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JP4964082B2 - コントロールケーブルの配索経路を解析する装置及び方法 - Google Patents
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コントロールケーブルの配索経路を解析する装置及び方法 Download PDF

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本発明は、入力側の操作を出力側に伝達するコントロールケーブルに関する。詳しくは、入力側装置と出力側装置との間にコントロールケーブルが取付けられたときのコントロールケーブルの配索経路及び性能を予測する技術に関する。
コントロールケーブルは、アウターケーブルと、アウターケーブル内に挿通されたインナーケーブルで構成される。インナーケーブルは、アウターケーブルに案内されて、軸方向に移動可能となっている。
アウターケーブルの一端は、入力側装置のハウジングに固定される。アウターケーブルの他端は、出力側装置のハウジングに固定される。また、インナーケーブルの入力端は入力側装置の操作部材に固定される。インナーケーブルの出力端は、出力側装置の被伝達部材に固定される。入力側装置の操作部材が操作されると、インナーケーブルがアウターケーブル内を軸方向に移動する。これによって、操作部材へ加えられた操作が出力側装置の被伝達部材に伝達される。
コントロールケーブル(即ち、アウターケーブル)は、入力側装置と出力側装置との間に存在する他の装置と干渉しないよう配索されることが要求される。このために、アウターケーブルの両端の取付条件(取付位置、取付角度)や、アウターケーブルを取り付ける中間点の取付条件(取付位置、取付角度)等が種々変更される。
しかしながら、これらの条件を変えたときのコントロールケーブルの配索経路は、コントロールケーブルの変形性の高さ(配索自由度の高さ)から予測することが困難であった。このため、コントロールケーブルの配索経路を決めるためには、まず、設計者の勘に頼って取付条件や中間取付点の条件等を決めなければならない。次に、このようにして決めた条件にしたがって、実際に装置(入力側装置及び出力側装置)を試作する。そして、試作した装置にコントロールケーブルを取付ける。試作した装置にコントロールケーブルを取付けたときにコントロールケーブルが他の装置と干渉している場合には、再び上述した手順を繰返すこととなる。したがって、コントロールケーブルの配索経路を決めるためには、複数回の試作と評価を行う必要があった。このことは、開発期間の長期化及び開発コストの増大を招いていた。
上記の問題に関し、特許文献1は、コンピュータを用いてコントロールケーブルの配索経路を算出する技術を開示している。特許文献1に記載の技術では、コントロールケーブルを有限要素の集合で近似した計算モデルを作成し、その計算モデルに対して有限要素法等の数値解析を実行することで、コントロールケーブルの配索経路を算出する。ここで、コントロールケーブルの特性(例えば曲げ剛性やねじり剛性等)については、アウターケーブルの特性とインナーケーブルの特性を個別に取得しておき、それらの特性を合成することによってコントロールケーブル全体の特性を決定している。特許文献1に記載の技術によると、コントロールケーブル全体の特性を容易に決定することができ、コントロールケーブルの配索経路を精度良く予測することが可能となる。
国際公開第2002/048923号パンフレット
実際に配索されたコントロールケーブルは、その形状が常に一定に維持されるものではなく、インナーケーブルに加えられた入力荷重に応じて部分的に湾曲したり伸縮したりする。即ち、コントロールケーブルの配索経路は、コントロールケーブルの特性やその取付条件のみならず、インナーケーブルに加えられた入力荷重によっても変化する。そのことから、コントロールケーブルの配索経路を精度よく予測するためには、インナーケーブルに加えられた入力荷重を加味して、コントロールケーブルの配索経路を算出する必要がある。
本発明は、インナーケーブルに加えられる入力荷重を加味して、コントロールケーブルの配索経路を精度よく予測する技術を提供する。
本発明は、アウターケーブル内にインナーケーブルが挿通されたコントロールケーブルの配索経路を解析するための装置に具現化される。この装置は、少なくともアウターケーブルの曲げ剛性を含むアウターケーブル特性データを入力する手段と、少なくともインナーケーブルの軸剛性を含むインナーケーブル特性データを入力する手段と、コントロールケーブルの長さを入力する手段と、少なくともコントロールケーブルの取付位置と取付角度を含む取付条件を入力する手段と、インナーケーブルへの入力荷重を入力する手段を備えている。さらに、この装置は、入力したアウターケーブル特性データとインナーケーブル特性データとコントロールケーブルの長さを用いて、アウターケーブルとインナーケーブルを個々に有限要素の集合で近似したコントロールケーブルの計算モデルを作成する計算モデル作成手段と、作成したコントロールケーブルの計算モデルと入力したコントロールケーブルの取付条件とインナーケーブルへの入力荷重を用いて数値解析を実行し、コントロールケーブルの配索経路を算出する配索経路算出手段を備えている。
この装置では、コントロールケーブルを有限要素の集合で近似した計算モデルを用いて数値解析を実行し、コントロールケーブルの配索経路を算出する。この数値解析で用いられる計算モデルでは、アウターケーブルとインナーケーブルが、個々に有限要素の集合で近似されている。それにより、計算モデルを用いて数値解析を実行する際に、インナーケーブルへの入力荷重を境界条件に加えることが可能となっている。
この装置によると、インナーケーブルに加えられる入力荷重を加味して、コントロールケーブルの配索経路を精度よく算出することができる。
上記した装置は、算出したコントロールケーブルの配索経路を用いて数値解析を実行し、前記入力荷重を負荷したインナーケーブルの入力端における移動量と出力端における移動量との差分(ストロークロス)を算出するストロークロス算出手段が付加されていることが好ましい。
それにより、算出した配索経路でコントロールケーブルを配索したときの操作伝達性に係る性能を評価することも可能となる。
前記したストロークロス算出手段は、インナーケーブルの出力端を固定又は可動した条件で、前記移動量の差分を算出することが好ましい。
この手法によると、前記した移動量の差分(ストロークロス)を簡便に算出することができる。
前記したストロークロス算出手段は、算出したコントロールケーブルの配索経路を前記コントロールケーブルの取付位置で区分し、区分した部分配索経路のそれぞれを単純曲げと仮定した条件で、前記移動量の差分を算出することが好ましい。
この手法によると、前記した移動量の差分(ストロークロス)をより簡便に算出することができる。
本発明に係る装置では、入力する前記取付条件が、前記取付位置でコントロールケーブルが支持する軸剛性及び/又は軸直剛性を含むことが好ましい。
それにより、コントロールケーブルを取り付けるためのアウター端末やクランプ部材の特性を加味して、コントロールケーブルの配索経路をより精度よく算出することが可能となる。
本発明はまた、コントロールケーブルの配索経路をコンピュータによって解析するための方法にも具現化される。この方法は、コンピュータが少なくともアウターケーブルの曲げ剛性を含むアウターケーブル特性データを取得する工程と、コンピュータが少なくともインナーケーブルの軸剛性を含むインナーケーブル特性データを取得する工程と、コンピュータがコントロールケーブルの長さを取得する工程と、コンピュータが少なくともコントロールケーブルの取付位置を含む取付条件を取得する工程と、コンピュータがインナーケーブルへの入力荷重を取得する工程を備えている。さらに、この方法は、コンピュータが、取得したアウターケーブル特性データとインナーケーブル特性データとコントロールケーブルの長さを用いて、アウターケーブルとインナーケーブルを個々に有限要素の集合で近似したコントロールケーブルの計算モデルを作成する工程と、コンピュータが、作成したコントロールケーブルの計算モデルと取得したコントロールケーブルの取付条件とインナーケーブルへの入力荷重を用いて数値解析を実行し、コントロールケーブルの配索経路を算出する工程を備えている。
この方法によると、インナーケーブルに加えられる入力荷重を加味して、コントロールケーブルの配索経路を精度よく算出することができる。
本発明によれば、コントロールケーブルの配索経路を精度よく予測することが可能となり、コントロールケーブルを用いた装置の開発期間を短縮したり、その開発コストを低減することが可能となる。
本発明を実施するための好適な形態を列記する。
(形態1) 配索経路解析装置は、各種のデータを記憶可能なデータ記憶手段を備えることが好ましい。この場合、データ記憶手段は、アウターケーブル特性データファイル、インナーケーブル特性データファイル、アウター端末特性データファイル、クランプ特性データファイル等を記憶していることが好ましい。ここで、アウターケーブル特性データファイルは、アウターケーブルの種類毎に、アウターケーブルの特性(少なくとも曲げ剛性)を記録するものである。インナーケーブル特性データファイルは、インナーケーブルの種類毎に、インナーケーブルの特性(少なくとも軸剛性)を記録するものである。アウター端末特性データファイルは、アウター端末の種類毎に、その軸方向剛性や軸直方向剛性を記録するものである。クランプ特性データファイルは、クランプ部材の種類毎に、その軸方向剛性や軸直方向剛性を記録するものである。
(形態2) コントロールケーブルの計算モデルでは、アウターケーブル部分とインナーケーブル部分が、三次元方向に変位可能に設定されている。
本発明を具現化した実施例について図面を参照しながら説明する。本実施例では、コンピュータを利用した配索経路解析装置によって、コントロールケーブルの配索経路を算出する手法を説明する。また、算出した配索経路を用い、コントロールケーブルのストロークロスを算出する手法を説明する。コントロールケーブルのストロークとは、インナーケーブルの入力端に加えた操作量と、それに対するインナーケーブルの出力端の移動量との差分を示す。即ち、(ストロークロス)=(荷重入力した時の入力端に加えた操作量)−(荷重入力した時の出力端の移動量)となる。ストロークロスが小さいほど、入力端に加えた操作が出力端に効率よく伝達されることを意味する。
最初に、図17−20を参照して、解析対象であるコントロールケーブル60と、コントロールケーブル60を用いた自動車用のパーキングブレーキシステム50について簡単に説明する。図17は、パーキングブレーキシステム50の構成を模式的に示している。図17に示すように、パーキングブレーキシステム50は、入力側装置である操作装置51と、出力側装置であるブレーキ装置54と、両者を接続しているコントロールケーブル60を備えている。操作装置51は車両(図示省略)の運転席近傍に配置され、ブレーキ装置54は車両(図示省略)の後輪近傍に配置される。操作装置51は、運転手が操作するための操作部材52を備えている。ブレーキ装置54は、後輪を制動するための制動部材(被伝達部材)55を備えている。
コントロールケーブル60は、アウターケーブル61と、アウターケーブル61内に挿通されたインナーケーブル62を備えている。図18に、コントロールケーブル60の構造を示す。図18に示すように、アウターケーブル61は、平鋼線を螺旋巻きに成形した平鋼線部分61aと、平鋼線部分61aを被覆している被覆部61bを有している。平鋼線部分61aは、角ばねに類似する構造を有している。被覆部61bは、高分子材料(本実施例では樹脂材料)で形成されている。インナーケーブル62は、複数の線材(鋼線)を撚ってケーブルとしたものである。なお、図18に示すコントロールケーブル60の構造は一例であり、本実施例で解析対象とするコントロールケーブル60がこの構造に限定されることを意味しない。
図17に示すように、アウターケーブル61の各端には、アウター端末64が設けられている。アウターケーブル61の一端は、アウター端末64を介して操作装置51のフレーム53に取り付けられており、アウターケーブル61の他端は、アウター端末64を介してブレーキ装置54のフレーム56に取り付けられている。図19に、アウター端末64を例示する。アウター端末64は、内部にクッション材(図示省略)を備えており、コントロールケーブル60を軸方向や軸直方向に弾性変位可能に支持している。なお、アウター端末64は、クッション材を必ずしも備える必要はない。アウター端末64の軸方向剛性や軸直方向剛性は、アウター端末64の種類によって異なるものとなる。
図17に示すように、コントロールケーブル60は、複数のクランプ部材66によって、その中間位置で車両に取り付けられている。図20に、クランプ部材66を例示する。クランプ部材66は、弾性材料(金属や樹脂)で形成されており、コントロールケーブル60を軸方向や軸直方向に弾性変位可能に支持している。なお、クランプ部材66の軸方向剛性や軸直方向剛性は、クランプ部材66の種類によって異なるものとなる。
図17に示すコントロールケーブル60の配索経路は一例である。コントロールケーブル60の配索経路は、コントロールケーブル60の長さ、その両端のアウター端末64の位置(方向を含む)、複数のクランプ部材66の位置(方向を含む)のみならず、アウターケーブル61の特性(少なくとも曲げ剛性)、インナーケーブル62の特性(少なくとも軸剛性)、アウター端末64の特性(少なくとも軸剛性、軸直剛性)、クランプ部材66の特性(少なくとも軸剛性、軸直剛性)、インナーケーブル62への入力荷重(操作力)に応じて変化する。
次に、配索経路解析装置10について説明する。図1は、配索経路解析装置10の構成を模式的にしめすブロック図である。配索経路解析装置10は、機能的に、入力装置12と、表示装置14と、出力装置16と、データ処理部20と、データ記憶部30を備えている。入力装置12は、キーボードやマウス等のポインティングデバイスを含んで構成されている。表示装置14は、算出された結果を表示するディスプレイを含んで構成されている。出力装置16は、算出された結果をプリントアウトするプリンタを含んで構成されている。データ処理部20やデータ記憶部30は、コンピュータのハードウエアやソフトウエアによって構成されている。
データ処理部20は、主に、計算モデル作成部22と、配索経路算出部24と、ストロークロス算出部26を備えている。計算モデル作成部22は、与えられたデータに基づいて、アウターケーブル61とインナーケーブル62を個々に有限要素の集合で近似し、コントロールケーブル60の計算モデルを作成する処理を実行する。配索経路算出部24は、計算モデル作成部22が作成した計算モデルを用いて、コントロールケーブル60の配索経路を算出する処理を実行する。ストロークロス算出部26は、配索経路算出部24が算出したコントロールケーブル60の配索経路を用いて、ストロークロスを算出する処理を実行する。
データ記憶部30には、アウターケーブル特性データファイル32と、インナーケーブル特性データファイル34と、アウター端末特性データファイル36と、クランプ特性データファイル38が記憶されている。
アウターケーブル特性データファイル32は、アウターケーブル61の種類〔径、アウターケーブルのタイプ(例えば、平鋼タイプ又はストランドタイプ)等〕毎に、アウターケーブル61の特性(曲げ剛性)を記録している。アウターケーブル61の曲げ剛性は、アウターケーブル61に荷重(曲げモーメント)を加え、そのときの変形量(曲率)を実測することによって求めることができる。なお、アウターケーブル特性データファイル32には、実測した曲げ剛性(図2の破線グラフB)がそのまま記録されていてもよいが、実測した曲げ剛性を単純化したモデル特性(図2の実線グラフA)が記録されていてもよい。本実施例ではモデル特性を用いており、アウターケーブル特性データファイル32には、アウターケーブル61の種類毎に、図2に示すような曲げ剛性に関するモデル特性Aが記録されている。
インナーケーブル特性データファイル34は、インナーケーブル62の種類〔径、鋼線の撚り方(例えば、単撚り又は複撚り)等〕毎に、インナーケーブル62の特性(軸剛性)を記録している。インナーケーブル62の軸剛性は、インナーケーブル62に引張荷重を加え、そのときの伸び量を実測して求めることができる。なお、インナーケーブル特性データファイル34には、実測した軸剛性(図3の破線グラフB)がそのまま記録されていてもよいが、実測した軸剛性を単純化したモデル特性(図3の実線グラフA)が記録されていてもよい。本実施例ではモデル特性を用いており、インナーケーブル特性データファイル34には、インナーケーブル62の種類毎に、図3に示すような軸剛性に関するモデル特性Aが記録されている。
アウター端末特性データファイル36は、アウター端末64の種類毎に、その軸方向剛性や軸直方向剛性を記録している。アウター端末64の軸方向剛性(又は軸直方向剛性)は、アウター端末64に固定されたコントロールケーブル60に軸方向荷重(又は軸直方向荷重)を加え、そのときの軸方向変位量(又は軸直方向変位量)を実測することによって求めることができる。なお、アウター端末特性データファイル36には、実測した軸方向剛性や軸直方向剛性がそのまま記録されていてもよいが、実測した各剛性を単純化したモデル特性が記録されていてもよい。図4に、実測した軸方向剛性(破線グラフB)と、それを単純化したモデル特性(実線グラフA)を例示する。本実施例ではモデル特性を用いており、アウター端末特性データファイル36には、アウター端末64の種類毎に、軸方向剛性に関するモデル特性や、軸直方向剛性に関するモデル特性が記録されている。
クランプ特性データファイル38は、クランプ部材66の種類毎に、その軸方向剛性や軸直方向剛性を記録している。クランプ部材66の軸方向剛性(又は軸直方向剛性)は、クランプ部材66に固定されたコントロールケーブル60に軸方向荷重(又は軸直方向荷重)を加え、そのときの軸方向変位量(又は軸直方向変位量)を実測することによって求めることができる。なお、クランプ特性データファイル38には、実測した軸方向剛性や軸直方向剛性がそのまま記録されていてもよいが、実測した各剛性を単純化したモデル特性が記録されていてもよい。図5に、実測した軸直方向剛性(破線グラフB)と、それを単純化したモデル特性(実線グラフA)を例示する。本実施例ではモデル特性を用いており、クランプ特性データファイル38には、クランプ部材66の種類毎に、軸方向剛性に関するモデル特性や、軸直方向剛性に関するモデル特性が記録されている。
次に、配索経路解析装置10を利用してコントロールケーブル60の配索経路を算出する手順を、図6に示すフローチャートに基づいて説明する。
ステップS2では、入力装置12を用いて、アウターケーブル61の種類が入力される。入力されたアウターケーブル61の種類は、データ処理部20の内部メモリに記憶される。データ処理部20の計算モデル作成部22は、入力された種類に対応するアウターケーブル61の特性(曲げ剛性)を、アウターケーブル特性データファイル32から読み出す。読み出されたアウターケーブル61の特性は、データ処理部20の内部メモリに記憶される。
ステップS4では、入力装置12を用いて、インナーケーブル62の種類が入力される。入力されたインナーケーブル62の種類は、データ処理部20の内部メモリに記憶される。データ処理部20の計算モデル作成部22は、入力された種類に対応するインナーケーブル62の特性(軸剛性)を、インナーケーブル特性データファイル34から読み出す。読み出されたインナーケーブル62の特性は、データ処理部20の内部メモリに記憶される。
ステップS6では、入力装置12を用いて、アウター端末64の種類が入力される。入力されたアウター端末64の種類は、データ処理部20の内部メモリに記憶される。データ処理部20の配索経路算出部24は、入力された種類に対応するアウター端末64の特性(軸方向剛性、軸直方向剛性)を、アウター端末特性データファイル36から読み出す。読み出されたアウター端末64の特性は、データ処理部20の内部メモリに記憶される。
ステップS8では、入力装置12を用いて、コントロールケーブル60の取付条件(取付位置及び取付角度)が入力される。具体的には、二つのアウター端末64の位置及び角度と、複数のクランプ部材66の位置及び角度が入力される。アウター端末64やクランプ部材66の位置及び角度は、自動車の設計データ(CADデータ)によって与えられるものである。
ステップS10では、入力装置12を用いて、クランプ部材66の種類が入力される。入力されたクランプ部材66の種類は、データ処理部20の内部メモリに記憶される。データ処理部20の配索経路算出部24は、入力された種類に対応するクランプ部材66の特性(軸方向剛性、軸直方向剛性)を、クランプ特性データファイル38から読み出す。読み出されたクランプ部材66の特性は、データ処理部20の内部メモリに記憶される。
ステップS12では、入力装置12を用いて、ケーブル長(アウターケーブル61の長さ)が入力される。入力されたケーブル長は、データ処理部20の内部メモリに記憶される。
ステップS14では、入力装置12を用いて、インナーケーブル62へ負荷する荷重が入力される。先に説明したように、コントロールケーブル60の配索経路は、インナーケーブル62へ負荷された荷重に応じて変化する。例えばパーキングブレーキシステム50では、運転手が操作装置51の操作部材52を操作したときに、インナーケーブル62へ負荷された荷重(引張力)に応じて、コントロールケーブル60の配索経路は変化する。本実施例の配索経路解析装置10は、インナーケーブル62へ負荷された荷重を加味して、コントロールケーブル60の配索経路を算出することができる。
ステップS16では、計算モデル作成部22が、ステップS12で入力されたケーブル長に基づいて、コントロールケーブル60を有限要素の集合で近似した計算モデル160(図7参照)を作成する。図7に示すように、計算モデル作成部22が作成する計算モデル160は、アウターケーブル部分161とインナーケーブル部分162のそれぞれが、有限要素の集合で構成されている。アウターケーブル部分161とインナーケーブル部分162は、その軸方向に沿って相対変位可能に設定されているとともに、その軸直方向に沿って相対変位不能に設定されている。また、アウターケーブル部分161の特性(曲げ剛性)は、ステップS2でアウターケーブル特性データファイル32から読み出された特性(曲げ剛性)を用いて設定される。また、インナーケーブル部分162の特性(軸剛性)は、ステップS4でインナーケーブル特性データファイル34から読み出された特性(軸剛性)を用いて設定される。なお、図7では詳細な図示を省略するが、計算モデル160のアウターケーブル部分161は、平鋼を螺旋巻きしたアウターケーブル61の構造を表現する構造を有している。
続いて、図6のステップS18では、データ処理部20の配索経路算出部24が、ステップS16で作成された計算モデル160を用い、有限要素法を実行してコントロールケーブル60の配索経路を算出する。このとき、配索経路算出部24は、ステップS6で読み出されたアウター端末64の特性(軸方向剛性、軸直方向剛性)、ステップS8で入力された取付位置及び取付角度、ステップS10で読み出されたクランプ部材66の特性(軸方向剛性、軸直方向剛性)、ステップS14で入力されたインナーケーブル62への負荷荷重を境界条件に用い、配索経路を解析的に算出する。
ここで、図8−図10を参照し、配索経路算出部24による配索経路の算出手順について説明する。図8に示すように、先ず、計算モデル160の一方の端部(詳しくはアウターケーブル部分161の一方の端部)を、その取付位置Aに配置する。この段階で、計算モデル160は直線状に伸びた状態となっている。次に、図9に示すように、計算モデル160の他方の端部160eをその取付位置Eに向けて移動させ、そのときの計算モデル160の配索経路を解析演算する。ここで、1回の計算で端部160eを移動させる距離は、配索経路の計算が発散しないような距離とする。次に、図10に示すように、計算モデル160の中間取付部(クランプ部材66を取り付ける位置)160b、160c、160dをそれぞれの取付位置B、C、Dへ移動させ、そのときの計算モデル160の配索経路を解析演算する。この場合も、1回の計算で中間取付部160b、160c、160dを移動させる距離は、配索経路の計算が発散しないような距離とする。次に、それぞれの取付位置A、B、C、D、Eにおいて、計算モデル160からアウター端末64又はクランプ部材66に加えられる力を算出する。そして、アウター端末64及びクランプ部材66の特性(軸方向剛性、軸直方向剛性)を加味し、計算モデル160の各部160a−160eの位置を修正する解析演算を実行する。
以上の手順によって、計算モデル160の配索経路、即ち、コントロールケーブル60の配索経路が算出される。ここで、例えばステップS14に戻り、インナーケーブル62へ負荷する荷重を変更することによって、そのときのコントロールケーブル60の配索経路を新たに算出することもできる。インナーケーブル62への負荷荷重を逐次変更した配索経路を算出することにより、パーキングブレーキシステム50の動作時におけるコントロールケーブル60の動的な配索経路を求めることもできる。それにより、コントロールケーブル60の車両への干渉の有無を、より正確に把握することができる。
コントロールケーブル60の配索経路が算出されると、続くステップS20では、データ処理部20のストロークロス算出部26によって、コントロールケーブル60のストロークロスが算出される。
通常、ストロークロスの実測は、コントロールケーブル60を配索し、インナーケーブル62の出力端を固定した状態でインナーケーブル62の他端に入力荷重(操作力)を負荷し、そのときの他端の移動量を測定することによって行われる。従って、図11に示すように、配索されたコントロールケーブル60の計算モデル160を用い、インナーケーブル部分162の出力端162bを固定した条件でインナーケーブル部分162の入力端162aに入力荷重(操作力)Pを負荷し、そのときの入力端162aの移動量Lを解析計算することによって、ストロークロスを算出することができる。しかしながらこの手法では計算コストが高く、ストロークロスを簡便に算出することができない。
そのことから、本実施例のストロークロス算出部26は、計算モデル160の配索経路を取付位置A−E毎に区切り、それぞれの部分配索経路A−B、B−C、C−D、D−E毎に部分ストロークロスを算出する。そして、部分配索経路毎に算出した部分ストロークロスの合算値を、コントロールケーブル60全体のストロークロスとする。
最後に、図6のステップS22では、各種の解析結果、即ち、コントロールケーブル60の配索経路、ストロークロス、アウター端末64やクランプ部材66に加えられる反力等が、表示装置14に表示される。また、これらの解析結果は、出力装置16によって外部に出力することもできる。
図12に示すように、部分配索経路(例えばB−C間)における部分ストロークロスdLの算出は、部分配索経路が単純曲げであると仮定して行われる。ここでいう単純曲げとは、部分配索経路が単一平面内で湾曲しており、その曲率が一定であることを意味する。その結果、部分配索経路(例えばB−C間)は、その距離Dと曲げ角度θによって定まるものとなる。
図13に、部分配索経路における部分ストロークロスの実測値(破線B)と、部分配索経路を単純曲げと仮定した部分ストロークロスdLの解析値(実線A)を示す。図13に示すように、部分配索経路を単純曲げと仮定しても、その部分ストロークロスdLを正確に算出することができる。
図14に、曲げ角度θと部分ストロークロスdLの関係を示す。図14に示すように、曲げ角度θと部分ストロークロスdLの関係についても、部分配索経路を単純曲げと仮定した解析値(図中×印)は、実測値に非常に近似する値となることが確認された。
図15は、ストロークロス算出部26によるストロークロスLの解析値(部分ストロークロスdLの合算値)と、実際に配索したコントロールケーブル60におけるストロークロスの実測値を示す。図15に示すように、ストロークロス算出部26によって、コントロールケーブル60のストロークロスを正確に算出することができることが確認されている。
図16は、配索経路解析装置10によって得られたクランプ部材66の位置とストロークロスの関係を示すグラフである。図中のAは、部分配索経路B−C間(図11参照)をクランプ部材66で固定しない場合を示している。図中のBは、部分配索経路B−Cの中間位置を、新たなクランプ部材66でその湾曲方向外側に所定距離だけ移動させた場合を示している。図中のCは、部分配索経路B−Cの中間位置を、新たなクランプ部材66でその湾曲方向内側に所定距離だけ移動させた場合を示している。図中のDは、部分配索経路B−Cの中間位置を、新たなクランプ部材66で配索平面垂直方向に所定距離だけ移動させた場合を示している。図16に示すように、クランプ部材66の位置によって、コントロールケーブル60のストロークロスが変化する。特に、今回の解析結果では、部分配索経路B−Cの中間位置を新たなクランプ部材66でその湾曲の中心方向に向かう側に所定距離だけ移動させることによって、ストロークロスを減少できることが判明した。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は、複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
配索経路解析装置の構成を示すブロック図。 アウターケーブルの曲げ剛性を示すグラフ。 インナーケーブルの軸剛性を示すグラフ。 アウター端末の軸方向剛性を示すグラフ。 クランプ部材の軸直方向剛性を示すグラフ。 コントロールケーブルの配索経路を算出する手順を示すフローチャート。 コントロールケーブルの計算モデルを示す模式図。 計算モデルを用いて配索経路を算出する第1の過程を示す図。 計算モデルを用いて配索経路を算出する第2の過程を示す図。 計算モデルを用いて配索経路を算出する第3の過程を示す図。 計算モデルを用いたストロークロスの算出手法を示す図。 部分配索経路における部分ストロークロスを示す図。 入力荷重と部分ストロークロスの関係を示すグラフ。 曲げ角度と部分ストロークロスの関係を示すグラフ。 入力荷重とストロークロスの関係を示すグラフ。 クランプ位置と入力荷重-ストロークロスの関係を示すグラフ。 パーキングブレーキシステムの構成を示す図。 コントロールケーブルの構成を例示する図。 アウター端末の構成を例示する図。 クランプ部材の構成を例示する図。
符号の説明
10:配索経路解析装置
12:入力装置
14:表示装置
16:出力装置
20:データ処理部
22:計算モデル作成部
24:配索経路算出部
26:ストロークロス算出部
30:データ記憶部
32:アウターケーブル特性データファイル
34:インナーケーブル特性データファイル
36:アウター端末特性データファイル
38:クランプ特性データファイル
50:パーキングブレーキシステム
51:操作装置
52:操作部材
53:操作装置のフレーム
54:ブレーキ装置
55:制動部材(被伝達部材)
56:ブレーキ装置のフレーム
60:コントロールケーブル
61:アウターケーブル
62:インナーケーブル
64:アウター端末
66:クランプ部材
160:計算モデル
161:アウターケーブル部分
162:インナーケーブル部分

Claims (6)

  1. アウターケーブル内にインナーケーブルが挿通されたコントロールケーブルの配索経路を解析するための装置であり、
    少なくともアウターケーブルの曲げ剛性を含むアウターケーブル特性データを入力する手段と、
    少なくともインナーケーブルの軸剛性を含むインナーケーブル特性データを入力する手段と、
    コントロールケーブルの長さを入力する手段と、
    少なくともコントロールケーブルの取付位置と取付角度を含む取付条件を入力する手段と、
    インナーケーブルへの入力荷重を入力する手段と、
    入力したアウターケーブル特性データとインナーケーブル特性データとコントロールケーブルの長さを用いて、アウターケーブルとインナーケーブルを個々に有限要素の集合で近似したコントロールケーブルの計算モデルを作成する計算モデル作成手段と、
    作成したコントロールケーブルの計算モデルと入力したコントロールケーブルの取付条件とインナーケーブルへの入力荷重を用いて数値解析を実行し、コントロールケーブルの配索経路を算出する配索経路算出手段と、
    を備える配索経路の解析装置。
  2. 算出したコントロールケーブルの配索経路を用いて数値解析を実行し、前記入力荷重を負荷したインナーケーブルの入力端における移動量と出力端における移動量との差分を算出するストロークロス算出手段が付加されていることを特徴とする請求項1に記載の配索経路の解析装置。
  3. 前記ストロークロス算出手段は、インナーケーブルの出力端を固定又は可動した条件で、前記移動量の差分を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の配索経路の解析装置。
  4. 前記ストロークロス算出手段は、算出したコントロールケーブルの配索経路を前記コントロールケーブルの取付位置で区分し、区分した部分配索経路のそれぞれを単純曲げと仮定した条件で、前記移動量の差分を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の配索経路の解析装置
  5. 前記取付条件は、前記取付位置でコントロールケーブルが支持されるときの軸剛性及び/又は軸直剛性を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の配索経路の解析装置。
  6. アウターケーブル内にインナーケーブルが挿通されたコントロールケーブルの配索経路をコンピュータによって解析するための方法であり、
    コンピュータが、少なくともアウターケーブルの曲げ剛性を含むアウターケーブル特性データを取得する工程と、
    コンピュータが、少なくともインナーケーブルの軸剛性を含むインナーケーブル特性データを取得する工程と、
    コンピュータが、コントロールケーブルの長さを取得する工程と、
    コンピュータが、少なくともコントロールケーブルの取付位置を含む取付条件を取得する工程と、
    コンピュータが、インナーケーブルへの入力荷重を取得する工程と、
    コンピュータが、取得したアウターケーブル特性データとインナーケーブル特性データとコントロールケーブルの長さを用いて、アウターケーブルとインナーケーブルを個々に有限要素の集合で近似したコントロールケーブルの計算モデルを作成する工程と、
    コンピュータが、作成したコントロールケーブルの計算モデルと取得したコントロールケーブルの取付条件とインナーケーブルへの入力荷重を用いて数値解析を実行し、コントロールケーブルの配索経路を算出する工程と、
    を備える配索経路の解析方法。
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