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JP4953380B2 - コイル部品 - Google Patents
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本発明は巻線を巻回したボビン及びコアからなるコイル部品に関し、特に、相対向する磁脚間にギャップを形成したコイル部品に関する。
従来から、チョークコイル、トランス等のコイル部品は、用途及び要求される特性等に合わせて種々のものが利用されている。
例えば、図7に示すコイル部品10は、外周部に巻線6が巻回される筒状のボビン5と、コア2とからなる。コア2を構成する一対のコア半体2a、2bは同一のもので、断面形状はE字状となっている。すなわち、コア半体2a(2b)は、2つの外磁脚4a(4b)とその間に配置された1つの中磁脚3a(3b)を備えている。そして、コア半体2a、2bは、中磁脚3aと3b、及び外磁脚4aと4bを突き合わせるように対向して配置される。
また、図7に示すコイル部品10は、中磁脚3a、3bの間にギャップ7が形成され、磁気飽和を防いでいる。なお、ギャップ7は外磁脚4a、4bの間に形成される場合もある。また、ギャップ紙を挟み込むことによってギャップを形成する場合もあるが、以下の説明におけるギャップ7は、先端部を研削した中磁脚3a、3bの間に形成した空気層とする。
ところで、ギャップ7を形成したコイル部品10は、駆動時に、中磁脚3a、3bの振動に起因するうなり音(以下、「異音」という)が生じる場合があった。
そこで、図8に示すコイル部品10’では、中磁脚3a、3bの先端部同士を接着剤9で接合することにより、中磁脚3a、3bの振動を抑制し、異音の発生を防いでいる。(例えば、特許文献1参照)。
特開2004−200336号公報
図8に示す従来のコイル部品10’において、例えばエポキシ系樹脂からなる接着剤9を使用して、中磁脚3a、3bの先端部同士を強固に接合すると、異音は確かに抑制される。
しかしながら、このようなコイル部品10’は、雰囲気温度の変化によりコア2が割れるという、別の新たな問題が発生するおそれがあった。例えば、−40〜125[℃]の範囲で繰り返し昇降温を行う熱衝撃試験を行った際に、中磁脚3a、3bの付け根部分にクラック11が発生するおそれがあった。
これに対し、硬化した後においてもある程度の弾性を有する他の材質からなる接着剤9を使用することも考えられる。しかしながら、このような接着剤9を使用した場合には、クラック11の発生を防止することはできても、中磁脚3a、3b同士の接合が弱くなるので、異音を抑えることができなくなってしまう。
つまり、従来のコイル部品10’では、異音とクラック11の発生を同時に防ぐことはできなかった。
そこで本発明は、昇降温を繰り返す熱衝撃試験を行ってもクラックが発生することなく、ギャップに起因する異音を抑制することができるコイル部品を提供することを課題とする。
本願発明者は、クラックの発生要因について以下のように考察した。すなわち、コアを構成するフェライトの線膨張係数が100×10−7[ppm/℃]であるのに対して、接着剤(例えば接着剤として、CEMEDINE社製、EP−138を用いた場合)の線膨張係数は5.7×10−7[ppm/℃]であり、接着剤の温度変化に対する体積変化が非常に少ない。このように、コアの線膨張係数と接着剤の線膨張係数とが大きく異なると、図9に示すように、高温時における中磁脚と接着剤の合計長L’は外磁脚の合計長Lよりも短くなり、中磁脚の付け根部分に負荷が集中する。そして、この負荷がコアのM強度(後述)を超えたために、クラック11が発生していた。
このような知見に基づいて、本願発明者はコイル部品を以下のように構成した。
本発明に係るコイル部品は、
外周部に巻線が巻回された筒状のボビンと、該ボビンの筒内部に挿入された中磁脚同士が所定のギャップを隔てて対向して配置された一対のコア半体とを備えたコイル部品であって、前記中磁脚の少なくとも一方に、その対向面及び先端部側壁を覆う塗布剤からなる中磁脚緩衝層が形成され、前記中磁脚同士は少なくとも1つの前記中磁脚緩衝層を挟んで、接着剤を介して接合され、前記塗布剤がシリコーン系樹脂からなる一方、前記接着剤がエポキシ系樹脂からなり、前記ボビンの筒内壁と前記中磁脚の前記先端部側壁とが、前記中磁脚緩衝層を挟んで、前記接着剤を介して接合されていることを特徴とする。
上記コイル部品において、前記一対のコア半体は、それぞれ前記ボビンの筒外部において所定のギャップを隔てて対向する外磁脚を備え、相対向する前記外磁脚の少なくとも一方に、その対向面及び先端部側壁を覆う前記塗布剤からなる外磁脚緩衝層が形成され、相対向する前記外磁脚同士は少なくとも1つの前記外磁脚緩衝層を挟んで、前記接着剤を介して接合されていることが好ましい。
上記コイル部品において、前記シリコーン系樹脂は三次元ポリマーからなるシリコーンワニス群から選択されることが好ましい。
上記コイル部品において、前記塗布剤の塗布厚は20μm以上であることが好ましい。
また、上記コイル部品において、前記コア半体は、前記中磁脚と、該中磁脚を挟んで配置された一対の前記外磁脚と、前記中磁脚及び一対の前記外磁脚を結合する背磁脚とからなるE字状に形成され、前記中磁脚緩衝層と前記中磁脚の結合強度は前記コア半体のM強度よりも低いことが好ましい。
なお、M強度とは、図10に示すように、中磁脚3aと、中磁脚3aを挟んで配置された一対の外磁脚4aと、これらを結合する背磁脚12とからなるE字状のコア半体2aを、背磁脚12が中磁脚3a及び外磁脚4aに対して上方に位置するように基台上に配置(このように配置すると、側面視で「M」字状に見える)し、背磁脚12の上面中央部(中磁脚の上方位置)に対して上方から鉛直方向下向きに荷重を与えたときに、コア半体2aが破壊に耐え得る強度をいう。このM強度は汎用のプッシュプルゲージ(荷重測定器)を用いて測定される。また、一般のコイル部品において、M強度は180[N]以上有することと規定されている。
本発明によれば、昇降温を繰り返す熱衝撃試験を行ってもクラックが発生することなく、ギャップに起因する異音を抑制することができるコイル部品を提供することができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施例に係るコイル部品、及び比較試験を行った比較例及び従来例に係るコイル部品ついて説明する。
[実施例]
図1に、実施例に係るコイル部品を示す。
コイル部品1は、外周部に巻線6が巻回される筒状のボビン5と、PQ型のコア2とからなる。コア2を構成する一対のコア半体2a、2bは同一のもので、断面形状はE字状となっている。すなわち、コア半体2a(2b)は、2つの外磁脚4a(4b)とその間に配置された1つの中磁脚3a(3b)を備えている。そして、コア半体2a、2bは、中磁脚3aと3b、及び外磁脚4aと4bが対向するように配置される。コア2の寸法は、図2に示す通りである。
また、中磁脚3a、3bの間には、磁気飽和を防ぎ、直流重畳特性を改善するためのギャップ7が形成されている。ギャップ7は、中磁脚3a及び3bを均等に研削して形成される。図2に示すように、ギャップ寸法Gは6[mm]である。ギャップ寸法Gは、コアサイズによって異なり、コアサイズ(W寸法)が5[mm]以下のもので50〜100[μm]、コアサイズ(W寸法)が50[mm]程度のものであれば、4〜6[mm]程度に設定される。
図1を参照して、実施例に係るコイル部品1では、中磁脚3a、3bの各々の対向面及び先端部側壁にシリコーン樹脂(塗布剤)からなる緩衝層(中磁脚緩衝層)8が形成されている。シリコーン樹脂としては、三次元ポリマーからなるシリコーンワニス群から任意に選択されたものが使用される。緩衝層8は、シリコーン樹脂を貯留したディップ槽に浸漬して塗布される。
中磁脚3a及び3bは、緩衝層8を挟んで、エポキシ系樹脂からなる接着剤9によって接合される。実施例に係るコイル部品1では、予め、中磁脚3a、3bに形成された緩衝層8のいずれか一方または双方の表面に、接着剤9が多めに塗布される。そして、中磁脚3a、3bがボビン5の筒内部に挿入されるとともに、接着剤9が中磁脚3a、3bの先端部側壁側にはみ出し、中磁脚3a、3bとボビン5の筒内壁とが接合される。図1に示すように、中磁脚3a、3bの先端部側壁とボビン5の筒内壁は、緩衝層8を挟んで、接着剤9を介して接合される。
具体的な試験結果については後述するが、実施例に係るコイル部品1において、緩衝層8は次のような機能を有している。
すなわち、温度変化が比較的小さい場合は、緩衝層8自体が伸縮することによって、中磁脚3a、3bの付け根部分に生じる負荷が緩和され、クラックの発生を防ぐことができる(第1の効果)。
また、緩衝層8と中磁脚3a、3bの結合強度はコア2のM強度よりも低いので、中磁脚3a、3bの付け根部分にM強度を超える負荷がかかってクラックが発生する前に、キャップ状の緩衝層8から中磁脚3a、3bの先端部が引き抜かれる。これにより、温度変化が比較的大きい場合、例えば常温から125[℃]に変化した場合においても、クラックが発生するのを防ぐことができる(第2の効果)。
さらに、本実施例における中磁脚3a、3bは、お互いが接着剤9を介して接合されるだけでなく、その先端部側壁においてボビン5の筒内壁とも接合され、全方向の振動が抑制されるので、異音を抑制することもできる(第3の効果)。
なお、異音を抑制するという観点から言えば、本来、緩衝層8は必要ないものであるから、緩衝層8の塗布厚を薄くすればするほど上記第3の効果は大きくなる。しかし、緩衝層8を薄くすると上記第1及び第2の効果は小さくなってしまう。
したがって、本発明に係るコイル部品1では、緩衝層8の塗布厚をクラックが発生しない程度に極力薄くすることが重要である。このため、本実施例では、膜厚を20〜25[μm]に設定している。また、このような観点から比較的低粘度の塗布剤、例えば粘度が15[mPa・s]程度の塗布剤が好適である。
塗布剤としては、(1)膜厚を小さくすることができること、(2)弾性を有すること、(3)コア2に対する結合強度が高いこと(但し、コア2のM強度よりも低いこと)が要求される。このため、塗布剤としては、上記した三次元ポリマーからなるシリコーンワニス群から選択されたものが用いられる。本実施例では、シリコーン樹脂剤として信越化学工業社製KR251を用いている。
[比較例1]
図3に、比較例1に係るコイル部品を示す。
コイル部品1’では、使用する接着剤9の量を減らして、中磁脚3a、3bとボビン5の筒内壁とが接合しない状態(ボビン5の筒内壁まで接着剤9が回り込んでいない状態)になっている。これ以外の要素、例えば、緩衝層8の塗布厚、コア寸法、ギャップ寸法等はすべて実施例に係るコイル部品1と同様である。
[比較例2]
図4に、比較例2に係るコイル部品を示す。
コイル部品1”は、実施例に係るコイル部品1に対して、接着剤9の量を減らすとともに、緩衝層8の塗布厚を10[μm]以下に減らしたものである。これ以外の要素、例えば、コア寸法、ギャップ寸法等はすべて実施例に係るコイル部品1と同様である。
[従来例]
図7に、従来例に係るコイル部品を示す。
前記の通り、従来のコイル部品10では、中磁脚3aと3bが接着剤9によって直接接合される。また、中磁脚3a、3bとボビン5の筒内壁とは接合しないようになっている。これ以外の要素、例えば、コア寸法、ギャップ寸法等はすべて実施例に係るコイル部品1と同様である。
[比較実験]
実施例、比較例1及び従来例に係るコイル部品を各20個作製するとともに、比較例2に係るコイル部品を10個作製し、各コイル部品について、熱衝撃試験後のクラック発生と駆動中の異音について評価を行った。
各コイル部品の評価結果を表1に示す。
Figure 0004953380
なお、熱衝撃試験では、“−40[℃]に設定された槽内で30分間放置した後、瞬時に125[℃]に設定された槽内に移し替えて30分間放置し、その後、瞬時に−40[℃]に設定された槽内に移し替え”を1サイクルとし、これを100サイクル行った後に、コアにクラックが発生しているか否かについて評価を行った。
また、異音測定では、各コイル部品をスイッチング電源回路における力率改善用チョークコイルとして使用した際に、コイル部品から発せられる異音を騒音計(リオン社製NL−22)によって測定した。使用した騒音計の測定周波数範囲は、20〜8k[Hz]であり、騒音計を直接にコアに当接させて測定した。なお、表1の異音測定結果では、従来例の異音を基準(0[dB])として基準値からの変化量を記載した。
表1に示す結果から明らかなように、実施例に係るコイル部品1(図1参照)は、熱衝撃試験におけるクラックの発生が抑えられるとともに、中磁脚3a、3b同士を直接接合した従来例(図7参照)と同程度にまで異音が抑制されている。
これに対し、比較例1に係るコイル部品1’(図3参照)は、中磁脚3a、3bとボビン5が接合されていないので、中磁脚3a、3bが振動し、従来例と比較して異音が6dB悪化した。
また、比較例2に係るコイル部品1”(図4参照)は、比較例1と同様の理由で異音が悪化するとともに、シリコーン樹脂の塗布厚が薄すぎるために緩衝層8が本来の機能を発揮することができず、一部の試料においてクラックが発生した。
以上のように、本発明に係るコイル部品によれば、中磁脚同士を緩衝層を挟んで接合するとともに、中磁脚の先端部側壁とボビンの内壁を接合することにより、昇降温を繰り返し行ってもクラックが発生することなく、ギャップに起因する異音を抑制することができた。
なお、本発明に係るコイル部品は上記構成に限定されるものではなく、種々の変形例が考えられる。
例えば、実施例及び比較例1、2では、相対向する中磁脚の双方に緩衝層(中磁脚緩衝層)を形成したが、いずれか一方のみに形成した場合でも上記した作用効果を得ることができる。但し、中磁脚の双方に緩衝層を形成した方が、各中磁脚に対して第1および第2の効果をより効果的に発揮させることができる。
また、中磁脚と外磁脚の双方にギャップを形成する場合には、中磁脚及び外磁脚の双方に緩衝層を形成してもよい。すなわち、図5に示すように、中磁脚3a、3bの双方(またはいずれか一方)に対して中磁脚緩衝層8aを形成するとともに、相対向する外磁脚4a、4bの双方に、その対向面及び先端部側壁を覆う塗布剤からなる外磁脚緩衝層8bを形成してもよい。相対向する外磁脚4a、4b同士は各々の外磁脚緩衝層8bを挟んで、接着剤9を介して接合される。なお、相対向する外磁脚4a、4bの双方に外磁脚緩衝層8bを形成する場合に限らず、いずれか一方のみに形成してもよい。
また、本発明は、断面形状がE字状のコア半体を組み合わせてなる“PQコア”に限らず、他の形状のコアを使用したコイル部品に適用することもできる。適用可能なコアとしては、例えば、E字状のコア半体2aとI字状のコア半体2bとを組み合わせてなる“EIコア”(図6参照)や、“EEコア”が挙げられる。
また、本明細書の用語“コイル部品”には、実施例に係るチョークコイルをはじめとしてトランス等の、コアの周囲に巻線を巻回してなる各種電子部品が含まれるものとする。
実施例に係るコイル部品の断面図である。 実施例、比較例1、比較例2、及び従来例に係るコイル部品に使用されるコアの斜視図である。 比較例1に係るコイル部品の断面図である。 比較例2に係るコイル部品の断面図である。 変形例に係るコイル部品の断面図である。 変形例に係るコイル部品の断面図である。 従来のコイル部品の断面図である。 従来例に係るコイル部品の断面図である。 熱衝撃試験における各磁脚の磁脚長の変化を示すグラフである。 M強度を説明するための図である。
符号の説明
1 コイル部品
2 コア
2a、2b コア半体
3a、3b 中磁脚
4a、4b 外磁脚
5 ボビン
6 巻線
7 ギャップ
8 緩衝層(塗布剤)
8a 中磁脚緩衝層
8b 外磁脚緩衝層
9 接着剤
10 従来のコイル部品
10’ 従来のコイル部品
11 クラック
12 背磁脚

Claims (5)

  1. 外周部に巻線が巻回された筒状のボビンと、該ボビンの筒内部に挿入された中磁脚同士が所定のギャップを隔てて対向して配置された一対のコア半体とを備えたコイル部品であって、
    前記中磁脚の少なくとも一方に、その対向面及び先端部側壁を覆う塗布剤からなる中磁脚緩衝層が形成され、前記中磁脚同士は少なくとも1つの前記中磁脚緩衝層を挟んで、接着剤を介して接合され
    前記塗布剤がシリコーン系樹脂からなる一方、前記接着剤がエポキシ系樹脂からなり、
    前記ボビンの筒内壁と前記中磁脚の前記先端部側壁とが、前記中磁脚緩衝層を挟んで、前記接着剤を介して接合されていることを特徴とするコイル部品。
  2. 前記一対のコア半体は、それぞれ前記ボビンの筒外部において所定のギャップを隔てて対向する外磁脚を備え、
    相対向する前記外磁脚の少なくとも一方に、その対向面及び先端部側壁を覆う前記塗布剤からなる外磁脚緩衝層が形成され、相対向する前記外磁脚同士は少なくとも1つの前記外磁脚緩衝層を挟んで、前記接着剤を介して接合されていることを特徴とする請求項1に記載のコイル部品。
  3. 前記シリコーン系樹脂は、三次元ポリマーからなるシリコーンワニス群から選択されることを特徴とする請求項1または2に記載のコイル部品
  4. 前記塗布剤の塗布厚は、20μm以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のコイル部品
  5. 前記コア半体は、前記中磁脚と、該中磁脚を挟んで配置された一対の前記外磁脚と、前記中磁脚および一対の前記外磁脚を結合する背磁脚とからなるE字状に形成され、
    前記中磁脚緩衝層と前記中磁脚の結合強度が、前記コア半体のM強度よりも低いことを特徴とする請求項2に記載のコイル部品
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