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JP4945959B2 - 熱応答性磁性微粒子、その製造方法及び該微粒子を用いた吸着材 - Google Patents
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熱応答性磁性微粒子、その製造方法及び該微粒子を用いた吸着材 Download PDF

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Description

本発明は、熱応答性磁性微粒子、その製造方法及び該微粒子を用いた吸着材に関する。
リガンドが固定された微粒子を混合液に添加し、目的物質を吸着した後、微粒子を回収し、目的物質を微粒子から分離、回収する方法が知られている。具体的には、ビオチン及びアビジンから選ばれた1種以上が下限臨界溶液温度(以下、「LCST」と略す。)を有するポリマーを介して磁性微粒子に固定された熱応答性磁性微粒子と磁石の磁力を用いた生体物質の分離方法が開発されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、この方法で用いられているポリマーは、単に磁性微粒子上に巻き付いているだけで固着されておらず、目的物質の分離回収前後に磁性微粒子からポリマーが剥がれることが多く、効率のよい目的物質の回収ができていなかった。また、熱等の刺激応答により磁性微粒子の凝集分散を繰り返すと、次第に磁性微粒子同士の2次凝集が生じ、粒子の分散性が損なわれる場合があった。
これに対して、磁性微粒子と刺激応答性ポリマーを多価アルコールを介して結合し、固定化することでポリマーの磁性微粒子からの脱離と分散性を改善した方法が開発されている(例えば、特許文献2参照)。
国際公開第02/16571号パンフレット 特開2005−82538号公報
しかしながら、この方法では、磁性微粒子と刺激応答性ポリマーを多価アルコール上の官能基とのグラフト重合により結合、あるいはポリマー官能基を介して結合させる際に、フリーポリマーの生成やポリマー間の立体障害により、磁性微粒子表面へのポリマーの固定化が十分に行われず、安定した凝集力が得られないという課題があった。
そこで、本発明の課題は、水溶液中での分散性が高く、また、熱応答による凝集分散を繰り返しても、2次凝集を起こすことが殆どなく、更に目的物質の分離回収前後に磁性微粒子から熱応答性ポリマーが剥がれることが少ない、熱応答性磁性微粒子及びこれを用いた吸着材を提供することである。また、本発明の更なる課題は、容易に確実に磁性微粒子に熱応答性ポリマーを固定化でき、効率よく選択的にタンパク質等の目的物質(以下、「目的物」ということがある。)の回収が可能な熱応答性磁性微粒子及びこれを用いた吸着材を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、以下の構成を採用することにより、本発明の課題を解決することを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させた。
本発明は以下の構成を有する。
[1]熱応答性ポリマーを含有する溶液中で、塩化第二鉄・六水和物及び塩化第一鉄・四水和物の混合溶液を添加した後、アルカリ水溶液を添加し攪拌した後、酸で中和して磁性微粒子を製造することで得られる熱応答性磁性微粒子であって、熱応答性ポリマーが、磁性微粒子と親和性を有する官能基を含む単量体を共重合成分として含有する熱応答性共重合体であることを特徴とする、熱応答性磁性微粒子。また、前記熱応答性共重合体が、磁性微粒子と親和性を有する官能基を含む単量体をブロック共重合成分として含有するブロック共重合体である熱応答性磁性微粒子。
[2] 磁性微粒子と親和性を有する官能基を含む単量体が、ポリグリセロールモノメタクリレート、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリリン酸からなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマーの単量体であることを特徴とする前記[1]項記載の熱応答性微粒子。
[3] 熱応答性ポリマーが、下限臨界溶液温度を有するポリマーである前記[1]または[2]項記載の熱応答性磁性微粒子。
[4] 下限臨界溶液温度を有するポリマーが、N−n−プロピルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−アクリロイルピロリジン、N−アクリロイルピペリジン、N−アクリロイルモルホリン、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−メタクリロイルピロリジン、N−メタクリロイルピペリジン及びN−メタクリロイルモルホリンからなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体を、熱応答性を示す共重合成分として含有することを特徴とする前記[3]項記載の熱応答性微粒子。
[5] 熱応答性ポリマーが、上限臨界溶液温度を有するポリマーである前記[1]または[2]項記載の熱応答性磁性微粒子。
[6] 上限臨界溶液温度を有するポリマーが、アクリルアミド、アセチルアクリルアミド、ビオチノールアクリレート、N−ビオチニル−N′−メタクロイルトリメチレンアミド、アクロイルグリシンアミド、アクロイルザルコシンアミド、メタクリルザルコシンアミド、アクロイルニペコタミド及びアクロイルメチルウラシルからなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体を、熱応答性を示す共重合成分として含有することを特徴とする前記[5]項記載の熱応答性磁性微粒子。
[7] 熱応答性ポリマーが、ポリグリセロールモノメタクリレートと、ポリN−イソプロピルアクリルアミドとのジ・ブロック共重合体である、前記[1]〜[4]のいずれか1項記載の熱応答性磁性微粒子。
[8] 熱応答性ポリマーが、N,N−ジエチルジチオカルバミド酢酸を重合開始剤とし、グリセロールモノメタクリレートを重合用モノマーとし、UV照射によってリビングラジカル重合したポリグリセロールメタクリレートと、N−イソプロピルアクリルアミドとが、UV照射によるリビングラジカル重合により得られることを特徴とする、前記[1]項または前記[2]項記載の熱応答性磁性微粒子。
[9] 熱応答性磁性微粒子の平均粒径が、10〜1000nmであることを特徴とする、前記[1]〜[8]のいずれか1項記載の熱応答性磁性微粒子。
[10] 前記[1]〜[9]のいずれか1項記載の熱応答性磁性微粒子と、目的物と相互に特異的吸着作用する物質とからなる吸着材。
[11] 目的物と相互に特異的吸着作用する物質が、ビオチン、アビジン、グルタチオン、レクチン及び抗体からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前記[10]項記載の吸着材。
[12] 少なくとも下記の工程を有することを特徴とする、前記[10]項または前記[11]項記載の吸着材を用いた目的物質の分離方法。
1)目的物質を含む水溶液と吸着材との混合液を調整し、目的物質と吸着材との結合体を生成させる工程、
2)前記混合液の温度を下限臨界溶液温度または上限臨界溶液温度に設定し、前記結合体を凝集させる工程、
3)凝集した結合体を磁石で分離し、回収する工程、
4)回収した結合体から目的物質を分離し、回収する工程。
[13] 少なくとも下記の工程を有することを特徴とする熱応答性磁性微粒子の製造方法。
1) N,N−ジエチルジチオカルバミド酢酸を重合開始剤とし、グリセロールモノメタクリレートをUV照射でリビングラジカル重合する工程、
2) 1)で得られたポリグリセロールモノメタクリレートと、N−イソプロピルアクリルアミドとを混合し、UV照射でリビングラジカル重合する工程、
3) 2)で得られたブロックポリマーを含む水溶液に、塩化第二鉄・六水和物、塩化第一鉄・四水和物の混合溶液を添加、攪拌し、水酸化ナトリウム水溶液を添加、攪拌した後、塩酸で中和する工程、及び
4)重合未反応物を除去し、熱応答性磁性微粒子を分離する工程。
本発明の熱応答性磁性微粒子は、磁性微粒子への熱応答性ポリマーの導入が容易に確実に行われ、水溶液中での分散性が高く、熱刺激応答による凝集分散を繰り返しても、2次凝集を起こすことが殆どないため、これを用いた吸着材は、目的物を効率よく吸着することができる。
本発明の熱応答性磁性微粒子及びこれを用いた吸着材は、目的物の分離回収前後に磁性微粒子から熱応答性ポリマーが殆ど剥がれ落ちない。そのため、本発明の吸着材を用いることで、細胞破砕懸濁液等のタンパク質混合液から目的タンパク質を効率よく選択的に回収することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の熱応答性磁性微粒子は、磁性微粒子と熱応答性ポリマーとを用いて得られる。熱応答性ポリマーは、磁性微粒子と結合する部位、つまり磁性微粒子の成分である鉄イオン等の金属イオンと親和性の高い官能基、例えば、水酸基、カルボキシル基、リン酸基等を含有する単量体成分と熱応答性を示す単量体成分との共重合体、好ましくはブロック共重合体である。この熱応答性ポリマーは、磁性微粒子と結合するポリマー部位、および熱応答性ポリマー部位が少なくともそれぞれ一種類以上存在している共重合体であれば制限無く利用することができる。ジ・ブロック共重合体またはトリ・ブロック共重合体が好ましく利用でき、特に、調製の容易さの面からジ・ブロック共重合体が好ましく利用できる。
本発明に用いられる磁性微粒子との結合部位となる共重合成分としては、構成単位に前記の官能基を有する単量体であれば特に制限は無く、例えば、ポリグリセロールモノメタクリレート、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリリン酸が挙げられる。本発明において、磁性微粒子上の金属イオンと、熱応答性ポリマーを構成する金属イオンと親和性を有するポリマー部位の有する官能基との結合により、磁性微粒子と熱応答性ポリマーとが結合される。熱応答性ブロックポリマーの有する官能基は、磁性微粒子との結合に利用されるだけでなく、磁性微粒子の水溶液中での分散性の向上にも効果があると推定される。
本発明で用いられる熱応答性ポリマーは、下限臨界溶液温度を有するポリマー及び上限臨界溶液温度を有するポリマーに区別される。
本発明の下限臨界溶液温度を有するポリマーは、熱応答性を示すポリマー部位(共重合成分)として、例えば、N−n−プロピルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−アクリロイルピロリジン、N−アクリロイルピペリジン、N−アクリロイルモルホリン、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−メタクリロイルピロリジン、N−メタクリロイルピペリジン、N−メタクリロイルモルホリン等のN置換(メタ)アクリルアミド誘導体からなるポリマー;ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール部分酢化物、ポリビニルメチルエーテル、(ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン)ブロックコポリマー、ポリオキシエチレンラウリルアミン等のポリオキシエチレンアルキルアミン誘導体;ポリオキシエチレンソルビタンラウレート等のポリオキシエチレンソルビタンエステル誘導体;(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)アクリレート、(ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル)メタクリレート等の(ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル)(メタ)アクリレート類;及び(ポリオキシエチレンラウリルエーテル)アクリレート、(ポリオキシエチレンオレイルエーテル)メタクリレート等の(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)(メタ)アクリレート類等のポリオキシエチレン(メタ)アクリル酸エステル誘導体等を含有するポリマーが挙げられる。これらの下限臨界溶液温度を有するポリマー部位は、これらの単量体からなる単独重合体及びこれらの少なくとも2種の単量体からなる共重合体のいずれでもよい。これらのなかでも、下限臨界溶液温度を有するポリマー部位として、N−n−プロピルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−アクリロイルピロリジン、N−アクリロイルピペリジン、N−アクリロイルモルホリン、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−メタクリロイルピロリジン、N−メタクリロイルピペリジン、N−メタクリロイルモルホリンからなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体を含有する単独重合体または共重合体が好ましく利用できる。
また、本発明の上限臨界溶液温度を有するポリマーは、熱応答性を示すポリマー部位(共重合成分)として、例えば、アクリルアミド、アセチルアクリルアミド、ビオチノールアクリレート、N−ビオチニル−N′−メタクロイルトリメチレンアミド、アクロイルグリシンアミド、アクロイルザルコシンアミド、メタクリルザルコシンアミド、アクロイルニペコタミド及びアクロイルメチルウラシル等からなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体を含有するポリマーが挙げられる。これらの上限臨界溶液温度を有するポリマー部位は、これらの単量体からなる単独重合体およびこれらの少なくとも2種の単量体からなる共重合体のいずれでもよい。これらのなかでも、上限臨界溶液温度を有するポリマー部位として、アクリルアミド、アセチルアクリルアミド、ビオチノールアクリレート、N−ビオチニル−N′−メタクロイルトリメチレンアミド、アクロイルグリシンアミド、アクロイルザルコシンアミド、メタクリルザルコシンアミド、アクロイルニペコタミド及びアクロイルメチルウラシルからなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体を含有する重合体または共重合体が好ましく利用できる。
本発明に用いる磁性微粒子は、特に制限はないが、平均粒径が、10nm以上、1000nm未満であることが好ましく、目的物の認識性を高めるためには、平均粒径が、50nm以上、200nm未満であることが特に好ましい。磁性微粒子の素材は、例えば、マグネタイト、酸化ニッケル、フェライト、コバルト鉄酸化物、バリウムフェライト、炭素鋼、タングステン鋼、KS鋼、希土類コバルト磁石及びヘマタイト等の微粒子が挙げられる。
これら磁性微粒子と、熱応答性ポリマーとの結合体、詳しくは熱応答性ポリマー成分である磁性微粒子と親和性の高い官能基を有するポリマー部位と磁性微粒子との結合体は、当技術分野における周知の方法によって調製することができる。例えば、米国特許第4452773号に記載されているように、ポリマー構成単位中に複数の水酸基を有する高分子であるデキストランの50重量%水溶液(10ml)中に、塩化第二鉄・六水和物(1.51g)及び塩化第一鉄・四水和物(0.64g)混合水溶液(10ml)を加えて攪拌し、60〜65℃に水浴中で、7.4(V/V)%アンモニア水溶液をpH10〜11程度になるように滴下しながら、加熱し、15分反応させる方法で得ることができる。
本発明では、磁性微粒子と親和性を有する官能基を含有する単量体と熱応答性を示す単量体とを共重合させ、得られた共重合体を含有する溶液に、上記の従来公知の磁性微粒子を製造する方法を適宜用いることにより、磁性微粒子と熱応答性ポリマーとの結合体を製造することができる。特に、熱応答性ポリマーとしてブロック共重合体を用いる場合には、上記の一方の共重合成分を構成する単量体を重合開始剤を用いてリビングラジカル重合し、更にもう一方の共重合成分を構成する単量体をリビングラジカル重合させ、得られたブロック共重合体を上記の従来公知の磁性微粒子の製造法を適宜用いることにより、本発明の熱応答性磁性微粒子を得ることができる。
より具体的には、少なくとも下記の工程を用いることにより、本発明の熱応答性磁性微粒子を容易に得ることができる。
ここでは、磁性微粒子と親和性を有する官能基を含む単量体としてグリセロールモノメタクリレート、熱応答性を示す共重合成分を構成する単量体としてN−イソプロピルアクリルアミド、及び磁性微粒子としてマグネタイトを用いた例を示したが、下記方法はこれらに限定されるものではない。
1) N,N−ジエチルジチオカルバミド酢酸を重合開始剤とし、グリセロールモノメタクリレートをUV照射でリビングラジカル重合する。
2) 1)で得られたポリグリセロールモノメタクリレートと、N−イソプロピルアクリルアミドとを混合し、UV照射でリビングラジカル重合する。
3) 2)で得られたブロックポリマーを含む水溶液に、塩化第二鉄・六水和物、塩化第一鉄・四水和物の混合溶液を添加、攪拌し、水酸化ナトリウム水溶液を添加、攪拌した後、塩酸で中和する。
4)重合未反応物を除去し、熱応答性磁性微粒子を分離する。
本発明で磁性微粒子、熱応答性磁性微粒子及び吸着材の回収に用いる磁石は、用いる磁性微粒子の有する磁力の大きさによって異なるが、前記磁性微粒子の素材であれば、マグナ社製ネオジ磁石が利用できる。このように本発明では、磁石の磁力によって、熱応答性磁性微粒子及び吸着材等を回収するが、磁性微粒子の表面に熱応答性ポリマーが固定されていることで、分散状態では回収困難なナノサイズの磁性微粒子を意図的に凝集させて、回収率を高めることが可能になる。
本発明では、目的物と相互的に特異的吸着作用を有する部位を磁性微粒子に導入し、固定することで、その部位と親和性を有する物質が特異的に結合できる。目的物がタンパク質の場合には、目的物と相互に特異的吸着作用する部位として、ビオチン、アビジン、グルタチオン、レクチン及び抗体等を熱応答性磁性微粒子に固定することで、それらに親和性を有するタンパク質と特異的に結合できる。
ビオチンの場合は、アビジンとの特異的な結合を介してビオチン化された目的タンパク質と、またビオチン化された抗体を用いてそれらの抗原である種々のタンパク質と更に結合することが可能である。
本発明では、市販されているアビジン、ビオチン化タンパクが利用でき、ビオチン化は、当技術分野で周知の方法に従えばよい。
グルタチオンの場合は、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(以下、「GST」という。)を含有するタンパク質と特異的に結合できる。このようなGST含有タンパク質の調製は当技術分野で周知の方法に従えばよい。磁性微粒子上の熱応答性ポリマーに、ビオチンまたはグルタチオンを固定する方法は、例えば、国際公開第01/09141号パンフレットに記載されているように、ビオチンをメタクリル基やアクリル基等の重合性の官能基と結合させて付加重合性単量体とし、他の単量体成分と共重合することにより達成される。この方法は、重合性を持つようにモノマー化されたリガンドを用いて、ポリマーの重合時に共重合させ、リガンドを固定する方法である。この方法を利用して熱応答性ポリマーにグルタチオンを固定することができる。また、ポリマーの重合時にカルボン酸、アミノ基またはエポキシ基等の官能基を持つモノマーを他のモノマーと共重合させ、当技術分野で周知の方法に従い、この官能基を介して、リガンドをポリマー上に固定する方法が利用できる。これにより、熱応答性磁性微粒子と、リガンドとからなる吸着材が得られる。
本発明において、吸着材は、目的物質を回収するために用いることができる。その方法は、以下の通りである。
1)目的物質を含む水溶液と吸着材との混合液を調整し、目的物質と吸着材との結合体を生成させる。
2)前記混合液の温度を下限臨界溶液温度または上限臨界溶液温度に設定し、前記結合体を凝集させる。
3)凝集した結合体を磁石で分離し、回収する。
4)回収した結合体から目的物質を分離し、回収する。
本発明では、少なくとも下記工程を有する方法により、微生物の細胞破砕懸濁液から目的タンパク質を分離することができる。なお、このとき用いる吸着材は、熱応答性磁性微粒子とビオチンとが熱応答性ポリマーを介して固定された構造であり、吸着材の平均粒径は、10〜1000nmであり、30〜200nmであることが好ましい。
1)目的タンパク質の生産菌を培養し、得られた細胞懸濁液を破砕し、細胞破砕懸濁液を調製する。
2)目的タンパク質のポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体を調製する。
3)上記2)の抗体、該抗体を抗原とするビオチン化イムノグロブリンG、アビジン及び吸着材を混合し、ここに目的タンパク質を含む細胞破砕懸濁液を加え、混合液とし、吸着材と目的タンパク質との結合体を生成させる。
4)前記混合液の温度を下限臨界溶液温度または上限臨界溶液温度に設定し、前記結合体を凝集させる。
5)凝集した結合体を磁石で分離し、回収する。
6)結合体からタンパク質を分離する。
本発明では、少なくとも下記工程を有する方法により、微生物の細胞破砕懸濁液から目的タンパク質を分離することができる。なお、このとき用いる吸着材は、熱応答性磁性微粒子とグルタチオンとが熱応答性ポリマーを介して固定された構造であり、吸着材の平均粒径は、10〜1000nmであり、30〜200nmであることが好ましい。
1)目的タンパク質とグルタチオン−S−トランスフェラーゼとの融合タンパク質を生産する、微生物を培養し、得られた細胞懸濁液を破砕し、細胞破砕懸濁液を調製する。
2)細胞破砕懸濁液に吸着材を加え、混合液とし、融合タンパク質と吸着材との結合体を生成させる。
3)前記混合液の温度を下限臨界溶液温度または上限臨界溶液温度に設定し、結合体を凝集させる。
4)凝集した結合体を磁石で分離し、回収する。
5)結合体からタンパク質を分離する。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されることはない。また、実施例、比較例中における物性の測定方法、用いた材料の組成は以下の通りである。
実施例1
<重合開始剤の調製>
N,N−ジエチルジチオカルバミド三水和物10g、クロロ酢酸ナトリウム5.17g、水100gを300mlナスフラスコ中、室温にて、マグネティックスターラーを用いて、2日間撹拌した。塩酸を添加してpH4にして生成物を沈殿させた後、ろ過、減圧乾燥し、回収した。アセトンにより再結晶させた。
<ブロックポリマーの調製>
グリセロールモノメタクリレート4.51g、N,N−ジエチルジチオカルバミド酢酸0.05g、1N水酸化ナトリウム水溶液1.5ml、水200mlを反応容器(理工科学産業株式会社製 UVL-400HA-200Pa 平底)に入れ、UVランプ、セラムラバーを装着した。冷却水で容器内温度を20℃に保ち、マグネティックスターラーで系内を撹拌しながら30分窒素置換を行い、60分UVを照射した。反応溶液を3日間透析し、ロータリーエバポレーターを用いて200gに調整した後、再び反応容器に入れ、N−イソプロピルアクリルアミド3.18gを添加して同様に90分間重合を行った。透析により精製し、凍結乾燥により生成物を回収した。得られたブロックポリマーはGPC測定で平均分子量Mn=7410、Mw=16300であった。
<ブロックポリマー磁性体複合粒子の調製>
100ml容の4口フラスコ中に上記ポリマーを2mg、水を3ml入れ溶解し、撹拌シール、撹拌棒、セラムラバーを装着し、系内を30分窒素置換した。0.2M塩化第一鉄・四水和物水溶液:0.2M塩化第二鉄・六水和物水溶液(=1:2)水溶液43μlを添加して速度200rpmで30分撹拌後、0.5N水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH12にし、60分反応を行った。塩酸を添加して系を中性にして反応を終了させた。その後、透析により精製した。その後、15000rpmで20分遠心分離を行い、上澄みを70000rpmで20分超遠心して得られる沈殿物を再分散させた。得られたブロックポリマー磁性体複合粒子の平均粒径は、光散乱光度計により約20nmであることがわかった。またこの微粒子はLCSTを34℃に有し、LCST未満の水溶液中では完全に分散し、磁石での回収は困難であったが、溶液をLCST以上にすると直ちに凝集し、磁石で回収することが可能であった。
比較例1
特開2005−82538号公報記載の実施例と同様に熱応答性磁性微粒子を調製した。
<磁性微粒子の調製>
100ml容のフラスコに、塩化第二鉄・六水和物(1.0mol)及び塩化第一鉄・四水和物(0.5mol)混合水溶液を4ml、多価アルコールであるデキストラン(和光純薬社製、分子量32000〜40000)の10重量%水溶液60mlを入れ、メカニカルスターラーで攪拌し、この混合溶液を50℃に昇温した後、これに25重量%アンモニア溶液5.0mlを滴下し、1時間程度攪拌した。この操作で、平均粒径が約40nmのデキストランが固定された磁性微粒子が得られた。この磁性微粒子溶液3ml(磁性体濃度0.02wt%)中に系中濃度0.067(W/W)%になるようにN−イソプロピルアクリルアミドを添加し、20℃で窒素で十分溶液を脱気しながら30分攪拌した。更に0.2M硝酸二アンモニウムセリウム(IV)硝酸溶液5μlを添加し、2時間攪拌し、磁性微粒子上にグラフト重合反応を進行させた。得られた粒子を34℃以上に加熱したが、磁性微粒子液がわずかに濁りを生じるだけで磁石での回収はできなかった。

Claims (13)

  1. 熱応答性ポリマーを含有する溶液中で、塩化第二鉄・六水和物及び塩化第一鉄・四水和物の混合溶液を添加した後、アルカリ水溶液を添加し攪拌した後、酸で中和して磁性微粒子を製造することで得られる熱応答性磁性微粒子であって、熱応答性ポリマーが、磁性微粒子と親和性を有する官能基を含む単量体を共重合成分として含有する熱応答性共重合体であることを特徴とする、熱応答性磁性微粒子。
  2. 磁性微粒子と親和性を有する官能基を含む単量体が、ポリグリセロールモノメタクリレート、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリリン酸からなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマーの単量体であることを特徴とする請求項1記載の熱応答性微粒子。
  3. 熱応答性ポリマーが、下限臨界溶液温度を有するポリマーである請求項1または請求項2記載の熱応答性磁性微粒子。
  4. 下限臨界溶液温度を有するポリマーが、N−n−プロピルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−アクリロイルピロリジン、N−アクリロイルピペリジン、N−アクリロイルモルホリン、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−メタクリロイルピロリジン、N−メタクリロイルピペリジン及びN−メタクリロイルモルホリンからなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体を、熱応答性を示す共重合成分として含有することを特徴とする請求項3記載の熱応答性微粒子。
  5. 熱応答性ポリマーが、上限臨界溶液温度を有するポリマーである請求項1または請求項2記載の熱応答性磁性微粒子。
  6. 上限臨界溶液温度を有するポリマーが、アクリルアミド、アセチルアクリルアミド、ビオチノールアクリレート、N−ビオチニル−N′−メタクロイルトリメチレンアミド、アクロイルグリシンアミド、アクロイルザルコシンアミド、メタクリルザルコシンアミド、アクロイルニペコタミド及びアクロイルメチルウラシルからなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体を、熱応答性を示す共重合成分として含有することを特徴とする請求項5記載の熱応答性磁性微粒子。
  7. 熱応答性ポリマーが、ポリグリセロールモノメタクリレートと、ポリN−イソプロピルアクリルアミドとのジ・ブロック共重合体である、請求項1〜4のいずれか1項記載の熱応答性磁性微粒子。
  8. 熱応答性ポリマーが、N,N−ジエチルジチオカルバミド酢酸を重合開始剤とし、グリセロールモノメタクリレートを重合用モノマーとし、UV照射によってリビングラジカル重合したポリグリセロールメタクリレートと、N−イソプロピルアクリルアミドとが、UV照射によるリビングラジカル重合により得られることを特徴とする、請求項1または2記載の熱応答性磁性微粒子。
  9. 熱応答性磁性微粒子の平均粒径が、10〜1000nmであることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項記載の熱応答性磁性微粒子。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項記載の熱応答性磁性微粒子と、目的物と相互に特異的吸着作用する物質とからなる吸着材。
  11. 目的物と相互に特異的吸着作用する物質が、ビオチン、アビジン、グルタチオン、レクチン及び抗体からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項10記載の吸着材。
  12. 少なくとも下記の工程を有することを特徴とする、請求項10または請求項11記載の吸着材を用いた目的物質の分離方法。
    1)目的物質を含む水溶液と吸着材との混合液を調整し、目的物質と吸着材との結合体を生成させる工程、
    2)前記混合液の温度を下限臨界溶液温度または上限臨界溶液温度に設定し、前記結合体を凝集させる工程、
    3)凝集した結合体を磁石で分離し、回収する工程、
    4)回収した結合体から目的物質を分離し、回収する工程。
  13. 少なくとも下記の工程を有することを特徴とする熱応答性磁性微粒子の製造方法。
    1) N,N−ジエチルジチオカルバミド酢酸を重合開始剤とし、グリセロールモノメタクリレートをUV照射でリビングラジカル重合する工程、
    2) 1)で得られたポリグリセロールモノメタクリレートと、N−イソプロピルアクリルアミドとを混合し、UV照射でリビングラジカル重合する工程、
    3) 2)で得られたブロックポリマーを含む水溶液に、塩化第二鉄・六水和物、塩化第一鉄・四水和物の混合溶液を添加、攪拌し、水酸化ナトリウム水溶液を添加、攪拌した後、塩酸で中和する工程、及び
    4)重合未反応物を除去し、熱応答性磁性微粒子を分離する工程。
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