JP4905945B2 - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents
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Description
熱可塑性エラストマー組成物としては、従来から種々のものが提案されており、そのなかに、例えば熱可塑性ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、スチレン系重合体、ポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂に対してエチレン−α−オレフィン共重合体を配合した熱可塑性ポリオレフィン系エラストマー組成物が知られている。例えば、特許文献1には、低温での耐衝撃性や透明性の改善を目的として、熱可塑性ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、スチレン系重合体、ポリオレフィンなどの熱可塑材に対して、特定のメルトフロー比、分子量分布(Mw/Mn)および臨界剪断温度を有するエチレン−α−オレフィン共重合体を配合した熱可塑性オレフィン系ポリマー組成物が記載されている。
そして、本発明の目的は、前記した特性と併せて、膠着がなく耐ブロッキング性に優れていて、多量の滑剤を配合しなくても、或いは離型紙を併用しなくても、フィルムやシートなどの成形品を円滑に巻き取ったり巻き戻すことのできる、エチレン−α−オレフィン共重合体をベースとする熱可塑性エラストマー組成物を提供することである。
さらに、本発明の目的は、上記した優れた特性と共に、適度な強度を有し、しかも弾性回復性に優れていて、伸長後の残留歪みの小さい、フィルムやシートなどの成形品を円滑に製造することのできる、エチレン−α−オレフィン共重合体をベースとする熱可塑性エラストマー組成物を提供することである。
そして、本発明は、前記した熱可塑性エラストマー組成物よりなる成形品を提供することである。
エチレン−α−オレフィン共重合体(a);および、
下記の要件(i)〜(iv)を満足する熱可塑性ポリウレタン(b);
(i)数平均分子量が1,500〜5,000のポリエステルジオール、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤の反応により得られる熱可塑性ポリウレタンである;
(ii)窒素原子含有量が2.6重量%以上である;
(iii)示差走査熱量測定(DSC)による吸熱ピークが200〜220℃の温度範囲内にある;並びに、
(iv)示差走査熱量測定(DSC)による200〜220℃の温度範囲内における吸熱ピーク面積より求めた結晶化エンタルピー(ΔH)が2〜15J/gである;
を満足する熱可塑性ポリウレタンである;
を、エチレン−α−オレフィン共重合体(a):熱可塑性ポリウレタン(b)=70:30〜90:10の重量比で含有し、熱可塑性ポリウレタン(b)以外の熱可塑性ポリウレタンをエチレン−α−オレフィン共重合体(a)と熱可塑性ポリウレタン(b)の合計重量に基づいて0〜10重量%の割合で含有する、ポリエチレンを含まない、熱可塑性エラストマー組成物である。
そして、本発明は、上記した熱可塑性エラストマー組成物よりなる成形品である。
さらに、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、膠着がなく耐ブロッキング性に優れているので、多量の滑剤を配合することなく、更には離型紙を併用することなく、本発明の熱可塑性エラストマー組成物を用いて、巻き取りや巻き戻しの容易なフィルムやシートなどの成形品を円滑に製造することができる。
そして、本発明の熱可塑性エラストマー組成物およびそれを用いて得られる成形品は、エチレン−α−オレフィン共重合体が本来有している優れた特性、特に柔軟性、弾性回復性を有し、適度な強度を有しており、伸長後の残留歪みが小さく、熱可塑性エラストマーとして優れた機能を有する。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、上記した優れた諸特性を活かして、広範な用途に有効に使用することができる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物では、エチレン−α−オレフィン共重合体(a)として、エチレンとα−オレフィンとの共重合体のいずれもが使用でき、特に制限されないが、そのうちでも、エチレンと炭素数が4以上のα−オレフィンの共重合体であって且つ該共重合体におけるエチレンに由来する単位(I):炭素数が4以上のα−オレフィンに由来する単位(II)のモル比が55:45〜99:1であるエチレン−α−オレフィン共重合体が好ましく用いられる。エチレン−α−オレフィン共重合体(a)では、前記した単位(I):単位(II)のモル比が、75:25〜95:5であることがより好ましく、85:15〜95:5であることが更に好ましい。そのようなエチレン−α−オレフィン共重合体は、軟化温度が高く、熱可塑性ポリウレタン(b)との均一混合性に優れている。しかも、そのようなエチレン−α−オレフィン共重合体を含有する本発明の熱可塑性エラストマー組成物を押出成形してフィルムやシートなどの成形品を製造した時に、ネッキング現象や割れなどの発生がなく、さらに耐ブロッキング性、弾性回復性、伸縮性に優れる成形品が得られる。
エチレン−α−オレフィン共重合体(a)が、エチレンと炭素数3以下のオレフィン(プロピレン)との共重合体の場合は、そのようなエチレン−α−オレフィン共重合体を熱可塑性ポリウレタン(b)と混合してなる熱可塑性エラストマー組成物、およびそれから得られる成形品の柔軟性、伸長後の弾性回復性が低くなり易い。
なお、本明細書でいうエチレン−α−オレフィン共重合体のメルトインデックスは、ASTM D−1238に準拠して測定した値である。
なお、本明細書でいうショアーA硬度は、ASTM D−2240に準拠して測定した値である。
なお、本明細書でいう密度は、ASTM D−792に準拠して測定した値である。
なお、本明細書でいうムーニー粘度は、ASTM D−1646に準拠して測定した値である。
(i)数平均分子量が1,500〜5,000のポリエステルジオール、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤の反応により得られる熱可塑性ポリウレタンである;
(ii)窒素原子含有量が2.6重量%以上である;
(iii)示差走査熱量測定(DSC)による吸熱ピークが200〜220℃の温度範囲内にある;並びに、
(iv)示差走査熱量測定(DSC)による200〜220℃の温度範囲内における吸熱ピーク面積より求めた結晶化エンタルピー(ΔH)が2〜15J/gである;
を満足するものである。
熱可塑性ポリウレタンの製造に用いられるポリエステルジオールの数平均分子量が1,500未満であると、熱可塑性エラストマー組成物の耐ブロッキング性が低下し膠着を生じ易くなる。一方、該ポリエステルジオールの数平均分子量が5,000を超えると、熱可塑性ポリウレタンの流動性が低下して、エチレン−α−オレフィン共重合体(a)中での分散性が悪くなり、得られる熱可塑性エラストマー組成物の溶融成形性が不良となる。熱可塑性ポリウレタン(b)の製造に用いられるポリエステルジオールは、その数平均分子量が1,800〜4,000の範囲内であることが好ましい。
なお、本明細書でいうポリエステルジオールの数平均分子量は、JIS K−1557に準拠して測定した水酸基価に基づいて算出した数平均分子量である。
また、該ポリエステルジオールはラクトンを開環重合することによっても製造することができる。
そのうちでも、ポリエステルジオールは、炭素数が6〜12の脂肪族ジカルボン酸成分を用いて形成されていることが好ましく、アジピン酸、アゼライン酸および/またはセバシン酸成分を用いて形成されていることがより好ましい。
チタン系重縮合触媒の使用量は特に制限されないが、一般にポリエステルジオールを形成するための反応成分の全量に対して、約0.1〜50ppmの範囲内であることが好ましく、約1〜30ppmの範囲内であることがより好ましい。
そのうちでも、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが好ましく用いられる。
そのような鎖伸長剤の例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−シクロヘキサンジオール、ビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレート、キシリレングリコールなどのジオール類;ヒドラジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、ピペラジンおよびその誘導体、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、アジピン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジドなどのジアミン類;アミノエチルアルコール、アミノプロピルアルコールなどのアミノアルコール類などを挙げることができる。これらの低分子化合物は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。そのうちでも、炭素数2〜10の脂肪族ジオールが好ましく用いられ、1,4−ブタンジオールがより好ましく用いられる。
そのうちでも、実質的に溶剤の存在しない状態で溶融重合を行って熱可塑性ポリウレタン(b)を製造する方法が好ましく採用される。特に、溶剤の不存在下に多軸スクリュー型押出機を用いる連続溶融重合法、またはベルト方式のプレポリマー法を採用して熱可塑性ポリウレタン(b)を製造することがより好ましい。そのようにして得られた熱可塑性ポリウレタン(b)を用いることによって、耐ブロッキング性に優れる熱可塑性エラストマー組成物を得ることができる。
なお、本明細書でいう熱可塑性ポリウレタンの窒素原子含有量は、熱可塑性ポリウレタンの元素分析から求められる窒素原子の含有量である。
窒素原子含有量が2.6重量%以上である熱可塑性ポリウレタン(b)は、熱可塑性ポリウレタン(b)の製造原料であるポリエステルジオール、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤の分子量の調節、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤の種類や使用量の調節などを行うことによって得ることができる。
熱可塑性ポリウレタンの前記吸熱ピークが200℃未満であるか、および/または前記結晶化エンタルピー(ΔH)が2J/g未満であると、そのような熱可塑性ポリウレタンを配合して得られる熱可塑性エラストマー組成物では、溶融成形性および耐ブロッキング性が不良となる。一方、熱可塑性ポリウレタンの前記吸熱ピークが220℃を超えるか、および/または前記結晶化エンタルピー(ΔH)が15J/gを超えると、そのような熱可塑性ポリウレタンを配合して得られる熱可塑性エラストマー組成物は、溶融したときに未溶融物が発生し易くなり、それから得られるフィルムやシートなどの成形品にブツ(フィッシュアイ)を発生し、表面の平滑性が失われて、外観、力学的特性などが不良になり、しかも耐ブロッキング性が低下する。
なお、本明細書における示差走査熱量測定(DSC)による吸熱ピークの温度の具体的な測定法および前記結晶化エンタルピー(ΔH)の求め方については以下の実施例の項で説明するとおりである。
要件(iii)および要件(iv)を満足する熱可塑性ポリウレタン(b)は、限定されるものではないが、例えば、熱可塑性ポリウレタン(b)の製造原料であるポリエステルジオール、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤の分子量調節、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤の種類や使用量の調節などを行うことによって得ることができる。
一方、エチレン−α−オレフィン共重合体(a)と熱可塑性ポリウレタン(b)の合計重量に基づいて、エチレン−α−オレフィン共重合体(a)の含有量が90重量%を超える[熱可塑性ポリウレタン(b)の含有量が10重量%未満である]ような熱可塑性エラストマー組成物の場合は、Tダイ型押出成形機などを使用してフィルムやシート状に押出成形する際に、ネッキング現象が激しくなって、フィルムやシートの幅が狭くなり、その結果フィルムやシートの両端部に生じる厚み斑の範囲が広くなり、その厚い部分をトリミングして得られる製品の幅が極めて狭くなり、歩留りの大幅な低下を生ずる。しかも、熱可塑性エラストマー組成物や成形品の耐ブロッキング性が劣ったものになる。
そのような、他の熱可塑性重合体としては、例えば、上記の要件(i)〜(iv)のうちの1つまたは2つ以上の要件を満たしていない熱可塑性ポリウレタン[すなわち熱可塑性ポリウレタン(b)以外の熱可塑性ポリウレタン]、ポリプロピレンなどのポリオレフィン類(但しポリエチレンを除く)などを挙げることができる。
これらの成分は、エチレン−α−オレフィン共重合体(a)の製造過程もしくは製造後、熱可塑性ポリウレタン(b)の製造過程もしくは製造後、および/または熱可塑性エラストマー組成物の調製時に添加することができる。
他の方法としては、熱可塑性ポリウレタン(b)を製造する際の重合後期に、エチレン−α−オレフィン共重合体(a)、および必要に応じて他の熱可塑性重合体や他の成分を配合して熱可塑性エラストマー組成物を調製してもよい。
限定されるものではないが、例えば押出成形、射出成形、ブロー成形、溶融紡糸などのような溶融を伴う成形や紡糸技術の場合には、一般に、150〜200℃の溶融温度が好ましく採用される。
その上、本発明の熱可塑性エラストマー組成物を用いて得られるフィルム、シート、その他の成形品は、平滑で良好な表面状態を有し、柔軟性、伸縮性、弾性回復性に優れ、伸長後の残留歪みが少なく、引張破断強度や引張破断伸度などに代表される力学的特性に優れ、適度な強度を有している。
さらに、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、前記した用途に限られず、例えば各種コンベアベルト、キーボードシート、各種容器などの用途にも有効に使用できる。
また、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、不織布やその他の繊維質基材との積層体、他の重合体フィルムやシートなどの基材との積層体などの製造にも適しており、それらの積層体は、例えば、本発明の熱可塑性エラストマー組成物を繊維質基材や他の基材上にフィルム状またはシート状に溶融押出することによって容易に得ることができる。
以下の実施例および比較例において、熱可塑性ポリウレタンの窒素原子含有量、対数粘度、示差走査熱量測定(DSC)による吸熱ピーク温度、示差走査熱量測定(DSC)による200〜220℃の温度範囲における吸熱ピーク面積より求めた結晶化エンタルピー(ΔH)、熱可塑性エラストマー組成物の溶融成形性、押出成形時のフィルムの状態(巻き取り容易性)、フィルムの外観、耐ブロッキング性、100%のモジュラス(M100)および残留歪みは、以下の方法により測定または評価した。
元素分析装置(パーキンエルマー社製「240−2型」)を使用して、熱可塑性ポリウレタンの元素分析を行ってその窒素原子含有量(重量%)を求めた。
N,N−ジメチルホルムアミドに熱可塑性ポリウレタンを溶解して濃度0.5g/dlの熱可塑性ポリウレタン溶液を調製し、ウベローデ型粘度計を用いて、前記で調製した熱可塑性ポリウレタン溶液の30℃における流下時間を測定し、下記の数式により熱可塑性ポリウレタンの対数粘度を求めた。
[式中、tは熱可塑性ポリウレタン溶液の流下時間(秒)、t0は溶媒(N,N−ジメチルホルムアミド)の流下時間(秒)、cは熱可塑性ポリウレタンの濃度(0.5g/dl)を示す。]
(3−1) 示差走査熱量計(メトラー社製「DSC30」)を使用し、熱可塑性ポリウレタン約10mgを用いて、窒素ガス雰囲気下に、10℃/分の昇温速度で加熱してその融解エンタルピーを測定して、吸熱ピーク(℃)を求めた。
(3−2) 上記(3−1)における熱可塑性ポリウレタンの融解エンタルピーの測定において、その200〜220℃の温度範囲における吸熱ピーク面積より結晶化エンタルピー(ΔH)(J/g)求めた。
以下の実施例および比較例の熱可塑性エラストマー組成物(熱可塑性エラストマー)を用いて、Tダイ型単軸押出成形機(25mmφ;ダイの有効幅350mm、リップ間隙0.3mm)を使用して、以下の実施例および比較例に記載する条件下に押出成形を行ってフィルムを製造し、Tダイ出口より10cm下流におけるフィルム幅(W2)(mm)を測定し、Tダイの有効幅(W1)(mm)との関係から、下記の数式により押し出されたフィルムのネッキング率(%)を求めて、溶融成形性の指標とした。
フィルムのネッキング率(%)={(W1−W2)/W1}×100
Tダイ型押出成形機から押し出した膜状物を表面温度30℃の冷却ロールに接触させて冷却した後、離型紙を用いずにそのまま約3m/分の巻き取り速度で巻き取ってフィルムを製造した。
巻き取りの最中に、フィルムの状態を目視により観察して、下記の表1に示す基準にしたがって評価した。
上記(5)において、巻き取ったフィルム、また巻き取りが不可能なフィルムにおいては巻き取り機の直前のフィルムの表面状態を目視により観察して、表面が平滑なものを良好(○)、ポリマー間の分散不良などにより表面に凹凸があるものを不良(×)として評価した。
Tダイ型押出成形機から押し出した膜状物を表面温度30℃の冷却ロールに接触させて冷却した後、離型紙を用いずにそのまま約3m/分の巻き取り速度で巻き取ってフィルムを製造した。巻き取ったフィルムを室温で24時間放置した後、手で巻き戻し、その時の抵抗の大小に基づいて下記の表2に示す基準に従って耐ブロッキング性の評価を行った。
Tダイ型押出成形機を用いて製造した厚さ30μmのフィルムから試験片(長さ×幅=20cm×5cm)を採取し、この試験片を用いて、オートグラフ測定装置(島津製作所製「IS−500D」)を使用して、室温下に引張速度300mm/分で伸長して、100%伸長したときのモジュラス(M100)(kgf/cm2)を測定した。
Tダイ型押出成形機を用いて製造した厚さ30μmのフィルムから試験片(長さ×幅=20cm×5cm)を採取し、この試験片を用いて、オートグラフ測定装置(島津製作所製「IS−500D」)を使用して、室温下に引張速度300mm/分で100%伸長し、次に300mm/分の速度で伸長前の位置まで戻し(1サイクル目)、続けて同じ速度で再度100%伸長した後、同じ速度で伸長前の位置まで戻し(2サイクル目)、この時点(2サイクル目)での試験片の長さを測定して、下記の数式からフィルムの残留歪み(%)を求めた。
[式中、L1は伸長する前の試験片の長さ(20cm)、L2は上記2サイクル目の終了後の試験片の長さ(cm)を示す。]
[エチレン−α−オレフィン共重合体(a)]
・POE−A:
エチレン−1−オクテン共重合体[デュポンダウエラストマー(株)製「ENGAGE EG8100」、エチレン単位/1−オクテン単位のモル比=92.7/7.3、メルトインデックス(190℃、2.16kg荷重)=1.0g/10分、ショアーA硬度=75、ムーニー粘度=35.6ML1+4(100℃)]。
・POE−B:
エチレン−1−オクテン共重合体[デュポンダウエラストマー(株)製「ENGAGE EG8150」、エチレン単位/1−オクテン単位のモル比=92.5/7.5、メルトインデックス(190℃、2.16kg荷重)=0.4g/10分、ショアーA硬度=75、ムーニー粘度=52.1ML1+4(100℃)]。
・TPU−A:
3−メチル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸からなるポリエステルジオール(数平均分子量=3,500)/4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート/1,4−ブタンジオールの反応により得た熱可塑性ポリウレタン[窒素原子含有量=3.2重量%、示差走査熱量測定(DSC)による吸熱ピーク温度=204℃、結晶化エンタルピー(ΔH)=3.5J/g、対数粘度=0.75dl/g]。
・TPU−B:
1,4−ブタンジオールと1,6−ヘキサンジオールの混合物(モル比=60:40)とアジピン酸からなるポリエステルジオール(数平均分子量=2,000)/4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート/1,4−ブタンジオールの反応により得た熱可塑性ポリウレタン[窒素原子含有量=3.1重量%、示差走査熱量測定(DSC)による吸熱ピーク温度=206℃、結晶化エンタルピー(ΔH)=5.3J/g、対数粘度=1.01dl/g]。
3−メチル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸からなるポリエステルジオール(数平均分子量=3,500)/4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート/1,4−ブタンジオールの反応により得た熱可塑性ポリウレタン[窒素原子含有量=2.4重量%、示差走査熱量測定(DSC)による吸熱ピーク温度=171℃、結晶化エンタルピー(ΔH)=8.8J/g、対数粘度=1.38dl/g]。
・TPU−D:
1,4−ブタンジオールとアジピン酸からなるポリエステルジオール(数平均分子量=1,000)/4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート/1,4−ブタンジオールの反応により得た熱可塑性ポリウレタン[窒素原子含有量=4.4重量%、示差走査熱量測定(DSC)による吸熱ピーク温度=175℃、結晶化エンタルピー(ΔH)=0J/g、対数粘度=0.90dl/g]。
・TPU−E:
1,9−ノナンジオールと2−メチル−1,8−オクタンジオールの混合物(モル比=65:35)とアジピン酸からなるポリエステルジオール(数平均分子量=2,000)/4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート/1,4−ブタンジオールの反応により得た熱可塑性ポリウレタン[窒素原子含有量=4.3重量%、示差走査熱量測定(DSC)による吸熱ピーク温度=228℃、結晶化エンタルピー(ΔH)=20.5J/g、対数粘度=0.70dl/g]。
(1) 下記の表3に示すように、POE−AとTPU−Aを80重量部:20重量部の割合で予備混合した後、その混合物を単軸押出機に供給して200℃で溶融混練し、ストランド状に押し出し、切断して熱可塑性エラストマー組成物のペレットを製造した。
(2) 上記(1)で得られた熱可塑性エラストマー組成物のペレットを単軸式のTダイ型押出成形機(25mmφ、シリンダー温度180〜200℃、ダイス温度200℃)に供給して溶融混練した後、そのTダイより膜状に押し出し、表面温度30℃の冷却ロールに接触させて冷却した後、離型紙を用いずにそのまま約3m/分の巻き取り速度で巻き取ってフィルムを製造した。
(3) 上記(2)における押出成形時の熱可塑性エラストマー組成物の溶融成形性、フィルムの状態(巻き取り容易性)、得られたフィルムの外観、耐ブロッキング性、100%のモジュラス(M100)および残留歪みを上記した方法により測定または評価したところ、下記の表3に示すとおりであった。
(1) 下記の表3に示すエチレン−α−オレフィン共重合体(a)と熱可塑性ポリウレタンを表3に示す割合で予備混合した後、その混合物を単軸押出機に供給して200℃で溶融混練し、ストランド状に押し出し、切断して熱可塑性エラストマー組成物のペレットを製造した。
(2) 上記(1)で得られた熱可塑性エラストマー組成物のペレットを用いて、実施例1の(2)と同様にして、Tダイ型押出成形機を使用してフィルムを製造した。
(3) 上記(2)における押出成形時の熱可塑性エラストマー組成物の溶融成形性、フィルムの状態(巻き取り容易性)、得られたフィルムの外観、耐ブロッキング性、100%のモジュラス(M100)および残留歪みを上記した方法により測定または評価したところ、下記の表3に示すとおりであった。
(1) 下記の表3に示すエチレン−α−オレフィン共重合体(a)と熱可塑性ポリウレタンを表3に示す割合で予備混合した後、単軸押出機に供給して200℃で溶融混練し、ストランド状に押し出し、切断して熱可塑性エラストマー組成物のペレットを製造した(比較例1〜5)(比較例6はPOE−Aのみを使用)。
(2) 上記(1)で得られた熱可塑性エラストマー組成物のペレット(比較例1〜5)またはエチレン−α−オレフィン共重合体(POE−A)(比較例6)を、単軸式のTダイ型押出成形機(25mmφ、シリンダー温度180〜200℃、ダイス温度200℃)に供給して溶融混練した後、そのTダイより膜状に押し出し、表面温度30℃の冷却ロールに接触させて冷却した後、離型紙を用いずにそのまま約3m/分の巻き取り速度で巻き取ってフィルムを製造した。
(3) 上記(2)における押出成形時の熱可塑性エラストマー組成物の溶融成形性、フィルムの状態(巻き取り容易性)、得られたフィルムの外観、耐ブロッキング性、100%のモジュラス(M100)および残留歪みを上記した方法により測定または評価したところ、下記の表3に示すとおりであった。
そして、実施例5の結果は、エチレン−α−オレフィン共重合体(a)と上記の要件(i)〜(iv)を満足する熱可塑性ポリウレタン(b)を70:30〜90:10の重量比で含有する、ポリエチレンを含まない本発明の熱可塑性エラストマー組成物では、熱可塑性ポリウレタン(b)以外の熱可塑性ポリウレタン(実施例5ではTPU−C)を多少含有していても、その優れた特性は何ら損なわれないことを示している。
しかも、本発明の熱可塑性エラストマー組成物およびそれを用いて得られる成形品は、エチレン−α−オレフィン共重合体が本来有している優れた特性、特に柔軟性、弾性回復性を有し、適度な強度を有しており、伸長後の残留歪みが小さく、熱可塑性エラストマーとして優れた機能を有するので、それらの優れた諸特性を活かして、広範な用途に有効に使用することができる。
Claims (4)
- エチレン−α−オレフィン共重合体(a);および、
下記の要件(i)〜(iv)を満足する熱可塑性ポリウレタン(b);
(i)数平均分子量が1,500〜5,000のポリエステルジオール、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤の反応により得られる熱可塑性ポリウレタンである;
(ii)窒素原子含有量が2.6重量%以上である;
(iii)示差走査熱量測定(DSC)による吸熱ピークが200〜220℃の温度範囲内にある;並びに、
(iv)示差走査熱量測定(DSC)による200〜220℃の温度範囲内における吸熱ピーク面積より求めた結晶化エンタルピー(ΔH)が2〜15J/gである;
を満足する熱可塑性ポリウレタンである;
を、エチレン−α−オレフィン共重合体(a):熱可塑性ポリウレタン(b)=70:30〜90:10の重量比で含有し、熱可塑性ポリウレタン(b)以外の熱可塑性ポリウレタンをエチレン−α−オレフィン共重合体(a)と熱可塑性ポリウレタン(b)の合計重量に基づいて0〜10重量%の割合で含有する、ポリエチレンを含まない、熱可塑性エラストマー組成物。 - エチレン−α−オレフィン共重合体(a)が、エチレンと炭素数が4以上のα−オレフィンの共重合体であって、該共重合体におけるエチレンに由来する単位:該α−オレフィンに由来する単位のモル比が、55:45〜99:1である請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 請求項1または2に記載の熱可塑性エラストマー組成物よりなる成形品。
- フィルムまたはシートである請求項3に記載の成形品。
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