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JP4944582B2 - 超音波診断装置 - Google Patents
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Description

本発明は超音波診断装置に関し、特に相関処理を行う超音波診断装置に関する。
超音波ビームの電子走査によって形成される走査面を移動させれば三次元エコーデータ取込空間(三次元空間)を形成できる。具体的には、三次元空間からボリュームデータが取得され、そのボリュームデータは複数の走査面データ(あるいはフレームデータ)によって構成される。ボリュームデータに対してレンダリング処理を適用することにより三次元画像を形成できる。超音波ビームは、通常、超音波探触子内に設けられた1Dアレイ振動子によって形成され、上記のように超音波ビームの電子走査によって走査面が構成される。超音波探触子あるいはアレイ振動子を移動させれば上記の三次元空間を形成できる。この場合においては、超音波振動子を機械的に走査するもの、超音波探触子を手動で走査するもの、が知られている。なお、2Dアレイ振動子を用いて三次元空間を形成することも可能である。
超音波振動子を機械的に走査する場合、走査機構及び位置検出器が設けられる。そのような構成の場合には超音波探触子の構造がその分だけ複雑化する。一方、超音波探触子を体表に沿って手動で走査する場合には、そのような機構は不要であるが、各走査面の位置及び向きを正確に特定する必要があることから、空間的位置の検出が求められる。そこで、超音波探触子に空間座標検出用の磁気センサを設け、磁場中において超音波探触子が移動する過程で、磁気センサにより座標情報を取得することも考えられるが、そのための特別な機構が不可欠となる。
特許文献1には、アレイ振動子により互いに直交する2つの走査面(バイプレーン)を形成し、各走査面ごとにフレーム間で相関演算を実行することにより二次元運動ベクトルを求め、各走査面ごとの二次元運動ベクトルの合成により、三次元運動ベクトルを求める手法が記載されている。但し、走査面形状の可変制御については記載されていない。なお、特許文献2−5には、複数の断層画像をその面方向に繋げて大きな断層画像を形成する技術が開示されている。
特開2005−185336号公報 米国特許第5782766号公報 米国特許第6416477号公報 米国特許第6159152号公報 米国特許第6730031号公報
走査面間(走査面データ間)でマッチング処理(相関処理)を実行する場合において、走査面又は組織が、面方向ではなく面方向と交差する方向へ相対的に運動した場合には相関処理が困難あるいは不可能となる。具体的に説明すると、相関処理に当たってはn番目のフレームで取得されたテンプレート画像がn+1番目のフレーム上に設定される各画像領域と比較されるが、走査面の奥行き方向への運動に対応した画像比較は原理上行えないために、当該方向に走査面又は組織が相対的に運動してしまうと、最早それを追従観測することは困難となる。勿論、奥行き方向へ運動が生じても組織の連続性からマッチング処理を行える場合もある。しかし、その処理結果の信頼性を高めることはできない。このような問題は走査面を移動させて三次元のボリュームデータを取得する場合の他に、組織自体が運動する場合においても生じる。
本発明の目的は、走査面間で相関処理を行う場合において、走査面又は組織が走査面の面方向とは異なる方向へ相対的に運動することにより生じる問題を解消又は軽減することにある。
本発明は、超音波の送受波により走査面を繰り返し形成する送受波部と、前記超音波の送受波により得られた時間的に異なる走査面データ間で相関処理を実行して相関処理結果を得る相関処理手段と、前記走査面の形成を制御する手段であって、第1動作モードでは細いビーム形状をもった超音波ビームにより薄い走査面が繰り返し形成されるようにし、前記相関処理が実行される第2動作モードでは太いビーム形状をもった超音波ビームにより少なくとも1つの厚い走査面が繰り返し形成されるようにする制御手段と、を含むことを特徴とする。
上記構成によれば第2動作モードにおいては太いビーム形状をもった超音波ビームにより厚い走査面が繰り返し形成されるので、組織又は走査面が走査面の面方向とは異なる方向に運動しても、走査面データ間において有意義な相関処理を継続的に行える。つまり、上記従来の問題を解消又は軽減できる。具体的には、厚い走査面の形成により得られた走査面データには走査面の前後方向(奥行き方向)のエコーデータ成分が取り込まれているので、2つの走査面データ間で相関が成立する可能性を高められる。第2動作モードでは互いに交差する複数の走査面が同時に又は時分割で形成されてもよいが、1つの走査面だけが形成されてもよい。第2動作モードは基本的に相関処理を行うモードであるが、第2動作モードにおいて厚い走査面に加えて薄い走査面が形成されてもよい。第2動作モードは基本的には相関処理を行わない(あるいは上記問題が生じないような)モードである。相関処理の対象となる走査面データは送受波フレームデータであってもよいし、画像フレームデータであってもよい。
望ましくは、前記太いビーム形状をもった超音波ビームでは、ビーム走査方向のビームサイズよりも前記ビーム走査方向に直交する方向のビームサイズの方が大きい。すなわち、走査面の厚み方向にビームサイズを増大させて相関処理の成立性を高め、走査面の面方向についてはビームサイズを細くして分解能を優先させるのが望ましい。望ましくは、前記太いビーム形状をもった超音波ビームの横断面は偏平した形状を有する。
望ましくは、前記第2動作モードにおいては、互いに交差する第1走査面及び第2走査面が繰り返し形成され、前記第1走査面及び前記第2走査面の両方とも前記厚い走査面である。
望ましくは、前記第2動作モードにおいては、更に、前記第1走査面及び前記第2走査面とは異なる第3走査面が繰り返し形成され、前記第3走査面は薄い走査面である。第3走査面を画像形成用の走査面とすればそれが薄い走査面であるので高画質を得られる。望ましくは、前記送受波部は2Dアレイ振動子を含み、前記太いビーム形状をもった超音波ビームを形成する場合に、前記2Dアレイ振動子上において第1方向に幅の広い重み付け特性が設定され且つ第2方向に幅の狭い重み付け特性が設定される。
以上説明したように、本発明によれば、走査面間で相関処理を行う場合において、走査面又は組織が走査面の面方向とは異なる方向に運動した場合に生じる問題を解消又は軽減できる。
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
(A)超音波診断装置の基本的な構成の説明
図1には、本発明に係る超音波診断装置の実施形態が示されており、図1は超音波診断装置のブロック図である。
プローブ10は、本実施形態において、複数の振動素子を二次元配列してなる2Dアレイ振動子を有している。2Dアレイ振動子によって超音波ビームが形成され、その超音波ビームは第1方向及び第2方向に電子走査することができる。すなわち、3次元データ取り込み空間(ボリューム空間)を形成することができる。電子走査方式としては、電子リニア走査、電子セクタ走査などが知られている。本実施形態では、ユーザによりプローブ10が保持され、生体表面上にプローブ10の送受波面を当接させた状態を維持しながら、ユーザによってプローブ10が体表面上でマニュアル走査される。これによって、体内における広い3次元空間にわたってエコーデータの取り込みを行うことが可能である。そのようなマニュアル走査にあたって、互いに直交する第1走査面及び第2走査面が繰り返し形成される。すなわち、バイプレーン形成を順次実行させながらプローブ10の手動走査が行われる。
後述するように、プローブ10の手動走査に当たってフレーム間で運動検出用の相関処理が適用されるが、プローブを固定しておいて対象組織が運動する場合においても上記相関処理を適用可能である。
送受信部12は、送信ビームフォーマ及び受信ビームフォーマとして機能する。送受信部12から2Dアレイ振動子に対して複数の送信信号が供給される。また、2Dアレイ振動子から出力される複数の受信信号は送受信部12に入力され、それらの受信信号に対して整相加算処理が実行される。この場合においては、送信ビームの形成及び受信ビームの形成は、各走査面ごとに行われている。通常、第1走査面と第2走査面とが交互に形成され、送受信部12は各走査面に対応した時分割動作を行なう。もちろん、送信周波数をそれぞれの走査面ごとに異ならせれば、第1走査面及び第2走査面を同時に形成することも可能である。いずれにしても、送受信部12から信号処理部14に対して第1走査面に対応する第1フレームデータ及び第2走査面に対応する第2フレームデータが出力される。各フレームデータは複数のビームデータによって構成され、各ビームデータは深さ方向に整列した複数のエコーデータによって構成されるものである。信号処理部14は、検波処理、対数圧縮処理などの公知の処理を実行する。信号処理部14によって処理がなされた各フレームデータはプローブ運動計測部15へ出力される。
本実施形態では、運動検出用の相関処理が行われる動作モードにおいて、後に説明するように、偏平断面を有する太い超音波ビームが走査されており、これにより、厚い走査面として第1走査面及び第2走査面が形成される。但し、運動検出用の相関処理が行われない通常の動作モードでは通常通り細い超音波ビームが走査されて、薄い走査面が形成される。なお、相関処理が行われる動作モードにおいて、厚い走査面としての第1走査面及び第2走査面と共に、それらとは異なる薄い走査面としての第3走査面が形成されるようにしてもよい。
プローブ運動計測部15は、図示されるように、座標変換部16、相関部18,20及びベクトル演算部22を有している。プローブ運動計測部15は、各走査面毎にフレーム間において相関演算を実行し、これによって各走査面ごとに得られた運動情報に基づいて3次元運動情報を演算するモジュールである。すなわち、画像処理により個々の走査面の位置を特定することが可能である。手動走査を行う場合、各ユーザによって手動走査速度はまちまちとなり、また手振れや呼吸運動による影響等が考えられるが、本実施形態によれば各データを取り込んだ上で画像処理を利用して各データの座標情報を正確に演算することができ、その結果、後述するように適正なボリュームデータを再構成することが可能となる。
本実施形態では、プローブ運動が計測されているが、勿論、同じ原理を用いて対象組織の運動を計測することも可能である。つまり、プローブ運動計測部15は、プローブと対象組織(特に注目部位)との相対的運動を計測するものである。相関演算を前提として厚い走査面が形成されるため、走査面と直交する方向へ相対的な運動成分が生じても、相関処理が途中で途切れる問題を防止あるいは軽減できる。
プローブ運動計測部15について具体的に説明する。本実施形態においては、第1走査面及び第2走査面のそれぞれに対応して2系統の演算ユニットが設けられているが、共通の演算ユニットを設けてそれを時分割動作させることも可能である。そのような構成によれば、装置の回路規模を縮小できるという利点を得られる。座標変換部16は、図1に示される例において、並列的に配置された二つのデジタルスキャンコンバータ(DSC)36,38を有している。DSC36,38は送受波座標系に従って取得されたフレームデータに基づいて断層画像データを構成するモジュールである。すなわち座標変換機能及びデータ補間機能を有している。ここで、DSC36によって第1走査面に対応するフレームデータが処理され、DSC38によって第2走査面に対応するフレームデータが処理される。
相関部18は、DSC36から出力された第1走査面に対応する断層画像データを処理する回路である。本実施形態においては、フレーム間において、すなわち時系列順で隣接する二つの断層画像データ間において相関演算が実行されている。この場合において、後に説明するように、一方の断層画像データにおいて注目エリアを設定し、他方の断層画像データ上に注目エリアに対応する探索エリアを設定し、その探索エリア内で注目エリアの内容と最もマッチングするエリア位置を探し出すことにより、二つのフレーム間における並行移動量及び回転移動量をそれぞれ求めることが可能である。
相関部18は、具体的には、二つのフレームメモリ40,42、差分器44、積算器46及び最小値検出器48を有している。フレームメモリ40には現在の断層画像データが格納され、フレームメモリ42には一つ前の断層画像データが格納される。ここで、フレームメモリ40を設けることなく順次入力されるデータに対してリアルタイムに相関演算を行うことも可能である。差分器44は、各画素データ単位でフレーム間において差分演算を実行する。その差分値が積算値46においてフレームの全体に亘って積算される。その積算結果すなわち積算値が最小値検出器48に入力される。一方の断層画像を固定しておいて、他方の断層画像を順次並行移動させながら上記の積算値を求めることにより、それらの積算値の中の最小値として(あるいは最も相関が大となる場合として)並行移動量を特定することが可能である。この処理自体は公知である。同様の手法を適用することにより、すなわち一方の断層画像データを固定しておいて他方の断層画像データを順次回転移動させながら積算値を求めることにより、回転移動量も求められる。そのような第1走査面内における並行運動成分及び回転運動成分の特定は後に説明する面内運動成分演算部60において実行される。相関部20も上記の相関部18と同様の構成を具備している。相関部20によって、第2走査面に対応する並行運動成分を求めるための情報及び回転運動成分を求めるための情報が演算される。
ベクトル演算部22は、面内運動成分演算部60,62及び運動ベクトル演算部64を有している。面内運動成分演算部60は、第1走査面について相関部18から出力される相関結果に基づいて上述したようにフレーム間における並行運動成分及び回転運動成分を求める。それらの運動成分はそれぞれ2次元ベクトル情報に相当するものである。同様に、面内運動成分演算部62は、第2走査面についてフレーム間における並行運動成分及び回転運動成分を演算する。そして、運動ベクトル演算部64は、第1走査面及び第2走査面について求められた各種運動成分に基づき3次元運動情報を求める。その3次元運動情報は、フレーム間における3次元の並行運動情報及び回転運動情報である。それらの情報が後に説明する空間配置部28に送られる。また、本実施形態においてはそれらの情報が送受信制御部66にも送られている。更に、プローブではなく対象組織の運動情報の観測を目的とする場合には並行運動情報及び回転運動情報を画面上に表示したり、他の制御演算で利用したりすることが考えられる。
DSC36,38から出力される各走査面に対応した断層画像のデータは選択器24にも出力されている。選択器24においては、いずれかの走査面の断層画像データを選択してそれを出力している。この場合においては、ユーザによって選択対象を指示するようにしてもよいし、プローブの運動方向にできる限り直交する走査面が自動的に選択されるようにしてもよい。また、第1走査面及び第2走査面とは異なる位置に第3走査面を形成し、それに対応する断層画像データをDSC39において演算し、それによって得られる断層画像データを選択対象に含めるようにしてもよい。
選択器24から出力される各フレームごとの断層画像データはフレームデータ列メモリ26に格納される。このフレームデータ列メモリ26には時系列順で複数のフレームデータ(走査面データとしての断層画像データ)が格納される。ただし、破線で示されるように、選択された断層画像データを直ちに空間配置部28に送って当該断層画像データを空間的にマッピングするようにしてもよい。すなわち、後に説明するボリュームデータの構成処理はリアルタイムで行なうこともできるし、手動走査が完了した後に行わせることも可能である。
空間配置部28は、運動ベクトル演算部64から出力される3次元の運動情報に基づいて、各走査面の空間的な位置を特定する。具体的には、メモリ記憶空間に相当する絶対座標系における各走査面の座標が特定され、ボリュームデータメモリ30における当該座標に対応するアドレスに断層画像データが書き込まれる。各断層画像データごとにこのような処理を繰り返し行なえば、ボリュームデータメモリ30上に適正な位置関係を持って複数の断層画像データを書き込むことが可能となり、すなわち適正なボリュームデータを再構築することが可能となる。
レンダリング部32は、上述したボリュームデータに対して例えばボリュームレンダリング法に基づく3次元画像形成処理を実行し、これによって3次元画像を形成する。その画像データは表示部34へ送られる。ちなみに、3次元画像に代えて任意断層画像等を形成するようにしてもよい。いずれにしても、手動走査によって得られる断層画像データ列が不規則な並びを有するものであったとしても、本実施形態によれば画像処理によって各断層画像データ毎に適正な座標を特定することができるので、それらの適正な並べ替えを行ってボリュームデータを得られるという利点がある。
送受信制御部66は、送受信部12の動作制御を行っている。本実施形態においては、あらかじめ設定した角度関係を維持しながら第1走査面及び第2走査面が繰り返し形成されているが、上述のように演算された3次元運動情報に基づいて、それらの走査面の位置を動的に変更することも可能である。例えば、プローブの進行方向に面の向きが合致するように断層画像形成用の走査面を繰り返し形成してもよい。あるいはそのような条件を満たすように第3の走査面を第1及び第2走査面と共に繰り返し形成するようにしてもよい。ちなみに、2Dアレイ振動子に変えて十字形を有するクロスアレイ振動子を用いることもできる。あるいは3次元運動情報を得られる限りにおいて他のタイプのプローブを用いることも可能である。
図2には、第1走査面A及び第2走査面Bが示されている。図示の例では、電子セクタ走査によって扇状の第1及び第2走査面A,Bが形成されている。それらの走査面A,Bは図示されるように直交関係をもって形成される。ちなみに超音波ビームを第1走査方向及び第2走査方向に走査することにより3次元エコーデータ取り込み空間Vを形成することも可能である。3次元運動情報の演算にあたっては、二つの走査面A,Bが直交関係にあるのが望ましいが、それらの角度関係が既知であれば、必ずしも直交関係でなくても3次元運動情報を演算することができる。
図3及び図4には、フレーム間における相関演算の概念が示されている。ちなみに相関演算では、前のフレームにおいて局所的な関心領域が設定され、次のフレームにおいて関心領域と同じ領域を取り囲むように探索領域が設定され、その探索領域内に関心領域と同一形状のマッチング領域がその位置を可変させながら順次設定され、各位置において相関演算が行われる。図3及び図4においては、R1が前のフレームを示しており、R2が後のフレームを示している。また図3にはフレーム間における並行移動ベクトルが示されており、図4にはフレーム間における回転移動ベクトルが示されている。それらのベクトル情報を求める演算は公知である。
図5には三次元運動情報としての三次元並行運動情報の演算方法が概念的に示されている。XYZは絶対的座標空間を示し、xyzは相対的座標空間(プローブを基準とした座標空間)を示している。Aは第1走査面を示し、Bは第1走査面と直交関係にある第2走査面を示してる。なお、図5及び後述する図6においてはベクトル情報についてベクトル記号が付加されているが、以下の説明ではベクトル情報についてベクトル記号を省略する。
上記のフレーム間相関演算により、各走査面ごとに注目点(2つの走査面の交差線上に設定された注目点O)の移動を表す二次元ベクトルが演算される。第1走査面Aについてはフレーム間での並行運動成分(dAx,dAy)が求められ、同様に、第2走査面Bについてはフレーム間での並行運動成分(dBy,dBz)が求められる。つまり、2つの二次元ベクトルが演算される。dAy及びdByは、原理上同じ値となるが、実際には異なる値となることもあるので、三次元運動情報を構成する三次元ベクトルdMの演算に当たっては、両者の内の一方を選択利用するか、両方の平均値等を総合利用するのが望ましい。図5において、T0及びT1は、移動前後での注目点O,O’の位置ベクトルを示している。
図6には三次元運動情報としての三次元回転運動情報の演算方法が概念的に示されている。第1走査面Aについて求められるフレーム間の回転量(回転ベクトル)がαであり、同様に、第2走査面Bについて求められたフレーム間の回転量(回転ベクトル)がβである。それらの回転量の合成ベクトルがγとして表される。
以上のように、個々のフレーム間において、三次元運動情報として並行運動情報及び回転運動情報が求められるので、それを利用して順次取り込まれるあるいは順次取り込まれた画像形成用走査面データ(断層画像データ)の空間的な座標を特定することが可能となる。つまり、個々のエコーデータ(ボクセルデータ)の三次元記憶空間内での座標を画像処理によって特定することが可能である。上記の三次元運動情報はフレーム間ごとに時系列順で取得され、それらの合成あるいは積算から絶対空間内での注目点の位置や回転角度を求めることができる。ここで、画像形成用走査面データは、本実施形態では第1走査面データ又は第2走査面データである。但し、それらの両者を用いてボリュームデータを構築することも可能である。あるいは、上記のように第3の走査面データを取得してボリュームデータを構築するようにしてもよい。第1走査面及び第2走査面に対する第3走査面の位置関係が既知であれば、第1走査面及び第2走査面の位置から第3走査面の位置を簡単に特定できる。
次に、図7乃至図12を用いて各種の手動走査態様を説明する。図7において、Uはボリューム空間を模式的に表している。そのボリューム空間を横切るように第1走査面A及び第2走査面Bが存在している。ユーザによる手動走査によりプローブが移動すると、U’で示されるようにそれぞれの走査面A,Bが紙面横方向に運動する。それぞれの走査面は繰り返し電子的に形成されるため、ここで第1走査面Aに着目すると、手動走査の過程においてはその手動走査方向に整列して複数の第1走査面が形成されることになる。そのように構成される走査面列が符号70で示されており、それを構成する走査面としての要素が符号72で示されている。
図8に示す例では、プローブすなわちボリューム空間Uが紙面垂直方向に移動している。この場合においては、第2走査面Bが垂直方向に運動した結果として上記のような走査面列70が構成される。このように、プローブの手動走査方向に応じて画像形成で用いる走査面を選択するのが望ましい。この場合に、移動走査方向にできる限り直交する走査面を画像形成用の走査面として定めるのが望ましい。もちろん、もう一方の走査面も順次形成され、二つの走査面の形成によって得られたデータに基づいて上述した3次元運動情報が演算される。
図9に示す例では、第1走査面A、第2走査面Bに加えて第3走査面Cが形成されている。この第3走査面Cは画像形成のための専用の走査面である。すなわち、3次元運動情報の計測のための走査面と画像形成用の走査面とを区別するようにしてもよい。例えば前者についてはビーム密度を粗にし後者についてはビーム密度を密にするようにしてもよい。またビーム密度以外のパラメータ、すなわち走査幅や走査深さなどを異ならせるようにしてもよい。
図10に示す例では、プローブすなわちボリューム空間Uが紙面斜め方向に運動をしている。このような場合においても、いずれかの走査面のデータを用いて、しかも各データの空間的な座標を正確に特定しつつ、ボリュームデータを構成することが可能となる。
図11に示す例では、プローブが並行運動すると共に回転運動している例を示している。このような場合においても各走査面の位置を正確に特定できるので、ボリュームデータを的確に再構成することが可能となる。
図12に示す例では、プローブすなわちボリューム空間の手動走査にあたって、主たる手動走査方向への運動成分の他に、複数の運動成分(回転運動成分を含む)が生じている。生体表面は平坦ではない為このような状態が生じる可能性は高い。ちなみに、図12においてA’及びB’は移動後における第1走査面及び第2走査面を示している。Lは移動前の基準軸を示しており、L’は移動後の基準軸を示している。このような場合においても、本実施形態においては3次元運動情報として並行運動情報に加えて回転運動情報も演算できるので、各走査面の位置を正確に特定してボリュームデータを構築することが可能である。
図13には、ボリュームデータの構築方法が概念的に示されている。(A)にはフレームデータ列70が示されている。このフレームデータ列70は上述したように手動走査の各タイミングで取得された断層画像データ72によって構成されるものである。(A)に示されるフレームデータ列70は見かけ上空間的に整列しているが、実際には手振れや呼吸運動などの影響を受けてそれらは空間的には不ぞろいとなっている。(B)に示されるように、本実施形態によれば3次元運動情報を各フレーム毎すなわち各断層毎に得ることができるので、その情報を利用して各断層画像データを記憶空間76上にマッピングすれば、適切なボリュームデータ74を得ることが可能である。ここで符号72Aは座標変換後すなわちマッピング後の断層画像データを示している。ちなみに、メモリ上にボリュームデータ74を構築する場合、フレームデータ列について各座標軸方向について最も飛び出ている最大座標を特定し、三つの軸について求められた三つの最大座標で特定される直方体形状をもって実効記憶空間とするようにしてもよい。例えばメモリへの書き込み時にズームを行うような場合にはメモリ空間を最大限に活用するために上記の処理を適用するのが望ましく、また補間処理を行うような場合においても上記の処理を利用してデータが実際に存在する空間領域をあらかじめ特定するようにしてもよい。
(B)太い走査面の利用
上記実施形態において、2つの走査面ごとに相関処理を適正に継続させるためには各走査面を厚い走査面として構成するのが望ましい。すなわち、プローブや対象組織が走査面と直交する方向に運動しても相関処理の途絶えを防止するものである。厚い走査面は、通常のBモード等の動作モードで採用されている通常の薄い走査面によりも厚み方向において増大している走査面である。図14には比較例が示され、ここでは2つの細いビーム100,102を電子走査方向101,103に走査して(クロススキャン)して構成される薄い走査面A1,B1が示されている。図15には2つの太いビーム104,106を電子走査方向105,107に走査して(クロススキャン)して構成される厚い走査面A2,B2が示されている。このような厚いバイプレーンを形成することにより、プローブ及び対象組織が任意の方向へ運動してもその運動を忠実にトラッキングすることができ、つまり各相関処理を適正に行える。
図15に示した2つの走査面の一方又は両方を利用して超音波画像を形成することが可能である。但し、厚い走査面によると、空間的な分解能が低下してしまうため、第3の走査面を形成するようにしてもよい。その構成例が図16に示されている。この例では、厚い走査面A2,B2に加えてそれらにクロスする薄い走査面Cが繰り返し形成される。符号112は走査面列を示しており、それは走査面データ列に相当する。符号112Aは走査面列を構成する個々の走査面を示している。
図17には、厚い走査面を生成する際に形成される太いビームについての生成原理が示されている。この例では、二次元アレイ振動子112上に2種類のエリアが描かれており、エリア114は円形領域であり、エリア116が楕円領域である。符号118は第1走査方向における重み付け関数を示しており、符号120は第2走査方向における重み付け関数を示している。それらの関数はエリア114,116に概ね対応する。重み付け関数118,120は互いに異なる関数であって、前者は中心から幅(半値幅)の狭いシャープな全体形状を有し、後者は中心から幅の広いブロードな全体形状を有する。このように二次元的な重み関数を採用することによって、断面が偏平した超音波ビーム(送信ビーム、受信ビーム)を形成可能である。この例では、第1走査方向(紙面左右方向)のビームサイズよりも第2走査方向(紙面上下方向)のビームサイズの方が小さい形態をもった超音波ビームを形成可能である。つまり、そのような超音波ビームは第2走査方向に電子走査されて、当該方向に走査面が形成される。その厚み方向は第1走査方向となる。太い超音波ビームとして断面円形のものを利用することも可能であるが、上記のような偏平した断面を有する超音波ビームを形成すれば走査面方向の空間分解能を高められる。
既に説明したように、厚い走査面を繰り返し形成すればプローブ又は注目組織が様々な方向へ運動しても相関処理を適正に行える。特に上記実施形態ではバイプレーンを利用して2方向から運動が計測されているため、運動推定精度をより高められ、また運動計測の信頼性を高められる。
本発明に係る超音波診断装置の実施形態を示すブロック図である。 互いに直交する二つの走査面を示す図である。 フレーム間で求められる並行移動ベクトルを示す図である。 フレーム間で求められる回転運動ベクトルを示す図である。 並行運動ベクトルの演算方法を示す図である。 回転運動ベクトルの演算方法を示す図である。 プローブの手動走査についての第1例を示す図である。 プローブの手動走査についての第2例を示す図である。 プローブの手動走査についての第3例を示す図である。 プローブの手動走査についての第4例を示す図である。 プローブの手動走査についての第5例を示す図である。 プローブの手動走査についての第6例を示す図である。 フレームデータ列からボリュームデータを構築する方法を示す説明図である。 2つの薄い走査面を示す説明図である。 2つの厚い走査面を示す説明図である。 2つの厚い走査面と画像形成用の走査面とを示す説明図である。 太いビームについての生成原理を示す図である。
符号の説明
10 プローブ、15 プローブ運動計測部、16 座標変換部、18,20 相関部、22 ベクトル演算部、28 空間配置部。

Claims (4)

  1. 超音波の送受波により走査面を繰り返し形成する送受波部と、
    前記超音波の送受波により得られた時間的に異なる走査面データ間で相関処理を実行して相関処理結果を得る相関処理手段と、
    前記走査面の形成を制御する手段であって、第1動作モードでは細いビーム形状をもった超音波ビームにより薄い走査面が繰り返し形成されるようにし、前記相関処理が実行される第2動作モードでは太いビーム形状をもった超音波ビームにより少なくとも1つの厚い走査面が繰り返し形成されるようにする制御手段と、
    を含み、
    前記太いビーム形状をもった超音波ビームでは、ビーム走査方向のビームサイズよりも前記ビーム走査方向に直交する方向のビームサイズの方が大きい、ことを特徴とする超音波診断装置。
  2. 超音波の送受波により走査面を繰り返し形成する送受波部と、
    前記超音波の送受波により得られた時間的に異なる走査面データ間で相関処理を実行して相関処理結果を得る相関処理手段と、
    前記走査面の形成を制御する手段であって、第1動作モードでは細いビーム形状をもった超音波ビームにより薄い走査面が繰り返し形成されるようにし、前記相関処理が実行される第2動作モードでは太いビーム形状をもった超音波ビームにより少なくとも1つの厚い走査面が繰り返し形成されるようにする制御手段と、
    を含み、
    前記第2動作モードにおいては、互いに交差する第1走査面及び第2走査面が繰り返し形成され、
    前記第1走査面及び前記第2走査面の両方とも前記厚い走査面である、ことを特徴とする超音波診断装置。
  3. 請求項記載の装置において、
    前記第2動作モードにおいては、更に、前記第1走査面及び前記第2走査面とは異なる第3走査面が繰り返し形成され、
    前記第3走査面は薄い走査面である、ことを特徴とする超音波診断装置。
  4. 超音波の送受波により走査面を繰り返し形成する送受波部と、
    前記超音波の送受波により得られた時間的に異なる走査面データ間で相関処理を実行して相関処理結果を得る相関処理手段と、
    前記走査面の形成を制御する手段であって、第1動作モードでは細いビーム形状をもった超音波ビームにより薄い走査面が繰り返し形成されるようにし、前記相関処理が実行される第2動作モードでは太いビーム形状をもった超音波ビームにより少なくとも1つの厚い走査面が繰り返し形成されるようにする制御手段と、
    を含み、
    前記送受波部は2Dアレイ振動子を含み、
    前記太いビーム形状をもった超音波ビームを形成する場合に、前記2Dアレイ振動子上において第1方向に幅の広い重み付け特性が設定され且つ第2方向に幅の狭い重み付け特性が設定される、ことを特徴とする超音波診断装置。
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