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JP4918406B2 - 電磁クラッチ - Google Patents
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JP4918406B2 - 電磁クラッチ - Google Patents

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Description

本発明は、電磁クラッチにおける回転シャフトの回転情報を、磁気検出手段を利用して検出する技術に関し、特に磁気検出手段に及ぼす漏洩磁束の影響を抑え、検出精度を向上させる技術に関する。
磁力によってクラッチの接続/非接続を行う電磁クラッチが知られている。電磁クラッチは、電磁コイルによって生成される磁力によってロータにアーマチュア(摩擦板)を吸引させ、両者間の摩擦力によって、駆動力の伝達が行われる。また、電磁コイルへの通電を切れば、ロータからアーマチュアが離れ、駆動力の伝達が遮断される。
電磁クラッチは、クラッチの動作を電子的に制御することができる優位性がある。また、駆動力を伝達する回転シャフトの回転角を計測する構成を内蔵することで、駆動力の伝達制御に加えて、駆動軸の角度制御に利用することもできる。
クラッチの回転シャフトの回転を検出する技術に関しては、例えば特許文献1に記載された構成が公知である。また、特許文献2には、MRセンサを用いて磁性体ロータの回転を検出する技術が記載されている。
特開2005−121105号(要約書) 特開2006−250629号(要約書)
電磁クラッチは、その動作の原理上、磁束が発生する。この磁束が上述した回転シャフトの回転角を検出するための磁気検出手段において検出されると、磁気検出手段の検出出力に歪み等が発生し、検出精度が低下する。そこで、本発明は、磁気検出手段を用いた回転シャフトの回転情報検出機構を備えた電磁クラッチにおいて、磁気検出手段に及ぼすクラッチ動作に必要な磁力の影響を低減することができ、検出精度を向上させる技術を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、ロータと、前記ロータに対して所定の隙間を有した状態で対向して配置されたアーマチュアと、前記アーマチュアと共に回転する回転シャフトと、磁性体により構成されるステータハウジングに固定され、前記ロータと前記アーマチュアとを吸着させる磁力を発生するための電磁コイルと、前記回転シャフトに対して固定された磁石と、前記ステータハウジングに対して固定され、前記磁石の磁気を検出する磁気検出手段と、前記磁気検出手段と前記電磁コイルとの間に配置された磁気シールド手段とを備え、前記磁気シールド手段は、所定の間隔を有して配置された複数の磁気シールド板であり、前記回転シャフトに対して固定された第1の磁気シールド板と、前記ステータハウジングに対して固定された第2の磁気シールド板とを備えることを特徴とする電磁クラッチである。
請求項1に記載の発明によれば、電磁コイルと磁気検出手段との間に磁気シールド手段があるので、磁気検出手段に到達する電磁コイルからの漏れ磁束を少なくでき、電磁コイルが生成する磁束が磁気検出手段の出力に及ぼす影響を軽減することができる。このため、検出精度を向上させることができる。磁気シールド手段は、極力透磁率の高い磁性体によって構成されることが望ましい。磁気シールド手段を構成する磁性体としては、鉄、フェライト材料、その他一般に磁気シールド効果が得られる材料として知られているものを利用することができる。
ここで、アーマチュアは、回転シャフトに対して直接固定されていてもよいし、間接的に固定されていてもよい。電磁コイルもステータハウジングに対して、直接固定されていてもよいし、間接的に固定されていてもよい。磁石も回転シャフトに対して、直接固定されていてもよいし、間接的に固定されていてもよい。磁気検出手段もステータハウジングに対して、直接固定されていてもよいし、間接的に固定されていてもよい。磁気検出手段は、磁気を検出して、それを電気信号等に変換して出力することができる装置のことをいう。磁気検出手段としては、MR素子(磁気抵抗素子)を用いたデバイスを利用することが好ましい。なお、ここで「固定」とは、後述するようにアーマチュアが回転シャフトに板ばねを介して固定されている場合のような、回転方向に関しては固定されているが、軸方向に関しては可動であるような場合も含むものとする。
請求項1に記載の発明によれば、磁気シールドが多重に行われるので、シールド効果をより高めることができる。このため、電磁コイルが生成する磁気の磁気検出手段への影響をさらに弱めることができる。多重に配置する磁気シールド板の数は、より多い方が磁気シールド効果を高くすることができる。
請求項1に記載の発明によれば、回転シャフト側に固定された磁気シールド板(第1の磁気シールド板)とステータハウジング側(ステータ側)に固定された磁気シールド板(第2の磁気シールド板)によって、電磁コイルと磁気検出手段との間に2重磁気シールド構造が形成される。この構造によれば、互い違いに磁気シールド板が重なる配置となるので、漏洩磁束の少ない磁気シールド構造とすることができる。
また、回転シャフトが磁性体である場合、第1の磁気シールド板が回転シャフト側に固定されているので、第1の磁気シールド板が回転シャフトを介しての磁束の漏洩に対してシールド効果を発揮する。そして、第2の磁気シールド板がステータハウジング側に固定されているので、ステータハウジングを介しての磁束の漏洩に対してシールド効果を発揮する。このため、電磁コイル側から磁気検出手段側に漏洩する磁束を効果的に減らすことができる。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の発明において、第1の磁気シールド板は、円板部分または円環部分を備えると共に、ステータハウジングと第2の磁気シールド板の間に配置され、第2の磁気シールド板は、円環部分と円筒部分とを備え、第2の磁気シールド板が備えた円環部分は、第1の磁気シールド板が備えた円板部分または円環部分に対向し、第2の磁気シールド板が備えた円筒部分は、第1の磁気シールド板が備えた円板部分または円環部分の外周面の外側を覆っていることを特徴とする。
請求項に記載の発明によれば、第1の磁気シールド板がステータハウジングと第2の磁気シールド板との間に挟まれ、さらに第1の磁気シールド板の外周外側が第2の磁気シールド板の円筒部分によって覆われるので、第1の磁気シールド板を介して漏洩する磁束を遮蔽することができ、総合的な磁気シールド効果を高めることができる。
請求項に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、回転シャフトは磁性材料により構成されており、磁石は、非磁性材料のスペーサを介して回転シャフトに固定されていることを特徴とする。請求項に記載の発明によれば、回転シャフトを所定の強度を確保できる磁性材料により構成できるので、強い回転力を伝達することができ、また高い信頼性を有する電磁クラッチを得ることができる。また、非磁性スペーサを利用することで、ここが磁性体である場合より回転シャフトから伝わってくる漏洩磁束を減少させることが可能となる。
請求項に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発明において、第1の磁気シールド板は、回転シャフトの長手方向に垂直な断面の少なくとも一部を覆うことを特徴とする。請求項に記載の発明によれば、回転シャフトの断面が磁気シールドされるので、回転シャフトの長手方向に形成される磁路を伝わってその端部(端面)から出てゆく磁束の影響を抑えることができる。特に回転シャフトを磁性材料で構成した場合、回転シャフトを介して漏洩する磁束の影響が大きいので、上記の構成は効果的となる。
請求項に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の発明において、回転シャフトは磁性材料により構成されており、第1の磁気シールド板は、非磁性材料のスペーサを介して回転シャフトに取り付けられていることを特徴とする。請求項に記載の発明によれば、第1の磁気シールド板と、磁性体で構成される回転シャフトとの間に非磁性材料のスペーサが配置されるので、第1の磁気シールド板部分における回転シャフト端部からの漏洩磁束を減らすことができる。このため、第1の磁気シールド板の磁気シールド効果をより高く発揮させることができる。
請求項に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、回転シャフトは磁性材料により構成されており、磁気検出手段と電磁コイルとの間において、回転シャフトの断面を通る磁束を遮蔽する磁気シールド手段を更に備えることを特徴とする。
磁性体により構成される回転シャフトは、強度に優れコスト的にも有利であるが、回転シャフト自体が磁路となるので、回転シャフトを介した磁束漏洩の問題が顕在化する。請求項に記載の発明によれば、回転シャフト内の長手方向における磁束が磁気シールド手段により遮蔽されるので、回転シャフトを介した磁束の磁気検出手段への漏洩を抑えることができる。これにより、電磁コイル側から回転シャフトを介して漏洩した磁束を磁気検出手段が検出し、回転情報の検出に悪影響が出る不都合を抑えることができる。
本発明によれば、磁気検出手段を用いた回転シャフトの回転情報検出機構を備えた電磁クラッチにおいて、磁気検出手段に及ぼすクラッチ動作に必要な磁力の影響を低減し、検出精度の向上を図ることができる技術を提供することができる。
(1)第1の実施形態
(電磁クラッチの構成)
図1(A)は、本発明の一例である電磁クラッチの概要を示す断面図であり、図1(B)は、図1(A)の電磁クラッチを下面方向から見た下面図である。また、図2は、図1(A)に示す電磁クラッチの概要を示す斜視図である。なお、図2は、図1(A)の電磁クラッチの下側を上にし(つまり上下を逆にし)、それを斜め上方から見た状態が示されている。また図2では、部材を回転可能な状態で固定するベアリングは図示省略されている。
図1および図2には、電磁クラッチ100が示されている。電磁クラッチ100は、ロータ101を備えている。ロータ101は、磁性体で構成され、所定の厚みを有し、断面が略U字形状であり、軸方向から見ると円形を有している。この略U字形状の内側に後述するステータハウジング107と電磁コイル108の一部が収まる構造とされている。ロータ101には、円周方向に周回して延在するスリットS1およびS2が形成されている。図示省略されているが、スリットには、複数箇所(例えば3箇所)の接続部があり、内側の円環部分と外側の円環部分とがそこで接続され、全体がロータ101として一体化されている。ロータ101は、ベアリング102によって、回転シャフト103に回転自在な状態で固定されている。
ロータ101の外周には、図示省略したウォームホイールが配置されている。このウォームホイールには、図示省略したウォームギアが噛み合っている。このウォームギアには、図示省略したモータ等の駆動手段が接続されている。図示省略したモータが回転すると、ウォームギアおよびウォームホイールを介して駆動力がロータ101に伝わり、ロータ101が回転する。
回転シャフト103は、駆動力を伝達する軸であり、所定の強度を確保するために磁性材料(例えば、炭素鋼S45C)で構成されている。図1(A)において、回転シャフト103の上部は、図示省略したプーリ機構(あるいはギア機構)を備え、この機構を介して、外部に回転シャフト103からの駆動力が伝達される。
回転シャフト103には、円環形状の板ばね104が固定され、板ばね104には、所定の厚さを有した磁性体により構成される円環形状のアーマチュア105が固定されている。つまり、アーマチュア105は、板ばね104を介して、回転シャフト103に固定されている。アーマチュア105には、スリットS3が形成されている。スリットS3の構造は、スリットS1およびS2と同じである。スリットS3は、中心軸方向から見て、スリットS1とS2との間の位置に形成されている。アーマチュア105は、ロータ101に対向して配置されている。また、電磁クラッチ100がクラッチとして非接続の状態において、アーマチュア105は、ロータ101から僅かな(例えば数百μm)の間隔を有して離れている。
回転シャフト103は、ベアリング106によってステータハウジング107に回転自在な状態で保持されている。ステータハウジング107は、略U字形状の断面構造を有する磁性体で構成され、その略U字型の内側に電磁コイル108が収納されている。電磁コイル108は、回転シャフト103の中心軸と略同心として巻き線が周回する構造を有し、図示省略したボビンに巻かれている。電磁コイル108には、図示省略したリード線を介して、図示省略した駆動回路からの電源配線が接続されている。ステータハウジング107は、図示省略した外装構造体に固定されている。外装構造体は、電磁クラッチ100の外側を覆う構造体である。
回転シャフト103の端部(図1(A)の下側端部)には、非磁性スペーサ109を介して、多極磁石(多極マグネット)110が固定されている。この例において、非磁性スペーサ109は、非磁性ステンレス鋼(SUS304)によって構成されている。図3は、多極磁石110の概要を示す上面図である。図3(A)には、所定の回転位置における多極磁石110の状態が示され、図3(B)には、(A)の状態から角度φ時計回り方向に回転した状態が示されている。図3に示すように、多極磁石110は、中心が円形にくり抜かれた円環形状を有し、外周の径方向にNSNSと着磁(ラジアル着磁)された永久磁石の磁極構造を有している。
電磁コイル108と多極磁石110との間には、第1の磁気シールド板111と第2の磁気シールド板113を構成要素とする磁気シールド手段が配置されている。まず、多極磁石110とステータハウジング107との間における回転シャフト103の端部(図1(A)の下側端部)には、第1の磁気シールド板111が配置されている。第1の磁気シールド板111は、非磁性スペーサ112を介して、回転シャフト103の端部に固定されている。この例において、非磁性スペーサ112は、円環形状を有したステンレス鋼(SUS304)によって構成されている。第1の磁気シールド板111は、中心に孔が形成された円環形状であり、磁性体(例えば冷間圧延鋼のSPCC)により構成されている。回転シャフトに設けられた孔111aに、非磁性スペーサ109の凸部が圧入されることで、第1の磁気シールド板111の回転シャフト103への固定、および多極磁石110の回転シャフト103への固定が行われている。ここで、固定は、圧入の代わりにネジ止めなどで行ってもよい。
孔111aは、円形であり、その内径は、回転シャフト103の外径よりも小さい。このため、回転シャフト103の軸線を図1(A)の下方向から見ると、回転シャフト103の端面(軸線に垂直な端部断面)は、その中心部分を除いて第1の磁気シールド板111によって覆われた状態とされている。
ステータハウジング107の露出面側(図1(A)の下面側)には、第2の磁気シールド板113が固定されている。第2の磁気シールド板113は、例えば鋼材等の磁性体で構成されている。ステータハウジング107への第2の磁気シールド板113の固定は、例えばネジ止めによって行われている。第2の磁気シールド板113は、中心部分が円形に抜けた円環部分113aと、この円環部分113aの外周縁付近から回転シャフト103の軸線方向に延在し、ステータハウジング107に接触する円筒部分113bとを備えている。
この構造によれば、円環部分113a、円筒部分113bおよびステータハウジング107によって囲まれる厚みの有る円環形状の空間が形成され、そこに第1の磁気シールド板111が周囲と接触しない状態で収まる構造とされている。すなわち、円環部分113bが円環形状の第1の磁気シールド板111に、図1(A)の下側から対向し、円筒部分113bが第1の磁気シールド板111の外周面の外側(外周の外側)を覆っている。
この構造によれば、第1の磁気シールド板111の一方の面(図1(A)の上面)は、ステータハウジング107に所定の隙間を有して対向し、第1の磁気シールド板111の他方の面(図1(A)の下面)は、第2の磁気シールド板113の円環部分113aに所定の隙間を有して対向する。また、第1の磁気シールド板111の外周面(外周の縁部分)は、第2の磁気シールド板113の円筒部分113bに所定の間隔を有して対向する。
また、回転シャフト103の軸方向における円環部分113aの位置は、多極磁石110よりも電磁コイル108側となるようにされている。また、円環部分113aの内周面(内周の縁部分)は、多極磁石110の外周面(外周の縁部分)よりも内側に位置している。すなわち、円環部分113aと多極磁石110は、その軸を共有し、円環部分113aの内径は、多極磁石110の外径よりも小さなものとされている。円環部分113aの内径は、非磁性スペーサ109に接触しない範囲内で、できるだけ小さい方が漏洩磁束を減らす効果を高くすることができる。
第2の磁気シールド板113の露出面(図1(A)における下面)には、薄い非磁性材料(例えば樹脂材料)を挟んで装着される回路基板114上に、MRセンサ115が配置されている。MRセンサ115の位置は、多極磁石110の外周外側であり、また多極磁石110が配置された面上から少しずれた位置に配置されている。これはMRセンサ115を回路基板114上に載せているが、回路基板114の端部が多極磁石110に接触しないようにするためである。MRセンサ115の位置は、多極磁石110の外周外側の面と同一面上であることが最も望ましいが、本実施態様の位置でも問題はない。
MRセンサ115は、MR素子(磁気抵抗素子)をブリッジ接続したブリッジ回路を2つ備えた集積回路であり、磁界の向きの変化を検出して、それをアナログ信号として出力する。
すなわち、回転シャフト103がステータハウジング107に対して回転すると、多極磁石110も同時にステータハウジング107に対して回転する。この回転に伴い多極磁石110が作る磁界の向きも回転する。この際、回転する磁束がMRセンサ115の2つのブリッジ回路の部分を通過する。この磁界の向きの相対的な回転によって、MR素子によって構成されたブリッジ回路のバランスが変化し、磁界の向きの変化に応じた電気信号が出力される。この電気信号を電気的に処理することで回転シャフト103の回転情報を得ることができる。ここで、回転情報というのは、回転角、回転速度または回転方向に関する情報の一つまたは複数のことをいう。回転角の検出精度は、多極磁石110の磁極の数によって決まる。磁極の数をNとすると、図3に示す回転角の検出分解能は、360°/Nとなる。
(電気的な構成)
次にMRセンサ115を用いた回転情報の検出機構の一具体例を説明する。図4は、MRセンサの出力を処理し、回転シャフトの回転情報を得るための信号を出力する装置の回路構成の一例を示すブロック図である。図4には、図1に示すMRセンサ115が示されている。この例において、MRセンサ115は、ブリッジ回路115a(ブリッジ回路A)および115b(ブリッジ回路B)備えている。ブリッジ回路115aは、4つのMR素子(磁気抵抗素子)R〜Rにより構成されている。ブリッジ回路115bは、4つのMR素子(磁気抵抗素子)R〜Rにより構成されている。
図4の回路図に示されるように、ブリッジ回路115bは、ブリッジ回路115aを45°回転させた位置関係で配置されている。こうすることで、両者のブリッジ回路で45°異なる方向の磁界を検出することになる。一方、多極磁石から出る磁力線は、図5の一番下に示すようになるが、この場合、ブリッジ回路115aで検出される出力信号を図5(B)とすると、ブリッジ回路115bで検出される出力信号は、図5(B)の信号と90°位相が異なるものになる。すなわち、回転シャフトを回転させた場合に、その回転角で計って90°の位相差を有する信号を出力信号としてブリッジ回路115aおよび115bから得ることができ、回転シャフトの回転角に応じた正弦波出力および余弦波出力を得ることができる。
ブリッジ回路115aには、電源電圧Vccが加えられ、左側の中点は、差動増幅器401の+側入力に接続され、右側の中点は、差動増幅器401の−側入力に接続されている。また、ブリッジ回路115bには、電源電圧Vccが加えられ、左側の中点は、差動増幅器402の+側入力に接続され、右側の中点は、差動増幅器401の−側入力に接続されている。
この構成によれば、磁界の向きの変化による各MR素子の電気抵抗の変化を当該ブリッジ回路のバランスの変化として検出することができる。このブリッジ回路のバランスの変化は、差動増幅器401および402によって増幅される。差動増幅器401および402の出力は、滑らかなアナログ波形であるが、これらアナログ波形は、コンパレータIC403に含まれる2つのコンパレータ(比較器)403aおよび403bによって、それぞれ基準電圧と比較することにより、矩形波形に変換される。この構成によれば、前述したように90°の位相差を有した2つの矩形波出力を得ることができる。
(実施形態の動作)
図1(A)に示す電磁クラッチのクラッチ動作の一例を説明する。電磁コイル108に通電を行わない場合、アーマチュア105は、板ばね104の弾性に支えられ、ロータ101から上方に離れた場所に位置する。この際、ロータ101が図示省略した駆動機構により駆動され回転しても、その回転力は、アーマチュア105には伝わらない。したがって、回転シャフト103は回転しない。
電磁コイル108に通電を行うと、電磁コイル108が磁場を生成する。この磁場の磁束は、主に図1(A)の矢印116で示す磁路を通る。この際、スリットS1〜S3が形成されているので、磁束がロータ101とアーマチュア105との間を屈曲しながら通る。このため、ロータ101へのアーマチュア105の吸引力を効果的に発生させることができる。この吸引力が、板ばね104の弾性力に打ち勝つと、アーマチュア105は、ロータ101側に引き寄せられ、ロータ101に接触する。この結果、ロータ101とアーマチュア105との間に摩擦力が発生する。こうして、クラッチを繋げた状態となる。
ここで、ロータ101が図示省略した駆動機構により駆動され回転すると、その回転力は、摩擦力によりアーマチュア105に伝わり、回転シャフト103が回転する。こうして、電磁クラッチ100を用いた駆動力の伝達を行うことができる。
次に回転シャフト103の回転情報を得る方法の一例を説明する。図5は、磁気検出装置の出力およびそれを処理した信号の一例を示す波形図である。図5には、図1の回転シャフト103を回転させた場合における出力波形が概念的に示されている。図5には、磁気検出装置に対して、回転シャフト側の磁石のN極とS極とが順に通り過ぎる場合における出力波形が示されている。図5の波形の横軸は、回転シャフトの回転角(θ)であり、縦軸は、電圧値(相対値)である。
図5(A)は、比較のためのデータであり、磁気検出装置の磁気検出手段としてホールセンサを利用した場合におけるホールセンサの出力波形である。図5(B)は、図4の差動増幅器401からの出力波形である。図5(B)に示すように、MR素子を用いたブリッジ回路115a(ブリッジ回路A)の出力は、回転シャフトの回転に対して滑らかな波形となる。また、磁束磁界の向きの正負(N→Sの向き、およびS→Nの向き)に応じて(Vcc/2)を基準とした正弦波を出力する。
図4に示す回路構成では、図5(B)に示すアナログ波形をコンパレータ403によって矩形化し、図5(C)に示す矩形波形に変換する。こうして、図4に示すコンパレータ403aからの出力A(A相出力)が得られる。また、図5では図示省略されているが、A相出力と位相が90°異なるB相出力が、コンパレータ403bから同時に出力される。このように、図5(A)に示すホールセンサの場合は、一方向の磁界しか検出できないので、図5(B)に示すMRセンサを用いた場合に比べて検出できる最小角度が倍となり、分解能が低下する。
図5(C)に示すように、ブリッジ回路への磁界の向きの移動状態に基づいて、矩形波がコンパレータIC403(図4参照)から出力される。よってこれらの矩形波に基づいて、回転シャフトの回転角および回転速度を得ることができる。また、位相差が90°の2相の出力が得られるので、2つの出力を比較することで、回転シャフトの回転方向を知ることができる。
(実施形態の優位性)
図6は、磁気シールドの作用を説明する概念図である。図6の上下の向きは、図2に対応している。すなわち、図6には、図1(A)に示す電磁クラッチを上下逆にした状態が概念的に示されている。また図6には、回転シャフトの中心軸を境にした電磁クラッチの半分の部分が概念的に記載されている。
以下、図6(A)を用いて磁気シールドの作用について説明する。電磁コイル108(図1(A)参照)に通電すると、主に矢印161の経路で磁路が形成される。これは、磁性体により構成されるステータハウジング107に主な磁路が形成されるからである。しかしながら、回転シャフト103が磁性体で構成されているので、その端部(図6の上端部)からの漏れ磁束が存在する。この漏れ磁束の中の主なものは、磁性材料である第1の磁気シールド板111に逃げ、矢印162で示す磁路が形成される。この磁路162を通る磁束は、一部が第2の磁気シールド板113に逃げ、磁路163を通って最終的にステータハウジング107内の磁路161において合流する。
すなわち、図6(A)に示すように、回転シャフト103の端部からの漏洩磁束は、第1の磁気シールド板111によってまず低減される。第1の磁気シールド板111の上方には、さらに第2の磁気シールド板113が存在するので、第1の磁気シールド板を通り抜けた磁束は第2の磁気シールド板113で、さらに上方に通り抜けて行かないよう、遮蔽される。このため、第2の磁気シールド板113上に配置されているMRセンサ115に至る漏洩磁束は少なく抑えられる。特に、第2の磁気シールド板113は、円筒部分113bによってステータハウジング107に接触しているので、磁路163が効果的に形成される。このため、MRセンサ115に至る磁束を効果的に抑えることができる。
また、非磁性スペーサ112を介して、回転シャフト103に第1の磁気シールド板111を取り付けている。回転シャフト103に第1の磁気シールド板111が直接接触するように取り付けた方が、回転シャフト103を通ってきた漏洩磁束は第1の磁気シールド板111に多く流れる。しかしながら、そうするとそれらの磁束の一部が第1の磁気シールド板111から周囲の空間に多く放出され、むしろMRセンサ115の近くに到達する磁束が増えることも考えられる。そこで後述するように、シミュレーション実験を行った結果、回転シャフト103に第1の磁気シールド板111を直接接触するように取り付けるよりも、非磁性スペーサ112を介して取り付けた方が磁気シールドの効果が大きいことが分かった。従って、このようにすることにより、検出精度を向上させることができる。
また、軸方向から見て(図5の上方から見て)、第1の磁気シールド板111が、回転シャフト103の軸に垂直な方向における断面積の大部分を覆っているので、回転シャフト103内部を通り、その軸方向に漏洩する磁束を少なく抑えることができる。このことも、ブリッジ回路115aおよび115bに至る漏洩磁束を少なく抑える効果に貢献している。
こうして点線で示す磁路164を通る漏洩磁束を大きく低減させることができる。シミュレーション実験によると、何ら磁気シールド対策をしない状態で、MRセンサ115付近における電磁コイル108(図1参照)からの漏洩磁束が20mTである場合、第1の磁気シールド板111を配置することで、この漏洩磁束の値は、9.4mT程度に減少することが確認されている。さらに第2の磁気シールド板113を配置することで、この漏洩磁束の値は、1.6mTに減少することが確認されている。
図6(B)は、図6(A)に示す構成において非磁性スペーサ112を用いなかった場合の例である。この場合、シミュレーション実験によれば、MRセンサ115付近における電磁コイル108(図1参照)からの漏洩磁束は、3.0mTに増加する。このことから、検出精度の向上に関して、非磁性スペーサ112を利用することの優位性が確認できる。
以下、上記シミュレーション実験の条件を説明する。図7は、シミュレーションに利用した各部の寸法の位置を示す概念図である。下記「表1」に、図7に示す各部の寸法の具体的な値を示す。
Figure 0004918406
また、図4に示す回路構成は、磁界の向きを検出できるMR素子を利用しているので、高分解能な角度検出を行うことができ、また角度情報の演算において、コンパレータ403から出力される矩形波をデジタル処理すればよいので、アナログ信号から複雑な演算処理を行って角度を求めるための高価な演算処理回路を必要とせず、低コスト化を追究することができる。
(2)他の実施形態
磁気シールド板は、さらに多段に配置することもできる。この場合、回転シャフト103側に固定された磁気シールド板を更に増やす、ステータハウジング107側に固定された磁気シールド板を更に増やす、あるいは回転シャフト103側に固定された磁気シールド板と、ステータハウジング107側に固定された磁気シールド板を共に増やす、といった構成を採用することができる。この際、各磁気シールド板は、隙間をおいて配置することが好ましい。
多極磁石および磁気検出装置により構成される角度情報検出のための機構を図1(A)におけるアーマチュア105の上方に設けても良い。この場合、アーマチュア105と磁気検出装置との間にシールド手段が配置される。また、磁気検出手段としてホール素子を用いた構成を採用することもできる。しかしながら、図5(A)と図5(C)とを比べれば明らかなように、角度検出分解能はMR素子を利用したものの方が有利である。
また、図5(B)に示すアナログ波形をADコンバータによりサンプリングし、それを演算処理することで、角度データを得る構成とすることも可能である。この場合、より高分解能の角度検出(回転シャフトの角度検出)を行うことが出来る。しかしながら、アナログ信号をADコンバータでデジタル信号に変換し、演算を行うので、演算処理用の回路(IC)が必要となり、コストや消費電力の点で不利となる。
第1の磁気シールド板111として、中心に孔が形成されていない円板形状のものを用いてもよい。この場合、回転シャフト103に第1の磁気シールド板111を接着剤等により固定し、第1の磁気シールド板111に非磁性スペーサ109を接着剤等により固定すればよい。この態様によれば、回転シャフト103の端面のシールドをより徹底することができる。
また、第2の磁気シールド板113の円環部113aの内径を回転シャフト103の外径よりも小さくする構成としてもよい。この場合、図1(A)に示す構成において、非磁性スペーサ109の外径を小さくし、あるいは非磁性スペーサ109に外径を狭めた縮径部分を設け、第2の磁気シールド板113と非磁性スペーサ109とが干渉しないようにすればよい。この構成によれば、回転シャフト103の中心軸に垂直な断面の一部が、その軸方向から見て、第2の磁気シールド板113によって覆われることになる。そのため、回転シャフト103の端面から漏洩する磁束の遮蔽をより徹底することができ、検出精度をさらに高めることができる。
本発明は、回転情報の検出機能を有する電磁クラッチに利用することができる。
本発明の一例である電磁クラッチの概要を示す断面図(A)および下面図(B)である。 図1に示す電磁クラッチの下面側の概要を示す斜視図である。 回転シャフトに固定された磁石の磁極の状態を示す概念図である。 回転情報を得るための電気的な構成を示すブロック図である。 磁気検出装置からの出力波形を示す概念図である。 磁路および磁束の漏洩状態を示す概念図である。 シミュレーションに利用した電磁クラッチ各部の寸法の位置を示す概念図である。
100…電磁クラッチ、101…ロータ、102…ベアリング、103…回転シャフト、104…板ばね、105…アーマチュア、106…ベアリング、107…ステータハウジング、108…電磁コイル、109…非磁性スペーサ、110…多極磁石、111…第1の磁気シールド板、111a…孔、112…非磁性スペーサ、113…第2の磁気シールド板、114…回路基板、115…MRセンサ、115a…ブリッジ回路、115b…ブリッジ回路。

Claims (6)

  1. ロータと、
    前記ロータに対して所定の隙間を有した状態で対向して配置されたアーマチュアと、
    前記アーマチュアと共に回転する回転シャフトと、
    磁性体により構成されるステータハウジングに固定され、前記ロータと前記アーマチュアとを吸着させる磁力を発生するための電磁コイルと、
    前記回転シャフトに対して固定された磁石と、
    前記ステータハウジングに対して固定され、前記磁石の磁気を検出する磁気検出手段と、
    前記磁気検出手段と前記電磁コイルとの間に配置された磁気シールド手段と
    を備え、
    前記磁気シールド手段は、所定の間隔を有して配置された複数の磁気シールド板であり、前記回転シャフトに対して固定された第1の磁気シールド板と、前記ステータハウジングに対して固定された第2の磁気シールド板とを備えることを特徴とする電磁クラッチ。
  2. 前記第1の磁気シールド板は、円板部分または円環部分を備えると共に、前記ステータハウジングと前記第2の磁気シールド板の間に配置され、
    前記第2の磁気シールド板は、円環部分と円筒部分とを備え、
    前記第2の磁気シールド板が備えた円環部分は、前記第1の磁気シールド板が備えた円板部分または円環部分に対向し、
    前記第2の磁気シールド板が備えた円筒部分は、前記第1の磁気シールド板が備えた円板部分または円環部分の外周面の外側を覆っていることを特徴とする請求項1に記載の電磁クラッチ。
  3. 前記回転シャフトは磁性材料により構成されており、
    前記磁石は、非磁性材料のスペーサを介して前記回転シャフトに固定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電磁クラッチ。
  4. 前記第1の磁気シールド板は、前記回転シャフトの長手方向に垂直な断面の少なくとも一部を覆うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電磁クラッチ。
  5. 前記回転シャフトは磁性材料により構成されており、
    前記第1の磁気シールド板は、非磁性材料のスペーサを介して前記回転シャフトに取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電磁クラッチ。
  6. 前記回転シャフトは磁性材料により構成されており、
    前記磁気検出手段と前記電磁コイルとの間において、前記回転シャフトの断面を通る磁束を遮蔽する磁気シールド手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の電磁クラッチ。
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