JP4930182B2 - 合金化溶融亜鉛めっき鋼板 - Google Patents
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Description
。そのような用途での合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、プレス成形を施されて使用に供される。しかし、合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、冷延鋼板に比べてプレス成形性が劣るという欠点を有する。これはプレス金型での合金化溶融亜鉛めっき鋼板の摺動抵抗が冷延鋼板に比べて大きいことが原因である。すなわち、金型とビードでの摺動抵抗が大きい部分で合金化溶融亜鉛めっき鋼板がプレス金型に流入しにくくなり、鋼板の破断が起こりやすい。
本発明は、以上の知見に基づきなされたものであり、その要旨は以下の通りである。
[1]Fe-Zn合金めっき相を少なくとも鋼板の片面に有し、かつ、該Fe-Zn合金めっき相の表面には調質圧延により形成される平坦部を有し、該平坦部表面には、Znを必須成分とする酸化物が平均厚さ10nm以上200nm以下形成されており、さらに、前記平坦部以外のめっき相表面には、平均粒径が5 nm以上500 nm以下の微粒子状の酸化物が存在することを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
[2]前期[1]において、前記微粒子状の酸化物は、Znと5原子%以上40原子%以下のZrを含むことを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
[3]前期[1]または[2]において、前記微粒子状の酸化物は、Znと5原子%以上30原子%以下のTiを含むことを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
1)粒子状酸化物自体がめっき合金相と金型との直接接触を抑制し凝着を抑制する効果.
2)粒子状の形状を有することで従来は平滑であった表面に潤滑油を保持する効果。
板厚0.8mmの冷延鋼板上に、常法の合金化溶融亜鉛めっき皮膜を形成し、更に調質圧延を行い、めっき相表面に平坦部を形成した。引き続き、酸化物形成処理として、酢酸ナトリウム40g/lの酸性水溶液に、ZrもしくはTiを、イオン濃度を適宜変えて添加した酸性溶液を35℃とし、3秒浸漬した。その後、ロール絞りを行い、液量を調整した後、大気中に一定時間放置して反応させ、十分水洗を行った後、乾燥を実施した。大気中への放置時間(反応時間)を、表1に示すように10〜60secの間で変化させた。
比較材として、ZrおよびTiを添加しないで上記と同様の処理を行った材料を作製した。なお、ZrおよびTiイオン源としてはZr(SO4)2・4H2OおよびTi2(SO4)3をそれぞれ用いた。
プレス成形性を評価するために、各供試材の摩擦係数を以下のようにして測定した。
図1は、摩擦係数測定装置を示す概略正面図である。同図に示すように、供試材から採取した摩擦係数測定用試料1が試料台2に固定され、試料台2は、水平移動可能なスライドテーブル3の上面に固定されている。スライドテーブル3の下面には、これに接したローラ4を有する上下動可能なスライドテーブル支持台5が設けられ、これを押し上げることにより、ビード6による摩擦係数測定用試料1への押し付け荷重Nを測定するための第1ロードセル7が、スライドテーブル支持台5に取り付けられている。上記押し付け力を作用させた状態でスライドテーブル3を水平方向へ移動させるための摺動抵抗力Fを測定するために第2ロードセル8が、スライドテーブル3の一方の端部に取り付けられている。なお、潤滑油としてスギムラ化学社製のプレス用洗浄油プレトンR352Lを摩擦係数測定用試料1の表面に塗布して試験を行った。
図2は使用したビードの形状・寸法を示す概略斜視図である。ビード6の下面が摩擦係数測定用試料1の表面に押し付けられた状態で摺動する。図2に示すビード6の形状は幅10mm、試料の摺動方向長さ12mm、摺動方向両端の下部は曲率4.5mmRの曲面で構成され、試料が押し付けられるビード下面は幅10mm、摺動方向長さ3mmの平面を有する。
摩擦係数の測定に対しては、成形荷重が高く型かじりが生じやすい高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板での過酷なプレス環境を想定して、室温(25℃)において、押し付け荷重Nを400kgfおよび1500kgfに変化させて行った。なお試料の引抜き速度(スライドテーブル3の水平移動速度)は100cm/min。これらの条件で、押し付け荷重Nと引抜き荷重Fを測定し、供試材とビードとの間の摩擦係数μは、式:μ=F/Nで算出した。
オージェ電子分光(AES)によりめっき表層の調圧部および未調圧部について、各元素の含有率(at.%)を測定し、引き続いて所定の深さまで、Arスパッタリングした後、AESによりめっき皮膜中の各元素の含有率の測定を行い、これを繰り返すことにより、深さ方向の各元素の組成分布を測定した。酸化物、水酸化物に起因するOの含有率が、最大値より深い位置で、最大値と一定値との和の1/2となる深さを酸化物の厚さとし、調圧部に対してそれぞれ3箇所づつ酸化物の厚さを測定し、これらの平均値をそれぞれ調圧部および未調圧部の酸化物の厚さとした。
微粒子状物質のサイズは、低加速高分解能走査電子顕微鏡で実施した。LEO1530(LEO社)を用い、加速電圧 0.5 kVで1万倍以上の倍率で観察した。酸化物粒子が暗いコントラストで現れる条件で観察を行い。粒子のサイズを複数の粒子に対して実施し平均した。
微粒子状物質の組成評価は、レプリカ法を用いて採取した微粒子について実施した。合金化溶融亜鉛めっき鋼板の表面に、アセチルセルロースフィルムを、アセトンを介して試料表面に30秒間圧着し、剥離した。剥離面にカーボンを蒸着したのちアセチルセルロースを溶解して透過電子顕微鏡(TEM)用の試料とした。TEM(フィリップス社製 CM30)を用い加速電圧200kVで、平坦部以外の領域から採取された微粒子について、エネルギー分散型X線分光器(EDS)を用いてスタンダードレス定量(薄膜近似法)を行い、得られた結果からZrあるいはTiと、Znの濃度を計算した。測定は、1試料あたり5個以上の粒子状物質について実施し平均した。
No.3〜8の本発明例は、Zrイオンを含む酸性溶液を用いた例であり、Znを主体とする酸化物層がめっき相表面の平坦部に形成されていることに加えて、Zrを含有する微粒子状の酸化物が平坦部以外のめっき相表面に存在する。そのため、面圧の低い条件1に加えて、面圧の高い条件2においても、摩擦係数がより低位で安定している。これより、平坦部以外のめっき相表面にZrを含有する微粒子状の酸化物が存在することで、面圧の高い条件でも摺動抵抗を小さくできることがわかる。
No.9〜14(本発明例7〜12)では、Tiを含む微粒子が1μm四方に1個以上存在することが認められた。
No.9〜14の本発明例では、Tiイオンを含む酸性溶液を用いた例であり、Znを主体とする酸化物層がめっき相表面の平坦部に形成されていることに加えて、Tiを含有する微粒子状の酸化物が平坦部以外のめっき相表面に存在する。その結果、面圧の低い条件1に加えて、面圧の高い条件2においても、摩擦係数がより低位で安定している。これより、平坦部以外のめっき相表面にTiを含有する微粒子状の酸化物が存在することで、面圧の高い条件でも摺動抵抗を小さくできることがわかる。
一方、No.15の比較例3は酸性溶液による処理を行っていないため、平坦部に酸化物層は形成されず、平坦部以外のめっき相表面には本発明例の要項を満たす微粒子状酸化物が存在していなかった。そのため、面圧の低い条件1において摩擦係数が高く、面圧の高い条件2ではさらに摩擦係数が上昇しており、型かじりを生じていた。
No.1、2の比較例1、2は、酸性溶液での処理を行っているもののZrを含まない酸性溶液を用いた比較例である。この場合、Znを主体とする酸化物層が主にめっき相表面の平坦部に形成されているため、摩擦係数の改善効果が見られるが、面圧の高い条件2において、本発明例と比べると摩擦係数が高い。
2 試料台
3 スライドテーブル
4 ローラ
5 スライドテーブル支持台
6 ビード
7 第一ロードセル
8 第二ロードセル
N 押付荷重
F 摺動抵抗力
Claims (3)
- Fe-Zn合金めっき相を少なくとも鋼板の片面に有し、かつ、該Fe-Zn合金めっき相の表面には調質圧延により形成される平坦部を有し、該平坦部表面には、Znを必須成分とする酸化物が平均厚さ10nm以上200nm以下形成されており、さらに、前記平坦部以外のめっき相表面には、平均粒径が5nm以上500 nm以下の微粒子状の酸化物が存在することを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
- 前記微粒子状の酸化物は、Znと5原子%以上40原子%以下のZrを含むことを特徴とする請求項1に記載の合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
- 前記微粒子状の酸化物は、Znと5原子%以上30原子%以下のTiを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
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