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JP4899772B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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JP4899772B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、吸気バルブの開期間の一部と排気バルブの開期間の一部とをオーバーラップさせるバルブオーバーラップ制御を行う内燃機関の制御装置に関する。
排気ガスの一部を気筒内に還流させ、新しく吸入された空気と一緒に混合させる、排気還流(以下、EGR)が、種々の車両で利用されている。これにより、燃焼室の空気の酸素濃度を低くし、気筒内の燃焼を緩やかにして燃焼温度を下げ、NOx(窒素酸化物)の発生を低減させることが可能になる。EGRには、排気通路の排気ガスを吸気通路に供給する、いわゆる外部EGRと、排気通路の排気ガスを燃焼室内に直接戻す、いわゆる内部EGRとがある。この内、内部EGRは、内燃機関の燃焼室と排気通路との間に配置された排気バルブが開いている時期に、燃焼室と吸気通路との間に配置された吸気バルブを開いて、排気バルブの開期間の一部と吸気バルブの開期間の一部とをオーバーラップさせることで、生じさせられる。
この内部EGRでは、吸気側および排気側の差圧によって、燃焼室に取り込まれる、換言すると残留される排気還流量が変動する。したがって、過渡運転時において、その差圧の変動が大きくなると、内部EGRでは、適切な量の排気ガスを燃焼室に残留させることが出来なくなる。かかる問題を解決するため、例えば特許文献1において、内燃機関の排気ガス浄化装置が提案されている。この装置は、排気側および吸気側の差圧が変動するときに、排気バルブよりも下流側の排気通路の部分に設けた排気絞り弁の開度を適宜調節して、これにより吸気圧に対して排気圧の大きさを所望の値に設定し、燃焼室に所望の量の排気ガスを還流させるようにするものである。
特開2003−97252号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の装置では、排気通路の開度調節用に排気絞り弁が設けられなければならず、各種車両への適用を考慮すると構造が複雑になるという問題がある。
そこで、本発明は、構造を複雑にせず、過渡運転時でも、吸気バルブの開期間の一部と排気バルブの開期間の一部とをオーバーラップさせることにより、適切な量の排気ガスを燃焼室に残留させることを可能にする内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明による内燃機関の制御装置は、吸気バルブの開期間の一部と排気バルブの開期間の一部とをオーバーラップさせるバルブオーバーラップ制御を行う内燃機関の制御装置であって、前記バルブオーバーラップが生じるか否かを判定するバルブオーバーラップ判定手段と、所定の点火時期で燃焼室の混合気に点火する点火手段と、前記燃焼室に吸入される空気の量を調整するためのスロットルバルブと、前記スロットルバルブの開度の目標値である要求スロットル開度を導出する要求スロットル開度導出手段と、前記要求スロットル開度が過渡的に変化したか否かを判定する要求スロットル開度判定手段と、前記バルブオーバーラップ判定手段により前記バルブオーバーラップが生じると判定され、且つ、前記要求スロットル開度判定手段により前記要求スロットル開度が過渡的に変化したと判定されたとき、その判定時以降の最初の点火時期を前記要求スロットル開度に基づいて補正する補正手段と、を備えることを特徴とする。
かかる構成によれば、バルブオーバーラップ判定手段によりバルブオーバーラップが生じると判定され、且つ、要求スロットル開度判定手段により要求スロットル開度が過渡的に変化したと判定されたとき、補正手段がその判定時以降の最初の点火時期を要求スロットル開度に基づいて補正するので、スロットルバルブの開度が変動することによる吸気圧に対して、排気圧を適切な圧力に調節することが可能になる。したがって、過渡運転時でも、吸気バルブの開期間の一部と排気バルブの開期間の一部とをオーバーラップさせることによる、排気ガスの燃焼室への残留量を、適切な量にすることが可能になる。このようにして、適切な量の排気ガスを燃焼室に残留させることが出来るので、構造を複雑にせず、本発明を各種車両に適用することが可能になる。
なお、前記補正手段は、前記要求スロットル開度が過渡的に増大したとき、前記最初の点火時期を遅角補正すると良い。他方、前記補正手段は、前記要求スロットル開度が過渡的に減少したとき、前記最初の点火時期を進角補正すると良い。
好ましくは、前記内燃機関は、多気筒内燃機関であって、前記内燃機関の制御装置は、前記スロットルバルブの開度を、前記要求スロットル開度導出手段により導出された前記要求スロットル開度に制御するスロットル開度制御手段をさらに備え、該スロットル開度制御手段は、前記バルブオーバーラップ判定手段により前記バルブオーバーラップが生じると判定され、且つ、前記要求スロットル開度判定手段により前記要求スロットル開度が過渡的に変化したと判定されたとき、その判定時以降に前記最初の点火時期が最初に出現する、制御上対象となる一の対象気筒において、該最初の点火時期以降の最初の吸気行程の開始時に、該対象気筒の吸気ポートの吸気圧が前記要求スロットル開度に対応した吸気圧に達するように、前記スロットルバルブの開度変更を遅らせて開始する。これにより、上記点火時期の補正により排気圧の変動を生じさせることができる排気行程の一部と、スロットルバルブの開度の変更により吸気圧が変動し、その吸気圧の影響を受ける吸気行程の一部とをより確実に重ねることが可能になる。ただし、前記対象気筒の前記吸気ポートの吸気圧は、前記吸気ポートの最下流点の圧力であるのが好ましい。
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
まず、本発明の第1実施形態について説明する。第1実施形態の内燃機関の制御装置が適用された車両のエンジンシステムの概念図を図1に示す。本第1実施形態のエンジン(内燃機関)10は、ポート噴射形式の火花点火式内燃機関である。
エンジン10において、吸気口から吸入された空気(吸気)は、エアクリーナ12を介して吸気通路14に導入される。吸気通路14は、主として、吸気管16、サージタンク18、吸気マニホルド20、吸気ポート22により形成されている。空気は、吸気管16の途中に設けられたスロットルバルブ24の開度によりその流量が調整されつつ、サージタンク18に流入し、各気筒(シリンダ)26に対応して分岐形成された吸気マニホルド20に分流する。このスロットルバルブ24の開度は、運転者によって操作されるアクセルペダル28の踏み込み量に対応するように、スロットルアクチュエータ30によって調整される。このように、スロットルバルブ24は、その開閉動作を電子的に制御できる吸気絞り弁である。
吸気マニホルド20には燃料噴射弁32が配設されている。燃料噴射弁32により噴射された燃料は分流した空気と混合されて、吸気バルブ34を介して、イグニッションコイル36への制御により作動される点火プラグ38が上部中央に配設された燃焼室40に吸入される。
各気筒26の燃焼室40で、混合気は点火プラグ38により点火される。その点火により生じた火炎が混合気の全体に次第に伝播し、混合気は燃焼する。燃焼により生じた排気ガスは、排気バルブ42を介して、排気通路44に排出される。排気ポート46、排気マニホルド48と共に排気通路44を区画形成する排気管50の途中に配設された触媒コンバータ52を通過することで、排気ガスは浄化されて、大気中に排出される。
上記吸気バルブ34および排気バルブ42を開閉駆動する動弁機構(不図示)は、本第1実施形態では、吸気バルブ34および排気バルブ42の作用角(作動角)の位相およびリフト量を自由に可変、すなわちそれらのバルブタイミングを自由に可変とすると共に、それらのリフト量を自由に可変とする可変動弁機構である。より詳しくは、本第1実施形態において、この動弁機構は、電磁コイルの電磁力により吸気バルブ34および排気バルブ42を動かすものであり、それら吸排気バルブ34、42は電磁駆動弁とされている。それ故、吸気バルブ34および排気バルブ42の各電磁コイルの制御される通電駆動による電磁力により、それらの作用角の位相やリフト量は自由に変えられる。
燃料噴射制御、点火時期制御、等を行うために、電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)54が備えられている。ECU54は、CPUと、種々のプログラムやデータを記録するROMやRAMと、入力インターフェイス回路と、出力インターフェイス回路とを備えるマイクロコンピュータで構成されている。入力インターフェイス回路には、シリンダブロック56に伝わるノッキングによる高周波振動を検出するためのノックセンサ58、スロットルバルブ24よりも下流側の吸気圧を検出するための吸気圧センサ60、スロットルバルブ24の開度、すなわちスロットル開度(実スロットル開度)TAを検出するためのスロットルポジションセンサ62、アクセルペダル28の踏み込み量、すなわちアクセル開度を検出するためのアクセルポジションセンサ64、シリンダブロック56に設けられていて、連接棒を介してピストン66が連結されているクランクシャフト68のクランク回転信号を検出するためのクランクポジションセンサ70、シリンダブロック56に設けられていてエンジン10の冷却水の温度(冷却水温)を検出するための水温センサ72、触媒コンバータ52の上流側を流れる排気ガス中の酸素濃度を検出するためのOセンサ74などが電気配線を介して接続されている。なお、本第1実施形態ではクランクポジションセンサ70をエンジン10の回転数(回転速度)を検出するための回転数センサとして用いている。そして、ECU54の出力インターフェイス回路は、燃料噴射弁32、イグナイタを内蔵したイグニッションコイル36、動弁機構、そして、スロットルアクチュエータ30などに接続されていて、上記各種センサ等からの出力信号に基づいて得られたデータに基づき、ECU54はそれらを制御する。
エンジン10では、吸気圧センサ60からの出力信号に基づく吸気圧、アクセルポジションセンサ64からの出力信号に基づくアクセル開度、クランクポジションセンサ70からの出力信号に基づくエンジン回転数など、すなわちエンジン負荷およびエンジン回転数で表される運転状態に基づいて、予めROMに記憶されているデータを検索するなどして、基本燃料噴射量、基本燃料噴射時期、基本点火時期等が設定される。そして、エンジン10の冷却水温などでそれらの基本値を補正して、制御上目標とされる燃料噴射量、燃料噴射時期、点火時期等が導出され、燃料噴射弁32、点火プラグ38等の作動が制御される。
具体的には、エンジン10のECU54は、通常、運転状態に基づいてエンジン10の状態を総合的に判定し、予めROMに記憶されているデータを検索することで得られる基本点火時期を、ノッキング補正などによって進角補正あるいは遅角補正を行って最適な点火時期SAを決定する。そして、イグナイタに点火信号を送ることによって、決定された点火時期SAでの混合気への点火が実行される。
また、エンジン10では、運転状態に基づいて、予めROMに記憶されているデータを検索することで導出されるバルブタイミングおよびリフト量で吸気バルブ34および排気バルブ42の動作が制御されるように、ECU54は動弁機構を制御する。本第1実施形態では、エンジン10の始動時や軽負荷運転時、並びに高負荷域であって高回転での運転時などでは、バルブオーバーラップをなくすようなバルブタイミングになるように、動弁機構は制御される。他方、中負荷運転時や、高負荷域であって低中負荷回転での運転時などでは、所定量のバルブオーバーラップが生じるバルブタイミングになるように、動弁機構は制御される。このように、ECU54は、バルブオーバーラップ制御を行う。
なお、通常、ECU54は、スロットル開度の制御上の目標値となる、要求スロットル開度TAに、現在のスロットル開度TAが一致するように、スロットル開度制御を行っている。要求スロットル開度TAとは、運転者によるアクセルペダル28の踏み込み量、すなわちアクセル開度に対応した値である。
そして、内部EGR量を所望量に調節すべく、過渡運転時、換言すると、アクセル開度が急速度で大きく変わり、スロットル開度が急速度で大きく変わる、エンジン10の急加速時や急減速時等には、ECU54は点火時期SAを補正するようにしている。この制御について、図2のフローチャートに基づいて説明する。ただし、図2のフローチャートは、所定時間毎、例えばおよそ20ms毎に繰り返されるものである。なお、上述の如く、通常の点火時期制御およびスロットル開度制御が行われている状態の下、ECU54は、それらの通常の制御とは別に、図2のフローチャートにしたがって点火時期の補正制御を行う。
まず、ECU54は、ステップS201で、吸気バルブ34の開期間の一部と、排気バルブ42の開期間の一部とが重なる、バルブオーバーラップが生じる運転状態か否かを判定する。これは、運転状態に基づいて、不図示のマップ化されたデータを検索することで行われる。そして、否定されると当該ルーチンは終了される。他方、肯定されると、ステップS203へ進む。なお、このステップS201での判定は、バルブオーバーラップが生じるか否かを判定することに対応する。
ステップS203では、現在のスロットル開度(実スロットル開度)TAが検出される。これは、スロットルポジションセンサ62からの出力信号に基づいて導出される。
次いで、ステップS205では、要求スロットル開度TAが導出される。これは、アクセルポジションセンサ64からの出力信号に基づいて求められるアクセル開度に対応した値である。より具体的には、予めROMに記憶されている、アクセル開度と要求スロットル開度TAとの関係を定めたマップ化されたデータを検索することで、現在のアクセル開度に対応した要求スロットル開度TAが求められる。
そして、ステップS207で、要求スロットル開度TAと現在のスロットル開度TAとの差の大きさ(|TA−TA|)が所定量εを超えるか否かが判定される。なお、このステップS207での判定は、要求スロットル開度が過渡的に変化したか否かの判定に対応する。ステップS203で求められた現在のスロットル開度TAと、ステップS205で求められた要求スロットル開度TAとの差の絶対値が、すなわち現在のスロットル開度TAを基準にした要求スロットル開度TAのずれ幅の値(|TA−TA|)が所定量εと比較される。ただし、所定量εは、所望の内部EGR量を得ることが難しくなる大きさの、要求スロットル開度TAと現在のスロットル開度TAとの差であり、予め実験により求められてROMに記憶されている。そして、それが所定量εを超えていないと判定されて否定されるに至ると、当該ルーチンは終了される。他方、ステップS207の判定で肯定されるに至ると、ステップS209へ進む。なお、ステップS207で肯定されるということは、本発明に従い点火時期SAを補正しなければ、バルブオーバーラップにより適切なEGR量を確保することが出来ないということを意味している。
ステップS209へ進むと、ステップS205で求められた要求スロットル開度TAと、ステップS203で検出された現在のスロットル開度TAとの差(TA−TA)が「0」を超えているのか否か、すなわち正であるのか否かが判定される。この判定は、要求スロットル開度TAが、現在のスロットル開度TAに対して、その開度が大きくなる方向に変化することを要求するものか否かを判定するものである。さらに換言すると、この判定は、要求スロットル開度TAが増大したときか否かを判定することに対応している。
なお、上記ステップS207および上記ステップS209の判定は、両者で、要求スロットル開度TAと現在のスロットル開度TAとの差が所定量を越えるか否かの判定に対応する。より詳細には、要求スロットル開度TAと現在のスロットル開度TAとの差(TA−TA)が正か負かの判定を行い、さらに加えて、それが正のときには所定量「ε」を正側へ越えるか否かの判定を行い、他方、それが負のときには所定量「−ε」を負側へ越えるか否かの判定を行うことに対応する。すなわち、これらの判定は、要求スロットル開度TAが過渡的に増大したときであるのか、それが過渡的に減少したときであるのか、あるいはそれが過渡的に変化しないのか、のいずれであるのかを判別する判定に対応する。
ステップS209で要求スロットル開度TAと現在のスロットル開度TAとの差が「0」を超えているとして肯定されるに至ると、ステップS211へ進み、運転状態に基づく点火時期SAが導出される。そして次ぐステップS213でそのステップS211で求められた点火時期SAが所定の遅角量ΔSA分、補正される。これにより、ステップS207およびステップS209での判定時以降直ぐの、最初の点火時期SAが遅角補正され、遅角された点火時期SAで点火が行われることになる。なお、この所定の遅角量ΔSAは、予め実験により求められてROMに記憶されている。好ましくは、この補正により、圧縮上死点後、数°の所定の時期にまで、点火時期SAは遅角される。ただし、ステップS213での点火時期SAの遅角補正は、ステップS209で肯定された後、最初の点火時期のみに適用される。したがって、さらにその次の点火時期SAは、ステップS213での遅角補正が行われない、運転状態に基づいて上記の如く通常求められる点火時期SAになる。
他方、ステップS209で否定されるに至ると、ステップS215へ進み、上記ステップS211と同様にして、点火時期SAが導出される。そして、次ぐステップS217でその点火時期SAが所定の遅角量ΔSA分、ステップS215とは逆向きに、すなわち進角側に補正される。これにより、ステップS207およびステップS209での判定時以降直ぐの、最初の点火時期SAが進角補正され、この進角された点火時期SAで点火が行われることになる。ただし、ステップS217での点火時期SAの進角補正は、ステップS209で否定された後、最初の点火時期のみに適用される。したがって、さらにその次の点火時期SAは、ステップS217での進角補正が行われない、運転状態に基づいて上記の如く通常求められる点火時期SAになる。
次に、このような制御による効果等について、詳述する。まず、上記第1実施形態の制御を行わない場合について図3の概念図に基づいて説明する。次に、上記第1実施形態の制御を行った場合について図4の概念図に基づいて説明する。
上記第1実施形態の制御を行わない場合について説明する。ECU54が吸気バルブ34の開期間の一部と排気バルブ42の開期間の一部とがオーバーラップするように動弁機構を制御している運転状態において、時刻tc1で、アクセルペダル28が急激に踏み込まれると、スロットル開度TAが急激に大きくなるようにスロットルバルブ24の開度が制御される(図3(a)参照)。そして、スロットル開度が急激に大きくなったことに伴って、吸気圧PIMが上昇する(図3(b)参照)。そして、この吸気圧PIMに対応する量の空気が吸気行程で燃焼室40に吸入され、この吸入された空気を用いて混合気が形成される。この混合気の燃焼により生じた排気ガスが、排気行程で排出され、排気圧PEMが上昇し始める(図3(c)参照)。したがって、吸気圧PIMが上昇し始めてから、排気圧PEMが上昇し始めるまで、1サイクル分の時間Δtが必要になる。すなわち、吸気圧PIMが上昇し始めても、直ぐには排気圧PEMは上昇し始めず、1サイクル分の時間Δt経過後に、排気圧PEMが上昇し始めることになる。したがって、吸気圧PIMが上昇し始めた後、最初のバルブオーバーラップでは、そのときの吸気圧PIMと排気圧PEMとの差圧の変動が大きくなり、図3(d)に示すように例えば吸気圧PIMと排気圧PEMとの差圧が一時的に急激に低下(アンダーシュート)する。その結果、そのときのバルブオーバーラップにより得られる内部EGR量rは、それに対応してアンダーシュートすることになる(図3(e)参照)。それ故、運転状態に対応した所望の内部EGR量rを得続けることは出来ず、排気エミッションが一時的に悪化することになる。
これに対して、上記第1実施形態の制御を行うことで、そのようなときでも所望量の内部EGR量rを適切に得ることが可能になる。この場合について説明する。なお、図4の点線で表した曲線は本発明を適用しない場合に関するものである。ECU54が吸排気バルブ34、42の開期間の一部がオーバーラップするように動弁機構を制御している運転状態において、時刻tc2で、アクセルペダル28が急激に踏み込まれると、スロットル開度TAが急激に大きくなるようにスロットルバルブ24の開度が制御される(図4(a)参照)。そして、スロットル開度が急激に大きくなったことに伴って、吸気圧PIMが上昇する(図4(b)参照)。他方、スロットル開度TAが急激に大きくなるときは、その時刻tc2直後の最初の点火時期SA、すなわち、急加速要求の要求スロットル開度TAに概ね一致したスロットル開度TAに基づく量の空気が燃焼室40に吸入される前の吸気行程で、燃焼室40に吸入されている空気を含む混合気の点火時期SAが遅角される。つまり、このときは上記ステップS207およびS209で肯定されるときであるので、ステップS213で点火時期SAが所定の遅角量ΔSA分、遅角補正され、それが次の最初の点火時期SAとして採用されることになる(図4(c)参照)。これにより、混合気の後燃えが促され、例えば排気通路44でのその一部燃焼が生じるなどして、時刻tc2の直後に排気圧PEMが上昇し始める(図4(d)参照)。したがって、上記の如く、スロットル開度TAが変更されたことで吸気圧PIMが上昇するとき、燃焼室40から排出される排気圧PEMも上昇することになり、高い排気圧PEMが得られる排気行程と、高い吸気圧PIMに基づき吸気が行われる吸気行程とが一つのバルブオーバーラップで重なることになる。すなわち、図4(e)に示すように燃焼室40を挟んでの排気圧PEMと吸気圧PIMとの差圧は、アンダーシュートすることなく、アクセル開度の変化に対応して滑らかに変化することになる。その結果、内部EGR量rにアンダーシュートが生じるのを防止することが可能になる(図4(f)参照)。すなわち、そのときのバルブオーバーラップにより所望の内部EGR量rを得ることが可能になる。
なお、上記では、図3および図4に基づいて、例えば急加速など要求スロットル開度TAが過渡的に増大した場合について概念的に説明したが、例えば急減速など要求スロットル開度TAが過渡的に減少した場合でも同様である。ただし、この場合には、要求スロットル開度TAに基づきスロットル開度TAが小さくなることに対応して吸気圧PIMが低下するので、これに対応して排気圧PEMを下げるように点火時期SAが進角補正される。この結果、内部EGR量rにオーバーシュートが生じることを防ぐことが可能になり、所望の内部EGR量を得ることが可能になる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本第2実施形態では、上記第1実施形態の如く、過渡運転要求があったときに、その時点での運転状態に基づいて定められる点火時期SAを、要求スロットル開度TAに基づいて所定量ΔSAだけ遅角あるいは進角させる補正制御を行うのみならず、吸気通路14に設けられたスロットルバルブ24の開度をその要求スロットル開度TAに対応するように操作する時期をも制御する。以下に詳述する。
ただし、本第2実施形態が適用された車両のエンジンシステムは、上記第1実施形態のと概ね同じであるので、同じ構成要素に同じ符号を付して、ここでの重複する説明を省略する。なお、本第2実施形態のエンジン10は、ポート噴射形式の火花点火式内燃機関であり、且つ、直列4気筒の内燃機関である。
第2実施形態での制御について、図2および図5のフローチャートに基づいて説明する。ただし、図2および図5のフローチャートは、それぞれ所定時間毎、例えばおよそ20ms毎に繰り返されるものである。
通常の点火時期制御およびスロットル開度制御等を上記の如く行っているECU54は、要求スロットル開度TAとスロットル開度TAとの差が所定量±εを正にあるいは負に越えるとき、その直後の全ての気筒の各々の最初の点火時期SAを遅角補正あるいは進角補正する。この説明は、上記第1実施形態で図2に基づいて説明した通りであるので、ここでの重複する説明は省略する。
このような点火時期SAの補正制御と連動するように、ECU54は、現在のスロットル開度TAが要求スロットル開度TAに一致するようにそれを変える変更時期を制御する。ECU54は、上記ステップS201と同様にステップS501で、バルブオーバーラップが生じる運転状態か否かを判定する。そして、ここで否定されると、当該ルーチンは終了する。他方、肯定されるとステップS503へ進み、上記ステップS203と同様に現在のスロットル開度TAが検出され、次ぐステップS505で上記ステップS205と同様に要求スロットル開度TAが導出される。そして、上記S207と同様に、ステップS507で要求スロットル開度TAと現在のスロットル開度TAとの差の大きさ(|TA−TA|)が所定量εを超えるか否かが判定される。そして、それが所定量を超えていないと判定されて否定されるに至ると、当該ルーチンは終了される。他方、ステップS507の判定で肯定されるに至ると、ステップS509へ進む。
なお、スロットル開度の変更時期を制御する上では、要求スロットル開度TAと現在のスロットル開度TAとの差が所定量εを越えるか否かの判定は、要求スロットル開度TAと現在のスロットル開度TAとの差が、正のときには所定量「ε」を正側へ越えるか否かの判定および、それが負のときには所定量「−ε」を負側へ越えるか否かの判定で足りる。したがって、上記ステップS209の如きステップは、図5のフローチャートでは設けられない。
ステップS509では、スロットルバルブ24の開度変更の制御時期が変更される。これにより、ステップS507での判定時以降に最初の点火時期SAが最初に出現する、制御上対象となる一の気筒(以下、「対象気筒」)において、最初の点火時期SA以降の最初の吸気行程の開始時に、その対象気筒の吸気ポート22の吸気圧が要求スロットル開度TAに対応した吸気圧に達するように、スロットルバルブ24の開度変更が遅らされて開始される。ただし、ここでいうところの対象気筒の吸気ポート22の圧力とは、吸気ポート22の最下流点の圧力であるのが良い。こうすることで、その最初の点火時期SA以降の最初の吸気行程の開始時に、要求スロットル開度TAに対応した吸気圧に応じた量の空気が燃焼室40に吸入され始めることになる。ただし、ここでのスロットルバルブ24の開度変更は、過渡運転時でない通常の運転時と同様に、スロットルアクチュエータ30による最速且つ適切なスピードで行われる。なお、通常の運転時、スロットル開度TAは、要求スロットル開度TAに追従するようにアクセル開度の変化に対応して直ぐに制御される。
これら本第2実施形態における点火時期の補正制御およびスロットル開度変更時期の変更制御について、図6の概念図に基づいてさらに説明する。図6では、吸気バルブ34の開期間すなわち吸気行程IN、および排気バルブ42の開期間すなわち排気行程EX、並びに点火時期SAのみを気筒ごとに時間の流れにしたがって表し、それらを並べて表している。ただし、上記の如くエンジン10は直列4気筒の内燃機関であり、その一端の気筒26を#1で指し、他端の気筒26までの各気筒を、順に、#2、#3、#4で指し示している。図6では、吸気バルブ34の開期間および排気バルブ42の開期間のぞれぞれの一部がオーバーラップするように描かれていて、図6に基づく以下の説明では、そのように動弁機構が制御される運転状態にあることを前提にする。なお、図6中、上記制御により補正された点火時期SAを黒丸で表していて、スロットル開度を変更したり、あるいは点火時期SAを補正したりすることで影響を受けた吸気圧あるいは排気圧と関係のある吸気行程IN−7、8、9、10、11、12、13あるいは排気行程EX−7、8、9、10、11、12、13、14にハッチングを施している。
図6に示す時刻t1で、要求スロットル開度TAが導出され(ステップS205およびステップS505)、それの現実のスロットル開度TAとの差が所定量εよりも大きいと判定されると(ステップS207およびステップS209で肯定、並びにステップS507で肯定)、制御上対象となる一の対象気筒が定められる。図6から明らかなように、その判定時以降に最初の点火時期SAが最初に出現する対象気筒は、#4の気筒26であり、この気筒が対象気筒になる。そして、図2に基づいて既に説明したように、その直後の最初の点火時期SA−3がまず補正される。この場合、要求スロットル開度TAが現実のスロットル開度TAよりも大きいので、最初の点火時期SA−3は遅角補正される(ステップS213)。そして、それに続いて到来する他の気筒の(最初の)点火時期SA−4、5、6も同様に遅角補正される。したがって、排気行程EX−7、8、9、10で排出される排気ガスによる排気圧PEMは上昇することになる。ただし、それ以後の各気筒の点火時期SA−7、8、9、10・・・は遅角補正されない。
他方、時刻t1での判定から、最初の点火時期SA−3以降の、対象気筒の最初の吸気行程IN−7の開始時t2に、その対象気筒(#4の気筒)の吸気ポート22の吸気圧が要求スロットル開度TAに対応した吸気圧に達するように、スロットルバルブ24の開度変更が開始される。このときのスロットル開度TAの変更は、上記の如く、スロットルアクチュエータ30に許容される最速で且つ最適なスピードで行われるので、要求スロットル開度TAが導出されてから、スロットル開度変更が開始されるまで、概ねスロットルバルブ24の動きが中断されることになる。時刻t2でその対象気筒の吸気ポート22の吸気圧が要求スロットル開度TAに対応した吸気圧に達するように、スロットルバルブ24の開度変更が行われる結果、吸気行程IN−7、8、9、10では要求スロットル開度TAに見合った吸気圧の量の空気が得られる。
このようにすることで、点火時期SAの遅角補正により排気圧の上昇を生じさせることができる排気行程EX−7、8、9、10と、スロットル開度TAの変更制御により吸気圧の上昇が生じ始め、これに対応した量の空気が得られる吸気行程IN−7、8、9、10との一部が互いに重なり、オーバーラップするようになる。したがって、要求スロットル開度TAが過渡的に変化し、スロットルバルブ24の開度が急激に変更される過渡運転時でも、より的確に、適切な内部EGR量を得ることが可能になる。なお、排気行程EX−11、12、13、14などのときの排気圧の上昇は、スロットル開度TAの変更により上昇した吸気圧に対応して吸入空気量が増加したことに伴うものである。
なお、本第2実施形態の上記説明では、スロットル開度が大きくなる、例えば急加速など要求スロットル開度TAが過渡的に増大した場合について概念的に説明したが、例えば急減速など要求スロットル開度TAが過渡的に減少した場合でも同様である。ただし、この場合には、スロットル開度TAが小さくなることに対応して吸気圧PIMが低下するので、これに対応して排気圧PEMを下げるように点火時期SAが進角補正される。この結果、内部EGR量rにオーバーシュートが生じることを防ぐことが可能になる。なお、スロットル開度の変更制御を行うタイミングの変更は、要求スロットル開度TAが過渡的に減少した場合でも、要求スロットル開度TAが過渡的に増大した場合でも、同じである(図5参照)。
以上、本発明を上記第1および第2実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されない。上記第1および第2実施形態では、点火遅角量あるいは点火進角量の大きさを単に同じにして定数としたが、これを変数としても良い。例えば、要求スロットル開度に基づいて、より具体的には現在のスロットル開度と要求スロットル開度との差の大きさに基づいて、その差の大きさが大きければ大きいほど、補正量が大きくなるようにしても良い。なお、補正された点火時期を補正しない点火時期に戻すときには、上記では一気に戻すようにしたが、段階的に戻すようにしても良い。また、上記第2実施形態では、本発明が適用される内燃機関を、直列4気筒の内燃機関としたが、上記第1および第2実施形態など本発明が適用される内燃機関の気筒数、気筒配列などはこれ以外であっても良い。そして、上記では、内燃機関をポート噴射形式の内燃機関としたが、筒内噴射形式など各種形式の火花点火式内燃機関に本発明は適用され得る。
なお、上記第1および第2実施形態では吸排気バルブ34、42を電磁駆動弁としたが、それ以外であっても良い。例えば、吸排気バルブ34、42のいずれかまたは両方は、クランクシャフトの回転と同期して、タイミングベルトによって回転駆動されるカムシャフトを備える動弁機構(VVT)により、開閉駆動されるようにしても良い。
なお、上記第1および第2実施形態では、過渡運転時の吸気圧と排気圧との上昇タイミング、あるいは上昇開始タイミングを適合させるべく、点火時期を進角補正あるいは遅角補正し、さらに好ましくはスロットル開度の変更時期を調節制御するようにしたが、これ以外のことが行われても良い。例えばそのためにバルブオーバーラップの期間を調節するようにしても良い。
なお、上記実施形態では、本発明をある程度の具体性をもって説明したが、本発明については、特許請求の範囲に記載された発明の精神や範囲から離れることなしに、さまざまな改変や変更が可能であることは理解されなければならない。すなわち、本発明は特許請求の範囲およびその等価物の範囲および趣旨に含まれる修正および変更を包含するものである。
第1実施形態の内燃機関の制御装置が適用された車両のエンジンシステムの概念図である。 第1実施形態の点火時期補正用の制御フローチャートの一例である。 第1実施形態の制御を行わない場合について説明するための説明図である。 第1実施形態の制御を行った場合について説明するための説明図である。 第2実施形態のスロットル開度変更時期制御用の制御フローチャートの一例である。 第2実施形態の点火時期の補正制御およびスロットル開度の変更時期の変更制御について説明するための図である。
符号の説明
10 エンジン
14 吸気通路
24 スロットルバルブ
28 アクセルペダル
30 スロットルアクチュエータ
32 燃料噴射弁
34 吸気バルブ
38 点火プラグ
42 排気バルブ
44 排気通路

Claims (4)

  1. 吸気バルブの開期間の一部と排気バルブの開期間の一部とをオーバーラップさせるバルブオーバーラップ制御を行う内燃機関の制御装置であって、
    前記バルブオーバーラップが生じるか否かを判定するバルブオーバーラップ判定手段と、
    所定の点火時期で燃焼室の混合気に点火する点火手段と、
    前記燃焼室に吸入される空気の量を調整するためのスロットルバルブと、
    前記スロットルバルブの開度の目標値である要求スロットル開度を導出する要求スロットル開度導出手段と、
    前記要求スロットル開度が過渡的に変化したか否かを判定する要求スロットル開度判定手段と、
    前記バルブオーバーラップ判定手段により前記バルブオーバーラップが生じると判定され、且つ、前記要求スロットル開度判定手段により前記要求スロットル開度が過渡的に変化したと判定されたとき、その判定時以降の最初の点火時期を前記要求スロットル開度に基づいて補正する補正手段と、
    前記スロットルバルブの開度を、前記要求スロットル開度導出手段により導出された前記要求スロットル開度に制御するスロットル開度制御手段と
    を備え
    前記内燃機関は、多気筒内燃機関であり、
    該スロットル開度制御手段は、前記バルブオーバーラップ判定手段により前記バルブオーバーラップが生じると判定され、且つ、前記要求スロットル開度判定手段により前記要求スロットル開度が過渡的に変化したと判定されたとき、その判定時以降に前記最初の点火時期が最初に出現する、制御上対象となる一の対象気筒において、該最初の点火時期以降の最初の吸気行程の開始時に、該対象気筒の吸気ポートの吸気圧が前記要求スロットル開度に対応した吸気圧に達するように、前記スロットルバルブの開度変更を遅らせて開始する、
    ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記補正手段は、前記要求スロットル開度が過渡的に増大したとき、前記最初の点火時期を遅角補正することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記補正手段は、前記要求スロットル開度が過渡的に減少したとき、前記最初の点火時期を進角補正することを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関の制御装置。
  4. 前記対象気筒の前記吸気ポートの吸気圧は、前記吸気ポートの最下流点の圧力であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
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