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JP4953382B2 - 異極像結晶を用いたx線発生装置 - Google Patents
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JP4953382B2 - 異極像結晶を用いたx線発生装置 - Google Patents

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Description

この発明は、異極像結晶による高電界を利用したX線発生装置に関するもので、特に高圧電源など大型の設備を必要とすることなく、強力なX線を発生できるX線発生装置を提供するものである。
本発明者等は、ニオブ酸リチウム(LiNbO)単結晶などの異極像結晶を低気体圧筐体内に収容し、この結晶体に周期的に温度変化を与えることによって、結晶表面で電荷の相殺に追随できないために表面に生じた電子を、結晶自体から生じる高電界によってX線ターゲットあるいは異極像結晶体に衝突させてX線を発生させる装置を発明し(特開2005−174556)、さらにこの異極像結晶体を一対または複数対対向配置して結晶表面に生じた電子を増倍しながら効率良くX線ターゲットに照射することによって、より強力なX線を発生させる装置などを発明した。(特開2005−285575)。
前記の発明によって発生できるX線の強度は、異極像結晶に温度変化を付与することによって結晶から遊離して筐体内に放出される電子の量が多いほどより強力なX線が得られるわけであるが、異極像結晶を加熱する温度はキューリー点以下にならざるを得ないという制約もあり、結晶に与える温度変化の範囲には限界があるため、結晶から遊離する電子や荷電粒子の量を大幅に多くするのは難しかった。即ち発生するX線の強度は、結晶の大きさや加熱・冷却温度の範囲によってある程度制約されるという背景にあった。
本発明者等は、異極像結晶体から生じる高電界による電子加速機能に着目するとともに、前記結晶から放出される遊離電子の量に限界があるという問題点を克服すべく研究を進めた結果、結晶体の近辺に積極的に電子を供給する装置即ち電子発生源(電子供給体)を配備することによって、より多くの電子を前記高電界を利用してX線ターゲットへ加速衝突させることを発案したもので、この電子発生源による電子放射密度を適宜制御することにより目的に応じたより強力な連続X線、特性X線が得られるようにしたものである。
(特許文献1)特開2005−174556
(特許文献2)特開2005−285575
本発明は上記目的を達成する手段として、内部に低気体圧雰囲気を維持した筐体と、前記筐体内に配置された異極像結晶体と、を備え、前記異極像結晶体は分極の向きを一方向に揃えられており、さらに、前記筐体内において、前記異極像結晶体から離れて配置され、熱電子を発生し、照射する電子発生源と、前記異極像結晶体から間隔をあけて配置されたX線発生用金属ターゲットと、前記異極像結晶体の温度を変化させることにより、前記異極像結晶体から前記筐体内に高電界を発生させる温度変化付与手段と、を備え、前記電子発生源から照射された熱電子が、前記高電界によって前記金属ターゲットへ加速衝突せしめられ、前記金属ターゲットから発生するX線が前記筐体から照射されるものであることを特徴とする異極像結晶体を用いたX線発生装置を提供する。
好ましい実施例では、前記異極像結晶体と前記金属ターゲットとの間の空間の周辺に配置されるとともに、前記異極像結晶体から発生する電気力線を前前記金属ターゲットに向けるホロー電極をさらに備え、前記電子発生源から照射された熱電子が、前記電気力線に沿って、前記金属ターゲットに向かって加速収斂せしめられることを特徴とする異極像結晶体を用いたX線発生装置を提供する。
さらに、前記温度変化付与手段が、ペルチエ素子からなる温度サイクル発生ステージであり、前記温度サイクル発生ステージが、前記異極像結晶体の金属ターゲット対向面と反対側の面に配置され、それによって、前記異極像結晶体が周期的に加熱・冷却されることを特徴とする異極像結晶体を用いたX線発生装置を提供する。
また前記電子発生源から照射される熱電子の密度を、異極像結晶体の温度変化に対応して制御する手段を併せ備えた、異極像結晶体を用いたX線発生装置を提供する。
なお本発明の主要部である電子放射用の電子発生源は、低気体圧筐体内において結晶体と金属ターゲットとの間の中間部に配置するのが好ましいが、熱電子源など高い温度発生を伴うものの場合は、これからの輻射熱がなるべく結晶体に及ばないよう筐体の上方周辺部付近に配置するのが望ましい。
さらに、この熱電子発生源と結晶体との間に耐熱断熱材などで構成した遮熱壁を介在させれば、異極像結晶体への輻射熱による影響は略完全に回避できる。この場合電子発生源から発生した熱電子に対しては、これが筐体の中央部に向かって有効に放出されるよう適当な電子透過孔ないし間隙部を遮熱壁に形成しておくのが望ましい。
以上のように本発明によれば、高圧電源装置など大掛りな設備を一切必要とすることなく、小型で簡単な機器で強力なX線を発生させることができるので、可搬型の高出力X線発生装置として診療所などの医療分野や分析・検査機関、その他各種産業に手軽に幅広く利用できる。
またオゾン発生用X線源としても、小型軽便であることから食堂やホテルの殺菌・消毒などにも効率的に利用できるなど、本発明の工業的・商業的利用価値は極めて大きい。
本発明の1実施例を示す概念図で、低気体圧筐体内における異極像結晶体、電子発生源、X線ターゲットその他の部材の配置関係を示した縦断面図である。 本発明の1実施例を示す概念図で、低気体圧筐体内における異極像結晶体、電子発生源、X線ターゲットその他の部材の配置関係を示した縦断面図である。 本発明の1実施例を示す概念図で、低気体圧筐体内における異極像結晶体、電子発生源、X線ターゲットその他の部材の配置関係を示した縦断面図である。 図3の実施例において取り出されたX線強度の実測値を、筐体内に熱電子を発生させなかった場合のX線強度とともに示したグラフである。
符号の説明
1 異極像結晶体
1’ 異極像結晶体のX線ターゲット対向面
2 異極像結晶体に温度変化を付与する機構
3 ペルチエ効果素子
4 ペルチエ効果素子の付勢電源
5 ペルチエ効果素子の付勢電位のスイッチング回路
6 X線ターゲット
7、7’、7’’ 電子発生源
8 低圧気体を包囲する筐体(低気体圧筐体)
9 X線透過窓
10 ホローカソード管
11 活性層
12 電子発生源の電源制御回路
13 遮熱壁
14 遮熱壁に設けた電子透過孔
以下本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の代表的な実施例の概念説明図で、1はニオブ酸リチウム(LiNbO)など焦電結晶とも呼ばれる異極像結晶体で、各種の大きさ、厚さのものが利用できるが、本実施例では面積110mm、厚さ5mmの形状のものを使用した。2は前記異極像結晶体に周期的に温度変化を付与するための熱サイクルステージで、ペルチエ効果素子3とその付勢電源4および素子への付勢電圧の極性を周期的に反転するためのスイッチング回路5によって構成される。加熱段階では結晶の下面はペルチエ効果素子3の発熱面に当接することになるので、その発熱エネルギは結晶体1の下面に直接伝えられ、結晶体を急速に加熱する。次のサイクルでは、素子への付勢電圧が逆極性に切り換えられるので、結晶の下面は素子の吸熱面となり、結晶は常温付近まで冷却される。即ちこのステージによって結晶の加熱・冷却のタイミングが制御される。
また本発明で使用する異極像結晶体は、結晶内部の分極の方向を、発生する高電界と平行になるように一方向にそろえた焦電結晶体を使用する。結晶の分極方向を結晶全体に亘って一方向に揃えておく(ポーリング)ことにより高い分極電圧が得られるので、前記温度変化を付与することによって結晶の回りに確実により高い電界を発生させることができる。この分極方向を揃えるのは、結晶を成長させる際の操作で可能である外、結晶の電気的処理によっても可能である。
この実施例では、このような分極方向を揃えた異極像結晶を、その主軸極性の負面(マイナス面)がターゲット方向に向き合うように設置した。
図において6はX線ターゲットで、通常タングステン(W)銅(Cu)などの金属体、7はこのターゲット6と結晶体1の表面1’との間の空間部に配置された電子発生源即ち熱電子を放出する電子供給体で、本発明の要部を構成するものである。
図の例では電子源7は、直径0.1〜1mm程度のトリウム(Th)を含有させたタングステン線を用いこれに100V程度の電圧を印加して熱電子を放出させた。12はこの電子源に電流を供給するための制御回路である。
これら電子発生源7、結晶体1、X線ターゲット6は、機密性の良いステンレスなどのX線遮光性材料で構成された円筒状筐体8内に図の状態に配置され、筐体内は10−3Pa程度の真空雰囲気に保持した。尚9はX線取り出し窓で、ベリリウム(Be)などのX線透過性窓材である。
以上の実施例におけるX線発生の動作について以下に説明する。
ペルチエ素子3に電圧を印加して、その発熱面(上面)に約100〜250℃の温度を発生させ、この熱エネルギによって異極像結晶体1を100℃以上の高い温度に加熱する。次いで極性スイッチング回路5を切り換えて素子3の上面を吸熱側に切り換える。これにより異極像結晶体1の温度は常温程度まで急速に低下する。このような加熱、冷却操作を適当な制御回路ないしCPUを介して3分ないし15分程度の周期で繰り返すことにより、異極像結晶体1に100℃以上から常温までの温度変化が周期的に付与される。
これにより本発明者等が前の特許出願(特開2005−174556)で解明したように、温度変化に伴う結晶内部での分極電圧の変化に対応できないため、結晶表面で電荷の中和が破られ、結晶の回りに強い電界が発生する。(特に結晶が冷却過程にあるときに強い電界が発生する)
即ち図の点線fに示したような強力な電気力線が生じ、これによる強電界によって結晶自体から遊離した電子e1や荷電粒子が加速されX線ターゲット6に衝突し、ターゲットから制動輻射により連続X線やターゲット物質特有の特性X線が発生する。
本実施例では、この異極像結晶1のまわりに発生する高電界fをさらに有効に利用して、より多くの電子がターゲットへ指向するようにしたもので、結晶体上部の空間部に熱電子発生源7を配置し、これから真空筐体内に積極的に熱電子e2を放出させ、これを前記結晶体からの遊離電子e1とともに前記高電界fによって加速してターゲットに指向させることにより、より強力なX線エネルギをとり出すことに成功したものである。
この場合電子発生源7はフィラメント線で構成され、図1のように結晶体1とターゲット6との間の空間域に張り渡して設けてもよく、また筐体8内に複数本並列的または角度を変えて上下に配置してもよく、コイル状や渦巻き状または網目上に形成してもよい。電子発生源からの熱電子を効率的に加速するためには、筐体内気圧を10−3Pa程度以下の真空雰囲気にしておくのが望ましく、電子発生源7もターゲットに近い位置に配置する方がX線変換効率がよくなる。
またX線ターゲットの電位は、結晶体による高電界によって十分な加速エネルギが得られるので、アース電位または電子発生源ないし結晶体に対して若干のプラス電位にしておくだけで充分なX線変換効率が得られ、通常のX線ターゲットのような高電位を印加する必要はないので、高圧電源設備などは必要でない。
またこの実施例では、結晶体に温度変化を付与する熱サイクルステージ3を真空筐体の外に設けたが、次の実施例に示したように筐体内の低気圧雰囲気中に気密機構を介して装備させることも可能である。
図2は、本発明の他の実施例を示し、図1の例においてX線ターゲット6と異極像結晶体1との間の空間部の周りにホロー電極を設けた例で、例えばグラファイト(絶縁体)の筒状ホローカソード管10を配置した例である。
即ち、異極像結晶体から発生する強電界の電気力線(一点鎖線)をこのホローカソード管10によって効果的にターゲット方向に指向させ、電子発生源7から放射された熱電子をX線ターゲット6に収斂させる機能をもたせたものである。
またこのホローカソード管10は、結晶体や電子発生源から放出された電子の一部がこれに衝突し、これからさらに二次的に電子が放出されるので、筐体内の電子密度が増幅された状態となり、これらが結晶の回りに生じた高電界に沿って有効にターゲットに指向するので、X線変換効率が向上し電子密度の増倍効果と相俟って、より強力なX線が取り出せる。尚他の図面符号は図1と同じ部材、同じ作用を示すものである。
この実施例では、電子発生源を上下7、7’と2段に設け、一方7’を紙面と直角方向に張設した例を示し、また異極像結晶体1の下面と熱サイクルステージ3との間に活性層11を介在させ、異極像結晶の熱励起による高電界によってこの活性層11からも電子や荷電粒子を放出させ、これらを共にX線発生に寄与するようにした。この活性層としては酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)など低仕事函数をもつ薄板などが適当である。
図3は、電子発生源を図中の7’’に示すように、異極像結晶体1の上部側方に配置した例で、電子発生源7’’からの輻射熱が異極像結晶体1に伝播するのをできるだけ少なくするようにその配置を工夫した例である。
前にも述べたように本発明は、異極像結晶体に熱変化を与えること(熱サイクル励起)によって結晶体から発生する高電界を利用して、筐体内に放出された遊離電子をX線ターゲットに加速指向させるものであるので、異極像結晶体の温度即ち結晶体の加熱制御の結果が、発生する高電界に対して大きく影響する。
そのために、熱電子源の場合は、これから発生する熱エネルギが結晶体にできるだけ影響しないようにするのが望ましい。
図3の電子源配置は、結晶体の側方でこれから離れた位置であるため、これからの輻射熱の結晶体への影響は大幅に低減されることが確かめられた。
図中の13は、この輻射熱の結晶体への伝播を遮断するための遮熱壁で、耐熱性断熱部材で構成され、電子源7’’と結晶体1との間の熱伝播路に設置され電子源からの熱を遮蔽する。
尚電子発生源7’’から発生した熱電子は、遮熱壁13に電子透過孔14を設けるなど、適宜の電子通過間隙を設けておくことにより、筐体中央部へ有効に放出させることができる。
このように遮熱壁を設けることにより、熱電子源を併設しても結晶体への熱の影響は十分抑制でき、結晶体自身の温度制御即ち高電界発生機能が損なわれることもない。
尚、図中の他の符号は図1、図2と同じものを示す。
図4は、図3の実施例において取り出されたX線強度の実測値を、筐体内に熱電子を発生させなかった場合のX線強度とともに示したグラフである。
図4に示した実験例は、異極像結晶体1として、Z方向に自発分極の向きを揃えたLiNbO単結晶であって大きさ13×13mm、厚さ5mmの角型結晶体(表面を鏡面研磨したもの)を用い、X線ターゲット6として厚さ3μmの高純度銅箔を筐体8の上部に設置し、このターゲットと結晶上面の距離を約20mmとし、その中間側方部電子発生源7”としてタングステンフィラメントを置き、これに加熱電流(2V、3A)を流して熱電子を筐体内へ放出させた例で、CuKαX−rayのカーブは銅の特性X線Kαの強度を、CuKβX−rayは同じく銅の特性X線Kβの強度を示す。
尚、結晶体1は、約16分間で120℃まで加熱し、その後約16分間で常温(約10℃)まで冷却し、その冷却過程においてX線ターゲット6から発生するX線をシリコン半導体を用いたX線検出器(米国AMPTEK社製X−RAY DETECTOR.XR−100CR)で計測したグラフである。又筐体内の圧力は4×10−3Paに維持した。
図4のグラフの点線は、電子発生源7”への電流を遮断して、電子を全く発生させなかった場合のカーブで、そのピークは銅の特性X線Kαを示す。
図4のグラフの縦軸は取り出されたX線の強度(カウント数)を、横軸はX線エネルギ(KeV)を示す。
図4のグラフから判るように、電子放出を併用しない場合(結晶から放出される電子だけの場合)のX線強度は、4〜5万カウントであるのに対し、電子源7”から熱電子を放出させた場合は32〜33万カウントの強力な特性X線を取り出すことができた。
尚、上記実験例では、遮熱壁13を採用したが、電子源の位置を結晶から更に離した場合、或いは発熱の少ない電子源を利用した場合は、この遮熱壁は特に設けなくてもよい。
また白色X線・他の特性X線などエネルギの異なるX線を取り出したい場合は、その目的に対応するX線ターゲットを選べばよいことは当然である。
このように電子発生源を筐体内に併設することにより、強力なX線が取り出し得ることが実証された。
(変形例の説明)
以上の実施例では、電子発生源としてタングステン線を例示したが、電子を放出する他の電子供給体、装置などが適宜利用できる。
また、異極像結晶体としてLiNbOを使用した例について説明したが、タンタル酸リチウム(LiTaO)、硫酸グリシン(TGS)、チタン酸バリウム(BaTiO)など各種の焦電結晶を異極像結晶体として用いることができ、それぞれ結晶体の物理的性質に応じて加熱・冷却温度およびその温度サイクルを適当な周期に選定すれば同様の効果が得られる。
また前記結晶の温度変化によって発生する高電界の強さは、分極方向に平行な方向の結晶の厚みにも関係し、結晶の厚みが厚いほど電界強度が強くなることも解明できたので、装置の用途、大きさ、結晶の分極特性などに応じて適宜の結晶の厚み・大きさを選定すればよいが、結晶内の分極特性を一方向に揃えておくことが必要である。
尚温度変化を付与する場合の加熱温度は、結晶体のキューリー点以下の温度に設定することが望ましい。
また温度変化を付与する手段、すなわち、結晶表面での電荷のアンバランスを促す手段として、ペルチエ効果素子の代わりにヒーター線や高周波加熱手段や高出力レーザー生成プラズマ、また、その他のパイロエレメントと冷却液の還流手段との組合わせなど、各種の温度サイクル付与手段が適用できる。
X線ターゲットとしては、取り出すべきX線の性質・用途に応じて適宜のターゲット材料を選定すればよく、例えばX線分析のための特性X線を取り出す場合はその分析目的に適合する金属薄板(Al,Mg,Cuなど)を使用すればよい。通常の管球方式と異なり、白色X線の影響がかなり小さいのが特徴であるので、目的元素を効率よく取り出すことが可能である。
またこのX線ターゲットの位置は、筐体の側部に配置し筐体の側壁面からX線を取り出すようにしてもよい。
一般に異極像結晶体は、これを加熱したとき結晶表面の一方側がプラスに他方側がマイナスに帯電し、冷却したときは逆極性に帯電する。即ち結晶の電子源に向き合っている面の電位極性は、結晶が加熱サイクルにある期間と冷却サイクルにある期間とで反転する。従って結晶体の上面がプラス電位に帯電している時(例えば結晶体が加熱過程にある期間)は、放出された電子は一部異極像結晶体に向かって吸引され、これに衝突してX線を発生する。このX線はターゲットに当って2次X線発生に寄与する。
一方結晶体の上面がマイナス電位の時(例えば結晶体が冷却・降温過程にある期間)は、遊離した電子は結晶面のマイナス電位によって反発され、全てターゲット方向へ加速されターゲットに当ってX線に変換される。
従って、筐体内に放射された電子が異極像結晶体に衝突して発生するX線を少なくし、発生電子の大部分をX線ターゲットへ指向させたい場合は、加熱サイクルを短くし(急加熱する)冷却サイクルを長くとる(緩冷する)など、温度変化のサイクル時間を調整するか、あるいは結晶体が加熱過程にある時は電子発生源への印加電流を抑制または遮断し、一時的に電子の放出を抑制するなどの手段をとればよい。この動作は、温度サイクル付与ステージの加熱・冷却切り換えスイッチング回路の動作と関連して制御すればより効果的である。(例えば図1の5と12との間の2点鎖線参照)
このようにすれば、異極像結晶体からのX線発生を抑え、ターゲットから目的に沿ったX線のみを多く取り出すことができる。
ホローカソード管はグラファイトで構成した例について説明したが、異極像結晶による高電界の状況に応じてCuやMo, Wなど適宜の材料が使用できる。
さらに、電子を有効にターゲットへ指向収斂させるために、ホロ電極の形状を適当に選択することで、電子レンズ的な機能即ち電子のターゲットへの収斂機能を向上させることも可能である。
以上主として電子発生源から放出される電子を1個の異極像結晶体による高電界によってX線ターゲットに収斂させる例について説明したが、複数の異極像結晶体と電子発生源をX線ターゲットに対向配置し、各電子発生源から放出される電子を双方の結晶体による複合高電界によって加速し効果的にターゲットあるいは異極像結晶体に指向させるようにすれば、さらに強力なX線エネルギを取り出すことができる。

Claims (4)

  1. 内部に低気体圧雰囲気を維持した筐体と、
    前記筐体内に配置された異極像結晶体と、を備え、前記異極像結晶体は分極の向きを一方向に揃えられており、さらに、
    前記筐体内において、前記異極像結晶体から離れて配置され、熱電子を発生し、照射する電子発生源と、
    前記異極像結晶体から間隔をあけて配置されたX線発生用金属ターゲットと、
    前記異極像結晶体の温度を変化させることにより、前記異極像結晶体から前記筐体内に高電界を発生させる温度変化付与手段と、を備え、前記電子発生源から照射された熱電子が、前記高電界によって前記金属ターゲットへ加速衝突せしめられ、前記金属ターゲットから発生するX線が前記筐体から照射されるものであることを特徴とする異極像結晶体を用いたX線発生装置。
  2. 前記異極像結晶体と前記金属ターゲットとの間の空間の周辺に配置されるとともに、前記異極像結晶体から発生する電気力線を前記金属ターゲットに向けるホロー電極をさらに備え、前記電子発生源から照射された熱電子が、前記電気力線に沿って、前記金属ターゲットに向かって加速収斂せしめられることを特徴とする請求項1に記載の異極像結晶を用いたX線発生装置。
  3. 前記温度変化付与手段が、ペルチエ素子からなる温度サイクル発生ステージであり、前記温度サイクル発生ステージが、前記異極像結晶体の金属ターゲット対向面と反対側の面に配置され、それによって、前記異極像結晶体が周期的に加熱・冷却されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の異極像結晶を用いたX線発生装置。
  4. 前記電子発生源から照射される熱電子の密度を、前記異極像結晶体の温度変化に対応して制御する手段を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の異極像結晶を用いたX線発生装置。
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