以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施の形態における制御装置100が搭載される車両1を模式的に示した模式図である。なお、図1の矢印FWDは、車両1の前進方向を示す。また、図1では、全車輪2に所定の舵角が付与された状態が図示されている。
まず、車両1の概略構成について説明する。車両1は、図1に示すように、車体フレームBFと、その車体フレームBFに支持される複数(本実施の形態では4輪)の車輪2と、それら各車輪2を独立に回転駆動する車輪駆動装置3と、各車輪2を独立に操舵駆動するアクチュエータ装置4とを主に備えている。
第1実施の形態における車両1は、複数の車輪2の操舵状態を図1に示す駐車制動配置とすることで、駐車ブレーキをかけることができるように構成されている。
即ち、運転者が駐車ブレーキスイッチ33をオンすると、アクチュエータ装置4が各車輪2を操舵駆動して、これら複数の車輪2の操舵状態を駐車制動配置に移行させる。これにより、各車輪2の接地面を含む平面上の全方向に抵抗力が発生するので、かかる抵抗力を駐車ブレーキとして利用して、車両1を停車位置から動き出さないように固定することができる。
次いで、各部の詳細構成について説明する。車輪2は、図1に示すように、車両1の進行方向前方側に位置する左右の前輪2FL,2FRと、進行方向後方側に位置する左右の後輪2RL,2RRとの4輪を備え、これら前後輪2FL〜2RRは、ステアリング装置20,30により操舵可能に構成されている。
ステアリング装置20,30は、各車輪2を操舵するための操舵装置であり、図1に示すように、各車輪2を揺動可能に支持するキングピン21と、各車輪2のナックルアーム(図示せず)に連結されるタイロッド22と、そのタイロッド22にアクチュエータ装置4の駆動力を伝達する伝達機構部23とを主に備えて構成されている。
アクチュエータ装置4は、上述したように、各車輪2を独立に操舵駆動するための操舵駆動装置であり、図1に示すように、4個のアクチュエータ(FL〜RRアクチュエータ4FL〜4RR)を備えて構成されている。運転者がハンドル51を操作した場合には、アクチュエータ装置4の一部(例えば、前輪2FL,2FRのみ)又は全部が駆動され、ハンドル51の操作量に応じた舵角が付与される。
また、運転者によるハンドル操作が行われていない場合であっても、例えば、駐車ブレーキスイッチ33がオンされた場合には、各車輪2に対応するアクチュエータ装置4(FL〜RRアクチュエータ4FL〜4RR)が駆動され、車輪2の操舵状態が駐車制動配置に移行される。
このように、アクチュエータ装置4による車輪2の操舵駆動は、ハンドル51の操作に起因し、旋回を目的として行われる場合と、ハンドル51の操作の有無に関わらず、車輪2の操舵状態を駐車制動配置とする(即ち、駐車ブレーキをかける)ことを目的として行われる場合との2種類があり、本実施の形態では前者を旋回制御と称し、後者を駐車制御と称す。なお、駐車制御の詳細については、後述する(図3参照)。
ここで、本実施の形態では、FL〜RRアクチュエータ4FL〜4RRが電動モータで構成されると共に、伝達機構部23がねじ機構で構成される。電動モータが回転されると、その回転運動が伝達機構部23により直線運動に変換され、タイロッド22に伝達される。その結果、各車輪2がキングピン21を揺動中心として揺動駆動され、各車輪2に所定の舵角が付与される。
車輪駆動装置3は、各車輪2を独立に回転駆動するための回転駆動装置であり、図1に示すように、4個の電動モータ(FL〜RRモータ3FL〜3RR)を各車輪2ごとに(即ち、インホイールモータとして)配設して構成されている。運転者がアクセルペダル53を操作した場合には、各車輪駆動装置3から回転駆動力が各車輪2に付与され、各車輪2がアクセルペダル53の操作量に応じた回転速度で回転される。
制御装置100は、上述のように構成された車両1の各部を制御するための制御装置であり、例えば、アクセルペダル53やブレーキペダル53が操作された場合などには、車輪駆動装置3の駆動制御を行う一方、ハンドル51や駐車ブレーキスイッチ33が操作された場合などには、アクチュエータ装置4の駆動制御(旋回制御、駐車制御)を行う。
次いで、図2を参照して、制御装置100の詳細構成について説明する。図2は、制御装置100の電気的構成を示したブロック図である。
制御装置100は、図2に示すように、CPU71、ROM72及びRAM73を備え、これらはバスライン74を介して入出力ポート75に接続されている。また、入出力ポート75には、車輪駆動装置3等の複数の装置が接続されている。
CPU71は、バスライン74により接続された各部を制御する演算装置である。ROM72は、CPU71により実行される制御プログラム(例えば、図3に図示される駐車制御処理のフローチャート)や固定値データ等を格納した書き換え不能な不揮発性のメモリであり、RAM73は、制御プログラムの実行時に各種のワークデータやフラグ等を書き換え可能に記憶するためのメモリである。
ここで、ROM72には、図2に示すように、駐車制動配置テーブル72aが設けられている。駐車制動配置テーブル72aは、駐車制動配置時の各車輪2の操舵状態(舵角)を記憶したテーブルである。CPU71は、運転者により駐車ブレーキスイッチ33がオンされると、駐車制動配置テーブル72aの内容に基づいて、各車輪2の操舵状態を駐車制動配置に移行させる。
一方、RAM73には、図2に示すように、停車時配置メモリ73aと、ブレーキフラグ73bとが設けられている。停車時配置メモリ73aは、駐車制動配置に移行される前(即ち、駐車ブレーキがかけられる前)の各車輪2の操舵状態(操舵角)を停車時配置として記憶するためのメモリである。CPU71は、運転者により駐車ブレーキスイッチ33がオフされると、停車時配置メモリ73aから停車時配置を読み出し、各車輪2の操舵状態を駐車制動配置から停車時配置に復帰させる。
また、ブレーキフラグ73bは、各車輪2の操舵状態が駐車制動配置にあるか否か(即ち、駐車ブレーキがかけられているか否か)を示すためのフラグであり、各車輪2の操舵状態が駐車制動配置に移行された場合には「1」に設定され(図3S8参照)、駐車制動配置が解除された場合(即ち、停車時配置に移行された場合)には「0」に設定される(図3S12参照)。
車輪駆動装置3は、上述したように、各車輪2(図1参照)を回転駆動するための装置であり、各車輪2に回転駆動力を付与する4個のFL〜RRモータ3FL〜3RRと、それら各モータ3FL〜3RRをCPU71からの命令に基づいて駆動制御する駆動回路(図示せず)とを備えている。
また、アクチュエータ装置4は、上述したように、各車輪2を操舵駆動するための装置であり、各車輪2に操舵駆動力を付与する4個のFL〜RRアクチュエータ4FL〜4RRと、それら各アクチュエータ4FL〜4RRをCPU71からの命令に基づいて駆動制御する駆動回路(図示せず)とを備えている。
舵角センサ装置31は、各車輪2の舵角を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、各車輪2の舵角をそれぞれ検出する4個のFL〜RR舵角センサ31FL〜31RRと、それら各舵角センサ31FL〜31RRの検出結果を処理してCPU71に出力する処理回路(図示せず)とを備えている。
なお、本実施の形態では、各舵角センサ31FL〜31RRが各伝達機構部23にそれぞれ設けられ、その伝達機構部23において回転運動が直線運動に変換される際の回転数を検出する非接触式の回転角度センサとして構成されている。この回転数は、タイロッド22の変位量に比例するので、CPU71は、舵角センサ装置31から入力された検出結果(回転数)に基づいて、各車輪2の舵角を得ることができる。
ここで、舵角センサ装置31により検出される舵角とは、各車輪2の中心線と車両1(車体フレームBF)の基準線(各線ともに図示せず)とがなす角度であり、車両1の進行方向とは無関係に定まる角度である。
車両速度センサ装置32は、路面に対する車両1の対地速度(絶対値及び進行方向)を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、前後及び左右方向加速度センサ32a,32bと、それら各加速度センサ32a,32bの検出結果を処理してCPU71に出力する処理回路(図示せず)とを備えている。
前後方向加速度センサ32aは、車両1(車体フレームBF)の前後方向(図1上下方向)の加速度を検出するセンサであり、左右方向加速度センサ32bは、車両1(車体フレームBF)の左右方向(図1左右方向)の加速度を検出するセンサである。なお、本実施の形態では、これら各加速度センサ32a,32bが圧電素子を利用した圧電型センサとして構成されている。
CPU71は、車両速度センサ装置32から入力された各加速度センサ32a,32bの検出結果(加速度値)を時間積分して、2方向(前後及び左右方向)の速度をそれぞれ算出すると共に、それら2方向成分を合成することで、車両1の対地速度(絶対値及び進行方向)を得ることができる。
駐車ブレーキスイッチ33は、駐車制動配置への移行とその解除とを指示するためのスイッチであり、CPU71は、駐車ブレーキスイッチ33が運転者によりオンされた場合に駐車制動配置への移行(駐車ブレーキによる制動)が指示されたと判断する一方、オフされた場合に駐車制動配置の解除が指示されたと判断する(図3S2参照)。
なお、駐車ブレーキスイッチ33は、オン及びオフの状態をそれぞれ維持可能なロックタイプスイッチにより構成されている。例えば、運転者によってオフからオンの状態へ切り替えられると、次にオフへ切り替えられるまで、オンの状態が維持され、入出力ポート75には、オンの入力状態が維持される。
図2に示す他の入出力装置35としては、例えば、ハンドル51、ブレーキペダル52及びアクセルペダル53(いずれも図1参照)の操作状態(回転角や踏み込み量、操作速度など)を検出するための操作状態検出センサ装置(図示せず)が例示される。
次いで、図3を参照して、本発明の駐車制御について説明する。なお、駐車制御とは、上述した通り、車両1が停車場所から動き出さないように、車輪2の操舵状態を駐車制動配置とする(即ち、駐車ブレーキをかける)ことを目的として、車輪2を操舵駆動するための制御であり、車両1の旋回を目的とする上述した旋回制御と区別される。
図3は、駐車制御処理を示すフローチャートである。この処理は、制御装置100の電源が投入されている間、CPU71によって繰り返し(例えば、0.5秒間隔で)実行される処理である。
CPU71は、駐車制御処理に関し、まず、車両1が停車中であるか否かを判断する(S1)。その結果、停車中ではないと判断される場合には(S1:No)、車両1が走行状態にあり、各車輪2の操舵状態を駐車制動配置に移行させる(即ち、駐車ブレーキをかける)ことができないので、この駐車制御処理を終了する。
なお、車両1が停車中か否かは、上述した車両速度センサ装置32(図2参照)の検出結果(対地速度)に基づき判断することができる。
一方、S1の処理において、車両1が停車中であると判断される場合には(S1:Yes)、次いで、駐車ブレーキスイッチ33がオンされているか否かを判断する(S2)。なお、上述したように、駐車ブレーキスイッチ33のオンは、運転者が駐車制動配置への移行(即ち、駐車ブレーキをかけること)を指示しているということであり、駐車ブレーキスイッチ33のオフは、運転者が駐車制動配置の解除(即ち、駐車ブレーキの解除)を指示しているということである。
S2の処理において、駐車ブレーキスイッチ33がオンされていると判断される場合には(S2:Yes)、次いで、ブレーキフラグ73bの値が「0」であるか否かを判断する(S3)。なお、上述したように、ブレーキフラグ73bが「1」である場合には、各車輪2の操舵状態が駐車制動配置に移行されていることを意味し、「0」である場合には、駐車制動配置が既に解除されている(即ち、停車時配置に復帰されている)ことを意味する。
従って、S2及びS3の処理において、駐車ブレーキスイッチ33がオンされ、かつ、ブレーキフラグ73bが「0」ではない(即ち、「1」である)と判断される場合には(S2:Yes、S3:No)、運転者により駐車制動配置への移行(即ち、駐車ブレーキをかけること)が指示されているが、その駐車制動配置への移行が既に完了している(即ち、駐車ブレーキが既にかけられている)ということなので、この駐車制御処理を終了する。
これに対し、S2及びS3の処理において、駐車ブレーキスイッチ33がオンされ、かつ、ブレーキフラグ73bが「0」であると判断される場合には(S2:Yes、S3:Yes)、運転者により駐車制動配置への移行(即ち、駐車ブレーキをかけること)が指示されているが、その駐車制動配置への移行が未だ完了していない(即ち、駐車ブレーキが未だかけられていない)ということなので、駐車制動配置への移行を行うべく、S4以降の処理を実行する。
なお、この場合には(S2:Yes、S3:Yes)、駐車制動配置への移行を行う前に、まず、現在の各車輪2の舵角を検出し(S4)、その検出した現在の各車輪2の舵角(操舵状態)を停車時配置として停車時配置メモリ73aに記憶する(S5)。
これにより、後述するように、駐車制動配置の解除(即ち、駐車ブレーキの解除)が運転者に指示された場合には、停車時配置メモリ73aの内容に基づいて、駐車制動配置へ移行する前の状態(停車時配置)へ各車輪2の操舵状態を復帰させることができる(S10及びS11参照)。
S5の処理を実行した後は、次いで、駐車制動配置テーブル72aから駐車制動配置(即ち、各車輪2の操舵状態)を読み出して、その読み出した内容に基づき、各車輪2の操舵状態(舵角)を決定する(S6)。そして、S6の処理において決定した舵角を目標値として、アクチュエータ装置4を制御することで、各車輪2の操舵状態を駐車制動配置へ移行させる(S7)。
ここで、本実施の形態における駐車制動配置は、図1に示すように、前輪2FL,2FRがトーアウト傾向となる一方、後輪2RL,2RRがトーイン傾向となるように設定されている。なお、本実施の形態では、各車輪2の舵角の絶対値が全て同じ角度(例えば、45度)とされている。
これにより、例えば、車両1に前後方向又は左右方向(図1上下方向又は左右方向)への外力が作用した場合には、左右の前輪2FL,2FRのトーアウト傾向と、左右の後輪2RL,2RRのトーイン傾向とにより、これら各車輪2が非自由転動状態となることで、前記外力に対する抵抗力を発生させることができる。
また、例えば、車両1に斜め方向(例えば、左側の前輪2FLと右側の後輪2RRとを結ぶ方向)への外力が作用した場合には、右側の前輪2fRと左側の後輪2RLとが非自由転動状態となることで、前記外力に対する抵抗力を発生させることができる。
このように、本発明によれば、各車輪2の操舵状態を駐車制動配置とすることで、車輪2の接地面を含む平面上の全方向へ抵抗力を発生させることができるので、かかる抵抗力をいわゆる駐車ブレーキとして利用して、車両1を停車位置に確実に固定する(動き出さないようにする)ことができる。
その結果、従来の駐車ブレーキでは、ワイヤーの伸びに起因して発生するブレーキレバー等の遊びを定期的に調整する必要があったのに対し、本発明では、かかる調整作業を不要として、メンテナンス性の向上を図ることができる。
また、従来の駐車ブレーキを油圧方式で構成した場合には、ブレーキ油圧の内部リークに起因して、車輪への制動力を長時間にわたって保持することができなかったのに対し、本発明では、アクチュエータ装置4が機械式として構成されているので、駐車制動配置の状態、即ち、駐車ブレーキをかけた状態を長時間にわたって安定して保持することができる。
また、従来の駐車ブレーキでは、坂道駐車でワイヤーが切れた場合など、故障時の安全性を保つためのフェールセーフ機能を設けることが困難で信頼性に欠けるという問題点があったのに対し、本発明では、駐車ブレーキ(駐車制動配置)とは別に各車輪2にブレーキ装置(例えば、ディスクブレーキやドラムブレーキなどの摩擦力を利用するもの)を更に設けることもできるので、例えば、駐車制動配置を維持することができなくなった場合にはブレーキ装置が、ブレーキ装置が破損等した場合には駐車制動配置が、それぞれ駐車ブレーキとして機能するので、フェールセーフ機能を確保して、信頼性の向上を図ることができる。
更に、本発明では、各車輪2の操舵状態を駐車制動配置とすることで、上述した通り、平面上のいずれの方向(全方向)へも抵抗力を発生させることができるので、車両1の盗難防止効果の向上を図ることもできる。
S7の処理において、各車輪2の操舵状態を駐車制動配置へ移行させた後は、この駐車制動配置への移行が既に完了している(即ち、駐車ブレーキが既にかけられている)ことを示すために、ブレーキフラグ73bの値を「1」に設定して(S8)、駐車制御処理を終了する。
一方、S2の処理において、駐車ブレーキスイッチ33がオンされていない(即ち、オフである)と判断される場合には(S2:No)、次いで、ブレーキフラグ73bの値が「1」であるか否かを判断する(S9)。
これらS2及びS9の処理において、駐車ブレーキスイッチ33がオフされ、かつ、ブレーキフラグ73bが「1」ではない(即ち、「0」である)と判断される場合には(S2:No、S9:No)、運転者により駐車制動配置の解除(即ち、駐車ブレーキの解除)が指示されているが、その駐車制動配置の解除が既に完了している(即ち、駐車ブレーキが既に解除されている)ということなので、この駐車制御処理を終了する。
これに対し、S2及びS9の処理において、駐車ブレーキスイッチ33がオフされ、かつ、ブレーキフラグ73bが「1」であると判断される場合には(S2:No、S9:Yes)、運転者により駐車制動配置の解除(即ち、駐車ブレーキの解除)が指示されているが、その駐車制動配置の解除が未だ完了していない(即ち、駐車ブレーキが未だ解除されていない)ということなので、駐車制動配置の解除を行うべく、S10以降の処理を実行する。
なお、この場合(S2:No、S9:Yes)、駐車制動配置の解除は、まず、S4及びS5の処理で記憶した停車時配置(各車輪2の舵角)を停車時配置メモリ73aから読み出し(S10)、その読み出した舵角を目標値として、アクチュエータ装置4を制御して、各車輪2の操舵状態を停車時配置に復帰させることにより行われる(S11)。
これにより、運転者は、煩雑なハンドル操作を行うことなく、駐車後の再発進をスムーズに行うことができる。
例えば、前後の車両との間隔が狭いスペースに縦列駐車するような場合には、車輪2に大きな舵角(例えば、すえぎり状態まで)を付与して車両1を駐車スペースへ入り込ませるため、再発進時にも同じだけの舵角を車輪2に付与する必要がある。
そのため、駐車制動配置の解除時に、例えば、各車輪2が直進状態に復帰されてしまうと、運転者は、駐車スペースから抜け出る際に、ハンドル51を再度大きく操作する必要が生じてしまう。そこで、本発明のように、各車輪2を停車時配置に復帰させることができれば、運転者に再度のハンドル操作を行わせることなく、狭い駐車スペースからでも車両1をスムーズに再発進させることができる。
S11の処理において、駐車制動状態を解除した後は、この駐車制動配置の解除が既に完了している(即ち、駐車ブレーキが解除されている)ことを示すために、ブレーキフラグ73bの値を「0」に設定して(S12)、駐車制御処理を終了する。
次いで、図4を参照して、第2実施の形態について説明する。図4は、第2実施の形態における駐車制御処理を示すフローチャートである。
第1実施の形態では、車両1が停車してから、駐車制動配置への移行が開始されたが、第2実施の形態では、車両1が走行中であっても、その対地速度が基準速度値以下であれば、例えば、対地速度の減速と共に各車輪2の操舵状態を徐々に変化させ、車両1の停車時に駐車制動配置へ完全に移行させる。なお、上記した第1実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
CPU71は、駐車制御処理に関し、まず、駐車ブレーキモードがオンであるか否かを判断する(S21)。ここで、駐車ブレーキモードのオン・オフとは、各車輪2の操舵状態を駐車制動配置へ移行させる駐車制御を行うか否かを示すものであり、オン(オフ)であれば、駐車制御を行う(行わない)ことを意味する。
なお、本実施の形態では、駐車ブレーキモードのオン・オフが運転者により任意に選択可能とされている。車両1には、駐車ブレーキモードのオン・オフを設定するためのロックタイプスイッチ(図示せず)が設けられており、そのロックタイプスイッチを運転者がオン・オフすると、その操作状態がCPU71により検出され、駐車ブレーキモードのオン・オフが判断される。
S21の処理において、駐車ブレーキモードがオンではない(即ち、オフである)と判断される場合には(S21:NO)、駐車制御を行わないモードを運転者が選択しているということなので、この駐車制御処理を終了する。
一方、S21の処理において、駐車ブレーキモードがオンであると判断される場合には(S21:Yes)、駐車制御を行うモードを運転者が選択しているということなので、駐車制御を行うべく、S22以降の処理を実行する。
まず、車両1の対地速度を検出し(S22)、その検出した対地速度が基準速度(本実施の形態では、時速5km)以下であるか否かを判断する(S23)。その結果、検出した対地速度が基準速度値よりも大きな値である場合には(S23:No)、駐車制御を行うことができる速度まで車両1が減速されていないか、車両1が基準速度値を越える速度まで既に加速されており、駐車制御を行う必要がないということであるので、この駐車制御処理を終了する。
なお、車両1の対地速度は、上述したように、車両速度センサ装置32(図2参照)により検出することができる。また、基準速度値は、ROM72内に固定値データとして予め記憶されている。
一方、S23の処理において、車両1の対地速度が基準速度以下であると判断される場合には(S23:Yes)、駐車制御を行うことができる速度まで車両1が減速されたか、車両1が基準速度値を越える速度まで未だ達しておらず、駐車制御を行う必要があるということである。
よって、この場合には(S23:Yes)、まず、検出した対地速度に基づいて各車輪2の舵角を決定し(S24)、次いで、その決定された舵角を目標値として、アクチュエータ装置4を制御することで、各車輪2の操舵状態を変化させ(S25)、この駐車制御処理を終了する。
ここで、S24の処理では、車両1が減速状態にあれば、車両1の対地速度の値が小さくなるに従って、各車輪2の操舵状態(舵角)を現在の操舵状態から駐車制動配置に近づけると共に、対地速度が0となった(即ち、車両1が停車した)時点で各車輪2の操舵状態が駐車制動配置に一致するように、各車輪2の舵角が決定される。
また、車両1が加速状態にあれば、車両1の対地速度の値が大きくなるに従って、各車輪2の操舵状態を現在の操舵状態からハンドル51の操作状態に応じた操舵位置に近づけると共に、対地速度が基準速度値に達した時点で各車輪2の操舵状態がハンドル51の操作状態に応じた操舵位置に一致するように、各車輪2の舵角が決定される。
これにより、例えば、車両1が下り坂で停車する場合には、各車輪2の操舵状態を、車両1の対地速度に応じて、徐々に駐車制動配置に近づけることができるので、車両1の停車をスムーズに行うことができる。同時に、各車輪2が駐車制動配置となることで(図1参照)、停車平面上の全方向に抵抗力を発生させることができるので、車両1を停車位置に安全に停車させることができる。
更に、この場合には、運転者は、減速操作(例えば、アクセルペダル53を戻す操作や、ブレーキペダル52を踏み込む操作)を行うだけで、車両1を停車させ、かつ、駐車ブレーキをかけるという2動作を一度に行うことができる。即ち、車両1の停車後にブレーキレバーを引き上げる等といった操作を別途行うことが不要となり、運転者の操作負担の軽減を図ることができる。
一方、例えば、車両1を上り坂で停車させた後に再度発進させる坂道発進では、各車輪の操舵状態を、車両1の対地速度に応じて、ハンドル51の操作状態に応じた操舵位置(例えば、ハンドル51が直進を指示する操作状態にあれば、各車輪2を直進状態)に近づけることができるので、坂道発進をスムーズに行うことができる。
即ち、従来品、特にマニュアル車においては、アクセルペダルとクラッチペダルとの操作と連動して、駐車ブレーキの解除操作(ブレーキレバーを戻す操作)を更に行う必要があったため、高度な操作技術が必要とされた。これに対し、本発明によれば、そのような高度な操作技術が不要となるので、初心者であっても、坂道発進時を、エンストや車両1の後方への後退、或いは、唐突な発進といった不具合を起こすことなく、スムーズに行うことができる。
また、従来品では、ブレーキレバー等を戻さないまま走行すると、いわゆるブレーキの引きずりが発生し、摩擦熱でブレーキ装置を破損してしまうという問題点があった。これに対し、本発明では、例えば、アクセルペダル53を踏み込み、車両1の走行を開始するだけで、駐車ブレーキを解除する(即ち、車輪2を駐車制動配置からハンドル51の操作状態に応じた操舵位置に近づかせる)ことができる。
よって、運転者の操作負担を軽減すると同時に、ブレーキ装置の破損を未然に回避することができる。更に、従来品で必要とされたブレーキレバー等が戻っていないことを報知するための報知機構を車両1に装着することが不要となり、その分、製品コストの軽減を図ることができる。
次いで、図5を参照して、第3から第5実施の形態について説明する。図5(a)から図5(c)は、それぞれ第3から第5実施の形態における駐車制動配置を説明するための模式図であり、上述した図1に対応する。
第3及び第4実施の形態における駐車制動配置は、上述した第1実施の形態における駐車制動配置と同様の技術的思想に基づくものであり、図5(a)及び図5(b)に示すように、車両1の上下方向及び左右方向に隣接する車輪2同士の中心線方向が互いに直行するように設定されている。例えば、左側の前輪2FLであれば、車両1の上下方向に隣接する左側の後輪2RLと、車両1の左右方向に隣接する右側の前輪2FRとに対して、その中心線方向が直行している。
一方、第5実施の形態における駐車制動配置は、図5(c)に示すように、車両1の斜め方向に隣接する車輪2同士の中心線方向が互いに直行するように設定されている。例えば、左側の前輪2FLであれば、車両1の斜め方向に隣接する右側の後輪2RRに対して、その中心線方向が直行している。
これにより、各車輪2の接地面を含む平面上のいずれの方向へ向けて車両1に外力が作用した場合でも、各車輪2の内の少なくとも1の車輪2が非自由転動状態となるため、前記外力に対する抵抗力を発生させることができる。よって、かかる抵抗力を駐車ブレーキとして利用することで、車両1が停車位置から動き出さないように確実に固定することができる。
なお、これら各駐車制動配置は、車両1に配設される車輪2の数が4輪である場合の最も好ましい形態を例示したものである。よって、車両1に配設される車輪2の数に応じて、異なる配置を採用することは当然可能である。また、車両1に配設される車輪2の数が4輪であっても、これらと異なる配置を採用することは当然可能である。
即ち、各車輪2の接地面を含む平面上のいずれの方向へ向けて車両1に外力が作用した場合でも、各車輪2の内の少なくとも1の車輪2が非自由転動状態となって、前記外力に対する抵抗力を発生させることができる配置であれば足りる趣旨である。
但し、駐車制動配置は、各車輪2の舵角は問わないが、第3及び第4実施の形態における駐車制動配置のように、前輪2FL,2FRがトーイン傾向となり、かつ、後輪2RL,2RRがトーアウト傾向となる配置、又は、前輪2FL,2FRがトーアウト傾向となり、かつ、後輪2RL,2RRがトーイン傾向となる配置とすることが好ましい。前記外力に対する抵抗力をより確実に発生させることができるからである。
同様の理由により、駐車制動配置は、各車輪2の舵角は問わないが、第5実施の形態における駐車制動配置のように、前輪2FL,2FRがトーイン傾向となり、かつ、後輪2RL,2RRもトーイン傾向となる配置、又は、前輪2FL,2FRがトーアウト傾向となり、かつ、後輪2RL,2RRもトーアウト傾向となる配置とすることが好ましい。
次いで、図6から図9を参照して、第6実施の形態について説明する。図6は、第6実施の形態における制御装置600の電気的構成を示したブロック図である。
第1実施及び第2実施の形態では、路面の傾斜状態に関わらず、駐車制動配置への移行を実行した。なお、上記した各実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
第6実施の形態における制御装置600は、第1実施の形態の場合と同様に、CPU71、ROM72及びRAM73を備え、これらはバスライン74を介して入出力ポート75に接続されている。また、入出力ポート75には、車輪駆動装置3等の複数の装置が接続されている。
ROM72には、図6に示すように、駐車制動配置テーブル172aが設けられている。駐車制動配置テーブル172aは、第1実施の形態の場合と同様に、駐車制動配置時の各車輪2の操舵状態(舵角)を記憶したテーブルである。
但し、本実施の形態の駐車制動配置テーブル172aには、路面の傾斜状態をパラメータとして、各車輪2の操舵状態(舵角)が複数記憶されている。CPU71は、後述する車両傾斜センサ装置134の検出結果から路面の傾斜状態を判断すると共に、その路面の傾斜状態と、駐車制動配置テーブル172aの内容とに基づいて、各車輪2の操舵状態を決定する(図8及び図9参照)。
車両傾斜センサ装置134は、路面の傾斜状態を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するためのセンサ装置であり、車両1前後方向の路面の傾斜を検出する前後方向傾斜センサ134aと、車両1左右方向の路面の傾斜を検出する左右方向傾斜センサ134bと、それら各傾斜センサ134a,134bの検出結果を処理してCPU71に出力する処理回路(図示せず)とを備えている。
ここで、本実施の形態では、各傾斜センサ134a,134bが封入された液体の傾斜に伴う静電容量の変化を角度変化として検出する液封入容量式傾斜角センサにより構成されている。各傾斜センサ134a,134bは、傾斜を有さない平坦な路面上に車両1が配置された状態が初期レベルに設定されており、CPU71は、各傾斜センサ134a,134bの初期レベルからの増減値を路面の傾斜角と推定する。
なお、上述した車両1前後方向の傾斜とは、車両1の前方が後方に対して持ち上がる(又はその逆)方向の傾斜を意味する(図8参照)。一方、車両1左右方向の傾斜とは、車両1の左側が右側に対して持ち上がる(又はその逆)方向の傾斜を意味する。
図7は、駐車制御処理を示すフローチャートである。なお、駐車制御処理の説明においては、図8及び図9を適宜参照する。図8(a)は、車両1の上面図であり、図8(b)は、車両1の側面図である。また、図9(a)は、車両1の上面図であり、図9(b)は、車両1の背面図である。
この処理は、制御装置100の電源が投入されている間、CPU71によって繰り返し(例えば、0.5秒間隔で)実行される処理である。
CPU71は、第6実施の形態における駐車制御処理に関し、まず、車両1の対地速度を検出し(S22)、その検出した対地速度が基準速度(本実施の形態では、時速5km)以下であるか否かを判断する(S23)。その結果、検出した対地速度が基準速度値よりも大きな値である場合には(S23:No)、駐車制御を行うことができる速度まで車両1が減速されていないか、車両1が基準速度値を越える速度まで既に加速されており、駐車制御を行う必要がないということであるので、この駐車制御処理を終了する。
一方、S23の処理において、車両1の対地速度が基準速度以下であると判断される場合には(S23:Yes)、駐車制御を行うことができる速度まで車両1が減速されたか、車両1が基準速度値を越える速度まで未だ達していないということである。
よって、この場合(S23:Yes)には、更に、現在の車両1の傾斜状態、即ち、路面の傾斜状態(傾斜方向及び傾斜角度)を車両傾斜センサ装置134(図6参照)によって検出し(S63)、その検出した傾斜角度が基準角度値(本実施の形態では、3度)以上であるか否かを判断する(S64)。なお、基準角度値は、ROM72(図6参照)に予め記憶されている。
その結果、検出した傾斜角度が基準角度値に達していない場合には(S64:No)、路面の傾斜が十分に緩やかであるか平坦であり、駐車制御を行う必要がないということであるので、S66の処理を実行した後、この駐車制御処理を終了する。
なお、S66の処理では、ハンドル51(図1参照)の操作状態に応じた舵角を目標値として、アクチュエータ装置4を制御することで、各車輪2の操舵状態を現在の操舵状態からハンドル51の操作状態に応じた操舵位置に復帰させる。
一方、S64の処理において、検出した傾斜角度が基準角度値以上である場合には(S64:Yes)、路面の傾斜角度が大きく、駐車制御を行う必要があるということである。よって、この場合(S64:Yes)には、検出した対地速度及び傾斜角度に基づいて各車輪2の舵角を決定し(S65)、次いで、その決定された舵角を目標値として、アクチュエータ装置4を制御することで、各車輪2の操舵状態を変化させ(S25)、この駐車制御処理を終了する。
このように、本実施の形態では、路面が所定の傾斜角度を有している場合、即ち、駐車制動配置への移行が特に有効となる場合にのみ駐車制動配置への移行を行うように構成されているので、路面の傾斜角度が小さい場合(基準角度値に達していない場合)、即ち、駐車制動配置への移行が比較的不要とされる平坦な路面上で駐停車する場合には、駐車制動配置への移行を制限(禁止)することができる。よって、車輪2の不必要な操舵動作を抑制して、その分、車輪2の摩耗の進行を抑制することができる。
更に、本実施の形態では、対地速度の減速と共に駐車制動配置への移行を自動的に行うように構成されているので、運転者の操作負担を軽減することができると共に、車両1を安全確実に駐停車させることができる。
例えば、従来品では、坂道において、運転者が不注意により駐車ブレーキをかけないまま車両から離れてしまった場合には、車両が自重で走行してしまい、極めて危険であるところ、本実施の形態における車両1によれば、運転者が駐車ブレーキを作動させるための動作を別途行うことが不要となるので、その分、運転者の負担を軽減すると共に、坂道でも車両1を駐停車位置に確実に固定しておくことができる。
ここで、S65の処理では、車両1が減速状態にあれば、車両1の対地速度の値が小さくなるに従って、各車輪2の操舵状態(舵角)を現在の操舵状態から駐車制動配置に近づけると共に、対地速度が0となった(即ち、車両1が停車した)時点で各車輪2の操舵状態が駐車制動配置に一致するように、各車輪2の舵角が決定される。
一方、車両1が加速状態にあれば、車両1の対地速度の値が大きくなるに従って、各車輪2の操舵状態を現在の操舵状態からハンドル51の操作状態に応じた操舵位置に近づけると共に、対地速度が基準速度値に達した時点で各車輪2の操舵状態がハンドル51の操作状態に応じた操舵位置に一致するように、各車輪2の舵角が決定される。
また、上述したように、駐車制動配置には、駐車制動配置テーブル172aに複数のパターンが記憶されており、S65の処理では、路面の傾斜状態に応じた駐車制動配置が選択される。
例えば、路面の傾斜状態が、図8(b)に示すように、車両1前後方向の傾斜である場合には、図8(a)に示すように、路面の下降傾斜側となる車輪2(後輪2RR,2RL)の舵角が上昇傾斜側となる車輪2(前輪2FR,2FL)の舵角よりも大きくされる。一方、路面の傾斜状態が、図9(b)に示すように、車両1左右方向の傾斜である場合には、図9(a)に示すように、路面の下降傾斜側となる車輪2(右側の前後輪2FR,2RR)の舵角が上昇傾斜側となる車輪2(左側の前後輪2FL,2RL)の舵角よりも大きくされる。
また、下降傾斜側となる車輪2(例えば、図8では後輪2RL,2RR)の舵角と上昇傾斜側となる車輪2(図8では前輪2FL,2FR)の舵角との差は、路面の傾斜角度の値に比例し、路面の傾斜角度が大きいほど舵角の差が大きくなると共に(例えば、路面の傾斜角度が60度で舵角の差が45度)、路面の傾斜角度が小さいほど舵角の差が小さくなり、路面の傾斜角度が基準角度値となった時点で舵角の差がゼロとなる(図8(a)及び図9(a)では舵角の差がゼロの状態を2点鎖線で模式的に図示する)ように規定されている。
このように、本実施の形態では、傾斜を有する路面上で駐停車する場合には、平坦な路面で駐停車する場合の駐車制動配置と異なる形態の駐車制動配置に車輪2の操舵状態を移行させることができるので、車両1を駐停車位置に確実に固定することができると共に、車輪2の摩耗を抑制することができる。
即ち、坂道で駐停車する場合には、平坦な路面上に駐停車する場合と比較して、重力の影響が大きくなる。よって、上述のように、重力方向への抵抗力がより大きくなる駐車制動配置を採用することで、車両1を駐停車位置へより確実に固定することができる。
具体的には、図8及び図9に示すように、下降傾斜側の車輪2の舵角をより大きくする(下降傾斜側の車輪2の中心線と下降傾斜方向(図8(a)及び図9(a)左右方向)とが下降傾斜側でなす角をより大きくする)ことで、車両1が重力により下降傾斜方向へ移動しようとする場合には、下降傾斜側の車輪2を下降傾斜方向へより転動し難くする(即ち、駐車ブレーキとしての抵抗力をより大きく発揮する)ことができ、その分、車両1を駐停車位置に確実に固定することができる。
また、図8及び図9に示すように、下降傾斜側の車輪2のみの舵角を大きくすることで、車輪2全体としての不必要な操舵駆動を排除することができ、その分、車輪2の摩耗を抑制することができる。
次いで、図10を参照して、第7実施の形態について説明する。図10は、第7実施の形態における制御装置600の電気的構成を示したブロック図である。
第6実施の形態では、車両1の対地速度に基づいて、駐車制動配置への移行が実行される場合を説明したが、第7実施の形態では、運転者により所定の操作が行われた場合に、駐車制動配置への移行が実行される。なお、上記した各実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
第7実施の形態における制御装置600は、第6実施の形態の場合と同様に、CPU71、ROM72及びRAM73を備え、これらはバスライン74を介して入出力ポート75に接続されている。また、入出力ポート75には、車輪駆動装置3等の複数の装置が接続されている。
運転モード選択手段133は、車輪駆動装置3と車輪2との連結状態を選択するための装置であり(いずれも図1参照)、運転者により操作される操作レバーと、その操作レバーの操作位置を検出するための位置センサと、その位置センサの検出結果を処理してCPU71に出力する処理回路(いずれも図示せず)とを主に備えている。
操作レバーは、ドライブレンジ(Dレンジ)及びパーキングレンジ(Pレンジ)の2位置に操作可能に構成されており、CPU71は、操作レバーの操作位置に応じて、車輪駆動装置3と車輪2との連結状態を制御する。
ここで、ドライブレンジは、車輪駆動装置3と車輪2とが連結された状態を選択するレンジであり、このレンジでは、車輪駆動装置3から車輪2への回転駆動力の伝達が可能とされる。よって、運転者は、車両1を走行させる場合には、操作レバーをドライブレンジに位置させた上で、アクセルペダル53(図1参照)を踏み込み操作することで、車両1を走行させることができる。
一方、パーキングブレンジは、車輪駆動装置3と車輪2との連結が解除された状態を選択するレンジであり、このレンジでは、車輪駆動装置3から車輪2への回転駆動力の伝達が禁止とされる。
なお、本実施の形態では、パーキングレンジに操作された場合には、駐車制動配置への移行が実行され、ドライブレンジに操作された場合には、駐車制動配置の解除が実行される。
また、本実施の形態では、パーキングレンジでのみ、車輪駆動装置3を起動停止させるためのメインキーの挿抜が可能となるように構成されている。よって、運転者は、車両1から離れる場合には、操作レバーをパーキングレンジに位置させることで、メインキーを抜き取り、車両1から離れることができる。
図11は、駐車制御処理を示すフローチャートである。この処理は、制御装置100の電源が投入されている間、CPU71によって繰り返し(例えば、0.5秒間隔で)実行される処理である。なお、上記した各実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
S1の処理において、車両1が停車中であると判断される場合には(S1:Yes)、運転モード選択装置133がパーキングレンジにあるか否かを判断し(S71)、次いで、運転モード選択装置133がオンされていると判断される場合には(S71:Yes)、ブレーキフラグ73bの値が「0」であるか否かを判断する(S3)。
なお、S3の処理において、ブレーキフラグ73bが「1」である場合には(S3:No)、上述したように、駐車制動配置への移行が指示されているが、その駐車制動配置への移行が既に完了しているということなので、この駐車制御処理を終了する。
これに対し、S3の処理において、ブレーキフラグ73bが「0」であると判断される場合には(S3:Yes)、駐車制動配置への移行が指示されているが、その駐車制動配置への移行が未だ完了していないということなので、駐車制動配置への移行を行うべく、S4以降の処理を実行する。
S4及びS5の処理では、上述したように、現在の各車輪2の舵角を検出し(S4)、その検出した現在の各車輪2の舵角(操舵状態)を停車時配置として停車時配置メモリ73aに記憶する(S5)。
S5の処理を実行した後は、次いで、現在の車両1の傾斜状態、即ち、路面の傾斜状態(傾斜方向及び傾斜角度)を車両傾斜センサ装置134(図10参照)によって検出し(S72)、その検出した傾斜状態に対応する駐車制動配置を駐車制動配置テーブル172a(図10参照)から読み出し、その読み出した内容に基づき、各車輪2の操舵状態(舵角)を決定する(S73)。
そして、S73の処理において決定した舵角を目標値として、アクチュエータ装置4を制御することで、各車輪2の操舵状態を駐車制動配置へ移行させる(S7)。なお、本実施の形態における駐車制動配置は、上述した第6実施の形態の場合と同様であるので、その説明は省略する。
このように、本実施の形態では、運転モード選択装置133をパーキングレンジに操作することで、駐車制動配置への移行が自動的に行わせることができる。即ち、メインキーを脱抜する際に必要な操作を行うことで、同時に、駐車制動配置への移行も実行させることができる。これにより、運転者が不注意により駐車ブレーキをかけないまま車両から離れてしまうなどの不具合を回避することができると共に、運転者の負担を軽減することができる。
また、図4に示すフローチャート(駐車制御処理)において、請求項3記載の対地速度検出手段としてはS22の処理が、速度判断手段としてはS23の処理が、アクチュエータ作動手段としてはS24及びS25の処理が、請求項4記載のアクチュエータ作動手段としてはS24及びS25の処理が、それぞれ対応する。
また、図7に示すフローチャート(駐車制御処理)において、請求項1及び2に記載の角度判断手段としてはS64の処理が対応する。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記各実施の形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
また、上記各実施の形態で説明した各駐車制動配置は、他のいずれの実施の形態に適用しても良い。
また、上記第1実施の形態では、駐車ブレーキスイッチ33がオフされた場合に(S2:No、S9:Yes)、自動的に車輪2の操舵状態が停車時配置へ復帰される場合を説明したが(S10、S11)、必ずしもこれに限られるものではなく、停車時配置へ復帰させるか否かを判断する復帰判断手段を更に設け、その判断結果に応じて、復帰可否を決定するように構成しても良い。
例えば、運転者に操作可能な操作子を設け、その操作子の操作状態が所定の状態となった場合に、車輪を停車時配置へ復帰させると復帰判断手段が判断するように構成することができる。これにより、復帰動作を要しない場合などに、運転者の操作性の向上を図ることができる。
また、上記第2実施の形態では、駐車ブレーキモードのオン・オフを運転者が選択する場合を説明したが、これに代えて、又は、これに追加して、駐車ブレーキモードのオン・オフを自動で変更するモード変更手段を設けても良い。
即ち、このモード変更手段としては、例えば、第6実施の形態で説明したように、車両1の傾斜状態を検出する傾斜検出センサ装置(車両傾斜センサ装置134)を設け、車両1が基準値以上の傾斜を有する坂道で停車する場合にのみ駐車ブレーキモードをオンするものが例示される。これにより、上述したように、平地などでは駐車制動配置への移行が制限されるので、その分、車輪2の摩耗を抑制することができる。
また、上記各実施の形態では、アクチュエータ装置4を電動モータで、伝達機構部23をねじ機構で、それぞれ構成する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、アクチュエータ装置4を油圧・空圧シリンダーで構成しても良い。これにより、伝達機構部23を省略することができるので、構造を簡素化して、軽量化と部品コストの削減とを図ることができる。
また、上記各実施の形態では、ブレーキ装置(例えば、摩擦力を利用したドラムブレーキやディスクブレーキ)を設けても良い旨を説明したが、これに加えて、車輪駆動装置3を回生ブレーキとして構成し、これをブレーキ装置として利用しても良い。
また、上記第6及び第7実施の形態では、車両1の傾斜状態を検出するためのセンサ装置として、車両傾斜センサ装置(傾斜センサ)134を設ける場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、車両速度センサ装置(加速度センサ)32を動加速度に加えて静加速度も検出可能なタイプのセンサ装置により構成して、この車両速度センサ装置32が傾斜センサも兼用するように構成しても良い。これにより、部品点数を減少させて、部品コストの削減を図ることができる。
また、第7実施の形態では、パーキングレンジ及びドライブレンジへの操作に起因して、駐車制動配置への移行及び解除が実行される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、他の操作に起因して、駐車制動配置への移行及び解除が実行されるよう構成することは当然可能である。他の操作としては、例えば、メインキーの挿抜などが例示される。