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JP4908385B2 - バイオセンサー用チップおよびその製造方法並びに表面プラズモン共鳴分析用センサー - Google Patents
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JP4908385B2 - バイオセンサー用チップおよびその製造方法並びに表面プラズモン共鳴分析用センサー - Google Patents

バイオセンサー用チップおよびその製造方法並びに表面プラズモン共鳴分析用センサー Download PDF

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Description

本発明は、生理活性物質を固定するのに有用なバイオセンサー用チップおよびその製造方法、並びにバイオセンサー用チップを利用した表面プラズモン共鳴分析用センサーに関するものである。
現在、臨床検査等で免疫反応など分子間相互作用を利用した測定が数多く行われているが、中でも煩雑な操作や標識物質を必要とせず、測定物質の結合量変化を高感度に検出することのできるいくつかの技術が使用されている。例えば、表面プラズモン共鳴(SPR)測定技術、水晶発振子マイクロバランス(QCM)測定技術、金のコロイド粒子から超微粒子までの機能化表面を使用した測定技術などがあげられる。
表面プラズモン共鳴を利用した測定に使用される測定チップは、透明基板(例えば、ガラス)上に、蒸着された金属膜、タンパク質等の生理活性物質を固定化できる官能基を有する薄膜を順に有し、官能基を介して金属表面に生理活性物質が固定化されている。そして、生理活性物質と検体物質間の特異的な結合反応を測定することによって、生体分子間の相互作用を分析することが可能である。
上記生理活性物質は、生体を構成する基本材料である生体高分子(核酸、タンパク、多糖等)や、これらの構成要素であるヌクレオチドやヌクレオシド、アミノ酸、糖、さらに脂質やビタミン、ホルモンなどの、生体の調節や生体の機能を変化させる物質であり、これらは医薬成分や機能性食品の開発等において重要である。
例えば、チオール基(SH基)を有する低分子化合物としてはシステイン、ホモシステイン、グルタチオン、補酵素A、ジヒドロリポ酸などがあり、補酵素A、ジヒドロリポ酸などの補酵素はアシル基とチオエステルを形成してアシル基のキャリアーとして働く。また、グルタチオン、システインは細胞内の酸化還元電位の調整に関与している。また、タンパク、ペプ チド中のSH基はシステイン残基中のものであり、酵素、ホルモンなどの活性に重要な役割を果たしている。
このようなSH基を有する化合物はマレイミドと結合することが知られている。この結合を利用したバイオセンサー用チップとして、センサーチップ表面のカルボキシル基にマレイミドを導入したチップが知られている(非特許文献1)。このチップによれば、上記のSH基を有する生体成分を検出することが可能である。
Biacore社製SPRバイオセンサーユーザー向け「Biacore実験の手引き」14-15頁 2006.09.05
しかし、上記非特許文献1のチップでSH基を有する生体成分の吸着量を調べてみると、実際に含有されているSH基を有する生体成分の半分以下しか検出できないことがわかった。バイオセンサーチップにおいては非特異吸着が多いと正確な検出を行うことができないことから、非特異吸着をいかに抑制するかが重要であるが、それ以上に特異的吸着をいかに正確に検出することができるかが根本的な課題であり、吸着量は極めて需要なファクターである。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、SH基を有する生体成分の特異的吸着を正確に検出することが可能であって、非特異吸着を抑制することが可能なバイオセンサー用チップおよびその製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明のバイオセンサー用チップは、基板と、該基板表面上に配置されたヒドロゲルと、該ヒドロゲルと結合したポリアミノ基と、該ポリアミノ基と結合したα,β−不飽和カルボニル基とを備えてなることを特徴とするものである。
前記ポリアミノ基はジアミノアルキレン基またはジ(アミノアルキル)エーテル基であることが好ましい。
前記α,β−不飽和カルボニル基はマレイミド基であることが好ましい。
前記ヒドロゲルはカルボキシル基を有するポリマーであることが好ましく、より好ましくはカルボキシメチル変性のデキストランであることが望ましい。
前記ヒドロゲルは金属膜を介して前記基板上に配置されていることが好ましい。この場合、前記金属膜は、金、銀、銅、白金、またはアルミニウムから選択される少なくとも1つの金属からなることが望ましい。
本発明のバイオセンサー用チップの製造方法は、基板表面上に配置されたヒドロゲルを活性化し、該活性化したヒドロゲルにポリアミノ基を有する化合物を結合させ、その後、α,β−不飽和カルボニル基を有する化合物を結合させることを特徴とするものである。
前記バイオセンサー用チップは表面プラズモン共鳴分析用センサー用チップとして好適に用いられる。
本発明のバイオセンサー用チップは、基板と、この基板表面上に配置されたヒドロゲルと、ヒドロゲルと結合したポリアミノ基と、ポリアミノ基と結合したα,β−不飽和カルボニル基とを備えてなり、α,β−不飽和カルボニル基をヒドロゲルと結合したポリアミノ基によって固定しているので、非特異吸着を抑制しながら、同時にSH基を有する生体成分の特異的吸着量を格段に多くすることができ、従って検体のSH基を有する生体成分を正確に検出することが可能である。
ヒドロゲルと結合したポリアミノ基によってα,β−不飽和カルボニル基を固定することにより、SH基を有する生体成分の特異的吸着量を増やすことができるメカニズムの詳細は不明であるが、ヒドロゲルとα,β−不飽和カルボニル基を直接結合させると、そこに電荷の反発が発生して、α,β−不飽和カルボニル基の結合量が想定しているよりも少なくなってしまうが、本発明では、ポリアミノ基を連結基として使用することにより、電荷反発が軽減されてα,β−不飽和カルボニル基の結合量が多くなることが関係しているものと推測される。
以下、図面を参照して本発明のバイオセンサー用チップについて説明する。図1は、本発明のバイオセンサー用チップの構成を模式化して示した概略模式図である。
本発明のバイオセンサー用チップは、図1に示すように、基板と、この基板表面上に配置されたヒドロゲルと、このヒドロゲルと結合したポリアミノ基と、このポリアミノ基と結合したα,β−不飽和カルボニル基とを備えてなる。
ポリアミノ基は1つの基内に2〜4個のアミノ基を有するものであって、好ましくは2〜3個のアミノ基を有するものであることが望ましく、ジアミノアルキレン基やジ(アミノアルキル)エーテル基が好ましい。このとき、2つのアミノ基を連結しているアルキレン基、アルキル基は炭素数が2〜10が好ましく、2〜4がより好ましい。具体的には、エチレンジアミン基、テトラエチレンジアミン基、オクタメチレンジアミン基、デカメチレンジアミン基、トリエチレンジアミン基、ジエチレントリアミン基、トリエチレンテトラアミン基、ジヘキサメチレントリアミン基、1,4−ジアミノシクロヘキサン基、2−アミノエチルエーテル、3−アミノプロピルエーテル等の脂肪族ジアミン基、パラフェニレンジアミン基、メタフェニレンジアミン基、パラキシリレンジアミン基、メタキシリレンジアミン基、4,4’−ジアモノビフェニル基、4,4’−ジアミノジフェニルメタン基、4,4’−ジアミノジフェニルケトン基、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン酸基等の芳香族ジアミン基を好ましく用いることができる。
α,β−不飽和カルボニル基としては、3−ブテン−2−オン基、2−シクロヘキセン−1−オン基、2−シクロペンテン−1−オン基などのα,β−不飽和ケトン基、アクリル酸メチル基、メタクリル酸エチル基などの(メタ)アクリル酸エステル基、アクリル酸アミド基、メタクリル酸ジイソプロピルアミド基などの(メタ)アクリル酸アミド基、マレイミド、3,4−デヒドロ−1−メチルピリミジン−2,6−ジオン、3,4−デヒドロ−1−フェニルピリミジン−2,6−ジオンなどのα,β−不飽和イミド基があげられる。特に、SH基との反応性の観点からはマレイミドなどのα,β−不飽和イミド基がより好ましい。
図1に示すバイオセンサー用チップは基板上に配置されたヒドロゲルに、ポリアミノ基およびα,β−不飽和カルボニル基がそれぞれ結合したものであるが、ヒドロゲルは金属膜を介して基板上に配置されていることが好ましく、ヒドロゲルは金属膜上に形成された自己組織化膜に結合していてもよい。以下、本発明のバイオセンサー用チップを構成するその他の構成素材について詳細に説明する。
(基板と金属膜)
本発明のバイオセンサー用チップにおける基板は、表面プラズモン共鳴バイオセンサー用を考えた場合、一般的にはBK7等の光学ガラス、あるいは合成樹脂、具体的にはポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマーなどのレーザー光に対して透明な材料からなるものが使用できる。このような基板は、好ましくは、偏光に対して異方性を示さずかつ加工性の優れた材料が望ましい。
基板上には金属膜が配置されることが好ましい。ここで、基板上に配置されるとは、金属膜が基板上に直接接触するように配置されている場合のほか、金属膜が基板に直接接触することなく、他の層を介して配置されている場合をも含む意味である。金属膜を構成する金属としては、表面プラズモン共鳴が生じ得るようなものであれば特に限定されないが、好ましくは金、銀、銅、白金、パラジウムおよびアルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1つの金属であることが好ましく、特に金が好ましい。これらの金属は単独又は組み合わせて使用することができる。また、上記基板への付着性を考慮して、基板と金属からなる層との間にはクロム等からなる介在層を設けてもよい。
金属膜の膜厚は任意であるが、0.1nm以上500nm以下であることが好ましく、特に1nm以上200nm以下であることが好ましい。500nmを超えると、媒質の表面プラズモン現象を十分検出することができない。また、クロム等からなる介在層を設ける場合、その介在層の厚さは、0.1nm以上10nm以下であることが好ましい。
金属膜の形成は常法によって行えばよく、例えば、スパッタ法、蒸着法、イオンプレーティング法、電気めっき法、無電解めっき法等によって行うことができる。
(自己組織化膜形成分子)
自己組織化膜とは、外からの細かい制御を加えていない状態で、膜材料そのものがもつ機構によって形成される一定の秩序をもつ組織をもった単分子膜やLB膜などの超薄膜のことを言う。この自己組織化により、非平衡な状況で長距離にわたって秩序がある構造やパターンが形成される。
自己組織化膜は、一般式X-R-Yで表される化合物により形成されていることが好ましい。ここで、Xは金属膜と結合可能な基、具体的には−SH、−SS、−SeH、−SeSe、−COSH 基などの金属膜と結合可能な基を表す。ここで、Rは2価の有機連結基であり、場合によりヘテロ原子により中断されていてもよく、好ましくは適当に密な詰め込みのため直鎖(枝分かれしていない)であり、場合により二重及び/又は三重結合を含む炭化水素鎖である。炭素鎖は場合により過フッ素化されることができ、Rのアルキル鎖長は炭素数6〜18であり、好ましくは6〜11である。Yはヒドロゲルと結合可能な基、具体的には、水酸基、ヒドロキシカルボニル基、アルコキシ基、アルキル基からなる群より選ばれる官能基を表す。
より詳細には、自己組織化膜の形成分子としては、金表面においてはアルカンチオール類、ガラス表面においてはアルキルシラン類、シリコン表面においてはアルコール類等が好ましく挙げられる。アルカンチオール類の具体例としては、7−カルボキシ−1−ヘプタンチオール、10-カルボキシ-1-デカンチオール、4,4'-ジチオジブチル酸、11-ヒドロキシ-1-ウンデカンチオール、11-アミノ-1-ウンデカンチオールなどを使用することができる。アルキルシラン類の具体例としてはアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチルアミノトリエトキシシラン、ヒドロキシプロピルトリエトキシシランなどを使用することができる。
(ヒドロゲル)
ヒドロゲルとしては、デキストラン誘導体、デンプン誘導体、セルロース誘導体、ゼラチン等の天然高分子、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド誘導体、ポリメチルビニルエーテル等の合成高分子等を好ましく挙げることができ、カルボキシル基を含有するポリマーであることが好ましい。
具体的には、カルボキシル基含有合成高分子およびカルボキシル基含有天然高分子を用いることができる。カルボキシル基含有合成高分子としては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、およびこれらの共重合体、例えば特開昭59-44615号、特公昭54-34327号、特公昭58-12577号、特公昭54-25957号、特開昭59-53836号、特開昭59-71048号明細書に記載されているようなメタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたものなどが挙げられる。カルボキシル基含有天然高分子としては、天然植物からの抽出物、微生物発酵の生産物、酵素による合成物、または化学合成物の何れであってもよく、具体的には、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ヘパリン、デルマタン酸硫酸、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、セロウロン酸、カルボキシメチルキチン、カルボキシメチルデキストラン、カルボキシメチルデンプン等の多糖類、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸等のポリアミノ酸が挙げられる。カルボキシル基含有天然多糖類は、市販の化合物を用いることが可能であり、具体的には、カルボキシメチル変性デキストランであるCMD、CMD-L、CMD-D40(名糖産業社製)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(和光純薬社製)、アルギン酸ナトリウム(和光純薬社製)、等を挙げることができる。より好ましくはヒドロゲルはカルボキシメチル変性デキストランであることが望ましい。
本発明に用いるヒドロゲルの分子量は特に制限されないが、平均分子量が1000〜5000000であることが好ましく、平均分子量が10000〜2000000であることがより好ましく、平均分子量が100000〜1000000であることがさらに好ましい。この範囲より平均分子量が小さい場合には生理活性物質の固定量が小さくなってしまい、この範囲より平均分子量が大きい場合には高い溶液粘度のため取り扱いが困難となる。
上記したようなヒドロゲルは、上述の自己組織化膜又は疎水性ポリマーを介して基板に結合させてもよいし、あるいはモノマーを含む溶液から直接基板上に形成させることもできる。さらに、上記したヒドロゲルは架橋することもできる。
続いて本発明のバイオセンサー用チップの製造方法を説明する。本発明のバイオセンサー用チップは、上記の方法で準備した基板表面上に配置されたヒドロゲルを活性化し、活性化したヒドロゲルにポリアミノ基を有する化合物を結合させ、その後、α,β−不飽和カルボニル基を有する化合物を結合させることにより製造することができる。以下、順に説明する。
(ヒドロゲルの活性化)
ヒドロゲルとしてカルボキシル基を含有するポリマーを使用する場合、カルボキシル基を活性化することによって、自己組織化膜(あるいは金属膜)で被覆された基板に結合することができる。カルボキシル基を含有するポリマーを活性化する方法としては、公知の手法、例えば、水溶性カルボジイミドである1-(3-Dimethylaminopropyl)-3 ethylcarbodiimide(EDC)とN-Hydroxysuccinimide(NHS)により活性化する方法を好ましく用いることができる。
上記NHSに換えて、下記一般式I(式中、R1及びR2は、互いに独立して置換基を有しても良いカルボニル基、炭素原子、窒素原子を表し、R1及びR2は結合により5〜6員環を形成しても良い)に示される含窒素化合物、
Figure 0004908385
下記式で表される含窒素化合物、
Figure 0004908385
下記一般式II(式中、Y及びZは、互いに独立してCH、または窒素原子を表す)で表される含窒素化合物、
Figure 0004908385
具体的には下記の化合物
Figure 0004908385
さらに、下記の含窒素化合物
Figure 0004908385
を用いることができる。
また、上記NHSに換えて下記一般式IIIで表されるウロニウム塩、下記一般式IVで表されるホスホニウム塩、又は下記一般式Vで表されるトリアジン誘導体を用いることもできる。
Figure 0004908385
(一般式IIIにおいて、R1とR2はそれぞれ独立に炭素数1から6のアルキル基を示すか、又は互いに一緒になって炭素数2から6のアルキレン基を形成してN原子と共に環を形成し、R3は炭素数6から20の芳香環基又は少なくとも1以上のヘテロ原子を含むヘテロ環基を示し、X-はアニオンを示す。一般式IVにおいて、R4とR5はそれぞれ独立に炭素数1から6のアルキル基を示すか、又は互いに一緒になって炭素数2から6のアルキレン基を形成してN原子と共に環を形成し、R6は炭素数6から20の芳香環基又は少なくとも1以上のヘテロ原子を含むヘテロ環基を示し、X-はアニオンを示す。一般式Vにおいて、R7はオニウム基を示し、R8及びR9はそれぞれ独立に電子供与基を示す。)
さらに、上記EDCに換えて水溶性カルボジイミド誘導体を併用することができ、好ましくは下記の化合物、(1-Ethyl-3-(3-dimethylaminopropyl)carbodiimide, hydrochloride)を用いることができる。
Figure 0004908385
活性化されたヒドロゲルは、溶液として基板と反応させてもよく、また、スピンコート等の手法を用いて基板上の薄膜を形成させた状態で反応させてもよい。好ましくは、薄膜を形成させた状態での反応が好ましい。
(ポリアミノ基を有する化合物の結合)
SH基を有する生体成分の定量においては、ポリアミノ基を有する化合物を多く結合させることが重要となる。従って、上記手法で活性化されたヒドロゲルに対しポリアミノ基を有する化合物を結合させるこの工程は、ヒドロゲルの活性化で用いた1-(3-Dimethylaminopropyl)-3 ethylcarbodiimide(EDC)とN-Hydroxysuccinimide(NHS)、およびNHS、EDCに換えて用いることが可能として記載した下記化合物を活性剤として用い、結合させることが好ましい(なお、下記化学式において一般式のRやXは上記と同様である)。
Figure 0004908385
Figure 0004908385
Figure 0004908385
Figure 0004908385
Figure 0004908385
Figure 0004908385
Figure 0004908385
特に好ましくは、
Figure 0004908385
を用いることが好ましい。
なお、ポリアミノ基を有する化合物は、上記で記載したポリアミノ基を有する、ジアミノアルキレンやジ(アミノアルキル)エーテルであり、具体的には、エチレンジアミン、テトラエチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、トリエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、ジヘキサメチレントリアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、2−アミノエチルエーテル、3−アミノプロピルエーテル等の脂肪族ジアミン、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、パラキシリレンジアミン、メタキシリレンジアミン、4,4’−ジアモノビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルケトン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン酸等の芳香族ジアミン基を用いることができる。
またバイオセンサー表面の親水性を向上させるという観点から、2つのアミノ基をエチレングリコールユニットで連結した化合物(下記式中、n及びmは1〜3の整数である)を用いることも可能である。
Figure 0004908385
特にヒドロゲルやα,β−不飽和カルボニル化合物との反応性が好ましい点からはエチレンジアミン、2−アミノエチルエーテルがより好ましい。
(α,β−不飽和カルボニル基を有する化合物との結合)
ポリアミノ基に対してα,β−不飽和カルボニル基を有する化合物を結合させるこの工程はα,β−不飽和カルボニル基を有する化合物を接触(添加)することで達成することができる。なお、上記、ポリアミノ基を有する化合物を結合した際に使用した活性化剤を用いて結合させてもよい。
α,β−不飽和カルボニル化合物としては、上記で記載したα,β−不飽和カルボニル基を有する、3−ブテン−2−オン、2−シクロヘキセン−1−オン、2−シクロペンテン−1−オンなどのα,β−不飽和ケトン化合物、アクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどの(メタ)アクリル酸エステル化合物、アクリル酸アミド、メタクリル酸ジイソプロピルアミドなどの(メタ)アクリル酸アミド化合物、マレイミドなどのα,β−不飽和イミド化合物があげられる。特に、SH基との反応性の観点からはマレイミドなどのα,β−不飽和イミド化合物がより好ましい。
(生理活性物質)
生理活性物質は、例えばSH基を有する、免疫蛋白質、酵素、微生物、核酸、低分子有機化合物、非免疫蛋白質、免疫グロブリン結合性蛋白質、糖結合性蛋白質、糖を認識する糖鎖、脂質、脂肪酸もしくは脂肪酸エステル、あるいは配位子結合能を有するポリペプチドもしくはオリゴペプチドなどが挙げられる。生理活性物質の固定化は、生理活性物質を含む溶液を塗布することによって、あるいは生理活性物質を含む溶液に浸漬する方法によって行うことができる。
(バイオセンサー)
本発明にいうバイオセンサーとは最も広義に解釈され、生体分子間の相互作用を電気的信号等の信号に変換して、対象となる物質を測定・検出するセンサーを意味する。通常のバイオセンサーは、検出対象とする化学物質を認識するレセプター部位と、そこに発生する物理的変化又は化学的変化を電気信号に変換するトランスデューサー部位とから構成される。生体内には、互いに親和性のある物質として、酵素/基質、酵素/補酵素、抗原/抗体、ホルモン/レセプターなどがある。バイオセンサーでは、これら互いに親和性のある物質の一方を基板に固定化して分子認識物質として用いることによって、対応させるもう一方の物質を選択的に計測するという原理を利用するものである。
本発明のバイオセンサー用チップは、バイオセンサー用チップ基板上に固定化した生理活性物質と被験物質との相互作用を検出及び/又は測定するのに用いることができる。バイオセンサーとしては、先に記載したように、例えば表面プラズモン共鳴(SPR)測定技術、水晶発振子マイクロバランス(QCM)測定技術、金のコロイド粒子から超微粒子までの機能化表面を使用した測定技術などが挙げられる。
好ましい態様によれば、本発明のバイオセンサー用チップは、例えば、透明基板上に配置される金属膜を備えた表面プラズモン共鳴用バイオセンサーのチップとして用いることができる。表面プラズモン共鳴バイオセンサーは、センサーより照射された光を透過及び反射する部分、並びに生理活性物質を固定する部分とを含む部材からなるが、本発明のバイオセンサー用チップは生理活性物質を固定する部分を含む部材として用いることができる。
表面プラズモンが光波によって励起される現象を利用して、被測定物質の特性を分析する表面プラズモン測定装置としては、Kretschmann配置と称される系を用いるものが挙げられる(例えば特開平6-167443号公報参照)。上記の系を用いる表面プラズモン測定装置は基本的に、例えばプリズム状に形成された誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されて試料液などの被測定物質に接触させられる金属膜と、光ビームを発生させる光源と、上記光ビームを誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと金属膜との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、上記界面で全反射した光ビームの強度を測定して表面プラズモン共鳴の状態、つまり全反射減衰(ATR)の状態を検出する光検出手段とを備えてなるものである。
図面を用いて説明する。図2は本発明のバイオセンサー用チップを備えた表面プラズモン共鳴分析用センサーの一実施の形態を側面形状で示す概略図である。表面プラズモン共鳴分析用センサーは、図2に示す構成の複数の表面プラズモン測定ユニットから構成され、測定ユニットは、バイオセンサー用チップ10と、光ビーム13を発生する光源であるレーザ光源14と、上記光ビーム13をチップ10に対して入射させる入射光学系15と、チップ10で反射された光ビーム13を平行光化して光検出器17に向けて射出するコリメータレンズ16と、コリメータレンズ16より出射された光ビーム13を受光して光強度を検出する光検出器17と、光検出器17に接続された差動アンプアレイ18と、差動アンプアレイ18に接続されたドライバ19と、ドライバ19に接続されたコンピュータシステム等からなる信号処理部20とからなる。なお、信号処理部20は、チップ10毎になされる感度補正を行う感度補正手段としても機能するものである。なお、光検出器17、差動アンプアレイ18、ドライバ19および信号処理部20により光ビーム中の暗線位置を測定する測定手段が構成されている。
チップ10は、四角錐の4つの稜線が集まる頂角を含む一部分が切り取られ、かつこの四角錐の底面に試料液を貯える試料保持機構として機能する凹部が形成された形状の誘電体ブロック11と、この誘電体ブロック11の凹部の底面に形成された金属膜12とからなっており、図示は省略しているが、この金属膜12上には上述したようにポリマーが結合され、このポリマー表面にはヒドロゲルが配置され、このヒドロゲルにポリアミノ基およびα,β−不飽和カルボニル基が順に結合している。
また、全反射減衰(ATR)を利用する類似の測定装置として、例えば「分光研究」第47巻 第1号(1998)の第21〜23頁および第26〜27頁に記載がある漏洩モード測定装置も知られている。この漏洩モード測定装置は基本的に、例えばプリズム状に形成された誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されたクラッド層と、このクラッド層の上に形成されて、試料液に接触させられる光導波層と、光ビームを発生させる光源と、上記光ビームを上記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックとクラッド層との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、上記界面で全反射した光ビームの強度を測定して導波モードの励起状態、つまり全反射減衰状態を検出する光検出手段とを備えてなるものであるが、本発明のバイオセンサー用チップはこのような漏洩モード測定装置にも用いることができる。
また、本発明のバイオセンサー用チップは、例えば基板表面に、回折格子と場合によっては付加層とを有している導波路構造を保持した、屈折率変化を導波路を用いて検出するバイオセンサーのチップとしても用いることができる。この方式のバイオセンサーの構成については、例えば特公平6-27703号公報4ページ48行目から14ページ15行目および第1図から第8図、米国特許第 6,829,073号のcolumn6の31行目からcolumn7の47行目および第9図A,Bに記載されている。また、別の実施形態として、回折格子導波路のアレイがマイクロプレートのウェル内に組み込まれる形態も可能である(特表2007-501432号)。すなわち回折格子導波路がマイクロプレートのウェル底面にアレイ状に配列されていれば、スループットの高い薬物または化学物質のスクリーニングを可能にすることができる。
以下に本発明のバイオセンサー用チップについての実施例を示す。
(実施例1)
Figure 0004908385
2.8mM HODhbt(3,4-ジヒドロ-3-ヒドロキシ-4-オキソ-1,2,3-ベンゾトリアジン)水溶液50μlと0.4M EDC水溶液50μlを混合し、この混合液をCM5(Biacore社製)のセンサー表面に添加し室温で10分間反応させた。反応後センサー表面をミリQ水で洗滌し、真空乾燥機で10分間乾燥させた。続いてエチレンジアミンをセンサー表面に100μl添加し、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩((1-Ethyl-3-(3-dimethylaminopropyl)carbodiimide, hydrochloride))とともに室温で10分間反応させた。反応後センサー表面を0.1N-NaOH、続いてミリQ水で洗滌した。
次ぎに、0.8mM SSMCC(スルホコハク酸イミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサンカルボンキシレートナトリウム塩)をセンサー表面に300μl添加し室温で30分間反応させた。反応後PBS(0.01M、pH7.2+150mM NaCl)、ミリQ水で洗滌し、チッソフローにより乾燥した。
(比較例1)
Figure 0004908385
0.1mM 11−カルボニルウンデカンチオール塩酸塩(同仁化学研究所製)水溶液にSIA Kit Au (Biacore社製)の金チップを浸漬し40 ℃で20時間反応させ、反応後、40℃のミリQで洗滌し、チッソフローにより乾燥したものをCM5(Biacore社製)のかわりに用いた以外は実施例1と同様な操作を行った。
(比較例2)
Figure 0004908385
2.8mM HODhbt水溶液50μlと0.4M EDC水溶液50μlを混合し、この混合液をCM5(Biacore社製)のセンサー表面に添加し室温で10分間反応させた。反応後センサー表面をミリQ水で洗滌し、真空乾燥機で10分間乾燥させた。さらに300μlの100mMCMDBMPH(N-[β-maleimidopropionic acid] hydrazide, TFA salt)とともに室温で10分間反応させた。反応後センサー表面を0.1N-NaOH、続いてミリQ水で洗滌し、チッソフローにより乾燥した。
(センサーチップの評価)
実施例1、比較例1および2で作製したセンサーチップをSPR測定装置(Biacore3000、Biacore社製)にセットし、HBS-EP bufferで安定化した流路に、流速10μl/minで100mM グルタチオン(Glutathione)を5分間反応させ、その吸着量から目的物の固定量を評価した。また同様に0.1mg/ml フィブリノーゲン(Fibrinogen)を5分間反応させ、その吸着量から表面への非特異吸着を評価した。結果を表1に示す。
Figure 0004908385
表1から明らかなように、実施例1のチップではグルタチオンの固定量が比較例2のチップの固定量に比較して倍以上であり、非特異吸着を示すフィブリノーゲン吸着量は比較例1のチップに比較して2桁も有意に抑制された。この結果から、本発明のチップはSH基を有する生体成分の固定量を飛躍的に高めることができる一方で、非特異吸着が抑制され、極めて高レベルな測定が可能である。
本発明のバイオセンサー用チップの一実施の形態を示す模式概略図 本発明のバイオセンサー用チップを備えた表面プラズモン共鳴分析用センサーの概略図

Claims (9)

  1. 基板と、該基板表面上に配置されたヒドロゲルと、該ヒドロゲルと結合したポリアミノ基と、該ポリアミノ基と結合したα,β−不飽和カルボニル基とを備えてなることを特徴とするバイオセンサー用チップ。
  2. 前記ポリアミノ基がジアミノアルキレン基またはジ(アミノアルキル)エーテル基であることを特徴とする請求項1記載のバイオセンサー用チップ。
  3. 前記α,β−不飽和カルボニル基がマレイミド基であることを特徴とする請求項1または2記載のバイオセンサー用チップ。
  4. 前記ヒドロゲルがカルボキシル基を有するポリマーであることを特徴とする請求項1、2または3記載のバイオセンサー用チップ。
  5. 前記カルボキシル基を有するポリマーがカルボキシメチル変性デキストランであることを特徴とする請求項4記載のバイオセンサー用チップ。
  6. 前記ヒドロゲルが金属膜を介して前記基板上に配置されていることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載のバイオセンサー用チップ。
  7. 前記金属膜が、金、銀、銅、白金、またはアルミニウムから選択される少なくとも1つの金属からなることを特徴とする請求項6記載のバイオセンサー用チップ。
  8. 基板表面上に配置されたヒドロゲルを活性化し、該活性化したヒドロゲルにポリアミノ基を有する化合物を結合させ、その後、α,β−不飽和カルボニル基を有する化合物を結合させることを特徴とするバイオセンサー用チップの製造方法。
  9. 請求項1〜7記載のバイオセンサー用チップを備えていることを特徴とする表面プラズモン共鳴分析用センサー。
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