JP4951773B2 - マスクメロンCucumisMeloヒドロペルオキシドリアーゼ及びその使用 - Google Patents
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Description
発明の背景
発明の分野
本発明は、9−ヒドロペルオキシド基質に対する活性を有し、かつマスクメロン(Cucumis melo)中に存在する脂肪酸ヒドロペルオキシドリアーゼタンパク質及び該タンパク質をコードする遺伝子に関する。また本発明はヒドロペルオキシドリアーゼを発現するための措置及び有機合成の分野においてリアーゼを使用する方法に関する。
【0002】
背景技術
植物は特定の植物の特徴的なフレーバー及び臭いをもたらす種々の揮発性化合物を産生する。リノール酸及びリノレン酸のような不飽和脂肪酸はフレーバー化合物、例えばn−ヘキサナール、ヘキサン−1−オール、2(E)−ヘキセン−1−アール、2(E)−ヘキセン−1−オール、3(Z)−ヘキセン−1−アール、3(Z)−ヘキセン−1−オール(ピポールとしても知られる)、3−(Z)−ノネナール、(3Z,6Z)−ノナジエナール、3−(Z)−ノネノール、(3Z,6Z)−ノナジエノール、2−(E)−ノネナール、(2E,6Z)−ノナジエナール、2−(E)−ノネノール及び(2E,6Z)−ノナジエノールの前駆体である。これらの化合物はフレーバー、特に果実フレーバーにおいて広範に使用され、かつ果実香気に関する香気工場によって使用される。これらのフレーバー化合物に対する需要は伝統的な起源からのそれらの供給を超えて成長しており、従ってこれらの材料を得るための代替の天然の経路を見いだす調査に努力が注がれている。
【0003】
これらのフレーバー化合物の合成は遊離の(多不飽和)脂肪酸、例えばリノール酸(9(Z),12(Z)−オクタデカジエン酸)及びα−リノレン酸(9(Z),12(Z),15(Z)−オクタデカトリエン酸)から出発する。天然では、これらの酸は細胞障害後に脂肪分解性酵素によって細胞膜から放出される。脂肪酸ヒドロペルオキシドはリポキシゲナーゼ(LOX)の作用によって形成され、引き続きヒドロペルオキシドリアーゼによって分解されて、ω−オキソ酸と一緒にC6〜9−揮発性フレーバー化合物が得られる。13−ヒドロペルオキシドの分解によってヘキサナール及び(3Z)−ヘキサナールを含むC6−化合物が得られ、かつ9−ヒドロペルオキシドの分解によってC9−化合物、(3Z)−ノネナール及び(3Z,6Z)−ノナジエナールが得られる。イソメラーゼの存在下に、これらのアルデヒドは(2E)−エナールに異性体化される。更にアルコールデヒドロゲナーゼは該アルデヒドをそれらの相応のアルコールに変換することができる。
【0004】
HPL酵素は研究が難しいことが判明している。それというのも該酵素は膜に結合し、かつ植物組織中に少量のみ存在するからである。HPL酵素はその基質特異性によって13−HPL又は9−HPLとして特徴付けられている。13−HPL酵素は最初はバナナ果実中で同定され(Tressl and Drawert, 1973)、かつ引き続きスイカ幼植物(Vick and Zimmerman, 1976)、リンゴ及びトマト果実(Schreier and Lorenz, 1982)、トマト葉(Fauconnier et al., 1997)、キュウリ幼植物(Matsui, et al, 1989)及びダイズ幼植物(Olias et al., 1990)を含む種々の多くの植物マテリアルにおいて研究された。13−HPL酵素は茶葉(Matsui et al., 1991)及び、より最近では青ピーマン果実(Shibata et al., 1995)、トマト葉(Fauconnier et al., 1997)、ヒマワリ(Itoh and Vick,1999)、グァバ(PCT出願、国際公開第9958648号明細書)及びバナナ(欧州特許出願、文献番号EP0801133A2)から精製されている。9−ヒドロペルオキシド特異的HPLは洋ナシ(Kim and Grosch, 1981)中に同定されている。9−ヒドロペルオキシド及び13−ヒドロペルオキシドの両方を分解する第3のタイプのHPLの存在を示唆する研究がなされている(Matsui et al. 1989; Hornostaj and Robinson, 1998)。
【0005】
リアーゼの粗製ソースは現在ではフレーバー及び香気の製造のための工業的方法で使用されている(例えば米国特許第5464761号明細書を参照のこと)。このプロセスにおいて、必要とされる基質の溶液は新鮮に製造されたダイズ粉をLOXのソースとして使用してリノール酸又はリノレン酸(ヒマワリ及びアマニ油からそれぞれ得られる)から製造される。この溶液を次いで新鮮に製造された果実全体のピューレをHPLの粗製ソースとして混合する。次いでアルデヒド生成物を蒸留によって単離する。アルコールが必要な場合には、新鮮なパン酵母をヒドロペルオキシド溶液に添加して、その後に果実ピューレと混合する。この酵母はHPLによって形成されるようなアルデヒドを還元する活性なアルコールデヒドロゲナーゼ酵素を有する。
【0006】
この工業的プロセスには幾つかの欠点がある。第1の欠点は大量の新鮮な果実を必要とすることである。かかる必要量は、前記プロセスを新鮮な果実が廉価にかつ無料で手に入る国で行う必要があることを意味する。かかる場所が見つかったとしても、その利用は果実の成長時期に限定される。
【0007】
第2の欠点は所望の酵素活性は使用されるソース中ではかなり希薄であるということである。このことは、比較的大量のダイズ粉、果実ピューレ及び酵母を該プロセスにおいて必要とすることを意味する。工業的生産のために必要な大量のこれらの粗製材料は達成できるフレーバー及び香気化合物の収率において物理的な制約がある。
【0008】
第3の欠点は大量のバッチ工程であり、これはその性質によってHPLの触媒活性が最大限に使用できず、比較的、研究所よりであり、かつ大量の残留有機物質をもたらす。残留有機物質は引き続きコンポストに輸送するか、又はさもなくば廃棄せねばならない。
【0009】
本発明はマスクメロン9−HPLの起源に関連する制限及び欠点を、精製された及び組み換えのマスクメロン9−HPLタンパク質、核酸、発現系及びその使用方法を提供することによって克服している。
【0010】
発明の要約
本発明は脂肪酸リアーゼ及び該リアーゼをコードする核酸を提供する。特に単離された脂肪酸ヒドロペルオキシドリアーゼを開示しており、その際、9−ヒドロペルオキシド基質に対するリアーゼの活性は13−ヒドロペルオキシド基質に対する活性よりも大きく、かつ9−ヒドロペルオキシリノレン酸に対するリアーゼのKm及びVmaxは9−ヒドロペルオキシリノール酸に関するリアーゼのKm及びVmaxよりも大きい。より特に、本発明はメロン(Cucumis melo)中に存在するリアーゼ及び該リアーゼをコードする核酸を提供する。また本発明は本発明の核酸を有するベクター並びに組み換えリアーゼを得ることができる発現系を提供する。
【0011】
また本発明は、(9S,10E,12Z)9−ヒドロペルオキシオクタデカ−10,12−ジエン酸又は(9S,10E,12Z,15Z)9−ヒドロペルオキシオクタデカ−10,12,15−トリエン酸をC9−アルデヒド及びC9−オキソノナン酸に分解する方法並びに(9Z,11E,13S)13−ヒドロペルオキシオクタデカ−9,11−ジエン酸又は(9Z,11E,13S,15Z)13−ヒドロペルオキシオクタデカ−9,11,15−トリエン酸をC6−アルデヒド及びC12−オキソカルボン酸に分解する方法を含む本発明のリアーゼを使用する方法を提供している。また、本発明は3−(Z)−ノネナール、(3Z,6Z)−ノナジエナール、2−(E)−ノネナール、(2E,6Z)−ノナジエナール又はそれらの相応のアルコールを、(9S,10E,12Z)9−ヒドロペルオキシオクタデカ−10,12−ジエン酸から製造する方法を提供する。
【0012】
図面の簡単な説明
図1は、グァバ−HPL、バナナ−HPL、トウガラシ−HPL、アラブ−AOS、アマ−AOS、グアユール−AOS、メロンAOS、及びメロン9−HPLのための全長のアミノ酸配列を示しており、高い度合いの同一性を有する領域は暗色のボックスに示し、コンセンサス配列は“majority”としてラベルした。
【0013】
図2AはメロンcDNA及び他のHPL及びAOSに基づく縮重プライマーが結合して、150bp及び70bpのメロンからクローニングされた生成物を生成する領域を示す図である。
【0014】
図2Bはグァバ−HPL、バナナ−HPL、トウガラシ−HPL、アラブ−AOS、アマ−AOS、グアユール−AOSからの部分アミノ酸配列のアラインメントを示している。ボックスで示した領域はHPL及びAOS間の高いホモロジーの領域を表している。
【0015】
図3はメロンHPL及びAOSの150bp及び70bpを得るために使用される縮重プライマーの配列を示している。
【0016】
図4はメロンHPL及びAOSの3つの異なる150bpのクローンのアミノ酸配列のアラインメントを示している。クローンA及びクローンBは65%の同一性を有するが、一方でクローンA及びクローンCは57%の同一性を有し、かつクローンB及びクローンCは72%の同一性をアミノ酸配列において有する。
【0017】
図5はメロンからのクローンA、クローンB及びクローンCの3′末端によってコードされる部分アミノ酸配列及びグァバ、トウガラシ及びバナナからの13−HPL及びアマ、グアユール及びアラビドプシスからのAOSのC末端配列の間の同一性を比較している。クローンA及びクローンBによってコードされるC末端配列は42%の同一性を有するが、クローンA及びクローンCは40%の同一性を有し、かつクローンB及びクローンCは49%の同一性を有する。
【0018】
図6はメロン9−HPLの存在下での9S−ヒドロペルオキシリノール酸の2つの一次酵素生成物:9−オキソノナン酸及び3Z−ノネナールの図を示している。また示されているのは、3Z−ノネナールの2E−ノネナールへのマイナーな異性体化反応であり、これは精製酵素又は粗製の細菌分解物のいずれかを使用して低い程度で観察されるものである。また示されているのは、粗製の細菌分解物によって惹起される酸化反応であり、それによって3Z−ノネナールは酸化されて3種のアルデヒド、4−ヒドロキシ−2E−ノネナール(4−HNE)及び4−ヒドロペルオキシ−2E−ノネナール(4−HPNE)及び9−オキソノナン酸及び4−ヒドロペルオキシ−2E−ノネナールの間で形成されるヘミアセタール誘導体(ヘミアセタール)の混合物にされる。
【0019】
発明の詳細な説明
本発明は以下の本発明の有利な態様の詳細な記載及びそこに含まれる実施例を参照してより容易に理解できる。
【0020】
本発明を開示及び記載する前に、本発明は特定の方法又は特定の配合物に制限されるものではなく、勿論それ自体変化してよいものと解される。また本願で使用される述語は記載の特定の態様の目的のためのものであり、制限を意図するものではない。
【0021】
本明細書及び請求の範囲で使用されるように、数量はそこで使用される内容に依存して1つ以上を意味することもある。
【0022】
A.タンパク質及び核酸
本発明は脂肪酸リアーゼ及び該リアーゼをコードする核酸を提供する。特に単離された脂肪酸ヒドロペルオキシドリアーゼを開示しており、その際、9−ヒドロペルオキシド基質についてのリアーゼの活性は13−ヒドロペルオキシド基質についての活性よりも大きく、かつリアーゼの9−ヒドロペルオキシリノレン酸についてのKm及びVmaxは9−ヒドロペルオキシリノール酸についてのリアーゼのKm及びVmaxよりも大きい。より特に、本発明はキュウリ(Cucumis sativus)ではなくメロン(Cucumis melo)中に存在するリアーゼ及びかかるポリペプチド又はタンパク質をコードする核酸を提供する。このようにリアーゼはCucumis meloから単離されるタンパク質中に存在するアミノ酸配列を有するが、キュウリ(Cucumis sativus)から単離されたタンパク質中のアミノ酸配列を有さない。
【0023】
用語“タンパク質”はアミノ酸のポリマーを示し、かつ全長のタンパク質及びポリペプチド及びその断片を含んでよい。本発明においては、“リアーゼ”は少なくとも1つのリアーゼ機能を有するタンパク質を意味する。
【0024】
特に用語“9−ヒドロペルオキシドリアーゼ”、“9−HPL”及び“機能的な9−ヒドロペルオキシドリアーゼ”は天然の9−ヒドロペルオキシドリアーゼによって展開される少なくとも1つの機能を有するリアーゼタンパク質を意味する。例えば、9−HPL機能は脂肪酸9−ヒドロペルオキシドをC9−アルデヒド及びC9−オキソノナン酸に分解する触媒活性を含んでよい。更に、開示されたリアーゼは天然の9−HPLの以下の特性:抗原決定基、結合部位などを有してよい。
【0025】
開示される9−HPLは13−ヒドロペルオキシド基質よりもむしろ9−ヒドロペルオキシド基質に有利であるが、9−HPL及び13−HPLの両方の機能を有する。用語“13−ヒドロペルオキシドリアーゼ”、“13−HPL”及び“機能的な13−ヒドロペルオキシドリアーゼ”は天然の13−ヒドロペルオキシドリアーゼによって展開される少なくとも1つの機能を有するリアーゼタンパク質を示している。例えば13−HPL機能は脂肪酸9−ヒドロペルオキシドをC6−アルデヒド及びC12−ω−オキソ酸部に分解する触媒活性を含むことがある。更に開示されるリアーゼは天然の13−HPLの以下の特性:抗原決定基、結合部位などを有してよい。
【0026】
本願のリアーゼは、得られるタンパク質又はペプチドがリアーゼ機能、例えば有利なリアーゼ機能を保持する限りは、付加的なアミノ酸、例えばN−末端に結合されるアミノ酸又はC−末端に結合されるアミノ酸又はリアーゼ配列内に挿入されるアミノ酸を含む。更にリアーゼは、少なくとも1つのリアーゼ機能が保持される限りは、天然のリアーゼのアミノ酸配列に対してアミノ酸配列中に種々の突然変異を有してよい。より特に開示されるリアーゼは9−ヒドロペルオキシリノール酸基質(例えば(9S,10E,12Z)9−ヒドロペルオキシオクタデカ−10,12−ジエン酸)、9−ヒドロペルオキシリノレン酸基質(例えば(9S,10E,12Z,15Z)9−ヒドロペルオキシオクタデカ−10,12,15−トリエン酸)、13−ヒドロキシリノール酸基質(例えば(9Z,11E,13S)13−ヒドロペルオキシオクタデカ−9,11−ジエン酸)及び13−ヒドロペルオキシリノレン酸基質(例えば(9Z,11E,13S,15Z)13−ヒドロペルオキシオクタデカ−9,11,15−トリエン酸)を分解する。9−ヒドロペルオキシリノレン酸に関するリアーゼのKm及びVmaxは9−ヒドロペルオキシリノール酸に関するリアーゼのKm及びVmaxよりも大きい。
【0027】
該リアーゼは種々の基質に対して特徴的な親和性を有する。該リアーゼは13−ヒドロペルオキシド基質に対するより大きな親和性を有し、かつ9−ヒドロペルオキシド基質に対するリアーゼのKmは13−ヒドロペルオキシド基質に対するよりも大きい。コンピュータ演算されたKmは以下の通りである:9−ヒドロペルオキシリノレン酸>9−ヒドロペルオキシリノール酸>13−ヒドロペルオキシリノール酸。13−ヒドロペルオキシリノール酸に対するリアーゼのKmは13−ヒドロペルオキシリノレン酸に対する親和性とほぼ同一である。より特にコンピュータ演算された9−ヒドロペルオキシリノール酸に対するKmは142〜242としての95%の信頼限界でほぼ192μMであり、かつ約45〜60%、有利には約54%の9−ヒドロペルオキシリノレン酸に対するリアーゼのKmである。コンピュータ演算された13−ヒドロペルオキシリノレン酸に対するKmは41〜59としての95%の信頼限界で50μMであり、かつ約15〜35%、有利には約26%の9−ヒドロペルオキシリノレン酸に対するリアーゼのKmである。コンピュータ演算された13−ヒドロペルオキシリノレン酸に対するKmは37〜65としての95%の信頼限界で約51μMであり、かつ約15〜35%、有利には約27%の9−ヒドロペルオキシリノレン酸に対するリアーゼのKmである。
【0028】
開示されたリアーゼは、おのおのの型の基質を特徴的な速度で分解する。該リアーゼは9−ヒドロペルオキシド基質とより迅速に反応し、かつ9−ヒドロペルオキシド基質の対するリアーゼのVmaxは13−ヒドロペルオキシド基質に対するVmaxよりも大きい。本発明のリアーゼによる種々の基質の、Vmaxによって示される速度は以下の通りである:9−ヒドロペルオキシリノレン酸>9−ヒドロペルオキシリノール酸>13−ヒドロペルオキシリノール酸。13−ヒドロペルオキシリノール酸に対する分解速度は13−ヒドロペルオキシリノレン酸に対する速度とほぼ同一である。より特に、9−ヒドロペルオキシリノール酸に対するリアーゼのVmaxは9−ヒドロペルオキシリノレン酸に対するリアーゼのVmaxの約45〜60%、有利には約55%である。13−ヒドロペルオキシリノール酸に対するリアーゼのVmaxは9−ヒドロペルオキシリノレン酸に対するリアーゼのVmaxの約25〜35%、有利には約30%である。13−ヒドロペルオキシリノレン酸に対するリアーゼのVmaxは9−ヒドロペルオキシリノレン酸に対するリアーゼのVmaxの20〜30%、有利には約22%である。“ほぼ同一”な速度又は親和性とは、1つの基質、例えば13−ヒドロペルオキシリノレン酸に対する、9−ヒドロペルオキシリノレン酸に対する速度又は親和性のパーセントとして表現される速度又は親和性を意味し、かつ第2の基質、例えば13−ヒドロペルオキシリノール酸の、9−ヒドロペルオキシリノレン酸に対する速度又は親和性のパーセンテージとして表現される10%未満、有利には5%未満である。
【0029】
開示されたリアーゼは約45〜65kDa、有利には約50〜60kDa、かつより有利には約55kDaの分子量を有する。開示されるリアーゼのために最適なpHは6より高い、有利には約6.5〜8.5、より有利には7.0〜8.0、より特に有利には7.2〜7.6である。該酵素は、pH5.0で最大活性の約25%を有し、かつpH9.0で最大活性の約15%を有する。
【0030】
開示されたリアーゼを単離する。リアーゼの単離は種々の方法で行うことができる。例えば該リアーゼは、起源、例えばCucumis meloから、標準的な生化学的手法を使用して精製でき、又は部分的に精製できる。例えばHornostaj and Robnson (1998)を参照のこと。選択的に、該リアーゼは当業者に公知のタンパク質合成法を使用して合成でき、又は組み換えDNA技術によってかつ遺伝子操作された発現系を使用して組み換え的に作成できる。合成された又は組み換え的に作成されたリアーゼはヒスチジンタグによって単離を促進できる。このように、組み換え的に作成されるリアーゼのための有利な単離方法はヒスチジン残基を結合するニッケルカラムの使用である。ヒスチジン残基を開示されたリアーゼのアミノ末端に付加して、タンパク質のためのタグとして作用させてよい。ヒスチジンタグ又は他のタグの使用は当業者によく知られている。
【0031】
1つの態様において、開示されるリアーゼは図1に記載されるようなCucumis meloに独特なアミノ酸を有し、これらは13−ヒドロペルオキシド基質よりも大きい活性で9−ヒドロペルオキシド基質を分解する活性を提供し、かつ9−ヒドロペルオキシリノレン酸よりも1.6倍未満の活性で9−ヒドロペルオキシリノール酸を分解する活性を提供する。
【0032】
また本発明は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7及び配列番号15からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する単離されたタンパク質を提供する。配列番号15のアミノ酸配列はアクセッション番号AF081955としてGenBankデータベースに寄託されている。
【0033】
本発明は開示されるリアーゼをコードする単離された核酸を提供する。Cucumis meloからの9−HPLのcDNAはクローニングされ、かつ配列決定された(配列番号8)。Cucumis meloのcDNAによってコードされるタンパク質のアミノ酸配列はまた開示されている(配列番号7)。1つの態様においては、該核酸は配列番号8に記載される核酸配列を有する。他の態様においては、該核酸は配列番号56に記載される核酸配列を有する。配列番号56の核酸配列はアクセッション番号AF081955としてGenBankデータベースに寄託されている。
【0034】
更に配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6及び配列番号7からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする単離された核酸が提供されている。組み換え系は原核細胞及び真核細胞の両方の発現系を含み、かつ天然のタンパク質配列を有するリアーゼ又は同様に天然配列から改変されたタンパク質配列を有するリアーゼの発現を含む。メロンの9−HPLのcDNAはクローニングされ、かつ配列決定され、かつ全長のcDNAに関するヌクレオチド配列は1446塩基対であると規定され(配列番号8)、これは停止コドンを含む。翻訳された配列は全体で481個のアミノ酸残基(配列番号7)をコードし、計算される約55000ダルトンの分子量を有するタンパク質に相当する。
【0035】
図1に示されるように、誘導される全長のアミノ酸配列は幾つかのHPL及びアレン酸化物シンターゼ(AOS)にある程度のホモロジー(同一性及び類似性)を示す。例えば開示されたアミノ酸配列及びグァバ、バナナ及びトウガラシの13−HPLの間にある程度のホモロジーが存在する。また開示されたHPL及びAOS−アマ、AOS−グアユール、AOSアラビ及びAOS−メロンの間にホモロジーが存在する。しかしながら、図1は、他のHPL及びAOSと比較して独特な開示されたリアーゼのための領域が存在することを明確に示している。特にこれらの領域は9−HPLにとって独特であり、かつ更にこれらの領域はCucumis meloにとって独特である。
【0036】
欠失及び挿入を考慮して、図1及び第1表におけるアラインメントはLasergene(Dnastar, Madison, Wisconsin)のMegAlignサブプログラムを通して利用できるPAM250残基質量チャートを用いるClustal法を使用して、メロンの9−HPLアミノ酸配列がAOS−アマと約45.7%の類似性を有し、AOS−グアユールと約46%の類似性を有し、AOS−アラビと約48.0%の類似性を有し、AOS−メロンと約47%の類似性を有し、HPL−グァバと約60%の類似性を有し、HPL−バナナと約58%の類似性を有し、かつHPL−トウガラシと約60%の類似性を有することが判明した。
【0037】
“類似性”は同一又は類似のいずれかのアミノ酸残基を含んでよい。類似のアミノ酸は第2表に示す。これらの類似性にもかかわらず、開示されたリアーゼの独特の領域が存在する。有利な独特な領域は配列番号1(MATPSSSSPE)、配列番号2(ILFDTAKVEKRNILD)、配列番号3(RLFLSFLA)、配列番号4(SISDSMS)、配列番号5(LLSDGTPD)及び配列番号6(IFSVFEDLVI)に示される。これらの領域及び開示されたリアーゼとしての機能を有するタンパク質を提供する。特に有利な態様は、9−HPL機能を保持する配列番号1〜6に示される前記の定義の領域の少なくとも1つを有するタンパク質である。より有利な態様は存在する配列番号1〜6に示される前記の定義の領域の少なくとも2つを有し、かつ9−HPL機能を保持するタンパク質である。より有利な態様は存在する配列番号1〜6に示される前記の定義の領域の少なくとも3つを有し、かつ9−HPL機能を保持するタンパク質である。より有利な態様は存在する配列番号1〜6に示される前記の定義の領域の少なくとも4つを有し、かつ9−HPL機能を保持するタンパク質である。更により有利な態様は存在する配列番号1〜6に示される前記の定義の領域の少なくとも5つを有し、かつ9−HPL機能を保持するタンパク質である。最も有利な態様は存在する配列番号1〜6に示される前記の定義の領域の少なくとも6つを有し、かつ9−HPL機能を保持するタンパク質である。
【0038】
【表1】
【0039】
開示されるリアーゼは機能的変異体を含む。これらの変異体はアミノ酸置換、欠失及び挿入並びに翻訳後修飾をもたらすことによって作成される。かかる変異体はアレル変異体(例えば遺伝子多型のため)として天然に生じてよく、又はヒトの関与(例えばクローニングされたDNAの突然変異誘発によって)、例えば誘発された欠失、挿入および置換の点突然変異によって作成されてよい。これらの改変はアミノ酸配列に変化をもたらし、サイレント突然変異をもたらし、制限部位を変更し、又はほかの特異的突然変異をもたらす。
【0040】
アミノ酸配列の改変は3つのクラス:置換変異体、挿入変異体又は欠失変異体の1つ以上をもたらす。挿入はアミノ末端及び/又はカルボキシル末端の融合並びに単一又は複数のアミノ酸残基の配列内挿入を含む。挿入は通常、アミノ末端又はカルボキシル末端の融合のそれよりもより少ない、1〜4残基のオーダーである。欠失はタンパク質配列から1つ以上のアミノ酸の除去によって特徴付けられる。典型的に約2〜6残基以下の残基がタンパク質分子内の任意の部位で欠失する。これらの変異体は通常、タンパク質をコードするDNAにおけるヌクレオチドの部位特異的突然変異誘発によって作成され、それによって変異体をコードするDNAが作成され、かつ次いで組み換え細胞培養においてDNAが発現される。公知の配列を有するDNA中の予め規定された部位において置換変異を作成するための技術はよく知られており、例えばM13プライマー突然変異誘発およびPCR突然変異誘発である。アミノ酸置換は典型的に単一の残基であるが、種々の部位に複数の置換を含んでよく;挿入は通常約1〜10アミノ酸残基のオーダーであるが、それ以上であってもよく;かつ欠失は約1〜30残基の範囲であるが、それ以上であってもよい。欠失又は挿入は有利には隣接のペア、すなわち2残基の欠失又は2残基の挿入でなされる。置換、欠失、挿入又は任意のそれらの組み合わせを最終構築物に到達するように組み合わせてよい。突然変異は読み枠の他の配列に位置してはならず、有利には二次的なmRNA構造を生じうる相補的領域を作成しない。置換変異体は少なくとも1つの残基が除去され、かつ種々の残基がその場所に挿入された変異体である。かかる置換は一般に第2表に関連してなされ、かつ保存的置換と呼称される。
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
機能又は免疫学的同一性における置換変化は第2表での置換よりも保存性に乏しい置換を選択する、すなわち(a)置換の領域におけるポリペプチド骨格、例えばシート又はヘリックスのコンホーメーションの構造、(b)標的部位での分子の電荷又は疎水性又は(c)側鎖の嵩の保持におけるその効果がより大きく異なる残基を選択することによってなされる。一般にタンパク質特性に非常に大きな変化をもたらすと期待される置換は(a)親水性残基、例えばセリル又はトレオニルが疎水性残基、例えば、ロイシル、イソロイシル、フェニルアラニル、バリル又はアラニルの代わりに(又はによって)置換され;(b)システイン又はプロリンが任意の他の残基の代わりに(又はによって)置換され;(c)正電荷の側鎖を有する残基、例えばリシル、アルギニル又はヒスチジルが負電荷の残基、例えばグルタミル又はアスパラギルの代わりに(又はによって)置換され;又は(d)嵩高い側鎖、例えばフェニルアラニンが側鎖を有さない残基、例えばグリシンの代わりに(又はによって)、この場合に(e)硫酸化及び/又はグリコシル化のための部位の数を増大させて置換される置換である。置換又は欠失の突然変異誘発を使用してN−グリコシル化(Asn−X−Thr/Ser)又はO−グリコシル化(Ser又はThr)のための部位を挿入してよい。システイン又は他の反応性の残基の欠失も所望であってよい。潜在的なタンパク質分解部位、例えばArgの欠失又は置換は、例えば塩基性残基の1つの欠失又は1つの残基のグルタミニル又はヒスチジル残基による置換によって達成される。
【0044】
一定の翻訳後誘導体化は発現されたポリペプチドにおける組み換えホスト細胞の作用の結果である。グルタミニル及びアルパラギニル残基はしばしば翻訳後脱アミド化されて、相応のグルタミル及びアスパリル残基になる。選択的に、これらの残基は緩慢な酸性条件下に脱アミド化される。他の翻訳後修飾はプロリン及びリシンのヒドロキシル化、セリル又はトレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リシン、アルギニン及びヒスチジンの側鎖のo−アミノ基のメチル化(Creighton,1983)、N−末端アミンのアセチル化及び幾つかの例においては、C−末端カルボキシルのアミド化を含む。
【0045】
全ての突然変異現象において、突然変異の制御範囲は引き続いてのタンパク質が有する機能であると解される。最も有利な突然変異は変化を検出できないほど9−HPL機能を変化させる突然変異である。例えば前記のように開示されたリアーゼが非常に特異的な動力学特性を有し、かつ有利な突然変異が9−ヒドロペルオキシド基質を有利に分解する突然変異された9−HPLをもたらす突然変異である。
【0046】
開示されたリアーゼの相対的な機能を測定するための、HPLC分析、分光分析、ガスクロマトグラフィー分析、質量分光分析とのガスクロマトグラフィーを含む多くのアッセイが存在する。
【0047】
また突然変異現象は、そのときに定義された方法で、例えば9−ヒドロペルオキシド基質の分解のVmaxを増大させることによって活性を変更する突然変異を含んでよいと解される。これらの種類の突然変異が望まれるべき場合には、反応速度及び突然変異されたタンパク質の機能の緻密な分析は、天然のリアーゼより良好又は粗悪のいずれかで機能する突然変異リアーゼの単離を可能にする。有利な突然変異は9−ヒドロペルオキシド基質の分解に関するリアーゼの活性を増大させる突然変異である。
【0048】
また与えられたタンパク質配列のための複数の核酸コドンが存在しうるように、核酸及びタンパク質の間の関係において縮重が存在すると解される。このようにCucumis meloから単離されたDNAと同一の配列を有さないメロンのcDNAがCucumis meloから単離されたリアーゼの同一のアミノ酸配列をコードする。更にCucumis meloのcDNAの配列を変更することが望まれるが、Cucumis meloのタンパク質の独特のコーディングを維持する多くの理由が存在する。例えばcDNA中に含まれ又は望まれる特異的な核酸制限酵素部位を挿入又は除去することが望まれることがある。
【0049】
特に有利な態様は配列番号1から配列番号6に示される独特の領域と組み合わせて前記の非保存的アミノ酸を組み込む機能的変異体の両者を織り込んでいる。最も有利には配列番号7に示される配列を有するCucumis meloから単離される機能的な9−HPLである。
【0050】
また本願に開示されるタンパク質をコードする核酸配列が開示される。これらの核酸は配列番号1から配列番号6に開示される独特のアミノ酸配列の少なくとも1つを有するタンパク質をコードする核酸配列を含む。これは残基で議論されたように、これらのタンパク質をコードする核酸に対する全ての縮重配列を含む。1つの態様は配列番号8に示されるCucumis meloから単離されたcDNAを表す核酸である。
【0051】
また配列番号8の核酸とハイブリダイゼーションのストリンジェントな条件下に特異的にハイブリダイズする単離された核酸が開示される。有利には配列番号8の核酸とストリンジェントな条件下にハイブリダイズする核酸はストリンジェントな条件下にCucumis sativus中に存在するリアーゼをコードする核酸とハイブリダイズしない。最も有利には単離された核酸は9−HPL機能を有するタンパク質をコードする。
【0052】
“ストリンジェントな条件”はハイブリダイゼーション手順又はPCR反応におけるプライマー/鋳型ハイブリダイゼーションにおいて使用される洗浄条件を呼称する。一般にこれらの条件は、変性温度が調査されるハイブリッドの計算されたTm(溶融温度/変性温度)より低い約5〜20℃であるように選択された洗浄のための温度及び塩濃度の組み合わせであるべきである。該温度及び塩条件は、参照核酸を関連のプライマー核酸にハイブリダイズし、かつ異なる厳密性の条件下に増幅させる予備試験において経験的に容易に規定される。厳密条件は容易に試験され、かつ変更されたパラメータは当業者に容易に明らかにされる。例えばPCRバッファー中で使用されるMgCl2濃度を変更して、プライマーが鋳型に結合する特異性が増大するが、ハイブリダイゼーション反応で使用される該化合物の濃度範囲は狭く、従って適当な厳密性レベルは容易に規定される。例えば18ヌクレオチドの長さを有するオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションは6×SSPE中で推定されるTmの5〜10℃未満で実施され、次いで2×SSPE中で同一の温度で洗浄される。かかるオリゴヌクレオチドのTmは各A又はTのヌクレオチドに関しては2℃を可能にし、かつ各G又はCに関しては4℃を可能にすることによって見積もることができる。50%のG+Cの18ヌクレオチドプローブは、従って約54℃のTmを有する。同様に18ヌクレオチドプライマー又はプローブの出発塩濃度は約100〜200mMである。このようにかかる18ヌクレオチドプライマー又はプローブのためのストリンジェントな条件は約54℃のTm及び約150mMの出発塩濃度であり、かつ従って予備試験によって変更される。Tm値はまた市販されるコンピュータソフトウェア(例えばOLIGO(R))を使用して種々の条件に関して計算することができる。
【0053】
更に本発明は配列番号7に記載されるメロンの9−HPLのアミノ酸配列をコードする核酸とハイブリダイゼーションのストリンジェントな条件下に特異的にハイブリダイズする単離された核酸を提供する。有利には単離された核酸はストリンジェントな条件においてCucumis sativus中に存在するリアーゼをコードする核酸セットにハイブリダイズしない。最も有利には単離された核酸は9−HPL機能を有するタンパク質をコードする。
【0054】
有利には本発明の単離された核酸は、ハイブリダイズする配列と少なくとも99、98、97、95、90、85、80、75又は70%の相補性を有する。より有利な態様は、ハイブリダイズする配列と少なくとも90%の相補性を有する単離された核酸である。より有利な態様は、ハイブリダイズする配列と少なくとも80%の相補性を有する単離された核酸である。より有利な態様は、ハイブリダイズする配列と少なくとも70%の相補性を有する単離された核酸である。パーセントの相補性は、有利には2つのストランドのヌクレオチドとヌクレオチドとの比較に基づくものであってよい。相補性の測定のための特定の方法は当業者に公知である(例えばClustal, Jotun Hein, WilburLipman, Martinez Needleman-Wunsch, Lipman-Pearson, and Dotplot methods)。従って当業者はその用語の意味を理解し、2つの配列間の相補性を測定する方法を知っている。
【0055】
また核酸は、例えばターゲット核酸を検出又は増幅するためのプローブ又はプライマーであってよい。典型的に、プライマー又はプローブとして有用な独特の核酸は配列の特定のヌクレオチド含量に依存して長さが少なくとも約20ヌクレオチドから約25ヌクレオチドである。更に断片は、例えば約30、40、50、75、100、200、400又はヌクレオチド長の間の任意の数であってよい。選択的に全長の配列又は全長の配列より長い配列を使用してよい。
【0056】
B.ベクター
本発明は本発明の核酸を有するベクターを提供する。また本発明は、例えばCucumis meloから単離されたタンパク質中に存在するアミノ酸配列を有するリアーゼを含む9−ヒドロペルオキシドリアーゼをコードする核酸を有するベクターを提供する。より特に該ベクターはプラスミドであってよい。更により特にベクターは本発明の核酸の1つに機能的に結合したプロモーターを有してよい。
【0057】
“ベクター”は外来DNAを有する任意の担体を意味する。従って、ベクターは外来核酸を分解せずに細胞中に輸送する原因物質であり、かつ移送される細胞中の核酸の発現をもたらすプロモーターを含む。“ベクター”は、しかしながらプラスミド、ウイルス核酸、ウイルス、ファージ核酸、ファージ、コスミド及び人工染色体に制限されない。本発明の機能的なリアーゼの発現のために適当な原核性及び真核性の多様な発現ベクターを作成することができる。かかる発現ベクターは、例えばpET、pET3d、pCR2.1、pBAD、pUC及び酵母ベクターを含む。該ベクターは、例えば多様なインビトロ及びインビボの状況において前記のリアーゼを発現することができる。
【0058】
ウイルスベクターはアデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、ポリオウイルス、AIDSウイルス、ニューロン栄養ウイルス、シンドビスウイルス及び、HIV骨格を有する前記のウイルスを含む他のRNAウイルスを含む。またベクターとしての使用に適当にする前記のウイルスの特性を共有する任意のウイルスファミリーが有利である。Verma(1985)に記載されるレトロウイルスはマウスマロネー白血病ウイルス、MMLV及びベクターとしてのMMLVの所望の特性を発現するレトロウイルスを含む。典型的にウイルスベクターは非構造的早期遺伝子、構造的後期遺伝子、RNAポリメラーゼIII転写物、複製及びカプシド形成のために必要な逆反復末端及びウイルスゲノムの転写及び複製をコントロールするプロモーターを含む。ベクターとして加工される場合、ウイルスは典型的に1つ以上の早期遺伝子が除去され、かつ遺伝子又は遺伝子/プロモーターカセットは除去されたウイルスDNAの代わりにウイルスゲノム中に挿入される。
【0059】
“プロモーター”は一般に転写開始部位に関して比較的固定された位置の場合に機能するDNAの1つ以上の配列である。“プロモーター”はRNAポリメラーゼ及び転写因子の基本的な相互作用のために必要なコアエレメントを含み、かつ上流エレメント及び応答エレメントを含んでよい。
【0060】
“エンハンサー”は一般に転写開始部位から固定されない距離で機能するDNAの配列を呼称し、かつ転写単位に対して5′(Laimins,1981)又は3′(Lusky et al., 1983)のいずれであってよい。更にエンハンサーはイントロン内(Banerji et al., 1983)並びにそのコーディング配列内(Osborne et al., 1984)であってよい。これらは通常は長さ10〜300bpであり、かつシスで機能する。エンハンサーは近隣のプロモーターからの転写を増大するように機能する。プロモーターのようなエンハンサーは、またしばしば転写の調節を媒介する応答エレメントを有する。しばしばエンハンサーは発現の調節を規定する。プロモーター及び/又はエンハンサー領域が構成的プロモーター及び/又はエンハンサーとして作用して、転写されるべき転写単位の領域の発現を最大化することが有利である。
【0061】
真核性の宿主細胞(酵母、菌類、昆虫、植物、動物、ヒト又は有核細胞)中で使用される発現ベクターはまたmRNA発現に影響することがある転写の終結のために必要な配列を有する。これらの領域は組織因子タンパク質をコードするmRNAの非翻訳部位でポリアデニル化されたセグメントとして転写される。また3′非翻訳領域は転写終結部位も含む。また転写単位がポリアデニル化領域を有することも有利である。この領域の1つの利点は、転写された単位がmRNAのようにプロセシングされ、かつ輸送される見込みが増大することである。発現構築物中のポリアデニル化シグナルの同定及び使用はよく確立されている。同種のポリアデニル化シグナルをトランスジーン構築物中で使用することが有利である。
【0062】
ベクターはマーカー生成物をコードする核酸配列を含んでよい。このマーカー生成物を使用して、遺伝子が細胞に移送されたかを決定し、かつ移送されれば発現される。有利なマーカー遺伝子はβ−ガラクトシダーゼ及び緑色蛍光タンパク質をコードするE.coliのlacZ遺伝子である。
【0063】
いくつかの態様において、マーカーは選択可能なマーカーであってよい。かかる選択可能なマーカーを効率的に宿主細胞中に移送する場合に、形質転換された宿主細胞は、選択圧下にある場合には生存できる。選択の様式には2種の広範に使用される別個のカテゴリーが存在する。第1のカテゴリーは細胞の代謝に基づくものであり、かつ供給された培地に独立に増殖する能力を欠損した変異細胞系統の使用である。第2のカテゴリーは任意の細胞型で使用される選択様式と示され、かつ変異細胞系統の使用を必要としない優性選択である。これらのスキームを使用して、典型的に宿主細胞の増殖を抑止する。新規の遺伝子を有するこれらの細胞は薬剤耐性を与えるタンパク質を発現し、かつ選択から生存する。かかる優性選択の例は薬剤のネオマイシン(Southern and Berg, 1982)、ミコフェノール酸(Mulligan and Berg, 1980)又はハイグロマイシン(Sugden et al., 1985)を使用する。
【0064】
またリアーゼ又は本発明のタンパク質をコードする核酸を有する外来の核酸を有する細胞が開示される。有里な細胞は原核細胞である。特に有利な原核細胞はエシェリキア コリ細胞、バシラス細胞及びストレプトマイセス細胞である。これらの細菌は組み換えタンパク質を分泌する能力を有し、従ってタンパク質の単離のために細胞の溶解を必要としない。
【0065】
リアーゼ又は本発明によるタンパク質をコードする核酸を有する外来の核酸を有する別の有利な細胞型は真核細胞である。特に有利な真核細胞は酵母細胞、植物細胞、及び昆虫細胞である。例えばピチア パストリス又はサッカロマイセス セレビシエは発現系として使用できる。ウイルスベクター、化学的なトランスフェクタント又は物理機械的方法、例えばエレクトロポレーション及びDNAの直接的な拡散を含む外来のベクターでの細胞のトランスフェクションのための適当な措置は当業者に公知である。例えばWolff他及びWolff(Wolff et al.(1990) and Wolff(1991))を参照のこと、これらは引用されることにより内容が記載されたものとする。トランスフェクションされた細胞を本発明のタンパク質及びリアーゼの発現のための方法として使用できる。
【0066】
多くの異なる戦略を使用して、本発明のタンパク質又はリアーゼの発現を最適化することができる。種々のエンハンサーは宿主細胞型、ベクター及びプロモーターに基づいて選択される。例えばイソプロピルβ−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)をPlacプロモーター及びPlacプロモーターの誘導体を、E.coliが宿主の場合にはインデューサーとして使用してよい。IPTGのインデューサー濃度は0〜1mMの範囲である。選択的にL−アラビノースによって誘導されるプロモーターを有するpBADベクターをE.coliにおいて使用できる。宿主細胞型、ベクター、プロモーター、誘導時間、培地組成、温度、コファクター、培養条件及び培養時間を変更して発現を最適化してよい。更にヘム(例えばδ−アミノレブリン酸を含む)のような補欠分子群の前駆体の添加によって発現を最適化することができる。
【0067】
C.該組成物の使用方法
(9S,10E,12Z)9−ヒドロペルオキシオクタデカ−10,12−ジエン酸又は(9S,10E,12Z,15Z)−9−ヒドロペルオキシオクタデカ−10,12,15−トリエン酸をC9−アルデヒド及びC9−オキソノナン酸に分解するにあたり、開示されたリアーゼと(9S,10E,12Z)9−ヒドロペルオキシオクタデカ−10,12−ジエン酸又は(9S,10E,12Z,15Z)−9−ヒドロペルオキシオクタデカ−10,12,15−トリエン酸と接触させる工程を有する方法が開示される。(9S,10E,12Z)9−ヒドロペルオキシオクタデカ−10,12−ジエン酸が基質である場合にはC9−アルデヒドは3Z−ノネナールである。(9S,10E,12Z,15Z)−9−ヒドロペルオキシオクタデカ−10,12,15−トリエン酸が基質である場合には、C9−アルデヒドは3Z,6Z−ノナジエナールである。
【0068】
また(9Z,11E,13S)13−ヒドロペルオキシオクタデカ−9,11−ジエン酸又は(9Z,11E,13S,15Z)13−ヒドロペルオキシオクタデカ−9,11,15−トリエン酸をC6−アルデヒド及びC12−オキソカルボン酸に分解するにあたり、開示されたリアーゼを13−ヒドロペルオキシオクタデカ−9,11−ジエン酸又は13−ヒドロペルオキシオクタデカ−9,11,15−トリエン酸と接触させることを含む方法が開示される。
【0069】
また3−(Z)−ノネナール、(3Z,6Z)−ノナジエナール、2−(E)−ノネナール、(2E,6Z)−ノナジエナール又はそれらの相応のアルコールを(9S,10E,12Z)9−ヒドロペルオキシオクタデカ−10,12−ジエン酸又は(9S,10E,12Z,15Z)9−ヒドロペルオキシオクタデカ−10,12,15−トリエン酸から製造するにあたり、(9S,10E,12Z)9−ヒドロペルオキシオクタデカ−10,12−ジエン酸又は(9S,10E,12Z,15Z)9−ヒドロペルオキシオクタデカ−10,12,15−トリエン酸を開示された9−HPLと接触させ、それによって(9S,10E,12Z)9−ヒドロペルオキシオクタデカ−10,12−ジエン酸を3−(Z)−ノネナールに変換し、又は(9S,10E,12Z,15Z)−9−ヒドロペルオキシオクタデカ−10,12,15−トリエン酸を(3Z,6Z)−ノナジエナールに変換し;かつ3−(Z)−ノネナール又は(3Z,6Z)−ノナジエナールを回収し;3−(Z)−ノネナールを3−(Z)−ノネノールに還元し、又は(3Z,6Z)−ノナジエナールを(3Z,6Z)−ノナジエノールに還元し、かつ3−(Z)−ノネノール又は(3Z,6Z)−ノナジエノールを回収し;又は3−(Z)−ノネナール又は(3Z,6Z)−ノナジエナールを、2−(E)−ノネナール又は(2E,6Z)−ノナジエナールを得るのに効率的な温度及びpH条件下に異性体化し、かつ形成された2−(E)−ノネナール又は(2E,6Z)−ノナジエナールを回収し、又は2−(E)−ノネナールを2−(E)−ノネノールに還元し、又は(2E,6Z)−ノナジエナールを(2E,6Z)−ノナジエノールに還元し、かつ2−(E)−ノネノール又は(2E,6Z)−ノナジエノールを培地から回収することを含む方法が開示されている。還元工程は有利には当業者に公知の技術を使用して酵母によって媒介される酵素触媒による還元(例えばアルコールデヒドロゲナーゼを使用する)を使用して行われる。例えばEP0597069B1号を参照のこと、これは引用することにより内容が記載されたものとする。異性体化工程は酵素的な手順を使用して最適化することができる。異性体化はイソメラーゼ又は非酵素的な異性体化因子によって触媒できる。例えばイソメラーゼは3Z:2E−エナールイソメラーゼであってよい。例えばNoordermeer他(Noordermeer et al)を参照のこと、これは引用することにより内容が記載されたものとする。
【0070】
またn−ヘキサナール、3−(Z)−ヘキセン−1−アール、2−(E)−ヘキセン−1−アール又はそれらの相応のアルコールを、(9Z,11E,13S)13−ヒドロペルオキシオクタデカ−9,11−ジエン酸又は(9Z,11E,13S,15Z)−13−ヒドロペルオキシオクタデカ−9,11,15−トリエン酸から製造するにあたり、(9Z,11E,13S)13−ヒドロペルオキシオクタデカ−9,11−ジエン酸又は(9Z,11E,13S,15Z)13−ヒドロペルオキシオクタデカ−9,11,15−トリエン酸を開示された9−HPLと接触させ、それにより(9Z,11E,13S)13−ヒドロペルオキシオクタデカ−9,11−ジエン酸をn−ヘキサナールに変換し、又は(9Z,11E,13S,15Z)13−ヒドロペルオキシオクタデカ−9,11,15−トリエン酸を3−(Z)−ヘキセン−1−アールに変換し;かつn−ヘキサナール又は3−(Z)−ヘキセン−1−アールを回収し;n−ヘキサナールをn−ヘキサノールに還元し、又は3−(Z)−ヘキセン−1−アールを3−(Z)−ヘキセン−1−オールに還元し、かつヘキサノール又は3−(Z)−ヘキセン−1−オールを回収する;又は3−(Z)−ヘキセン−1−アールを、2−(E)−ヘキセン−1−アールを得るのに効率的な温度及びpH条件下に異性体化し、かつ形成された2−(E)−ヘキセン−1−アールを回収し、又は2−(E)−ヘキセン−1−アールを2−(E)−ヘキセン−1−オールに還元しかつ2−(E)−ヘキセン−1−オールを培地から回収する工程を含む方法が開示される。還元工程は有利には前記の酵素触媒による還元を使用して行われ、かつ異性体工程は前記の酵素的な手順を使用して最適化できる。
【0071】
本発明を以下の実施例でより特に記載し、これらは多くの変法及び変形が当業者に明らかなので説明を意図しているにすぎない。
【0072】
実施例
例1. 9−ヒドロペルオキシドリアーゼを含むメロンリアーゼの部分的なcDNAのクローニング
ホモロジーに基づいたクローニング方法を使用してマスクメロン(Cucumis melo)を単離した。一般にメロンのmRNAを調製し、リバーストランスクリプターゼを使用してメロンのmRNAをcDNAに変換した。このcDNAはシトクロムP450ファミリー74(CYP74)におけるコンセンサス配列に適合するようにデザインされた縮重プライマーを使用するポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)のための基質であった。このPCRはCYP74遺伝子ファミリーと配列ホモロジーを有する部分的なcDNAクローンを提供する。部分的クローンは3′−RACE(Rapid Amplification of cDNA Ends)及び5′−RACEの反応によって伸長され、これはそれぞれの部分的なクローンのための完全なcDNA(すなわちmRNAの完全体)をもたらす。全長のcDNAをPCRによってクローニングし、かつE.coli中で発現させた。E.coliが発現する生成物の触媒活性を基質としての9−ヒドロペルオキシ及び13−ヒドロペルオキシ脂肪酸を使用して特徴付けた。
【0073】
メロンのRNAの調製
出発材料は様々なカンタループメロン(“マスクメロン”)、Cucumis melo、Caravelle(Asgrow,Texas)であった。TRI REAGENTキット(Molecular Research Center, Cincinnati, Ohio)を使用して全体のRNAを単離した。全体のRNAを未熟なメロン果実20gから調製した。400μgの全体のRNAが得られた。mRNA精製キット(Pharmacia Biotech, Piscataway, New Jersey)を使用して全体のRNAからmRNAを精製した。該キットはポリアデニル化されたRNAのアフィニティー精製のためのオリゴ(dT)−セルローススピンカラムを提供する。製造元のプロトコールに従った。3.7μgのmRNAが400μgの全体のRNAから単離された。
【0074】
B. 保存されたCYP74配列に基づく縮重プライマーを使用するRT−PCRクローニング
第1のストランドのcDNAを全体のRNA又はポリ(A)+RNAからオリゴd(T)−アダプターを使用して合成された。リバーストランスクリプターゼ反応は80ピコモルのオリゴ−dTアダプター(配列番号49,A1678,5′−ATGAATTCGGTACCCGGGATCCTTTTTTTTTTTTTTTTT−3′又は配列番号50,A1677,5′−ATGAATTCGGTACCCGGGATC−3′)、10μlの5×の第1ストランドバッファー(GibcoBRL, Rockville, Maryland)、1mMのDTT、各dNTPに関して1mM、50単位のRNAsin、400UのMMV−RT及びH2Oを有し、最終反応容量50μlにした。このRT反応混合物を37℃で1時間インキュベートした。第1ストランドcDNAをさらなる精製をせずにPCR反応で直接使用した。PCR反応物は20〜100ngのメロンのcDNA鋳型、200μMの各dNTP、10mMのトリスHCl(pH8.3)、50mMのKCl、3mMのMgCl2、20ピコモルの上流プライマー(GGTGAGTTGCTNTGYGGNTAYCA(配列番号16)、GGTGAGTTGCTNTGYGGNTA(配列番号17)又はTACTGGTCNAAYGGNCCNSARAC(配列番号19))及び20ピコモルの下流プライマー(TGGTCNAAYGGNCCRGAGAC(配列番号18)、AAYAARCARTGYGCNGCTAAGGAC(配列番号20)又はAARCARTGYGCNGCTAAGGAC(配列番号21))(図2及び図3を参照のこと)を含有した。更にPCR反応物は1.25単位の酵素及びH2Oを有し、最終反応容量50μlを有した。cDNA鋳型を反応温度が80℃の時に添加した。反応サイクルパラメーターは94℃で2分(サイクル1だけ);57℃〜62℃で1分間、72℃で1分間、94℃で1分間(典型的に30サイクル)及び72℃で10分間(最終サイクル)であった。反応条件は全ての反応に関して同一であるが、2種の異なるDNAポリメラーゼを使用した:(1)AmpliTaqDNAポリメラーゼ(PE Applied Biosystems, Focter City, CA)及び(2)AdvanTaq(Advantage cDNA Polymerase Mix(Clontech, Palo Alto, CA))。
【0075】
i.150bpのcDNA断片の増幅
単一サイクルのPCRを鋳型としてメロンのcDNAを使用して実施した。上流縮重プライマー(配列番号16、プライマー1A、図2及び図3)を下流縮重プライマー(配列番号18、プライマー2、図2及び図3)と一緒に使用したが、第1のPCRではバンドは得られなかった。従って第2のPCRを0.1μlの第1回のPCR反応生成物を鋳型として使用して、かつ上流縮重プライマー1B(配列番号17、図2及び図3)をネスト型上流プライマーとして使用して実施した。
【0076】
第2のPCRはアガロースゲル中で唯一のバンド(150bp)として移行する生成物を精製した。150bpのPCR生成物は期待されたCyp74遺伝子ファミリー生成物にサイズでは匹敵するものである。
【0077】
150bp生成物をベクター(pCR2.1 Invitrogen, Carlsbad, CA)中にサブクローニングし、かつ約50個のクローンの配列決定をした。3種の異なるP450関連の配列が得られ(図4)、これらを部分的なクローンA(配列番号28)、クローンB(配列番号29)及びクローンC(配列番号30)と呼称した。部分的なクローンA及びクローンBは65%の同一性ホモロジーを有した;部分的なクローンA及びクローンCは57%の同一性ホモロジーを有した;かつ部分的なクローンB及びクローンCは72%の同一性ホモロジーを有した。
【0078】
ii.70bpのcDNA断片の増幅
単一サイクルのPCRをメロンcDNAを鋳型として使用して実施した。上流縮重プライマー(配列番号18、プライマー2、図2及び図3)を下流縮重プライマー(配列番号20、プライマー4A、図2及び図3)と一緒に使用した。アガロースゲル中に生成物のバンドは観察されなかった。従って第2のPCRを0.1mlの第1のPCRを鋳型として使用して実施した。下流縮重プライマー、プライマー4B、(配列番号21、図2及び図3)をネスト型下流プライマーとして使用した。この第2のPCRはアガロースゲル中で約70bpの唯一のバンドとして移行する生成物を生成する。これは期待される生成物にサイズにおいて匹敵する。この70bpのバンドのサイズはアガロースゲル上では厳密に測定するのが困難なので、個々のクローン(48個のクローン)を10%のゲル上のポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)によって較正のために10bpのDNAラダーを使用してサイズを測定した。PAGEは生成物(60〜90bp)の複合混合物が増幅されたことを示した。予測されたサイズに近い12個のクローンの配列決定をした。これらのクローンの1つはP450の様な配列をコードしていた。この部分的なクローンは150bpの部分的なクローンBの種々の領域を表した。
【0079】
例2. 3′−RACE及び5′−RACEにより得られたプライマーを使用する全長クローンの作成
3′−RACE(3′−cDNA末端の迅速増幅)法はPCRのための縮重上流プライマー及びcDNAの逆転写酵素で触媒される合成で使用されるプライマーの5′−末端でのアダプター配列に基づく下流プライマーを使用する。cDNAを例1に記載のように調製した。
【0080】
マラソンcDNA増幅キット(Marathon cDNA Amplification Kit)(Clontech)を5′−RACE(5′−cDNA末端の迅速増幅)のために使用した。この手順をmRNA(1μg)を二本鎖cDNAに変換し、cDNA末端をアダプター配列カセットでタグするようにデザインした。プロトコールは製造元のプロトコールに従った。
【0081】
A.3′−RACE
cDNAを前記のように調製した。全体のRNAの3種の調製を使用した:(1)メロンの多汁性の果肉及び固い皮の混合物から、(2)メロンの固い皮から、(3)メロンの多汁性の果肉から。クローンAの遺伝子特異的上流プライマー(5′−GGTTATCAGCCGCTGGTGATG−3′(配列番号34)又は5′−ATGAACCGGAGGCGTTTAATCCG−3′(配列番号35))、クローンB(5′−ACAGAGCGGACGAGTTCGTACCT−3′(配列番号36))又はクローンC(5′−AGGATTCGGAGAAGTTCGTGGGC−3′(配列番号37))をオリゴdT−アダプター配列に基づく下流プライマー(配列番号49及び配列番号50)と一緒に使用した。
【0082】
クローンB及びクローンCの全長クローンを単離するために、クローンBのための遺伝子特異的プライマー(配列番号36)及びクローンCのための遺伝子特異的プライマー(配列番号37)及びオリゴdTプライマーのアダプター配列に基づくプライマー(配列番号50)を使用した。PCRをメロンの多汁性の果肉及び固い皮の混合物から単離されたRNAから得られたcDNA鋳型で開始した。これらのプライマーを使用するPCR反応は350bp(クローンB)の生成物及び550bpの生成物(クローンC)を生成し、これらはアガロースゲル上で唯一のバンドとして移行する。
【0083】
これらの350bp及び550bpのPCR生成物はAOS及び13−HPLのcDNAの3′−末端の増幅からの期待される生成物とサイズにおいて匹敵した。これらの生成物をpCR2.1中にサブクローニングし、かつ配列決定した。
【0084】
クローンAの全長のクローンを単離するために、PCRを多汁性の果肉又は固い皮のメロンcDNA鋳型を用いて開始した。クローンAのための遺伝子特異的上流プライマー(配列番号34又は配列番号35)及びオリゴdTアダプター配列に基づく下流プライマー(配列番号50)を増幅のために使用した。PCR反応を固い皮のメロンcDNAを用いて開始する場合にはアガロースゲル電気泳動で測定されるようにPCR生成物は得られなかった。PCR反応を多汁性の果肉のメロンcDNAを用いて開始する場合には、しかしながらアガロースゲル上で唯一のバンドとして移行する2つのバンドが得られた。配列番号34のヌクレオチド配列を有するプライマーで生成された生成物は450bpであり、かつ配列番号35のヌクレオチド配列を有するプライマーで生成された生成物は400bpであった。これらの2つのPCR生成物のサイズにおける差異(50bp)は配列番号34及び配列番号35に相応する2種の上流プライマー間の期待される距離と一致した。
【0085】
クローンAから得られるプライマーから生成した400bp及び450bpのPCR生成物はAOS及び13−HPLのcDNAの3′末端からの期待される生成物とサイズにおいて匹敵した。これらの生成物をpCR2.1中にサブクローニングし、かつ配列決定した。
【0086】
図5はメロンからのクローンA、クローンB及びクローンCによってコードされるアミノ酸配列のC−末端及びグァバ、トウガラシ及びバナナからの13−HPLのC−末端配列及びアマ、グアユール及びアラビドプシスからのAOSのC−末端配列の間の同一性を比較している。このアラインメントはクローンAが13−HPL配列と最も高いホモロジーを有することを示している。クローンB及びクローンCはAOSと13−HPLより高いホモロジーを有する。クローンBはクローンCよりもAOSと類似しており、かつ従ってクローンCはAOS又は13−HPLのいずれかとは最も異なる。
【0087】
B.5′−RACE
全体のRNAを前記のように多汁性のメロン果肉から調製した。5′−RACEのためのcDNA合成はクロンテックの手順(Clontech procedue)(マラソンcDNA増幅キット)を使用して達成された。プロトコールは製造元のプロトコールに従った。未熟なメロン果実からの1μgのmRNAを使用した。第1のPCRを、5′及び3′末端でマラソンアダプター配列でタグされたメロンcDNAを鋳型として使用して実施した。上流プライマーAP1をクローンAのための遺伝子特異的下流プライマー(5′−CCGTCAGCACCACCAAATCCTTC−3′(配列番号39))、クローンBのための遺伝子特異的下流プライマー(5′−CTGAACCGACCGCGACTGTGT−3′(配列番号41))及びクローンCのための遺伝子特異的下流プライマー(5′−TCCGCGTCGGCTCCACTGTC−3′(配列番号43))と一緒に使用した。アガロースゲル上で拡散した不鮮明なバンドとして移行する生成物は各クローンに関する第1のPCRにおいて得られた。第2のPCRを0.05μlの第1のPCR生成物を鋳型(50μlのPCR反応)として使用して実施した。上流プライマーはアダプターAP2(マラソンcDNA増幅キット)であり、かつ下流遺伝子特異的プライマーはクローンAのためには5′−GAACAGATAATCCAGCAGGGC−3′(配列番号40)、クローンBのためには5′−TCGCCCGTGAACCGATCAGGTA−3′(配列番号42)又はクローンCのためには5′−TCTCCCACGAACCTATCGCCCA−3′(配列番号44)であった。この第2のPCRはクローンAに関しては1000bp生成物を、クローンBに関しては1400bp生成物を、かつクローンCに関しては1200bp生成物を生成した。1000bp、1400bp及び1200bpのPCR生成物はAOS及び13−HPLのcDNAのサイズに基づく期待される生成物とサイズにおいて匹敵した。これらの生成物をベクター(pCR2.1、インビトロゲン)中にサブクローニングし、かつ配列決定した。
【0088】
クローンB及びクローンCの5′−RACE及び3′−RACEの生成物の配列決定の後に、遺伝子特異的プライマーをコーディング配列の推定される開始に相応し、かつ停止コドンに相応して合成した。クローンBに関してはNcoI及びEcoRI制限部位(ユニーク部位)を、以下のプライマー5′−GCCAT GGCCTCCATTGTCATTCCTTC−3′(配列番号45)(NcoI部位に下線及び下線のATGはMetをコードする)(5′−up)及び5′−GGAATTCTTAGTGATGGTGATGGTGATGGAAACTTGCTTTCTTTAG−3′(配列番号46)(EcoRI部位に下線及び下線のAGTコドンは停止コドンを表す)を使用してそれぞれ5′−末端及び3′−末端に組み込んだ。
【0089】
クローンCのために、ユニークなNdeI及びClaI制限部位を5′及び3′末端にそれぞれ、以下のプライマー5′−GCATATGGCTACTCCTTCTTCCTCCTC−3′(配列番号47)(NdeI部位に下線及び下線のATGはMetをコードする)(5′−up)及び5′−CATCGATTTAGTGATGGTGATGGTGATGATTAGTCATTAGCTTTAA−3′(配列番号48)(ClaI部位に下線及びAGTは停止コドンである)(3′−down)を使用して組み込んだ。NcoI部位はコーディング配列中に存在する。
【0090】
PCR反応を1μgのmRNA(前記の)から調製されたメロンcDNA及び配列番号45のヌクレオチド配列を有するプライマー及び配列番号46のヌクレオチド配列を有するプライマー又は配列番号47のヌクレオチド配列を有するプライマー及び配列番号48のヌクレオチド配列を有するプライマーをプライマーとして使用して開始した。これらの反応のためのアニーリング温度は60℃であり、クロンテックによるAdvantagecDNAポリメラーゼミックスを使用した。クローンBに関する1.6kbの生成物及びクローンCに関する1.4kbの生成物を増幅した。これらの生成物のそれぞれをベクター(pCR2.1)中にサブクローニングし、かつ配列決定した。クローンBのヌクレオチド配列は配列番号51として提供され、かつクローンCのヌクレオチド配列は配列番号7として提供される。
【0091】
クローンBの1.6kb生成物(図1において示されるメロンAOS、アミノ酸配列 配列番号52を有する)配列番号51及びクローンCの1.4kb生成物(図1において示されるメロンHPL、配列番号7を有する)によってコードされる推定されるアミノ酸配列をアマ(配列番号53)、グアユール(配列番号54)及びアラビドプシス(配列番号55)からのAOSのアミノ酸配列並びにグァバ(配列番号38)、バナナ(配列番号33)及びトウガラシ(配列番号32)からの13−HPLのアミノ酸配列と比較した。配列の開始(5′末端によってコードされる)は長さ及びアミノ酸配列における相当の変化を含み、次いで全ての配列が収束し、かつ緊密な関連性を示すようになる。クローンBは比較的短い5′末端を有するクローンCと比較してより長い5′−RACE生成物の根拠となる非常に長い5′末端を有する。
【0092】
得られる3′末端の配列比較によって、クローンAは公知の13−HPL酵素に最も類似している。クローンBはメロンAOSである。クローンCは9−ヒドロペルオキシドリアーゼである。
【0093】
例3.E.coliにおける発現
pCR2.1中のクローンBのcDNAをNcoI及びEcoRIで切断し、かつ発現ベクタープラスミドpET3d(これもNcoI及びEcoRIで消化した)中にサブクローニングした。pCR2.1中のクローンCのcDNAをNdeI及びClaIで切断し、かつ発現ベクタープラスミドpET3b(これもNdeI及びClaIで消化した)中にサブクローニングした。2つの異なる構築物を使用してE.coli株BL21(DE3)を形質転換し、クローンB及びクローンCの遺伝子産物を発現させる。これらの構築物は付加的なアミノ酸を有さない又は5′−末端の他の改変を有さない天然の植物の配列の細菌による発現をもたらす。
【0094】
発現のために、形質転換されたBL21細胞を37℃及び280rpmでLB培地(3ml、トリプトン(10g)、酵母エキス(5g)及びNaCl(10g)を1lの水に溶解させ、pHを7.0に調整し、かつオートクレーブにかけることによって調製される)中で一晩培養した。抗生物質カナマイシン(30mg)をオートクレーブにかけた後に無菌的に添加した。得られた培養の一部(0.2ml)を次いでテリフィックブロス(TB,10ml、バクトトリプトン(12g)、バクト酵母エキス(12g)及びグリセロール(4ml)を脱イオン水(900ml)中に溶解し、オートクレーブにかけ、次いで50μg/mlのアンピシリン、0.17MのKH2PO4及び0.72MのK2HPO4を含有する滅菌溶液(100ml)を添加することによって調製される)に移し、かつ260nmでの光学密度(OD260)が0.6に達するまで増殖させた。この培養を使用して50μg/mlのアンピシリンを含有する50mlのTBに接種し、次いで28℃及び200rpmに置き、ヘム前駆体、δ−アミノレブリミン酸(aminolevulimic acid)(1mM)を添加し、引き続き1時間後にインデューサーのIPTG(0.4mM)を添加した。誘導された培養を更に(4又は16時間)放置し、かつ細胞を遠心分離(4℃で5000rpmで7分間)によって回収した。沈殿した細胞をトリスHClバッファー(50mM、pH7.9)中に再懸濁させ、引き続き前記のように再遠心分離することによって洗浄した。
【0095】
得られた細胞のペレットを、スクロース(0.5M)、EDTA(0.5mM)及びリソザイム(1mg/ml)を含有するトリス酢酸バッファー(0.1M、pH7.6)中に再懸濁した。氷上で30分後に、該混合物を前記のように遠心分離し、スフェロプラストのペレットを得た。これらを、酢酸マグネシウム(6mM)、グリセロール(20%v/v)及びDTT(0.1mM)を含有するリン酸カリウムバッファー(0.1M、pH7.6)中に再懸濁し、かつ該混合物を−80℃で10分間放置する。これに引き続いてプロテアーゼインヒビターを添加し(PMSF、1mM)、細胞をソニケーション処理(2×30秒)した。SDS−PAGEによる発現生成物の分析はクローンB及びクローンCの両方に関してほとんど検出できるバンドを示さなかった。cDNAインサートを有さないベクターから生成するコントロールタンパク質と比較して、より少量のタンパク質が存在するが、それぞれの細菌溶解物は容易に測定可能な触媒活性を与える。脂肪酸ヒドロペルオキシド基質のUV−235nmの消失をモニタすることによって、1μl(<10μgの粗製タンパク質)の懸濁され、かつ溶解された細菌ペレットが1mlのUVキュベット中で反応を観察するために必要であった。
【0096】
例4.クローンCから得られた9−HPLの部分的な精製
9−HPL酵素を例3で議論したようにE.coli(BL21細胞)中で発現させたが、His−6タグを、配列番号31のヌクレオチド配列を使用してタンパク質のカルボキシル末端で発現させた。可溶化されたスフェロプラストの3つの50mlの細菌培養からの調製物をプールし、かつ製造元の指示に従ってニッケル−NTAカラム(キアゲンから購入)に適用した。該カラム(床容量1ml)をアプリケーションバッファー(50mMのグリシン及び0.1%のエマルホゲン(Emulphogen)を含有する)で洗浄し、次いで該酵素を40mMのヒスチジン及び0.1%のエマルホゲン界面活性剤を含有するアプリケーションバッファーを使用して溶出させた。プールされたフラクションを引き続き一晩透析し、ヒスチジンを除去した。これによって約5mlの溶液が得られ、これはSDS−PAGEでの分析によって主要なタンパク質成分として期待された55kDの9−HPLのバンドを含んでいた。部分的に精製された9−HPLのUV可視スペクトルは416nmで0.35AUの吸収を有するヘムタンパク質のメジャーなソレー帯を示した。
【0097】
例5.発現されたメロンのクローンCの触媒活性
A.室温、pH7.6での9S−ヒドロペルオキシリノール酸を使用する9−HPLの代謝回転数
測定は分光分析的アッセイ(235nmでの吸光度における減少)及び反応の初期速度を使用して実施した。基質として9S−ヒドロペルオキシリノール酸を使用する精製された9−HPL酵素の代謝回転数(酵素1分子あたりに形成される生成物分子の数)を公知の酵素濃度(416nmでのソレー極大で測定し、100000のモル吸光係数を使用する)及び基質濃度の測定された変化速度(共役ジエンの235nmでの23000のモル吸光係数を使用する)から算出した。得られた値は最も活性な9−HPLの調製物に関して1秒間に3000の代謝回転であった。
【0098】
この計算は反応の観察される初期速度に関連している。酵素が代謝回転依存性の失活を被るので該速度は時間とともに低下する。
【0099】
B.9S−ヒドロペルオキシリノール酸から、精製された9−HPL酵素によって形成される生成物の同定
精製された酵素(2μl中約0.4μg)を100μlのバッファー(リン酸カリウム、0.1M、pH7.6)中の3μgの「U−14C]9S−ヒドロペルオキシリノール酸と反応させた。反応が完了する室温での30秒後に、メタノール(200μl)を添加した。該溶液を混合し、ベンチトップ遠心分離器で簡単に回転させ、かつ上清をHPLCに注入した。
【0100】
HPLCシステムはBeckman Ultrasphere 5μmのODSカラム(25×0.46cm)、メタノール/水/氷酢酸(75/25/0.01、v/v/v)及び流速1.1ml/分を使用した。該カラムを、UV吸収化合物の検出のためにヒューレット・パッカード1040Aダイオードアレイ検出器(Hewlett-Packard 1040A diode array detector)に接続し、次いで溶出液を14C代謝物のプロフィールの記録のためにパッカードFlo−One放射活性オンライン検出器(Packard Flo-One radioactive on-line detector)に通した。
【0101】
不均一に14Cで標識された基質を2つの主要な放射線標識された生成物に変換し、これらは面積において等しかった。初期に溶出する生成物(3.5分の滞留時間で)はCG−MSによって引き続き9−オキソ−ノナン酸(以下参照)として同定され;この生成物は18個の炭素基質の最初の9個の炭素を表す。9分の滞留時間での第2の主要な生成物は厳密に滞留時間において3Z−ノネナールと一致した。この生成物は基質の炭素10〜18を表す。ピークにおける非常に小さい後方の肩、ピーク面積の約5%は基準の2E−ノネナールと一致した。
【0102】
C.9−オキソ−ノナン酸の同定
9−HPLと9S−ヒドロペルオキシリノール酸との反応から初期に溶出する生成物(3.5分の滞留時間)はUVにおける弱い最終吸収(end absorbance)のみを阻害する。この生成物を前記のHPLCシステムを使用して精製し、かつジエチルエーテルを有するカラム溶媒から抽出した。アリコートを20μlのメタノール中に再溶解させ、かつエーテル性のジアゾメタンで処理して、遊離酸をメチルエステルに変換した。このメチル化された試料の一部をピリジン中の2%メトキシルアミン塩酸(MOX)で試料を処理することによってメトキシム誘導体に変換した。
【0103】
2つの試料(メチルエステル及びメチルエステルメトキシム誘導体)を電子衝撃モードで、SPB−5融解石英キャピラリカラム(30m×0.25mmの内径)を備えたヒューレット・パッカード5890ガスクロマトグラフに接続されたFinnigan Icons50マススペクトロメーターを使用して作動されるGC−MS(ガスクロマトグラフィー−質量分析)によって分析した。これらの試料を50℃で注入し、かつ温度を引き続き10℃/分で300℃にプログラムした。これらの条件下に、9−オキソ−ノナン酸メチルエステルは13分の滞留時間で溶出した。質量スペクトルはm/z185(M+−H)、158(M+−CO)、155(M+−OCH3)、143(M+−CH2CHO)で特徴的なフラグメントを示し、m/z74及び87でメチルエステルマクラファティーフラグメントを示した。メチルエステルのMOX誘導体化は約14.5分で一緒に溶出されるsyn−及びanti−オキシム異性体からなる二重のガスクロマトグラフィーピークをもたらす。これらの質量スペクトルはイオン強度において僅かな差異を有する同一の主要なフラグメントイオンを示す。主要なイオンはm/z215(M+)、184(M+−NH2OCH3)、152(M+−NH2OCH3−CH3OH)、124(184−CH3CO2H)及び73(CH3−CNH−OCH3+)で検出された。
【0104】
D.3Z−ノネナールの同定
9S−ヒドロペルオキシリノール酸と精製された9−HPLとの反応物をヘキサンで抽出し、かつヘキサン抽出物のアリコートを前記のGC−MSシステムに注入した。2つのピークが3Z−ノネナール(約8分)及び2E−ノネナール(約9分)の基準のスタンダードの滞留時間で留出した。ピーク面積によって判断すれば、2つのアルデヒドは10:1の3Z対2Eの比で形成した。2つのアルデヒドの同定のために、3Z−ノネナールのスタンダードを化学的に合成し(例6参照)かつ2E−ノネナールをAldrich(Milwakee, WI)から購入した。9S−ヒドロペルオキシリノール酸との9−HPLの反応によって製造された両方のアルデヒドに関する質量スペクトルは基準のスタンダードと実質的に同一である。3Z−ノネナールはm/z140(M+)、122(M+−H2O)及び111(M+−CHO)において特徴的なフラグメントイオンを示すが、他方で2E−ノネナールはm/z139(M+−H)、122(M+−H2O)及び111(M+−CHO)でのイオンを示した。
【0105】
例6.3Z−ノネナールの化学合成
3Z−ノネナール合成をCorey及びSuggsの方法(1975)及びAndre及びFunkの方法(1986)の僅かな変更によって実施した。簡単にNaOAc緩衝された、塩化メチレン中のピリジニウムクロロクロメートの溶液に、塩化メチレン中に溶解された3Z−ノネノールを添加した。室温での撹拌の後に、ジエチルエーテルの添加によって反応を終了させ、かつ直ちにシリカゲルのカラムを通して濾過し、塩化メチレンで溶出させ、酸化剤を除去した。TLC分析は、3Z−ノネナールへの変換が約50%完了であることを示した。粗製生成物をオープンベッドクロマトグラフィーによって単離し、かつRP−HPLCによって精製した。精製の間の全ての段階において、3Z−ノネナールが4−ヒドロペルオキシ−2E−ノネナールに酸化しないように気をつけた。化学合成された3Z−ノネナールのGC−MS分析は、化学合成された3Z−ノネナールの質量スペクトルが特徴的なフラグメントイオンを示す基準のスタンダードと実質的に同一であることを示した。
【0106】
例7.粗製の細菌溶解物中の9−HPL酵素によって9S−ヒドロペルオキシリノール酸から形成される生成物の同定
細菌による発現の粗製溶解物を9−HPLの起源として使用する場合に、精製された酵素を使用して得られた生成物と比較して異なる生成物プロフィールが得られた。以下に記載される分析調査(特にトラッピング試験)は、最初の酵素による生成物が精製酵素を使用して特徴付けられた生成物と同一であるという結論に導いた。しかしながら粗製の細菌溶解物中で2種の一次酵素生成物の1つ、3Z−ノネナールは容易に酸化されて(恐らく非酵素的に)4−ヒドロキシ−2E−ノネナール(4−HNE)、4−ヒドロペルオキシ−2E−ノネナール(4−HPNE)及び9−オキソ−ノナン酸及び4−ヒドロペルオキシ−2E−ノネナールの間に形成されるヘミアセタール誘導体(ヘミアセタール)からなる3種のアルデヒドの混合物になった。3種の極性のアルデヒドの構造及び3Z−ノネナールからのそれらの形成を図6に示す。またこれは3Z−ノネナールの2E−ノネナールへのマイナーな異性体化を示し、後者は精製酵素又は粗製の細菌溶解物のいずれかを使用しても少量が観察される。粗製の細菌溶解物において、他の一次9−HPL生成物、9−オキソ−ノナン酸は主に未変換で回収される。少量のフラクションを図6に示されるようにヘミアセタールに変換する。
【0107】
メロン9−HPLを発現する粗製の細菌溶解物を使用して、9S−ヒドロペルオキシリノール酸との反応を酸素電極(該電極は時間に対する溶液中のO2濃度を記録する)を使用してモニタした。酸素電極の閉鎖された2mlのセル中でインキュベーションを実施することによって、9S−ヒドロペルオキシリノール酸と粗製溶解物からの9−HPLの反応が溶液中でのO2濃度の低下と関連があることが観察された。O2濃度の低下はO2と3Z−ノネナールとが反応して、3種の極性アルデヒドが得られることに相当する。定量的に、O2濃度の低下(消費されたナノモルのO2)はHPLC分析によって検出された極性アルデヒド誘導体のナノモルにほぼ相当した。粗製の酵素調製物との対比によって、精製された9−HPLと9S−ヒドロペルオキシリノール酸との反応は、溶液中の不変のO2濃度と関連した。
【0108】
メロン9−HPLを発現する粗製の細菌溶解物を使用して9S−ヒドロペルオキシリノール酸との反応をO2電極を使用するか、又は前記のような235nmでの分光分析によってモニタした。次いで該溶液をC18抽出カートリッジ(Bond-Elut,Varian)を使用して抽出し、かつジエチルエーテルを使用して溶出させた。エーテル抽出物を蒸発させて乾燥させ、かつHPLCによって分析した。放射線標識された生成物のプロフィールを、[1−14C]9S−ヒドロペルオキシリノール酸(炭素−1において14C)及び[U−14C]9S−ヒドロペルオキシリノール酸(全ての18炭素で均一に14C)を基質として使用して得た。UV吸収材料のプロフィールを205nm及び220nmでのモニタリングによって検出した。1−14C基質を使用する場合、基質の炭素−1を保持する生成物だけが放射線標識され(すなわち9−オキソ−ノナン酸及びヘミアセタール生成物)、かつU−14C基質からは、全ての生成物が放射線標識された。
【0109】
1−14C及び均一に標識された14C基質の両方から形成される最も高い放射線標識ピークは9−オキソ−ノナン酸として同定された。これは本来の基質の炭素1−9に相当し、かつこの9−HPLの一次アルデヒド生成物は主にインキュベーションからインタクトに回収される。少量が図6に示されるようにヘミアセタールに変換される。
【0110】
3種の生成物は3Z−ノネナールの最初の酸化を介して得られる。3Z−ノネナールを酸化させて、まず4−ヒドロペルオキシ−2E−ノネナール(4−HPNE)を形成することは、恐らく粗製の細菌溶解物中で簡単に生じる非酵素的反応である。4−HPNEは4−HNEに部分的に還元される。また4−HPNEは9−オキソ−ノナン酸と反応して、ヘミアセタール誘導体を形成する(図6)。
【0111】
例8.粗製の細菌溶解物中の9−HPLの一次生成物が9−オキソ−ノナン酸及び3Z−ノネナールであることの証拠
この一連の試験のために、粗製の9−HPLとの反応の前に、バッファー中の酸素濃度をゼロに減らす。これはナトリウムジチオナイトの溶液の少量のアリコートを添加することによって達成し、他方でO2濃度を酸素電極を使用してモニタする。
【0112】
酸素が枯渇したバッファーを使用して、9−HPLと9S−ヒドロペルオキシリノール酸との反応速度はO2の不在によって低下しないことが示された。これは分光分析アッセイを使用して証明された(235nmでのUV吸収の消失速度)。
【0113】
[U−14C]9S−ヒドロペルオキシリノール酸(40μg)と粗製の細菌溶解物からの9−HPLとの反応をO2枯渇したバッファー中で酸素電極の2mlのセル中で実施した。反応がほとんど完了すると期待される1分後に、新たに調製されたNaBH4の10mg/ml溶液50μlを注入し、かつ還元反応を5分間進行させた。この手順はアルデヒドを相応のアルコール(9−ヒドロキシ−ノナン酸及び3Z−ノネノール)として還元(かつそれにより安定化された)。
【0114】
2mlの溶液を引き続きC18抽出カートリッジ(Bond-Elut,Varian)を使用して抽出し、かつ生成物をジエチルエーテルでの溶出によって回収した。50μgの未標識の基準の3Z−ノネノール及び50μgの2E−ノネノール(Aldrichから入手)を試料のアリコートに添加し、次いで該試料をHPLCによって分析した。
【0115】
1つのクロマトグラムは放射線標識された生成物を示し、かつもう1つのクロマトグラムは205nmでのUVプロフィールを示した。UVクロマトグラムにおける2つのメインピークは2つの添加されたスタンダードに相当し、従って3Z−ノネノール及び2E−ノネノールの正確な滞留時間を達成した。UVクロマトグラムにおける後方のピークは使用されない基質(9−ヒドロキシ−リノール酸)及びその10トランス−12トランスの異性体の還元生成物に相当し、これらは本来の基質のマイナーな汚染物であることがある。
【0116】
14Cクロマトグラムは9−ヒドロキシ−ノナン酸、一次酵素生成物のNaBH4−還元生成物、9−オキソ−ノナン酸として同定される3分で早くに溶出するピークを示した。8.8分で溶出する第2の放射線標識されたメインピークは3Z−ノネノール、3Z−ノネナールのNaBH4−還元生成物に相当した。2E−ノネノールはNaBH4−トラッピング実験においては検出されなかった。このことは相応のアルデヒド、2E−ノネナールは一次酵素生成物であるが、むしろ非酵素的な異性体化によって形成されることを暗示している。NaBH4−トラッピング実験においては、その形成は3Z−ノネナールのより安定なアルコールへの迅速な変換の故に低減された。
【0117】
トラッピング実験の結果は、粗製の細菌溶解物中の9−HPLの活性が9S−ヒドロペルオキシ−リノール酸の2つの一次アルデヒド、9−オキソ−ノナン酸及び3Z−ノネナールへの変換に限定されることを示している。粗製の細菌溶解物中の9−HPLの反応から回収された他のアルデヒドは一次生成物と分子の酸素との引き続いての反応によるか、又は2E−ノネナールの異性体化によって形成された。
【0118】
例9.4−ヒドロペルオキシ−2E−ノネナール(4−HPNE)及び4−ヒドロキシ−2E−ノネナール(4−HNE)の同定
例7に記載されたインキュベーションから、4−HPNEは逆相HPLCによって単離され、かつ1H−NMR分光法(9.58ppm、d,J=7.8、H1;6.9ppm、dd,J=15.9、6.2、H3;6.25、ddd,J=15.9、7.8、1.2、H2;4.6ppm、q(幾つかの微細構造を有する),J>>6.5、H4)によって特徴付けられた。4−ヒドロキシ−2E−ノネナール(4−HNE)の形成はまた、4−HPNEの非特異的な還元によって形成され、微生物溶解物中でみられた(例7参照)。酵素インキュベーションから回収された4−HNEはそのUVスペクトル及びHPLC滞留時間においてCayman Chemical Co.(Ann Arbor, MI)から得られる4−HNEの基準の試料と同一であった。
【0119】
4−HPNEの質量分析法のために、アリコートを、トリフェニルホスフィンを使用して還元して、相応のアルコール、4−HNEにし、かつHPLCによって再精製した。前記のGC−MSシステムを使用して4−HNEを直接及びBSTFAでの処理の後に分析し、トリメチルシリルエーテル誘導体を得た。誘導体化されていない4−HNEに関して得られたフラグメントイオンは文献(Gardner et al., 1992)における報告と一致している。特に、以下のフラグメントイオンが観察された:m/z138(M+−H2O)、127(M+−CHO)、109(M+−CHO−H2O)、99、86及び85。トリメチルシリルエーテル誘導体はm/z199(M+−CHO)、157(CHO−C2H2−CH−OSi(CH3)3+)及び129(CHO−C2H2−CH−OSi(CH3)3+−CO)において診断イオンを示した。
【0120】
本明細書を通して、種々の文献を引用している。これらの文献の開示は参照することにより本願にその全体が記載され、その発明の関連する分野の状態をより完全に記載するものとする。
【0121】
【外1】
【0122】
【外2】
【0123】
【外3】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、グァバ−HPL、バナナ−HPL、トウガラシ−HPL、アラブ−AOS、アマ−AOS、グアユール−AOS、メロンAOS、及びメロン9−HPLのための全長のアミノ酸配列を示している。
【図2】 図2のAはメロンcDNA及び他のHPL及びAOSに基づく縮重プライマーが結合して、150bp及び70bpのメロンからクローニングされた生成物を生成する領域を示し、図2のBはグァバ−HPL、バナナ−HPL、トウガラシ−HPL、アラブ−AOS、アマ−AOS、グアユール−AOS、メロンAOS、及びメロン9−HPLからの部分アミノ酸配列のアラインメントを示している。
【図3】 図3はメロンHPL及びAOSの150bp及び70bpを得るために使用される縮重プライマーの配列を示している。
【図4】 図4はメロンHPL及びAOSの3つの異なる150bpのクローンのアミノ酸配列のアラインメントを示している。
【図5】 図5はメロンからのクローンA、クローンB及びクローンCの3′末端によってコードされる部分アミノ酸配列及びグァバ、トウガラシ及びバナナからの13−HPL及びアマ、グアユール及びアラビドプシスからのAOSのC末端配列の間の同一性を比較している。
【図6】 図6はメロン9−HPL:9−オキソノナン酸及び3Z−ノネナールの存在下での9S−ヒドロペルオキシリノール酸の2つの一次酵素生成物の図を示している。
【配列表】
Claims (9)
- 9-ヒドロペルオキシド基質及び13-ヒドロペルオキシド基質に対する分解活性を有し、配列番号7のアミノ酸配列を含む、単離された脂肪酸ヒドロペルオキシドリアーゼ。
- ストリンジェントな条件下でCucumis sativus中に存在するリアーゼをコードする核酸とハイブリダイズせず、配列番号8の核酸とハイブリダイゼーションのストリンジェントな条件に特異的にハイブリダイズする、核酸によってコードされる請求項1記載のリアーゼ。
- リアーゼがCucumis meloから単離されたタンパク質中に存在するアミノ酸配列を含む、請求項1記載のリアーゼ。
- 請求項1記載のリアーゼをコードする単離された核酸。
- 配列番号8に記載される核酸配列を有する、請求項4記載の核酸。
- 請求項4に記載の核酸を有するベクター。
- 請求項4に記載の核酸を有する外因性核酸を有する細胞。
- (9S,10E,12Z)9-ヒドロペルオキシオクタデカ-10,12-ジエン酸又は(9S,10E,12Z,15Z)9-ヒドロペルオキシオクタデカ-10,12,15-トリエン酸をC9−アルデヒド及びC9−オキソノナン酸に分解する方法において、請求項1に記載のリアーゼを(9S,10E,12Z)9-ヒドロペルオキシオクタデカ-10,12-ジエン酸又は(9S,10E,12Z,15Z)9-ヒドロペルオキシオクタデカ-10,12,15-トリエン酸と接触させることを特徴とする方法。
- (9Z,11E,13S)13-ヒドロペルオキシオクタデカ-9,11-ジエン酸又は(9Z,11E,13S,15Z)13-ヒドロペルオキシオクタデカ-9,11,15-トリエン酸をC6−アルデヒド及びC12−オキソカルボン酸に分解する方法において、請求項1記載のリアーゼを(9Z,11E,13S)13-ヒドロペルオキシオクタデカ-9,11-ジエン酸又は(9Z,11E,13S,15Z)13-ヒドロペルオキシオクタデカ-9,11,15-トリエン酸と接触させることを特徴とする方法。
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