以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
(1)第1の実施の形態
(1−1)本実施の形態による無線通信方式
図1は、CIBS−CDMA方式に本発明を適用した無線通信システム20の送信側21及び受信側22の基本構成を示すものである。図19について上述した従来のCIBS−CDMA方式による無線通信システム1との比較における本実施の形態によるCIBS−CDMA方式の特徴の1つは、送信側21において送信データに対してスクランブル処理を施し、受信側22において受信データに対してデスクランブル処理を施す点にある。
上述のように従来のCIBS−CDMA方式では、安易に送信データにスクランブルを施すと、ユーザ間に遅延が存在する場合ではユーザ間の直交性が崩れ、ユーザ間干渉を招来することとなる。またスクランブルを実施した場合、マルチパス環境下においては、他の先行波遅延が例え0であっても、他のユーザの遅延波に対しても直交性を保つ必要がある点にも留意しなければならない(図23)。
そこで、本実施の形態によるCIBS−CDMA方式では、図2に示すように、各ユーザに対して、拡散処理時に用いる直交符号として同極性が連続する数の多い直交符号を優先的に割り当て(SP1)、次に、拡散率と接続ユーザ数から、使用可能なスクランブルコード数(スクランブル系列数)を求めたうえで(SP2)、求めた数のスクランブルコード(スクランブル系列)を用いてスクランブル処理を実行(SP3)することで、送信データに対してスクランブルを実施することに起因する不具合の発生を有効に防止する。
まずステップSP1における直交符号の割り当て処理について説明する。本実施の形態によるCIBS−CDMA方式では、まず、そのユーザに対する直交符号の割り当てを行う。この際、同一極性が連続する(つまり「1」や「−1」が連続する)数の多い直交符号を優先的に割り当てる。
Walsh−Hadamard符号を例にとって説明する。この符号は、次式から構築される。
ここでSFとは、拡散率であり、HSFとは、拡散率SFにおける直交符号の集合を表す。図3に、上式におけるH16を例とするWalsh−Hadamard符号表を示す。この図3では、説明の簡易化を図るために、拡散率SFを16とした。図3では、0番のコード(code#0)が一番多く同極性が連続している。次に同極性が連続するのは、8番のコード(code#8)であり、その後は4番、12番、2番、6番、14番、16番の各コード(code#4、code#12、code#2、code#6、code#14、code#16)の順で同極性の連続数が少なくなる。
同極性の連続数を考慮した場合、ユーザ数は拡散率SFの半分未満であることが望ましい。例えば拡散率SFが16の場合、ユーザ数が8以下であれば、各ユーザに対して条件に見合うコードを割り当てることができる。ユーザ数が拡散率SFの半分以上である場合(例えば拡散率SFが16のときにユーザ数が9以上である場合)には、次のステップSP2におけるスクランブルコード数を1とすることで調整する。なお、以下においては、説明を分かり易くするためユーザ数が2人であるものとする。従ってこの場合には、0番及び8番のコード(code#0及びcode#8)が、それぞれ対応するユーザに割り当てられることになる。
次に、拡散率SF及びユーザ数から利用可能なスクランブルコード数を求める(SP2)。この場合、スクランブルコード数は、次式
を用いて算出できる。なお、この(2)式において、Mはスクランブルコード数の最大値、SFは拡散率、jは自然数、Nuserは接続ユーザ数を表す。また次式
は、B以上という条件を満たす最小のAを表す。例えば拡散率SFが16の場合、ユーザ数が1のときにはユーザ数以上の最小の2のべき乗はjが0のときの1であるのでスクランブルコード数Mは16、ユーザ数が2のときにはユーザ数以上の最小の2のべき乗はjが1のときの2であるのでスクランブルコード数Mは8となる。同様に、ユーザ数が3又は4のときにはスクランブルコード数Mは4、ユーザ数が5〜8のときにはスクランブルコード数は2、ユーザ数が9以上のときにはスクランブルコード数は1となる。上述の例では、拡散率SFが16、ユーザ数が2であるため、スクランブルコード数は8となる。
なお、ここでのスクランブルコード数とは、インタリーバの深さまでを1として数えている。つまり、例えば8192チップからなる長周期のスクランブルコードを1つだけ発生させ、256チップ周期で区切れば、32個のスクランブルコード系列が得られる。ここでは、この32をスクランブルコード数と呼び、例えば最初の8種類を使用する。当然256チップの独立符号を32種類準備しても、また中途半端な番号の8種類を準備しても構わない。いま拡散率SFが16のときを想定しているので、8種のスクランブルコード系列を2回繰り返して送信データとの乗算を行う。
この後、ステップSP1においてそのユーザに割り当てた直交符号を用いて拡散処理した送信データに対して、実際にスクランブルコードを乗算する(SP3)。この際、スクランブルコードとしては、「1」及び又は「0」からなる乱数系列を例えばBPSK(Binary Phase Shift Keying)変調により「1」及び又は「−1」からなる乱数系列に変換したものを適用する。具体的には、W−CDMA(Wideband CDMA)方式の世界規格3GPP(3rd Generation Partnership Project)におけるスクランブルコードを適用することができる。
図4は、送信データに対してスクランブルコードを乗算する様子を表したものである。図20について上述した従来のCIBS−CDMA方式と比較すると、その違いは、第1に、直交符号(#0,#1,#2,……)の極性変化が頻繁でないこと、第2に、スクランブルコード(Scramble Code #A,Scramble Code #B,Scramble Code #C,……)が乗算されていること、であることが分かる。
この場合、直交符号の極性が連続する部分にそれぞれステップSP2において求めた数のスクランブルコードからなるスクランブルコード群を割り当てる。直交符号の極性とスクランブルコード群との関係は重要であり、ステップSP2において求めたスクランブルコード数の同一のスクランブルコード群を直交符号のプラス極性領域及びマイナス極性領域にそれぞれ乗算するようにする。例えば図4の例では、「Scramble code #A」〜「Scramble code #D」で示すスクランブルコードからなるスクランブルコード群を、直交符号の各プラス極性領域及びマイナス極性領域にそれぞれ乗算するようにする。
これらの関係を別の観点から図5を用いて説明する。図5は、送信側21(図1)において上述のスクランブル処理を施された送信データがアップコンバート処理等されて送信信号として送信側から発信され、これが2つの経路を通って図中振幅h1で示す直接波と図中振幅h2で示す遅延波となって受信側22(図1)に受信される様子を示している。なお、この図5では、図20や図4における送信データ(図20や図4におけるData#0,Data#1,……の部分)を省略してある。
まず、送信側21から、図2について上述した一連のスクランブル処理を施した送信データのうち、図5において「C10」で示すユーザ#1の第0番目のチップ列(図中「読み出し」方向に並ぶチップ列)のデータに1つ目のスクランブルコード(Scramble Code #A)が乗算されて受信側22に送信される。このとき受信データには、マルチパス干渉により、受信側22におけるデインタリーブ処理用メモリへの書込み方向(すなわち時間方向)に干渉が発生する。
次に、送信側21から、図5において「C11」で示すユーザ#1の第1番目のチップ列のデータに2つ目のスクランブルコード(Scramble Code #B)が乗算されて受信側22に送信される。このとき第0番目のチップ列のデータを含む送信信号が通過する伝送路と、第1番目のチップ列のデータを含む送信信号が通過する伝送路とが同一であると仮定すると、第1番目のチップ列のデータもマルチパス干渉を受けるが、スクランブルコードが前回のものと異なるため、受信信号の信号電力変動は前回受信したものと異なる。
同様に、この後送信側21から、第2番目のチップ列及び第3番目のチップ列の各データにそれぞれ3つ目又は4つ目のスクランブルコード(Scramble Code #C,Scramble Code #D)が乗算されて受信側22に送信される。この例では、拡散率SFが8であるため、拡散率SFの半分(SF/2)を経過した「C14」で示す第4番目のチップ列からスクランブルコードの繰り返しが起こり、第4番目〜第7番目のチップ列に対して、第0番目〜第3番目のチップ列と同一のスクランブルコード(Scramble Code #A〜Scramble Code #D)が適用される。従って、これ以降、受信信号の電力パターンとして、第0番目〜第3番目のチップ列と同じ信号電力変動が繰り返し発生することとなる。
この場合において、受信信号の同じ信号電力変動の繰り返しが拡散率SFの半分(SF/2)を境に発生するため、直交符号の反転によって、逆拡散処理時に相殺(キャンセル)されることは明白である。このことにより、本実施の形態によるCIBS−CDMA方式によれば、従来のCIBS−CDMA方式における他ユーザ間干渉が原理的に生じない利点を損なわない。
一方、第0番目のチップ列から第3番目のチップ列までは、異なるスクランブルコード(Scramble Code #A〜Scramble Code #D)が適用されているため、逆拡散処理時の積分操作によってランダムに相殺が発生し、干渉の白色化が実施される。つまり、従来では矛盾していた、スクランブル化と全ユーザ間直交化が並存する。
ユーザ数が1から2に変化した(すなわち接続ユーザ数が1人から2人になった)場合、上述の(2)式からも明らかなように、1人のユーザに割り当て可能なスクランブルコード数が半減する。図6は、このときの様子を示したものである。1ユーザ時のスクランブルコードは、「Scramble code #A」〜「Scramble code #H」の8種類であったものが、2ユーザになると、この図6のように「Scramble code #A」〜「Scramble code #D」の4種類だけとなる。この場合にも図2について上述した手順に従って送信データにスクランブル処理を施すことによって、ユーザ間干渉が原理的に発生せず、マルチパス干渉をDS−CDMA方式などの従来提案されている無線通信方式よりも低減させることができることが分かる。
さらに理解を深めるために、ケースを別けて説明する。まず第1のケースとして、マルチパスではないが、ユーザ間に遅延が発生している場合について説明する。この場合、自ユーザを復号するにあたり、スクランブルコードがどのように影響するか考える。
ユーザ#1にとって、ユーザ#2は遅延しているため、スクランブルコードチップが不一致となる場合がある。従って、スクランブルコードのパターンによって、±1(+1:一致、−1:不一致)がランダムに発生する。しかしながら、本実施の形態によるCIBS−CDMA方式では、必ず、直交符号のプラス領域とマイナス領域にてペアなスクランブルコード配置となっているため、直交符号がプラス極性(「+1」)の領域においてスクランブルコードが不一致、つまり極性が反転すれば、直交符号がマイナス極性(「−1」)の領域でも不一致、つまり極性が反転する。つまり、逆拡散処理時の積分において相殺される。スクランブルコードのパターンが一致した時は、直交符号がプラス極性となり、スクランブルコードがないものとして考えられるので、直交性が保持されるのは明らかである。これは、マルチユーザの場合でも、上述のように全ユーザに非現実的な時間同期を求めるものではないことに大きな特徴がある。
次に、第2のケースとして、マルチパスで1ユーザの場合について説明する。この場合、直接波である先行波と遅延波の2波で考える(図21の状態)。
マルチパスで1ユーザの場合、先行波に対してスクランブルコードの同期を取るため、先行波には問題が生じない。つまり、スクランブルコードは全て送受で一致して「+1」となり、スクランブルコードが存在しないものとなる。一方、遅延波は、スクランブルコードの開始タイミングがずれているため、ランダムに±1(=一致不一致)が発生する。ここで、直接波も遅延波も、直交符号は同一である。上述した第1のケースの場合と異なり、直交符号による相殺は発生しないが、遅延波においてスクランブルコードチップが不一致であった部分と一致した部分の相殺(キャンセル)が発生する。従って、遅延波の成分は全て相殺される場合もあれば、まったく相殺されない場合もある。つまり、長期的に見れば遅延波の白色化が可能となる。
さらに第3のケースとして、マルチパスでマルチユーザの場合について説明する。このケースの場合、他ユーザの遅延波が自ユーザへ与える影響は上述した第1のケースの場合と同じであり、直交性が保たれるため、マルチユーザ干渉は発生しない。また自ユーザの直接波、遅延波が他ユーザへ与える影響についても、上述した第1のケースの場合と同じとなる。
従って、本実施の形態によるCIBS−CDMA方式によって、ユーザ間の完全直交性を保ちつつ、マルチパス干渉の白色化が実施できることが分かる。なお、上記説明においては、スクランブルコードがBPSK変調されている場合を仮定したが、これがQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)や8PSK(8Phase Shift Keying)等の変調方式を採用している場合においても全く同じである。
ここで、直交符号の極性連続を優先する理由について述べる。これまで説明してきたように、本実施の形態による無線通信方式は、直交符号がその拡散率SFの周期内で必ず反転する関係にあることを利用して、その極性が反転する領域にそれぞれペアとなるスクランブルコードを乗算するものである。
この場合、全ユーザに対して、ランダムに直交符号を割り振るとユーザ間直交性が崩れてしまう。例えば図3において、上述した本実施の形態による無線通信方式の指針に反して、8番目の直交符号(code #8)と9番目の直交符号(code #9)とをそれぞれのユーザに割り振るものとすると、スクランブルコードは、0番目のチップと1番目チップ(つまり図3の横方向)で異なるものを使用することになる。
この場合において、ユーザ#0の遅延波が存在したとすると、遅延波に対してはスクランブルコードの同期は取れていないので、受信側ではランダムに±1の値を取る。そうすると、code#8とcode#9と区別がつかなくなる場合がある。つまり、ユーザ間干渉(直交符号間干渉)が発生してしまうのである。スクランブルコードが不一致の場合、必ずペアとなるスクランブルコードの部分も不一致となるため、相殺するのが本実施の形態によるCIBS−CDMA方式の特徴であるが、上述のように直交符号の極性が連続しない領域ではユーザ間干渉が発生してしまう。極性が連続する直交符号の確保ができない場合は、図7に示すように、スクランブルコード数を1として、送信データのパターンによって品質が変化しないという、一般性を確保する目的となる。換言すると、この場合には、通信品質の向上を図ることが目的ではなく、送信データのパターンに依存する通信品質の変化を避けることが目的となる。
本実施の形態によるCIBS−CDMA方式による効果を計算機シミュレーションにて確認した。図8にその誤り率特性を示す。伝送路のモデルは、16パス(直接波1、遅延波15)の等レベル静的環境である。ユーザ間では1チップずつ送信データの遅延が発生するものとした。遅延波対策としては、周波数領域等化器を用いている。ガードインターバル(図4の「GI」)は、サイクルプレフィクス(Cyclic Prefix)による構成とし、全ユーザの遅延波が必ず、ガードインターバル内に収まるものとしている。図中“Proposed CIBS 2u 8CPS”とは、本実施の形態によるCIBS−CDMA方式を適用したCIBS−CDMA方式を示しており、2ユーザ、8スクランブルコードを意味している。(CPS:Column−Pair Scrambling)
この図8からも明らかなように、本実施の形態によるCIBS−CDMA方式によれば、ユーザ数が少なくなるに連れて、誤り率特性が向上していることが分かる。これは、周波数領域等化器の不完全性によって残留した、遅延波成分が本発明によって、白色化されたことを表している。従来のCIBS−CDMA方式では、ユーザ数に因らず16ユーザと同じ誤り率特性であるが、本実施の形態によるCIBS−CDMA方式を適用することにより、誤り率10−4点において、約4〔dB〕の改善効果が確認できる。
なおこれまでの説明では、理解を助けるために、全てのユーザの拡散率SFが同一の場合を想定していた。しかしながら、本実施の形態によるCIBS−CDMA方式では、全てのユーザの拡散率SFが同一でない場合、上述の適用法と若干適用法が変化するため、これについて補助説明する。
図9にその様子を示す。図9では、拡散率256の低速データレートのユーザ#1と、拡散率4の高速データレートのユーザ#2が混在する場合において、送信側21(図1)において行うべきスクランブル処理の内容を示している。この場合、拡散率4が支配的となるため、拡散率4のユーザ#2が使用するスクランブルコードと、拡散率256のユーザ#1が使用するスクランブルコードのそれぞれに、図2について上述した指針に基づく制限を与えることが必要となる。図9に示した列数は、32である。理解を助けるために、図9では、拡散率4を一纏めとしており、このため図9自体では8列分の様子を示している。
また本実施の形態では、一纏めにした列単位でスクランブルコードの変更を実施する。図9に示したように、スクランブルコードは、「Scramble Code #A」〜「Scramble Code #H」の8種類である。これはより具体的に、インタリーブのサイズ、つまり繰り返し送信回数がハードウェアの都合により固定された場合を考えたためである。
また、図9では、異なるユーザのデータとスクランブルコードの関係を分かり易くするために、拡散率4のユーザ#2側の送信データに対するスクランブル処理の様子と、拡散率256のユーザ#1側の送信データに対するスクランブル処理の様子とを右側に1つに纏めて示している(換言すれば、伝送路での状態と言える)が、実際のスクランブル処理は、基地局又は上位制御局の指示に基づき、それぞれユーザ個別の端末内部で行われる。
なお、誤解を避けるために追記すると、図2のステップSP1において上述した本発明の指針(以下、これを本発明の第1の指針と呼ぶ)を守ってユーザ#1及びユーザ#2の拡散符号を1又は0が連続するものを選択した場合には、図9中の各スクランブルコード(「Scramble Code #A」〜「Scramble Code #H」)に変化が生じる。
2ユーザ環境であるので、図3の符号表(Walsh−Hadamard符号表)を参照すれば、例え0番のコード(「code#0」)(1,1,1,1)が拡散率4のユーザ#2に、2番のコード(「code#2」)(1,1,0,0)を64回繰り返して256チップまで展開した符号が拡散率256のユーザ#1及び拡散率4のユーザ#2のそれぞれに割り当てられる。
図3からも明らかなように、0番目及び2番目のチップ列にはそれぞれ1番目のスクランブルコードA1を、1番目及び3番目のチップ列にはそれぞれ2番目のスクランブルコードA2を割り当てれば、それらの符号反転関係から直交性が満たされることがわかる。つまり、図9の各スクランブルコード(Scramble Code #A〜Scramble Code #H)は、A=(A1,A2),B=(B1,B2)といった具合に、それぞれ2種類のコードから成り立つようにすることができる。
この結果、本発明を適用すると、図2のステップSP1について上述した第1の指針を何らかの事情で満たせない場合は、拡散率4のユーザに干渉白色化の効果は現れないが、拡散率256のユーザには、8種類の異なるスクランブルコード系列が適用できるため、干渉の白色化効果が現れる。また、かかる第1の指針を満たせる場合には、拡散率4のユーザは、2種類のスクランブルコードの適用による白色化効果が得られ、拡散率256のユーザには、16種類のスクランブルコードの白色化効果が得られる。
(1−3)本実施の形態による無線通信システム
次に、かかる本実施の形態によるCIBS−CDMA方式を適用した無線通信システムの具体的な構成について説明する。
図10は、本実施の形態による無線通信システムを示すものである。この無線通信システム40は、複数の携帯通信端末装置41、1又は複数の基地局42及び上位制御局43から構成されている。
携帯通信端末装置41は、図11に示すように構成されており、ユーザの発話音声をマイクロホン50により集音し、得られた音声信号S1を信号処理部51に入力する。信号処理部51は、供給される音声信号S1に対してアナログ/ディジタル変換等の所定の信号処理を施した後に、これをディジタル音声信号S2としてQPSK変調部52に入力する。またQPSK変調部52は、供給されるディジタル音声信号S2をQPSK変調し、得られたQPSK変調信号S3を拡散処理部53に送出する。
このとき直交符号発生部54には、上位制御局43により指定された拡散率SF及びそのユーザに割り当てられた直交符号のコード番号が直交符号指定情報D1として送受信部59から与えられる。そして直交符号発生部54は、この直交符号指定情報D1に基づいて対応する拡散率SFの対応する直交符号を発生させ、これを拡散処理部53に送出する。
かくして拡散処理部53は、この直交符号とQPSK変調信号S3とを乗算するようにして当該QPSK変調信号S2を拡散処理し、得られた拡散処理信号S4をインタリーバ55に送出する。またインタリーバ55は、供給される拡散信号S4に対して図4について上述したインタリーブ処理を施し、得られたインタリーブ信号S5をスクランブラ56に送出する。
このときスクランブルコード発生部57には、上位制御局43により指定されたそのとき使用すべきスクランブルコード数がスクランブルコード数指定情報D2として送受信部59から与えられる。そしてスクランブルコード発生部57は、このスクランブルコード数指定情報D2に基づいて、指定された数のスクランブルコードをインタリーブ信号S5に同期して繰り返し発生させ、これらをスクランブラ56に送出する。
かくしてスクランブラ56は、例えば送受信部59の制御のもとに、インタリーバ55から与えられるインタリーブ信号S5に対して、スクランブルコード発生部57から与えられる同一のスクランブルコード群を直交符号のプラス極性領域及びマイナス極性領域にそれぞれ乗算するようにして、インタリーブ信号S5をスクランブル処理する。そしてスクランブラ56は、得られたスクランブル信号S6をガードインターバル挿入部58に送出する。
ガードインターバル挿入部58は、スクランブル信号S6の所定シンボル分毎にガードインターバルを順次挿入し、得られたGI挿入スクランブル信号S7を送受信部59に送出する。また送受信部59は、このGI挿入信号S7に対して帯域を制限するための所定のフィルタ処理及びGI挿入スクランブル信号S7の周波数を上げるアップコンバート処理等の所定の信号処理を施し、かくして得られた送信信号S8をアンテナ60を介して発信する。
一方、携帯通信端末41においては、通話相手側から基地局42を中継して送信される送信信号S10をアンテナ60を介して送受信部59において受信する。そして送受信部59は、この送信信号S10に対してダウンコンバート処理等の所定の信号処理を施し、得られた受信信号S11をガードインターバル除去部61に送信する。
また送受信部59は、これとは別に上位制御局43から基地局42を介して送信される上述の直交符号指定情報D1を直交符号発生部54に送信すると共に、当該上位制御局43から基地局42を介して送信される上述のスクランブルコード数指定情報D2をスクランブルコード発生部57に送信する。
ガードインターバル除去部61は、与えられる受信信号S11からガードインターバルを除去し、得られたGI除去受信信号S12を周波数領域等化部(FDE:Frequency−domain equalization)62に送出する。
周波数領域等化部62は、供給されるGI除去受信信号S12に対して、ビット誤り率特性を改善するための最小平均二乗誤差(MMSE:Minimum mean square error)規範に基づく所定の周波数領域等化処理を施し、得られたスクランブル信号S13をデスクランブラ63に送出する。
このときスクランブルコード発生部64は、上述のように送受信部59から与えられるスクランブルコード数指定情報D2に基づいて、指定された数のスクランブルコードをスクランブル信号S13に同期して繰り返し発生させ、これをデスクランブラ63に送出する。
かくしてデスクランブラ63は、例えば送受信部59の制御のもとに、周波数領域等化部62から与えられるスクランブル信号S13に対して、スクランブルコード発生部64から与えられる同一のスクランブルコード群を直交符号のプラス極性領域及びマイナス極性領域にそれぞれ乗算するようにして、スクランブル信号S13をデスクランブル処理する。またデスクランブラ63は、この結果として得られたインタリーブ信号S14をデインタリーバ65に送出する。
デインタリーバ65は、供給されるインタリーブ信号S14を図1について上述したようにデインタリーブ処理し、得られた拡散処理信号S15を逆拡散処理部66に送出する。
このとき直交符号発生部67は、上述のように送受信部59から与えられる直交符号指定情報D1に基づいて、そのユーザに割り当てられた直交符号を発生させ、これを逆拡散処理部66に送出する。かくして逆拡散処理部66は、直交符号発生部67から与えられる直交符号を拡散信号S15に乗算するようにして、当該拡散信号S15を逆拡散処理し、得られたQPSK変調信号S16をQPSK復調部68に送信する。
QPSK復調部68は、供給されるQPSK変調信号S16に対してQPSK復号処理を施し、得られたディジタル音声信号S17を信号処理部69に送出する。また信号処理部69は、供給されるディジタル音声信号S17に対してディジタル/アナログ変換処理等の所定の信号処理を施し、得られた音声信号S18をスピーカ70に送出する。これによりこの音声信号S18に基づく音声がスピーカ70から出力される。
このようにして携帯通信端末41においては、ユーザの音声を通話相手側に送信する一方、通話相手側から送信される音声をスピーカ70から出力し得るようになされている。
一方、図12は、上位制御局43(図10)内に設けられた、携帯通信端末41間の通信を制御する通信制御装置80の構成を示すものである。この図12からも明らかなように、通信制御装置80は、この通信制御装置80全体の動作制御を司るCPU(Central Processing Unit)81と、各種制御プログラムが格納されたROM(Read Only Memory)82と、CPU81のワークメモリとしてのRAM(Random Access Memory)83と、各種アプリケーションソフトウェアが格納されたフラッシュROM等の記憶装置84と、CPU81が各基地局52(図10)と電話回線や無線通信回線を介して通信を行うためのインタフェースとしての通信処理部85とがバス86を介して相互に接続されることにより構成されている。
この場合、通信制御装置80には、常時、各基地局42(図10)からそのとき接続されているユーザ数が接続ユーザ数情報として通知される。そして通信制御装置80のCPU81は、これら各基地局42から与えられる接続ユーザ数情報及び記憶装置84に格納されたアプリケーションソフトウェアに基づき、図13に示す直交符号割当て及びスクランブルコード数算出処理手順RT1に従って、各接続ユーザに対する直交符号の割当て処理と、そのとき使用すべきスクランブルコード数の算出及び決定処理を行い、これらの処理結果を各携帯通信端末41に送信する。
すなわちCPU81は、通信制御装置80の電源が投入されると、この直交符号割当て及びスクランブルコード算出処理手順RT2をステップSP10において開始し、続くステップSP11において、そのとき各基地局42から与えられる接続ユーザ数情報に基づいて接続ユーザ数の合計値を算出し、この算出結果に基づいて接続ユーザ数の数に変化があったか否かを判断する。
CPU81は、このステップSP11において否定結果を得ると、肯定結果を得るのを待ち受ける。そしてCPU81は、やがて接続ユーザ数が増加又は減少することによりこのステップSP11において肯定結果を得ると、ステップSP12に進んで、新規の接続ユーザに直交符号を割り当てる。このときCPU81は、上述のようにその新規の接続ユーザに対して直交符号として同極性が連続する数の多い直交符号を優先的に割り当てるようにする。
次いでCPU81は、ステップSP13に進んで、そのときの拡散率SF及びステップSP11において算出した接続ユーザ数から、(2)式を用いてそのとき新規の接続ユーザの携帯通信端末41に設定すべきスクランブルコード数を算出する。この際、CPU81は、ステップSP11において算出した接続ユーザ数がそのときの拡散率SFの半分を越える場合には、スクランブルコード数を1とする。
さらにCPU81は、この後ステップSP14に進んで、ステップSP12において新規の接続ユーザに割り当てた直交符号及びそのときの拡散率SFと、ステップSP13において算出したスクランブルコード数とを、対応する基地局42を介してその新規の接続ユーザの携帯通信端末41に送信する。そしてCPU81は、この後ステップSP11に戻り、さらにこの後同様の処理(ステップSP11〜ステップSP14)を繰り返す。
(1−4)本実施の形態の動作及び効果
以上の構成において、各接続ユーザに対して極性が連続する数が多い直交符号を優先的に割り当てると共に、拡散率SF及び接続ユーザ数からそのとき使用するスクランブルコード数を求め、このスクランブルコード数のスクランブルコードを用いて、直交符号のプラス極性領域及びマイナス極性領域に同一のスクランブルコード群を乗算するようにして送信データをスクランブル処理する。
そしてこのような無線通信方式によれば、受信側において受信データを逆拡散処理する際の積分処理によって、同じスクランブルコード群が乗算された直交符号のプラス極性領域及びマイナス極性領域それぞれで受信データの電力変動にキャンセリング(相殺)が発生し、マルチパス環境下におけるマルチパス干渉を白色化することができる。さらにプラス領域及びマイナス領域にペアで配置したスクランブルコード群同士の相殺により、マルチユーザ干渉が生じない。
従って、本実施の形態による無線通信方式を適用することによって、CIBS−CDMA方式の利点であるユーザ間干渉が原理的に生じない利点を常時損なわず、また接続ユーザ数が少ない場合にはマルチパス干渉を低減させることができるため、従来の無線通信方式よりも大幅にその通信品質を改善することができる。
そして、このように通信品質を改善することによって、電波が受信側に到達するまでに必要な所要送信電力を低減することが可能となる。これは、携帯通信端末41から基地局42への上り回線を考えれば、携帯通信端末41のバッテリを長時間もたせることを意味し、下り回線で考えれば、インフラ設備の省電力化が図れることを意味する。また省電力化を特に必要としないアプリケーションであれば、その分電波到達距離が延伸されることを意味し、いずれにしても有効な効果を得ることができる。
以上の構成によれば、接続ユーザに対して極性が連続する数が多い直交符号を優先的に割り当てると共に、拡散率SF及び接続ユーザ数からそのとき使用するスクランブルコード数を求め、このスクランブルコード数のスクランブルコードを用いて、直交符号のプラス極性領域及びマイナス極性領域に同一のスクランブルコード群を乗算するようにして送信信号をスクランブル処理した後に当該送信信号を送信側から送信するようにしたことにより、CIBS−CDMA方式の利点であるユーザ間干渉が原理的に生じない利点を損なうことなくマルチパス干渉を低減させることができ、かくして通信品質を向上させ得る無線通信システムを実現できる。
(2)第2の実施の形態
(2−1)本実施の形態による無線通信方式
第1の実施の形態においては、本発明をCIBS−CDMA方式に適用する場合について説明した。しかしながら、本発明は、IFDMA方式にも適用が可能である。IFDMA方式の特徴は、CIBS−CDMA方式における直交符号(直交識別子)を次式
で表されるフーリエ系列とした点にある。ここで、Nは、接続ユーザにそれぞれ割り当てられる固有の整数で≦SF/2、tは時間、ωは角周波数、jは虚数演算子、SFは拡散率を示す。この式が意味するのは、フーリエ系列とは、直交符号周期(拡散率SF)内部での整数(=N)回の回転がある回転演算子である。
図14は、CIBS−CDMA方式における直交符号及びIFDMA方式における直交符号をそれぞれ示したものである。この図14からも明らかなように、CIBS−CDMA方式及びIFDMA方式の直交符号は、その極性のみを観察すると非常に合致している。従って、IFDMA方式についても第1の実施の形態について上述した本願発明を適用することが可能となる。ただし、例えば図14の直交符号#3においては、IFDMA方式の場合には途中で直交符号の極性が反転するような周波数を生成するのではなく、回転が逆になる。つまり、cos(ωt)+jsin(ωt)という波形がcos(ωt)−jsin(ωt)という波形となる。なお、図14中の「オフセット周波数」とは、拡散率で規格化したRF無線中心周波数からのオフセット周波数を意味する。
図15は、従来のIFDMA方式における無線通信システム90の送信側91及び受信側92の基本構成を示している。この図15に示すように、IFDMA方式では、送信側91では、送信データに対してインタリーバ91においてインタリーブ処理を施した後に、周波数変換部100において中心周波数が(4)式で与えられるフーリエ系列の直交符号を乗算するようにして周波数変換処理を施す。またIFDMA方式では、受信側92において、受信データに対して(4)式の逆数の中心周波数を有するフーリエ系列の直交符号を周波数変換部102において乗算するようにして周波数変換処理した後に、デインタリーバ103においてデインタリーブ処理を施し、さらに積分処理部において積分処理を施す。これによりIFDMA方式では、繰り返し送信によって成し得た櫛型スペクトルの櫛と櫛の間にユーザを周波数配置することで複数の発信者が同時に通信を行うことができる。
一方、図15との対応部分に同一符号を付して示す図16は、IFDMA方式に本発明を適用した無線通信システム110の送信側111及び受信側112の基本構成を示すものである。図15について上述した従来のIFDMA方式による無線通信システム90との比較における本実施の形態によるIFDMA方式の特徴の1つは、送信側111においてインタリーブ処理された送信データに対してスクランブル処理を施し、受信側112において受信データに対してデスクランブル処理を施す点にある。
この場合において、本実施の形態による無線通信方式では、IFDMA方式における直交符号がその1周期内で反転する関係にあることを利用して、プラス極性領域、マイナス極性領域で同一のスクランブルコード群を乗算し、直交符号間(ここでは直交周波数)の直交性を保ちつつ、遅延波を抑圧するものである。従って、IFDMA方式への適用も原理的に問題はない。直交符号の割り当てにおける優先順位は、周波数が低い、つまり1直交符号周期内での回転回数が少ない直交符号から優先して割り当てることになる。ただし、正回転もしくは、逆回転のみを優先して割り当てる。この結果、割り当ての一例は、N=0、+1、+2、+3・・・となり、N=0、+1、−1・・・とはしない。これは、回転方向の違いは、jsin(ωt)の係数である為、スクランブルの結果、極性が反転、つまり回転方向が反転するケースが発生(=ユーザー間干渉が発生)するのを避けるためである。
またIFDMA方式では、直交識別子は周波数(つまり正弦波)なので、必ず「+」,「−」を必要とする。またOVSFやWalsh−Hadamard符号のように途中からの極性の反転がない。この結果、運用可能なスクランブルコード数Mを、次式
により求めるようにする。結果として、CIBS−CDMA方式と同じ運用可能なスクランブルコード数となる。
なお、IFDMA方式の場合、その周波数スペクトルも大きな特徴の1つである。同一送信データを繰り返し送信する事で、櫛の歯状のスペクトルとなるためである。しかし、本発明を適用すると、通信品質の観点からは劣化は生じないものの、スクランブルコードの乗算により、そのスペクトルの形状は失われる。
(2−2)本実施の形態による無線通信システムの構成
図10において、120は第2の実施の形態による無線通信システムを示す。この無線通信システム120は、無線通信方式として図16について上述した本実施の形態によるIFDMA方式が適用されている点を除いて第1の実施の形態による無線通信システム40と同様に構成されている。
図11との対応部分に同一符号を付して示す図17は、かかる本実施の形態による無線通信システム120における携帯通信端末121の具体的な構成を示すものである。この図17からも明らかなように、本実施の形態による携帯通信端末121においては、QPSK変調部52から出力されるQPSK変調信号S3をインタリーバ55に入力する。
インタリーバ55は、供給されるQPSK変調信号S3に対して、第1の実施の形態によるインタリーブ処理と同様のインタリーブ処理を施す。この際、インタリーバ55は、送受信部59から通知される上位制御局122により指定された拡散率SFと同じ回数だけデータを繰り返し読み出す。つまり、インタリーバ55においてデータが繰り返し読み出される回数がIFDMA方式における拡散率SFとなる。そしてインタリーバ55は、かくして得られたインタリーブ信号S20を周波数変換部130に送出する。
このとき直交周波数発生部131には、送受信部59から上位制御局122により指定された直交周波数が直交周波数指定情報D10として与えられる。そして直交周波数発生部131は、この直交周波数指定情報D10に基づいて、その直交周波数を有するフーリエ系列の直交符号を発生させ、これを周波数変換部130に送出する。
かくして直交周波数発生部130は、この直交符号とインタリーブ信号S20とを乗算するようにして当該インタリーブ信号S20の周波数を変換処理し、得られた周波数変換信号S21をスクランブラ132に送出する。
スクランブラ132は、IFDMA方式における直交符号のプラス極性領域及びマイナス極性領域にそれぞれ同一のスクランブルコード群を順次乗算するようにしてインタリーブ信号S20をスクランブル処理し、得られたスクランブル信号S22をガードインターバル挿入部58に送出する。かくしてこのスクランブル信号S22はこの後ガードインターバル挿入部58においてガードインターバルが挿入された後に送受信部59及びアンテナ60を順次介して送信信号S8として発信される。
一方、携帯通信端末121においては、通話相手側から基地局42を中継して送信される送信信号S10をアンテナ60を介して送受信部59において受信する。そして送受信部59は、この送信信号S10に対してダウンコンバート処理等の所定の信号処理を施し、得られた受信信号S11を周波数変換部133に送信する。
また送受信部59は、これとは別に上位制御局122から基地局42を介して送信される上述の直交周波数を直交周波数指定情報D1として直交周波数発生部134に送信すると共に、当該上位制御局122から基地局42を介して送信される上述のスクランブルコード数指定情報D2をスクランブルコード発生部57に送信する。
直交周波数発生部134は、供給される直交周波数指定情報D10に基づいて、そのユーザに固有の直交周波数を有するフーリエ系列の直交符号を発生させ、これを周波数変換部133に送出する。かくして周波数変換部133は、直交周波数発生部134から与えられる直交符号を受信信号S11に乗算するようにして、当該受信信号S11の周波数を元の周波数帯域に変換し、得られた周波数変換信号S23をガイドインターバル除去部61に送信する。
そして周波数変換信号S23は、この後ガードインターバル除去部61においてガードインターバルが除去され、周波数領域等化部62において最小平均二乗誤差規範に基づく所定の周波数領域等化処理が施される。また周波数変換信号S23は、さらにこの後デスクランブラ135においてIFDMA方式における直交符号のプラス極性領域及びマイナス極性領域にそれぞれ同一のスクランブルコード群を順次乗算するようにしてインタリーブ信号S20をデスクランブル処理する。
さらにデインタリーバ137は、デスクランブル処理された周波数変換信号S23に対して、送受信部59から通知される上位制御局122により指定されたそのときの拡散率SFに基づいてデインタリーブ処理を施し、得られたデインタリーブ信号S24を積分処理部136に送出する。
積分処理部136は、供給されるデインタリーブ信号S24を順次積分処理し、得られた積分信号S25をQPSK復調部68に送出する。かくして積分信号S25は、この後QPSK復調部68において復調処理され、信号処理部69においてディジタル/アナログ変換処理等の所定の信号処理が施されることにより音声信号S18に変換される。そしてこの音声信号S18がスピーカ70に与えられ、これによりこの音声信号S18に基づく音声がスピーカ70から出力される。
このようにしてこの携帯通信端末121においては、ユーザの音声を通話相手側に送信する一方、通話相手側から送信される音声をスピーカ70から出力し得るようになされている。
一方、図12において123は、上位制御局122(図10)内に設けられた、携帯通信端末121間の通信を制御する通信制御装置123の構成を示すものである。この通信制御装置124は、記憶装置124に格納されたアプリケーションソフトウェアがIFDMA方式に対応したものとなっていることを除いて第1の実施の形態による通信制御装置80と同様に構成されている。
そして、この通信制御装置123のCPU81は、各基地局42から与えられる接続ユーザ数情報及び記憶装置124に格納されたアプリケーションソフトウェアに基づき、図18に示す直交符号割当て及びスクランブルコード数算出処理手順RT3に従って、各接続ユーザに対する直交符号の割当て処理と、そのとき使用すべきスクランブルコード数の算出及び決定処理とを行い、これらの処理結果を各携帯通信端末121に送信する。
すなわちCPU81は、通信制御装置123の電源が投入されると、この直交符号割当て及びスクランブルコード算出処理手順RT3をステップSP20において開始し、続くステップSP21において、そのとき各基地局42から与えられる接続ユーザ数情報に基づいて接続ユーザ数の合計値を算出し、この算出結果に基づいて接続ユーザ数の数に変化があったか否かを判断する。
CPU81は、このステップSP21において否定結果を得ると、肯定結果を得るのを待ち受ける。そしてCPU81は、やがて接続ユーザ数が増加又は減少することによりこのステップSP21において肯定結果を得ると、ステップSP22に進んで、新規の接続ユーザに直交周波数を割り当てる。このときCPU81は、その新規の接続ユーザに対して周波数が低い、つまり1直交符号周期内での回転回数が少ない直交符号を優先的に割り当てる。
次いで、CPU81は、ステップSP23に進んで、そのときの拡散率SF及びステップSP21において算出した接続ユーザ数に基づいて、(4)式を用いてそのとき新規の接続ユーザの携帯通信端末121に設定すべきスクランブルコード数を算出する。この際、CPU81は、ステップSP21において算出した接続ユーザ数がそのときの拡散率SFの半分を越える場合には、スクランブルコード数を1とする。
さらにCPU81は、この後ステップSP24に進んで、ステップSP22において各接続ユーザにそれぞれ割り当てた直交周波数及びそのときの拡散率SFと、ステップSP23において算出したスクランブルコード数とを、対応する基地局42を介してその新規の接続ユーザの携帯通信端末41に送信する。そしてCPU81は、この後ステップSP21に戻り、さらにこの後同様の処理(ステップSP21〜ステップSP24)を繰り返す。
(2−3)本実施の形態の動作及び効果
以上の構成において、この無線通信システム120も、各接続ユーザに対して周波数が低い直交符号を優先的に割り当てると共に、拡散率SF及び接続ユーザ数からそのとき使用するスクランブルコード数を求め、このスクランブルコード数のスクランブルコードを用いて、直交符号のプラス極性領域及びマイナス極性領域に同一のスクランブルコード群を乗算するようにして送信データをスクランブル処理する。
そして、本実施の形態による無線通信方式の場合も、受信側において受信データを積分処理部136において行われる積分処理によって、同じスクランブルコードが繰り返された直交符号のプラス極性領域及びマイナス極性領域それぞれで受信データの電力変動にキャンセリング(相殺)が発生し、マルチパス環境下におけるマルチパス干渉を白色化することができる。さらに、プラス領域及びマイナス領域にペアで配置したスクランブルコード群同士の相殺により、マルチユーザ干渉が生じない。
従って、本実施の形態による無線通信方式を適用することによって、CIBS−CDMA方式の利点であるユーザ間干渉が原理的に生じない利点を常時損なわず、また接続ユーザ数が少ない場合にはマルチパス干渉を低減させることができるため、従来の無線通信方式よりも大幅にその通信品質を改善することができ、省電力化を図ることができる。
以上の構成によれば、各接続ユーザに対して周波数が低い直交符号を優先的に割り当てると共に、接続ユーザ数からそのとき使用するスクランブルコード数を求め、このスクランブルコード数のスクランブルコードを用いて、直交符号のプラス極性領域及びマイナス極性領域に同一のスクランブルコード群を乗算するようにして送信信号をスクランブル処理した後に当該送信信号を送信側から送信するようにしたことにより、CIBS−CDMA方式の利点であるユーザ間干渉が原理的に生じない利点を損なうことなくマルチパス干渉を低減させることができ、かくして通信品質を向上させ得る無線通信システムを実現できる。
(3)他の実施の形態
なお上述の第1及び第2の実施の形態においては、第1及び第2の実施の形態では拡散率SF及び接続ユーザ数に基づいてスクランブルコード数を算出するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、これら変調処理に関するパラメータ(拡散率SF)及び接続ユーザ数の少なくとも1つに基づいてスクランブルコード数を算出するようにしても良い。
また上述の第1及び第2の実施の形態においては、本発明を、CIBS−CDMA方式やIFDMA方式に適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、要は、直交符号として、直交識別子の構成要素内でプラス極性領域及びマイナス極性領域を有する直交符号を用いるこの他種々の無線通信方式及び当該無線通信方式を適用した無線通信システムに広く適用することができる。
さらに上述の第1及び第2の実施の形態においては、拡散率及び通信中の携帯通信端末数の少なくとも1つに基づいて、携帯通信端末41,121におけるスクランブル処理時のスクランブルコード数を決定するスクランブル系列数決定手段として上位制御局43,122の通信制御装置80,123を適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、かかるスクランブル系列数決定手段を上位制御局43,122の通信制御装置80,123とは別に設けるようにしても良い。
さらに上述の第1及び第2の実施の形態においては、上位制御局43,122の通信制御装置80,123により決定されたスクランブルコード数のスクランブルコードからなる同一のスクランブルコード群を直交符号のプラス極性領域及びマイナス極性領域にそれぞれ乗算するようにしてスクランブル処理するスクランブル手段としてのスクランブラ56,130をインタリーバ55の後段に配置するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、スクランブラ56,130をインタリーバ55の前段に配置するようにしても良く、スクランブラ56,130の配置位置はどこであっても良い。
20,40,90,120……無線通信システム、10,53……拡散処理部、11,55……インタリーバ、12,65……デインタリーバ、13,66……逆拡散処理部、21……送信側、22……受信側、30,56,132……スクランブラ、31,63,63,135……デスクランブラ、41,121……携帯通信端末、42……基地局、43,122……上位制御局、80,123……通信制御装置、81……CPU。