DRAMやSRAMなどのメモリデバイスやロジックデバイスなどの半導体装置は極めて多数の素子によって構成されているが、製造工程上の様々な要因によって一部の回路やメモリセルが正常動作しなくなることがある。この場合、一部の回路やメモリセルの不良により装置全体を不良として扱うとすれば製造歩留りを低下させ、ひいては製造コストの増加にも繋がることとなる。このため、近年の半導体装置においては、不良回路や不良メモリセルを、予め準備しておいた冗長回路や冗長メモリセルに切り換えて良品とすることにより不良品を救済することが行われている。また、異なる機能を有する複数の回路を一体として構成した後に装置機能の切り換えを行う半導体装置や、所定の回路を構成した後に装置特性の調整を行うようにしている半導体装置も存在する。このような装置の再構築は、通常、半導体装置上に予め複数のヒューズを備えたヒューズ回路を実装しておき、動作試験等の後、当該ヒューズをレーザ照射によって切断することにより行われている。
ヒューズ回路を有する従来の半導体装置及びその製造方法について、図11を用いて説明する。図11(a)は従来の半導体装置の構造を示す概略断面図、図11(b)は従来の半導体装置の構造を示す平面図、図11(c)はヒューズ切断後の従来の半導体装置の構造を示す概略断面図である。
下地基板上200には、所定の回路に接続され、回路の切り換えを行うためのヒューズ202が形成されている。ヒューズ202上には、ヒューズ202を覆う層間絶縁膜204が形成されている。層間絶縁膜204上には、層間絶縁膜204を介してヒューズ202に接続された配線層206が形成されている。配線層206上には、パッシベーション膜211が形成され、ヒューズ202上でパッシベーション膜211の一部は除去されている。ヒューズ202は、下地基板200上に所定のピッチPをもって複数形成される(図11(a)、(b))。
このようなヒューズ回路において、ヒューズ202の切断は、ヒューズが形成された領域にレーザ光208を照射し、その吸収エネルギーによってヒューズ202を急激に高温に加熱して溶融爆発(Laser Explosion)することにより行われていた(図11(c))。
ここで、半導体装置を微細化するためにはヒューズ202のピッチPをより狭くすることが必要であるが、ヒューズ202のピッチPは、レーザ光208のスポットサイズ210と、レーザ光208のアライメント精度とによって律則されることとなる。
レーザ光208のスポットサイズ210は、照射するレーザ光の波長によってその下限が決定されるため、レーザ光の波長を短くすればするほどにスポットサイズ208を小さくすることができる。しかしながら、レーザ光の波長が短すぎるとヒューズ202の形成されていない領域を透過したレーザ光が下地の半導体基板に達して吸収され、そこで加熱溶融爆発してしまう不都合がある。このため、半導体基板がシリコンの場合には、レーザ光の波長は、シリコン基板による吸収が少ない1μm程度、すなわち、スポットサイズにして約1.5〜2.0μmが下限であった。
一方、アライメント精度は、隣接するヒューズ202の両方を切断する場合に、爆発領域が重なってしまうと下地の半導体基板に損傷が入る不都合を防止するため、及び、隣接するヒューズ202の一方を切断する場合に他方に損傷を与えたり切断してしまうのを防止するために必要であり、通常、約0.5μmがその下限となっている。
したがって、上記従来のヒューズ切断方法では、ヒューズピッチの下限は2.0〜2.5μmであった。
ヒューズのピッチPを狭める方法としては、フォトレジストを用いる方法が本出願人の一部において提案されている。
フォトレジストを用いる方法では、図11(a)に示す半導体装置上にフォトレジスト212を形成し(図12(a))、溶融爆発の生じない十分に低いパワーでレーザ光208を照射してフォトレジスト212を露光し(図12(b))、露光したフォトレジスト212を現像して露光された領域214のフォトレジスト212を除去し(図12(c))、このフォトレジスト212をマスクとしてヒューズ202を通常のエッチングプロセスにて除去する(図12(d))。
この方法によれば、レーザ光208のパワーはフォトレジスト212を感光させるに十分であれば足りるので、ヒューズ202や半導体基板を溶融爆発するほどに高く設定する必要はない。したがって、レーザ光208の波長は容易に短波長化することができるので、レーザ光208のスポットサイズ210もレーザ光の波長に応じていくらでも小さくすることができる。したがって、レーザ光のスポットサイズ210に律則されるヒューズピッチPをも狭めることができる。
しかしながら、フォトレジストを用いる方法では、フォトレジストの塗布工程及び現像工程、ヒューズのエッチング工程、フォトレジストの剥離工程を更に設けなければならない。従来、ウェーハプロセス完了後に行う試験工程はウェーハプロセスクリーンルームに比べて清浄度が劣っていても支障がなかったが、エッチング等のプロセスを試験後に行う場合には、試験工程を清浄度の高いクリーンルーム内で行いウェーハに付着したゴミがエッチング装置を汚さないようにするか、ヒューズ切断専用のエッチング装置を配備する必要が生じるため、単なる工程増加以上に製造コストが増加することとなる。
このように、従来のヒューズ切断方法では、半導体装置の高集積化に応じてヒューズピッチを狭め、且つ、製造工程や製造コストの増加を抑えることは困難であった。
本発明の目的は、高集積化が容易で製造コストが増加しないヒューズ回路を有する半導体装置の構造及びその製造方法、並びに、このようなヒューズの切断に適したレーザ装置を提供することにある。
本発明は、レーザアブレーション(Laser Ablation)を用いてヒューズを切断しうる半導体装置及びその製造方法、並びに、このような半導体装置のヒューズを切断するに好適なレーザ装置を提供するのもである。レーザアブレーションとは、高強度のレーザ光を照射し、照射したレーザ光のエネルギーによって物質の結合を解き、被照射物を瞬時に昇華する現象をいうものである。
レーザ光の吸収による溶融爆発を用いる従来のヒューズ切断方法が、光エネルギーを一旦物質の結合の伸縮等の振動、すなわち、熱エネルギーに変換し、この後に溶融爆発するものであるのに対し、レーザアブレーションは、光エネルギーによって直接物質の結合を解離するものであり、溶融爆発とレーザアブレーションとは全く異なる現象に基づくものである。
かかるメカニズムの違いから、レーザアブレーションの場合にはレーザ光を照射した部分のみが消失し、未照射部との境界は極めて奇麗な切断面として残る。一方、従来の溶融爆発では、レーザ照射部近傍まで溶融爆発し、多数の飛散物が生じるとともに、レーザ照射部と未照射部との境界は極めて不鮮明となる。
このように、レーザアブレーションではレーザ照射部を奇麗に除去することができるが、ほとんど全ての物質を瞬時にして除去してしまうため制御性に欠け、ヒューズのみならず、その下層の半導体基板の一部までもが除去されてしまうという欠点がある。
上記欠点に鑑み本願発明者等が鋭意検討を行った結果、本願発明者等は、レーザアブレーションにより昇華されにくい材料を見出した。そして、レーザアブレーションにより昇華されにくい所定の材料からなるブロック層をヒューズの下層部に設けておくことにより、このブロック層上でレーザアブレーションを制御性よく停止することができることが初めて明らかとなった。
レーザアブレーションによりヒューズを切断する場合であっても、ブロック層によりレーザアブレーションを抑制することができればレーザ光の波長を短くしても従来の溶融爆発のように半導体基板に損傷を与える虞もない。したがって、レーザ光のスポットサイズは、レーザ光の波長に応じていくらでも小さくすることができる。
また、互いに隣接する2本のヒューズの両方を切断した場合でも、ブロック層が十分に厚ければ両方のレーザスポットが重なり合っても半導体基板に損傷を与える虞がない。すなわち、ヒューズピッチは、レーザ光の波長を短くすることによっていくらでも縮小することができる。
また、レーザアブレーションでは、ヒューズを切断するために必要とされる装置はレーザ装置のみであり、エッチング装置等を付加する必要はなく、また、製造工程数や製造コストが増加することもない。
レーザアブレーションを抑制するためのブロック層としては、例えばW(タングステン)膜を用いることができる。
すなわち、上記目的は、下地基板上にブロック層を形成するブロック層形成工程と、前記ブロック層上に絶縁膜を形成する絶縁膜形成工程と、前記絶縁膜上にヒューズを形成するヒューズ形成工程と、次いで、前記ヒューズを覆うカバー膜を形成するカバー膜形成工程と、レーザアブレーションにより前記ヒューズを切断するヒューズ切断工程とを有し、前記ヒューズ切断工程では、前記カバー膜と前記ヒューズとを連続して切断するとともに、前記ブロック層でレーザアブレーションを停止することを特徴とする半導体装置の製造方法によって達成される。上記の半導体装置の製造方法によれば、レーザアブレーションによりヒューズを切断しうる半導体装置を製造することができる。また、レーザアブレーションにより切断しうるヒューズは極めて狭いピッチで配置できるので、ヒューズ回路の集積度を向上することができる。
また、レーザアブレーションによりヒューズを切断すれば、製造工程を複雑にせず、且つ、新たな製造装置を配備する必要がないので、製造コストを増加せずにヒューズのピッチを狭めることができる。
また、レーザアブレーションにより昇華されにくい材料よりなるブロック層をヒューズ下層部に形成しておくことにより、ブロック層で制御性よくレーザアブレーションを停止することができる。
また、上記の半導体装置の製造方法において、前記ヒューズ切断工程では、波長が500nm以下のレーザ光により前記ヒューズを切断することが望ましい。レーザアブレーションでは下地基板のレーザ光の吸収を考慮する必要がないので、基板の吸収帯である1μm以下の波長帯のレーザ光を用いることができる。また、このような短波長レーザ光を用いることによりレーザ光のスポットサイズを縮小することができるので、ヒューズピッチを狭めてヒューズを配置することができる。
また、上記の半導体装置の製造方法において、前記レーザ光は、Nd:YAGレーザの第3高調波又はNd:YLFレーザの第3高調波であることが望ましい。
また、上記の半導体装置の製造方法において、前記ヒューズ形成工程の後に、前記ヒューズ上を覆うカバー膜を形成するカバー膜形成工程を更に有することが望ましい。レーザアブレーションでは、上層部から順次昇華していくので、ヒューズ上にカバー膜が形成されている場合であってもカバー膜上からヒューズを切断することができる。
また、上記の半導体装置の製造方法において、前記カバー膜形成工程の後に、組立の際のストレスを緩和するためのポリイミド膜を形成するポリイミド膜形成工程を更に有することが望ましい。また、カバー膜上にポリイミド膜が形成されている場合であっても、同様に、ポリイミド膜上からヒューズを切断することができる。
また、上記の半導体装置の製造方法において、前記ブロック層形成工程では、タングステン膜を含む前記ブロック層を形成することが望ましい。
また、上記の半導体装置の製造方法において、前記ヒューズ形成工程では、アルミ膜又はアルミ合金膜を含む前記ヒューズを形成するようにしてもよい。
以上の通り、本発明によれば、下地基板上に形成されたブロック層と、ブロック層上に形成された絶縁膜と、絶縁膜上に形成されたヒューズとにより半導体装置を構成するので、下地基板に損傷を与えることなく制御性よくレーザアブレーションによりヒューズを切断することができる。また、レーザアブレーションにより切断しうるヒューズは極めて狭いピッチで配置できるので、ヒューズ回路の集積度を向上することができる。
また、複数のメモリセルが形成されたメモリセル領域と、不良メモリセルを冗長メモリセルに切り換えるヒューズ回路が形成されたヒューズ回路領域とを有する半導体装置であって、ヒューズ回路領域に形成されたブロック層と、ブロック層上に形成された絶縁膜と、絶縁膜上に形成され、メモリセルを構成する導電層又はメモリセル領域に形成された配線層と同一の導電層よりなるヒューズとを有することを特徴とする半導体装置によっても達成される。このように半導体装置を構成することにより、レーザアブレーションにより制御性よく切断しうるヒューズをメモリデバイスにおける冗長回路への切り換え回路に適用することができる。また、レーザアブレーションにより切断しうるヒューズは極めて狭いピッチで配置できるので、メモリデバイスの集積度を向上することができる。
また、下地基板上にブロック層を形成するブロック層形成工程と、ブロック層上に絶縁膜を形成する絶縁膜形成工程と、絶縁膜上にヒューズを形成するヒューズ形成工程とにより半導体装置を製造することにより、レーザアブレーションにより切断しうるヒューズを有する半導体装置を製造することができる。また、レーザアブレーションにより切断しうるヒューズは極めて狭いピッチで配置できるので、ヒューズ回路の集積度を向上することができるまた、レーザアブレーションによりヒューズを切断すれば、製造工程を複雑にせず、且つ、新たな製造装置を配備する必要がないので、製造コストを増加せずにヒューズのピッチを狭めることができる。
また、下地基板上に形成されたブロック層と、ブロック層上に形成された絶縁膜と、絶縁膜上に形成されたヒューズとを有する半導体装置のヒューズをレーザアブレーションにより切断するためのレーザ装置であって、500nm以下の発振波長を有し、ヒューズをレーザアブレーションにより切断するために十分なエネルギー密度を有するレーザ光を発振するレーザ共振器と、レーザ共振器により出力されたレーザ光を所定のスポットサイズに集光するレンズ機構と、レーザ共振器により出力されたレーザ光を半導体装置の所定の位置に照射するための位置合わせ機構とによりレーザ装置を構成することにより、ウェーハの任意の位置にレーザ光を照射し、レーザアブレーションによりヒューズを切断することができる。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態による半導体装置及びその製造方法について図1乃至図4を用いて説明する。
図1は本実施形態による半導体装置の構造を示す平面図及び断面図、図2は本実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程図、図3及び図4は本実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
はじめに、本実施形態による半導体装置の構造について図1を用いて説明する。図1(a)は本実施形態による半導体装置の構造を示す平面図、図1(b)は図1(a)のX−X′線断面図である。
下地基板10上には、レーザアブレーションを抑制するブロック層12が形成されている。下地基板10及びブロック層12上には、層間絶縁膜14が形成されている。層間絶縁膜14上には、例えばアルミや多結晶シリコンなどの導電膜よりなるヒューズ22が複数形成されている。ヒューズ22上には、カバー膜30が形成されている。
このように、本実施形態による半導体装置では、ヒューズ22が形成された領域の下層に、レーザアブレーションを抑制するブロック層12が形成されていることに特徴がある。このようなブロック層12を設けることにより、制御性に欠けるレーザアブレーションを用いてヒューズ22を切断する場合にもブロック層12で制御性よくレーザアブレーションを停止することができる。
ブロック層12としては、レーザアブレーションにより昇華されにくい材料を適用することが望ましく、具体的には、W(タングステン)膜や、W/TiN/Tiなどの積層膜を用いることができる。これらの膜や積層膜は、従来より半導体装置の製造に広く用いられているものであり、プロセスの整合性にも優れている。
また、特別にブロック作用を有しなくても、ヒューズ22と半導体基板間に配置される膜が厚ければ厚いほどよいので、半導体装置に用いられる全ての層をヒューズ22下部に配置してもブロック層12としての機能を発揮できる。
ヒューズ22としては、ブロック層12に比べて十分にレーザアブレーションされやすい材料であれば如何なる材料であっても適用することができる。実際に半導体装置に使用されている材料としては、例えば、多結晶シリコン、金属シリサイド、Al、Al−Si−CuやAl−Cu−TiなどのAl合金、Ti、TiN、又はこれらの積層膜を用いることができる。
ヒューズ22のピッチは、レーザ光のスポットサイズと位置合わせ余裕とにより律則される。レーザ光の最小スポットサイズは、概略、レーザ光の波長の約2倍と見積もることができるので、例えばレーザ光の波長を0.355μm、位置合わせ余裕を0.5μmとすると、ヒューズ22のピッチは約1.2μmとなる。したがって、従来の半導体装置と比較して、ヒューズ22のピッチを極めて狭くすることができる。
また、2回のレーザアブレーションに耐えうる膜厚を有するブロック層を設けておけば、隣接するヒューズを切断するためのレーザ光のスポットが重なり合っても下地に損傷を与える虞がないので、位置合わせ余裕を確保する必要はない。したがって、ヒューズピッチは更に狭めることができる。
また、レーザアブレーションでは下地基板による吸収を考慮する必要がないので、レーザ光の波長を短くすることによりヒューズピッチを更に狭めることができる。したがって、半導体装置の微細化に極めて有効である。
このように、本実施形態によれば、ヒューズの下層部にレーザアブレーションにより昇華されにくい材料からなるブロック層を設けるので、レーザアブレーションにより制御性よくヒューズの切断をしうる半導体装置を構成することができる。
また、レーザアブレーションでは、レーザ光の波長を短くしても下地基板に影響を与えないので、レーザ光のスポットサイズをレーザ光の波長に応じて極めて小さくすることができる。これにより、ヒューズピッチを狭めることができるので、半導体装置の集積度を向上することができる。
次に、本実施形態による半導体装置の製造方法について図2乃至図4を用いて説明する。
本実施形態による半導体装置の製造方法は、図2に示すように、下地基板上にレーザアブレーションを抑制するブロック層を形成する工程(ステップS11)と、ブロック層上に絶縁膜を介してヒューズを形成する工程(ステップS12)と、ヒューズ上を覆うカバー膜を形成する工程(ステップS13)と、回路の動作試験を行う試験工程(ステップS14)と、レーザアブレーションによりヒューズを切断する工程(ステップS15)とにより半導体装置を製造することに特徴がある。
以下、具体的な構造を例に本実施形態による半導体装置の製造方法を詳細に説明する。
まず、所定の素子が形成された下地基板10上に、レーザアブレーションを抑制するためのブロック層12を形成する(ステップS11)。例えば、下地基板10上にCVD法により膜厚約350nmのW膜を堆積して所定の形状にパターニングし、ブロック層12とする。
次いで、ブロック層12を覆う層間絶縁膜14を形成する。例えば、CVD法により膜厚約1μmのシリコン酸化膜を堆積し、層間絶縁膜14とする(図3(b))。
続いて、層間絶縁膜14上に、ヒューズとなる導電膜を堆積する。例えば、スパッタ法により、膜厚約100nmのTiN膜16と、膜厚約1μmのAl−Cu−Ti膜18と、膜厚約50nmのTiN膜20とを堆積する。
この後、通常のリソグラフィー技術及びエッチング技術により、TiN膜20/Al−Cu−Ti膜18/TiN膜16よりなる積層膜をパターニングし、ブロック層12の上部に、この積層膜よりなるヒューズ22を形成する(ステップS12、図3(c))。例えば、ブロック層12上に、幅約2μmのヒューズ22を2μmピッチで複数配置する。
次いで、ヒューズ22が形成された基板上にカバー膜30を形成する(ステップS13)。例えば、CVD法により膜厚約100nmのSiON膜24を堆積し、次いで膜厚約1μmのSOG膜26を塗布して表面を平坦化し、続いてCVD法により膜厚約1μmのSiN膜28を堆積し、SiON膜24と、SOG膜26と、SiN膜28とからなるカバー膜30を形成する(図4(a))。
続いて、通常のリソグラフィー技術及びエッチング技術により、ボンディングパッド(図示せず)を露出するための開口部をカバー膜に形成する。
溶融爆発によりヒューズを切断する従来の半導体装置の製造方法では、溶融爆発を起こすためにカバー膜を除去し、或いは薄くする必要があり、通常、ボンディングパッドの開口と同時にヒューズ窓を形成するためのエッチングを行っていた。しかしながら、レーザアブレーションを用いる本実施形態による半導体装置の製造方法では、上層の膜から順次昇華していくためカバー膜30にヒューズ窓を形成する必要はない。したがって、カバー膜30のパターニング工程では、100μm単位の大きなパッド開口部のみを形成すれば十分であり微細なヒューズ窓を形成する必要はないので、リソグラフィー工程を簡略にすることができる。このことは、従来のようにヒューズ窓を形成してはいけないことを意味するものではない。ヒューズ窓を形成すれば、ヒューズ上の膜が少なくなるためレーザアブレーションのトータルパワーを減少でき、また、スループットの増加及びより高精度のレーザアブレーション制御も可能となるなどのメリットを得ることができる。
この後、所定の回路試験を行い不良メモリセル等を特定し、冗長メモリセルと切り換えるために切断すべきヒューズを特定する(ステップS14)。この際、切断すべきヒューズ22のウェーハ上における位置座標を予め記憶しておき、ヒューズ切断の際に用いる。
次いで、レーザアブレーション法を用い、回路試験により特定されたヒューズ22を切断する(ステップS15、図4(b))。なお、上述の構造では、発振波長355nm、パルス幅40nsec、パワー100μJ、スポットサイズ5μmの条件により、ブロック層12でレーザアブレーションを停止しつつヒューズ22を切断することができた。なお、レーザ光のスポットサイズは、1.5μm程度のものを使用することもでき、更には波長の2倍程度まで縮小可能である。
この後、必要に応じて再度回路試験を行い、良品の組立を行う。
このように、本実施形態によれば、レーザアブレーションを用いてヒューズ22を切断するので、カバー膜30にヒューズ窓を設けることなくヒューズ22を切断することができる。これにより、カバー膜30のパターニングの際のリソグラフィー工程を簡略にすることができる。また、ヒューズ22の切断にフォトレジストやエッチング装置を用いる必要がないので、ヒューズ切断専用のエッチング装置などを新たに配備する必要もない。
また、レーザアブレーションではレーザの波長を独立して短波長化することができるので、レーザのスポットサイズを極めて小さくすることができる。これにより、ヒューズ回路を構成する領域の専有面積を大幅に縮小することができるので、半導体装置の集積度を向上することができる。
なお、半導体チップをセラミックパッケージに封入する際のチップとセラミックとの間の熱膨張差などによる影響を抑えるため、カバー膜30上に緩衝材としてポリイミド膜を形成する場合がある。このような場合にも、本実施形態による半導体装置の製造方法は有効である。すなわち、レーザアブレーションを用いる本実施形態の半導体装置の製造方法では、対象物の表面側から順次昇華していくので、カバー膜上にポリイミド膜が形成されている場合であってもポリイミド膜上からヒューズを切断することができる。
例えば、図5に示すように、下地基板上にブロック層を形成し(ステップS21)、ブロック層上に層間絶縁膜を介してヒューズを形成し(ステップS22)、ヒューズ上を覆うカバー膜を形成し(ステップS23)、カバー膜を覆うポリイミド膜を形成し(ステップS24)、その後、所定の動作試験を行い(ステップS25)、レーザアブレーションによりヒューズを切断(ステップS25)することができる。
また、上記実施形態ではカバー膜の形成後に動作試験を行っているが、少なくとも最終配線層が形成されていれば動作試験を行うことができる。また、ヒューズの切断は、動作試験の後であれば行うことができる。したがって、例えば図6に示すように、下地基板上にブロック層を形成する工程(ステップS31)と、ブロック層上に絶縁膜を介してヒューズを形成する工程(ステップS32)と、ヒューズ上を覆うカバー膜を形成する工程(ステップS33)と、カバー膜を覆うポリイミド膜を形成する工程(ステップS34)とを有する半導体装置の製造方法において、動作試験工程(ステップS35)は、カバー膜形成工程の前に行ってもよいし、ポリイミド膜形成工程の前に行ってもよいし、ポリイミド膜形成工程の後に行ってもよい。また、ヒューズ切断工程(ステップS36)は、動作試験工程(ステップS35)の後であれば、カバー膜形成工程の前に行ってもよいし、ポリイミド膜形成工程の前に行ってもよいし、ポリイミド膜形成工程の後に行ってもよい。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態による半導体装置の構造について図7を用いて説明する。
図7は本実施形態による半導体装置の構造を示す概略断面図である。
本実施形態では、第1実施形態による半導体装置及びその製造方法をDRAMに適用した場合の一例について説明する。DRAMでは、メモリセルを指定するアドレス回路の切り換えにヒューズ回路を使用し、ヒューズ回路の所定のヒューズを切断することにより不良メモリセルのアドレスを冗長メモリセルに切り換えることが行われている。このようにDRAMを構成することにより、一部のメモリセルが不良である場合にも、このメモリセルを冗長メモリセルに切り換えることで装置全体が不良となることから救済することができる。
シリコン基板40上には、複数のメモリセルが形成されたメモリセル領域42と、メモリセルを駆動するための周辺回路が形成された周辺回路領域44と、不良メモリセルを冗長メモリセルに切り換えるためのヒューズ回路が形成されたヒューズ回路領域46とが設けられている。
シリコン基板40には、素子領域を画定するための素子分離膜48が形成されている。メモリセル領域42のシリコン基板40には、ゲート電極50とソース/ドレイン拡散層52、54とからなる転送トランジスタが形成されている。ソース/ドレイン拡散層52には、ビット線56が接続されている。ソース/ドレイン拡散層54には、フィン型の蓄積電極58が接続されている。蓄積電極58は、誘電体膜を介して対向電極60により覆われており、蓄積電極58、誘電体膜、対向電極60とからなるキャパシタが形成されている。こうして、メモリセル領域42には、転送トランジスタ及びキャパシタとからなるメモリセルが複数形成されている。なお、図7に示すメモリセルの構造については、例えば同一出願人による特公平8−28476号公報に詳述されている。周辺回路領域44には、周辺回路を構成する複数の周辺トランジスタ(図示せず)が形成されている。メモリセル及び周辺トランジスタが形成されたシリコン基板40上には、層間絶縁膜62が形成されている。ヒューズ領域46の層間絶縁膜62上には、W膜よりなるレーザアブレーションを抑制するためのブロック層64が形成されている。ブロック層64が形成された層間絶縁膜52上には、層間絶縁膜66が形成されている。層間絶縁膜66上には、同一のAl合金層により形成された裏打ちワード線68と、周辺トランジスタを相互接続して周辺回路を構成するための配線層70とが形成されている。裏打ちワード線68、配線層70が形成された層間絶縁膜66上には、層間絶縁膜72が形成されている。層間絶縁膜72上には、同一のAl合金層により形成された配線層74とヒューズ76とが形成されている。配線層74及びヒューズ76が形成された層間絶縁膜72上には、カバー膜78が形成されている。
このように、本実施形態による半導体装置は、第1実施形態による半導体装置を、DRAMにおける冗長回路への切り換えを行うヒューズ回路に適用していることに特徴がある。すなわち、ヒューズ回路のヒューズをDRAMを構成するための第2金属配線層により構成し、ヒューズ76の下層にレーザアブレーションを抑制するブロック層64を形成している。このように半導体装置を構成することにより、レーザアブレーションにより制御性よくヒューズを切断することができる。
なお、ヒューズの切断は、第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様に行うことができる。
このように、本実施形態によれば、DRAMにおける冗長回路への切り換えのためのヒューズ回路として、ヒューズ76の下層にレーザアブレーションにより昇華されにくい材料よりなるブロック層64を有するヒューズ回路を適用するので、レーザアブレーションにより制御性よくヒューズを切断しうる半導体装置を構成することができる。
また、レーザアブレーションではレーザ光の波長を短くしても下地基板に影響を与えないので、レーザ光のスポットサイズをレーザ光の波長に応じて極めて小さくすることができる。これにより、ヒューズピッチを狭めることができるので、DRAMの集積度を向上することができる。
なお、上記実施形態では、ヒューズ76を構成する配線層として第2金属配線層を用いたが、必ずしも第2金属配線層である必要はない。すなわち、レーザアブレーションでは被対象物の上層部から順次昇華していくので、ヒューズを覆う上層の膜厚には影響されない。したがって、ヒューズ76を構成する配線層を必ずしも最上層の配線層とする必要はなく、例えば図8に示すように、第1金属配線層によりヒューズ76を構成することもできる。また、3層以上の金属配線層を有する場合にも、何れの配線層でヒューズ76を構成してもよい。
また、レーザアブレーションにより昇華されにくい材料よりなるブロック層64をヒューズ76の下層側に配置すれば、金属配線層のみならず、その他の導電層によりヒューズ76を構成してもよい。例えば、図9に示すように、対向電極60と同一導電層によりヒューズ76を構成し、その下層にブロック層64を形成することができる。ブロック層64としては、新たに挿入した膜を適用してもよいし、ヒューズ76の下層側に位置する導電層、例えば、蓄積電極58、ビット線56、ワード線50と同一導電層により構成してもよい。
同様に、蓄積電極、或いは、ビット線と同一導電層によりヒューズを構成することもできる。
また、上記実施形態では、フィン型のキャパシタを有するDRAMに第1実施形態のヒューズ回路を適用した場合について説明したが、フィン型のキャパシタを有するDRAMに限らず、種々の構造のDRAMに適用することができる。また、DRAMのみならず、SRAMその他のメモリ素子にも適用することができる。
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態によるレーザ装置について図10を用いて説明する。
図10は本実施形態によるレーザ装置の構造を示す概略図である。
本実施形態では、第2実施形態による半導体装置の製造方法に適用しうるレーザ装置について説明する。
本実施形態によるレーザ装置は、主として、レーザ光を発振するためのレーザ共振器100と、レーザ共振器のレーザ光源を光ポンピングするためのレーザダイオード120と、レーザ共振器100から発せられたレーザ光を所定のスポットサイズに集光するレンズ機構118と、レーザ共振器100から発せられたレーザ光をステージ140上に搭載されたウェーハ142の所定の位置に照射するビーム位置合わせ機構130とにより構成される。
レーザダイオード120から発せられた光122は、レンズ機構124を通してレーザ共振器100に入射するようになっており、レーザ共振器100のレーザ光源を光ポンピングする。
レーザ共振器100は、レーザ光源102と、レーザ光源102を挟んで配置された誘導放出を持続するための2枚のミラー104、106と、レーザ光の周波数を変換し或いは調整するための制御機構108、110、112と、光共振器のQを急速に変化するためのQスイッチ114とがレーザ光の光軸116上に沿って配置されてなる。レーザ光源102としては、例えば、発振波長442nmのHe−Cd気体レーザ、第3高調波の発振波長が355nmであるNd:YAG固体レーザ、第3高調波の発振波長が349nmであるNd:YLF固体レーザを用いることができる。ミラー106は、ほぼ100%の反射率でレーザ光を反射することが望ましく、ミラー104は、一部のレーザ光が透過されるように構成され、ミラー104を透過した光は出力光として用いられる。制御機構108、110、112は、レーザ光をそのまま用いることができる場合には必ずしも必要ないが、制御機構108、110、112を設けることにより、レーザ光の波長を、光パラメトリック発振(optical parametric oscillation)や2倍、3倍、4倍の非線形周波数変換を用いて所望の発振波長に変換することができる。ミラー104を透過したレーザ光は、レンズ機構118を介してビーム位置合わせ機構130に入射される。
ビーム位置合わせ機構130は、複数の反射板132、134、136、138により構成されており、反射板132、134、136、138を適宜制御することによりレーザ共振器100から出力されたレーザ光をウェーハ140上の所定の位置に照射できるようになっている。ビーム位置合わせ機構130及びウェーハ140に照射されるレーザ光は、レンズ機構144により所望のスポットサイズに成型される。
レーザ共振器100、レーザダイオード120、ビーム位置合わせ機構130、ステージ140は、レーザ制御装置150によって同期制御され、所定のレーザ発振条件で発せられたレーザ光を、所定のタイミングで、ウェーハ142上の所定の位置に照射できるようになっている。なお、ウェーハ142上における座標情報は、予めチップ146の動作試験を行い切断すべきヒューズの座標をデータ化しておき、レーザ照射の際にレーザ制御装置に与えればよい。
このようにしてレーザ装置を構成することにより、ウェーハの任意の位置にレーザ光を照射し、レーザアブレーションによりヒューズを切断することができる。