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JP4904199B2 - 光並列演算素子 - Google Patents
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Description

本発明は、光並列演算時に互いの光情報を組み入れることで、より高性能な並列演算をより高速に行うための光並列演算素子に関する。
近年の情報処理装置の高速化・高性能化の要求に伴い、演算処理の並列化が要求されている。このため、デジタル演算処理回路が複数組み込まれた並列演算素子が提供されているが、アナログ情報に関しては個々の信号を毎回デジタル信号に変換した後に並列デジタル演算を行わなければならない。そのために、演算処理の高速化には複数のアナログ信号をアナログのまま一度に並列に演算できる演算素子が必要となってくる。
従来のアナログ演算素子において、単一の回路のものはオペアンプのような従来の半導体素子を用い、複数の回路では、まずアナログ信号をデジタル信号に変換して、その後、複数のデジタル信号を演算処理していた。そのため、複数のアナログ信号のアナログ演算を並列に行うには、入力回路数と同数のアナログ−デジタル変換回路が必要となってしまう。しかも、回路数が多くなればなるほど複数のアナログ−デジタル変換回路同士の同期を取ることが難しくなるといった問題も生じてしまう。
一方、光を用いて演算を行う素子が提案されている。図5に従来の光演算素子の構成を模式的に断面図で示す。この光演算素子は、二次元配列した複数の光学セル51を備え、それぞれの光学セル51は、隔壁52と底部53よりなる区画に、光の情報を受けたときに応答する光応答性物質54を収容している。各光学セル51には演算光照射装置55により所定波長の光56が照射し、光56が照射された光学セル51内の光応答性物質54は光応答性を示し、その状態を検出することにより、演算が行われるようになっている。
しかしながら、このような従来の光演算素子は、演算の並列化を行う場合、それぞれ独立した光学セル51によって行われており、並列演算中は隣接した光学セル51同士の間での情報の遣り取りは行われていない。もし、隣り合った光学セル51同士の演算が必要な場合には、並列演算を一旦止めて、光学セル51同士の演算を行い、その後、並列演算を再開するといった作業を行っていた。
従って、光学セル51間の情報の遣り取りが多くなればなるほど、複数の光学セル51による並列演算の演算速度が低下してしまうといった問題を生じていた。並列演算には、並列演算を行う前処理にデータの並び替え等の処理が必要なため、場合によっては単独の光学セル51による演算の方が早くなるといった問題も生じてしまう。
F. Bos, Appl. Optics, vol.20, No.20, 3553 (1981) G. T. Kovacs, N. I. Maluf and K. E. Peterson, "Bulk Micromachining of Silicon", Proceedings of the IEEE, vol. 86, No.8, 1536 (1998)
本発明は、このような従来技術の問題点を解決するためのなされたもので、より高性能な並列演算をより高速に行うことができる光並列演算素子を提供することを課題とする。
本発明は、上記課題を解決するため、第1には、互いに隣接して設けられる複数の光学セルを有し、各光学セルは、上部に光の入射部を有するとともに、光透過性隔壁と底部で区画化された空間に、光の情報を受けたときに応答する光応答性物質を収容し、底部には上方から入射した光を反射して光透過性隔壁を介して隣接した光学セルに導くためのミラーが設けられ、前記光応答性物質は、第1の特定波長の光のみを照射したときには基底状態から励起状態に励起した後第2の特定波長の光を発光しながら基底状態に失活し、第1の特定波長の光と第2の特定波長の光を同時に照射したときには誘導放出により第2の特定波長の強い光を発光するものであり、各光学セルへの光照射を制御し、隣接する光学セルとの光の遣り取りを行うことにより、両光学セル間のアナログ演算を行うことを特徴とする光並列演算素子を提供する。
第2には、上記第1の発明において、光応答性物質がレーザー色素であることを特徴とする光並列演算素子を提供する。
第3には、上記第1又は第2の発明において、各光学セルの形状が平面視正方形状であり、底部の形状が四角錐状であることを特徴とする光並列演算素子を提供する。
第4には、上記第1又は第2の発明において、各光学セルの形状が平面視正三角形状であり、底部の形状が三角錐状であることを特徴とする光並列演算素子を提供する。
第5には、上記第1又は第2の発明において、各光学セルの形状が平面視正六角形状であり、底部の形状が六角錐状であることを特徴とする光並列演算素子を提供する。
本発明によれば、光学セル内にミラーと光透過性の隔壁を備えたことで、隣接光学セルからの情報を足し合わせることが可能になったため、より高性能な並列演算をより高速に行う演算素子を実現でき、係るアナログ演算装置の性能向上に寄与するところが大きい。
以下、本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の光並列演算素子における光学セルの構成を模式的に示す断面図、図2は、本発明の光並列演算素子の原理説明図である。
光学セル11は、隔壁12と底部13で区画化された空間を有し、その空間に光の情報を受けたときに応答する光応答性物質14が収容されている。隔壁12には光透過性の光学窓15が設けられている。なお、隔壁12自体を光透過性材料で形成してもよい。また、底部13は図示のように断面が三角形状となっており、その2辺に相当する部分に図示のようにミラー16が形成されている。このミラー16は隣接する光学セル11に自身の光の情報を伝えるために設けられる。光学セル11の上側は開口するように記載されているが、装置化にあたっては光応答性物質14を密閉した構造とする。この密閉化は、光透過性材料でふたをする方法で行ってもよく、カプセル化してもよい。光学セル11内の光応答性物質14は上側から光の照射が行えるようになっている。なお、ここで上側とは、図面に示してある方向を指し、実際の使用にあたっては任意の方向を向いていてよい。光学セル11の材料としては、例えば石英、シリコン、アルミナ等を用いることができる。また、光学窓15の材料としては、例えば石英、ガラス、窒化シリコン、酸化シリコン等を用いることができる。光学窓15は、例えば、酸化シリコンの窓とする場合、シリコン材にマイクロマシーン技術で平面視四角形状の複数の穴を掘り、隣接した穴の間の壁の厚みを数ミクロンとし、酸化炉でシリコンを酸化する手法で形成することができる。また、光透過性材料で作られた壁を接着する手法を用いてもよい。ミラー16の材料としては、例えば金、アルミニウム等を用いることができる。各光学セル11の形成は、例えばマイクロマシーン技術を用いて行うことができる。
光応答性物質14としては、第1の特定波長Wの光のみを照射したときには基底状態から励起状態に励起した後第2の特定波長の光Wを発光しながら基底状態に失活し、第1の特定波長Wの光と第2の特定波長Wの光を同時に照射したときには誘導放出により第2の特定波長Wの強い光を発光するものを用いる。このような光応答性物質14としては、上記のような性質のものであれば各種の材料を用いることができるが、特にBenzoic Acid, 2-[6-(ethylamino)-3-(ethylimino)-2,7-dimethyl-3H-xanthen-9-yl]-ethyl ester, monohydrochloride (以下、Rhodamine6Gと略す。)、o-(6-Amino-3-imino-3H-xanthen-9-yl)-benzoic acid (通称Rhodamine 110)等のレーザー色素が好ましく使用できる。これらの色素はエタノール、メタノール等のアルコール等やジメチルスルホキシド等の溶媒に溶解させて使用する。この光応答性物質14は光の照射により分子の電子状態が変化して、光応答性を示すもので、ここでは強度の異なる光の発光を利用する。
演算動作について述べると、まず図2(a)の上図に示すように、光学セルA(11)の光応答性物質14に波長Wの光のみを照射する。ここで、波長Wの強度は、光応答性物質14により波長Wの光を発光するものの誘導放出を起こさない大きさに設定する。このとき、光学セルA(11)の変化は非常に小さく、一定時間後には図2(a)の下図のような状態となる。
一方、波長Wの光を光学セルA(11)の光応答性物質14に照射した状態で、光学セルA(11)に隣接する光学セルB(11)の光応答性物質14に波長Wの光を照射すると、この光は光学セルB(11)のミラー16に反射して光学セルA(11)内の光応答性物質14に照射される。すると、波長Wと波長Wの光が同時に照射されたことにより、光学セルA(11)内の光応答性物質14の状態は大きく変化する。すなわち、光学セルA(11)内の光応答性物質14は波長Wの光が隣接した光学セルB(11)から光学窓15を通して照射されるため、光学セルA(11)内で励起した光応答性物質14に対して誘導放出が起こり、波長Wの強い光が発光されることになる。この現象の結果生じた強い光を隣接する光学セルB(11)と光学セルA(11)との演算結果とする。従って、隣接する光学セルに情報が同時に入力された場合に起る光応答性物質14の変化を利用することで、複数の入力情報による演算が可能になる。また、光の強度に応じた演算結果となるため、アナログ演算を実現できる。
以上、本発明の光並列演算素子の原理を2つの光学セルを用いた場合を例に説明してきたが、もちろん、本発明では、多数の光学セルを二次元配列した素子構成とすることができる。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
図3は本発明の実施例に係る光並列演算素子の構成を模式的に示す断面図である。図3の光並列演算素子は4つの光学セル31を有しているが、これは例示のためであり、実際には所要数の光学セルを二次元配列させたものとすることができる。
光学セル31は石英を半導体微細加工して図3のように隔壁32と底部33で区画化された空間を形成した。隔壁32は隣接する光学セル31の間を光が通過するように光学窓35となるようにした。断面が三角形の底部33には金を蒸着してミラー36を設けた。このミラー36は、上方から入ってきた光を、隔壁32の光学窓34を通して隣接する光学セル31に向かって反射するように形成した。光学セル31内には光応答性物質34として、Rhodamine6Gのメタノール溶液を入れた。
次に、図4の実施例の原理説明図を用いて、この光並列演算素子の動作について説明する。図4(a)に示すように、光学セルA(31)の光応答物質(Rhodamine6G)14に波長308nmの光のみを照射すると、励起状態に励起し、その後、556nmの光を発光しながら失活した。図4(b)に示すように、光学セルA(31)に対して波長308nmの光を照射すると同時に、隣接する光学セル31から波長556nmの光を入射させると、この隣接光学セル31に照射された波長556nmの光が隣接光学セル31内のミラー36によって光学セルA(31)に向かって反射される。この時、光学セルA(31)内で励起したRhodamine6Gに対して誘導放出が起こり、Rhodamine6Gが波長556nmの強い光を発光した。この一連の現象の結果に生じた強い光を隣接する光学セル31と光学セルA(31)との演算結果とする。この演算結果は光学セル31から出力された強い光を受光することにより得ることができる。
以上、本発明を実施形態及び実施例に基づいて説明してきたが、本発明は上記実施形態及び実施例に限定されるものではなく、種々の変形、変更が可能である。
例えば、上記では、各光学セルの形状が平面視正方形状であり、底部の形状が四角錐状である場合を例に述べたが、各光学セルは、その形状が平面視正三角形状であり、底部の形状が三角錐状であるものとして、これらを細密に配置してもよく、また、その形状を平面視正六角形状とし、底部の形状が六角錐状として、これらを蜂の巣状に配置してもよい。これらは、各光学セルの形成にマイクロマシーン技術を使用した場合、リソグラフィーのマスクのパターンを変えるだけで作製することができる。
また、本発明では、各光学セルの底部の形状は上部が平らとなっていてもよい。
本発明は、隣接する光学セルへの情報の加算が可能であることから、拡散現象の計算や、画像処理等のための演算等への利用が期待される。
本発明の光並列演算素子における光学セルの構成を模式的に示す断面図である。 本発明の光並列演算素子の原理説明図である。 本発明の実施例に係る光並列演算素子の構成を模式的に示す図である。 本発明の実施例に係る光並列演算素子の原理説明図である。 従来の光演算素子の構成を模式的に示す断面図である。
符号の説明
11、31 光学セル
12、32 隔壁
13、33 底部
14、34 光応答性物質
15、35 光学窓
16、36 ミラー

Claims (5)

  1. 互いに隣接して設けられる複数の光学セルを有し、
    各光学セルは、上部に光の入射部を有するとともに、光透過性隔壁と底部で区画化された空間に、光の情報を受けたときに応答する光応答性物質を収容し、底部には上方から入射した光を反射して光透過性隔壁を介して隣接した光学セルに導くためのミラーが設けられ、
    前記光応答性物質は、第1の特定波長の光のみを照射したときには基底状態から励起状態に励起した後第2の特定波長の光を発光しながら基底状態に失活し、第1の特定波長の光と第2の特定波長の光を同時に照射したときには誘導放出により第2の特定波長の強い光を発光するものであり、
    各光学セルへの光照射を制御し、隣接する光学セルとの光の遣り取りを行うことにより、両光学セル間のアナログ演算を行うことを特徴とする光並列演算素子。
  2. 光応答性物質がレーザー色素であることを特徴とする請求項1に記載の光並列演算素子。
  3. 各光学セルの形状が平面視正方形状であり、底部の形状が四角錐状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光並列演算素子。
  4. 各光学セルの形状が平面視正三角形状であり、底部の形状が三角錐状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光並列演算素子。
  5. 各光学セルの形状が平面視正六角形状であり、底部の形状が六角錐状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光並列演算素子。
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