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JP4932166B2 - 微粒子キトサンの製造方法 - Google Patents
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本発明は、微粒子キトサンの製造方法に関し、詳しくは、比較的大きな平均分子量を有し、かつW/Oエマルジョンを形成していない微粒子キトサン、及び媒体撹拌ミルを用いて湿式粉砕をすることによる微粒子キトサンの製造方法に関する。
キトサンは、エビ、カニ等の甲殻類、カブトムシ、コオロギ等の昆虫類、イカの軟骨、キノコ類、真菌類の細胞壁等に含まれているキチン質を脱アセチル化処理することにより得られる、D−グルコサミンがβ1−4結合した分子量1万〜100万の多糖類である。
キトサンは、その物性や化学的性質、機能性を利用して化学品、医薬品、医療品、化粧品、食品、その他の家庭用用品等の様々な分野で利用が試みられており、例えば、食品分野においては、キトサンのコレステロール低下作用、脂質吸収阻害作用、血圧効果作用等の生理機能性を利用した、いわゆる機能性食品の開発が行われている。
しかしながら、キトサンは水不溶性であり、キトサンをジェットミルやミル、その他粉砕機を用いた乾式粉砕により粉砕した場合、得られるキトサン粒子の粒径はおよそ50μm以上であるため、一般加工食品や飲料に添加した場合、キトサン粒子のザラツキ感が舌に残ったり、キトサン由来の濁りや沈殿が生じやすいという問題があった。
そのため、より小さなキトサン粒子を得る方法として、例えば、下記特許文献1には、キトサンを希硫酸に加熱溶解せしめ、得られた加熱キトサンの希硫酸水溶液を冷却しキトサンを析出させることを特徴とするキトサン微粒子の製造方法が開示されている。
下記特許文献2には、キトサンの有機酸又は硫酸以外の無機酸の水溶液に、硫酸及び/又は硫酸塩を添加してキトサンを析出させることを特徴とするキトサン微粒子の製造方法が開示されている。
下記特許文献3には、平均粒径が10μm以下であることを特徴とするキトサン微小粒体が開示されており、キトサンを酸の水溶液に溶解し、このキトサン水溶液を噴霧乾燥することが記載されている。
下記特許文献4には、キトサンを酸性水溶液中に溶解して得た溶解液を塩基性溶液中で凝固再成し、生成した凝固物を洗浄後粉砕分散せしめ、該分散液を高温雰囲気中に加圧空気と共に吐出乾燥することを特徴とする超微小球状キトサンの製造方法が開示されている。
下記特許文献5には、キトサンの酸水溶液をアンモニア雰囲気中で噴霧乾燥することを特徴とするキトサン粒体の製造方法が開示されている。
下記特許文献6には、キトサン酸水溶液のW/Oエマルジョンをアミンとアルコールの混合溶液中に注入し、キトサン微粒子を凝固析出させることを特徴とする非球状定形キトサン微粒子の製造方法が開示されている。
下記特許文献7には、キトサン酸水溶液のW/Oエマルジョンを有機溶剤単独又は塩基を含む有機溶剤中に注入し、球状キトサン微粒子を凝固析出させることを特徴とする球状キトサン微粒子の製造方法が開示されている。
一方、燐酸カルシウムや炭酸マグネシウム等の難溶性の塩やセルロースの分散性を高めるためにこれらを湿式粉砕する方法が知られており、例えば、下記特許文献8には、特定の物性を具備する燐酸カルシウムに水を添加し、所定濃度の燐酸カルシウムの水懸濁液を調製し、該水懸濁液を湿式粉砕機を用い、特定の要件を満たすように湿式粉砕して調製された水スラリー中の燐酸カルシウム100重量部に対し、HLBが10以上の親水性乳化剤を5〜100重量部添加処理することを特徴とする燐酸カルシウム分散体の製造方法が開示されている。
下記特許文献9には、分散剤を溶解した炭酸マグネシウム懸濁液を湿式粉砕処理する工程を含む、炭酸マグネシウム分散液の製造方法が開示されている。
下記特許文献10には、積算体積50%の粒径が0.3〜6μmであり、かつ3μm以下の粒子の積算体積割合が25%以上の微粒子化セルロース系素材を2重量%以上含有することを特徴とする微粒子化セルロース系素材の水懸濁液からなる食品原料が開示されおり、該食品原料は、セルロース素材に解重合処理を施し、媒体撹拌湿式粉砕装置によって湿式粉砕することにより得られることが記載されている。
特開平7−330807号公報 特開平9−143203号公報 特開昭63−20301号公報 特公平4−55610号公報 特公平6−23201号公報 特開平7−188303号公報 特開平7−118305号公報 特開平6−127909号公報 特開平11−21123号公報 特開平4−218357号公報
しかしながら、上記特許文献1〜7に開示された方法は、いずれもキトサンを酸溶液とした後に微粒子化を行っているため、様々な問題点が存在していた。
例えば、上記特許文献1及び2に開示された方法では、キトサンを酸溶液に加熱溶解しているため、工程の途中でキトサンの低分子化を伴う可能性が高かった。
また、特許文献3〜5に開示された方法では、キトサンを酸溶液に溶解する際に加熱を行っていないため、キトサン溶液の粘度が高くなってハンドリングに問題が生じやすく、原料となるキトサンの分子量や溶解時の濃度が大きく制限されてしまうという問題があった。更に、特許文献3、5に開示された方法では、キトサンを酸溶液のまま噴霧乾燥しているため、乾燥時の低分子化を伴う可能性があった。
キトサンは、その分子量範囲として非常に広く定義されているが、分子量の違いによる物性や化学的性質、機能性の違いは著しいものがあり、上記方法で得られた低分子化キトサンでは高分子キトサンのこれら性質を得ることができなかった。
一方、上記特許文献6及び7に開示された方法では、得られるキトサンがW/Oエマルジョンを形成しているため、その性質は通常のキトサンとは全く異なったものとなってしまっていた。
また、上記特許文献8〜10に開示された方法は、キトサンとは物性の異なる燐酸カルシウム、炭酸マグネシウムやセルロースに適用したものであり、電荷を有する高分子であるキトサンに適用した場合、効率よく微粒子化できるかどうかは分からなかった。
したがって、本発明の目的は、高分子キトサンが微粒子化された微粒子キトサンを効率よく得ることができる微粒子キトサンの製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明は、キトサンを溶媒に分散してキトサン分散液を調製し、これに分散剤としてHLBが11以上の親水性乳化剤を添加した該キトサン分散液を媒体撹拌ミルを用いて湿式粉砕することを特徴とする微粒子キトサンの製造方法を提供するものである。
本発明の製造方法によれば、高分子キトサンを効率よく微粒子化することができ、飲食品等へ容易に利用できる微粒子キトサンを得ることができる。また、湿式粉砕する際にキトサン微粒子の分散性を安定化させることができるので、より微細な微粒子キトサンを得ることができる。
本発明の微粒子キトサンの製造方法においては、前記分散剤を、前記キトサン分散液に対して0.1〜5質量%添加することが好ましい。また、前記分散剤として、ショ糖脂肪酸エステルを用いることが好ましい。
また、前記キトサン分散液の濃度が1〜10質量%となるように調製することが好ましく、前記キトサンとして、平均粒子径50〜200μmのものを用いることが好ましい。これらによれば、キトサンを効率よく微粉砕することができる。
更に、前記キトサンとして、平均分子量25万以上、脱アセチル化度70%以上のキトサンを用いることが好ましい。これによれば、高分子キトサンをより効率よく微粒子化することができる。
本発明の製造方法による微粒子キトサンは、従来の微粒子キトサンに比べて高分子キトサンをそのまま微粒子化したものであり、かつW/Oエマルジョンを形成していないので、高分子キトサン特有の性質をそのまま保持している。また、粒子径が非常に小さいため、飲食品等へ配合してもザラツキ感や沈殿を生じることがない。
よって、本発明によれば、高分子キトサンの性質を保持し、飲食品等へ容易に利用できる微粒子キトサンの製造方法を提供できる
以下、本発明の微粒子化キトサンの製造方法について説明する。
本発明において用いられるキトサンはその起源については特に限定されないが、例えば、カニやエビ等の甲殻類から得られたキチンを脱アセチル化して得られるものを用いることができる。
キトサンの分子量、脱アセチル化度については特に制限されるものではないが、本発明においては、平均分子量25万以上、脱アセチル化度70%以上のキトサンが好ましく用いられる。このようなキトサンは種々の分子量、脱アセチル化度のものが市販されており、例えば、商品名「キトサンPSH−80」(焼津水産化学工業株式会社製)、商品名「ダイキトサン100D」(大日精化工業株式会社製)、商品名「ダイキトサンM」(大日精化工業株式会社製)商品名「キミカキトサンS」(株式会社キミカ製)等が挙げられるので、用途に応じて適宜選択して用いることができる。
まず、原料キトサンを、溶媒に分散してキトサン分散液を調製する。キトサンを分散する溶媒としては水を用いることが好ましい。キトサン分散液の濃度は、1〜10質量%であることが好ましく、1〜5質量%であることがより好ましい。キトサン濃度が高過ぎると、キトサン分散液の粘性が高くなって効率的な微粒子化が困難となり、キトサン濃度が低く過ぎると処理能力が低下するため好ましくない。なお、本発明においては、原料キトサンは、予め平均粒子径が50〜200μmになるまで公知の方法により粉砕したものを用いることが好ましい。これにより効率的に微粉砕することができる。
また、湿式粉砕においては、目的物の粒子径が小さくなるにつれて粒子同士が凝集を起こして微粒子化の妨げとなり、特に電荷を有するキトサンは凝集しやすいため、本発明においては、分散剤として乳化剤を添加する。乳化剤としては、例えば、食品で使用可能なものとして、モノグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン等が挙げられる。本発明においては、分散剤として、HLBが11以上の親水性乳化剤を用いる。中でもポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルを用いることが好ましく、風味やハンドリングの点から、ショ糖脂肪酸エステルを用いることが特に好ましい。HLBが11以上の親水性乳化剤を用いることにより、湿式粉砕する際にキトサン微粒子の分散性を安定化させることができ、より微細な微粒子化が可能となるとともに、微粉砕後のキトサンがW/Oエマルジョンを形成することもないので、キトサンの性質を保持した微粒子キトサンを得ることができる。本発明においては、上記分散剤を上記キトサン分散液に対して0.1〜5質量%添加することが好ましく、0.1〜1質量%添加することがより好ましい。より具体的には、上記分散剤の添加量は、キトサンに対して0.1〜60質量%であることが好ましく、10〜50質量%であることがより好ましい。
次に、上記キトサン分散液を、例えば、ボールミルやビーズミル等の媒体撹拌ミルを用いて湿式粉砕する。ビーズミルは、溶媒に分散させた目的物と粉砕メディアとなるビーズと共に高速撹拌することにより、目的物を微粒子にまで粉砕する装置であり、本発明においては、より粒子径の小さいキトサンを得るために、よりメディア径の小さいビーズミルを用いることが好ましい。具体的には、ビーズの大きさは1mmφ以下であることが好ましい。なお、より小さなビーズを用いることにより、微粉砕効率が低下するため、まず、1〜数mmφの比較的大きなビーズを用いて微粒子化を行い、次いで小さなビーズを用いた微粒子化を行うことにより、効率的な微粒子化を行うことができる。その他の粉砕条件については、得られる微粒子キトサンの平均粒子径が20μm以下、より好ましくは平均粒子径が10μm以下となるように使用する装置に応じて適宜決定すればよい。
上記のようにして湿式粉砕処理したキトサン分散液から微粒子キトサンとビーズを分別する。微粒子キトサンとビーズの分別方法としては特に制限されるものではないが、例えば、メッシュ等を用いて篩別することができる。
そして、分別回収した微粒子キトサンを適宜水洗した後、乾燥する。乾燥方法は熱風乾燥、送風乾燥、流動層乾燥、噴霧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥等の公知の方法を採用することができるが、本発明においては、真空乾燥若しくは凍結乾燥が好ましく採用される。これらの方法の場合、乾燥中に微粒子キトサンが飛散することなく、効率よく乾燥することができる。
上記のようにして得られる微粒子キトサンは、平均粒径が20μm以下、平均分子量が25万以上であり、W/Oエマルジョンを形成していないことが好ましい。
なお、微粒子キトサンの粒子径は、例えば、顕微鏡法、光散乱法、ふるい分け法、液相沈降法、慣性衝突法、電気抵抗法等の方法により測定することができる。また、平均分子量は、例えば、蒸気圧浸透法、光散乱法、電気泳動法、GPC−HPLC法等の方法により測定することができる。
商品名「キトサンPSH−80」(平均分子量50万以上、脱アセチル化度80%、平均粒子径120μm、焼津水産化学工業株式会社製)を2質量%となるように水に分散させて、分散剤として商品名「DKエステルF−160」(ショ糖脂肪酸エステル、HLB=15、第一工業薬品株式会社製)を0.4質量%(対キトサン20質量%)となるように添加混合し、キトサン分散液を調製した。この分散液について下記条件にて湿式粉砕を行った。
湿式粉砕条件
・粉砕装置:商品名「連続式レディーミルSLG−03」(ビーズミル、AIMEX社製)
・メディア:2mmφジルコニアビーズ
・メディア充填率:85%
・撹拌回転数:2,000rpm
・送液量:30ml/min
・通液回数:20回
そして、平均粒子径37μmの微粒子キトサンの分散液を得、32メッシュ(開孔500μm)の篩を用いてメディアと篩別した。なお、平均粒径は粒度分布計「LA−910」(商品名、株式会社堀場製作所)を用いて測定した。また、下記の条件にてHPLC法により平均分子量を測定したところ、微粒子化の前後で分子量に変化は見られなかった。
HPLC条件
・カラム:TSK−gel guardcolumn PWXL(商品名、東ソー株式会社製)
TSK−gel G4000 PWXL(商品名、東ソー株式会社製)
TSK−gel G3000 PWXL(商品名、東ソー株式会社製)
・溶離液:0.1M NaCl/0.1N酢酸=1/1
・ポンプ流速:0.8ml/min(商品名「L−7100型ポンプ」、株式会社日立製作所製)
・カラム温度:室温
・検出器:RI(商品名「L−7490型RI検出器」、株式会社日立製作所製)
実施例1で得られた微粒子キトサンの分散液を、下記条件にて更に湿式粉砕を行った。
湿式粉砕条件
・粉砕装置:商品名「連続式レディーミルSLG−03」(ビーズミル、AIMEX社製)
・メディア:0.5mmφジルコニアビーズ
・メディア充填率:85%
・撹拌回転数:2,500rpm
・送液量:30ml/min
・通液回数:10回
平均粒子径1.0μmの微粒子キトサンの分散液を得、100メッシュ(開孔150μm)の篩を用いてメディアと篩別後、凍結乾燥を行い、キトサン微粒子末を得た。なお、平均粒径は粒度分布計「LA−910」(商品名、株式会社堀場製作所)を用いて測定した。また、実施例1と同様の条件でHPLC法により平均分子量を測定したところ、微粒子化の前後で分子量に変化は見られなかった。
本発明の製造方法による微粒子キトサンは、高分子キトサンの性質をそのまま保持したキトサン粒子としては、従来にない微小な粒子径を有しているので、これまで困難であった飲料や一般加工食品への利用が容易である。また、化学品、医薬品、医療品、化粧品、その他家庭用品等の食品以外の分野においても機能性素材等として利用することができる。

Claims (6)

  1. キトサンを溶媒に分散してキトサン分散液を調製し、これに分散剤としてHLBが11以上の親水性乳化剤を添加した該キトサン分散液を媒体撹拌ミルを用いて湿式粉砕することを特徴とする微粒子キトサンの製造方法。
  2. 前記分散剤を、前記キトサン分散液に対して0.1〜5質量%添加する請求項記載の微粒子キトサンの製造方法。
  3. 前記分散剤として、ショ糖脂肪酸エステルを用いる請求項又は記載の微粒子キトサンの製造方法。
  4. 前記キトサン分散液の濃度が1〜10質量%となるように調製する請求項のいずれか一つに記載の微粒子キトサンの製造方法。
  5. 前記キトサンとして、平均粒子径50〜200μmのものを用いる請求項のいずれか一つに記載の微粒子キトサンの製造方法。
  6. 前記キトサンとして、平均分子量25万以上、脱アセチル化度70%以上のキトサンを用いる請求項のいずれか一つに記載の微粒子キトサンの製造方法。
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