主要被写体までの距離を測距する測距手段と、
前記測光手段の測光結果に基づいて主要被写体が逆光状態か否かを判定する逆光判定手段と、
絞り値情報、フィルム感度に対応するISO感度情報およびストロボの発光量情報に基づいて、ストロボ光の有効到達距離を演算する演算手段と、
選択可能なストロボ発光禁止モードを有するストロボ発光露出制御手段と、
前記測距手段が測距した主要被写体までの距離が前記演算手段により演算された有効到達距離以上の場合はストロボの発光を禁止する逆光時ストロボ発光禁止手段と、を備え、
前記ストロボ発光露出制御手段は、
前記ストロボ発光禁止モードが選択されていないときに前記逆光判定手段が逆光と判定し、かつ前記逆光時ストロボ発光禁止手段がストロボの発光を禁止していないときに、周辺被写体輝度と主要被写体輝度の輝度差が第1の所定値より大きいときは周辺被写体輝度から前記第1の所定値を減算し、前記輝度差が前記第1の所定値以下のときは前記周辺被写体輝度から前記輝度差を減算し、前記減算後の周辺被写体輝度に基づいて露出値を演算し、その演算した露出値によって、ストロボを発光させて露出すること、および
前記ストロボ発光禁止モードが選択されているときまたは前記逆光時ストロボ発光禁止手段がストロボの発光を禁止したときに前記逆光判定手段が逆光と判定したときに、周辺被写体輝度と主要被写体輝度の輝度差が前記第1の所定値より大きい第2の所定値より大きいときは前記周辺被写体輝度から前記第2の所定値を減算し、前記輝度差が前記第2の所定値以下のときは前記周辺被写体輝度から前記輝度差を減算し、前記減算後の周辺被写体輝度に基づいて露出値を演算し、その演算した露出値によって、ストロボを発光させないで露出すること、を特徴とするカメラの自動露出制御装置。 - 請求項1記載のカメラの自動露出制御装置において、前記測光手段は、主要被写体の輝度を測光する主要被写体測光手段と、該主要被写体の周囲の被写体輝度を測光する周辺被写体測光手段とを備え、前記逆光判定手段は、該主要被写体測光手段が測光した主要被写体輝度と周辺被写体測光手段が測光した周辺被写体輝度との差が所定値以上ある場合に逆光状態であると判定するカメラの自動露出制御装置。
- 請求項2記載のカメラの自動露出制御装置において、前記ストロボ発光露出制御手段は、主要被写体測光手段が測光した主要被写体輝度と前記周辺被写体測光手段が測光した周辺被写体輝度に基づいて露出値を演算する露出演算機能を有し、前記ストロボ発光露出制御手段は、前記周辺被写体輝度と主要被写体輝度の差を前記第1または第2の所定値以下の値で主要被写体がプラス露出となるように被写体輝度を補正するカメラの自動露出制御装置。
- 請求項1ないし3の何れか1項記載のカメラの自動露出制御装置において、前記逆光時ストロボ発光禁止手段は、前記主要被写体輝度または周辺被写体輝度が所定値以下の場合は前記被写体までの距離にかかわらずストロボの発光を禁止しないカメラの自動露出制御装置。
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