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JP4929466B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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本発明は、スノー路面での操安性を向上した空気入りタイヤに関し、特に冬用タイヤとして有用である。
通常、空気入りタイヤのトレッド面には、要求されるタイヤ性能や使用条件に応じた各種のトレッドパターンが形成される。中でも、スノー路面での走行に供される冬用タイヤでは、トレッド面の略全面にブロックが配置されるのが一般的で、これによりスノー路面における操安性(操縦安定性)を高めるようにしている。ところで、近年の冬用タイヤにおいては、スノー路面での操安性だけでなく、ドライ路面での操安性も重視される傾向にあり、かかる要請に十分に対応しうるタイヤが強く望まれている。
これに対して、下記特許文献1には、トレッド面の車両装着時内側となるイン側領域にブロックのみを配置すると共に、車両装着時外側となるアウト側領域にリブを配置し、更にはイン側領域及びアウト側領域のボイド比を所定範囲に収めつつ、該ボイド比をアウト側領域よりもイン側領域で5%以上大きくした空気入りタイヤが記載されている。しかし、このタイヤでは、イン側領域とアウト側領域とでボイド比を大きく相違させるため、接地圧が不均一になり易く、トレッド面に偏摩耗が生じ易いという問題がある。特に、夏用タイヤなどに比べてトレッドゴムが軟らかい冬用タイヤでは、不均一な接地による偏摩耗の発生が顕著であり、実用上これを改善することが大変重要となる。
特開平11−342706号公報
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、スノー路面での操安性とドライ路面での操安性とを両立でき、しかも耐偏摩耗性にも優れている空気入りタイヤを提供することにある。
本発明に係る空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延びた複数本の主溝によって、タイヤ赤道近傍に配されたセンター域と、前記センター域を挟んでその外側に配されたメディエイト域と、前記メディエイト域の外側に配されたショルダー域とに区分されるトレッド面を有し、前記トレッド面の、タイヤ赤道を基準にして車両装着時内側となるイン側領域に、前記主溝とその主溝に交差する横溝とで区分されたブロックのみからなる陸部が配されるとともに、タイヤ赤道を基準にして車両装着時外側となるアウト側領域に、タイヤ周方向に延びるリブを含んだ陸部が配され、前記主溝の溝面積が前記イン側領域よりも前記アウト側領域で大きく、前記横溝の溝面積が前記アウト側領域よりも前記イン側領域で大きく、前記イン側領域と前記アウト側領域とのボイド比の差が5%以内であり、且つ、前記センター域、前記メディエイト域及び前記ショルダー域に配された各陸部の相互の面積比が1.4以下であるものである。
本発明に係る空気入りタイヤでは、タイヤ周方向に延びる主溝の溝面積がアウト側領域で大きいことによりスノー路面での旋回トラクションを向上しつつ、タイヤ周方向に交差して延びる横溝の溝面積がイン側領域で大きいことによりスノー路面での前後トラクションを向上できるため、スノー路面で優れた操安性を発揮することができる。また、旋回走行時に作用が大きいアウト側領域に、ブロックに比べて剛性の高いリブを配していることにより、ドライ路面での操安性をも高めることができる。しかも、イン側領域とアウト側領域とのボイド比の差を5%以内に抑えて、両領域の実質的な接地面積を略同等にしていることから、接地圧の均一性を高めて耐偏摩耗性を向上することができ、更には、センター域、メディエイト域及びショルダー域に配された各陸部の相互の面積比を1.4以下に設定していることから、各陸部での局部的な偏摩耗を抑制することができる。ここで、ボイド比は、接地面積に対する溝面積の比率(%)であり、{1−実接地面積(陸部面積)/接地面積(陸部面積+溝面積)}×100の式により算出できる。
本発明の空気入りタイヤは、上記のように、スノー路面及びドライ路面での操安性を高めるべく、陸部の形態や溝面積をイン側領域とアウト側領域とで異ならせたものであり、そのトレッドパターンはタイヤ赤道に関して非対称となる。そして、かかる非対称パターンにおいて、上記の如くイン側領域とアウト側領域とのボイド比を略同等にし、併せて各陸部の相互の面積比を所定以下に設定することで、接地圧の均一性を高めるものである。その結果、スノー路面での操安性とドライ路面での操安性とを両立しつつ、優れた耐偏摩耗性を発揮することができる。
上記において、前記イン側領域のボイド比が35±5%であるとともに、その内の前記主溝に関するボイド比が10±10%、前記横溝に関するボイド比が25±10%であり、前記アウト側領域のボイド比が35±5%であるとともに、その内の前記主溝に関するボイド比が25±5%、前記横溝に関するボイド比が10±5%であることが好ましい。
かかる構成によれば、イン側領域とアウト側領域とのボイド比を上記の如く設定するにあたり、両領域のボイド比をそれぞれ35±5%の範囲に収めることで、摩耗ライフや排水性など他のタイヤ性能への影響を抑えつつ、上述した本発明の作用効果を好適に奏することができる。更に、この場合において、アウト側領域における主溝の溝面積とイン側領域における横溝の溝面積とを、それぞれ25%前後のボイド比で確保することにより、スノー路面での旋回トラクション及び前後トラクションを適切に向上し、スノー路面での操安性を効果的に高めることができる。
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る空気入りタイヤのトレッド面の一例を示す展開図である。この空気入りタイヤは、トレッド面にタイヤ赤道CLに関して非対称なパターンが形成されており、図1右側が車両内側に、図1左側が車両外側になるように方向指定されて車両に装着される。したがって、イン側領域Aiが、タイヤ赤道CLを基準にして車両装着時内側となる領域であり、アウト側領域Aoが、タイヤ赤道CLを基準にして車両装着時外側となる領域である。
イン側領域Ai及びアウト側領域Aoの外側端となる接地端Eは、正規内圧を充填した状態でタイヤを平面に垂直に置き、正規荷重を加えたときに接地するタイヤ軸方向の最外位置として定義される。この正規荷重及び正規内圧は、JISD4202等に規定されている最大荷重(乗用車用タイヤの場合は設計常用荷重)及びこれに見合った空気圧である。
トレッド面には、タイヤ周方向に連続してストレート状に延びる5本の主溝1〜5と、それらに交差して延びる横溝6〜9とが設けられている。トレッド面は、主溝1〜5によって、タイヤ赤道CL近傍に配されたセンター域Ci、Coと、そのセンター域Ci、Coを挟んでその外側に配されたメディエイト域Mi、Moと、そのメディエイト域Mi、Moの外側に配されたショルダー域Si、Soとの6つの区域に区分されている。ここで、タイヤ赤道CLから接地端Eまでのタイヤ幅方向距離を接地半幅Wとするとき、センター域Ci、Coの幅寸法(タイヤ赤道CLから主溝2、4の中心線までのタイヤ幅方向距離)の接地半幅Wに対する比率としては24.8〜35.0%であるものが例示される。また、ショルダー域Si、Soの幅寸法(接地端Eから主溝1、5の中心線までのタイヤ幅方向距離)の接地半幅Wに対する比率としては29.4〜42.4%であるものが例示される。
図1に示すように、トレッド面のイン側領域Aiには、主溝3〜5と横溝7〜9とにより所定のピッチで区分されたブロックのみからなる陸部が配されている。横溝7、8は、タイヤ周方向に傾斜して延びており、センター域Ciとメディエイト域Miとに配されたブロックは平面視菱形をなしている。これに対し、アウト側領域Aoには、主溝1〜3により区分されたリブを含む陸部が配されている。このように、旋回走行時に作用が大きいアウト側領域Aoに剛性が比較的高いリブを配していることにより、ドライ路面での操安性を高めることができる。
この空気入りタイヤのトレッド面は、主溝の溝面積がイン側領域Aiよりもアウト側領域Aoで大きく、横溝の溝面積がアウト側領域Aoよりもイン側領域Aiで大きくなるように形成されている。つまり、イン側領域Aiにおける主溝3〜5の溝面積(主溝3については半分)よりも、アウト側領域Aoにおける主溝1〜3の溝面積(主溝3については半分)の方が大きく、アウト側領域Aoにおける横溝6の溝面積よりも、イン側領域Aiにおける横溝7〜9の溝面積の方が大きいのである。これにより、スノー路面での旋回トラクションと前後トラクションとを向上して、スノー路面での操安性を高めることができる。
上記のスノー路面での操安性の改善効果を高めるべく、アウト側領域Aoにおける主溝1〜3のボイド比Vo(m)は、イン側領域Aiにおける主溝3〜5のボイド比Vi(m)よりも、5%以上大きいことが好ましく、10%以上大きいことがより好ましい。また、イン側領域Aiにおける横溝7〜9のボイド比Vi(l)は、アウト側領域Aoにおける横溝6のボイド比Vo(l)よりも、5%以上大きいことが好ましく、10%以上大きいことがより好ましい。本実施形態では、これらのボイド比を下記の式により算出できる。
ボイド比Vo(m):主溝1〜3の溝面積(主溝3については半分)/アウト側領域Aoの接地面積×100
ボイド比Vi(m):主溝3〜5の溝面積(主溝3については半分)/イン側領域Aiの接地面積×100
ボイド比Vi(l):横溝7〜9の溝面積/イン側領域Aiの接地面積×100
ボイド比Vo(l):横溝6の溝面積/アウト側領域Aoの接地面積×100
また、このトレッド面は、イン側領域Aiのボイド比Viとアウト側領域Aoのボイド比Voとの差が5%以内となるように形成されている。このボイド比の差は、5%未満であることが好ましく、より好ましくは3%以内である。本実施形態では、これらのボイド比を下記の式により算出できる。
ボイド比Vi:主溝3〜5と横溝7〜9との溝面積(主溝3については半分)/イン側領域Aiの接地面積×100
ボイド比Vo:主溝1〜3と横溝6との溝面積(主溝3については半分)/アウト側領域Aoの接地面積×100
更に、このトレッド面は、センター域Ci、Co、メディエイト域Mi、Mo及びショルダー域Si、Soに配された各陸部の相互の面積比が1.4以下となるように形成されている。この面積比が最大になるのは、6つの区域に配された陸部のうち面積が最小のものと最大のものとの比であり、かかる最大面積比が1.4以下であればよい。この面積比は、1.2以下であることが好ましく、1.0以下であることがより好ましい。
この空気入りタイヤでは、上述のようにイン側領域Aiとアウト側領域Aoとのボイド比の差を5%以内に抑えて、両領域の実質的な接地面積を略同等にしていることから、接地圧の均一性を高めて耐偏摩耗性を向上することができ、更に、センター域Ci、Co、メディエイト域Mi、Mo及びショルダー域Si、Soに配された各陸部の相互の面積比を1.4以下に抑えていることから、各陸部での局部的な偏摩耗を抑制することができる。その結果、スノー路面での操安性とドライ路面での操安性とを両立しつつ、優れた耐偏摩耗性を発揮することができる。
本発明では、イン側領域Aiのボイド比Viが35±5%であるとともに、その内の主溝3〜5に関するボイド比Vi(m)が10±10%、横溝7〜9に関するボイド比Vi(l)が25±10%であり、アウト側領域Aoのボイド比Voが35±5%であるとともに、その内の主溝1〜3に関するボイド比Vo(m)が25±5%、横溝6に関するボイド比Vo(l)が10±5%であることが好ましい。これにより、摩耗ライフや排水性など他のタイヤ性能への影響を抑えつつ、上述した本発明の作用効果を好適に奏することができ、また、スノー路面での旋回トラクション及び前後トラクションを適切に向上して、スノー路面での操安性を効果的に高めることができる。このようなボイド比を設定するための寸法等については、後述の実施例に示すものが例示できる。
本発明の空気入りタイヤは、スタッドレスタイヤ(冬用タイヤ)として有用である。冬用タイヤでは、JISK6253のデュロメータ硬さ試験(タイプA)に準じて測定したゴム硬度が45〜65°程度、特に国内では45〜55°程度の比較的軟質のトレッドゴムが採用されるため、不均一な接地による偏摩耗の発生が顕著であるが、本発明によれば、上記のようにスノー路面及びドライ路面での操安性を確保しつつ、接地圧の均一性を高めて耐偏摩耗性を向上することができる。
本発明の空気入りタイヤは、トレッド面を上記の如き構成にすること以外は、通常の空気入りタイヤと同等であり、従来公知の材料、形状、構造、製法などが何れも本発明に採用することができる。
本発明に係る空気入りタイヤのトレッドパターンは、前述の実施形態で示したものに限られない。したがって、主溝がタイヤ周方向に沿ってジグザグ状に延びるものや、ブロック又はリブに閉塞スリットやノッチが設けられたものでも構わない。また、冬用タイヤとしての機能を高めるべく、ブロックやリブにサイプを設けても構わないが、該サイプは溝面積としては考慮しないものとする。また、前述の実施形態では、5本の主溝によりトレッド面を6つの区域に区分した例を示したが、本発明では、タイヤ赤道近傍に主溝を設けずにセンター域を単一とし、4本の主溝によりトレッド面を5つの区域に区分したものでも構わない。かかる場合においても、陸部の形態やボイド比、各陸部の相互の面積比は、上述した範囲を逸脱しないように設定される。
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。なお、タイヤの各性能評価は、次のようにして行った。
(1)スノー操安性
実車(2000ccの4WDセダン車、2名乗車)の全輪にテストタイヤを装着し、空気圧210kPaとしてスノー路面を走行し、直進や旋回、制動などを実施して官能試験により評価した。評価は10点満点とし、数値が大きいほどスノー操安性に優れていることを示す。
(2)ドライ操安性
上記(1)と同条件にてドライ路面を走行し、官能試験により評価した。評価は10点満点とし、数値が大きいほどドライ操安性に優れていることを示す。
(3)耐偏摩耗性
実車(2000ccの4WDセダン車、2名乗車)の全輪にテストタイヤを装着し、空気圧210kPaとして一般路を12000km走行した後、各主溝の溝深さにより摩耗量を測定し、それらの摩耗量の比(最大値/最小値)を偏摩耗比として算出するとともに摩耗形態を観察した。この偏摩耗比が1.0に近いほど均一摩耗であり、耐偏摩耗性に優れていることを示す。
比較例1〜4、実施例1、2
図1に示したトレッド面において、接地半幅Wを80mm、1ピッチ(図1は2ピッチで示している。)のタイヤ周方向長さを30mmとし、主溝幅W1〜W5や陸部面積などの寸法を表1に示すように設定して比較例1〜4及び実施例1、2とした。なお、横溝幅は、表1に示した主溝幅と陸部面積とが得られるように設定し、タイヤサイズは205/55R16、リムサイズは16×6.5Jである。評価結果を表2に示す。
Figure 0004929466
Figure 0004929466
表2に示すように、比較例1、2では、イン側領域とアウト側領域とのボイド比の差が大きく、アウト側領域に比べてイン側領域の接地圧が高くなる傾向にあるため、イン側領域が早期に摩耗する形態で偏摩耗が発生している。また、比較例3、4では、各陸部の相互の面積比が大きいことから、センター域や両側のショルダー域が早期に摩耗するなど局部的な偏摩耗が発生している。これらに対して、実施例1、2では、スノー路面での操安性とドライ路面での操安性とを両立しながらも、トレッド面が比較的均一に摩耗しており、耐偏摩耗性に優れていることが分かる。
本発明に係る空気入りタイヤのトレッド面の一例を示す展開図
符号の説明
1〜5 主溝
6〜9 横溝
Ai イン側領域
Ao アウト側領域
Ci センター域
Co センター域
CL タイヤ赤道
E 接地端
Mi メディエイト域
Mo メディエイト域
Si ショルダー域
So ショルダー域

Claims (2)

  1. タイヤ周方向に延びた複数本の主溝によって、タイヤ赤道近傍に配されたセンター域と、前記センター域を挟んでその外側に配されたメディエイト域と、前記メディエイト域の外側に配されたショルダー域とに区分されるトレッド面を有し、
    前記トレッド面の、タイヤ赤道を基準にして車両装着時内側となるイン側領域に、前記主溝とその主溝に交差する横溝とで区分されたブロックのみからなる陸部が配されるとともに、タイヤ赤道を基準にして車両装着時外側となるアウト側領域に、タイヤ周方向に延びるリブを含んだ陸部が配され、
    前記主溝の溝面積が前記イン側領域よりも前記アウト側領域で大きく、前記横溝の溝面積が前記アウト側領域よりも前記イン側領域で大きく、前記イン側領域と前記アウト側領域とのボイド比の差が5%以内であり、且つ、前記センター域、前記メディエイト域及び前記ショルダー域に配された各陸部の相互の面積比が1.4以下である空気入りタイヤ。
  2. 前記イン側領域のボイド比が35±5%であるとともに、その内の前記主溝に関するボイド比が10±10%、前記横溝に関するボイド比が25±10%であり、
    前記アウト側領域のボイド比が35±5%であるとともに、その内の前記主溝に関するボイド比が25±5%、前記横溝に関するボイド比が10±5%である請求項1記載の空気入りタイヤ。
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