JP4941252B2 - 動力伝達部品用肌焼鋼 - Google Patents
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y=−10×(Si+Cr)+19
の式で表すことができ、また、質量%でのMnの含有量が0.3〜2.2%の範囲では、図7に示すように、その含有量とともに粒界酸化層深さは深くなり、粒界酸化層深さをyとすれば、
y=7×Mn−1
の式で表すことができることがわかった。
Fn1=Cr−2×Si・・・(1)、
Fn2=959−(203×C0.5+30×Mn)・・・(2)、
Fn3=7×Mn−10×(Si+Cr−1.8)・・・(3)。
ここで、(1)〜(3)式中の元素記号は、その元素の質量%での含有量を表す。
Cは、浸炭深さを増大し、さらに0.3mm位置の硬さと浸炭焼入れ時の芯部硬さを増大してスポーリング強度と低サイクル曲げ疲労強度を向上させるために重要な元素である。しかしながら、Cの含有量が0.15%未満では浸炭深さの増大および低サイクル曲げ疲労強度の向上効果が小さい。一方、その含有量が0.35%を超えると芯部の靱性が低下するため、き裂発生と同時に破断して低サイクル曲げ疲労強度が劣化する。したがって、Cの含有量を0.15〜0.35%とした。C含有量の望ましい範囲は0.20〜0.30%である。
Siは、300℃程度での焼戻し軟化抵抗を上昇させるために重要な元素である。Siの含有量が0.40%を下回ると上記の効果が小さく面圧強度(ピッチング強度)が低下する。しかしながら、Siは浸炭時のオーステナイト中のCの活量を上げる元素でもあるため、1.10%を超えて含有すると浸炭性が著しく劣化する。したがって、Siの含有量を0.40〜1.10%とした。Si含有量の望ましい範囲は0.45〜0.90%である。
Mnは、浸炭時のオーステナイト中のCの活量を下げ、浸炭を促進する元素であると同時にMnSを形成し被削性を高める元素である。しかしながら、Mnの含有量が0.50%を下回る場合には前記の効果が小さい。一方、Mnを1.50%を超えて含有すると前記の効果が飽和するばかりでなく、焼準後の硬度が上昇する結果、被削性が著しく劣化する。したがって、Mnの含有量を0.50〜1.50%とした。Mn含有量の望ましい範囲は0.60〜1.20%である。
Sは、MnとともにMnSを形成するための必須元素である。一定量のMnを含有させた状態で形成されるMnSは被削性を確保するために必要である。この効果を得るためには、Sの含有量は0.01%以上とする必要がある。しかしながら、Sの含有量が過剰になると熱間延性が低下し、特に、その含有量が0.05%を超えると、熱間延性の低下が著しくなる。したがって、Sの含有量を0.01〜0.05%とした。なお、Sの含有量は0.01〜0.03%とすることが好ましい。
Crは、浸炭時のオーステナイト中のCの活量を下げ、浸炭を促進する元素である。しかしながら、Crの含有量が1.20%を下回る場合には前記の効果が小さい。一方、Crを2.60%を超えて含有すると浸炭時に粒界にCr炭化物を生成しやすくなり、低サイクル曲げ疲労強度を低下させる。したがって、Crの含有量を1.20〜2.60%とした。Cr含有量の望ましい範囲は1.30〜2.30%であり、さらに望ましい範囲は1.50〜2.00%である。
Alは、鋼中のNと結合しAlNを形成し、浸炭中の結晶粒を微細化することにより、浸炭層の靱性を向上させる作用がある。この効果を得るためには、Alは少なくとも0.010%の含有量が必要である。しかしながら、Alの含有量が0.050%を超えると、硬質のAl2O3形成による被削性の劣化をきたす。したがって、Alの含有量を0.010〜0.050%とした。なお、Alの含有量は0.010〜0.040%とすることが好ましい。
Nは、Alと結合してAlNを形成し、浸炭中の結晶粒を微細化することにより、浸炭層の靱性を向上させる作用がある。この効果を得るためには、Nは少なくとも0.010%の含有量が必要である。しかしながら、0.025%を超えて含有させても、上記の効果が飽和するとともに、溶製の際、内部にいわゆる「巣」ができやすくなる。したがって、Nの含有量を、0.010〜0.025%とした。N含有量の望ましい範囲は0.012〜0.020%である。
上述のとおり、Siは焼戻し軟化抵抗の上昇のために重要な元素であり、Crは浸炭の促進のために重要な元素である。しかしながら、前記の(1)式で表されるFn1の値が0.4以下の場合には浸炭性の劣化が著しくなるため、0.3mm位置硬さをHv硬さで700以上にすることができず、スポーリング強度が低下する。一方、Fn1の値が1.8を上回ると、粒界のCr炭化物の生成量が増加して低サイクル曲げ疲労強度の低下を招く。したがって、前記の(1)式、つまり〔Fn1=Cr−2×Si〕で表されるFn1の値が、0.4<Fn1≦1.8を満たすこととした。なお、Fn1の値は、0.5≦Fn1≦1.5とすることが望ましく、さらに望ましい範囲は、0.6≦Fn1≦1.2である。
C、SiおよびMnの含有量は鋼のA3点に影響を与える。A3点が上昇すると浸炭処理時に芯部にフェライト相が生成するため、焼入れ後も芯部がフェライトとマルテンサイトの二相組織となり、低サイクル曲げ疲労強度が劣化する。本発明は、A3点を上昇させるものの焼戻し軟化抵抗を高める効果を有するSiを積極的に活用するので、A3点の制御のためには、CおよびMnの含有量を制御する必要がある。そして、前記の(2)式で表されるFn2の値が850以上の場合には、芯部にフェライトが生成して低サイクル曲げ疲労強度が低下する。このため、前記の(2)式、つまり〔Fn2=959−(203×C0.5+30×Mn)〕で表されるFn2の値が、Fn2<850を満たすこととした。なお、Fn2の値はFn2≦840とすることが望ましい。
Mn、SiおよびCrはいずれもガス浸炭時の粒界酸化層深さに影響を与える。前記の(3)式で表されるFn3の値が8を上回ると、Mnの影響により粒界酸化層深さが深くなり、低サイクル曲げ疲労強度が劣化する。したがって、前記の(3)式、つまり〔Fn3=7×Mn−10×(Si+Cr−1.8)〕で表されるFn3の値が、Fn3≦8を満たすこととした。なお、Fn3の値はFn3≦5.0とすることが望ましい。
本発明においては、Pは不純物としてその含有量を0.05%以下に抑えなくてはならない。すなわち、Pは、熱間延性の低下を招き、特に、その含有量が0.05%を超えると、熱間延性の低下が著しくなる。したがって、本発明においては、不純物中のPの含有量を0.05%以下とした。なお、不純物中のPの含有量は0.03%以下とすることが好ましい。
本発明においては、Cuは不純物としてその含有量を0.10%以下に抑えなくてはならない。Cuは、浸炭時のオーステナイト中のCの活量を上げ、0.3mm位置硬さの増大を妨げ、スポーリング強度を低下させる。特に、Cuの含有量が0.10%を超えるとその影響が顕著である。したがって、本発明においては、不純物中のCuの含有量を0.10%以下とした。なお、不純物中のCuの含有量は0.05%以下とすることが好ましい。
本発明においては、NiはCuと同様に不純物としてその含有量を0.10%以下に抑えなくてはならない。Niは、浸炭時のオーステナイト中のCの活量を上げ、0.3mm位置硬さの増大を妨げ、スポーリング強度を低下させる。特に、その含有量が0.10%を超えるとその影響が顕著である。したがって、本発明においては、不純物中のNiの含有量を0.10%以下とした。なお、不純物中のNiの含有量は0.05%以下とすることが好ましい。
本発明においては、Vは不純物としてその含有量を0.005%以下に抑えなくてはならない。すなわち、Vは、CやNと結合しVCやVCNを形成し、これらの炭化物や炭窒化物は浸炭処理の昇温過程の初期にはオーステナイト粒を微細化するのに有効であるものの、かえって結晶粒が小さくなりすぎ、結晶粒成長の駆動力が大きくなりすぎて、異常粒成長の要因となる。特に、Vの含有量が0.005%を超えると、異常粒成長が顕著になり、低サイクル曲げ疲労強度が低下する。したがって、本発明においては、不純物中のVの含有量を0.005%以下とした。
第1群:Mo:0.40%以下、
第2群:Ti:0.10%以下およびNb:0.10%以下のうちの1種または2種、
の各グループの元素の1種以上を選択的に含有させることができる。
第1群の元素であるMoは、浸炭層の焼入れ性を高め、面圧強度を向上させる作用を有する。この効果を得るためには、Moの含有量は0.05%以上とすることが好ましい。しかしながら、Moの含有量が0.40%を超えると被削の低下が著しくなる。したがって、Moの含有量は、0.40%以下とした。含有する場合のMoの量は、0.05〜0.40%とすることが好ましく、0.05〜0.30%とすれば一層好ましい。
第2群の元素であるTiおよびNbは、浸炭層の靱性を高める作用を有するので、この効果を得るために上記の元素を含有させてもよい。以下、第2群の元素について詳しく説明する。
Tiは、鋼中のCおよびNと結合して炭窒化物を形成し、AlNと同様に浸炭時の結晶粒の微細化に効果があり、浸炭層の靱性を向上させる作用がある。こうした効果を得るためには、Tiの含有量は0.005%以上とすることが好ましい。しかしながら、Tiの含有量が0.10%を超えると硬質のTiNを生成し、被削性の低下が著しくなる。したがって、Tiの含有量は、0.10%以下とした。含有する場合のTiの量は、0.005〜0.10%とすることが好ましい。
NbもTiと同様に、鋼中のCおよびNと結合して炭窒化物を形成し、AlNと同様に浸炭時の結晶粒の微細化に効果があり、浸炭層の靱性を向上させる作用がある。こうした効果を得るためには、Nbの含有量は0.005%以上とすることが好ましい。しかしながら、Nbの含有量が0.10%を超えると粗大な析出物を生成して、逆に異常粒成長が生じやすくなる。したがって、Nbの含有量は、0.10%以下とした。含有する場合のNbの量は、0.005〜0.10%とすることが好ましい。
Claims (3)
- 質量%で、C:0.15〜0.35%、Si:0.40〜1.10%、Mn:0.50〜1.50%、S:0.01〜0.05%、Cr:1.20〜2.60%、Al:0.010〜0.050%およびN:0.010〜0.025%を含有するとともに、C、Si、MnおよびCrの含有量が、下記の(1)〜(3)式で表されるFn1〜Fn3の値でそれぞれ、0.4<Fn1≦1.8、Fn2<850およびFn3≦8を満たし、残部はFeおよび不純物からなり、不純物中のP、Cu、NiおよびVがそれぞれ、P:0.05%以下、Cu:0.10%以下、Ni:0.10%以下およびV:0.005%以下であることを特徴とする動力伝達部品用肌焼鋼。
Fn1=Cr−2×Si・・・(1)
Fn2=959−(203×C0.5+30×Mn)・・・(2)
Fn3=7×Mn−10×(Si+Cr−1.8)・・・(3)
ここで、(1)〜(3)式中の元素記号は、その元素の質量%での含有量を表す。 - Feの一部に代えて、質量%で、Mo:0.40%以下を含有することを特徴とする請求項1に記載の動力伝達部品用肌焼鋼。
- Feの一部に代えて、質量%で、Ti:0.10%以下およびNb:0.10%以下のうちの1種または2種を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の動力伝達部品用肌焼鋼。
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