JP4951182B2 - 難燃性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリアルキレンテレフタレート系樹脂を含む難燃性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリブチレンテレフタレートなどのポリアルキレンテレフタレート系樹脂は、優れた機械的特性、電気的特性、耐候性、耐水性、耐薬品性や耐溶剤性を有する。このため、エンジニアリングプラスチックとして電気・電子部品、機械機構部品、自動車部品など種々の用途に利用されている。一方、これらの樹脂には、利用分野が拡大するにつれ、安全上、難燃性であることが要求される。一般的には、樹脂に、ハロゲン化合物やアンチモン化合物を用いた難燃剤を添加することにより、難燃化する方法が知られている。
【0003】
特開平10−168297号公報には、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ホスフェート系の有機リン系難燃剤で構成された難燃性樹脂組成物が開示されている。特開平10−195283号公報には、特定の構造を有するリン酸エステルと、ノボラック型フェノール樹脂と、鉄、コバルト、ニッケル又は銅などの特定の金属の酸化物とを適量組み合わせて難燃化したポリエステル樹脂組成物が開示されている。しかし、リン酸エステル系難燃剤は、有害なハロゲンを含まないものの、ハロゲン系難燃剤と比較して、難燃性が劣るため、多量の難燃剤を必要とする。このため、ブリードアウトや樹脂の機械的特性の低下を引き起こし、難燃性とともに、機械的特性を向上させることができない。
【0004】
また、特開平11−181268号公報には、芳香族ポリカーボネート系樹脂と熱可塑性ポリエステル系樹脂とを90/10〜50/50(重量比)で含有する樹脂100重量部に対して、ホスファゼン化合物1.5〜15重量部と、タルクおよび/またはマイカ0.5〜30重量部とを加えることにより、樹脂混合物を難燃化できることが開示されている。しかし、芳香族ポリカーボネートベースの樹脂組成物は、耐溶剤性に課題を有し、しかも成形時の溶融流動性に劣り、成形性が低下する。
【0005】
なお、特開平11−181429号公報では、特定のホスファゼン化合物(環状ホスファゼン化合物、直鎖状ホスファゼン化合物、前記環状及び/又は直鎖状ホスファゼン化合物が特定の基で架橋された架橋ホスファゼン化合物など)を難燃剤として用い、熱可塑性樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネートなど)又は熱硬化性樹脂(フェノール樹脂など)のいずれかを難燃化している。しかし、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートを難燃化する場合、前記ホスファゼン化合物単独では難燃性が不十分である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、ポリアルキレンテレフタレート系樹脂の特性を低下させることなく、高度に難燃化された樹脂組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、フェノキシホスファゼン化合物とフェノール系樹脂とを組み合わせて難燃剤を構成すると、機械的特性を低下させることなくポリアルキレンテレフタレート系樹脂を高度に難燃化できることを見い出し本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明の難燃性樹脂組成物は、ホスファゼン化合物とフェノール系樹脂とを含有する難燃剤と、ポリアルキレンテレフタレート系樹脂(ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂など)とで構成されている。前記ホスファゼン化合物は、下記の(1)環状フェノキシホスファゼン化合物、(2)鎖状フェノキシホスファゼン化合物、(3)架橋フェノキシホスファゼン化合物などである。
【0009】
(1)環状フェノキシホスファゼン化合物
【化4】
(式中、mは3〜25の整数を示す。Phはフェニル基を示す。)
【0010】
(2)鎖状フェノキシホスファゼン化合物
【化5】
[式中、X1は基−N=P(OPh)3又は基−N=P(O)OPhを示し、Y1は基−P(OPh)4又は基−P(O)(OPh)2を示す。nは3〜10,000の整数を示す。Phは前記式(1)と同様である。]
【0011】
(3)架橋フェノキシホスファゼン化合物
前記環状フェノキシホスファゼン化合物(1)及び鎖状フェノキシホスファゼン化合物(2)から選ばれた少なくとも1種のフェノキシホスファゼン化合物が、o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基及び式(3a)
【化6】
[式中、Aは−C(CH3)2−、−SO2−、−S−又は−O−を示す。aは0又は1を示す。]で表されるビスフェニレン基から選ばれた少なくとも1種の架橋基で架橋された化合物であって、この架橋基の割合が、フェニル基換算で、フェノキシホスファゼン化合物(1)、(2)中の全フェニル基の総数を基準に0.1〜50モル%である化合物
【0012】
前記フェノール系樹脂は、フェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ポリビニルフェノール系樹脂などであってもよい。前記難燃剤は、ホスファゼン化合物とフェノール系樹脂とを、前者/後者=5/95〜95/5(重量比)程度の割合で含んでいてもよい。前記難燃剤の割合は、ポリアルキレンテレフタレート系樹脂100重量部に対して、1〜100重量部程度である。前記樹脂組成物は、さらに、窒素含有難燃剤(メラミン又はその誘導体、メラミン縮合物、メラミン又はその誘導体のシアヌレート、ピロリン酸又はポリリン酸のトリアジン誘導体との塩など)、リン酸エステル系難燃剤(リン酸エステル、ポリリン酸エステルなど)、炭化性樹脂(ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、芳香族エポキシ樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂など)、酸化防止剤、熱安定剤、ドリッピング防止剤、充填剤などを含有していてもよい。
【0013】
難燃性樹脂組成物は、ポリアルキレンテレフタレート系樹脂と前記難燃剤とを混合することにより製造できる。
【0014】
本発明には、前記難燃性樹脂組成物で形成された成形体も含まれる。
【0015】
【発明の実施の形態】
[ポリアルキレンテレフタレート系樹脂]
ポリアルキレンテレフタレート系樹脂としては、アルキレンテレフタレートを主成分(例えば、50〜100重量%、好ましくは75〜100重量%程度)とするホモポリエステル又はコポリエステルが挙げられる。ホモポリエステルには、例えば、ポリ1,4−シクロへキサンジメチレンテレフタレート(PCT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などが含まれる。コポリエステルの共重合可能な単量体としては、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、(ポリ)ブチレングリコールなどのアルコール成分、アジピン酸、セバシン酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニレンジカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシナフトエ酸などのカルボン酸成分などが挙げられる。これらポリアルキレテレフタレートは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。好ましいポリアルキレンテレフタレート系樹脂は、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリプロピレンテレフタレート系樹脂、及びポリブチレンテレフタレート系樹脂などであり、特に、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリC2-4アルキレンテレフタレートが好ましい。
【0016】
ポリアルキレンテレフタレート系樹脂の数平均分子量は、特に制限されず、例えば、5×103〜100×104、好ましくは1×104〜70×104、さらに好ましくは1.2×104〜30×104程度の範囲から選択できる。
【0017】
ポリアルキレンテレフタレート系樹脂は、慣用の方法、例えば、アルキレングリコールとテレフタル酸とを用いたエステル交換反応や直接エステル化法などにより製造できる。
【0018】
[難燃剤]
本発明の難燃剤は、ホスファゼン化合物(環状フェノキシホスファゼン化合物、鎖状フェノキシホスファゼン化合物、架橋フェノキシホスファゼン化合物など)とフェノール系樹脂とで構成されている。ホスファゼン化合物とフェノール系樹脂とで難燃剤を構成すると、ポリアルキレンテレフタレート系樹脂を機械的特性の低下なく高度に難燃化できる。
【0019】
環状フェノキシホスファゼン化合物としては、下記式(1)で表される化合物が挙げられる。
【化7】
(式中、mは3〜25の整数を示す。Phはフェニル基を示す。)
【0020】
鎖状フェノキシホスファゼン化合物としては、下記式(2)で表される化合物が含まれる。
【化8】
[式中、X1は基−N=P(OPh)3又は基−N=P(O)OPhを示し、Y1は基−P(OPh)4又は基−P(O)(OPh)2を示す。nは3〜10,000の整数を示す。Phは前記式(1)と同様である。]
【0021】
架橋ホスファゼン化合物としては、前記環状フェノキシホスファゼン化合物(1)及び鎖状フェノキシホスファゼン化合物(2)から選ばれた少なくとも1種のフェノキシホスファゼン化合物が、二価の架橋基で架橋された化合物が挙げられる。なお、前記架橋基で一組のフェノキシホスファゼン化合物を架橋する場合、一組のPh基に代えて、二価の架橋基が導入されている。
【0022】
二価の架橋基には、フェニレン基(o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基)、下記式(3a)で表されるビスフェニレン基などが含まれる。なお、これら架橋基は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【化9】
[式中、Aは−C(CH3)2−、−SO2−、−S−又は−O−を示す。aは0又は1を示す。]
【0023】
架橋基の割合は、フェニル基換算で、フェノキシホスファゼン化合物(1)、(2)中の全フェニル基の総数を基準に0.1〜50モル%程度である。
【0024】
なお、架橋フェノキシホスファゼン化合物は、分子内に遊離の水酸基を実質的に含んでいないのが好ましい。
【0025】
これらホスファゼン化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0026】
式(1)及び(2)で表される環状及び鎖状フェノキシホスファゼン化合物は、例えば、H.R.Allcock著,”Phosphorus-Nitrogen Compounds”, Academic Press,(1972)、 J.E.Mark, H.R.Allcock, R.West著,”Inorganic Polymers”, Prentice-Hall International, Inc.,(1992)等に記載されている方法で合成することができる。
【0027】
例えば、塩化リン(三塩化リン、五塩化リンなど)と、塩化アンモニウムと、必要に応じて塩素(特に、塩化リンとして三塩化リンを用いる場合)とを、塩素系溶媒中(クロロベンゼン、テトラクロロエタンなど)で反応することにより、式(1)のOPh基が塩素原子(Cl)で置換されかつmが3〜25の整数で表される化合物(環状ジクロロホスファゼンオリゴマー)と、式(2)のOPh基が塩素原子で置換されかつnが3〜25の整数で表される化合物(鎖状ジクロロホスファゼンオリゴマー)との混合物が得られる。このジクロロホスファゼンオリゴマー混合物の塩素原子を、アルカリ金属フェノラート(ナトリウムフェノラートなど)を用いて、フェノールで置換することにより、式(1)及び(2)で表される環状及び鎖状フェノキシホスファゼン化合物を得ることができる。
【0028】
塩化リンと塩化アンモニウムとの反応の反応温度は、例えば、120〜130℃程度である。
【0029】
ジクロロホスファゼンオリゴマー混合物は、必要に応じて、精製(蒸留、再結晶など)や重合(環状ジクロロホスファゼンオリゴマーの開環重合)してもよい。ジクロロホスファゼンオリゴマー混合物を精製することにより、環状のジクロロホスファゼンの単一物(ヘキサクロロシクロトリホスファゼン、オクタクロロシクロテトラホスファゼン、デカクロロシクロペンタホスファゼンなど)を取り出すことができる。このため、この単一物をフェノールで置換することにより、ヘキサフェノキシシクロトリホスファゼン、オクタフェノキシシクロテトラホスファゼン、デカフェノキシシクロペンタホスファゼン等の環状フェノキシホスファゼン化合物を得ることができる。
【0030】
一方、環状ジクロロホスファゼンオリゴマーを開環重合すると、式(2)のOPh基が塩素原子で置換されかつnが3〜10,000の整数で表される化合物が得られる。このため、この化合物をフェノールで置換することにより、式(2)で表される鎖状フェノキシホスファゼン化合物を得ることができる。
【0031】
環状ジクロロホスファゼンオリゴマーの開環重合は、例えば、220〜250℃に加熱することにより行うことができる。
【0032】
架橋フェノキシホスファゼン化合物は、前記環状ホスファゼン化合物(1)や鎖状ホスファゼン化合物(2)の製造方法において、ジクロロホスファゼンオリゴマーの塩素原子をフェノールのアルカリ金属塩で全置換する代わりに、塩素原子を芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ金属塩で部分置換(架橋)することにより製造できる。
【0033】
ジクロロホスファゼンオリゴマーは、特に制限されず、環状ジクロロホスファゼンオリゴマーと直鎖状ジクロロホスファゼンオリゴマーとの混合物として用いてもよく、また、各々単独で用いてもよい。反応の順序も特に制限されず、例えば、フェノールのアルカリ金属塩と芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ金属塩とを混合して反応に供してもよく、フェノールのアルカリ金属塩を反応させ、更に芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ金属塩を反応させてもよく、またその逆の順序であってもよい。
【0034】
より好ましくは、前記ジクロロホスファゼン化合物(環状ジクロロホスファゼンオリゴマー、鎖状ジクロロホスファゼンオリゴマーなど)と、フェノールのアルカリ金属塩と、芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ金属塩とを反応することにより(第一段目の反応)、ジクロロホスファゼン化合物の塩素原子のうち、一部がフェノールで置換され、一部が芳香族ジヒドロキシ化合物で置換され、一部が塩素原子のまま残存した部分置換体を得る。次いで、この部分置換体とフェノールのアルカリ金属塩とを反応させることにより(第二段目の反応)、架橋フェノキシホスファゼン化合物を得ることができる。このようにして得られた架橋フェノキシホスファゼン化合物では、芳香族ジヒドロキシ化合物のヒドロキシル基が全てジクロロホスファゼン化合物と反応しているため、実質的に遊離の水酸基が残存していない。
【0035】
芳香族ジヒドロキシ化合物としては、分子内に1又は2個以上のベンゼン環を有し、かつ2個のヒドロキシル基を有する化合物、より具体的には、前記架橋基(o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基、式(3a)で表される基)を有する化合物が使用できる。好ましい芳香族ジヒドロキシ化合物には、レゾルシノール、ハイドロキノン、カテコール、4,4’−イソプロピリデンジフェノール(ビスフェノール−A)、4,4’−スルホニルジフェノール(ビスフェノール−S)、4,4’−チオジフェノール、4,4’−オキシジフェノール、4,4’−ジフェノール等を挙げることができる。芳香族ジヒドロキシ化合物は、1種を単独で使用、又は2種以上を併用することができる。
【0036】
アルカリ金属塩を構成するアルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム、リチウムなど、好ましくはナトリウム、リチウムが例示できる。
【0037】
第一段目の反応において、フェノールのアルカリ金属塩及び芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ金属塩の使用量は、合計量で、ジクロロホスファゼンオリゴマーの塩素量を基準として、通常、0.05〜0.9当量程度、好ましくは0.1〜0.8当量程度である。アルカリ金属塩の使用量が0.05当量より小さいと、架橋の程度が不十分になる。一方、使用量が0.9当量より大きくなると、架橋フェノキシホスファゼン化合物に、遊離の水酸基(ジヒドロキシ化合物の片端ヒドロキシル基)が導入される。
【0038】
芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ金属塩とフェノールのアルカリ金属塩との割合は特に制限されず、広い範囲から適宜選択でき、通常、前者/後者=1/2000〜1/4(モル比)程度である。前記割合が1/2000より著しく小さいと、架橋の程度が不十分である。一方、前記割合が1/4より大幅に大きくなると、架橋が進みすぎて、架橋フェノキシホスファゼン化合物の溶解性や融解性が低下し、樹脂への分散性が不十分になる。
【0039】
第一段目及び第二段目の反応は、溶媒(ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、クロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素類等)中で行ってもよい。
【0040】
また、反応温度は、通常、室温(例えば、15〜30℃程度)〜150℃程度である。
【0041】
第二段目の反応において、フェノールのアルカリ金属塩の使用量は、ジクロロホスファゼンオリゴマーの塩素量を基準として、通常1〜1.5当量程度、好ましくは1〜1.2当量程度である。
【0042】
ホスファゼン化合物の割合は、ポリアルキレンテレフタレート系樹脂100重量部に対して、例えば、1〜40重量部、好ましくは1〜30重量部程度、さらに好ましくは5〜25重量部程度である。
【0043】
フェノール系樹脂としては、フェノール残基を構成単位とする種々の樹脂が使用でき、例えば、ノボラック樹脂、アラルキル樹脂、ポリビニルフェノール系樹脂などが挙げられる。
【0044】
ノボラック樹脂としては、フェノール類(フェノール、クレゾール、エチルフェノール、プロピルフェノール、ブチルフェノール、オクチルフェノールなどのC1-10アルキル基が置換したフェノール;シアノフェノールなど)とアルデヒド類(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒドなど、特にホルムアルデヒド)との反応(縮合反応)から得られるフェノールノボラック樹脂が含まれる。
【0045】
前記フェノール類とアルデヒド類との縮合反応は、無機酸(塩酸、硫酸など)や有機酸(p−トルエンスルホン酸、シュウ酸など)などの酸触媒の存在下で行ってもよく、触媒の非存在下で行ってもよい。フェノール類とアルデヒド類との割合は、前者/後者=1/0.6〜1/1(モル比)程度である。
【0046】
前記フェノールノボラック樹脂には、フェノール性水酸基に対してメチレン結合がランダムであるランダムフェノールノボラック樹脂、フェノール水酸基に対してオルソ位でのメチレン結合が多いハイオルソフェノールノボラック樹脂(例えば、オルソ/パラ比が1以上の樹脂)、トリアジン類(例えば、メラミン、ベンゾグアナミンなど)で変性された(例えば、トリアジン類とフェノールノボラック樹脂との共縮合により得られた)トリアジン類変性フェノールノボラック樹脂なども含まれる。さらに遊離モノマー成分及び/又は2核体(ダイマー)成分の含有量が少ないフェノールノボラック樹脂[例えば、遊離モノマー及び2核体成分の総量が、樹脂全体の20重量%以下(例えば、0〜20重量%程度)、好ましくは10重量%以下(例えば、0〜10重量%程度)、さらに好ましくは5重量%以下(例えば、0〜5重量%程度)の樹脂など]も好ましい。
【0047】
アラルキル樹脂には、前記ノボラック樹脂の項で例示したフェノール類とアラルキル類(キシリレンユニットを有する反応性化合物、例えば、p−キシリレングリコール、α,α’−ジメトキシ−p−キシレンなどのキシリレングリコール又はその誘導体;α,α’−ジクロロ−p−キシレンなどのα,α’−ジハロ−p−キシレンなど)との反応から得られるフェノールアラルキル樹脂が含まれる。
【0048】
ポリビニルフェノール系樹脂には、ビニルフェノールの単独重合体、ビニルフェノールと他の共重合性モノマー[例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどのスチレン類;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルなどの(メタ)アクリル酸又はその誘導体(エステル、酸アミドなど)、(メタ)アクリロニトリルなど]との共重合体が含まれる。
【0049】
フェノール系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。好ましいフェノール系樹脂は、フェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ビニルフェノールの単独又は共重合体などである。
【0050】
なお、フェノール系樹脂のフェノール性水酸基は、必要に応じてその一部又は全部が、ホウ酸、ホウ酸エステル、リン酸、リン酸エステルなどで変性されていてもよい。
【0051】
フェノール系樹脂の数平均分子量は、特に制限されず、例えば、300〜5×104程度、好ましくは300〜1×104程度、さらに好ましくは300〜8,000程度の範囲から選択できる。
【0052】
これら難燃剤に用いるフェノール系樹脂の割合は、例えば、ポリアルキレンテレフタレート系樹脂100重量部に対して、1〜40重量部程度、好ましくは1〜30重量部程度、さらに好ましくは3〜25重量部程度(特に、5〜20重量部程度)である。
【0053】
また、難燃剤中のホスファゼン化合物とフェノール系樹脂との割合は、例えば、前者/後者=5/95〜95/5(重量比)程度、好ましくは20/80〜80/20(重量比)程度、さらに好ましくは30/70〜70/30(重量比)程度である。
【0054】
本発明の難燃剤は、フェノール系樹脂を含有しているため、ポリアルキレンテレフタレート系樹脂の分子量や機械的特性(強度、耐衝撃性など)の低下を抑制しながら、ポリアルキレンテレフタレート系樹脂を難燃化できる。特に、ホスファゼン化合物をフェノール系樹脂と組み合わせて用いると、ホスファゼン化合物単独で用いる場合に比べて、ポリアルキレンテレフタレート系樹脂を高度に難燃化できる。また、前記難燃剤は、ハロゲンを含有していないため、分解又は燃焼する際に、有毒ガスであるハロゲン化水素を発生する虞がなく、また、樹脂成形時に金型の腐食や樹脂の劣化を起こす虞がない。
【0055】
樹脂組成物中の難燃剤の割合は、ポリアルキレンテレフタレート系樹脂の特性を損わない限り特に制限されず、ポリアルキレンテレフタレート系樹脂100重量部に対して、難燃剤1〜100重量部、好ましくは5〜90重量部(例えば、5〜80重量部)程度、さらに好ましくは10〜80重量部(例えば、20〜60重量部)程度である。難燃剤が1重量部未満では、難燃化が困難であり、100重量部を超えると、樹脂組成物から得られる成形体の機械的強度や成形性を低下させる。
【0056】
本発明のポリアルキレンテレフタレート系樹脂組成物は、必要に応じて、他の難燃剤、炭化性樹脂、添加剤[例えば、ドリッピング防止剤、酸化防止剤、安定剤(熱安定剤など)など]を含んでいてもよい。他の難燃剤の含有量は、ポリアルキレンテレフタレート系樹脂100重量部に対して、0〜50重量部、好ましくは1〜30重量部、さらに好ましくは3〜20重量部程度である。また、炭化性樹脂の含有量は、ポリアルキレンテレフタレート系樹脂100重量部に対して、0〜100重量部程度、好ましくは1〜80重量部程度、さらに好ましくは10〜60重量部程度であってもよい。添加剤の含有量は、ポリアルキレンテレフタレート系樹脂100重量部に対して、例えば、0.01〜20重量部、好ましくは、0.1〜10重量部程度である。
【0057】
他の難燃剤としては、窒素含有難燃剤[メラミン、グアナミンなどのアミノトリアジン類;メラム、メレムなどのメラミン縮合物;メラミンシアヌレート、グアナミンシアヌレートなどのアミノトリアジン類のシアヌレート;ピロリン酸又はポリリン酸のトリアジン誘導体との塩(メラミン塩、メラム塩、メレム塩、メラミン・メラム・メレム複塩など)など]、有機リン系難燃剤[リン酸エステル系難燃剤、例えば、リン酸エステル(トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェートなど);ポリリン酸エステル(芳香族環を有するポリリン酸エステル、例えば、ハイドロキノンビス(ジフェニルホスフェート)、ハイドロキノンビス(ジクレジルホスフェート)、ハイドロキノンビス(ジキシリルホスフェート)、ビフェノールビス(ジキシリルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジクレジルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジキシリルホスフェート)、ビスフェノール−Aビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノール−Aビス(ジクレジルホスフェート)、ビスフェノール−Aビス(ジキシリルホスフェート)など]、無機リン系難燃剤(樹脂などで被覆されていてもよい赤リン、リン酸塩など)、硫黄含有難燃剤、ケイ素含有難燃剤((ポリ)オルガノシロキサンなど)、ホウ素含有難燃剤(含水ホウ酸亜鉛など)、無機系難燃剤(金属酸化物、金属水酸化物など)などが挙げられる。これらの他の難燃剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0058】
炭化性樹脂としては、芳香族環を有する樹脂が挙げられる。このような芳香族環樹脂には、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、芳香族エポキシ樹脂(ビスフェノール−A型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂など)、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂などが例示できる。これら炭化性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0059】
前記他の難燃剤(窒素含有難燃剤、リン酸エステル系難燃剤)及び/又は炭化性樹脂を前記特定の難燃剤と組み合わせて用いると、ポリアルキレンテレフタレート系樹脂の難燃性をより一層改善することも可能である。
【0060】
ドリッピング防止剤としては、フッ素含有モノマーの単独又は共重合体、又は他の共重合性モノマーとの共重合体などのフッ素系樹脂、層状ケイ酸塩などが挙げられる。このようなフッ素系樹脂には、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体などが例示できる。
【0061】
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]など)、アミン系酸化防止剤(ナフチルアミンなど)、リン系酸化防止剤(ホスファイト類(例えば、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなど)、ホスフォナイト類(例えば、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスフォナイト)など)などが挙げられる。
【0062】
熱安定剤としては、無機リン系安定剤、例えば、リン酸、亜リン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、第一リン酸アルカリ金属塩、第一リン酸アルカリ金属塩(第一リン酸ナトリウムなど)、第一リン酸アルカリ土類金属塩(第一リン酸カルシウムなど)などが挙げられる。
【0063】
また、本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、他の添加剤、例えば、滑剤、可塑剤、難燃助剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、帯電防止剤、分散剤、相溶化剤、抗菌剤などを含有していてもよい。
【0064】
また、樹脂組成物は、必要に応じて、充填剤(カオリン、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ミルドファイバー、各種金属箔、カーボン繊維など)を含有していてもよい。
【0065】
充填剤を用いる場合、難燃性樹脂組成物中の充填剤の割合は、例えば、1〜60重量%、好ましくは5〜50重量%、さらに好ましくは5〜45重量%程度である。
【0066】
また、充填剤を用いる場合、必要に応じて、収束剤又は表面処理剤を使用してもよい。このような収束剤又は表面処理剤としては、官能性化合物が含まれる。前記官能性化合物としては、例えば、エポキシ系化合物、シラン系化合物、チタネート系化合物などが挙げられる。
【0067】
本発明の樹脂組成物は、粉粒体混合物や溶融混合物であってもよく、ポリアルキレンテレフタレート系樹脂と、前記特定の難燃剤と、必要により他の難燃剤、炭化性樹脂、添加剤などとを慣用の方法で混合することにより調製できる。
【0068】
本発明の樹脂組成物は、溶融混練し、押出成形、射出成形、圧縮成形などの慣用の方法で成形できる。形成された成形品は、難燃性および成形加工性に優れているため、種々の用途に使用できる。例えば、電気・電子部品、機械機構部品、自動車部品などに好適に用いることができる。
【0069】
【発明の効果】
本発明では、特定のホスファゼン化合物とフェノール系樹脂とを組み合わせた難燃剤を用いるため、ハロゲン系難燃剤を使用することなく、ポリアルキレンテレフタレート系樹脂を難燃化できる。特に本発明では、難燃化された後であってもポリアルキレンテレフタレート系樹脂の特性が低下することがなく、ポリアルキレンテレフタレート系樹脂を高度に難燃化できる。
【0070】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0071】
実施例及び比較例では、下記のポリアルキレンテレフタレート系樹脂、難燃剤(ホスファゼン化合物、フェノール系樹脂)、および必要に応じて、他の難燃剤、炭化性樹脂、添加剤(酸化防止剤、熱安定剤、ドリッピング防止剤)や充填剤を使用した。
【0072】
[ポリアルキレンテレフタレートA]
A−1:ポリブチレンテレフタレート[ジュラネックス、固有粘度=1.0、ポリプラスチックス(株)製]
A−2:ポリブチレンテレフタレート[ジュラネックス、固有粘度=0.75、ポリプラスチックス(株)製]
A−3:ポリエチレンテレフタレート(ベルペット EFG10、鐘紡(株)製)
【0073】
[ホスファゼン化合物B]
B−1〜B−5:下記合成例1〜5により得られたフェノキシホスファゼン化合物
【0074】
[フェノール系樹脂C]
C−1:ノボラック樹脂[タマノル759、荒川化学工業(株)製]
C−2:ノボラック樹脂[スミライトレジンPR−53195(遊離モノマー成分:0.3重量%,2核体成分:17重量%)、住友デュレズ(株)製]
C−3:ノボラック樹脂[スミライトレジンPR−53647(遊離モノマー成分:0.03重量%,2核体成分:1.6重量%)、住友デュレズ(株)製]
C−4:フェノールアラルキル樹脂[ミレックスXL−225,三井化学(株)製]
C−5:ポリビニルフェノール[マルカリンカーMS−1P,丸善石油化学(株)製]
C−6:ノボラック樹脂
【0075】
フェノール500重量部、37%ホルマリン225重量部及びシュウ酸5重量部を3時間還流反応させた後、常圧及び減圧下で蒸留を行い、ノボラック型フェノール樹脂350重量部を得た。得られた樹脂のGPC測定により、遊離モノマー成分は0.3重量%であり、2核体成分は21重量%であった。
【0076】
[他の難燃剤D]
D−1:メラミンシアヌレート[MC610、日産化学工業(株)製]
D−2:レゾルシノールビス(ジキシリルホスフェート)[PX200,大八化学工業(株)製]
D−3:ポリリン酸メラム[PMP200,日産化学工業(株)製]
【0077】
[炭化性樹脂E]
E−1:ポリカーボネート[パンライトL1225、帝人化成(株)製]
E−2:ビスフェノール−A型エポキシ樹脂[エピコート1004K,油化シェルエポキシ(株)製]
【0078】
[酸化防止剤/熱安定剤F]
F−1:ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート][イルガノックス1010、チバガイギー(株)製]
F−2:ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト[アデカスタブPEP36、アデカアーガス(株)製]
F−3:テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスフォナイト[サンドスタブP−EPQ、サンド(株)製]
F−4:第一リン酸カルシウム
【0079】
[ドリッピング防止剤G]
G−1:ポリテトラフルオロエチレン
【0080】
[充填剤H]
H−1:ガラス繊維(直径13μm、長さ3mmのチョップドストランド)
H−2:ガラス繊維(直径10μm、長さ3mmのチョップドストランド)
【0081】
合成例1(環状フェノキシホスファゼン化合物(B−1)の合成)
参考:H.R.Allcock著, ”Phosphorus-Nitrogen Compounds”, Academic Press,(1972)
【0082】
ジクロロホスファゼンオリゴマー(3量体62重量%、4量体38重量%の混合体)1.0ユニットモル(115.9g)を含む20重量%クロロベンゼン溶液580gに、撹拌下、ナトリウムフェノラートのトルエン溶液を添加し、110℃で4時間反応することにより、環状のフェノキシホスファゼン化合物を得た。精製後の加水分解塩素は0.08重量%であった。
【0083】
合成例2(フェノキシホスファゼン化合物(B−2)の合成)
攪拌機、温度計及び還流冷却器を備えた1リットル四つ口フラスコにフェノール1.3モル(123.0g)と、テトラヒドロフラン500mLとを加え、均一に溶解した。次いで、25℃以下で金属ナトリウム27.6gを投入し、投入後、61℃〜68℃で6時間撹拌を続けることによりナトリウムフェノラート溶液を調製した。
【0084】
0.5ユニットモル(58g)のジクロロホスファゼンオリゴマー(3量体59重量%、4量体12重量%、5量体及び6量体11重量%、7量体3重量%、8量体以上15重量%の混合体)を含む20重量%クロロベンゼン溶液290gが入った2リットル四つ口フラスコに、25℃以下で撹拌しながら前記ナトリウムフェノラート溶液を滴下した。滴下後、71〜73℃で15時間撹拌反応した。反応終了後、反応混合物を濃縮し、500mLのクロロベンゼンに再溶解した後、5重量%NaOH水での洗浄を三回、5重量%硫酸での洗浄、5重量%重曹水での洗浄、水洗を二回行い、濃縮乾固して淡黄色のワックス状物108gを得た。
【0085】
生成物のGPC分析による重量平均分子量(Mw)はポリスチレン換算で810であり、TG/DTA分析による融解温度は103℃、分解開始温度は330℃、5%重量減少温度は347℃であった。また、残存塩素量(加水分解塩素:Hy−Cl)は0.09重量%であり、燐並びにCHN元素分析値より、以下の化合物であることを確認した。
[N=P(−OPh)2]n
合成例3(メタフェニレンによる架橋構造を有するフェノキシホスファゼン化合物(B−3)の合成)
【0086】
1.1モル(103.5g)のフェノール、1.1モル(44.0g)の水酸化ナトリウム、水50g及びトルエン500mLの混合物を加熱還流し、水のみを系外に取り除くことにより、ナトリウムフェノラートのトルエン溶液を調製した。
【0087】
前記反応と並行し、2リットル四つ口フラスコ中で、0.15モル(16.5g)のレゾルシノール、1.0モル(94.1g)のフェノール、1.3モル(31.1g)の水酸化リチウム、水52g及びトルエン600mLの混合物を加熱還流し、水のみを系外に取り除くことにより、レゾルシノールとフェノールのリチウム塩のトルエン溶液を調製した。このトルエン溶液に、撹拌下、30℃以下で、ジクロロホスファゼンオリゴマー(3量体62重量%、4量体12重量%、5量体及び6量体11重量%、7量体3重量%、8量体以上12重量%の混合体)1.0ユニットモル(115.9g)を含む20重量%クロロベンゼン溶液580gを滴下し、110℃で3時間撹拌反応した。この反応混合物に、前記ナトリウムフェノラートのトルエン溶液を添加し、110℃で4時間反応を継続した。
【0088】
反応終了後、反応混合物を3重量%水酸化ナトリウム水溶液1.0Lで3回洗浄し、次に、水1.0Lで3回洗浄した後、有機層を減圧下で濃縮した。得られた生成物を80℃、400Pa以下で11時間加熱真空乾燥して、209gの白色粉末を得た。
【0089】
得られた架橋フェノキシホスファゼン化合物の加水分解塩素は0.08重量%、重量平均分子量(Mw)はポリスチレン換算(GPC分析による)で1080であり、リン含有率並びにCHN元素分析値より最終物の組成は、[N=(−O−m−Ph−O−)0.15(−O−Ph)1.7]であった。TG/DTA分析では明確な融点は示さず、分解開始温度は304℃、5%重量減少温度は311℃であった。また、アセチル化法によって残存ヒドロキシル基の定量を行った結果、検出限界(サンプル1g当たりのヒドロキシ当量として:1×10-6当量/g以下)以下であった。
【0090】
合成例4(2,2−ビス(p−オキシフェニル)イソプロピリデン基による架橋構造を有するフェノキシホスファゼン化合物(B−4)の合成)
【0091】
フェノール0.7モル(65.9g)及びトルエン500mLが入った1リットル四つ口フラスコに、撹拌下、内部の液温を25℃に保ちつつ、細かく裁断した金属ナトリウム0.65グラム原子(14.9g)を投入した。投入後77℃〜113℃で金属ナトリウムが完全に消失するまで8時間撹拌を継続した。
【0092】
前記反応と並行し、ビスフェノール−A 0.25モル(57.1g)、フェノール1.1モル(103.5g)及びテトラヒドロフラン(THF)800mLが入った3リットル四つ口フラスコに、撹拌下、内部の液温を25℃以下に保ちつつ、細かく裁断した金属リチウム1.6グラム原子(11.1g)を投入した。投入後、61℃〜68℃で金属リチウムが完全に消失するまで、8時間撹拌を継続した。このスラリー溶液に、撹拌下、内部の液温を20℃以下に保ちつつ、ジクロロホスファゼンオリゴマー(濃度:37重量%、クロロベンゼン溶液313g、組成:3量体75重量%、4量体17重量%、5量体及び6量体6重量%、7量体1重量%、8量体以上1重量%の混合体)1.0ユニットモル(115.9g)を1時間かけて滴下し、80℃で2時間反応した。次いで撹拌下、内部の液温を20℃に保ちつつ、別途調製した前記ナトリウムフェノラート溶液を1時間かけて添加し、80℃で5時間反応をした。
【0093】
反応終了後、反応混合物を濃縮してTHFを除き、新たにトルエン1Lを添加した。このトルエン溶液を2重量%NaOH水溶液1Lで3回洗浄、次に水1.0Lで3回洗浄した後、有機層を減圧下で濃縮した。得られた生成物を80℃、400Pa以下で11時間加熱真空乾燥して、229gの白色粉末を得た。
【0094】
上記で得られた架橋フェノキシホスファゼン化合物の加水分解塩素は0.07重量%、リン含有率並びにCHN元素分析値より最終物の組成は、[N=P(−O−Ph−C(CH3)2−Ph−O−)0.25(−O−Ph)1.50]であった。重量平均分子量(Mw)はポリスチレン換算(GPC分析による)で1130であり、TG/DTA分析では明確な融点は示さず、分解開始温度は308℃、5%重量減少温度は313℃であった。また、アセチル化法によって残存ヒドロキシル基の定量を行った結果、検出限界(サンプル1g当たりのヒドロキシ当量として:1×10-6当量/g以下)以下であった。
【0095】
合成例5(4,4’−スルホニルジフェニレン(ビスフェノール−S残基)による架橋構造を有するフェノキシホスファゼン化合物(B−5)の合成)
【0096】
フェノール0.4モル(37.6g)及びTHF500mLが入った1リットル四つ口フラスコに、撹拌下、内部の温度を25℃に保ちつつ、細かく裁断した金属ナトリウム0.4グラム原子(9.2g)を投入した。投入終了後65℃〜72℃で金属ナトリウムが完全に消失するまで5時間撹拌を続けた。
【0097】
前記反応と並行し、フェノール1.70モル(160.0g)とビスフェノール−S 0.05モル(12.5g)とのテトラヒドロフラン(THF)500mL溶液が入った1リットルの四つ口フラスコに、25℃以下で金属ナトリウム1.8グラム原子(41.4g)を投入した。投入後、1時間かけて61℃まで昇温し、61〜68℃で6時間撹拌を継続し、ナトリウムフェノラート混合溶液を調製した。この溶液をジクロロホスファゼンオリゴマー(3量体62重量%、4量体12重量%、5量体及び6量体11重量%、7量体3重量%、8量体以上12重量%の混合体)1.0ユニットモル(115.9g)を含む20重量%クロロベンゼン溶液580gに、撹拌下、25℃以下に冷却しながら滴下し、71〜73℃で5時間撹拌反応した。次いで、先に調製した前記ナトリウムフェノラート混合溶液を滴下し、71〜73℃で3時間反応を継続した。
【0098】
反応終了後、反応混合物を濃縮し、クロロベンゼン500mLに再溶解し、5重量%NaOH水での洗浄を3回、5重量%硫酸での洗浄、5重量%重曹水での洗浄、水洗を3回行い、濃縮乾固して淡黄色のワックス状物218gを得た。
【0099】
上記で得られた架橋フェノキシホスファゼン化合物の加水分解塩素は0.01重量%以下であり、リン含有率並びにCHN元素分析値より、この物の組成はほぼ[N=P(−O−Ph−SO2−Ph−O−)0.05(−O−Ph)1.90]と決定した。重量平均分子量(Mw)はポリスチレン換算で1080であり、TG/DTA分析による融解温度は103℃、分解開始温度は320℃、5%重量減少温度は334℃であった。また、アセチル化法によって残存ヒドロキシル基の定量を行った結果、検出限界(サンプル1g当たりのヒドロキシ当量として:1×10-6当量/g以下)以下であった。
【0100】
参考例1〜12、14〜15、実施例13及び比較例1〜11
ポリアルキレンテレフタレートAに、ホスファゼン化合物B、フェノール系樹脂C、他の難燃剤D、炭化性樹脂E、酸化防止剤/熱安定剤F、ドリッピング防止剤G、充填剤Hなどを表1〜表2の割合で混合し、ラボプラストミル(東洋精機(株)製)を用いて240℃(参考例1〜6、8〜9、実施例13、参考例14〜15及び比較例1〜8、10の場合)又は270℃(ポリカーボネートを添加した参考例7及び比較例9の場合;ポリエチレンテレフタレートを添加した参考例10〜12及び比較例11の場合)で5分間混練し、組成物を得た。このポリアルキレンテレフタレート系樹脂組成物を小型成形機で射出成形し、燃焼試験用の成形品(77mm×9.5mm×3mm)を作製し、UL94に準拠して燃焼性を評価した。
【0101】
結果を表1〜表4に示す。
【0102】
【表1】
【0103】
【表2】
【0104】
【表3】
【0105】
【表4】
【0106】
表1〜表4から明らかなように、実施例のポリアルキレンテレフタレートは、高度に難燃化されている。
【0107】
実施例16、18〜19、参考例17及び比較例12
ポリアルキレンテレフタレートAに、ホスファゼン化合物B、フェノール系樹脂C、他の難燃剤D、炭化性樹脂E、酸化防止剤/熱安定剤F、ドリッピング防止剤G、充填剤Hなどを表5の割合で混合し、30φ2軸押出機(日本製鋼(株)製 TEX30)を用いて押出し、ペレット状組成物を調製した。次いで、80t成型機を用いて、得られたペレット状組成物から各種試験用の成形品を作製し、燃焼性、物性(引張特性)、及び成形時の臭気について下記のように評価した。
【0108】
(燃焼性)
UL94に準じ、厚み1.6mmの試験片を用いて燃焼性を評価した。
【0109】
(機械特性)
射出成形により得た試験片を用い、ASTM D−638及びASTM D−790に準拠して機械特性を測定した。
【0110】
(成形時の臭気評価)
下記の3段階の基準により評価した。
○:芳香臭がほとんど無い
△:芳香臭が僅かにある
×:芳香臭が著しい
結果を表5に示す。
【0111】
【表5】
【0112】
表5から明らかなように、実施例のポリアルキレンテレフタレートは、優れた物性を保持しつつ、高度に難燃化されている。また、成形時における臭気も少なく良好であり、作業環境性に優れている。
Claims (11)
- ホスファゼン化合物、フェノール系樹脂及び窒素含有難燃剤を含有する難燃剤と、ポリアルキレンテレフタレート系樹脂とで構成された組成物であって、
前記フェノール系樹脂が、遊離モノマー及び2核体成分の総量が、樹脂全体の10重量%以下のフェノールノボラック樹脂であり、
前記窒素含有難燃剤が、メラミン又はその誘導体のシアヌレート、及びピロリン酸又はポリリン酸とトリアジン誘導体との塩から選択された少なくとも1種であり、
前記ホスファゼン化合物が、下記の(1)環状フェノキシホスファゼン化合物、(2)鎖状フェノキシホスファゼン化合物、及び(3)架橋フェノキシホスファゼン化合物から選ばれた少なくとも一種であり、かつ
前記ホスファゼン化合物と前記フェノール系樹脂との割合が、前者/後者=20/80〜80/20(重量比)である難燃性樹脂組成物。
(1)環状フェノキシホスファゼン化合物
(式中、mは3〜25の整数を示す。Phはフェニル基を示す。)
(2)鎖状フェノキシホスファゼン化合物
[式中、X1は基−N=P(OPh)3又は基−N=P(O)OPhを示し、Y1は基−P(OPh)4又は基−P(O)(OPh)2を示す。nは3〜10,000の整数を示す。Phは前記式(1)と同様である。]
(3)架橋フェノキシホスファゼン化合物
前記環状フェノキシホスファゼン化合物(1)及び鎖状フェノキシホスファゼン化合物(2)から選ばれた少なくとも1種のフェノキシホスファゼン化合物が、o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基及び式(3a)
[式中、Aは−C(CH3)2−、−SO2−、−S−又は−O−を示す。aは0又は1を示す。]で表されるビスフェニレン基から選ばれた少なくとも1種の架橋基で架橋された化合物であって、この架橋基の割合が、フェニル基換算で、フェノキシホスファゼン化合物(1)、(2)中の全フェニル基の総数を基準に0.1〜50モル%である化合物 - ポリアルキレンテレフタレート系樹脂が、ポリエチレンテレフタレート系樹脂又はポリブチレンテレフタレート系樹脂である請求項1記載の組成物。
- フェノール系樹脂が、遊離モノマー及び2核体成分の総量が、樹脂全体の5重量%以下のフェノールノボラック樹脂である請求項1又は2記載の組成物。
- 難燃剤の割合が、ポリアルキレンテレフタレート系樹脂100重量部に対して、1〜100重量部である請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
- ホスファゼン化合物とフェノール系樹脂との割合が、前者/後者=30/70〜70/30(重量比)であり、難燃剤の割合が、ポリアルキレンテレフタレート系樹脂100重量部に対して、5〜90重量部である請求項1〜4のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
- さらに、リン酸エステル系難燃剤及び炭化性樹脂から選択された少なくとも一種を含む請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
- リン酸エステル系難燃剤が、リン酸エステル及びポリリン酸エステルから選択された少なくとも一種である請求項6記載の組成物。
- 炭化性樹脂が、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、芳香族エポキシ樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、及びポリフェニレンスルフィド系樹脂から選択された少なくとも一種である請求項6記載の組成物。
- さらに、酸化防止剤、熱安定剤、ドリッピング防止剤及び充填剤から選ばれた少なくとも一種を含む請求項1〜8のいずれかに記載の組成物。
- ポリアルキレンテレフタレート系樹脂と請求項1記載の難燃剤とを混合する難燃性樹脂組成物の製造方法。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物で形成された成形体。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2001548614A JP4951182B2 (ja) | 1999-12-27 | 2000-12-25 | 難燃性樹脂組成物 |
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