JP4899265B2 - 多層配線基板及びその製造方法、並びにレーザードリル装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属配線層の層間接続用に形成されるビアホール形成のための孔部開口端に発生するドロス除去方法およびこれを用いた多層配線基板に関するものである。さらに詳しくは、多層配線基板、プリント配線板、高密度実装用の印刷回路の層間絶縁層に形成される層間接続用のビアホールを用いた多層配線基板及びその製造方法、並びにレーザードリル装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体の性能が飛躍的に進歩し半導体が多端子化してきている。しかしながらコンピューターのハードディスク内のプリント配線板(マザーボード)や携帯端末機および携帯電話におけるプリント配線板は面積が限られているため、半導体を実装する配線基板(半導体パッケージ)のサイズには制限がある。
【0003】
多端子化した半導体を実装するため、配線基板にも配線の細線化(高密度化)が要求されるが、製造方法が困難なことから配線基板を多層化することにより配線の細線化を緩和する対策がとられている。多層化に際し、孔部を形成し導通可能な金属材料を孔部内に皮膜することで樹脂絶縁層を挟んだ上下の金属配線層間の層間接続がとられる。
【0004】
従来、層間接続のための孔部を形成する場合には金属ドリルによる機械加工が主流だった。しかし孔部が微細になれば当然加工するドリルも小さくなるが、微小ドリルは作製にコストが掛かり、加工時の摩耗も激しい消耗品であった。そこで近年、微小孔部の形成には金属ドリルの機械加工に代わり、高エネルギーのレーザー光を照射し、加工対象物に吸収させ熱加工するレーザー加工(それに用いる装置をレーザードリル装置という)が近年用いられるようになってきた。
【0005】
レーザー加工に用いるレーザー光は赤外線領域のCO2レーザー(波長9.3〜10.6μm)、YAG レーザー(基本波の波長1.06μm)、紫外線領域のYAG 、YLF 、YAP 、YVO4レーザー(第3高調波の波長355nm、第4高調波の波長266nm)およびエキシマレーザー(XeClの波長308nm、KrF の波長248nm、ArF の波長193nm)が現在、加工機のレーザー光として利用されている。赤外線領域の波長を利用したレーザー加工は金属ドリルにおける機械加工に対し熱加工や熱分解加工であり、紫外線領域の波長を利用したレーザー加工は光化学反応を利用した光分解加工と呼ばれている。
【0006】
金属ドリルによる機械加工は貫通孔部の形成が主流であるが、レーザー加工はパルス発振であるので絶縁層のみの加工(穴止め加工;図1)が可能である。そのためレーザー加工は配線基板のブラインドホール加工を主に使用されている。現在、実用化されている孔部径の各種レーザー光による棲み分けは、CO2レーザーがφ50〜150μm、紫外線レーザーがφ30〜80μmである。エキシマレーザーはφ20μmのようなより微小径も加工可能であるが、高反射性の金属酸化膜マスクやレーザー媒体ガスの維持等の消耗品が高価なため量産には向かない。しかしながら前記棲み分けも、配線基板の高密度化に伴い紫外線レーザーによる孔部形成が有望視されている。
【0007】
また配線層の形成には、例えば金属配線層の材質が銅である場合、全面銅箔層から配線化する製造方法(サブトラクティブ法)と配線の逆パターンを中間樹脂絶縁層上に形成し、電気化学的法により銅配線を析出させる製造方法(セミアディティブ法)が有望視されている。一般的に微小配線化にはセミアディティブ法が優位であると言われているが、配線の形成には無電解めっきと電解めっきを併用しなければならず、銅箔のエッチングのみで配線の形成が可能なサブトラクティブ法は製造方法の工程数が少なく、量産に向いている。また近年、サブトラクティブ法の技術の向上により、セミアディティブ法の微細配線に迫る細線化が可能との報告もある。
【0008】
レーザードリル加工による孔部形成とサブトラクティブ法による配線形成により多層配線基板が形つくられる。加工順序は全面銅箔層に対しレーザードリル加工を施し、孔部の形成後に孔部内壁を例えば電気化学的手法により金属物質で被覆した後に、エッチングレジストをパターニングし塩化第二鉄液等のエッチング液により銅配線を形成する。
【0009】
ここでレーザードリル加工の対象が樹脂絶縁層のみの場合は、CO2および紫外線レーザーで孔部形成が可能であるが、金属配線層と樹脂絶縁層を同時に加工する(ダイレクト加工)必要性がある。しかしながら、CO2レーザーであると金属配線層の吸収波長域でないためレーザー光が銅箔に吸収されず反射してしまう。
【0010】
前記問題を解消するために、金属配線層を黒化処理してCO2レーザー光を吸収させる方法や、公知のフォトリソグラフィー(フォトプロセス)によって金属配線層を穴状にパターニングした後にレーザーによるビア加工を行う方法(コンフォーマル加工)が実施されている。しかしながらこれらの方法は配線基板の製造工程が増えるため、製造コスト面で問題がある。
【0011】
紫外線レーザーの波長は金属の吸収波長と重なるためにダイレクト加工が可能である。またエネルギー密度が高いため微小径でもレーザー加工可能である。しかしながら金属の吸収波長であるとはいえ、金属に対しては熱加工的な要素が強く銅箔が溶解することで、孔部が図1のように形成される。ここでレーザー光の高エネルギーにより溶解した銅は図1に示す形状6となる。1つの孔部を形成するために数パルス〜数十パルス照射するので、孔部開口端に溶解した銅が盛り上がる形でドロスとなる。図1はレーザードリル加工後の孔部の上面図と断面図を示す。
【0012】
ドロス6が残存したまま、例えば電解めっき等で孔部内を銅で充填しようとすると、局部的に凹凸のあるドロスの部分に電界が集中し上面銅層での電解銅の成長が早くなり、孔部内に電解銅が充填する前に上面銅層で空間が閉じてしまう。結果的に空隙が孔部内に残ってしまうことになる。このために孔部をレーザードリル加工した後には必ずドロスを除去しなければならない。
【0013】
従来のドロス除去には、研磨シートや研磨剤混練バフ等を用いた物理研磨により平滑にするかもしくは孔開口部の凸部を選択的に除去する化学研磨等が用いられる。しかしながら、物理研磨は孔開口部の形状を変形させてしまうことや化学研磨ではドロス以外の配線箇所の銅も研磨してしまうことや、薬液による表面改質が起こる可能性がある。さらにはいずれのドロス除去方法も工程ラインが1つ以上増えるため、製品信頼性および生産性の面で問題があった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような問題点を解決するためになされたものであり、複数の樹脂絶縁層と金属配線層からなる多層配線基板に対し、上下の金属配線層を接続させるための孔部形成に際し、ビアホール形成用の孔開口端に発生するドロスの除去を物理研磨や化学研磨等の専用工程を用いることなくレーザードリル加工で行う多層配線基板及びその製造方法、並びにレーザードリル装置を提供することを目的とする。
【0015】
本発明において上記課題を達成するために、まず請求項1の発明では、樹脂絶縁膜よりなる絶縁層と導体膜よりなる配線層とが交互に積層されてなる多層配線基板の製造方法において、多層配線基板の配線層側からビヤホール形成のための孔部をレーザードリル加工を用いて形成後に、前記レーザードリルを用いて孔部開口端に発生するドロスを除去し、孔部開口端ドロスを加工すると同時に上面配線層にテーパ角度をつけることを特徴とする多層配線基板の製造方法である。
【0016】
また請求項2の発明では、レーザードリルが355nm以下の単一波長を用いた紫外線レーザードリルであることを特徴とする請求項1記載の多層配線基板の製造方法。
【0017】
また請求項3の発明では、樹脂絶縁膜よりなる絶縁層と導体膜よりなる配線層とが交互に積層されてなる多層配線基板をレーザードリル加工する順序が、上面配線層、中間樹脂絶縁層、孔部開口端ドロスであることを特徴とする請求項1又は2記載の多層配線基板の製造方法である。
【0018】
また請求項4の発明では、孔部を形成する際のレーザー加工直径よりも、孔部開口端に発生するドロス除去をする際に孔部加工径より0.1〜50μm大きいレーザー加工径を用いることを特徴とする請求項1〜3記載の多層配線基板の製造方法である。
【0019】
また請求項5の発明では、樹脂絶縁膜よりなる絶縁層と導体膜よりなる配線層とが交互に積層されてなる多層配線基板における同一面内の個々の孔部形成後に開口端のドロスを除去するバースト加工、もしくは多層配線基板における同一面内のすべての孔部形成後にそのすべての孔部開口端のドロスを再度同じ軌跡にて除去するサイクル加工の少なくともどちらか一方を行うことを特徴とする請求項1〜4記載の多層配線基板の製造方法である。
【0020】
また請求項6の発明では、前記ビアホール形成のための孔部において、上面配線層でのテーパ角度と中間樹脂絶縁層のテーパ角度の比(中間樹脂絶縁層/上面配線層)が0.40〜1.00であることを特徴とした請求項1〜5の何れかに記載の多層配線基板の製造方法である。
【0021】
また請求項7の発明では、前記請求項1〜6の何れかに記載の多層配線基板の製造方法により、樹脂絶縁膜よりなる絶縁層と導体膜よりなる配線層とが交互に積層されてなる多層配線基板において貫通孔部および止まり穴加工の少なくともどちらか一方、あるいは両方が形成されていることを特徴とする多層配線基板である。
【0022】
また請求項8の発明では、前記請求項1〜6の何れかに記載の多層配線基板の製造方法により、樹脂絶縁膜よりなる絶縁層と導体膜よりなる配線層とが交互に積層されてなるリジットおよびフレキシブル回路基板の少なくともどちらか一方において、上下の金属配線層の導通をとるための孔部が形成されていることを特徴とする多層配線基板である。
【0023】
また請求項9の発明では、樹脂絶縁膜よりなる絶縁層と導体膜よりなる配線層とが交互に積層されてなる多層配線基板の製造に用いるレーザードリル装置において、多層配線基板の配線層側からビヤホール形成のための孔部を355nm以下の単一波長を用いた紫外線レーザードリル手段を用いて形成後に、前記レーザードリル手段を用いて孔部開口端に発生するドロスを、レーザー光を螺旋運動させることにより除去し、孔部開口端ドロスを加工すると同時に上面配線層にテーパ角度をつけることを特徴とするレーザードリル装置である。
【0024】
また請求項10の発明では、樹脂絶縁膜よりなる絶縁層と導体膜よりなる配線層とが交互に積層されてなる多層配線基板を、上面配線層、中間樹脂絶縁層、孔部開口端ドロスの順でレーザードリル加工を行なうことを特徴とする請求項9記載のレーザードリル装置である。
【0025】
また請求項11の発明では、孔部を形成する際のレーザー加工直径よりも、孔部開口端に発生するドロス除去をする際に孔部加工径より0.1〜100μm大きいレーザー加工径を用いることを特徴とする請求項9又は10記載のレーザードリル装置である。
【0026】
また請求項12の発明においては、樹脂絶縁膜よりなる絶縁層と導体膜よりなる配線層とが交互に積層されてなる多層配線基板における同一面内の個々の孔部形成後に開口端のドロスを除去するバースト加工、もしくは多層配線基板における同一面内のすべての孔部形成後にそのすべての孔部開口端のドロスを再度同じ軌跡にて除去するサイクル加工の少なくともどちらか一方を行うことを特徴とする請求項9〜11の何れかに記載のレーザードリル装置であることを特徴とする。
【0027】
また請求項13の発明においては、樹脂絶縁膜よりなる絶縁層と導体膜よりなる配線層とが交互に積層されてなる多層配線基板の製造方法において、前記絶縁層は、両面銅箔付きポリイミドテープ(銅/ポリイミド/銅→9/30/9μmの膜厚)を使用し、穴止め加工(ブラインドビア加工)を波長355nmの紫外線レーザーを使用し、1000穴が400μmピッチの格子状になるパターンに加工する工程と、孔部1つについて、上面銅箔層の加工にエネルギー密度10J/cm2のレーザー光を8ショット、ポリイミド層の加工に2J/cm2のレーザー光を30ショットの加工条件においてバーストモードで照射し、孔部開口径1がφ50μm、孔底部径2はφ30μmのブラインドビアホール形成用孔部を形成する工程と、加工条件を加工径φ70μmに変えエネルギー密度10J/cm2のレーザー光に戻し、2ショット照射し、上面銅箔層におけるテーパ角度と中間樹脂絶縁層であるポリイミド層でのテーパ角度の比(θ2/θ1)が0.55〜0.60のブラインドビアホール形成用孔部を形成する工程と、を具備することを特徴とする多層配線基板の製造方法である。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の多層配線基板の製造方法(特にドロス除去)について説明する。微細配線を形成する際にはサブトラクティブ法とセミアディティブ法が現在有望視されている。サブトラクティブ法は銅箔上にレジストコート−露光−現像−エッチング工程により銅配線が完成する。一方、セミアディティブ法は樹脂上に無電解めっき−レジストコート−露光−現像−電解めっき−ソフトエッチングすることで銅配線が完成する。無電解めっきにより全面に析出した銅はソフトエッチングにより独立パターンの銅配線となる。さらにセミアディティブ法による銅配線形成時のめっきは工程時間が非常にかかり、生産性向上の障害となる。
【0030】
配線形成にサブトラクティブ法を採用するにあたり、レーザードリル加工には銅箔直接加工(ダイレクト加工)が求められる。CO2レーザーでは金属における吸収波長ではないため、銅箔表面に黒化処理等を施して加工する必要がある。その点、紫外線レーザーであれば金属における吸収波長であるため、黒化処理等の特殊な処理を施さずにレーザードリル加工を行うことができる。
【0031】
紫外線レーザー加工機はパルス発振であるので、単位面積あたりのレーザー光のパルスエネルギーを銅箔層と樹脂層との間で変えることによって、図1のような穴止め加工(ブラインドビア)を行うことができる。例えば、YAG の第3高調波(波長355nm)を利用した銅箔層加工には10J/m2以上、樹脂加工には1〜3J/m2程度のエネルギーが必要である。このエネルギー差を利用して、上面銅箔層には10J/m2、その後樹脂層に3J/m2のエネルギーを加工可能な程度のパルスショット数を照射することによってブラインドビアを形成することができる。またレーザー光の強度分布は孔部の中心部ほど強く、孔部端になるほど弱くなる。すなわちレーザー強度の弱い部分では加工が進行しないため、孔部はテーパ形状となる。
【0032】
金属層ダイレクト加工を行った後の孔部の開口端には図1の6ように盛り上がった形状のドロスが発生する。この盛り上がりの膜厚は1〜3μm程度である。このドロスをレーザードリルで除去するためには、ドロスが広がっている範囲に適合した径のレーザー光を数パルス照射することが考えられる。すなわち孔部形成の加工において、第1に銅箔加工を10J/m2、第2に樹脂層加工を1〜3J/m2程度、第3にドロス除去として10J/m2のエネルギーを照射することによって孔部を形成し、かつドロス除去をもレーザードリル加工で行うことができる(図2参照)。これには銅の吸収波長を考慮すると355nm以下の紫外線波長のレーザー光を用いることが効果的である。CO2レーザーでは吸収波長でないために、ドロスに対し再度黒化処理等を施す必要があり、結果的に工程数が増える。ドロスを直接レーザードリル加工で除去する過程で留意しなければならないことは、ドロス除去時のパルス数を過剰に増やすと孔底部の銅箔がドロスと同時に加工されてしまい、ブラインドビアが貫通してしまうことが考えられる。レーザードリル加工における1パルス当たりの加工レートはレーザー発振条件にも依るが、1μmに満たない加工レートも容易である。このためドロス除去のパルス数の適正値としては、ドロスの膜厚を正確に把握した上で決定することが望ましい。また第1の銅箔加工時のパルスエネルギーより低いパルスエネルギーをドロス除去のパルスエネルギーとして照射しても構わない。例えば第1の銅箔加工時に10J/m2であれば、ドロス除去時には8〜9J/m2のパルスエネルギーを照射することである。
【0033】
またドロス発生範囲以上の径のレーザードリル加工を行うと、以降の配線形成工程において配線となるべき銅箔の膜厚を減少させてしまう可能性があるため、ドロス除去を行うレーザー光の径はドロス発生の径そのものであった方(図1の7)が望ましい。一方で、銅配線層の初期の膜厚がドロス除去時の加工膜厚に比べ問題にならない程度であれば、ドロス除去のレーザー光の径が決定される必要はない。
【0034】
またある単位径のレーザー光を螺旋運動させ、所望の孔部径まで広げる加工方式(トレパニング法)である場合、第2の樹脂加工まで行ったら単位径をドロス上のみ同様に螺旋運動させることでドロス除去は行うことができる。この場合、ドロスのみ加工されるので孔底部が加工されることはない。
【0035】
ドロス除去をレーザードリル手段で行うことににより、3段階のレーザー光照射が必要になる。すなわち加工スループットの低下が考えられるが、ドロス除去のための照射パルス数はドロスの膜厚にも依存するが、数パルスであるので金属層および樹脂層加工時のパルス数に比べ相対的に少ないパルス数で済む。金属層+樹脂加工のみによるブラインドビア加工時に対し、金属層+樹脂層+ドロス除去によるブラインドビア加工での加工スループットは90〜99%程度である。
【0036】
また金属層+樹脂層+ドロス除去加工の加工順序は、1つの孔部を形成後に次孔部を加工するバーストモードおよび金属層の加工条件のまますべての孔部座標位置を加工後に、同じ軌跡にて樹脂用加工条件にて樹脂層を加工し、再度金属層加工条件に戻り再度孔部座標位置を加工するサイクルモードが考えられる。バーストモードである場合、加工位置精度の問題は払拭されるが、孔部1つ1つに対し3段階に加工条件を切り替えるための時間遅延の可能性がある。またサイクルモードである場合、各加工条件にて金属層→樹脂層→ドロス除去の加工を行うため、条件の切り替えによる加工時間ロスは低減されるが、同じ孔部のパターンを3度同じ軌跡にて加工しなければならないために加工位置精度が問題になる。現在のレーザードリル加工(手段)の加工条件(加工径、加工エネルギー、レーザー発振周波数、パルス数等)はコンピューター上のソフトウェアで制御されているため、加工条件切り替え時に生じる加工時間のロスはほとんどない。バーストモードによる孔部のレーザードリル加工が望ましい。
【0037】
またドロス除去工程を含むレーザードリル加工方法は上記になんら限定されることはない。
【0038】
またレーザードリル加工(手段)の加工条件(加工径、加工エネルギー、レーザー発振周波数、パルス数等)によっては上面配線層にテーパ角度をつけることができる。上面配線層+中間樹脂絶縁層をブラインドビア加工した場合には、上面配線層に形成された穴をマスク転写して中間樹脂絶縁層が加工される。さらに中間樹脂絶縁層加工時のほうが上面配線層加工時よりレーザー光のエネルギー密度が低いために中間樹脂絶縁層はテーパ形状になる。(図3においてθ1<θ2)さらにこのテーパ角度の関係はレーザー加工の条件にもよるがθ2/θ1=0.40〜1.00である。
【0039】
従来のビアホールの製造方法は、ビアホール用の孔部を形成した後に電気化学的手法(主にめっき技術)を用いて孔内を金属で被覆していた。薬液中での金属の析出を用いる方法であるために孔内への薬液流れが重要になる。微小ビアホール用の孔部ではアスペクト比が高くなり、孔内底部付近(図4)に薬液流れのないよどみ点が発生する可能性が高い。よどみ点では新液の供給がなされず、金属の析出の大きな妨げになる。
【0040】
ここで、上面配線層にテーパ角度をつけることでアスペクト比の低減をはかることができる。すなわち薬液処理による液流れを改善することで製品の歩留まりの向上につながる。
【0041】
以下、本発明のドロス除去方法を用いた多層配線基板について説明する。金属層(銅)に第1のレーザードリル加工、次に絶縁層に第2のレーザードリル加工、最後にドロス部に第3のレーザードリル加工を適正なレーザー照射量およびショット数により加工することで、ドロスの除去された孔部形成をレーザードリル手段のみにより行うことができる。レーザードリル加工(手段)でドロスが除去されることによって、レーザードリル加工後の物理研磨や化学研磨等の専用ドロス除去工程が省略され、製品の生産性が向上する。またドロス除去工程が省略されることにより、ドロス除去工程を経ることで発生する製品基板への損傷(物理研磨による基板の収縮、化学研磨による配線部への過腐食、表面改質および樹脂層の吸湿)を回避できる。すなわち製品の製造安定性につながることになる。
【0042】
またブラインドビア形成時よりもドロス除去時の処理径が大きいため、上面銅箔層にテーパ角度を備えることができる。上面銅箔層にテーパ角度がつくことで形成したブラインドビアのアスペクト比が上面銅箔層の厚み分低減されるので、後工程のめっき行程による薬液処理の新液供給が容易となる。
【0043】
孔部の形成に際し、ブラインドビア加工(止まり穴加工)およびスルーホール加工(貫通穴加工)が現在主流になっているが、レーザードリル手段(工程)におけるドロス除去方法はどちらの孔形成にも対応可能である。またリジットの多層配線基板もしくはフレキシブルの多層配線基板のどちらに対しても有効な工法である。
【0044】
【実施例】
両面銅箔付きポリイミドテープ(銅/ポリイミド/銅→9/30/9μmの膜厚・三井化学社製のネオフレックス)を使用し、図1のような穴止め加工(ブラインドビア加工)を波長355nmの紫外線レーザーを使用し、1000穴が400μmピッチの格子状になるパターンに加工した。孔部1つについて、上面銅箔層の加工にエネルギー密度10J/ cm2 のレーザー光を8ショット、ポリイミド層の加工に2J/ cm2 のレーザー光を30ショットの加工条件においてバーストモードで照射した。エネルギー密度を変えて加工したため下面銅箔は加工されずにブラインドビアホール形成用孔部が形成された。孔部開口径1はφ50μm 、孔底部径2はφ30μm であった。この時点で任意の箇所の孔部開口端に発生したドロスの膜厚を走査型電子顕微鏡およびレーザー顕微鏡にて測定したところ1.2〜2.2μm であった。またドロスの発生範囲7はφ70μm程度であった。
【0045】
次に加工条件を加工径φ70μm に変えエネルギー密度10J/ cm2 のレーザー光に戻し、2ショット照射した(図2参照)。パンチング加工であるため孔底部の銅箔を再度加工した形になったが、めっきにて孔内部を銅で充填しても問題ない程度であった。またこのときの上面銅箔層におけるテーパ角度と中間樹脂絶縁層であるポリイミド層でのテーパ角度の比(θ2/θ1)は0.55〜0.60であった。
【0046】
上記レーザードリルによってドロス除去された基板とのめっきツキ廻り性を比較するため上面銅箔層の加工にエネルギー密度10J/ m2 のレーザー光を8ショット、ポリイミド層の加工に2J/ m2 のレーザー光を30ショットの加工条件において、バーストモードで照射した基板の全面に対し#1000の物理研磨を施した。砥粒がドロス研磨後に孔内に入らないことを考慮した研磨剤混練バフを用いた。まためっきツキ廻り性を比較評価するためにドロス除去を施さないサンプル基板も作製した。
【0047】
前記2種類のサンプル基板における孔内を同様に過マンガン酸水溶液によりデスミア処理を施した。その後、上下金属層の層間導通をとるために電解銅めっきを行った。めっき液の組成は硫酸銅225g/L、硫酸55g/L、塩素イオン60mg/L、添加剤20mLであり浴温を25℃とし、攪拌を行いながら陰極電流密度を1.0A/dm2 で60分電解めっきを行った。電解めっき後に90℃で10分間、サンプルを乾燥させた。
【0048】
前記2種類のサンプルを樹脂に充填し50℃で1時間加熱硬化させ、グラインダーによって研磨し、孔部内の銅充填不良率を調べた。レーザードリル加工によりドロスが除去された基板と物理研磨によりドロスが除去された基板の銅充填不良率は0.5〜3%であった。しかしドロスの除去されていない基板の銅充填不良率は50〜60%であった。これは電解めっき工程においてドロスの凸部では電界集中が起こり、孔開口部での電解銅の成長が孔底部での電解銅成長よりも早く、孔内部に空隙が残されたためと考えられる。
【0049】
さらに1000穴格子状のパターンを、上下の配線層を交互に結線する鎖状のパターンに回路を形成しテスターによる導通試験を行った。完全導通したサンプルのみ合格品とし、断線があるのものは不良とした。レーザードリル加工によってドロスの除去され、かつテーパ角度を備えたサンプルは95%の歩留まりだったのに対し、ドロスの除去しないサンプルは67%の歩留まりだった。
【0050】
またレーザードリル加工によりドロスを除去しているため、ドロス除去専用工程である物理研磨工程が省略され、製造工程を短縮化できた。レーザー加工工程から電解めっき工程までのサンプル基板を作製するに要した時間は15%短縮した。
【0051】
基板信頼性評価試験としてヒートサイクル試験と絶縁信頼性試験を行った。ヒートサイクル試験は−65℃×30min 〜165℃×30min で行い、絶縁信頼性試験は上下層間のL/S=50μm/50μmのくし型パターンにて、80℃/85%/50V、1000時間後の値を測定した。試験結果を表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
【発明の効果】
本発明の多層配線基板の製造方法及びレーザードリル装置によれば、レーザードリル加工後のドロス除去専用工程(例えば物理研磨や化学研磨)を省略することができ、金属配線層と樹脂絶縁層とが交互に積層してなる多層配線基板において基板製造の短縮化でき、また孔部形成後の薬液処理による液流れを改善できるため歩留まり向上になる。また基板製造の短縮化によって、基板への負荷(基板の収縮および表面改質、樹脂絶縁層への吸湿)を回避することができる。
【0054】
【図面の簡単な説明】
【図1】両面銅箔付き樹脂フレキシブル基板における穴止め(ブラインドビア)加工の上面図および断面図である。
【図2】レーザードリル加工によるドロス除去を示す説明図である。
【図3】レーザードリル加工後における上面配線層のテーパ角度(θ2)および中間樹脂絶縁層におけるテーパ角度(θ1)を示す説明図である。
【図4】テーパ角度を備えた孔部へのめっき処理時における薬液流れを示す説明図である。
【符号の簡単な説明】
1 孔部開口径
2 孔部底部径
3 上面金属配線層
4 絶縁樹脂層
5 下面金属配線層
6 ドロス
7 ドロス径
8 上面金属配線層加工用レーザーパルス光
9 絶縁樹脂層加工用レーザーパルス光
10 ドロス除去用レーザーパルス光
Claims (13)
- 樹脂絶縁膜よりなる絶縁層と導体膜よりなる配線層とが交互に積層されてなる多層配線基板の製造方法において、多層配線基板の配線層側からビヤホール形成のための孔部をレーザードリル加工を用いて形成後に、前記レーザードリルを用いて孔部開口端に発生するドロスを除去し、孔部開口端ドロスを加工すると同時に上面配線層にテーパ角度をつけることを特徴とする多層配線基板の製造方法。
- レーザードリルが355nm以下の単一波長を用いた紫外線レーザードリルであることを特徴とする請求項1記載の多層配線基板の製造方法。
- 樹脂絶縁膜よりなる絶縁層と導体膜よりなる配線層とが交互に積層されてなる多層配線基板をレーザードリル加工する順序が、上面配線層、中間樹脂絶縁層、孔部開口端ドロスであることを特徴とする請求項1又は2記載の多層配線基板の製造方法。
- 孔部を形成する際のレーザー加工直径よりも、孔部開口端に発生するドロス除去をする際に孔部加工径より0.1〜100μm大きいレーザー加工径を用いることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の多層配線基板の製造方法。
- 樹脂絶縁膜よりなる絶縁層と導体膜よりなる配線層とが交互に積層されてなる多層配線基板における同一面内の個々の孔部形成後に開口端のドロスを除去するバースト加工、もしくは多層配線基板における同一面内のすべての孔部形成後にそのすべての孔部開口端のドロスを再度同じ軌跡にて除去するサイクル加工の少なくともどちらか一方を行うことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の多層配線基板の製造方法。
- 前記ビアホール形成のための孔部において、上面配線層でのテーパ角度と中間樹脂絶縁層のテーパ角度の比(中間樹脂絶縁層/上面配線層)が0.40〜1.00であることを特徴とした請求項1〜5の何れかに記載の多層配線基板の製造方法。
- 前記請求項1〜6の何れかに記載の多層配線基板の製造方法により、樹脂絶縁膜よりなる絶縁層と導体膜よりなる配線層とが交互に積層されてなる多層配線基板において貫通孔部および止まり穴加工の少なくともどちらか一方、あるいは両方が形成されていることを特徴とする多層配線基板。
- 前記請求項1〜6の何れかに記載の多層配線基板の製造方法により、樹脂絶縁膜よりなる絶縁層と導体膜よりなる配線層とが交互に積層されてなるリジットおよびフレキシブル回路基板の少なくともどちらか一方において、上下の金属配線層の導通をとるための孔部が形成されていることを特徴とする多層配線基板。
- 樹脂絶縁膜よりなる絶縁層と導体膜よりなる配線層とが交互に積層されてなる多層配線基板の製造に用いるレーザードリル装置において、多層配線基板の配線層側からビヤホール形成のための孔部を355nm以下の単一波長を用いた紫外線レーザードリル手段を用いて形成後に、前記レーザードリル手段を用いて孔部開口端に発生するドロスを、レーザー光を螺旋運動させることにより除去し、孔部開口端ドロスを加工すると同時に上面配線層にテーパ角度をつけることを特徴とするレーザードリル装置。
- 樹脂絶縁膜よりなる絶縁層と導体膜よりなる配線層とが交互に積層されてなる多層配線基板を、上面配線層、中間樹脂絶縁層、孔部開口端ドロスの順でレーザードリル加工を行なうことを特徴とする請求項9記載のレーザードリル装置。
- 孔部を形成する際のレーザー加工直径よりも、孔部開口端に発生するドロス除去をする際に孔部加工径より0.1〜100μm大きいレーザー加工径を用いることを特徴とする請求項9又は10記載のレーザードリル装置。
- 樹脂絶縁膜よりなる絶縁層と導体膜よりなる配線層とが交互に積層されてなる多層配線基板における同一面内の個々の孔部形成後に開口端のドロスを除去するバースト加工、もしくは多層配線基板における同一面内のすべての孔部形成後にそのすべての孔部開口端のドロスを再度同じ軌跡にて除去するサイクル加工の少なくともどちらか一方を行うことを特徴とする請求項9〜11の何れかに記載のレーザードリル装置。
- 樹脂絶縁膜よりなる絶縁層と導体膜よりなる配線層とが交互に積層されてなる多層配線基板の製造方法において、
前記絶縁層は、両面銅箔付きポリイミドテープ(銅/ポリイミド/銅→9/30/9μmの膜厚)を使用し、穴止め加工(ブラインドビア加工)を波長355nmの紫外線レーザーを使用し、1000穴が400μmピッチの格子状になるパターンに加工する工程と、
孔部1つについて、上面銅箔層の加工にエネルギー密度10J/cm2のレーザー光を8ショット、ポリイミド層の加工に2J/cm2のレーザー光を30ショットの加工条件においてバーストモードで照射し、孔部開口径1がφ50μm、孔底部径2はφ30μmのブラインドビアホール形成用孔部を形成する工程と、
加工条件を加工径φ70μmに変えエネルギー密度10J/cm2のレーザー光に戻し、2ショット照射し、上面銅箔層におけるテーパ角度と中間樹脂絶縁層であるポリイミド層でのテーパ角度の比(θ2/θ1)が0.55〜0.60のブラインドビアホール形成用孔部を形成する工程と、を具備することを特徴とする多層配線基板の製造方法。
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