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JP4928573B2 - デジタル伝送方式の復号器及び受信装置 - Google Patents
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JP4928573B2 - デジタル伝送方式の復号器及び受信装置 - Google Patents

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Description

本発明は、衛星伝送路等で発生する歪補償技術に関し、特に、デジタル伝送方式の復号器及び受信装置に関する。
デジタル伝送方式では、各サービスで利用可能な周波数帯域幅において、より多くの情報が伝送可能となるように、多値変調方式がよく用いられる。周波数利用効率を高めるには、変調信号1シンボル当たりに割り当てるビット数(変調多値数)を高める必要があるが、周波数1Hzあたりに伝送可能な情報速度の上限値と信号対雑音比の関係はシャノン限界で制限される。
衛星伝送路を用いた情報の伝送形態の一例として、衛星デジタル放送が挙げられる。例えば、図6に示すように、送信装置100からの変調波信号は、衛星中継器300を介して受信装置200に伝送される。このような衛星デジタル放送において、衛星中継器300は、主に、入力マルチプレクサ(IMUX)フィルター、進行波管増幅器(TWTA)、及び出力マルチプレクサ(OMUX)フィルターからなり、IMUXフィルターによって1チャンネル分ごとに帯域抽出を行い、TWTAにより利得制御を行って、OMUXフィルターで不要周波数成分を抑圧する。
このように、衛星中継器300には、ハードウェア制限上、電力効率のよいTWTAがよく用いられる。また、限られた衛星中継器300のハードウェア制限を最大限生かすため、衛星中継器300の出力が最大となるように飽和領域でTWTAを動作させることが望ましい。しかし、TWTAで発生する歪は伝送劣化につながるため、送信装置100及び受信装置200の伝送信号には、このTWTAで発生する歪で生じる伝送劣化に強い変調方式として、位相変調がよく利用される。
現在、日本では衛星デジタル放送の伝送方式としてISDB−Sと呼ばれる伝送方式が用いられ、BPSK,QPSK,8PSKといった位相変調が利用可能である。また、欧州の伝送方式であるDVB−S2では振幅位相変調(APSK)という振幅位相変調を利用し、さらなる周波数利用効率の改善を図った変調方式の実用化が成されている。たとえば、16APSKであれば周波数利用効率は最大4bps/Hzであり、32APSKであれば最大5bps/Hzで伝送することが可能である。
現在利用されている衛星デジタル放送では、誤り訂正符号を用いた受信装置における情報訂正が行われている。パリティビットと呼ばれる冗長信号を送るべき情報に付加することで信号の冗長度(符号化率)を制御し、雑音に対する耐性を上げることが可能である。誤り訂正符号と変調方式は密接に関わっており、冗長度を加味した周波数利用効率と信号対雑音比の関係はシャノン限界で定義される。シャノン限界に迫る性能を有する強力な誤り訂正符号の一つとしてLDPC(Low Density Parity Check)符号が1962年にギャラガーによって提案されている(例えば、非特許文献1参照) 。
LDPC符号は、非常に疎な検査行列H(検査行列の要素が0と1からなり、且つ1の数が非常に少ない)により定義される線形符号である。また、LDPC符号は、符号長を大きくして適切な検査行列を用いることにより、シャノン限界に迫る伝送特性が得られる強力な誤り訂正符号であり、欧州の新しい衛星放送規格であるDVB−S2や広帯域無線アクセス規格IEEE802.16eにおいてもLDPC符号が採用されている。多値位相変調とLDPC符号をはじめとする強力な誤り訂正符号を組み合わせることで、より高い周波数利用効率の伝送が可能となってきている。
R.G Gallager,"Low density parity check codes,"in Research Monograph series Cambridge, MIT Press,1963年
従来技術において、一般的な衛星中継器300を構成するIMUXフィルター、TWT、OMUXフィルターを想定し、TWTの動作点をOBO=3.4dBとした中継器シミュレーターを計算機シミュレーションにより再現し、判定帰還型FIRフィルター10を有するブラインド等化器により、32APSK変調信号を波形等化した信号例を図13に示す。図13(a)は、ブラインド等化適用前のコンスタレーション、図13(b)はブラインド等化適用後のコンスタレーションである。
図13を参照するに、ブラインド等化を実施することでError Vector Magnitudeが改善しており、波形の品質が向上していることが分かる。続いて、波形等化後のコンスタレーションと、パイロット信号点との位置関係を図14に示す。図14を参照するに、波形等化を実施することで、別途事前に受信しておいたパイロット信号点と波形等化後のコンスタレーションとでは特に最外周円において距離が離れていることが分かる。この距離は復調時に用いる尤度に影響を与え、伝送特性劣化の要因となる。よって、波形等化を行った信号に対し、より正確な尤度計算を行う際には、波形等化後の信号に合わせた適切な計算方法が必要となる。
特に、図13を参照するに、波形等化を実施することで、受信信号のコンスタレーションは、信号点位置によってはより送信信号に近づくものと、十分に等化しきれず伝送路歪の影響が残ったものが共存するコンスタレーションとなる。仮に、従来からの復号器及び受信装置にて、十分に等化しきれず波形等化を行った信号に対し、その受信性能を評価しようとしても、各信号点の性能評価を行うのは計算コストが膨大なものとなる。例えば、変調多値数Mの場合、パイロット信号及び送信信号の選択の組み合わせは2通りあり、32APSKの場合、パイロット信号及び送信信号点の選択方法は232=4294967296通りの組み合わせが存在し、これらについて全ての受信性能を調べることは非現実的である。
そこで、本発明の目的は、伝送路の歪補償の目的で波形等化した受信信号に対して、復号を目的とした尤度比の計算を実施する際に、等化した受信信号の信号点配置毎に、パイロット信号と呼ばれる既知情報を変調した信号と、送信信号点とを併用して、尤度比計算を実施することで伝送特性の改善を可能とするデジタル伝送方式の復号器及び受信装置を提供することにある。
本発明による復号器及び受信装置は、波形等化を行った信号に対し、より正確な尤度計算を行うための適切な計算手段として、受信装置において得られた上記パイロット信号と送信信号点を併用し、等化後の信号に対し、パイロット信号及び送信信号を選択して尤度比計算時の理想シンボル点として取り扱うように計算する。
Figure 0004928573
そこで、同一振幅を属するグループに属する信号点については、パイロット信号点及び送信信号点の選択をしないという拘束条件を設ける。例えば、32APSKは同一振幅を有するグループは3種類であるため、2通りの組み合わせから理想シンボル点配置を選択することが可能となる。続いて、この2通りの組み合わせの中から最も復号特性の良い組み合わせを理想シンボル点配置として選択することで、波形等化後の信号に対し、より優れた伝送特性を得ることが可能となる。
即ち、本発明の復号器は、デジタル伝送の波形等化後のデータ誤りを所定の尤度テーブルを用いて訂正する復号器であって、多値変調方式に応じて復調した信号から、予め規定された信号点配置で周期的に伝送されるパイロット信号を抽出する既知信号抽出手段と、該抽出したパイロット信号の信号点を表すパイロット信号点配置と、予め定められた送信側信号点で規定されている送信信号点配置とを用いて、前記多値変調方式によって定まる同一振幅の種類をM種類としたとき、同一振幅ごとに区別したパイロット信号点及び送信信号点の組み合わせから2 通りの尤度比計算用理想シンボル点配置を決定する理想シンボル決定手段と、前記1つ以上の尤度比計算用理想シンボル点配置を用いて、波形等化後のデータ誤りを評価する伝送特性評価手段と、前記評価において最も伝送特性性能の高くなる尤度比計算用理想シンボル点配置を、前記1つ以上の尤度比計算用理想シンボル点から切り替えながら選定し、主信号の通常受信時の復号時に用いる尤度テーブルを決定する尤度テーブル切り替え手段とを備えることを特徴とする。
また、本発明の復号器において、前記波形等化は、適応等化器からなることを特徴とする。
また、本発明の復号器において、前記所定の尤度テーブルを用いてLDPC復号を行うことを特徴とする。
更に、本発明の復号器は、前記所定の尤度テーブルを用いてLDPC復号を行う点で特徴を有し、本発明の復号器を備える受信装置としても特徴付けられる。
本発明による復号器及び受信装置によれば、特に、複数の振幅レベルを有する多様な変調方式に対する波形等化後の伝送特性改善を図ることが可能となる。
本発明による一実施例のLDPC復号部のブロック図を示す図である。 本発明による一実施例のLDPC復号部の動作を説明するフローチャートである。 32APSKの場合の送信信号点配置を示す図である。 32APSKにおける尤度比計算用理想シンボル点配置の選択一覧を示す図である。 32APSKにおける尤度比計算用理想シンボル点配置の選択一覧を示す図である。 本発明による一実施例のLDPC復号部におけるブラインド等化の32APSK符号化率4/5におけるC/N対ビット誤り率特性の計算機シミュレーション結果を示す図である。 衛星デジタル放送の伝送形態の一例を示す図である。 従来からの衛星放送方式の送信装置の構成を示す図である。 衛星放送方式の従来からの受信装置の概略構成を示すブロック図である。 衛星放送方式の変調波信号形式の例を示す図である。 32APSKにおけるパイロット信号の一送信形態例である。 従来からの受信装置の一部のLDPC復号部を示す図である。 ブラインド等化器に備えられる判定帰還型FIRフィルターの概略図である。 判定帰還型FIRフィルターを有するブラインド等化器により、32APSK変調信号を波形等化した信号例を示す図である。 波形等化後のコンスタレーションと、パイロット信号点との位置関係を表す図である。
はじめに、本発明の理解を容易にするために、LDPC符号を用いた高度衛星放送方式の送信装置100及び受信装置200の概略構成を簡潔に説明する。尚、説明の簡略化のため、本発明に係る部分のみを説明するが、高度衛星放送方式の送信装置100及び受信装置200は、LDPC符号を他の訂正符号方式に置き換えたり、又は併用したり、更にはインタリーバを適宜組み合わせて用いることができる。
(送信装置)
図7は、従来からの高度衛星放送方式の送信装置の構成を示す図である。この送信装置100は、フレーム生成部110と、LDPC符号化部120(以下、符号化器とも称する。)と、エネルギー拡散部130と、マッピング部140と、時分割多重/直交変調部150とを備える。即ち、送信装置100は、データストリームを送信する場合に、後述する図9における複数スロットの多重フレームの信号を生成してから変調波信号を生成するまでの一連の処理を行う。
フレーム生成部110は、LDPC符号化部120とともに機能して、LDPCパリティを生成する。従って、フレーム生成部110及びLDPC符号化部120は、後述する図9における複数スロットのフレームを生成し、エネルギー拡散部130に出力する。尚、フレーム生成部110により生成される多重フレームは、スロット数、ダミーの量、スロット長、同期ビット長、パイロットビット長、並びにTMCC及びパリティビット長が予め定められた数になるように生成される。
LDPC符号化部120は、データ及び伝送制御信号に対して、所定の周期のLDPC符号化を施す。LDPC符号化の具体的な方法は既知であり、且つ本願の主題ではないため更なる説明を割愛する。
エネルギー拡散部130は、それぞれ多重フレームの所定数のスロットを入力し、これらのデータ等の全体に対して、エネルギー拡散(ビットランダム化)を行う。
エネルギー拡散部130からのビットランダム化した信号は、同期及びパイロット信号を適宜挿入しながら、各種変調方式(BPSK,APSK等)に応じて切り換えられ、マッピング部140(変調方式に応じた複数のマッピング)に入力される。
マッピング部140は、TMCC同期で指定された変調方式によるマッピングを行う。
時分割多重/直交変調部150は、フレーム単位の時分割多重を行い、直交変調を施して、変調波信号を生成する。
(受信装置)
図8は、高度衛星放送方式の従来からの受信装置200の概略構成を示すブロック図である。この受信装置200は、チャンネル選択部210と、直交検波部220と、伝送制御信号復号部230と、エネルギー逆拡散部240と、LDPC復号部250とを備えている。
チャンネル選択部210は、送信装置100からの変調波信号を受信し、所定の周波数帯のチャンネルを選択し、そのチャンネルの信号を直交検波部220で扱う所定の周波数の信号に変換にする。例えば、変調波信号が衛星放送波であれば、12GHz帯の放送波(変調波信号)をBSアンテナで受信し、既知の周波数変換器(図示せず)を用いて1GHz帯のBS−IF信号に変換する。
直交検波部220は、チャンネル選択部210により選択されたチャンネルの所定の周波数の信号(例えばBS−IF信号)を入力し、同期ベースバンド信号に変換する。
伝送制御信号復号部230は、直交検波部220により変換された同期ベースバンド信号を入力し、まずTMCC信号の同期バイトを検出し、これを基準として、周期的に多重されているBPSK変調波である位相基準バースト信号の位置も検出する。また、TMCC信号により伝送される変調方式・誤り訂正の情報についてのTMCC情報の復号処理もエネルギー逆拡散部240を経て行う。伝送制御信号復号部230により復号された伝送制御情報(変調方式・誤り訂正のTMCC情報)は、LDPC復号部250に入力される。
エネルギー逆拡散部240は、送信装置100のエネルギー拡散部130において擬似ランダム符号がMOD2により加算された処理を元に戻すため、再度同じ擬似ランダム符号をMOD2により加算し、エネルギー逆拡散処理を行う。
LDPC復号部250は、直交検波部220から同期ベースバンド信号が入力されるともに、伝送制御信号復号部230により検出された変調方式・誤り訂正の情報が入力され、当該同期ベースバンド信号をLDPC符号の検査行列を用いて復号処理を行う。
このように、LDPC符号を用いた高度衛星放送方式の送信装置100及び受信装置200であれば、多値位相変調とLDPC符号をはじめとする強力な誤り訂正符号を組み合わせて、より高い周波数利用効率の伝送が可能となる。
しかしながら、このようなLDPC符号等の強力な誤り訂正符号は白色雑音に対する訂正能力は優れているものの、衛星伝送路固有の歪に対する信号劣化に対する訂正能力は十分ではない。特に16APSKや32APSKといった振幅位相変調を衛星伝送路に用いる場合、衛星中継器300や地球局で用いるTWTA等の増幅器で生じる波形歪による信号劣化が位相変調に比べ、より大きく発生する。
一般的に、増幅器で発生する波形歪を抑える方法としては飽和領域から出力レベルを下げることで増幅器をより線形領域で動作させる手法がとられる。しかしながら、この場合、歪による伝送劣化は収まる一方で、衛星中継器300の出力が低下し、地上における受信信号の低下につながってしまう。よって、衛星放送等でAPSKを適用するには、衛星出力をなるべく低下することなく、歪による伝送劣化に強い伝送方法の利用が不可欠となる。
DVB‐S2をはじめ最新の衛星デジタル放送方式では、誤り訂正符号の復号方法としてベイズ理論に基づく事後確率を最大化する手法(最尤復号)が用いられる。事後確率は尤度関数(式(1))により求まる。
Figure 0004928573
尤度関数の定義より、尤度関数と、受信信号と理想信号点の距離を示すユークリッド距離は密接に関わっている。白色雑音のみの伝送路においては、受信信号点はS/Nに応じたガウス分布のランダム偏差を生じるが、白色雑音以外の特定の歪を含んだ伝送路においては、ランダム偏差に加え、特定の振幅・位相偏差を伴った信号点変移が起きる。特に、非線形増幅器にAPSKを入力した場合においては、APSKは複数種類の同心円を組み合わせて伝送する都合上、もっとも振幅の大きい同心円に属する信号点がより大きな信号偏差を生ずる。
尚、http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/joho_tsusin/bunkakai/080729_1.htmlに「資料60−1−2 放送システム委員会報告」として公開されている、総務大臣から情報通信審議会(以下、情通審)への諮問2023号「放送システムに関する技術的条件」に対する、報告書「情報通信審議会 情報通信技術分科会 放送システム委員会 報告」(平成20年7月29日)に示された高度衛星デジタル放送方式(以下、高度衛星放送方式と呼ぶ。)では、APSKに対する伝送特性改善についても考慮している。
図9に高度衛星放送方式の変調波信号形式の例を示す。変調波信号は、フレーム単位で変調方式や誤り訂正符号の符号化率を含む伝送パラメータの変更が可能である。また、1フレームは120個の変調スロットで構成され、5変調スロットごとに変調方式と符号化率を指定して伝送可能である。各変調スロットは24シンボルの同期信号、32シンボルのパイロット信号、及び136シンボルのデータと4シンボルのTMCC信号の対が、66回、時分割多重される。
図10に、パイロット信号の一送信形態例であり、あらかじめ伝送順序が決められた送信シンボルに対する既知送信ビットの対応図を示す。パイロット信号は、図10に示すように、32APSKの場合、シンボル“00000”から“11111”に対応する信号点が順に伝送される。図10(a)、図10(b)、及び図10(c)は、それぞれ第1シンボル、第2シンボル、第32シンボルに対応する信号点を「黒丸」で表している。
図11に、このパイロット信号を用いる従来から知られている受信装置200の一部のLDPC復号部250を示す。パイロット信号を含まないシステムの場合、直交検波されたI信号及びQ信号に対し、尤度テーブルを参照しながら、LDPC復号を行うが、このLDPC復号部250では、パイロット信号についてシンボルごとに平均化を行い、伝送路における非線形歪の影響を受けた後の信号点配置を取得し、得られた信号点配置をもとに尤度テーブルを生成又は更新することで性能向上が可能である(同報告書の参考資料1‐8「パイロット信号による受信特性の改善」参照)。
具体的には、LDPC復号部250は、パイロット信号抽出部252と、パイロット信号平均化処理部253と、尤度テーブル生成部254と、所定のメモリ(図示せず)内に格納される尤度テーブル255と、LDPC復号器251とを備える。
パイロット信号抽出部252は、直交検波部220により変換された同期ベースバンド信号を入力し、事前に検出したTMCC信号内のパイロットタイミングを表す同期情報の信号(パイロットタイミング信号)を用いてパイロット信号の信号点の位置を抽出し、順次、パイロット信号平均化処理部253に送出する。
パイロット信号平均化処理部253は、シンボルごとにパイロット信号の信号点の平均化を行って、この情報を尤度テーブル生成部254に送出する。
尤度テーブル生成部254は、シンボルごとに平均化されたパイロット信号の信号点についての復号器出力対数尤度比 (LLR:Log likelihood ratio)を表す、LDPC復号における尤度計算に用いる尤度テーブル255を生成し、所定のメモリ内に格納するか、又は更新する。尚、尤度テーブル255は、予め定められたスロット長で変調方式や符号化率に応じて個別に生成するのが好適であり、尤度テーブル255の生成に用いる変調方式及び符号化率の情報は、事前に検出したTMCC信号内のTMCC情報に従う信号(変調方式・符号化率選択信号と称する)から得られる。
LDPC復号器251は、尤度テーブル255のLLR、及び変調方式・符号化率選択信号に基づいて、直交検波部220により変換された同期ベースバンド信号の情報をLDPC復号して復号信号を送出する。
尚、このような固定のパターン(即ち、パイロット信号点の繰り返しのパターン)を周期的に多重してしまうと、変調信号の周波数成分に線スペクトルが発生することになるために、パイロット信号も送信側でエネルギー拡散を行う。
ここで、受信装置において伝送路歪を補償する方法として適応等化器の利用が挙げられ、適応等化器の一形態として受信信号のみから伝送路歪の影響を軽減することが可能なブラインド等化器が良く用いられる(例えば、参考文献:Kil Nam OH, ”A Single/Multilevel Modulus Algorithm for Blind Equalization of QAM Signals” IEICE TRANS. FUNDAMENTALS. VOL.E80-A, N.6. 1997年6月、参照)
ブラインド等化器は適応フィルターの一種であり、フィルターのタップ長やステップサイズ、及び誤差ベクトルの計算方法を適切に選ぶことで、伝送路で生じた歪を軽減し、送信信号に近いシンボル点に受信信号点を変化させることが可能な波形等化器である。ブラインド等化器は、図12に示す判定帰還型FIRフィルター10を用いて検証することができる。ステップサイズsは2E−4、フィードフォワードフィルター(FF)11のタップ長Mは10、フィードバックフィルター(FB)14のタップ長Lは14とし、ブラインドアルゴリズムはGCMCAアルゴリズムを用いる(上述の参考文献を参照)。
具体的には、判定帰還型FIRフィルター10は、フィードフォワードフィルター(FF)11と、等化器出力部12と、判定部13と、フィードバックフィルター(FB)14と、加算部15と、フィルター係数更新部16を備える。
フィードフォワードフィルター(FF)11は、タップ長Mに対応するフィルター係数WFF:[W,W,・・・,W]を有し、入力信号ベクトルx(n)に対して、入力ベクトル列xFF:[x(n),x(n−1),・・・,x(n−M)]を保持し、フィードフォワードフィルター係数WFFと入力ベクトル列XFFとの積和演算を行う。ここでTは行列の転置を表す。
フィードバックフィルター(FB)14は、タップ長Lに対応するフィルター係数WFB:[WM+1,WM+2,・・・,WM+L]を有し、後述する判定部13の判定器出力d(n)に対して、判定器出力列dFB:[d(n−1),d(n−2),・・・,d(n−L)]を保持し、フィードバックフィルター係数WFBと判定出力列dFBとの積和演算を行う。
加算部15は、フィードフォワードフィルター(FF)11の出力からフィードバックフィルター(FB)14の出力14aを減算した値を等化器出力部12に出力する。
判定部13は、等化器出力部12で得られた等化器出力z(n)に対して、既知の変調方式によって定める理想シンボル点との最小ユークリッド距離判定を行い、最小ユークリッド距離となる理想シンボル点を判定器出力d(n)としてフィードバックフィルター(FB)に出力する。同時に、フィルター係数更新のため、判定器出力d(n)をフィルター係数更新部16に出力する。
等化器出力部12は、加算部15から得られた等化器出力z(n)を送出する。
z(n)=x’(n)・W(n) (2)
ここに、x’(n)=[x(n),x(n−1),・・・,x(n−M),
d(n−1),d(n−2),・・・,d(n−L)]
同時に、フィルター係数更新のため、等化器出力z(n)をフィルター係数更新部16に出力する。
フィルター係数更新部16は、等化器出力z(n)及び判定器出力d(n)から誤差ベクトルe(n)を求め、e(n)およびステップサイズsを用いて、LMSアルゴリズムによりフィードフォワードフィルター(FF)係数WFF, フィードバックフィルター(FB)係数WFBを逐次更新する。(上述の参考文献を参照)。
そこで、本発明による実施例の復号器及び受信装置によれば、受信装置200において得られたパイロット信号と送信信号点を併用し、等化後の信号に対し、パイロット信号及び送信信号を選択して尤度比計算時の理想シンボル点として取り扱うように計算し、より正確な尤度計算を行うことを可能にする。
以下、本発明による一実施例の復号器及び受信装置について説明する。
図1に、本発明による一実施例の復号器(LDPC復号部50)のブロック図を示す。尚、本実施例のLDPC復号部50は、図8に示す受信装置200における従来からのLDPC復号部250と置き換えることで、本発明による一実施例の受信装置を構成することになる。従って、LDPC復号部50を除く受信装置の動作は、図8に示すものと同様であり、更なる詳細な説明は省略する。
本実施例のLDPC復号部50は、パイロット信号抽出部52と、パイロット信号平均化処理部53と、尤度テーブルリスト生成部54と、所定のメモリ(図示せず)内に格納される1つ以上の尤度テーブルを切り替える尤度テーブル切り替え部55と、LDPC復号器51と、ブラインド等化器56と、BER評価部57と、所定のメモリ(図示せず)内に予め格納される送信信号点テーブル58とを備える。尚、本実施例のLDPC復号部50におけるパイロット信号抽出部52、パイロット信号平均化処理部53、及びLDPC復号器51は、それぞれ図11に示すLDPC復号部250におけるパイロット信号抽出部252、パイロット信号平均化処理部253、及びLDPC復号器251と同様の機能を有し、同様に動作する。従って、本実施例のLDPC復号部50は、ブラインド等化器56と、BER評価部57と、送信信号点テーブル58とを備え、且つ尤度テーブル255の代わりに尤度テーブル切り替え部55を備える点で、図11に示すLDPC復号部250とは相違する。
ブラインド等化器56は、図12に示す判定帰還型FIRフィルター10として機能する等化器であり、直交検波部220からエネルギー逆拡散部240を経て得られるI信号及びQ信号に対し、波形等化を行った出力をLDPC復号器51に送出する。
送信信号点テーブル58は、TMCC情報にて伝送される送信側の信号点を示すテーブルであり、尤度テーブルリスト生成部54に供給される。
尤度テーブルリスト生成部54は、この送信信号点テーブル58を用いて、同一振幅に属するグループによってM種類に大別し、例えば受信するパイロット信号点をP、送信信号点テーブル58に基づく送信信号点をTと定義し、同一振幅ごとに区別したパイロット信号点及び送信信号点の組み合わせから、2通りの尤度比計算用理想シンボル点を算出するとともに、これらの尤度比計算用理想シンボル点ごとに、シンボルごとに平均化されたパイロット信号の信号点についての復号器出力対数尤度比 (LLR:Log likelihood ratio)を表す、LDPC復号における尤度計算に用いる尤度テーブルを生成し、所定のメモリ内に格納するか、又は更新する。
BER評価部57は、主信号(データ)の通常受信前に、ブラインド等化器56から出力される波形等化後のパイロット信号について各尤度テーブルを用いたLDPC復号器51の出力のビット誤り率か、又はLDPC復号器51の所定の反復回数によって定まるビット誤り率を伝送特性結果として評価して、この評価結果を尤度テーブル切り替え部55に出力する。
尤度テーブル切り替え部55は、BER評価部57から順次入力されるパイロット信号の伝送特性結果を取得して、2通りの理想シンボル点配置の尤度テーブルを用いた評価結果を比較し、複数の理想シンボル点に対応する尤度テーブルのうち、最も性能の良い(ビット誤り率の低い)理想シンボル点の尤度テーブルを選択して、LDPC復号器51に対する主信号の受信用に用いる尤度テーブルを決定する。尚、尤度テーブル切り替え部55は、主信号の受信時には、この最も復号性能の良い理想信号点配置を保持し、以後の受信に継続して用いる。
次に、図1〜5を参照して、本実施例の復号器の動作について説明する。
図2は、本実施例の復号器の動作を説明するフローチャートである。ここで、前述したように、シンボル列は全て複素信号を想定している。また、本実施例の復号器50を備える受信装置200は、図6に示す衛星中継器300を介して信号を受信することを想定し、伝送路歪みは送信部から伝送路を介して受信装置へ経る過程においてのみ発生することを想定する。また、以下の説明では32APSKを例に説明する。
図3に、32APSKの場合の送信信号点配置を示す。32APSKの場合、受信点候補は32点である。この受信点候補は、尤度テーブルリスト生成部54により、同一振幅に属するグループによって3種類に大別される。例えば、パイロット信号点をP、送信信号点をTと定義し、このPとTの組み合わせの表記を振幅の小さい順に、(T又はP, T又はP,T又はP,・・・) と定義する。一例として32APSKにおいては3つの同一振幅で分類できるため、内周円、最内周円をパイロット信号点、最外周円を送信信号と選択した場合、(P,P,T)と表記することができる。
図2を参照するに、ステップS1にて、受信装置200は、主信号の通常受信前に、パイロット信号抽出部52及びパイロット信号平均化処理部53を介して得られるパイロット信号を受信し、尤度テーブルリスト生成部54により、このパイロット信号の信号点配置を決定する。
次に、ステップS2にて、受信装置200は、尤度テーブルリスト生成部54により、TMCC情報から得られる送信信号点配置の組み合わせからなる2通り(32APSKの場合、M=3である)の理想シンボル点配置を決定する。図4A及び図4Bに32APSKにおける尤度比計算用理想シンボル点配置の選択一覧を示す。
次に、ステップS3にて、受信装置200は、BER評価部57により、2通りの尤度比計算用の理想シンボル点を用いて、波形等化後の信号に対し、ビット誤り数やビット誤り率、又はLDPC復号時の反復復号回数等を用いることで各理想シンボル点配置に対する伝送特性を評価する。
次に、ステップS4にて、受信装置200は、尤度テーブル切り替え部55により、各理想シンボル点配置に対する伝送特性の評価結果から、最も復号性能の良い信号点配置を選択して保持し、以後の受信に継続して用いるようにする。
図5に、上記8種類の理想シンボル点配置における、ブラインド等化32APSK符号化率4/5におけるC/N対ビット誤り率特性の計算機シミュレーション結果を示す。ここで、計算機シミュレーションに用いた伝送路の系統としては、衛星伝送路(図6参照)を想定した。衛星伝送路としては、一般的な衛星中継器を構成するIMUXフィルター、TWT、OMUXフィルターを想定し、計算機シミュレーションにより系統を再現した。TWTの動作点は3.4dBについて計算を行った。ブラインド等化器は図12に示す判定帰還型FIRフィルターを用いた。ステップサイズは2E−4、フィードフォワードフィルターのタップ長は10、フィードバックフィルタータップ長は14である。ブラインドアルゴリズムはGCMCAアルゴリズムを用いた。
本実施例の復号器によれば、8種類の組み合わせのうち、最外周円が送信信号、内周円及び最内周円がパイロット信号の組み合わせ(P,P,T)(図4B(b)のパターン)において、最も良い復号特性が得られることが分かる。よって、波形等化後の信号に対し、本方式を用いることで伝送性能の改善を図ることが可能である。本実施例の適応等化器としてはブラインド等化器を用いたが、ブラインド等化器以外の他の適応等化器を利用した場合においても、本方式は適用可能である。また、本方式は32APSKに限らず、複数の振幅レベルを有する多様な変調方式に対する波形等化後の伝送特性改善を図ることが可能である。
また、上述の実施例では、特定の衛星中継器、変調方式、及びLDPC符号を適用した場合について説明したが、本発明は、地上中継器や他の変調方式、並びに尤度計算を要する任意の誤り訂正符号に適用することができることは実施例の説明から明らかである。従って、本発明は、上述の実施例によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲によってのみ制限される。
本発明は、受信側で伝送路歪みを好適に低減させることができるので、任意のデジタル伝送方式の復号器及び受信装置に有用である。
10 判定帰還型FIRフィルター
11 フィードフォワードフィルター(FF)
12 等化制御部
13 判定部
14 フィードバックフィルター(FB)
15 加算部
50 LDPC復号部
51 LDPC復号器
52 パイロット信号抽出部
53 パイロット信号平均化処理部
54 尤度テーブルリスト生成部
55 尤度テーブル切り替え部
56 ブラインド等化器
57 BER評価部
58 送信信号点テーブル
100 送信装置
110 フレーム生成部
120 LDPC符号化部
130 エネルギー拡散部
140 マッピング部
150 時分割多重/直交変調部
200 受信装置
210 チャンネル選択部
220 直交検波部
230 伝送制御信号復号部
240 エネルギー逆拡散部
250 LDPC復号部
251 LDPC復号器
252 パイロット信号抽出部
253 パイロット信号平均化処理部
254 尤度テーブル生成部
255 尤度テーブル

Claims (4)

  1. デジタル伝送の波形等化後のデータ誤りを所定の尤度テーブルを用いて訂正する復号器であって、
    多値変調方式に応じて復調した信号から、予め規定された信号点配置で周期的に伝送されるパイロット信号を抽出する既知信号抽出手段と、
    該抽出したパイロット信号の信号点を表すパイロット信号点配置と、予め定められた送信側信号点で規定されている送信信号点配置とを用いて、前記多値変調方式によって定まる同一振幅の種類をM種類としたとき、同一振幅ごとに区別したパイロット信号点及び送信信号点の組み合わせから2 通りの尤度比計算用理想シンボル点配置を決定する理想シンボル決定手段と、
    前記1つ以上の尤度比計算用理想シンボル点配置を用いて、波形等化後のデータ誤りを評価する伝送特性評価手段と、
    前記評価において最も伝送特性性能の高くなる尤度比計算用理想シンボル点配置を、前記1つ以上の尤度比計算用理想シンボル点から切り替えながら選定し、主信号の通常受信時の復号時に用いる尤度テーブルを決定する尤度テーブル切り替え手段と、
    を備えることを特徴とする、復号器。
  2. 前記波形等化は、適応等化器からなることを特徴とする、請求項に記載の復号器。
  3. 前記所定の尤度テーブルを用いてLDPC復号を行うことを特徴とする、請求項1又は2に記載の復号器。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の復号器を備えることを特徴とする受信装置。
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