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JP4959458B2 - 切削工具及び切削方法 - Google Patents
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JP4959458B2 - 切削工具及び切削方法 - Google Patents

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Description

本発明は、金属部品等の切削加工に用いる切削工具及び切削方法に関する。
従来から、金属部品等の溝入れ加工や突切り加工に用いる切削工具として図8に示す構成のものが知られている。ここで図8は、従来の切削工具であって、切削インサートが工具ホルダ本体から取り外された状態を示す部分斜視図である。
図8に示すように、従来の切削工具101は、上顎部109と、下顎部110と、上顎部と下顎部の後端側に位置して上顎部109と下顎部110を保持する保持部111とを有する工具ホルダ112と、上顎部109と下顎部110との間に着脱可能に配設される切削インサート104とを具えている。切削インサート104は、後端面105が保持部111に向かうように工具ホルダ112に装着されている。保持部111の上顎部109近傍には、第一逃げ部123が形成されており、また、保持部111の下顎部110近傍には、第二逃げ部124が形成されている。第一逃げ部123の凹面は、切削インサート104の上面102と後端面105との間に位置する第一角部106から、第二逃げ部124の凹面は、切削インサート104の下面103と後端面105との間に位置する第二角部107から、それぞれ離間している。第一逃げ部123と第二逃げ部124は、切削インサート104の後端面105に当接する当接面113により分断されている。切削インサート104の先端部には切刃108が形成され、回転する被削材に切刃108を接触させることにより、切削加工を施すことができる(例えば、特許文献1参照。)。
また、上記の切削インサートにおいては、工具ホルダ112と第一角部106及び第二角部107との干渉を避けると共に、切削加工時における応力集中を緩和するために、工具ホルダ112に第一角部106から離間する第一逃げ部123及び第二角部107から離間する第二逃げ部124を形成している。
特表2002−536191号公報
上述のような溝入れ加工用工具を用いて切削加工を行う場合、切削加工時において、切刃にかかる力が一定ではなく、生成する切り屑の挙動等によって不連続に変動しながら切削が行われる。その際、長期に渡って一定でない応力が、切削インサートの後端部から工具ホルダの逃げ部近傍の上顎部、下顎部及び保持部に繰り返しかかる。このとき逃げ部は、上顎部及び下顎部から力を受け、逃げ部の一端と他端である開口端部が押し広げられる。これにより、逃げ部の凹面に応力が集中し、その結果、工具ホルダは、逃げ部を起点として上顎部や下顎部に亀裂が生じ、当該箇所から破損に至るという問題があった。
本発明の目的は、上記の課題に鑑み、切削加工時に工具ホルダの逃げ部にかかる応力を緩和することにより、上顎部や下顎部における亀裂の発生及び工具ホルダの破損を抑制し、耐久性の高い切削工具と、該切削工具を用いた切削方法を提供することにある。
本発明のうち請求項1に係る発明は、切削インサートと、該切削インサートの上面及び下面を挟持する上顎部及び下顎部並びに該上顎部と該下顎部を保持する保持部を具える工具ホルダとを具える切削工具であって、前記切削インサートは、前記保持部に向かうように配置された後端面を有すると共に、前記上面と前記後端面との間に第一角部を、前記下面と前記後端面との間に第二角部をそれぞれ有し、前記工具ホルダの前記保持部は、凹面が前記第一角部と前記第二角部の少なくとも一方から離間する凹面を具備する逃げ部を有し、前記切削インサートの前記上面、前記下面、前記後端面のうち少なくとも二面と接し、前記逃げ部の凹面と接すると共に、前記切削インサートと、前記凹面とから圧力を受けることにより反発力を生じる配設部材を具えることを特徴とする。
また、上記発明において、前記配設部材が、前記第一角部及び第二角部から離間することが好ましい。
また、上記発明において、前記工具ホルダの前記保持部は、前記切削インサートの前記後端面と当接する当接面を有することが好ましい。
また、上記発明において、前記逃げ部として、前記第一角部から離間する凹面を具備る第一逃げ部と、前記第二角部から離間する凹面を具備する第二逃げ部とを具えていることが好ましい。
また、上記発明において、前記配設部材として、前記切削インサートの前記上面と前記後端面とに接すると共に前記第一逃げ部の凹面と接する第一配設部材と、前記切削インサートの前記下面と前記後端面とに接すると共に前記第二逃げ部の凹面と接する第二配設部材のうち少なくとも一方を具える切削工具であることが好ましい。
また、上記発明において、前記配設部材は、前記逃げ部の凹面の少なくとも一箇所に固定されることが好ましい。
また、上記発明において、前記工具ホルダの長手方向に沿って前記切削インサートの前記上面及び下面を通る平面で切断する場合の前記配設部材の断面形状が、前記切削インサートに向けて開口する凹状をなすことが好ましい。
本発明のうち請求項9に係る発明は、切削インサートと、該切削インサートの上面及び下面を挟持する上顎部及び下顎部並びに該上顎部と下顎部を保持する保持部を具える工具ホルダとを具える切削工具であって、前記切削インサートは、前記保持部に向かうように配置された後端面を有すると共に、前記上面と前記後端面との間に第一角部を、前記下面と前記後端面との間に第二角部をそれぞれ有し、前記工具ホルダの前記保持部は、前記第一角部と前記第二角部の少なくとも一方から離間する凹面を具備する逃げ部を有し、前記切削インサートと前記逃げ部との間に配設され、切削加工時において、前記逃げ部の一端と他端である開口端部が押し広げられるように前記切削インサートからかかる力を緩和する配設部材を具えることを特徴とする切削工具。
本発明の切削方法は、上記のいずれかに記載の切削工具を用いて被削材を切削する切削方法であって、前記被削材に切削工具を相対的に近づける近接工程と、前記被削材を回転させ、前記切刃を被削材の表面に接触させて、被削材の表面を切削する切削工程と、前記被削材と前記切削工具とを相対的に遠ざける離間工程とを、備えることを特徴とする。
本発明の切削工具は、切削加工時において切削インサートから逃げ部にかかる応力に対し、配設部材に生じる反発力を対抗させ、逃げ部にかかる応力を緩和することができる。その結果、逃げ部における亀裂の発生や破損を抑制し、より耐久性の高い切削工具を提供することができる。
また、本発明の切削工具を用いた切削方法により、切削加工時において、切削インサートから逃げ部にかかる応力が緩和され、工具ホルダの破損を抑制することができ、被削材に対して長期に渡り安定した切削加工を施すことができる。
本発明の切削工具は、切削インサートが工具ホルダに着脱可能に取り付けられてなるものであり、溝入れ加工又は突切り加工等に用いられる。
以下に、本発明の切削工具の実施形態を、図面を参照して説明する。
本発明の各実施形態に係る工具ホルダ212において、切削インサート204を挟持する部分のうち、切削インサートの上面202と当接する側を上顎部209とし、下面203と当接する側を下顎部210とする。図2、図4及び図6において、保持部211と上顎部209との境界を、保持部211と下顎部210との境界をそれぞれ一点鎖線で示す。
図1は、本発明に係る切削工具の第一実施形態であり、切削インサートが工具ホルダ本体から取り外された状態の部分斜視図である。また、図2は、図1で示した切削工具であって、切削インサートが工具ホルダに装着された状態を示す部分側面図である。
図1及び図2に示すように、切削工具201は、切削インサート204と工具ホルダ212とを具えており、工具ホルダ212は、上顎部209及び下顎部210で切削インサート204の上面202と下面203とを挟持している。切削インサート204は、後端面205が保持部211に向かうように工具ホルダ212に装着されている。工具ホルダ212の保持部211には、上顎部209近傍から下顎部210近傍に渡って逃げ部220が形成されている。逃げ部220の凹面221は、切削インサート204の上面202と後端面205との間に位置する第一角部206と、切削インサート204の下面203と後端面205との間に位置する第二角部207とから離間している。切削工具201には、配設部材222が具えられており、配設部材222は、切削インサート204の上面202、下面203及び後端面205の三面と接すると共に、逃げ部220の凹面221と接している。
切削加工時において、切削インサート204が振動し、逃げ部220の開口端部229同士を広げる方向に力がかかる。このとき、切削インサート204と当接する箇所から配設部材222にも圧力がかかる。該圧力を受けた配設部材222は、逃げ部220の凹面221に押し付けられ、その際凹面221から反作用として圧力を受ける。これら二種類の圧力を受けることにより、配設部材222は切削インサート204の振動方向に沿うように弾性変形して反発力が生じる。該反発力は、切削インサート204から逃げ部220にかかる応力に対抗し該応力を緩和する。これにより、工具ホルダ212は、逃げ部220を起点とした上顎部209及び下顎部210における亀裂の発生が抑制され、当該箇所から破損に至るのを防止することができる。
即ち、逃げ部220と切削インサート204との間に配設され、切削加工時において、切削インサート204から逃げ部220の両開口端部229の間隔を広げるようにかかる力を緩和する配設部材222であれば、工具ホルダ212の破損を防止することができる。
本発明において「配設部材」とは、逃げ部と切削インサートとの間に配設され、切削インサートと、逃げ部の凹面とから圧力を受けることにより反発力を生じるものであり、具体的には弾性部材等のゴムやバネ等が用いられる。なお、これらの配設部材は、切削インサートと、逃げ部の凹面との間で変形する際に、塑性変形しないことが好ましい。
また、本実施形態において、切削インサート204は、上顎部209のテーパー部分によって後端面の位置決めを行っているが、本発明の実施形態はこれに限定されず、例えば、切削インサート204及び上顎部209にテーパー部分を設けず、その代わりに、保持部211に切削インサート204の後端面205と当接する箇所を設けても良い。即ち、切削インサート204を挟持する際、位置決めを容易にすると共に、切削加工時において、切削インサート204が保持部211の後端部方向へずれることを防止できる構造を切削工具201が具えれば良い。その結果、被削材に対して安定した切削加工を施すことができる。
また、配設部材222は、第一角部206及び第二角部207から離間していることが好ましい。これにより、切削加工時に配設部材222が第一角部206及び第二角部207と干渉するのを防ぎ、その結果、配設部材222の破損を抑制することができる。
また、工具ホルダ212の保持部211には、切削インサート204の後端面205と当接する当接面が形成されることが好ましい。これにより、切削インサート204を挟持する際の位置決めを容易に行うことができる。
さらに、切削加工時においては、切削インサート204が保持部211の後端部方向へずれることを防止し、被削材に対して安定した切削加工を施すことができる。
また、逃げ部220は、第一角部206から離間する凹面を具備する第一逃げ部と、第二角部208から離間する凹面を具備する第二逃げ部とに分断され、配設部材222として、上面202と後端面205とに接すると共に前記第一逃げ部の凹面と接する第一配設部材と、下面203と後端面205とに接すると共に前記第二逃げ部の凹面と接する第二配設部材のうち少なくとも一方が配設されることが好ましい。前記第一配設部材と前記第二配設部材のうち少なくとも一方が配設されることにより、切削インサート204が前記第一逃げ部と前記第二逃げ部とに加える応力のうち少なくとも一方が緩和され、その結果、前記第一逃げ部と前記第二逃げ部のうち少なくとも一方において亀裂の発生や破損が抑制され、より耐久性の高い切削工具を提供することができる。
なお、最も好ましくは前記第一配設部材と前記第二配設部材とが共に配設される場合であり、この場合は、前記第一逃げ部と前記第二逃げ部において、亀裂の発生や破損を防止することができる。
さらに、前記第一逃げ部及び前記第二逃げ部に配設される前記第一配設部材及び前記第二配設部材の形状や弾性率等の条件を各切削工具に合わせて最適化することで、より耐久性の高い切削工具を提供することができる。
また、配設部材222が、逃げ部220の凹面221に接着材やネジ部材等を用いて固定されていることが好ましい。これにより、切削加工時において、配設部材222は凹面221から離間することなく圧力を受け弾性変形し、反発力が生じる。その結果、切削インサート204から逃げ部220にかかる応力を確実に緩和することができる。
本発明において、「固定」は接着剤やネジ部材等を用いてなされる。配設部材が凹面に固定される場合、その固定部は互いに接着され、離間することがない。
また、工具ホルダ212の長手方向に沿って切削インサート204の上面202及び下面203を通る平面で切断する場合の配設部材222の断面形状が、切削インサート204に向けて開口する凹状をなしていることが好ましい。切削加工の際、単に逃げ部220に充填されている配設部材と比べて、前記断面形状が凹状をなす配設部材は大きく変形し、より大きな反発力が生じるため、逃げ部220にかかる応力を効果的に緩和することができる。
なお、本第一実施形態では、工具ホルダ212が、上顎部209を開いて切削インサート204を装着する際、上顎部209及び下顎部210が閉じる方向に生じる反発力を拘束力として利用し、自己拘束的に切削インサート204を装着する挟持方式を用いているが、本発明に係る切削工具の実施形式は上記の固定方式に限るものではない。例えば、クランプネジ部材による切削インサート挟持方式を用いることができる。
以下に、本発明に係る他の実施形態について、図面を参照して説明する。
図3は、本発明に係る切削工具の第二実施形態を示す部分斜視図である。また、図4は、図3の部分側面図である。図5は、前記第二実施形態における切削工具のうち、工具ホルダの部分斜視図である。
図3及び図4に示すように、本発明に係る第二実施形態である切削工具201は、切削インサート204と工具ホルダ212とを具えており、工具ホルダ212は、上顎部209及び下顎部210で切削インサート204の上面202と下面203とを挟持している。切削インサート204は、後端面205が保持部211に向かうように工具ホルダ212に装着されている。保持部211には、上顎部209近傍に形成された第一逃げ部223と、下顎部210近傍に形成された第二逃げ部224とからなる逃げ部220が形成されている。第一逃げ部223の第一凹面227は、切削インサート204の上面202と後端面205との間に位置する第一角部206から、第二逃げ部224の第二凹面228は、切削インサート204の下面203と後端面205との間に位置する第二角部207から、それぞれ離間している。第一逃げ部223と第二逃げ部224は、切削インサート204の後端面205に当接する当接面213により分断されている。切削工具201には、配設部材222として、第一配設部材225と、第二配設部材とが具えられている。第一配設部材225の開口部は、上面202と後端面205とに接し、さらに第一逃げ部223の第一凹面227に接しており、第二配設部材226の開口部は、下面203と後端面205とに接し、さらに第二逃げ部224の第二凹面228に接している。なお、第一配設部材225は、切削インサート204の第一角部206とは接触しないように配設されている。
本実施形態において、第一配設部材225と第二配設部材226とが第一逃げ部223及び第二逃げ部224にそれぞれ配設されている。第一配設部材225と第二配設部材226とが、切削インサート204からそれぞれの逃げ部にかかる応力を緩和することで、第一逃げ部223及び第二逃げ部224における亀裂の発生や破損を抑制し、より耐久性の高い切削工具201を提供することができる。
本実施形態において、図5に示すように、第一逃げ部223及び第二逃げ部224には、角部を持たない第一凹面227及び第二凹面228が形成されている。これにより、切削インサート204から第一逃げ部223及び第二逃げ部224にかかる応力が各凹面の一箇所に集中することを防止でき、その結果、第一逃げ部223及び第二逃げ部224における亀裂の発生や破損を抑制することができる。
また、図3及び図4に示すように、第一配設部材225は第一角部206から、第二配設部材226は第二角部207からそれぞれ離間している。これにより、切削加工時に第一配設部材225が第一角部206と、第二配設部材226が第二角部207とそれぞれ干渉するのを防ぐことができ、その結果、第一配設部材225及び第二配設部材226の破損を抑制し、逃げ部220にかかる応力を緩和し続けることができる。
また、工具ホルダ212の保持部211には、切削インサート204の後端面205と当接する当接面213が形成されている。これにより、切削インサート204を挟持する際、位置決めを容易にすると共に、切削加工時においては、切削インサート204が保持部211の後端部方向へずれることを防止し、被削材に対して安定した切削加工を施すことができる。
また、図4に示すように、本実施形態においては工具ホルダ212の当接面213が切削インサート204の後端面205と面接触している。これにより、第一実施形態のように上顎部209及び下顎部210の二箇所と接触する場合と比較して、切削加工時に切削インサート204から工具ホルダ212にかかる圧力をより効果的に分散させることができ、工具ホルダ212の耐久性を高めることができる。
また、工具ホルダ212の長手方向に沿って切削インサート204の上面202及び下面203を通る平面で切断した場合の第一配設部材225及び第二配設部材226の断面形状が、切削インサート204に向けて開口する凹状をなしており、第一配設部材225と第一凹面227との間及び第二配設部材226と第二凹面228との間には、クリアランスがそれぞれ設けられている。該クリアランスは、第一逃げ部及び第二逃げ部の奥部から開口端部に向かうにつれて大きくなるよう形成されており、これにより、切削加工の際、凹面221との当接により配設部材222の弾性変形が阻まれる事態が起こりにくくなる。その結果、切削加工時において、単に逃げ部に充填されている配設部材と比べて第一配設部材225及び第二配設部材226は大きく変形し、より大きな反発力が生じるため、切削インサート204から第一逃げ部223及び第二逃げ部224にかかる応力を効果的に緩和することができる。
さらに本実施形態においては、第一配設部材225が第一逃げ部223と、第二配設部材226が第二逃げ部224と、それぞれ嵌合している。これにより、配設部材222と凹面220とが接触する面積が増加するため、第一配設部材225及び第二配設部材226が変形する際、第一配設部材225から第一凹面227にかかる圧力と、第二配設部材226から第二凹面228にかかる圧力とをそれぞれ効果的に分散できる。その結果、第一逃げ部223及び第二逃げ部224における亀裂の発生や破損を抑制することができる。
また、第一配設部材225は第一凹面227に、第二配設部材226は第二凹面228にそれぞれ固定されている。これにより、切削加工時において第一配設部材225は第一凹面227から、第二配設部材226は第二凹面227からそれぞれ離間することなく圧力を受け、前述のとおり、弾性変形し反発力が生じる。その結果、切削インサート204から第一逃げ部223及び第二逃げ部224にかかる応力を確実に緩和することができる。
また、工具ホルダ212には、当接面213から工具ホルダ21の後端側に伸びるスリットを設けても良い。この場合は、切削インサート204を配設する際、上顎部209の上下動作が容易になり、切削インサート204の取付けが容易になる。また、図3に示すように、切削インサート204には、上面202に凹状の上方クランプ部240aと、下面203に凹状の下方クランプ部240bとが形成されている。一方、図5に示すように、工具ホルダ212には、上顎部209に凸状の上顎クランプ部241aが、下顎部210に下顎クランプ部241bがそれぞれ形成されている。インサートを配設する際、上顎クランプ部241aと上方クランプ部240a、下顎クランプ部241bと下方クランプ部240bとが互いに嵌合することにより、切削加工時において、切削インサート204の工具ホルダ212からの横ずれを抑制すると共に、被削材に対して安定した切削加工を施すことができる。
さらに、上顎クランプ部241aと下顎クランプ部241bとが形成されることにより、上顎部209及び下顎部210が切削インサート204と接触する面積が増加している。これにより、切削加工時において上顎部209及び下顎部210にかかる圧力が、より効果的に分散され、その結果、工具ホルダ212の破損を抑制することができる。
また、工具ホルダ212にはクランプネジ部材231が配設されており、クランプネジ部材231を締めこむことにより、切削インサート204を装着する。この場合、クランプネジ部材231は、切削インサート挟持部の、より近傍に配設されるのが好ましい。これにより、切削加工時における工具ホルダ212の振動を緩和し、その結果、工具ホルダ212の破損を抑制することができる。
次に、本発明に係る切削工具の第三実施形態について、その部分側面図である図6と、配設部材の断面形状を示す図7とを参照して説明する。
図6に示す本発明に係る切削工具の第三実施形態では、第一実施形態と同様に自己拘束的に切削インサート204を装着する挟持方式を用いている。具体的には、切削インサート204の上面202と当接する上顎部209の面を、切削インサート204の下面203に当接する下顎部210の面に対して傾斜させたテーパー面と下顎部によって、切削インサート204を拘束している。そのため、本実施例においては切削インサート204に形成される切刃は1つであり、第二実施形態とは異なり、切削加工には片側のみが使用される。この場合、工具ホルダ212にはネジ穴が形成されないため、クランプネジ部材231が配設される第二実施形態と比べ、工具ホルダ212の剛性を高めることができる。
また、本実施形態において、工具ホルダ212の保持部211には当接面213が形成されていないため、逃げ部220は第二実施形態のように分断されていない。この場合、前記第二実施形態と比べて凹面221の曲率半径が大きいため、切削加工時において切削インサート204から逃げ部220にかかる応力がより効果的に分散され、その結果、逃げ部220における亀裂の発生や破損を抑制し、より耐久性の高い切削工具を提供することができる。
また、第三実施形態において逃げ部220に嵌合する配設部材222は、第二実施形態における配設部材222と比べ凹面221と接触する面積が広いため、配設部材222から凹面221にかかる圧力を、より効果的に分散させることができる。
図7に示すように、本実施形態において、配設部材222は、工具ホルダ212の長手方向に沿って切削インサート204の上面202及び下面203を通る平面で切断する場合の断面形状が、内周面233と、外周面232と、内周面233と外周面232とを接続する接続面234とから形成されており、内周面233と、接続面234との間の角部で、切削インサート204の上面202と下面203とに接している。切削加工時において、切削インサート204は主として上下に振動する。したがって、第三実施形態のように配設された配設部材222には、切削インサート204の上面202と下面203とから配設部材222の開口部の間隔を広げる方向に強い圧力がかかる。その結果、前述のとおり、配設部材222に強い反発力が発生し、切削インサート204から逃げ部220にかかる応力をより効果的に緩和することができる。
また、第二実施形態と比べて凹面221と配設部材222との間には、より広いクリアランスが形成されている。これにより、切削加工時において、切削インサート204からより大きな圧力がかかる場合であっても配設部材222は凹面221に阻まれることなく弾性変形することができる。その結果、前述のとおり配設部材222には反発力が生じ、切削インサート204から逃げ部220にかかる応力を、より大きく緩和することができる。
また、配設部材222は、逃げ部220において、スリット230の上方部及びスリット230の下方部の二箇所に固定されている。配設部材222が一箇所のみで固定される場合、切削加工時において、配設部材222から凹面221にかかる圧力は、固定部に集中し易い。本実施形態において、配設部材222はスリット230より上方と、スリット230より下方の二箇所に固定されているため、固定部にかかる圧力が分散し、その結果、逃げ部220における亀裂の発生や破損を抑制することができる。
さらに、配設部材222は凹面221の二箇所に固定されていることで、切削インサート204から圧力を受けた際、逃げ部220にかかる応力を、より確実に緩和することができる。
具体的には、凹面221の曲率半径が大きくなるにつれ、凹面221の一箇所のみに固定された配設部材222には、切削インサート204から圧力を受ける際に、固定部を軸にして上下に位置ずれが生じ易くなる。配設部材222が圧力を受ける際に位置ずれが生じる場合、該圧力は位置ずれを起こす一方、前述した配設部材222を弾性変形させるための圧力としては効果的に作用せず、配設部材222には効果的に反発力が生じない。これに対し本実施形態では、配設部材222がスリット230を挟んで二箇所に固定されているため、切削インサート204から圧力を受けても位置ずれすることなく弾性変形し、効果的に反発力が生じる。その結果、切削インサート204から逃げ部220にかかる応力を確実に緩和することができる。
以上、本発明に係る切削工具の実施形態を溝入れ加工用の切削工具を例にして示したが、本発明に係る切削工具は前記実施形態に限定されるものではなく、発明の目的を逸脱しない限り任意のものとすることができることはいうまでもない。
次に、本発明に係る切削工具を用いて被削材を切削する切削方法について図面を参照して説明する。
図9〜図11に本発明に係る切削工具を用いて被削材を切削する切削方法の工程図を示す。まず、工具ホルダ212に切削インサート204を取り付ける。そして、図9に示すように、被削材250を回転させて切削工具201の切刃208を被削材250に近づける。なお、切刃208と被削材250は、相対的に近づけば良く、例えば、被削材250を切削工具201に近づけても良い。
次いで、図10に示すように、切刃208を被削材250に接触させて被削材250を切削する。その後、図11に示すように被削材250から切削工具201を離間させる。なお、切削加工を継続する場合は、被削材250を回転させた状態を保持して、被削材250の異なる箇所に切削工具201の切刃208を接触させる工程を繰り返す。
これにより、切削加工時において、工具ホルダ212の逃げ部220にかかる応力が緩和され、工具ホルダ212の破損を抑制することができ、被削材に対して長期に渡り安定した切削加工を施すことができる。
上記切削方法としては、溝入れ加工を例に説明したが、内径加工等その他の切削加工に用いることができる。
本発明に係る切削工具の一実施形態であり、切削インサートがホルダ本体から取り外された状態の部分斜視図である。 本発明に係る切削工具の一実施形態を示す部分側面図である。 本発明に係る切削工具の第二実施形態を示す部分斜視図である。 本発明に係る切削工具の第二実施形態を示す部分側面図である。 図3に示す切削工具のうち、工具ホルダの部分斜視図である。 本発明に係る切削工具の第三実施形態を示す部分側面図である。 図6に示す切削工具のうち、配設部材の断面図である。 従来の切削工具であり、切削インサートが工具ホルダ本体から取り外された状態の部分斜視図である。 本発明に係る切削方法の工程図である。 本発明に係る切削方法の工程図である。 本発明に係る切削方法の工程図である。
符号の説明
102・・・上面
103・・・下面
104・・・切削インサート
105・・・後端面
106・・・第一角部
107・・・第二角部
108・・・切刃
109・・・上顎部
110・・・下顎部
111・・・保持部
112・・・工具ホルダ
113・・・当接面
120・・・逃げ部
123・・・第一逃げ部
124・・・第二逃げ部
201・・・切削工具
202・・・上面
203・・・下面
204・・・切削インサート
205・・・後端面
206・・・第一角部
207・・・第二角部
208・・・切刃
209・・・上顎部
210・・・下顎部
211・・・保持部
212・・・工具ホルダ
213・・・当接面
220・・・逃げ部
221・・・凹面
222・・・配設部材
223・・・第一逃げ部
224・・・第二逃げ部
225・・・第一配設部材
226・・・第二配設部材
227・・・第一凹面
228・・・第二凹面
229・・・開口端部
230・・・スリット
231・・・クランプネジ部材
232・・・外周面
233・・・内周面
234・・・接続面
240a・・・上方クランプ部
240b・・・下方クランプ部
241a・・・上顎クランプ部
241b・・・下顎クランプ部
250・・・被削材

Claims (9)

  1. 切削インサートと、
    該切削インサートの上面及び下面を挟持する上顎部及び下顎部並びに該上顎部と該下顎部を保持する保持部を具える工具ホルダと、を具える切削工具であって、
    前記切削インサートは、前記保持部に向かうように配置された後端面を有すると共に、前記上面と前記後端面との間に第一角部を、前記下面と前記後端面との間に第二角部をそれぞれ有し、
    前記工具ホルダの前記保持部は、前記第一角部と前記第二角部の少なくとも一方から離間する凹面を具備する逃げ部を有し、
    前記切削インサートの前記上面、前記下面、前記後端面のうち少なくとも二面と接し、前記逃げ部の凹面と接すると共に、前記切削インサートと、前記凹面とから圧力を受けることにより反発力を生じる配設部材を具えることを特徴とする切削工具。
  2. 前記配設部材が、前記第一角部及び第二角部と離間することを特徴とする請求項1に記載の切削工具。
  3. 前記工具ホルダの前記保持部は、前記切削インサートの前記後端面と当接する当接面を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の切削工具。
  4. 前記逃げ部として、前記第一角部から離間する凹面を具備する第一逃げ部と、前記第二角部から離間する凹面を具備する第二逃げ部とを具えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の切削工具。
  5. 前記配設部材として、前記切削インサートの前記上面と前記後端面とに接すると共に前記第一逃げ部の凹面と接する第一配設部材と、前記切削インサートの前記下面と前記後端面とに接すると共に前記第二逃げ部の凹面と接する第二配設部材のうち、少なくとも一方を具えることを特徴とする請求項4に記載の切削工具。
  6. 前記配設部材が、前記逃げ部の凹面の少なくとも一箇所に固定されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の切削工具。
  7. 前記工具ホルダの長手方向に沿って前記切削インサートの前記上面及び下面を通る平面で切断する場合の前記配設部材の断面形状が、前記切削インサートに向けて開口する凹状をなすことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の切削工具。
  8. 切削インサートと、
    該切削インサートの上面及び下面を挟持する上顎部及び下顎部並びに該上顎部と下顎部を保持する保持部を具える工具ホルダと、を具える切削工具であって、
    前記切削インサートは、前記保持部に向かうように配置された後端面を有すると共に、前記上面と前記後端面との間に第一角部を、前記下面と前記後端面との間に第二角部をそれぞれ有し、
    前記工具ホルダの前記保持部は、前記第一角部と前記第二角部の少なくとも一方から離間する凹面を具備する逃げ部を有し、
    前記切削インサートと前記逃げ部との間に配設され、切削加工時において、前記逃げ部の一端と他端である開口端部が押し広げられるように前記切削インサートからかかる力を緩和する配設部材を具えることを特徴とする切削工具。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の切削工具を用いて被削材を切削する切削方法であって、
    前記被削材に切削工具を相対的に近づける近接工程と、
    前記被削材を回転させ、前記切刃を被削材の表面に接触させて、被削材の表面を切削する切削工程と、
    前記被削材と前記切削工具とを相対的に遠ざける離間工程と、を備えることを特徴とする切削方法。
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