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JP4906053B2 - フォトニック結晶光半導体デバイス - Google Patents
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JP4906053B2 - フォトニック結晶光半導体デバイス - Google Patents

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Description

本発明は、電流注入により動作するフォトニック結晶光半導体デバイスに関するものである。
フォトニック結晶は、半導体などに屈折率が該半導体とは異なる物質を光の波長程度の周期で配列させることにより周期構造を形成したものである。フォトニック結晶においては、周期構造によって起こる光の分布ブラッグ反射により、特定の波長の光はフォトニック結晶中を伝搬することができなくなる。したがって、このような周期構造に適切に設計された欠陥を導入すると、光はその欠陥部に局在することになる。ゆえに、例えば周期構造に点欠陥を導入することにより光共振器が実現でき、線欠陥を導入することにより光導波路が実現できる。
従来のフォトニック結晶に関する研究はパッシブデバイスへの応用に関するものが主流であり、その構造としては、周期的に配列された円孔を有する薄板半導体導波路層を空気クラッドにより挟んだエアブリッジ型と呼ばれる構造をとるものが多い。ところがエアブリッジ型は熱的・機械的に脆く、電流注入は困難であり、アクティブデバイスへの適用は困難であった。一方、空気クラッドの代わりに半導体クラッド層により導波路層を挟んだ半導体クラッド型の構造も検討されている。半導体クラッド型では、エアブリッジ型に比べて導波路層とクラッド層間の屈折率差が小さく、光閉じ込めが弱いため導波路損失が大きくなることや、深い円孔を形成する必要があることといった課題があるが、放熱特性が良く、また、電流注入が容易であるため、光半導体デバイスをはじめとするアクティブデバイスなどの各種機能デバイスへの応用が期待できる。
ところで、フォトニック結晶構造を有し、周期構造に線欠陥を導入して導波路を構成した半導体クラッド型のフォトニック結晶光半導体デバイスとしては、図6に示すように、下面に下部電極108´が形成された半導体基板101´の上に、下部クラッド層102´、活性層103´、上部クラッド層106´、上面に上部電極109´が形成されたコンタクト層107´が順次積層された構造を有し、コンタクト層107´から上部クラッド層106´が積層された方向へ活性層103´の下面よりも深い位置まで形成されかつ該積層方向に垂直な面内において2次元的な屈折率の周期構造が形成されるように格子状に配列された複数の空孔110´を有する空孔形成領域と、該空孔形成領域の間に位置する線欠陥導波路領域とが形成されているフォトニック結晶半導体レーザ素子100´がある。
また、線欠陥導波路への電流注入方法としては、非特許文献1に開示されているように、図6に示すようなフォトニック結晶光半導体レーザ素子において、線欠陥導波路領域の外側のコンタクト層及びp側電極を除去した構造として、電流を注入する方法が検討されている。
A. Talneau, et al., "High external efficiency in a monomode full-photonic-crystal laser under continuous wave electric injection", Applied Physics Letters, v.85, no.11, pp.1913-1915
ところが従来のフォトニック結晶光半導体デバイスでは、電極から注入された電流は線欠陥導波路領域から外側の領域にも広がってしまい、線欠陥導波路領域へ効率の良い電流注入を行なうことができなかった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、線欠陥導波路への電流注入効率が高いフォトニック結晶光半導体デバイスを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るフォトニック結晶光半導体デバイスは、半導体基板と、前記半導体基板上に積層された下部クラッド層と、前記下部クラッド層上に積層されたメサストライプ状の活性層と、前記活性層の両側に該活性層を埋め込むように積層された電流ブロック層と、前記活性層と前記電流ブロック層との上部に積層された上部クラッド層と、前記上部クラッド層上に積層されたコンタクト層と、前記半導体層の下面に形成された下部電極と、前記コンタクト層の上面に形成された上部電極と、を有し、前記活性層の幅方向中心面の両側の各々において前記コンタクト層から前記上部クラッド層が積層された方向へ前記活性層の下面よりも深い位置まで形成されかつ該積層方向に垂直な面内において2次元的な屈折率の周期構造が形成されるように格子状に配列された複数の空孔を有する空孔形成領域と、該空孔形成領域の間に位置し幅方向の中心面が前記活性層の幅方向の中心面と一致する線欠陥導波路領域とが形成されていることを特徴とする。
また、この発明に係るフォトニック結晶光半導体デバイスは、上記発明において、前記線欠陥導波路領域を挟んで隣接する前記空孔間の距離をt、前記活性層の幅をdとする場合に、
d/t≧1.7
なる関係が成立していることを特徴とする。
また、この発明に係るフォトニック結晶光半導体デバイスは、上記発明において、前記積層方向で平均した前記活性層の平均屈折率が、前記積層方向で平均した前記活性層の周囲の平均屈折率よりも大きいことを特徴とする。
また、この発明に係るフォトニック結晶光半導体デバイスは、上記発明において、少なくとも前記活性層内における前記空孔の内表面が、前記活性層よりも大きなバンドギャップエネルギーを有する半導体によって被覆されていることを特徴とする。
また、この発明に係るフォトニック結晶光半導体デバイスは、上記発明において、少なくとも前記活性層内における前記空孔の内表面が、前記活性層を伝搬する光の波長において透明である誘電体によって被覆されていることを特徴とする。
本発明に係るフォトニック結晶光半導体デバイスによれば、線欠陥導波路への電流注入効率が高いフォトニック結晶光半導体デバイスが実現できるという効果を奏する。
以下に、図面を参照して本発明に係るフォトニック結晶光半導体デバイスの実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るフォトニック結晶半導体レーザ素子を模式的に表した斜視図である。また、図2は、図1のフォトニック結晶半導体レーザ素子をX−X´線で切断した場合の断面図である。図1および図2に示すように、本実施の形態1に係るフォトニック結晶半導体レーザ素子100は、半導体基板であるn−InP基板101と、n−InP基板101上に積層された下部クラッド層であるn−InPバッファ層102と、n−InPバッファ層102上に積層されたメサストライプ状のInGaAsP活性層103と、InGaAsP活性層103の両側にInGaAsP活性層103を埋め込むように積層されたp−InP層104aおよびn−InP層104bからなる電流ブロック層104と、InGaAsP活性層103上に積層されたストライプ状のp−InPクラッド部105と、InGaAsP活性層103と電流ブロック層104との上部に積層された上部クラッド層であるp−InPクラッド層106と、p−InPクラッド層106上に積層されたコンタクト層であるp−InGaAsPコンタクト層107と、n−InP基板101の下面に形成された下部電極であるAuGeNi/Auからなるn側電極108と、p−InGaAsPコンタクト層107の上面に形成された上部電極であるTi/Pt/Auからなるp側電極109とを有する。
そして、p−InGaAsPコンタクト層107からp−InPクラッド層106が積層された方向へInGaAsP活性層103の下面よりも深い位置まで形成されかつ該積層方向に垂直な面内において2次元的な屈折率の周期構造(フォトニック結晶)が形成されるように三角格子状に配列された複数の円筒状の空孔110を有する空孔形成領域111と、空孔形成領域111の間に位置し幅方向の中心面がInGaAsP活性層103の幅方向の中心面と一致する線欠陥導波路領域112とが形成されている。
また、空孔の直径110aは240nm、フォトニック結晶の三角格子の格子定数110bは380nmである。直径110aや格子定数110bの値は発光させる波長帯により異なるものとし、例えば格子定数110bは300〜500nmとする。また、線欠陥導波路領域112を挟んで隣接する空孔間の距離113をtとし、InGaAsP活性層103の幅114をdとすると、tは658nmであり、dは1.2μmである。したがって、d/tは約1.8であり、d/t≧1.7なる関係が成立している。なお、空孔間の距離とは、空孔が円筒状である場合は、各空孔の中心軸の間の距離を意味する。
n側電極108とp側電極109との間に電圧を印加し、電流を注入すると、n側電極側にp−InP層104aが積層され、p側電極側にn−InP層104bが積層された電流ブロック層104には電流が流れず、InGaAsP活性層103にのみ電流が流れる。すなわち、本発明の実施の形態1に係るフォトニック結晶半導体レーザ素子100は電流狭窄構造を有するので、線欠陥導波路への電流注入効率が高いものとなる。そして、フォトニック結晶半導体レーザ素子100は注入電流を増加していくとレーザ発振するが、線欠陥導波路への電流注入効率が高いので、レーザ発振のしきい値電流が低いものとなる。
さらに、本発明の実施の形態1に係るフォトニック結晶半導体レーザ素子100においては、前記のようにd/t≧1.7なる関係が成立している。その結果、線欠陥導波路領域112は複数の空孔110からなる2次元的な屈折率の周期構造により低損失なフォトニック結晶線欠陥導波路として働く。ただし、dが大きすぎると、電流狭窄構造の効果が低減し、電流注入効率が低下するので、d/tは3より小さいことが好ましい。
また、前記積層方向で平均したInGaAsP活性層103の平均屈折率が、前記積層方向で平均したInGaAsP活性層103の周囲の平均屈折率よりも大きい。ここで、InGaAsP活性層103の周囲とは、上部に存在するp−InPクラッド部105とp−InPクラッド層106並びにp−InGaAsPコンタクト層107、側部に存在する電流ブロック層104、下部に存在するn−InPバッファ層102である。したがって、InGaAsP活性層103で発生した光は周囲に漏洩せずに、InGaAsP活性層103に閉じ込められる。
次に、本実施の形態1に係るフォトニック結晶半導体レーザ素子100の製造方法について説明する。まず、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)結晶成長装置を用いて、n−InP基板101上にn−InPバッファ層102、厚さ500nmでフォトルミネッセンス波長が1550nmのInGaAsP活性層、厚さ200nmのp−InPクラッド層を順次成長させる。InGaAsP活性層は多重量子井戸構造としてもよい。
その後、プラズマCVD装置によりSiN膜をp−InPクラッド層の全面に成膜する。次に、フォトリソグラフィとRIE(Reactive Ion Etching)によりSiN膜を幅2μmのストライプ状に加工する。次に、ドライエッチングとウェットエッチングによりInGaAsP活性層とp−InPクラッド層とを幅1.2μmのストライプ状に成形し、さらにInGaAsP活性層はさらに高さ1μm程度のメサ状に成形し、ストライプ状のp−InPクラッド部105と、メサストライプ状のInGaAsP活性層103を形成する。
次に、SiN膜を選択成長マスクとして、膜厚500nmのp−InP層104a、膜厚500nmのn−InP層104bを順次埋め込み成長させ、電流ブロック層104を形成する。その後、SiN膜を除去し、p−InPクラッド層106、p−InGaAsPコンタクト層107を順次成長させる。
次に、電子線ビーム描画装置により、2次元的な屈折率の周期構造が形成されるように三角格子状に配列された複数の円状のパターンを、配列されたパターンのうち一列を除いてp−InGaAsPコンタクト層107に転写する。その後、この転写したパターンをエッチングマスクとして、塩素ガスを用いたICP(Inductively Coupled Plasma)ドライエッチング装置により、p−InGaAsPコンタクト層107からp−InPクラッド層106が積層された方向へInGaAsP活性層103の下面よりも深い位置まで、つまりn−InPバッファ層102に到るまで、深さにして3μm程度エッチングし、円筒状の複数の空孔110を周期的に形成して空孔形成領域111を形成する。
その際、パターンの転写を行わなかった一列については空孔が形成されない。したがって、空孔形成領域111の間には、周期構造の中に導入された線欠陥である線欠陥導波路領域112が形成される。この線欠陥導波路領域112は、幅方向の中心面がメサストライプ状のInGaAsP活性層103の幅方向の中心面と一致するように形成される。なお、格子定数110aや直径110bの値は発光させる波長帯により異なるものとし、例えば格子定数110aは300〜500nmとできる。
次に、上記のように作製した基板全体を120μm程度の厚さになるように研磨した後、AuGeNi/Auからなるn側電極108をn−InP基板101の下面に、Ti/Pt/Auからなるp側電極109をp−InGaAsPコンタクト層107の上面に、それぞれ形成する。最後に、基板を適当な大きさに切断してチップ化することでフォトニック結晶半導体レーザ100素子が完成する。
本実施の形態1に係るフォトニック結晶半導体レーザ素子100における本発明の効果について確認するために、隣接する空孔間の距離113の値tとInGaAsP活性層103の幅114の値dについて種々変更し、d/tに対する線欠陥導波路内の光強度の損失(導波路損失)を計算機シミュレーションにより解析した。なお、ここでは線欠陥導波路の導波路損失として単位時間当たりの導波路内の光強度の減衰定数である−ln(I/I0)/tを示す。なお、tは時間、I0は時間t=0における光強度、Iは時間tにおける光強度である。
図3は、d/tに対する導波路損失を示すグラフである。なお、図中の点線は、図6に示すような活性層を埋め込み構造としない従来のフォトニック結晶半導体レーザ素子100´における導波路損失の値を示す。図3が示すように、導波路損失はd/tが増加するにつれて減少し、d/tが1.7以上の領域では導波路損失はほぼ一定であり、活性層を埋め込み構造としない場合の導波路損失と同等の値まで低下した。本実施の形態1に係るフォトニック結晶半導体レーザ素子100はd/tが約1.8であるから、図3に示す結果から線欠陥導波路領域112が低損失なフォトニック結晶線欠陥導波路として働くことが確認できる。
また、本実施の形態1に係るd/t=1.8のフォトニック結晶半導体レーザ素子100と、フォトニック結晶半導体レーザ素子100と同様の構造を有しd/t=0.7としたフォトニック結晶半導体レーザ素子のレーザ発振のしきい値電流を計算機シミュレーションにより解析した。また、比較のため、図6に示すような活性層を埋め込み構造としない従来のフォトニック結晶半導体レーザ素子100´のレーザ発振のしきい値電流も計算機シミュレーションにより解析した。
その結果、従来のフォトニック結晶半導体レーザ素子100´のレーザ発振のしきい値電流は100mAより大きかったのに対して、d/t=0.7のフォトニック結晶半導体レーザ素子のレーザ発振のしきい値電流は約100mAに低下した。さらに、本実施の形態1に係るフォトニック結晶半導体レーザ素子100のしきい値電流は30mA以下であり、さらに大幅に低下した。
さらに、d/t=1.5の場合について、線欠陥導波路の分散関係をFDTD法(Finite Difference Time Domain Method:時間領域有限差分法)により解析した。図4は、線欠陥導波路の分散関係を示すグラフであり、横軸は規格化波数を2π/aで割ったものであり、縦軸は規格化周波数をc/aで割ったものである。なお、aはフォトニック結晶の格子定数、cは光速である。図4に示すように、フォトニックバンドギャップGの間に、フォトニック結晶による閉じ込めモードA、Bが存在することが確認された。d/t=1.8である本実施の形態1に係るフォトニック結晶光半導体レーザ素子100においても、同様の閉じ込めモードが存在すると考えられる。
以上説明したように、本実施の形態1に係るフォトニック結晶光半導体レーザ素子100は、電流狭窄構造を有し、さらにd/t≧1.7なる関係が成立しているので、電流狭窄により電流注入効率が高く、さらに、フォトニック結晶により光の閉じ込めが起こり、導波路損失が低い導波路が実現されている。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2に係るフォトニック結晶半導体レーザ素子について説明する。本実施の形態2に係るフォトニック結晶半導体レーザ素子は、実施の形態1に係るフォトニック結晶半導体レーザ素子と同様の構成を有するが、活性層内における空孔の内表面が、活性層よりも大きなバンドギャップエネルギーを有する半導体によって被覆されている点が異なる。
図5は、本発明の実施の形態2に係るフォトニック結晶半導体レーザ素子を模式的に表した断面図である。本実施の形態2に係るフォトニック結晶半導体レーザ素子200は、フォトニック結晶半導体レーザ素子100と同様に、n−InP基板201と、n−InPバッファ層202と、InGaAsP活性層203と、p−InP層204aおよびn−InP層204bからなる電流ブロック層204と、p−InPクラッド部205と、p−InPクラッド層206と、p−InGaAsPコンタクト層207と、n側電極208と、p側電極209とを有する。そして、複数の円筒状の空孔210を有する空孔形成領域211と、線欠陥導波路領域212とが形成されている。
そして、空孔210の内表面が、InGaAsP活性層203よりも大きなバンドギャップエネルギーを有する半導体であるノンドープのInP層215によって被覆されている。InGaAsPのバンドギャップエネルギーは波長1550nmで0.8eVであるのに対して、InPのバンドギャップエネルギーは1.35eVであり、550meV程度大きい。したがって、このノンドープのInP層215によって被覆されていることにより、InGaAsP活性層203内における空孔の内表面においてキャリアの非発光の表面再結合が抑制され、かつノンドープのInP層215は1550nmの光を吸収しないので光吸収による損失が発生しない。したがって、レーザの発振しきい値の上昇が抑制される。
次に、本実施の形態2に係るフォトニック結晶半導体レーザ素子200の製造方法について説明する。まず、実施の形態1に係るフォトニック結晶半導体レーザ素子100の製造方法と同様の方法で、n−InP基板201上にn−InPバッファ層202、InGaAsP活性層、p−InPクラッド部を順次成長させ、ストライプ状のp−InPクラッド部205と、メサストライプ状のInGaAsP活性層203を形成し、その後、電流ブロック層204を形成し、p−InPクラッド層206、p−InGaAsPコンタクト層207を順次成長させる。
さらに、実施の形態1に係るフォトニック結晶半導体レーザ素子100の製造方法と同様の方法で、p−InGaAsPコンタクト層207からp−InPクラッド層206が積層された方向へInGaAsP活性層203の下面よりも深い位置まで、円筒状の複数の空孔210を周期的に形成して空孔形成領域211を形成し、空孔形成領域211の間には線欠陥導波路領域212を形成する。
次に、MOCVD法により、p−InGaAsPコンタクト層207の表面と空孔210の内表面とにノンドープのInP層を20nmの厚さで形成する。その後、希塩酸によりp−InGaAsPコンタクト層207の表面に形成されたノンドープのInP層を除去し、p−InGaAsPコンタクト層207を露出させる。このとき、空孔210の内表面に形成されたノンドープのInP層215は残存する。
次に、上記のように作製した基板全体を120μm程度の厚さになるように研磨した後、AuGeNi/Auからなるn側電極208をn−InP基板201の下面に、Ti/Pt/Auからなるp側電極209をp−InGaAsPコンタクト層207の上面に、それぞれ形成する。最後に、基板を適当な大きさに切断してチップ化することでフォトニック結晶半導体レーザ200素子が完成する。
本実施の形態2に係るフォトニック結晶半導体レーザ素子200は、空孔210の内表面がノンドープのInP層215によって被覆されていることにより、InGaAsP活性層203内における空孔210の内表面においてキャリアの非発光の表面再結合が抑制され、かつノンドープのInP層215による光吸収損失は発生しない。従って、レーザ発振のしきい値電流が実施の形態1に係るフォトニック結晶半導体レーザ素子100と比較してさらに低下することが期待できる。
なお、本実施の形態2に係るフォトニック結晶半導体レーザ素子200は、空孔210の内表面がノンドープのInP層215によって被覆されているが、InGaAsP活性層203よりも大きなバンドギャップエネルギーを有するものであれば、他の化合物半導体、たとえばInP、GaAs、GaP、GaInP、GaInAsPなどからなる層で被覆してもよい。また、活性層の材料によっては、AlGaInP、AlGaAs、AlGaN、ZnSeなどを被覆に用いてもよい。
また、被覆に用いる化合物半導体は、活性層の材料と結晶の格子定数が近いものであることが好ましいが、その厚さが薄いことから、格子定数にある程度差があってもよい。
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3に係るフォトニック結晶半導体レーザ素子について説明する。本実施の形態3に係るフォトニック結晶半導体レーザ素子は、実施の形態2に係るフォトニック結晶半導体レーザ素子と同様の構成を有するが、活性層内における空孔の内表面が、活性層を伝搬する光の波長において透明である誘電体によって被覆されている点が異なる。
すなわち、本実施の形態3に係るフォトニック結晶半導体レーザ素子は、実施の形態2に係るフォトニック結晶半導体レーザ素子と同様の構造を有するが、複数の空孔の内表面が、InGaAsP活性層を伝搬する光の波長である1550nmにおいて透明であるSiNx層によって被覆されている。したがって、このSiNx層によって被覆されていることにより、InGaAsP活性層内における空孔の内表面においてキャリアの非発光の表面再結合が抑制され、かつSiNx層は1550nmの光を吸収しないので光の吸収による損失が発生しない。したがって、レーザの発振しきい値の上昇が抑制される。
本実施の形態3に係るフォトニック結晶半導体レーザ素子の製造方法については、実施の形態2に係るフォトニック結晶半導体レーザ素子100の製造方法と同様であるが、プラズマCVD法により、p−InGaAsPコンタクト層の表面と空孔の内表面とにSiNx層を20nmの厚さで形成し、その後、CF4ガスを用いたRIEによりp−InGaAsPコンタクト層の表面に形成されたSiNx層を除去し、p−InGaAsPコンタクト層207を露出させる点が異なる。
本実施の形態3に係るフォトニック結晶半導体レーザ素子は、空孔の内表面がSiNx層によって被覆されていることにより、InGaAsP活性層内における空孔の内表面においてキャリアの非発光の表面再結合が抑制され、かつSiNx層による光吸収損失は発生しない。従って、レーザ発振のしきい値電流が実施の形態1に係るフォトニック結晶半導体レーザ素子100と比較してさらに低下することが期待できる。
なお、本実施の形態3に係るフォトニック結晶半導体レーザ素子は、空孔の内表面がSiNx層によって被覆されているが、InGaAsP活性層を伝搬する光の波長である1550nmにおいて透明であれば、他の誘電体、たとえばSiOx、AlNx、AlOx、TiOxなどによって被覆されていてもよい。これらの誘電体膜の形成には、プラズマCVD法などの方法が使用可能であるが、たとえば、活性層の材料がAlGaAsで構成されている場合には、酸化により空孔の内表面にAlOx層を形成してもよい。
また、活性層内における空孔の内表面を被覆する層の厚さは、半導体の場合は5〜20nm、誘電体の場合は5〜50nmの範囲であれば、本発明の効果が得られ、かつフォトニック結晶の機能が良好に保たれる。なお、誘電体の場合は、屈折率が半導体に比べて十分に低いため、誘電体を上記の範囲よりもさらに厚くして、空孔が誘電体によって完全にふさがれる構造としても、フォトニック結晶の機能は維持できる。
また、被覆する層は、単一の層からなるのもの限られず、二以上の層からなるものとしてもよい。また、この二以上の層が、半導体と誘電体とを組み合わせたものであってもよい。たとえば、空孔の内表面において、活性層の部分と被覆する誘電体との間にSiなどの層を介在させるものとすると、誘電体から活性層への酸素の拡散が防止される。
本発明の実施の形態1に係るフォトニック結晶半導体レーザ素子を模式的に表した斜視図である。 図1のフォトニック結晶半導体レーザ素子をX−X´線で切断した場合の断面図である。 d/tに対する導波路損失を示すグラフである。 d/t=1.5の場合のフォトニック結晶半導体レーザの線欠陥導波路の分散関係を示すグラフである。 本発明の実施の形態2に係るフォトニック結晶半導体レーザ素子を模式的に表した断面図である。 従来のフォトニック結晶半導体レーザ素子を模式的に表した斜視図である。
符号の説明
100、200 フォトニック結晶半導体レーザ素子
101、201 n−InP基板
102、202 n−InPバッファ層
103、203 InGaAsP活性層
104、204 電流ブロック層
104a、204a p−InP層
104b、204b n−InP層
105、205 p−InPクラッド部
106、206 p−InPクラッド層
107、207 p−InGaAsPコンタクト層
108、208 n側電極
109、209 p側電極
110、210 空孔
110a 空孔の直径
110b 格子定数
111、211 空孔形成領域
112、212 線欠陥導波路領域
113、213 空孔間の距離
114、214 活性層の幅
215 ノンドープのInP層

Claims (3)

  1. 半導体基板と、
    前記半導体基板上に積層された下部クラッド層と、
    前記下部クラッド層上に積層されたメサストライプ状の活性層と、
    前記活性層の両側に該活性層を埋め込むように積層された電流ブロック層と、
    前記活性層と前記電流ブロック層との上部に積層された上部クラッド層と、
    前記上部クラッド層上に積層されたコンタクト層と、
    前記半導体層の下面に形成された下部電極と、
    前記コンタクト層の上面に形成された上部電極と、
    を有し、
    前記活性層の幅方向中心面の両側の各々において前記コンタクト層から前記上部クラッド層が積層された方向へ前記活性層の下面よりも深い位置まで形成されかつ該積層方向に垂直な面内において2次元的な屈折率の周期構造が形成されるように格子状に配列された複数の空孔を有する空孔形成領域と、該空孔形成領域の間に位置し幅方向の中心面が前記活性層の幅方向の中心面と一致する線欠陥導波路領域とが形成され、
    前記電流ブロック層の屈折率は前記活性層の屈折率よりも低く、幅方向で屈折率導波路を形成し、
    前記線欠陥導波路領域の幅は前記活性層の幅よりも狭く、前記線欠陥導波路領域を挟んで隣接する前記空孔間の距離をt、前記活性層の幅をdとする場合に、前記線欠陥導波路領域では、フォトニックバンドギャップ内で光を閉じ込めるモードが少なくとも1つ存在する条件下で、
    3.0>d/t≧1.7
    なる関係が成立していることを特徴とするフォトニック結晶光半導体デバイス。
  2. 少なくとも前記活性層内における前記空孔の内表面が、前記活性層よりも大きなバンドギャップエネルギーを有する半導体によって被覆されていることを特徴とする請求項1に記載のフォトニック結晶光半導体デバイス。
  3. 少なくとも前記活性層内における前記空孔の内表面が、前記活性層を伝搬する光の波長において透明である誘電体によって被覆されていることを特徴とする請求項に記載のフォトニック結晶光半導体デバイス。
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