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JP4939458B2 - 孔加工方法 - Google Patents
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本発明は、比較的細く、かつ、曲がった孔を金属に形成する孔加工方法に関する。
一端部が漸次縮径する略テーパ状となっている金属製の円柱状部材の内部の、中心軸線から外周寄りにずれた位置に、長手方向が外周面にほぼ沿った細長い曲がり孔を形成する場合がある。このような孔としては、例えば、自動車等の燃料噴射装置におけるインジェクタのボディの内部に形成され、噴射ノズルに燃料を導く燃料供給孔が挙げられる(特許文献1,2等参照)。金属に孔を形成するにはドリル加工が一般的であるが、細長い孔を形成する場合には、所望の径よりもやや大きな径の下孔をある程度の長さ形成してから、その奥を細い径のドリルで加工して、細い孔を形成する長さをなるべく短くする方法が採られる。そして曲がり孔とするには、一端側から途中まで孔を形成し、次いで他端側から角度を変えて孔を形成して貫通させている。
特開2006−226241号公報 特開2007−270743号公報
ところがこのような方法では、下孔を形成することから、孔の径を全長にわたって所望の径で一定とすることができないという不満がある。また、下孔を形成するには、下孔の外周側に相応の肉厚を確保する必要があるため、部材全体の外径が必要以上に大きくなってしまう。肉厚の確保による部材の大径化は、例えば上記インジェクタのようなものであった場合、耐圧性の面から顕著となり、また、インジェクタの周囲のスペースに制約が生じて設計の自由度が低下するといった問題を招く。さらに、ドリルによる孔加工の工程が複数にわたるため生産性に劣るといった欠点もある。
よって本発明は、細長い曲がり孔を全長にわたって一定の径で形成することが比較的簡便な方法で達成することができ、部材周囲の設計の自由度や生産性等の向上が図られる孔加工方法を提供することを目的としている。
本発明の孔加工方法は、円柱状の金属素材の中心軸線から外周寄りにずれた位置に、該中心軸線と平行な直線状の一次孔を形成する一次孔形成工程と、一次孔に線状金属を挿入してその挿入状態を保持する線状金属挿入工程と、金属素材にスエージング加工を施すことによって、該金属素材を、元の外径よりも小径の円柱部と、この円柱部に連続して漸次外径が縮径する縮径部とを有する加工部材に成形し、さらにこれによって、一次孔を縮径し、かつ、線状金属とともに、成形された加工部材の外周面の軸線方向に沿って曲げて曲がり孔に変形させるスエージング工程と、線状金属を曲がり孔から引き抜いて、曲がり孔が形成された加工部材を得る線状金属引き抜き工程とを備えることを特徴としている。
本発明によれば、線状金属が挿入された金属素材をスエージング加工した後に線状金属を引き抜くことにより曲がり孔を得るので、ドリル加工よりも簡便に曲がり孔を形成することができ、生産性が向上する。また、太さが均一な線状金属を用いることにより、曲がり孔を全長にわたって一定の径で形成することが容易に達成される。さらに、ドリル加工のように下孔を形成する必要がないため、加工後の部材のコンパクト化が図られ、部材周囲の設計の自由度の向上が図られる。
本発明では、線状金属挿入工程において、金属素材の一次孔に線状金属を挿入する前に、一次孔の内周面と線状金属の外周面の少なくとも一方に潤滑処理を施しておくことを好ましい形態とする。この形態を採ると、線状金属引き抜き工程で線状金属を加工部材から引き抜きやすくなるといった効果を得る。なお、潤滑処理として潤滑油の塗布や、二硫化モリブデン、グラファイト等の固体潤滑剤による皮膜形成などが挙げられる。固体潤滑剤による皮膜形成を施すと、線状金属を引き抜くときに固体潤滑剤の崩壊を招き、これによって線状金属と曲がり孔の内面との間に隙間が生じることによる引き抜きやすさの一層の向上が期待できる。
線状金属を引き抜きやすくするには、線状金属よりも金属素材の方が熱膨張率の大きい材料からなるものとするといった手段も有効である。この場合には、線状金属引き抜き工程において、線状金属が挿入されている加工部材を加熱した状態で、線状金属を引き抜く。金属素材(加工部材)の方が膨張度合いが大きいため、線状金属が挿入されている曲がり孔の内径が僅かに線状金属の外径よりも大きくなって弛みが生じ、線状金属を引き抜きやすくなる。
本発明によれば、細長い曲がり孔を全長にわたって一定の径で形成することが比較的簡便な方法で達成することができ、部材周囲の設計の自由度や生産性等の向上が図られるといった効果を奏する。
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。
[1]一次孔形成工程
図1の符号1Aは、一実施形態の孔加工方法で加工が施されて、曲がり孔が形成された所定の加工部材に加工される円柱状の金属素材を示している。一実施形態の孔加工方法は、まず図1に示すように、金属素材1Aの中心軸線Oから外周寄りにずれた位置に、中心軸線Oと平行な直線状の一次孔11を形成する。一次孔11の径は均一であり、最終的に得るべき曲がり孔の径よりも大径である。一次孔11は、ピアス加工(打ち抜き加工)やドリル加工等の手段によって形成することができる。金属素材1Aの材料としては、例えば、一般機械部品や自動車部品の金属材料として一般的な低合金鋼(例えばSCM415等のクロムモリブデン鋼)や、ステンレス鋼等の各種鋼から適宜に選択される。
[2]ワイヤ挿入工程
金属素材1Aに一次孔11を形成したら、図2(a)に示すように、金属素材1Aの一次孔11に、得るべき曲がり孔の径と同じ外径を有するワイヤ(線状金属)21を挿入する。ワイヤ21は、例えばステンレス鋼線やピアノ線等の一般的なものが用いられる。ワイヤ21は、金属素材1Aの一次孔11の長さよりも十分に長いものが用いられ、両端部が一次孔11より出た状態で、次の工程に供される。なお、一次孔11とピアノ線の径寸法としては、例えば一次孔11がφ5〜10mm程度、ワイヤ21はφ2〜4mm程度とされる。
[3]スエージング工程
一次孔11にワイヤ21が挿入された金属素材1Aに、図2(b)〜(c)に示すようにロータリー型のスエージング加工装置30でスエージング加工を施し、図2(d)および図4に示す加工部材1Bを成形する。スエージング加工装置30は、図3に示すように、環状に配列された複数のダイス31が周方向に回転しながら径方向に往復移動を繰り返すことにより、各ダイス31の内側に挿入した金属素材1Aに衝撃加圧を与えて、縮径するとともに軸線方向長さを伸張させるものである。金属素材1Aは、ガイドロッド32で支持されプッシャ33でダイス31内を一方向に押し込まれながら、外形がダイス31の内面に倣った形状に成形される。
この場合のスエージング加工は、第1段階として、図2(b)に示すように金属素材1Aを一定の外径に縮径して全体を円柱状に成形し、次の第2段階で、図2(c)に示すように一端側を漸次外径が縮径するテーパ状に成形する。第2段階を終了することにより、図2(d)に示す目的とする加工部材1Bを得る。加工部材1Bは、元の金属素材1Aの外径よりも小径の円柱部2と、この円柱部2の一端から連続して漸次外径が縮径するテーパ部3とを有する形状となる。スエージング加工によって一次孔11は内周面がワイヤ21に密接するまで縮径する。そして一次孔11は、ワイヤ21とともに加工部材1Bの外周面の軸線方向に沿って曲がり、曲がり孔4に形成される。
[4]ワイヤ引き抜き工程
目的の形状に加工部材1Bが成形されたら、次いで、ワイヤ21を曲がり孔4から引き抜く。これによって、曲がり孔4が形成された加工部材1Bを得る。曲がり孔4は、ワイヤ21の外径と同等で一定の径に形成されている。
以上によって、円柱部2とテーパ部3とが連続した形状の加工部材1Bが成形され、この加工部材1B内の中心軸線から外周寄りにずれた位置には、外周面の軸線方向に沿って曲がる均一径の曲がり孔4が形成されている。このようにして曲がり孔4を形成する本実施形態の孔加工方法は、ワイヤ21を挿入した金属素材1Aをスエージング加工した後、ワイヤ21を引き抜くことにより曲がり孔4を得るといったものであるから、ドリル加工よりも簡便に曲がり孔4を形成することができる。また、太さが均一なワイヤ21を用いることにより、曲がり孔4を全長にわたって一定の径で形成することが容易に達成される。
また、ドリル加工の際には下孔を形成することから形成する曲がり孔の周囲の肉厚を厚くする必要があったが、本実施形態ではその必要がない。このため、加工部材1Bのコンパクト化が図られるとともに、加工部材1Bを所定の機器に装着した際、周囲の設計の自由度を向上させることができる。
なお、ワイヤ引き抜き工程において加工部材1Bからワイヤ21を引き抜きやすいようにするために、ワイヤ挿入工程において、一次孔11の内周面とワイヤ21の外周面のいずれか一方、もしくは双方に、潤滑処理を施してから、一次孔11にワイヤ21を挿入することは好ましい方法である。潤滑処理としては、グリス等の潤滑油の塗布が簡便である。また、二硫化モリブデンやグラファイト等の固体潤滑剤で皮膜を形成する手法は、ワイヤ21を引き抜くときに固体潤滑剤の崩壊を招き、これによってワイヤ21と曲がり孔4の内面との間に隙間が生じることによる引き抜きやすさの一層の向上が期待できる。
また、加工部材1Bからワイヤ21を引き抜きやすくするには、ワイヤ21よりも金属素材1Aの方が熱膨張率の大きい材料を用いることも有効である。この場合、ワイヤ引き抜き工程において、ワイヤ21が挿入されている加工部材1Bを加熱した状態でワイヤ21を引き抜く。すると金属素材1A(加工部材1B)の方が膨張度合いが大きいため、ワイヤ21が挿入されている曲がり孔4の内径が僅かにワイヤ21の外径よりも大きくなって弛みが生じ、ワイヤ21を引き抜きやすくなる。材料例としては、例えば金属素材1Aが前述のSCM415であった場合、ワイヤ21はそれよりも熱膨張率の低い鋼線が選択される。また、金属素材1Aにアルミニウムを用いたり、SUS303等のオーステナイト系ステンレス鋼を用いると、これらは比較的熱膨張率が大きいため、ワイヤ21にピアノ線を用いることができる。
本発明は、自動車等のエンジンに装備される燃料噴射装置におけるインジェクタのボディを製造する場合に利用することができる。
本発明の一実施形態に係る孔加工方法で加工される金属素材1Aの(a)側断面図、(b)正面図である。 一実施形態に係る孔加工方法の過程を(a)〜(d)の順に示す側断面図である。 スエージング加工装置の断面図である。 一実施形態に係る孔加工方法で得られた加工部材1Bの側断面図である。
符号の説明
1A…金属素材
1B…加工部材
2…円柱部
3…テーパ部(縮径部)
4…曲がり孔
11…一次孔
21…ワイヤ(線状金属)
O…中心軸線

Claims (3)

  1. 円柱状の金属素材の中心軸線から外周寄りにずれた位置に、該中心軸線と平行な直線状の一次孔を形成する一次孔形成工程と、
    前記一次孔に線状金属を挿入してその挿入状態を保持する線状金属挿入工程と、
    前記金属素材にスエージング加工を施すことによって、該金属素材を、元の外径よりも小径の円柱部と、この円柱部に連続して外径が縮径する縮径部とを有する加工部材に成形し、さらにこれによって、前記一次孔を縮径し、かつ、前記線状金属とともに、成形された前記加工部材の外周面の軸線方向に沿って曲げて曲がり孔に変形させるスエージング工程と、
    前記線状金属を前記曲がり孔から引き抜いて、曲がり孔が形成された加工部材を得る線状金属引き抜き工程と
    を備えることを特徴とする孔加工方法。
  2. 前記線状金属挿入工程において、前記金属素材の前記一次孔に前記線状金属を挿入する前に、一次孔の内周面と線状金属の外周面の少なくとも一方に潤滑処理を施しておくことを特徴とする請求項1に記載の孔加工方法。
  3. 前記金属素材および前記線状金属が熱膨張率の異なる金属からなるものであって、熱膨張率が、線状金属よりも金属素材の方が大きいことを特徴とする請求項1または2に記載の孔加工方法。
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