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JP4946207B2 - タイヤ試験条件設定方法 - Google Patents
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本発明は、タイヤの試験条件を設定する方法に関し、更に詳しくは、タイヤ同士を比べる相対評価ではなく、実車試験においてタイヤ性能が所定のレベルを満たしているか否かをラボ試験で判定することができるタイヤ試験条件設定方法に関する。
一般に、空気入りタイヤは、走行距離の増加に伴い、また経時劣化により疲労してタイヤ構成部材の物性が低下し、終には破壊に至る。このようなタイヤのラボ試験(実際にタイヤを車両に装着して行う試験(実車試験)ではなく、試験装置にタイヤを装着して行う試験)として、種々の破壊試験や疲労試験がある(例えば、非特許文献1参照)が、これらの試験はタイヤ同士を比べる相対評価であり、また試験条件の選び方によっては優劣が定め難く、甚だしい場合には相対比較の優劣が実車試験での優劣と逆転する場合もある。即ち、従来からある種々の破壊試験や疲労試験では、実車試験においてタイヤ性能が所定のレベルを満たしているか否かをラボ試験で確実に判定することができないという問題があった。
JIS D4230
本発明の目的は、タイヤ同士を比べる相対評価ではなく、実車試験においてタイヤ性能が所定のレベルを満たしているか否かをラボ試験で確実に判定することが可能なタイヤ試験条件設定方法を提供することにある。
上記目的を達成する本発明のタイヤ試験条件設定方法は、実車試験により破壊したタイヤからサンプリングした破壊されたタイヤ構成部材の物性値から該タイヤ構成部材の破壊の閾値を決定し、前記実車試験のタイヤと同じ構成のタイヤに対して予め設定した条件でラボ試験を実施し、該ラボ試験のタイヤが実車試験と同じタイヤ構成部材に破壊が発生し、該タイヤ構成部材の物性値が前記閾値と同じレベルを示す場合に、前記予め設定した条件を前記タイヤと比較したい試験タイヤのラボ試験条件とすることを特徴とする。
上述した本発明によれば、上記のようにして得られたラボ試験条件を採用することで、ラボ試験が終了する前に試験タイヤのタイヤ構成部材に破壊が発生すれば、この試験タイヤは実車試験のタイヤ(タイヤ構成部材が所定のレベルを満たしているタイヤ)より劣る、即ち、実車試験でタイヤ性能(タイヤ構成部材)が所定のレベルを満たしていないタイヤであることがわかる。他方、ラボ試験が終了しても試験タイヤのタイヤ構成部材に破壊が発生していなければ、この試験タイヤは実車試験のタイヤより優れている、即ち、実車試験でタイヤ性能(タイヤ構成部材)が所定のレベルを満たしているタイヤであることがわかる。
従って、単にタイヤ同士を比べる相対評価ではなく、実車試験でタイヤ性能(タイヤ構成部材)が所定のレベルを満たしているか否かをラボ試験で確実に判定することが可能になる。
空気入りタイヤに実車走行時に加わる熱や機械的エネルギーなどの履歴と全く同じ履歴をラボ試験で与えることは不可能である。しかしながら、一般に、空気入りタイヤは、図1に示すように、空気入りタイヤを構成するベルト層やカーカス層などのタイヤ構成部材の物性が履歴の増加(走行距離の増加や経時)に伴い低下し、ある物性値(閾値)より低くなると破壊に至る。
また、空気入りタイヤは、図2に示すように、入力(タイヤに対する機械的エネルギー)が大きいと、タイヤ構成部材の物性の低下が早く進み、破壊が早く起きるが、入力が小さいと、タイヤ構成部材の物性の低下が遅く進むため、破壊の発生が遅れ、寿命が長くなる。その破壊が発生する際のタイヤ構成部材の物性値は、実車試験では同じレベルにあり、タイヤに対する入力の大小に関係なく、タイヤ構成部材の物性値がある物性値(閾値)より小さくなると破壊する。
また、タイヤ構成部材の物性は、一部の例外を除いて、温度変化により物性値が変化する。従って、タイヤ構成部材が破壊した時の物性値は、その破壊が発生した時の温度領域で測定することが重要である。
本発明のタイヤ試験条件設定方法は、上述した知見に基づき成されたものであり、以下、本発明の実施の形態について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明のタイヤ試験条件設定方法は、図3に示すように、同じ構成のタイヤ(多ければ多いほどよい)において、タイヤが破壊するまで実車試験を実施する(ステップ1)。同じ個所(タイヤ構成部材)が破壊したタイヤから、その破壊したタイヤ構成部材をサンプリングし、その物性値を測定する(ステップ2)。その際に、試験条件以外の要因で物性が低下するのを回避するため、破壊直後のタイヤから壊れたタイヤ構成部材をサンプリングして測定するのがよい。
サンプリングしたタイヤ構成部材の物性値を測定する場合、実車走行時にタイヤ構成部材が破壊した温度領域(例えば、100℃前後で破壊した場合には、100℃±10℃)、好ましくは実車走行時にタイヤ構成部材が破壊した温度と同じ温度(サンプリングしたタイヤ構成部材を実車走行時に破壊が発生した温度となるように加熱した状態)で測定するのが、実際の使用条件下での物性値となるためよい。しかしながら、物性値が温度の高低に比例して変動するものであれば、室温で測定(サンプリングしたタイヤ構成部材を室温にした状態で測定)される物性値であってもよい。
タイヤ構成部材の物性値としては、例えば、実車試験でベルト層が破壊(ベルトエッジセパレーションが発生)した場合には、ベルト層の物性値としてベルト層間の剥離力を挙げることができる。また、実車試験でカーカス層が破壊(カーカスコードが破断)した場合には、破断したカーカスコードの強力を物性値として挙げることができる。
次いで、測定して得られた物性値から、上記タイヤ構成部材の破壊の閾値を決定する(ステップ3)。例えば、複数のタイヤにおいて物性値を得た場合にはその平均をそのままタイヤ構成部材の破壊の閾値とすることができる。
次いで、実車試験のタイヤと同じ構成のタイヤに対して、予め設定した条件でラボ試験を実施する(ステップ4)。例えば、実車試験でベルト層が破壊(ベルトエッジセパレーションが発生)したタイヤの場合には、ラボ試験として室内ドラム試験を実施する。実車試験でカーカス層が破壊(カーカスコード破断が発生)したタイヤの場合にも室内ドラム試験を実施することができる。
予め設定した条件としては、ベルト層の破壊試験を室内ドラム試験で行う場合には、例えば、試験タイヤを酸化劣化させた後、一定の荷重を負荷し、ドラム回転速度を次第に上げながら、タイヤが破壊するまで試験を続行するように設定する。
試験終了後、タイヤの破壊した個所が実車試験と同じタイヤ構成部材であるか否か確認する(ステップ5)。実車試験と同じタイヤ構成部材が破壊しない場合には、設定条件を変えて試験を実施する(ステップ6)。実車試験と同じタイヤ構成部材が破壊するまで設定条件を変更し、試験を行う。
実車試験と同じタイヤ構成部材が破壊した場合には、破壊したタイヤ構成部材の物性値を測定する(ステップ7)。例えば、ベルト層に破壊が発生した場合には、そのベルト層の物性値としてベルト層間の剥離力を測定する。この物性値の測定は、上記実車試験でサンプリングしたタイヤ構成部材の物性値を測定する場合と同じ条件で測定する。即ち、サンプリングしたタイヤ構成部材の物性値を実車走行時にタイヤ構成部材が破壊した温度領域の1点(例えば、95℃)で測定した場合には、これと同じ条件(95℃)で測定する。また、サンプリングしたタイヤ構成部材の物性値をタイヤ構成部材が破壊した時の温度(例えば、100℃)で測定した場合には、ラボ試験で破壊したタイヤ構成部材を同じ条件(100℃)で測定する。また、サンプリングしたタイヤ構成部材の物性値を室温で測定している場合には、同様に室温で測定する。
破壊したタイヤ構成部材の物性値を測定した後、その物性値が上記閾値と同じレベルにあるか否か判定する(ステップ8)。このステップは、ラボ試験を実施したタイヤが実車試験のタイヤと同じレベルにあることを確認するためのものである。この物性値が上記閾値と同じレベルを示す場合に、上記した予め設定した条件を上記実車試験したタイヤと比較したい試験タイヤのラボ試験条件とする(ステップ9)。測定した物性値が上記閾値と同じレベルにない場合には、実車試験のタイヤと同じ構成の別のタイヤでステップ4から以降を行う。
このようにして得られたラボ試験条件でラボ試験を試験タイヤに実施した場合、そのラボ試験が終了する前に試験タイヤのタイヤ構成部材(実車試験したタイヤと同じタイヤ構成部材)に破壊が発生すれば、この試験タイヤは、実車試験のタイヤ(タイヤ構成部材が所定のレベルを満たしているタイヤ)より劣る、即ち、実車試験でタイヤ性能(タイヤ構成部材)が所定のレベルに達していないタイヤであることがわかる。他方、ラボ試験が終了しても試験タイヤのタイヤ構成部材に破壊が発生していない場合には、この試験タイヤは、実車試験のタイヤより優れている、即ち、実車試験でタイヤ性能(タイヤ構成部材)が所定のレベルに達しているタイヤであることがわかる。
従って、得られたラボ試験条件を採用して試験することで、単にタイヤ同士を比べる相対評価ではなく、実車試験でタイヤ性能(タイヤ構成部材)が所定のレベルを満たしているか否かをラボ試験で確実に判定することが可能になる。
本発明において、タイヤのラボ試験とは、実際にタイヤを車両に装着して行う試験(実車試験)ではなく、試験装置にタイヤを装着して行う試験である。このようなラボ試験としては、上記した室内ドラム試験に限定されず、屋外で試験装置にタイヤを取り付けて行う室外試験であってもよい。なお、ここで言う室内ドラム試験とは、例えば、JISに規定されるドラム試験装置を用いて行う試験である。
本発明は、上記実施形態では、タイヤを用いるラボ試験の試験条件を設定する方法について説明したが、タイヤ構成部材自体(サンプル)を用いて行うラボ試験における試験条件を設定する方法についても適用することが可能である。
なお、本発明のタイヤ試験条件設定方法でいうタイヤは、乗用車用空気入りタイヤ、重荷重用空気入りタイヤなど、試験を行うことができる空気入りタイヤであればいずれのタイヤであってもよい。
タイヤサイズを280/650R18で共通にし、実車試験によりベルト層にエッジセパレーションが発生したタイヤA(日本で2年保管した後実車試験を実施)の室温でのベルト層間剥離力と破壊した温度領域(100℃)でのベルト層間剥離力、及び高温高湿下(タイの倉庫に保管)で1年保管したタイヤB、1年半保管したタイヤC、2年保管したタイヤDに対して、下記の条件で室内ドラム試験を行い、室温及び破壊した温度領域(100℃)のベルト層間剥離力を測定した結果を表1に示す。
室内ドラム試験
各試験タイヤを空気圧200kPaにして室内ドラム試験機に取り付け、負荷荷重を4kN、雰囲気温度25℃の条件下で、時速を0〜200km/hまで急速に上昇させた後、時速200km/hから20分毎に時速を20kmずつ最高で300km/hになるまで増加させる。
Figure 0004946207
表1から、室内ドラム試験のタイヤCにおいて、破壊した温度領域で測定したベルト層間剥離力(物性値)が、実車試験のタイヤAのそれと同じレベルにあり、従って、ベルトエッジセパレーションの試験では、タイヤCで採用したタイヤ試験条件に設定することができる。他方、室温で測定したベルト層間剥離力(物性値)は、破壊した温度領域で測定したベルト層間剥離力に対して比例した関係にないので採用することができず、破壊した温度領域を測定時に使用するのがよいことがわかる。
タイヤサイズを235/45R17で共通にし、実車試験(サーキット走行)によりカーカスコード破断が発生したタイヤEの室温でのカーカスコード強力と破壊した温度領域(100℃)でのカーカスコード強力、及び室内ドラム試験により破壊試験(カーカスコード破断)を実施したタイヤF,Gの室温及び破壊した温度領域(100℃)でのカーカスコード強力を測定した結果を表2に示す。
Figure 0004946207
表2から、室内ドラム試験でカーカスコード破断が発生したタイヤGは、室温で測定したカーカスコード強力と破壊した温度領域で測定したカーカスコード強力が実質的に比例して変動しており、室温で測定される物性値を採用してもよいことがわかる。
タイヤ構成部材の物性と履歴の関係を示すグラフ図である。 タイヤ構成部材の物性と入力との関係を説明するグラフ図である。 本発明のタイヤ試験条件設定方法の一実施形態を示すフロー図である。

Claims (5)

  1. 実車試験により破壊したタイヤからサンプリングした破壊されたタイヤ構成部材の物性値から該タイヤ構成部材の破壊の閾値を決定し、前記実車試験のタイヤと同じ構成のタイヤに対して予め設定した条件でラボ試験を実施し、該ラボ試験のタイヤが実車試験と同じタイヤ構成部材に破壊が発生し、該タイヤ構成部材の物性値が前記閾値と同じレベルを示す場合に、前記予め設定した条件を前記タイヤと比較したい試験タイヤのラボ試験条件とするタイヤ試験条件設定方法。
  2. 前記実車試験及びラボ試験において破壊したタイヤ構成部材の物性値が、実車走行時にタイヤ構成部材が破壊した温度領域で測定された物性値である請求項1に記載のタイヤ試験条件設定方法。
  3. 前記実車試験及びラボ試験において破壊したタイヤ構成部材の物性値が、実車走行時にタイヤ構成部材が破壊した温度で測定された物性値である請求項2に記載のタイヤ試験条件設定方法。
  4. 前記実車試験及びラボ試験において破壊したタイヤ構成部材の物性値が、室温で測定された物性値である請求項1に記載のタイヤ試験条件設定方法。
  5. 前記ラボ試験が室内ドラム試験である請求項1乃至4のいずれかに記載のタイヤ試験条件設定方法。
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