JP4954414B2 - 天然非綿セルロース系繊維の酵素を使用する漂白 - Google Patents
天然非綿セルロース系繊維の酵素を使用する漂白 Download PDFInfo
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Description
発明の背景
1. 発明の分野
本発明は、天然の非綿セルロース基体の布帛を、酵素を使用して漂白するための方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、キシラン加水分解活性(xylanolytic activity)を有する酵素で、リンネル、亜麻、ジュート、カラムシおよび同様の布帛を漂白するための方法に関する。
2. 技術の状態
セルロース系布帛の酵素を使用する処理は、工業界で多大な成果を納めている。特に、綿テキスタイル業界、とりわけ、デニム業界においては、ストーンウオッシング、バイオポリッシングおよび脱ピリングのようなテキスタイル加工工程にて化学的処理の代わりにセルラーゼ酵素が採用されている。また、アミラーゼ酵素は、糊抜剤として採用されている。オキシドレダクターゼ酵素は、テキスタイル業界にて、漂白および染料転移還元(dye transfer reduction)目的のために使用が提案されている。
【0002】
クリーニング業界においても、また、汚れた布帛および衣服を洗濯するのに有用な薬剤として酵素が採用され、この技術は、プロテアーゼ、セルラーゼおよびアミラーゼの洗剤配合物における広範な使用を含む。例えば、布帛から蛋白質基体のしみを除去するのに有用なプロテアーゼが文献に記載されている。また、セルラーゼ、アミラーゼ、クチナーゼ、リパーゼ、パーオキシダーゼ、オキシダーゼおよびキシラーゼは、(WO98/39402において)、洗濯する布帛のしみを除くため、および、その他の望ましい属性を生じさせるために、洗濯洗剤にて使用することが示されている。
【0003】
キシラン(Xylans)は、キシロースおよびアラビノースから主としてなる複雑なヘテロポリマーである。土壌植物キシランは、β−1,4−結合した−D−キシロピラノシル主鎖によって構成され、これは、アセチル残基;および、アラビノースとメチルグルクロン酸との残基で置換されていてもよい。キシランは、バイオマスにて、セルロースに次ぐ、第2の最も豊富な炭水化物である。キシランを完全に加水分解するためには、多数の酵素が必要とされ、そのうち、ヘミセルラーゼが、最も広範に知られている。
【0004】
例えば、パルプおよび製紙業界にて、ヘミセルラーゼは、続いて起こる漂白にて薬品投与量を減少させるか、または、パルプの白色度を増加させるためにパルプの漂白に使用されている〔Kantelinen et al.,International Bleaching Conference,TAPPI Proceedings,1−5(1988);Viikari et al.,Paper and Timber 7:384−389(1991)〕。このような使用は、セルロース繊維を傷つけるセルロース加水分解活性が含まれないことをさらに示されている。パルプおよび製紙業界におけるこのような使用は、さらに、PCT公開パンフレットNos.WO89/08738;WO91/02791;および、WO91/05908に記載されている。ヘミセルラーゼは、また、バイオマスの燃料への転化〔Viikari et al.,“Hemicellurases for Industrial Applications”,Bioconversion of Forest and Agricaltural Wastes, Saddler,J.ed.,CAB International,USA(1993)〕;および、飼料に対する添加剤において示されている。
【0005】
承知のように、テキスタイルおよび炭水化物−キシラン化学の領域において広範囲にわたる研究がなされている。しかし、テキスタイル業界は、これらの布帛に付加される価値を提供する環境に優しい組成物でセルロース系布帛を処理する改良された方法をなお探求し続けている。とりわけ、改良された製品を製造するために、当業界は、非綿天然セルロース系テキスタイルヤーンおよび布帛を処理するさらに効率的かつクリーンな方法の開発について長らく必要性を感じていた。
【0006】
発明の概要
本発明の目的は、非綿セルロース系繊維、ヤーンおよび/または布帛;および、それで製造されるテキスタイルを漂白する酵素使用の方法を提供することである。
【0007】
本発明のなおもう1つの目的は、環境に危険かつ望ましくない薬品の使用を含まない、非綿セルロース系繊維、ヤーンおよび/または布帛;および、それで製造されるテキスタイルを漂白する別法を提供することである。
【0008】
本発明のなおさらなる目的は、工業標準湿式加工実施に適合する、亜麻、リンネル、ジュートおよび/またはカラムシを白化させる簡単でかつ効率的な方法を提供することである。
【0009】
本発明に従えば、非綿セルロース系繊維、ヤーンまたは布帛の白化を生ずるのに適した条件下および時間、前記非綿セルロース系繊維、ヤーンまたは布帛をヘミセルラーゼ酵素と接触させることによって、前記非綿セルロース系繊維、ヤーンまたは布帛を漂白する方法が提供される。好ましくは、ヘミセルラーゼ酵素は、キシラナーゼまたはマンナナーゼであり;最も好ましくは、キシラナーゼである。本発明に従う特に好ましい方法において、繊維、ヤーンまたは布帛は、亜麻、ジュート、カラムシまたはリンネルを含む。
【0010】
本発明のプロセス実施態様において、本発明の漂白工程は、テキスタイルの製造前に生ずる。本発明のもう1つのプロセス実施態様において、本発明の漂白工程は、清浄で汚れていないテキスタイル製品について生ずる。
【0011】
本発明のプロセス実施態様において、本明細書に示す漂白された繊維、ヤーンまたは布帛は、続いて、完全なテキスタイル製品に加工される。本発明のもう1つのプロセス実施態様において、繊維、ヤーンまたは布帛は、連続法にてヘミセルラーゼで処理されるか、または、バッチ法にてヘミセルラーゼで処理される。
【0012】
発明の詳細な説明
本発明に従えば、非綿セルロース系繊維、ヤーンまたは布帛の白化を生ずるのに適した条件下および時間、前記非綿セルロース系繊維、ヤーンまたは布帛をヘミセルラーゼ酵素と接触させることによって、前記非綿セルロース系繊維、ヤーンまたは布帛を漂白する方法が提供される。好ましくは、ヘミセルラーゼ酵素は、キシラナーゼまたはマンナンナーゼであり;最も好ましくは、キシラナーゼである。本発明に従う特に好ましい方法において、繊維、ヤーンまたは布帛は、亜麻、ジュート、カラムシまたはリンネルを含む。
【0013】
本発明のプロセス実施態様において、本発明の漂白工程は、テキスタイルの製造前に生ずる。本発明のもう1つのプロセス実施態様において、本発明の漂白工程は、清浄で汚れていないテキスタイル製品について生ずる。
【0014】
本発明のプロセス実施態様において、本明細書に示す漂白された繊維、ヤーンまたは布帛は、続いて、完全なテキスタイル製品に加工される。本発明のもう1つのプロセス実施態様において、繊維、ヤーンまたは布帛は、連続法にてヘミセルラーゼで処理されるか、または、バッチ法にてヘミセルラーゼで処理される。
【0015】
本明細書で使用する“ヘミセルラーゼ”とは、ヘミセルロースの分解および/または修飾を触媒する酵素を意味し、例えば、キシラナーゼ、マンナンナーゼ、キシロシダーゼ、マンノシダーゼ、グルコシダーゼ、アラビノシダーゼ、グルロニダーゼおよびガラクトシダーゼが挙げられる。特に好ましい実施態様において、ヘミセルラーゼは、天然または組換えのいずれかにより生産されるいずれかのキシラン分解酵素を意味すると理解されるキシラナーゼである。概して、キシラン分解酵素は、endo−またはexo−にキシランを加水分解するendo−およびexo−キシラナーゼであり、例えば、endo−1,3?キシロシダーゼ、endo−β−1,4−キシラナーゼ(1,4−β−キシランキシラノハイドロラーゼ;EC3.2.1.8)、1,3−?−D−キシランキシロハイドラーゼおよびβ−1,4キシロシダーゼ(1,4−β−キシランキシロハイドロラーゼ;EC3.2.1.37)(ECNos.3.2.1.32;3.2.1.72;3,2,1.8;3.2.1.37)のような酵素が挙げられる。好ましいキシラナーゼは、糸状の真菌または細菌源から誘導されるキシラナーゼであり;例えば、ジェネラアスペルギラス(Aspergillus);ディスポルトリクム(Disportrichum);ペニシリウム(Penisillium);ヒューミコーラ;ニューロスポラ(Neurospora);フサリウム(Fusarium);トリコダーマ(Trichoderma)およびグリコクラジウム(Glicodium)の真菌源;または、細菌性バチラス(Bacillus);サーモトーガ(thermatoga);ストレプトマイセス(Streptomyces);ミクロテトラスポラ(Microtetraspora);アクチンマデュラ(Actinmadura);サーモモノスポラ(Thermomonospora);アクチノミクテス(Actinomyctes)およびセファロスポラム(Cepholosporum)の細菌源が挙げられる。
【0016】
酵素は、有用な具体的な特性、例えば、安定性、活性または結合能を有するように設計されたキシラナーゼ酵素であるか、または、始めには活性がほとんどまたは全くないが、誘導進化の原理および有意なキシラナーゼ活性を有する酵素を生ずる蛋白質設計を使用して修飾される酵素であってもよい。
【0017】
本明細書で使用する“漂白”とは、繊維、布帛またはヤーンにてより明るい色を生ずるように、繊維、布帛および/またはヤーンを処理する方法を意味する。例えば、本明細書で使用する漂白は、セルロース系繊維中で化合物を生ずる色の除去、改質またはマスキングによる布帛の白化を意味する。
【0018】
“非綿セルロース系繊維、ヤーンまたは布帛”とは、主として綿以外のセルロース基体の組成物によって構成される繊維、ヤーンまたは布帛を意味する。このような組成物の例としては、リンネル、カラムシ、ジュート、亜麻;および、非綿セルロース系材料から誘導されるその他類似の組成物が挙げられる。
【0019】
1つの実施態様において、本発明に従う漂白は、ヘミセルラーゼ;または、ヘミセルラーゼの、例えば、緩衝液または界面活性剤等のその他任意の成分と一緒の組合せの有効量を含有する水溶液を調製する工程を含む。ヘミセルラーゼ酵素組成物の有効量は、その意図する目的に対して十分なヘミセルラーゼ酵素の濃度である。かくして、例えば、本発明の一連の洗浄にわたって漂白を生ずることを意図する組成物中のヘミセルラーゼの“有効量”は、所望される効果、例えば、非綿セルロース含有テキスタイル物品の色特性を類似のヘミセルラーゼを使用しない方法と比較して改善する効果を生ずる量である。使用されるヘミセルラーゼの量は、また、使用される装置;使用されるプロセスパラメータ、例えば、ヘミセルラーゼ漂白溶液の温度、ヘミセセルラーゼ溶液に対する暴露時間およびヘミセルラーゼ活性に依存する(例えば、活性のより低いヘミセルラーゼ組成物と比較して活性のより高いヘミセルラーゼ組成物を使用する場合、その溶液は、ヘミセルラーゼのより低い濃度を必要とするであろう。)。漂白水溶液中のヘミセルラーゼの正確な濃度は、当業者であれば、上記因子および所望される結果に基いて容易に決定することができるであろう。
【0020】
1つの漂白実施態様において、使用されるヘミセルラーゼが所望される活性を示す範囲内に溶液のpHを維持するのに緩衝液の濃度が十分なように処理組成物にて緩衝液を使用することができる。ヘミセルラーゼが活性を示すpHは、使用されるヘミセルラーゼの性質に依存する。使用される緩衝液の正確な濃度は、当業者であれば考慮することのできるであろう数種の因子に依存するであろう。例えば、好ましい実施態様において、緩衝液および緩衝液濃度は、最終的なヘミセルラーゼ溶液のpHを最適なヘミセルラーゼ活性に要求されるpH範囲内に維持するように選択される。本発明のヘミセルラーゼの最適pH範囲の決定は、周知の技術に従い確認することができる。ヘミセルラーゼの活性範囲内で適した緩衝液は、また、当分野の当業者に周知である。
【0021】
ヘミセルラーゼと緩衝液以外に、処理組成物は、界面活性剤、すなわち、カチオン性、非イオン性またはアニオン性界面活性剤を含有してもよい。適した界面活性剤としては、使用されるヘミセルラーゼおよび布帛に適合したいずれの界面活性剤、例えば、アニオン性、非イオン性および両性界面活性剤が挙げられる。適したアニオン性界面活性剤としては、直鎖または分岐アルキルベンゼンスルホネート;直鎖または分岐アルキル基またはアルケニル基を有するアルキルまたはアルケニルエーテルサルフェート;アルキルまたはアルケニルサルフェート;オレフィンスルホネート;アルカンスルホネート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。アニオン性界面活性剤に対する適した対イオンとしては、アルカリ金属イオン、例えば、ナトリウムおよびカリウム;アルカリ土類金属イオン、例えば、カルシウムおよびマグネシウム;アンモニウムイオン;および、炭素数2または3の1−3アルカノール基を有するアルカノールアミンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。両性界面活性剤としては、例えば、第4級アンモニウム塩スルホネート;および、ベタインタイプの両性界面活性剤が挙げられる。このような両性界面活性剤は、同一分子内に正および負の両方に帯電した基を有する。非イオン性界面活性剤は、概して、ポリオキシアルキレンエーテル;および、高級脂肪酸アルカノールアミドまたはそのアルキレンオキシド付加体および脂肪酸グリセリンモノエステルを含む。界面活性剤の混合物もまた当業者周知のように使用することができる。
【0022】
幾つかの実施態様においては、酵素を使用する分解を調節する目的のために上記考察したパラメータを調整することが望ましいかもしれない。例えば、pHは、ある時点で、ヘミセルラーゼの活性を消失し、望ましくない過剰の分解を防止するように調整することができる。あるいは、酵素の活性を消失することが他の分野で認められている方法、例えば、化学的な処理、プロテアーゼ処理および/または加熱漂白を実施することもできる。
【0023】
以下の実施例は、上記したような本発明をさらに詳述するものであって、本発明を何ら限定するものではない。
実施例
A. 個々の活性を決定するのに使用される技術:
アゾ−バーチウッドキシラナーゼ検定
BCA蛋白質検定
RBBアゾ−CM−セルロース検定
電気泳動
デンシトメトリー
−試験方法:
材料:
a.1.布帛:
−Testfabrics,Inc.よりのオイスター天然リンネル布帛(L−51)(Lot#699−8)
a.2.試薬:
−50mMアセテート緩衝液,pH4.5
−50mMホスフェート緩衝液,pH7.0
酵素:
−T.reeseiからのGC140,開発中のキシラナーゼ酵素
−キシラナーゼ52617−組織内の真菌由来
−バチラスプムリス(Bacillus pumulis)からのGC260,コムギ澱粉分離用の開発中のキシラナーゼ
−キシラナーゼ720,細菌性のキシラナーゼ
−バチラススブチリス(Bacillus subtilis)からのキシラナーゼ990391
−適用方法:
(1) ターゴトメーター(tergotometer)を以下のパラメータに設定した:40℃、90rpm攪拌速度、60分洗浄速度。
【0024】
(2) ターゴメータの水浴を40℃まで加熱するように設定し、ついで、適量の蒸留水を加えて、洗浄液の合計体積1リットルとした。
(3)50mMの緩衝液最終濃度(1リットル合計体積)とするために、0.2Mのホスフェート緩衝液,pH7.0または0.2Mのアセテート緩衝液,pH4.5の250mLを加えて、pHをチェックした。
【0025】
(4) 適量の酵素を加え、洗浄液のpHをチェックした。
(5) ワンポット当たり4個のオイスターリンネル見本小片を加え、タイマーを60分洗浄に設定した。
【0026】
(6) 30分および60分後、洗浄液のpHをチェックした。
(7) 60分後、各ポットからの小片を以下の条件で洗濯機内のメッシュバッグ中で濯いだ:濯ぎサイクル、冷却温度、低い水レベルおよび規則的な速度。
【0027】
(8) スチームプレスを使用し、中程度の加熱レベルで10−15秒間小片を乾燥した。
(9) HunterLab Mini走査スペクトロカラリメーターを使用して、小片のCIELAB L★、a★、b★値を得た。(比較のため、小片のL★、a★、b★値は、洗浄前に読み取った。)
【0028】
【表1】
【0029】
両方のキシラナーゼ酵素とも、原天然リンネル布帛について明瞭な漂白効果を示した。原リンネル見本小片は、洗浄前はオフホワイト色であるが、60分洗浄,pH7.0および40℃キシラーゼによる1サイクル後に、白色となった。両方のキシラーゼとも、これら酵素による60分、40℃およびpH7.0洗浄条件での処理後、原リンネル見本小片について、b★カラースケール値の低下を示した。
Claims (8)
- 非綿セルロースのヤーンまたは布帛の白化を生ずるのに適した条件下および時間、
前記ヤーンまたは布帛を、バチルススブチリスまたはバチルスプムリス由来のキシラナーゼと接触させることによって、ヤーンまたは布帛を漂白する方法。 - 前記ヤーンまたは布帛が亜麻、ジュート、カラムシまたはリンネルを含む、請求項1に記載の方法。
- 前記漂白がテキスタイル製品の製造前に生ずる、請求項1に記載の方法。
- 前記漂白が清浄で汚れていないテキスタイル製品について生ずる、請求項1に記載の方法。
- 前記ヤーンまたは布帛が、続いて、完全なテキスタイル製品に加工される、請求項3に記載の方法。
- 前記ヤーンまたは布帛が連続法にて前記キシラナーゼで処理される、請求項1に記載の方法。
- 前記ヤーンまたは布帛がバッチ法にて前記キシラナーゼで処理される、請求項1に記載の方法。
- 前記ヤーンまたは布帛が、前記キシラナーゼ漂白の前、同時または後に、セルラーゼ、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、オキシドレダクターゼまたはエステラーゼで処理される、請求項1に記載の方法。
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