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JP4920566B2 - 多重ビット - Google Patents
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Description

本発明は、トンネル掘削機のカッタヘッドに取り付けられて切羽を切削するカッタビットに係り、特に、長距離施工に対応すべく長寿命化を図った多重ビットに関する。
トンネル掘削機は、一般に、掘進方向と平行な軸廻りに回転駆動されるカッタヘッドを備えており、そのカッタヘッドには、切羽を切削するためのカッタビットが取り付けられている。かかるカッタビットは、切羽を切削することで摩耗するため、長距離施工においてはビット交換等の対策が必要となる。長距離施工に対応すべく長寿命化を図ったカッタビットとして、二重ビットが知られている(特許文献1参照)。
二重ビットの一例として、カッタヘッドに取り付けられた内側ビットと、内側ビットに熱溶融性接着剤を介して接着され、内側ビットを保護しつつ切羽を切削する外側ビットと、熱溶融性接着剤を加熱するために内側ビットの内部に設けられたヒータとを備えたものが知られている。この二重ビットによれば、外側ビットが摩耗した後、ヒータをオンすることで熱溶融性接着剤を溶かし、外側ビットを内側ビットから外し、内側ビットを露出させることができる。
他の二重ビットとして、カッタヘッドに取り付けられた内側ビットと、内側ビットを覆うように形成された外側ビットと、外側ビットを内側ビットに接着する接着剤と、外側ビットを内側ビットから押し剥がすためにカッタヘッドの内部に設けられたシリンダとを備えたものも知られている。この二重ビットによれば、外側ビットが摩耗した後、シリンダを伸長させることで接着剤の層を破断して外側ビットを内側ビットから押し剥し、内側ビットを露出させることができる。
特開平2003−3788号公報
これらの二重ビットによれば、外側ビットが摩耗した後に、ヒータやシリンダを作動させてその外側ビットを取り外し、内側ビットを露出させることで、それまで外側ビットによって防護されていた未摩耗の内側ビットによって切羽を切削できるので、全体として寿命が伸び、長距離施工に対応できる。
しかし乍ら、摩耗した外側ビットを取り外すために、ヒータやシリンダ等のアクチュエータを用いているため、ヒータを作動させるための電線やシリンダを作動させるための油圧ラインをカッタヘッドの内部に配設する必要が生じる。また、回転するカッタヘッド内に配設された電線や油圧ラインに、坑内から電流や油圧を供給するためのロータリージョイントが必要となる。よって、構造が複雑となってコストアップとなる。
以上の事情を考慮して創案された本発明の目的は、外側ビットが所定量摩耗したとき、アクチュエータを用いることなく外側ビットが外れ、内側ビットが露出する多重ビットを提供することにある。
上記目的を達成するために本発明に係る多重ビットは、トンネル掘削機のカッタヘッドに、切羽を切削するために装着される多重ビットであって、上記カッタヘッドに直接又は台座を介して取り付けられる内側ビットと、該内側ビットに、この内側ビットを覆って装着された外側ビットと、上記台座又は上記カッタヘッドに固定され、上記外側ビットを上記内側ビットに押し付ける楔部材とを有し、該楔部材と上記外側ビットとの接触面と、上記外側ビットと上記内側ビットとの接触面とが、上記カッタヘッド作動時の外側ビットの切削方向を横切る方向の軸と平行に形成され、上記外側ビットの上記内側ビットに対する上記軸の方向に沿った移動を拘束する拘束部材を備えたものである。
上記楔部材と上記外側ビットとの接触面と、上記外側ビットと上記内側ビットとの接触面とが、上記内側ビットから離間する方向に末広がりに形成されることが好ましい。
上記拘束部材は、一端が上記外側ビットにその内外面を貫通して形成された貫通孔に固定され、他端が上記内側ビットに形成された凹部に挿入された貫通ピンを有するものでもよい。
上記拘束部材は、一端が上記外側ビットの側部に固定され他端が上記内側ビットの側部に当接された側板を有するものでもよい。
上記拘束部材は、上記楔部材に形成された凸部又は凹部と、これら凸部又は凹部と係合するように上記外側ビットに形成された凹部又は凸部とを有するものでもよい。
上記拘束部材は、上記外側ビットの内面に突出して設けられ上記内側ビットに形成された窪み部に挿入された突出部を有するものでもよい。
本発明に係る多重ビットによれば、外側ビットが所定量摩耗したとき、アクチュエータを用いることなく外側ビットが外れ、内側ビットが露出する。アクチュエータが不要なので、それを作動するための電線、油圧ライン、ロータリージョイント等が不要となり、カッタヘッド周りの構造が簡単となってコストダウンを推進できる。
本発明の好適実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る多重ビットが装着されたカッタヘッドを有するトンネル掘削機(シールド掘進機)の側断面図、図2は、上記シールド掘進機を掘進方向前方から見た正面図である。
シールド掘進機1は、円筒状のシールドフレーム2と、シールドフレーム2内を掘進方向の前後に仕切る隔壁3と、隔壁3に掘進方向と平行な軸回りに回転可能に支持されたカッタヘッド4と、シールドフレーム2内でセグメントをリング状に組み立てるエレクタ(図示せず)と、シールドフレーム2の内面に装着されリング状に組み立てられたセグメントに反力を取ってシールドフレームを前進させるシールドジャッキ(図示せず)とを備えている。
カッタヘッド4は、回転中心Xに配置された中心部5と、中心部5に周方向に間隔を隔てて放射状に装着された複数のカッタスポーク6とを有し、図示しないモータ、ギヤ等からなる駆動手段により、回転中心Xを中心として時計回り又は反時計回りに回転駆動される。中心部5には、三角板状のフィッシュテールビット7が装着され、カッタスポーク6には、本実施形態に係る多重ビット8が、径方向に間隔を隔てて複数装着されている。
フィッシュテールビット7及び多重ビット8は、シールドジャッキを伸長させることで切羽に押し付けられ、その状態でカッタヘッド4が回転されることで切羽を切削する。図2の矢印A、Bは、カッタヘッド4の回転に伴って多重ビット8が切羽を切削する切削方向を示し、回転中心Xを中心とした円の接線方向となる。
なお、カッタヘッド4は、本実施形態ではスポークタイプのものを示したが、面板タイプのものであってもよい。
図3は、図2のIII−III線断面図、図4(a)は、図3の部分拡大図、図4(b)は、図4(a)に示す多重ビットの正面図である。
本実施形態に係る多重ビット8は、カッタヘッド4に台座9を介して取り付けられる内側ビット10と、内側ビット10に、内側ビット10を覆って装着された外側ビット11と、台座9に固定され、外側ビット11を内側ビット10に押し付ける楔部材12とを有する。
なお、台座9を省略し、内側ビット10をカッタヘッド4に直接取り付け、楔部材12をカッタヘッド4に直接取り付けてもよい。但し、本実施形態のように台座9に内側ビット10及び楔部材12を取り付ければ、台座9に取り付けられた内側ビット10、楔部材12及び外側ビット11を一体のアッセンブリ品としてカッタヘッド4に取り付けることができ、便利である。
台座9は、カッタスポーク6の切羽側の面と回転方向前側の面とを接続する角部に装着されるように断面L字状に曲折された板体からなり、カッタスポークの切羽側の面に着座される正面部9aと、カッタスポーク6の回転方向前側の面に着座される側面部9bとを有し、カッタスポーク6に溶接される。9wは、台座9をカッタスポーク6に溶接することで形成された溶接ビードである。
内側ビット10は、台座9に溶接された母体としての内側シャンク10aと、内側シャンク10aの切削方向Aの前部にロー付けされた切削刃としての内側超硬チップ10bとを有する。内側シャンク10aはSS材等からなり、内側超硬チップ10bはタングステンカーバイト等の超硬合金からなる。10wは、内側シャンク10aを台座9に溶接することで形成された溶接ビードである。
外側ビット11は、内側ビット10を覆うように形成された外側シャンク11a(SS材等)と、外側シャンク11aの切削方向Aの前部にロー付けされた外側超硬チップ11b(タングステンカーバイト等)とを有する。外側シャンク11aは、内側ビット10の前部10c(切削方向前方Aの部分)を覆う前カバー部11cと、内側ビット10の切羽側部10dを覆う後カバー部11dと、前カバー部11cと後カバー部11dとを接続する摩耗部11eと、前カバー部11cの端部に内側ビット10の側に突出して形成された前爪部11fと、後カバー部11dの端部に内側ビット10の側に突出して形成された後爪部11gとを備えている。前爪部11fは、内側シャンク10aにその掘削方向Aの前部に顎状に突出して形成された前係合部10fに当接され、後爪部11gは、内側シャンク10aにその掘削方向Aの後部に顎状に突出して形成された後係合部10gに当接されている。
楔部材12は、外側ビット11の前爪部11fを内側ビット10の前係合部10fに押し付けた状態で台座9に溶接された前楔部材12a(SS材等)と、外側ビット11の後爪部11gを内側ビット10の後係合部10gに押し付けた状態で台座9に溶接された後楔部材12b(SS材等)とからなる。12wは、前楔部材12a、後楔部材12bを夫々台座9に溶接することで形成された溶接ビードである。
前楔部材12aと前爪部11fとの接触面13と、前爪部11fと前係合部10fとの接触面14とは、カッタヘッド4の径方向C(カッタスポーク6の長手方向)に沿った軸と直交する面内において内側ビット10から離間する方向に、末広がりに形成されている。同様に、後楔部材12bと後爪部11gとの接触面15と、後爪部11gと後係合部10gとの接触面16とは、内側ビット10から離間する方向に、末広がりに形成されている。
すなわち、接触面13と接触面14とは、内側ビット10から離間する方向に末広がりに形成され、接触面15と接触面16とは、内側ビット10から離間する方向に末広がりに形成されている。接触面13、14の開き角θ1と、接触面15、16の開き角θ2とは、本実施形態では同じに設定されているが、異なっていても構わない。
これら接触面13〜16は、カッタヘッド4の作動による外側ビット11の切削方向Aを横切る方向Cの軸(本実施形態ではカッタヘッド4の径方向に沿った軸、以下軸Cともいう)と夫々平行に形成されている。これにより、カッタヘッド4が回転して外側ビット11が切羽から切削反力を受けたとき、その切削反力を上記軸Cと平行に形成された接触面13〜16で支持できる。
なお、上記軸Cは、必ずしもカッタヘッド4の径方向に沿っている必要はなく、カッタヘッド4の作動による外側ビット11の切削方向Aを横切る方向であれば、カッタヘッド4の径方向に対して多少傾斜していても構わない。上記軸Cがカッタヘッド4の径方向から多少傾斜していても、外側ビット11が切羽から受ける切削反力を上記軸Cと平行に形成された接触面13〜16で支持できるからである。
ところで、このような構成の多重ビット8においては、切羽の切削中、図2において、多重ビット8が切羽に押し付けられた状態でカッタヘッド4が回転されると、外側ビット11が内側ビット10に対して上記軸Cの方向に移動し、内側ビット10から外れてしまう可能性がある。
すなわち、多重ビット8が切羽に押し付けられた状態でカッタヘッド4が回転されると、切羽から外側ビット11に加わる切削反力は、その殆どが切削方向A(カッタヘッド4の回転中心Xを中心とした円の接線方向)に沿った対向力となるが、カッタヘッド4の径方向に流れる掘削土砂によって、一部、カッタヘッド4の径方向の軸Cに沿った方向の横力が生じ、この横力によって外側ビット11が軸Cと平行に形成された接触面13〜16に沿ってずらされ、内側ビット10から外れてしまう可能性がある。
そこで、この多重ビット8は、図4(a)、図4(b)に示すように、外側ビット11の内側ビット10に対する上記軸Cの方向に沿った移動を拘束する拘束部材17を備えている。拘束部材17は、一端が外側ビット11に形成された貫通孔17aに固定され、他端が内側ビット10に形成された凹部17bに挿入された貫通ピン17cを有する。貫通孔17aは、外側ビット11の後カバー部11dにその内外面を貫通して形成され、凹部17bは、内側ビット10の切羽側部10dに形成されている。貫通ピン17cは、大径部と小径部とからなり、大径部が貫通孔17aに溶接され、小径部が凹部17bに差し込まれている。
貫通孔17aは、貫通ピン17cの大径部の直径に合わせて上記軸Cの方向に細長く形成された長穴(陸上トラック型)からなる。貫通孔17aには、貫通ピン17cの大径部を溶接する際の溶融金属が収容され、溶融金属が固まってドットで示す溶接部17dとなる。凹部17bは、貫通ピン17cの小径部の直径に合わせて上記軸Cと直交する方向Fに細長く形成された長穴(陸上トラック型)からなる。この形状の凹部17bにより、貫通ピン17cの小径部が、上記軸Cの方向に移動しないように押さえられると共に上記軸Cと直交する方向Fに抜け易くなる。
貫通孔17aの孔軸と凹部17bの孔軸とは、外側ビット11が内側ビット10に装着された状態で、一致されている。貫通孔17bに溶接された貫通ピン17cが凹部17bに適切に挿入されるようにするためである。
これら貫通孔17a及び凹部17bの孔軸17xは、図4(a)に示すように、接触面15と接触面16との中間を通る軸11x(中間軸)に対して、平行となっている。詳しくは、これら孔軸17xと中間軸11xとは、カッタスポーク6の長手方向(図4(a)の紙面裏表方向)の軸と直交する面内にて、平行となっている。
これにより、摩耗部11eが図6に示すように摩滅して後カバー部11dと前カバー部11cとが切り離されたとき、後カバー部の11dの後爪部11gが内側ビット10と後楔部材12bとの間から外れる方向は大凡上記中間軸11xの方向であるところ、この中間軸11xと上記孔軸17xとが平行であれば、貫通ピン17cの小径部の軸心が凹部17bの孔軸と一致した状態で小径部が凹部17bから抜け、後カバー部11dが外れ易くなる。
本実施形態では、外側ビット11と内側ビット10との間には隙間18(図3参照)が設けられているが、これは各ビット10、11のシャンク10a、11aが鍛造品であり隙間なく密着させる精度を確保することが困難なことによる。よって、外側ビット11は、その前後の爪部11f、11gが前後の楔部材12a、12bと前後の係合部10f、10gとの間に夫々挟持されることによってのみ支持されることになり、強度計算が容易となる。但し、上記隙間18を部分的に又は全面的に略零として接触させてもよい。
本実施形態の作用を述べる。
図5に示すように、外側ビット11は、カッタヘッド4の回転及びトンネル掘削機の前進によって切羽Kを切削する。かかる外側ビット11は、その前爪部11fが前楔部材12aと前係合部10fとの間に挟持され、後爪部11gが後楔部材12bと後係合部10gとの間に挟持されていて、切削反力を十分支持可能な取付剛性を有する。すなわち、外側ビット11が切羽Kから受ける切削反力は、外側ビット11の切削方向Aを横切る方向の軸Cと平行に形成された接触面13〜16で支持される。
カッタヘッド4が矢印の切削方向Aに回転すると、外側ビット11が切羽Kからの切削反力を受けて図5の右方に押され、これにより、外側ビット11の前爪部11fが、押圧方向に先窄まりとなっている、接触面13と接触面14との間に、楔の如く嵌り込む。また、カッタヘッド4が切削方向Aに回転すると、外側ビット11には、切羽Kからの切削反力によって図5にて外側ビット11を右側に転倒させようとする時計回りのモーメントが生じ、これにより、外側ビット11の後爪部11gが、上記モーメントの方向に先窄まりとなっている、接触面15と接触面16との間に、楔の如く嵌り込む。この結果、外側ビット11の取付剛性が高まる。
切羽の切削中、図2、図5において、外側ビット11が切羽Kに押し付けられた状態でカッタヘッド4が回転されると、切削反力によって、外側ビット11が内側ビット10に対してカッタヘッド4の径方向Cに移動しようとする横力が生じ得るが、この横力は貫通ピン17cによって支持される。すなわち、外側ビット11が横力を受けて内側ビット10に対してカッタヘッド4の径方向に移動しようとしても、外側ビット11の貫通孔17aに固定された貫通ピン17cの先端(小径部)が内側ビット10の凹部17bの側面に押し付けられることで、外側ビット11の内側ビット10に対する移動が防止される。よって、切羽Kの切削中、外側ビット11が内側ビット10に対してずれることはなく、適切な切削を保持できる。
外側ビット11は、切羽Kを切削することで、外側超硬チップ11b及び摩耗部11eが次第に摩耗していく。摩耗が進行するに伴い、外側シャンク11aの前カバー部11cと後カバー部11dとを接続する摩耗部11eの肉厚が薄くなり、そこに生じる応力が大きくなる。摩耗が所定量まで進むと、図6示すように、摩耗部11eが破損し、外側ビット11が、前カバー部11c及び前爪部11fからなる前ピース11hと、後カバー部11d及び後爪部11gからなる後ピース11iとに分割される。
分割された前ピース11hは、前爪部11fと前係合部10fとの接触面14と、前爪部11fと前楔部材12aとの接触面13とが、内側ビット10から離間する方向に末広がりとなっているため、カッタヘッド4の回転に伴って生じる細かな振動や横力或いはカッタヘッド4を逆回転させること等によって、前爪部11hが矢印Dの方向に外れ、カッタヘッド4から脱落する。
後ピース11iは、後爪部11gと後係合部10gとの接触面16と、後爪部11gと後楔部材12bとの接触面15とが、内側ビット10から離間する方向に末広がりとなっているため、カッタヘッド4の回転に伴って生じる細かな振動や横力或いはカッタヘッド4を逆回転させること等によって、後爪部11gが矢印Eの方向に外れ、カッタヘッド4から脱落する。このとき、後ピース11iに固定された貫通ピン17cの小径部が内側ビット10の凹部17bから引き抜かれる。
ここで、凹部17bはカッタヘッド4の径方向Cと直交する方向F(図4(a)参照)、即ち図4(b)における掘削方向Aに沿って細長い長穴状に形成されているので、後カバー部11iが切羽Kからの反力を受けて、貫通ピン17cの小径部が凹部17bから引き抜かれる際、貫通ピン17cの小径部が凹部17b内を掘削方向Aに沿って多少移動することが許容される。よって、貫通ピン17cの小径部が凹部17bからスムーズに抵抗無く抜去される。
すると、図7に示すように、これまで外側ビット11に覆われていて全く摩耗していない内側ビット10が露出し、この新品状態の内側ビット10によって切羽Kを切削できる。
このように、本実施形態によれば、摩耗限界となった外側ビット11が自動的にカッタヘッド4から脱落し、それまで外側ビット11によって摩耗から防護されていた内側ビット10によって切削を継続できるので、ビット全体としての寿命が伸び、長距離施工に対応できる。
また、本実施形態によれば、図5、図6に示すように、外側ビット11が所定量(摩耗限界)まで摩耗したとき、摩耗部11eに応力が集中して破損が生じるので、アクチュエータ(文献1のヒータやシリンダ等)を用いることなく外側ビット11が外れ、内側ビット10が露出する。アクチュエータが不要なので、それを作動するためにカッタヘッド4に配設される電線や油圧ラインが不要となり、更にそれら電線や油圧ラインに電流や油圧を供給するためのロータリージョイントが不要となるため、カッタヘッド4周りの構造が簡単となってコストダウンを推進できる。
なお、本実施形態では、図4(a)に示すように、接触面13、14を内側ビット10から離間する方向に末広がりに形成し、同様に接触面15、16とを内側ビット10から離間する方向に末広がりに形成したが、これに限らず、平行又は先窄まりに形成しても構わない。カッタヘッド4の回転に伴って生じる細かな振動や前記横力或いはカッタヘッド4を逆回転させること等によって、図6の前ピース11hは、接触面13、14に沿って上記軸Cの方向に移動する等して内側ビット10から離脱し、後ピース11iは、図6にて時計回りに僅かに回転し貫通ピン17cの先端が凹部17bから引き抜かれた状態で、接触面15、16に沿って上記軸Cの方向に移動する等して内側ビット10から離脱するからである。
以下、本発明の変形実施形態を図8〜図12を用いて述べる。
図8〜図11の変形実施形態は、外側ビット11の内側ビット10に対する移動を拘束する拘束部材17のみが前実施形態と異なり、他は同様の構成となっていて、前実施形態と同様の作用効果を奏する。すなわち、外側ビット11は、接触面13〜16に沿って内側ビット10に対して移動可能であるところ、この移動が以下に述べる拘束部材17によって拘束されている。
図8に示す変形実施形態の拘束部材17は、一端が外側ビット11の側部11jに溶接固定され他端が内側ビット10の側部に当接された側板17eを有する。側板17eは、外側ビット11の外側部(カッタヘッド4の径方向Cの外側の側部)に溶接固定された外の側板17eと、外側ビット11の内側部(カッタヘッド4の径方向Cの内側の側部)に溶接固定された内の側板17eとからなる。内側ビット10の幅寸法(カッタヘッド4の径方向Cの寸法)は、外及び内の側板17eが対向する部分にて、外側ビット11の幅寸法と等しくなっており、外及び内の側板17eの他端が内側ビット10の側部に当接している。これら外及び内の側板17eによって、外側ビット11の内側ビット10に対する上記軸Cに沿った移動が拘束される。
図9に示す変形実施形態の拘束部材17は、楔部材12a、12bに形成された凸部又は凹部17fと、これら凸部又は凹部17fと係合するように外側ビット11に形成された凹部又は凸部17gとを有する。詳しくは、前楔部材12aの接触面13には、凸部又は凹部17fが形成され、外側ビット11の前爪部11fには、凹部又は凸部17gが形成されている。また、後楔部材12bの接触面15には、凸部又は凹部17fが形成され、外側ビット11の後爪部11gには、凹部又は凸部17gが形成されている。これら凸部及び凹部17f、17gによって、外側ビット11の内側ビット10に対する上記軸Cに沿った移動が拘束される。
凸部又は凹部17f、凹部又は凸部17gの詳細を図10に示す。この変形実施形態では、図10(a)に示すように後楔部材12bに凸部17fとしてキー(オス側)が設けられ、図10(b)に示すように外側ビット11の後爪部11gに凹部17gとして溝(メス側)が設けられている。同様に、図示はしないが、前楔部材12aに凸部17fとしてキーが設けられ、外側ビット11の前爪部11fに凹部17gとして溝が設けられている。これらキー17fと溝17gとを嵌合させてから、前楔部材12a、後楔部材12bを台座9に溶接することで、外側ビット11の内側ビット10に対する図9(b)に示す軸Cに沿った移動を拘束している。なお、キーと溝との関係は逆でもよい。
図11に示す変形実施形態の拘束部材17は、外側ビット11の内面に突出して設けられ内側ビット10に形成された窪み部17hに挿入された突出部17iを有する。詳しくは、外側ビット11の後カバー部11dの内面には、突出部17iが切削方向Aに沿ってリブ状に設けられ、内側ビット10の切羽側部10dには、突出部17iが丁度係合するように形成された窪み部17hが設けられている。これら突出部17i、窪み部17hによって、外側ビット11の内側ビット10に対する上記軸Cに沿った移動が拘束される。
図12の変形実施形態は、一のビットでカッタヘッド4の時計回り回転及び反時計回り回転の両方向の掘削に対応したビットに、本発明(多重ビット)を適用したものである。
この変形実施形態に係る多重ビット8は、カッタヘッド4の切羽側面4a(カッタフェイス)に溶接された内側ビット10と、内側ビット10に、内側ビット10を覆って装着された外側ビット11と、カッタフェイス4aに溶接され、外側ビット11を内側ビット10に押し付ける楔部材12(前楔部材12a、後楔部材12b)とを有する。
内側ビット10は、カッタフェイス4aに溶接された内側シャンク10aと、内側シャンク10aの頂部にロー付け等で固定された三角屋根(切り妻屋根)状の内側超硬チップと10bを有し、この内側超硬チップ10bにより、カッタヘッド4が矢印A方向に回転しても矢印B方向に回転しても切羽を切削できるようになっている。なお、内側ビット10は、カッタフェイス4aに溶接された図示しない台座に溶接してもよい。
外側ビット11は、内側ビット10の矢印Aの前側の側面を覆うように形成された前外側シャンク11kと、内側ビット10の同後側の側面を覆うように形成された後外側シャンク11mと、これら外側シャンク11k、11mの頂部を架け渡す三角屋根状に形成され外側シャンク11k、11mの頂部にロー付け等で固定された外側超硬チップと11bを有し、この外側超硬チップ11bにより、カッタヘッド4が矢印A方向に回転しても矢印B方向に回転しても切羽を切削できるようになっている。
前外側シャンク11kは、内側シャンク10に形成された前凹部10hに挿入された前爪部11nを有し、前爪部11nは、カッタフェイス4aに溶接された前楔部材12aによって前凹部10hの天井面に押し付けられている。同様に、後外側シャンク11mは、内側シャンク10aに形成された後凹部10iに挿入された後爪部11pを有し、後爪部11pは、カッタフェイス4aに溶接された後楔部材12bによって後凹部10iの天井面に押し付けられている。楔部材12a、12bは、カッタフェイス4aに溶接された図示しない前記台座に溶接してもよい。
前爪部11nと前凹部10hとの接触面14、前爪部11nと前楔部材12aとの接触面13、後爪部11pと後凹部10iとの接触面16、後爪部11pと後楔部材12bとの接触面15は、カッタヘッド4の回転方向A、Bを横切る方向の軸(この実施形態ではカッタヘッド4の径方向に沿った軸:図2の軸C)と平行に形成されている。これにより、カッタヘッド4が矢印A又はBの方向に回転して外側ビット11が切羽から切削反力を受けたとき、その切削反力を上記軸Cと平行に形成された接触面13〜16で支持できる。
上記軸Cは、必ずしもカッタヘッド4の径方向に沿っている必要はなく、外側ビット11及び内側ビット10の切削方向Aを横切る方向であれば、カッタヘッド4の径方向に対して多少傾斜していても構わない。上記軸Cがカッタヘッド4の径方向から多少傾斜していても、外側ビット11が切羽から受ける切削反力を上記軸Cと平行に形成された接触面13〜16で支持できるからである。
また、この多重ビット8は、外側ビット11の内側ビット10に対する上記軸Cの方向に沿った移動を拘束する拘束部材17を備えている。拘束部材17は、一端が外側シャンク11k、11mにその内外面を貫通して形成された貫通孔17aに固定され、他端が内側シャンク10aに形成された凹部17bに挿入された貫通ピン17cを有する。
貫通ピン17cは、小径の軸部と大径の頭部とからなり、頭部が外側シャンク11k、11mに形成された窪み部に収容され、軸部の中間が外側シャンク11k、11mの貫通孔17aに挿通されて固定されている。固定方法は、圧入、ネジ止め、溶接等が用いられる。貫通ピン17cの軸部の先端は、内側シャンク10aの凹部17bに差し込まれている。凹部17bの図12の裏表方向の寸法は、貫通ピン17cの軸部の直径に一致されており、軸部が図12の裏表方向すなわち上記軸Cの方向に移動しないようになっている。
この変形実施形態においても、カッタヘッド4が矢印A又はB方向に回転して外側超硬チップ11bが切羽を切削することで或る程度摩耗すると、外側超硬チップ11bが図12の左右に分断され、前外側シャンク11kと後外側シャンク11mとの連結が解除される。すると、カッタヘッド4の回転に伴って生じる細かな振動や前記横力或いはカッタヘッド4を逆回転させること等によって、外側シャンク11k、11mは、僅かに外開きとなるように回動し貫通ピン17cの軸部が凹部17bから引き抜かれた状態で、接触面13及び14、接触面15及び16に沿って上記軸Cの方向に移動する等して内側ビット10から離脱する。よって、最初の実施形態と同様の作用効果を奏する。
更に別の変形実施形態を述べると、図4(a)、図8(a)、図9(a)、図11(a)、図12において、外側ビット11を覆うように形成された図示しない別の外側ビット(第2外側ビット)を更に備え、第2外側ビットの前端を外側ビット11(第1外側ビット)に押し付ける別の前楔部材(第2前楔部材)を前楔部材12a(第1前楔部材)又は台座9に固定(溶接)し、第2外側ビットの後端を第1外側ビット11に押し付ける別の後楔部材(第2後楔部材)を後楔部材12b(第1後楔部材)又は台座9に固定(溶接)し、三重ビットとしてもよい。
この三重ビットにおいても、第2前楔部材と第2外側ビットとの接触面と、第2外側ビットと第1外側ビットとの接触面とが、第2外側ビットの切削方向Aを横切る方向Cの軸と平行に形成されており、第2外側ビットの第1外側ビット11に対する上記軸の方向Cに沿った移動を拘束する拘束部材(上記貫通ピン17c、側板17e、凸部及び凹部17f、17g、突出部17i及び窪み部17h等と同様のもの)を備えている。また、上記各接触面は、第1外側ビット11(内側ビット10でも同じ)から離間する方向に末広がりに形成されることが好ましい。
この三重ビットによれば、第2外側ビットが所定量摩耗すると、第2外側ビットが前後に分割されて第1外側ビット11から脱落し、以降図5の状態となって上述のように切削を続行でき、上述した二重ビットと同様の作用効果を奏する。
なお、同様にして四重ビット以上も可能である。
また、上記実施形態においては、拘束部材17(貫通ピン17c、側板17e、突出部17i)を外側ビット11に固定したが、これらを内側ビット10に固定しても構わない。
本実施形態に係る多重ビットが装着されたカッタヘッドを有するトンネル掘削機(シールド掘進機)の側断面図である。 上記シールド掘進機を掘進方向前方から見た正面図である。 図2のIII−III線断面図である。 図4(a)は、図3の部分拡大図であって図4(b)のIV−IV線断面図でもあり、図4(b)は、図4(a)に示す多重ビットの正面図であって図2の部分拡大図でもある。 本実施形態に係る多重ビットで切羽を切削する様子を示す側断面図である。 外側ビットの摩耗が進行して破損した様子を示す側断面図である。 内側ビットで切羽を切削する様子を示す断面図である。 変形実施形態に係る多重ビットの説明図であり、図8(a)は側断面図(図8(b)のVIII−VIII線断面図)、図8(b)は正面図である。 別の変形実施形態に係る多重ビットの説明図であり、図9(a)は側断面図(図9(b)のIX−IX線断面図)、図9(b)は正面図である。 図10(a)は図9(a)に示す後楔部材の斜視図であり、図10(b)は図9(a)に示す外側ビットの後爪部の斜視図である。 更に別の変形実施形態に係る多重ビットの説明図であり、図11(a)は側断面図(図11(b)のXI−XI線断面図)、図11(b)は正面図である。 更に別の変形実施形態に係る多重ビットの側断面図である。
符号の説明
4 カッタヘッド
8 多重ビット
9 台座
10 内側ビット
11 外側ビット
11j 側部
12 楔部材
13 接触面
14 接触面
15 接触面
16 接触面
17 拘束部材
17a 貫通孔
17b 凹部
17c 貫通ピン
17e 側板
17f 凸部又は凹部
17g 凹部又は凸部
17h 窪み部
17i 突出部
K 切羽
A、B 切削方向
C 切削方向を横切る方向

Claims (6)

  1. トンネル掘削機のカッタヘッドに、切羽を切削するために装着される多重ビットであって、
    上記カッタヘッドに直接又は台座を介して取り付けられる内側ビットと、
    該内側ビットに、この内側ビットを覆って装着された外側ビットと、
    上記台座又は上記カッタヘッドに固定され、上記外側ビットを上記内側ビットに押し付ける楔部材とを有し、
    該楔部材と上記外側ビットとの接触面と、上記外側ビットと上記内側ビットとの接触面とが、上記カッタヘッド作動時の外側ビットの切削方向を横切る方向の軸と平行に形成され、
    上記外側ビットの上記内側ビットに対する上記軸の方向に沿った移動を拘束する拘束部材を備えたことを特徴とする多重ビット。
  2. 上記楔部材と上記外側ビットとの接触面と、上記外側ビットと上記内側ビットとの接触面とが、上記内側ビットから離間する方向に末広がりに形成された請求項1に記載の多重ビット。
  3. 上記拘束部材は、一端が上記外側ビットにその内外面を貫通して形成された貫通孔に固定され、他端が上記内側ビットに形成された凹部に挿入された貫通ピンを有する請求項1又は2に記載の多重ビット。
  4. 上記拘束部材は、一端が上記外側ビットの側部に固定され他端が上記内側ビットの側部に当接された側板を有する請求項1又は2に記載の多重ビット。
  5. 上記拘束部材は、上記楔部材に形成された凸部又は凹部と、これら凸部又は凹部と係合するように上記外側ビットに形成された凹部又は凸部とを有する請求項1又は2に記載の多重ビット。
  6. 上記拘束部材は、上記外側ビットの内面に突出して設けられ上記内側ビットに形成された窪み部に挿入された突出部を有する請求項1又は2に記載の多重ビット。
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