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JP4976241B2 - シートベルトリトラクタおよびこれを用いたシートベルト装置 - Google Patents
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JP4976241B2 - シートベルトリトラクタおよびこれを用いたシートベルト装置 - Google Patents

シートベルトリトラクタおよびこれを用いたシートベルト装置 Download PDF

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Description

本発明は、自動車等の車両に装備され、シートベルトリトラクタから引き出されるシートベルトにより乗員を拘束するシートベルト装置の技術分野に関する。特に、シートベルトの引出し開始時にこのシートベルトをベルト装着のための通常ベルト引出し速度より速い速度以上(つまり、ベルト装着での通常の引出し加速度より大きな引出し加速度)で急激に引出したときにシートベルトの引出しを阻止するベルト引出しセンサ(いわゆる、ウェビングセンサ)を少なくとも備えるとともに、引き出されたシートベルトの全量巻き取り時にこのベルト引出しセンサの揺動により発生するエンドロックを防止することが可能なシートベルトリトラクタおよびこれを用いたシートベルト装置の技術分野に関するものである。
従来から自動車等の車両シートに付設されているシートベルト装置は、衝突時等の車両に大きな減速度が作用した場合のような緊急時に、シートベルトで乗員を拘束することにより乗員のシートからの飛び出しを阻止している。
一般に、このようなシートベルト装置はシートベルトリトラクタを備えている。従来のシートベルトリトラクタは、シートベルトの急激な引出しにより揺動してシートベルトの引出しを阻止するベルト引出しセンサ(いわゆる、ウェビングセンサ)を備えていることが多い。このベルト引出しセンサは、引き出されたシートベルトの全量巻き取り時に揺動してシートベルトの通常の引出しが困難になるという、いわゆるエンドロックが発生する場合がある。
そこで、このようなベルト引出しセンサによるエンドロックを防止することが可能なシートベルトリトラクタが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に記載のシートベルトリトラクタは、シートベルトを巻き取るスプールに連動して回転するカムプレートを備えており、このカムプレートには、螺旋状の長いカム溝が設けられている。また、このシートベルトリトラクタはベルト引出しセンサの揺動を阻止する揺動阻止部材を備えている。この揺動阻止部材は、ベルト引出しセンサの揺動を自由にする揺動自由位置とベルト引出しセンサの揺動を阻止する揺動阻止位置との間で回動可能に設けられている。この揺動阻止部材の回動は、揺動阻止部材に設けられているカムフォロワがカムプレートのカム溝に案内されることで制御される。
その場合、この揺動阻止部材の回動制御は、全量巻き取られたシートベルトの引出しによりカムプレートがベルト引出し方向に回転することで揺動阻止部材を揺動自由位置の方へ回動し、また、引き出されたシートベルトの巻取りによりカムプレートがベルト巻取り方向に回転することで揺動阻止部材を揺動阻止位置の方へ回動する。そして、引き出されたシートベルトの全量巻取り時には、揺動阻止部材が揺動阻止位置に設定されるので、ベルト引出しセンサが揺動不能となり、エンドロックが防止される。また、全量巻き取られたシートベルトが所定量引き出されたときは、揺動阻止部材が揺動自由位置に設定されるので、ベルト引出しセンサが揺動可能となり、シートベルトの急激な引出し時のシートベルトの引出し阻止機能を発揮可能となる。
特開平9−58410号公報
ところで、前述の特許文献1に記載のシートベルトリトラクタでは、シートベルトの引出し時および巻取り時にスプールが回転している間、揺動阻止部材が常時回動するようになっている。しかも、スプールの回転量が比較的大きいのに対して、揺動自由位置と揺動阻止位置との間の揺動阻止部材の回動量が少ない。そこで、カム溝を長くする必要があるが、カム溝を長くするためには、カム溝の螺旋巻き数を多くしなければならない。
しかしながら、カム溝の螺旋巻き数を多くすると、カム溝の形成スペースを確保するために必然的にカムプレートの外径を大きくしなければならなくなる。このため、シートベルトリトラクタは大型にならざるを得ないものとなっている。
一方、近年の車両の多種多様化により、車両に搭載されるシートベルト装置のレイアウトも多種多様にわたっている。その場合、カムプレートのカム溝の形成範囲と揺動阻止部材の回動範囲との組合せは、シートベルト装置のレイアウトによって異なることが一般的である。このため、カムプレートのカム溝の形成範囲と揺動阻止部材の回動範囲との組合せは多くの種類が求められる。しかしながら、カムプレートが大きくなってシートベルトリトラクタが大型になると、これらの多くの種類の組合せの要求に効果的に対応することが難しくなる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、ベルト引出しセンサによるエンドロックの防止を効果的に行うようにしつつ、エンドロック防止のための構造をより小型コンパクトに形成することのできるシートベルトリトラクタおよびこれを用いたシートベルト装置を提供することである。
前述の課題を解決するために、請求項1の発明に係るシートベルトリトラクタは、乗員を拘束するシートベルトと、このシートベルトを巻き取るスプールと、非作動時前記スプールの回動を許容し、作動時に前記スプールのベルト引出し方向の回動を阻止するロック機構と、前記シートベルトの引出し開始時にこのシートベルトを通常時より速い所定速度以上で急激に引出したとき作動するベルト引出しセンサと、前記ベルト引出しセンサの作動により前記ロック機構を作動するロック作動機構を備えているシートベルトリトラクタにおいて、前記ロック作動機構が、非作動時に前記スプールと一体回動可能にかつ作動時に前記スプールと相対回動可能に設けられ、作動時に前記スプールと相対回動することで前記ロック機構を作動させるロックギヤを少なくとも備えており、前記ベルト引出しセンサは前記ロックギヤに、このロックギヤの回動をベルト巻取り方向およびベルト引出し方向のいずれの方向にも許容する非作動位置と前記ロックギヤの少なくともベルト引出し方向の回動を阻止する作動位置との間で揺動可能に設けられ、前記ベルト引出しセンサの揺動を阻止する揺動阻止部材が、少なくとも前記シートベルトの全量またはほぼ全量巻取り時に前記ベルト引出しセンサを前記非作動位置に保持して作動位置の方への揺動を阻止する揺動阻止位置と前記シートベルトの全量巻取りから所定量以上の引出し時に前記ベルト引出しセンサの揺動を自由にする揺動自由位置との間で前記スプールの回転中心を通る直径方向に移動可能に設けられているとともに、前記揺動阻止部材を移動制御する揺動阻止部材制御機構が設けられており、前記揺動阻止部材制御機構が、前記スプールの回転時にこのスプールの回転速度より低い回転速度で減速回転して前記揺動阻止部材を移動制御する移動制御部材を備えていることを特徴としている。
また、請求項2の発明に係るシートベルトリトラクタは、車両に通常時より大きな減速度が作用した緊急時にこの減速度を検知して作動し前記スプールのベルト引出し方向の回転を阻止する緊急ロック機構と、前記シートベルトの全量引出し時に作動して、前記シートベルトの所定量の巻取りまで、全量引出し後の前記シートベルトの巻取り途中では、前記シートベルトの引出しを阻止する自動ロック機構と、前記緊急ロック機構による緊急ロック機能と前記自動ロック機構による自動ロック機能とを切り換えるロック切換機構とを備えており、前記ロック切換機構が、前記緊急ロック機能に設定する緊急ロック位置と前記自動ロック機能に設定する自動ロック位置とのいずれかに択一的に設定される切換レバーと、前記スプールの回転時にこのスプールの回転速度より低い回転速度で減速回転しかつ前記切換レバーの設定位置を切り換える切換レバー制御カム部材を有する偏心ギヤとを有し、前記移動制御部材が前記偏心ギヤからなるとともに、前記揺動阻止部材は前記偏心ギヤの回転で作動制御されて、前記シートベルトの全量またはほぼ全量の巻取時に前記ベルト引出しセンサの作動を阻止する部材であることを特徴としている。
更に、請求項3の発明に係るシートベルトリトラクタは、前記ベルト引出しセンサにリング部材が設けられており、前記揺動阻止部材が、前記シートベルトの全量またはほぼ全量の巻取時に前記リング部材の内周面を押圧して前記ウェビングセンサの作動を阻止する複数のストッパ部材であることを特徴としている。
更に、請求項4の発明に係るシートベルトリトラクタは、前記ストッパ部材が前記リング部材を押圧する方向に前記ストッパ部材を付勢するストッパ部材付勢手段を備えていることを特徴としている。
更に、請求項5の発明に係るシートベルトリトラクタは、乗員を拘束するシートベルトと、前記シートベルトを引き出し可能に巻き取るとともに、前記緊急時に作動して前記シートベルトの引出しを阻止するシートベルトリトラクタと、前記シートベルトリトラクタから引き出された前記シートベルトに摺動可能に支持されたタングと、車体または車両シートに設けられ、前記タングが離脱可能に係止されるバックルとを少なくとも備えるシートベルト装置において、前記シートベルトリトラクタに、請求項1ないし4のいずれか1に記載されたシートベルトリトラクタが用いられていることを特徴としている。
このように構成された本発明に係るシートベルトリトラクタによれば、シートベルトの全量またはほぼ全量巻取り時には、揺動阻止部材が移動制御部材によってスプールの回転中心を通る直径方向に移動されて揺動阻止位置に設定されるので、この揺動阻止部材により、ベルト引出しセンサの揺動を阻止してベルト引出しセンサを非作動位置に保持することができる。これにより、スプールの回転中心を通る直径方向に移動する揺動阻止部材を用いた簡単な構成で、ベルト引出しセンサによるエンドロックを防止することができる。
特に、揺動阻止部材を揺動阻止位置と揺動自由位置との間で揺動制御する移動制御部材がスプールの回転時に減速回転するようにしているので、スプールがシートベルトを全量巻き取るまでの移動制御部材の回転量を低減することができる。これにより、移動制御部材をより簡単な構造にすることができ、その分、移動制御部材を小型コンパクトに形成することができる。
その場合、移動制御部材を、緊急ロック機能と自動ロック機能とを切り換えるロック切換機構の偏心ギヤで構成することで、偏心ギヤが扁平部材であることから移動制御部材をより一層効果的に小型コンパクトに形成することができる。しかも、移動制御部材にロック切換機構の偏心ギヤを利用しているので、揺動阻止部材を制御する専用の制御部材を不要にすることができる。これにより、自動ロック式のシートベルトリトラクタにおいてはベルト引出しセンサによるエンドロックを防止する機能を設けても部品点数を削減することができる。
更に、ベルト引出しセンサにリング部材を設けるとともに、揺動阻止部材を、シートベルトの全量またはほぼ全量の巻取時にこのリング部材の内周面を押圧してベルト引出しセンサの作動を阻止するストッパ部材で構成することで、従来公知のベルト引出しセンサを大きく設計変更することなく利用することができるとともに、ストッパ部材がリング部材を単純に押圧するだけでよいので、構成をより一層簡単にすることができる。そのうえ、揺動阻止部材に、ロック切換機構の偏心ギヤで制御される単純な構造でかつスプールの直径方向に単純に移動するストッパを用いているので、シートベルト装置のレイアウトが多種多様にわたっても、偏心ギヤに対するストッパの移動量を適宜設定することにより、少ない種類の部品で多種多様のレイアウトに対してフレキシブルにかつ安価に対応することができる。
更に、ストッパ部材がリング部材を押圧する方向にストッパ部材をストッパ部材付勢手段で付勢することにより、ベルト引出しセンサのリング部材をより大きな力でロックすることができる。
一方、本発明に係るシートベルト装置によれば、シートベルトリトラクタにおけるエンドロックをより効果的に防止することができることから、シートベルトの操作性が向上し、乗員によるシートベルトの装着動作をスムーズにかつ安定して行うことができる。
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は本発明にかかるシートベルトリトラクタの実施の形態の一例を備えたシートベルト装置を模式的に示す図である。
図1に示すように、この例のシートベルト装置1は、シートベルトリトラクタを用いた従来公知の三点式シートベルト装置と同様に、車両シート2の近傍の車体に固定されたシートベルトリトラクタ3、このシートベルトリトラクタ3から引き出されるとともに先端のベルトアンカー4aが車体の床あるいは車両シート2に固定されるシートベルト4、シートベルトリトラクタ3から引き出されたシートベルト4を乗員のショルダーの方へガイドするガイドアンカー5、このガイドアンカー5からガイドされてきたシートベルト4に摺動自在に支持されたタング6、車体の床あるいは車両シート2に固定されかつタング6が係脱可能に挿入係合されるバックル7から構成されている。
この例におけるシートベルトリトラクタ3は、図2に示すように従来公知の一般的なシートベルトリトラクタと同様に、背板8aと、この背板8aの両側端から直交する方向に突設された左右の側壁8b,8cとからなるコ字状のフレーム8を備えている。
シートベルト4を巻き取るスプール9がフレーム8の両側側壁8b,8cの各円形状の開口を貫通して回転可能に配設されている。このスプール9は、第1スプール部9aと、この第1スプール部9aの左端側に同心状にかつ相対回転可能となるようにして軸方向に嵌合された第2スプール部9bとからなっている。第1スプール部9aは、ベルト巻取部9a1、このベルト巻取部9a1の右端に形成されたフランジ部9a2、およびこのフランジ部9a2から軸方向に突設された回転軸9a3を有している。また、第2スプール部9bは、フランジ部9b1、およびこのフランジ部9b1から軸方向に突設された回転軸9b2を有している。
第1スプール部9aの回転軸9a3の端部9a4は、側壁8cに取り付けられたケース10のカバー52にブッシュ50を介してこのブッシュ50とともに一体に回転可能に支持されている。また、回転軸9a3には、ロックギヤ11が回転軸9a3に同心状に嵌合支持されている。その場合、従来公知のロックギヤと同様に、ロックギヤ11の回転が阻止されないときは、ロックギヤ11と回転軸9a3とが一体回転し、ロックギヤ11の回転が阻止されたときは、回転軸9a3がロックギヤ11に対して相対回転するようになっている。図3に示すように、このロックギヤ11の外周には所定数のラチェット歯11aが円環状に形成されているとともに、ロックギヤ11の側面にカム孔11bが穿設されている。
図2および図3に示すように、ロックギヤ11にはフライホイール12が揺動可能に支持されている。このフライホイール12は慣性部材でありベルト引出しセンサ(いわゆる、ウェビングセンサ)を構成している。その場合、フライホイール12は慣性質量部12aとリング部12bとからなり、慣性質量部12aはその貫通孔12dがロックギヤ11に形成された突軸11cに嵌合されて揺動自在に支持される。この慣性質量部12aには係止爪12cが設けられている。リング部12bは、図4(a),(b)および図5に示すように、円環状に形成されている。
また、第1スプール部9aの回転軸9a3には、偏心ディスク13が嵌合固定されている。この偏心ディスク13には、扁平な偏心ギヤ14が偏心ディスク13に対して相対回転可能に支持されている。
この偏心ギヤ14は所定数の外歯14aを有している。これらの外歯14aがケース10にスプール9と同心状にかつ外径が偏心ギヤ14の外径より大きく形成されたリングギヤ15の内歯15aに噛合可能となっている。偏心ギヤ14には第1レバー作動カム16、第2レバー作動カム17、および第3レバー作動カム18が設けられている。
図3および図4(a)に示すように、ケース10には、切換レバー19が回転可能に支持されている。この切換レバー19は、係合レバー20と係合解除レバー21とを有している。また、切換レバー19は突部22を有するとともに、係合解除レバー21側に突出する係止アーム23を有している。突部22が、板ばねからなる切換レバー位置制御ばね24にそれぞれ形成された湾曲凹部からなる2つの第1および第2凹部24a,24bのいずれか一方に択一的に係合することで、切換レバー19が位置決めされるようになっている。
すなわち、突部22が第1凹部24aに係合するときは、切換レバー19は、係合レバー20が第1レバー作動カム16と当接可能となる位置に位置決めされて保持される。このときには、係止アーム23がロックギヤ11のラチェット歯11aに係合不能な位置に設定されて、シートベルトリトラクタ3がELR機能を発揮する状態に設定される。また、突部22が第2凹部24bに係合するときは、切換レバー19は、係合解除レバー21が第2レバー作動カム17と当接可能となる位置に位置決めされて保持される。このときには、係止アーム23がロックギヤ11のベルト引出し方向の回転でラチェット歯11aに係合可能な位置に設定される。そして、係止アーム23がロックギヤ11のベルト引出し方向の回転でラチェット歯11aに係合することにより、スプール9のベルト引出し方向の回転が阻止されて、シートベルトリトラクタ3がALR機能を発揮する状態に設定される。
これらの偏心ディスク13、偏心ギヤ14、リングギヤ15、第1レバー作動カム16、第2レバー作動カム17、切換レバー19、および切換レバー位置制御ばね24によりELR−ALR切換機構25が構成されている。このELR−ALR切換機構25の詳細な構成および詳細な作動については、特開2004−262447号公報に詳述されていて、この公開公報を参照すれば容易に理解できるので省略する。
フライホイール12は、従来公知のウェビングセンサと同様に、その係止爪12cがケース10に設けられかつ円環状に配置された内歯状の所定数のラチェット歯26のいずれかに係合可能となるように設けられている。その場合、シートベルトリトラクタ3の非作動時(シートベルト4の全量巻取り時)およびベルト装着のための通常引出し加速度以下の引出し加速度でのベルト引出し時には、フライホイール12はロックギヤ11(つまり、スプール9)と一体回転し、係止爪12cがラチェット歯26に係合しない図4(a)に示す位置に保持される。また、シートベルト4の前述の通常引出し加速度を超える比較的大きな引出し加速度での急激なベルト引出し時には、フライホイール12は、ロックギヤ11(つまり、スプール9)の回転に対して慣性質量12aの慣性遅れにより揺動して、係止爪12cがラチェット歯26に係合する図4(b)に示す位置に設定される。これにより、シートベルト4のこの急激な引出し時には、スプール9のベルト引出し方向の回転が阻止されてシートベルト4の引出しが不能にされる。
更に、図2および図3に示すように、側壁8cには減速度検知機構であるヴィークルセンサ27が設けられている。このヴィークルセンサ27は従来公知のヴィークルセンサであり、車両衝突時等の大きな減速度が車両に加えられたとき作動する慣性ボール28と、側壁8cに取り付けられた慣性ボール28を支持するケース29と、このケース29に回動可能に支持され、かつ慣性ボール28の作動によって作動するアクチュエータ30と、ケース29に取り付けられるカバー31とを備えている。その場合、アクチュエータ30は係止爪30aを有している。この係止爪30aは慣性ボール28の非作動時にはロックギヤ11のラチェット歯11aに係合不能な位置に保持されるとともに、慣性ボール28の作動時にはロックギヤ11のベルト引出し方向の回転でラチェット歯11aに係合可能な位置に設定されるようになっている。そして、係止爪30aがラチェット歯11aに係合しないときには、ロックギヤ11がベルト巻取り方向およびベルト引出し方向のいずれの方向にも回動可能にされるとともに、係止爪30aがラチェット歯11aに係合するときには、ロックギヤ11がベルト引出し方向の回動が不能にされる。
側壁8bには、従来公知のプリテンショナ32が設けられている。このプリテンショナ32のケース33には、第2スプール部9bの回転軸9b2が回転可能に支持される。このプリテンショナ32は緊急時に作動して、その作動力が第2スプール部9bに伝達されて、スプール9がベルト巻取り方向に回転されるようになっている。これにより、緊急初期にシートベルト4が巻き取られ、ベルト張力が大きくなる。
また、第2スプール部9bには、従来公知のパウル34が回動可能に支持されている。このパウル34は側壁8bの開口の内周面に形成されている所定数の歯35のいずれかに係合可能となっている。そして、第1スプール部9aとロックギヤ11とが一体にベルト引出し方向に回転するとき、パウル34は歯35に係合不能な位置に保持される。また、第1スプール部9aがロックギヤ11に対してベルト引出し方向に相対的に回転するとき、ロックギヤ11のカム孔11bによって制御される制御部材(不図示)で、パウル34は歯35に係合可能な位置に設定される。パウル34が歯35に係合しないときには、第2スプール部9bはベルト巻取り方向およびベルト引出し方向のいずれの方向にも回転可能とされるとともに、パウル34が歯35に係合するときには、第2スプール部9bは少なくともベルト引出し方向の回転が不能とされる。パウル34と歯35とにより、本発明のロック機構が構成されている。また、ロックギヤ11により本発明のロック作動機構が構成されている。なお、制御部材およびカム孔11bによるパウル34の作動制御は、従来公知であるとともに容易に構成可能であり、しかも本発明の構成要素ではあるが本発明の特徴部分ではないので、その詳細な説明は省略する。
更に図2に示すように、第1および第2スプール部9a,9bの間には、従来公知のトーションバー36が架設されている。トーションバー36の図2において右側の端部36aは第1スプール部9aと一体に回転可能とされているとともに、トーションバー36の図2において左側の端部36bは第2スプール部9bと一体に回転可能とされている。
そして、緊急時にパウル34が歯35に係合して第2スプール部9bがベルト引出し方向に回転不能とされたとき、乗員の慣性によるシートベルト4の引出しで第1スプール部9aがベルト引出し方向に回転しようとすると、このトーションバー36はねじり変形してシートベルト4によって乗員に加えられる衝撃エネルギを吸収緩和するようになっている。
ところで、この例のシートベルトリトラクタ3は、シートベルト装着後のシートベルト3の全量巻取時に、ヴィークルセンサ27のアクチュエータ30およびウェビングセンサのフライホイール12の各作動で生じる前述のエンドロックを防止するエンドロック防止機構が設けられている。
図3および図5に示すように、ヴィークルセンサ27におけるエンドロック防止機構(本発明の第1のエンドロック防止機構に相当)37は、エンドロック防止レバー38、板ばねからなるエンドロック防止レバー位置制御ばね39、偏心リング13、偏心ギヤ14から構成されている。
エンドロック防止レバー38はケース10に回転可能に支持されている。このエンドロック防止レバー38は、ロックレバー40とロック解除レバー41とを有している。また、エンドロック防止レバー38は突部42およびエンドロック防止アーム43を有している。突部42が、エンドロック防止レバー位置制御ばね39にそれぞれ形成された湾曲凹部からなる2つの第1および第2凹部39a,39bのいずれか一方に択一的に係合することで、エンドロック防止レバー38が位置決めされるようになっている。
すなわち、図5に示すように突部42が第1凹部39aに係合するときは、エンドロック防止レバー38は、偏心ギヤ14の第3レバー作動カム18がロックレバー40と当接可能でかつロック解除レバー41と当接不能となる位置に位置決めされて保持される。このときには、エンドロック防止アーム43は図5に実線で示すエンドロック防止解除位置に設定されてヴィークルセンサ27のアクチュエータ30を作動可能状態に設定する。また、突部42が第2凹部39bに係合するときは、エンドロック防止レバー38は、第3レバー作動カム18がロック解除レバー41と当接可能でかつロックレバー40と当接不能となる位置に位置決めされて保持される。このときには、エンドロック防止アーム43は図5に二点鎖線で示すエンドロック防止位置に設定されてヴィークルセンサ27のアクチュエータ30に当接しかつこのアクチュエータ30を非作動位置にロックして作動不能状態に設定する。
図3および図6(a),(b)に示すように、ウェビングセンサであるフライホイール12におけるエンドロック防止機構(本発明の第2のエンドロック防止機構に相当)44は、一対のストッパ45,46、フライホイール12のリング部12b、偏心リング13、偏心ギヤ14に、円周方向に角度180°の間隔を置き互いに直径方向に対向して直線状に延設された一対のガイド溝47,48、およびケース10に形成されたカム溝49から構成されている。
一対のストッパ45,46は互いにまったく同じに形成されており、それぞれ、フライホイール12のリング部12bの内周面に当接可能な当接部45a,46aと、一対のガイド溝47,48に沿ってガイドされて移動する被ガイド部45b,46bと、カム溝49に沿って移動するカムフォロワ45c,46cとからなっている。
偏心ギヤ14の一対のガイド溝47,48は、それぞれ各ストッパ45,46の被ガイド部45b,46bが偏心ギヤ17の径方向に移動するようにこれらのストッパ45,46をガイドするようになっている。これらのストッパ45,46は本発明の揺動阻止部材を構成している。
ケース10のカム溝49は、ブッシュ50が貫通するケース10の円形孔10aと同心で小径の円の一対の小径側円弧状溝49a,49bと、同じく円形孔10aと同心で大径の円の一対の大径側円弧状溝49c,49dとから閉ループに形成されている。その場合、一対の小径側円弧状溝49a,49bと一対の大径側円弧状溝49c,49dとは円形孔10aの円周方向に交互に配置されている。また、一対の小径側円弧状溝49a,49bの円周方向の長さは互いに等しく設定されているとともに、一対の大径側円弧状溝49c,49dの円周方向の長さは互いに等しくかつ小径側円弧状溝49a,49bの円周方向の長さより短く設定されている。この例のカム溝49は、ケース10の側壁からスプール9の軸方向に立設された無端状の内周壁49eと無端状の外周壁49fとによって形成されている。
そして、一方のストッパ45のカムフォロワ45cは、シートベルト4の全量巻取り時には大径側円弧状溝49c内の一端側に位置するように設定される。このときには、当接部45aがリング部12bの内周面に当接しかつリング部12bを径方向外方に押圧する。
同様に、他方のストッパ46のカムフォロワ46cは、シートベルト4の全量巻取り時には大径側円弧状溝49d内の一端側に位置するように設定される。このときには、当接部46aがリング部12bの内周面に当接しかつリング部12bを径方向外方に押圧する。
その場合、一方のカムフォロワ45cが一方の小径側円弧状溝49a内に位置するときは、他方のカムフォロワ46cが他方の小径側円弧状溝49b内に位置し、また、一方のカムフォロワ45cが一方の大径側円弧状溝49c内に位置するときは、他方のカムフォロワ46cが他方の大径側円弧状溝49d内に位置するように、一対のカムフォロワ45c,46cの位置が同期して制御される。したがって、一対のストッパ45,46の当接部45a,46aは同時にリング部12bの内周面に当接しかつこの内周周を径方向外方に同時に押圧するようになる。これらの一対の当接部45a,46aによるリング部12bの内周面の押圧で、フライホイール12は揺動不能なロック状態に設定される。偏心ギヤ14、ガイド溝47,48、およびカム溝49により本発明の揺動阻止部材制御機構が構成されている。
なお、ケース10にはスプリング機構である従来公知のスプリング機構51が設けられており、このスプリング機構51は、その付勢力がブッシュ50を介してスプール9に伝達されることでスプール9を常時ベルト巻取り方向に付勢している。このスプリング機構51の付勢力により、ベルト非装着時にはシートベルト4がスプール9に全量巻き取られるようになる。
次に、ELR−ALR切換機構25、ヴィークルセンサ27におけるエンドロック防止機構37、およびフライホイール(ウェビングセンサ)12におけるエンドロック防止機構44の各作動について説明する。
図7(a)ないし(d)、図8(a)および(b)は、ELR機能からALR機能への切換作動を説明する図であり、また、図9(a)ないし(d)、図10(a)および(b)は、ヴィークルセンサ27におけるエンドロック防止機構37の作動を説明する図であり、更に、図11(i)(a)および(b)、図12(i)(a)および(b)、図13(i)(a)は、フライホイール12におけるエンドロック防止機構44の作動を説明する図であり、更に、図11(ii)(a)および(b)、図12(ii)(a)および(b)、図13(ii)(a)は、フライホイール12におけるエンドロック防止機構44の作動を制御する一対のストッパ45,46とカム溝49の各挙動を説明する図である。
シートベルトリトラクタ3によるシートベルト4の全量巻き取り時には、ELR−ALR切換機構25によりシートベルトリトラクタ3はELR機能を発揮可能な状態に設定されている。すなわち、図7(a)に示すように切換レバー19は、その突部22が切換レバー位置制御ばね24の第1凹部24aに係合した位置に位置決めされている。切換レバー19のこの位置では、偏心ギヤ14の偏心位置により、第1レバー作動カム16が係合レバー20に当接可能でかつ係合解除レバー21に当接不能となっているとともに、第2レバー作動カム17が係合レバー20および係合解除レバー21のいずれにも当接不能となっている。
また、このときには、図9(a)に示すようにエンドロック防止機構37のエンドロック防止レバー38は、その突部42がエンドロック防止レバー位置制御ばね39の第2凹部39bに係合した位置に位置決めされている。エンドロック防止レバー38のこの位置では、偏心ギヤ14の偏心位置により、第3レバー作動カム18がロック解除レバー41に当接可能でかつロックレバー40に当接不能となっている。したがって、この状態では、エンドロック防止レバー38のエンドロック防止アーム43はエンドロック防止位置に設定されて、アクチュエータ30が作動不能状態に設定される。
更に、このときには、エンドロック防止機構44の一対のストッパ45,46の当接部45a,46aがフライホイール12のリング部12bの内周面を押圧しない状態となっている。
この状態でシートベルト4がシートベルトリトラクタ3から引出し開始されると、偏心ギヤ14がスプール9の回転と逆のベルト巻取り方向(図7(a)において反時計回り)に減速された偏心回転を開始し、すぐに、図11(ii)(a)に示すように一対のストッパ45,46の各カムフォロワ45c,46cはそれぞれ大径側円弧状溝49c,49d内に進入する。そして、図11(i)(a)に示すように各当接部45a,46aがリング部12bの内周面を押圧するので、フライホイール12はロックされて揺動できず作動不能状態となる。
シートベルト4が更に引き出されると、図11(ii)(b)に示すように一対のカムフォロワ45c,46cはそれぞれ更にベルト巻取り方向に回動して大径側円弧状溝49c,49dの端に到達する。一対のカムフォロワ45c,46cがそれぞれ大径側円弧状溝49c,49d内に位置している間は、図11(i)(b)に示すように各当接部45a,46aによるリング部12bの押圧が継続されて、フライホイール12のロックが保持される。
シートベルト4が更に引き出されると、図12(ii)(a)に示すように一対のカムフォロワ45c,46cはそれぞれ更にベルト巻取り方向に回動して大径側円弧状溝49c,49dから脱出して小径側円弧状溝49a,49bに進入する。これにより、図12(i)(a)に示すように各当接部45a,46aがリング部12bの内周面から離間し、フライホイール12がロック解除されて揺動でき、作動可能状態となる。
シートベルト4の全量巻取り時から図12(ii)(a)に示す一対のカムフォロワ45c,46cが小径側円弧状溝49a,49bに進入するまでに偏心ギヤ14が回転する回転量は約60°程度である。したがって、シートベルト4の引出し量はわずかであり、シートベルト4が全量巻取りからわずかに引き出されることで、フライホイール12は作動不能状態から作動可能状態に設定され、従来と同様のウェビングセンサの機能を発揮可能な状態となる。これにより、シートベルト4がベルト装着のための通常引出し加速度より大きな引出し加速度で引き出されたとき、フライホイール12が作動して係止爪12cがラチェット歯26に係合し、ロックギヤ11aのベルト引き出し方向の回転が阻止される。したがって、スプール9がロックギヤ11aに対してベルト引出し方向に相対回転するので、パウル34が側壁8bの内歯35に係合し、第2スプール部9bのベルト引出方向の回転が阻止される。その結果、シートベルト4の引出しが阻止される。
また、一対のカムフォロワ45c,46cがそれぞれ小径側円弧状溝49a,49bに進入した時点で、図9(b)に示すように第3レバー作動カム18がエンドロック防止レバー38のロック解除レバー41に当接する。その後、シートベルト4が更に引き出されると、図9(c)に示すように第3レバー作動カム18がロック解除レバー41を押圧することで、エンドロック防止レバー38が回動して、その突部42がエンドロック防止レバー位置制御ばね39の第2凹部39bから脱出して第1凹部39aに係合する。したがって、エンドロック防止レバー38のエンドロック防止アーム43がエンドロック防止解除位置に設定保持されてヴィークルセンサ27のアクチュエータ30が作動可能状態となる。これにより、車両衝突時等の車両に大きな減速度が加えられた緊急時には、従来のヴィークルセンサと同様に、慣性ボール28が移動することでアクチュエータ30が作動して、係止爪30aがロックギヤ11aのラチェット歯11aに係合可能となる。そして、シートベルト4の引出しによりロックギヤ11aがベルト引き出し方向に回転することで、ラチェット歯11aが係止爪30aに係合し、ロックギヤ11aのベルト引き出し方向の回転が阻止される。その結果、スプール9がロックギヤ11aに対してベルト引出し方向に相対回転するので、パウル34が側壁8bの内歯35に係合し、第2スプール部9bのベルト引出方向の回転が阻止される。なお、図9(c)には、アクチュエータ30は作動状態で示されている。
しかし、乗員の慣性でシートベルト4が引き出されようとすることで第1スプール部9が更にベルト引出方向に回転するので、従来公知のトーションバーと同様にトーションバー36がねじり変形を生じる。このトーションバー36のねじり変形でシートベルト4から乗員に加えられる衝撃エネルギが緩和される。
シートベルト4が更に引き出されると、図12(i)(b)に示すように第3レバー作動カム18がエンドロック防止レバー38を通過する。このとき、エンドロック防止レバー38がエンドロック防止解除位置に保持され、ヴィークルセンサ27の作動可能状態が維持される。また、図12(ii)(b)に示すように一対のカムフォロワ45c,46cがそれぞれ更にベルト巻取り方向に回動して小径側円弧状溝49a,49b内を移動する。これにより、図12(i)(b)に示すように一方の当接部45aがリング部12bの内周面から離間した状態に保持されるので、フライホイール12の作動可能状態が維持される。
シートベルト4が更に引き出されると、偏心ギヤ14がベルト巻取り方向に更に偏心回転するので、第1レバー作動カム16が切換レバー19の係合レバー20に向かって回転する。この間、ヴィークルセンサ27およびフライホイール12の各作動可能状態が維持される。
そして、シートベルト4が全量引き出される直前となると、図7(b)に示すように、第1レバー作動カム16が切換レバー19の係合レバー20に当接しかつこの係合レバー20を押圧する。すると、図7(c)に示すように切換レバー19が回動して、切換レバー19の突部22が切換レバー位置制御ばね24の第2凹部24bに係合し、切換レバー19が位置決めされる。すなわち、切換レバー19の係止アーム23がロックギヤ11のラチェット歯11aと係合可能な位置に保持される。これにより、シートベルトリトラクタ3はELR機能からALR機能に切り換えられる。
シートベルト4が全量引き出されると、図7(d)に示すようにロックギヤ11のラチェット歯11aが係止アーム23に係合する。このときにも、図9(d)に示すようにヴィークルセンサ27の作動可能状態が維持されるとともに、図13(ii)(a)に示すように各ストッパ45,46のカムフォロワ45c,46cがそれぞれ小径側円弧状溝49aの大径側円弧状溝49d側端および小径側円弧状溝49bの大径側円弧状溝49c側端に位置して、図13(i)(a)に示すように当接部45a,46aがともにリング部12bの内周面から離間しており、フライホイール12の作動可能状態が維持される。
シートベルト4の全量引出しから、スプール9がベルト巻取り方向に回転すると、シートベルト4が所定量スプール9に巻き取られる。このとき、ロックギヤ11もベルト巻取り方向に回転するが、係止アーム23はロックギヤ11のベルト巻取り方向に対してはラチェット歯11aを乗り越えてこのラチェット歯11aと係合しない。したがって、スプール9によるシートベルト4の巻取りがスムーズに行われる。しかし、シートベルト4の所定量の巻取り後に、シートベルト4を引き出そうとすると、スプール9およびロックギヤ11がともにベルト引出し方向に回転するが、すぐにロックギヤ11のラチェット歯11aが係止アーム23に係合する。このため、前述と同様にスプール9およびロックギヤ11の各ベルト引出し方向の回転が阻止され、シートベルト4は引き出すことができない。こうして、シートベルトリトラクタ3がALR機能を発揮する。また、スプール9のベルト巻取り方向の回転で、偏心ギヤ14がベルト引出方向に偏心回転する。
シートベルト4が更に巻き取られると、第3レバー作動カム18がエンドロック防止レバー38のロックレバー40に次第に接近する。そして、シートベルト4の更なる巻取りにより、図10(a)に示すように第3レバー作動カム18がロックレバー40と当接しかつこのロックレバー40を押圧する。すると、図10(b)に示すようにエンドロック防止レバー38が回動して、エンドロック防止レバー38の突部42がエンドロック防止レバー位置制御ばね39の第1凹部39aから脱出して第2凹部39bに係合する。したがって、エンドロック防止レバー38のエンドロック防止アーム43がエンドロック防止位置に設定保持されてヴィークルセンサ27のアクチュエータ30が作動不能状態となる。しかし、シートベルトリトラクタ3がALR機能に設定されているので、前述の緊急時にはシートベルト4の引出しが阻止される。
シートベルト4が更に巻き取られて、全量巻取りに近づいてくると、図8(a)に示すように第2レバー作動カム17が切換レバー19の係合解除レバー21と当接しかつこの係合解除レバー21を押圧する。すると、図8(b)に示すように切換レバー19が回動して、切換レバー19の突部22が切換レバー位置制御ばね24の第2凹部24bから脱出して第1凹部24aに係合する。したがって、切換レバー19の係止アーム23がロックギヤ11のラチェット歯11aと係合不能な位置に設定される。これにより、シートベルトリトラクタ3はALR機能からELR機能に切り換えられる。
シートベルト4が更に巻き取られると、図11(ii)(b)に示すようにストッパ45,46のカムフォロワ45c,46cがそれぞれ小径側円弧状溝49a,49bから大径側円弧状溝49c,49dに進入する。これにより、当接部45a,46aがリング部12bの内周面に当接しかつ押圧するので、フライホイール12がロックされ作動不能状態となる。
そして、シートベルト4が全量巻き取られると、スプール9の回転が停止するので、偏心ギヤ14の回転も停止する。この状態では、ヴィークルセンサ2およびフライホイール12はともに作動不能状態となっている。
この例のシートベルトリトラクタ3によれば、シートベルト4の全量またはほぼ全量巻取り時には、一対のストッパ45,46が偏心ギヤ14によってスプール4の回転中心を通る直径方向に移動されてリング部12bの内周面を押圧する揺動阻止位置に設定されるので、これらのストッパ45,46により、ウェビングセンサのフライホイール12の揺動を阻止してこのフライホイール12を非作動位置に保持することができる。これにより、スプール4の回転中心を通る直径方向に移動するストッパ45,46を用いた簡単な構成で、ウェビングセンサによるエンドロックを防止することができる。
特に、一対のストッパ45,46をリング部12bの内周面を押圧するフライホイール12の揺動阻止位置とリング部12bの内周面を押圧しないフライホイール12の揺動自由位置との間で制御する移動制御部材に偏心ギヤ14を用いることで、一対のストッパ45,46を作動制御する構造をより簡単な構造にすることができ、その分、移動制御部材を小型コンパクトに形成することができる。
その場合、偏心ギヤ14が扁平部材であることから移動制御部材をより一層効果的に小型コンパクトに形成することができる。しかも、一対のストッパ45,46を制御する専用の制御部材を不要にすることができる。これにより、自動ロック式のシートベルトリトラクタにおいてはウェビングセンサによるエンドロックを防止する機能を設けても部品点数を削減することができる。
更に、フライホイール12にリング部12bを設けるとともに、シートベルト4の全量またはほぼ全量の巻取時にこのリング部12bの内周面をストッパ45,46で押圧してフライホイール12の作動を阻止しているので、従来公知のフライホイール12を大きく設計変更することなく利用することができるとともに、ストッパ45,46がリング部12bを単純に押圧するだけでよいので、構成をより一層簡単にすることができる。そのうえ、単純な構造でかつスプール4の直径方向に単純に移動するストッパ45,46を用いているので、シートベルト装置1のレイアウトが多種多様にわたっても、偏心ギヤ14に対するストッパ45,46の移動量を適宜設定することにより、少ない種類の部品で多種多様のレイアウトに対してフレキシブルにかつ安価に対応することができる。
一方、この例のシートベルト装置1によれば、シートベルトリトラクタ3におけるエンドロックをより効果的に防止することができることから、シートベルト4の操作性が向上し、乗員によるシートベルト4の装着動作をスムーズにかつ安定して行うことができる。
なお、前述の例では、ウェビングンセンサ(フライホイール12)におけるエンドロック防止機構44が一対のストッパ45,46および一対のガイド溝47,48をそれぞれ備えるものとしているが、本発明はこれに限定されることはなく、リング12bを押圧するストッパおよびこれらのストッパをガイドするガイド溝は2つ以上任意の数だけ設けることもできる。その場合、各ストッパおよび各ガイド溝はいずれも偏心ギヤ14の円周方向に沿って任意に設けることができるが、これらのストッパおよびガイド溝を、偏心ギヤ14の円周方向に等間隔を置いて設けることが、リング12bを円周方向に沿って均等となるように押圧することができるので好ましい。
また、図14に示すように一対のストッパ45,46はそれぞれ弾性付勢部材(本発明のストッパ部材付勢手段に相当)53の付勢力で偏心ギヤ14の直径方向で外向きα,βに押圧することもできる。このようにすれば、フライホイール12のリング部12bをより大きな力でロックすることができる。その場合、一対のストッパ45,46および弾性付勢部材53を、例えば樹脂や金属等の一体成型で構成することもできるし、一対のストッパ45,46および弾性付勢部材53をそれぞれ別体に形成して、一対のストッパ45,46を弾性付勢部材53で連結して構成することもできる。
更に、前述の例のシートベルトリトラクタ3では、2つのエンドロック防止機構37,44をともに設けるものとしているが、フライホイール12によるエンドロックを防止するエンドロック防止装置44のみを設けることもできる。
更に、本発明は、前述の例のELR機能およびALR機能をともに有するシートベルトリトラクタに限定されるものではなく、ELR機能のみを有するシートベルトリトラクタにも、本発明を適用することができる。更に、前述の例は、本発明に係るシートベルトリトラクタの実施の形態の一例に過ぎず、本発明は特許請求の範囲に記載された事項の範囲内でシートベルトリトラクタの各構成要素は種々変形可能である。
本発明のシートベルトリトラクタおよびシートベルト装置は、ベルト引出しセンサ(ウェビングセンサ)によるエンドロックが発生する可能性があるシートベルトリトラクタおよびこれを用いてシートベルトリトラクタから引き出されるシートベルトにより乗員を拘束するシートベルト装置に好適に利用することができる。
本発明にかかるシートベルトリトラクタの実施の形態の一例を備えたシートベルト装置を模式的に示す斜視図である。 本発明にかかるシートベルトリトラクタの実施の形態の一例の縦断面を模式的に示す断面図である。 この例のシートベルトリトラクタのELR−ALR切換機構、ヴィークルセンサによるエンドロック防止機構、およびウェビングセンサによるエンドロック防止機構の分解斜視子図である。 この例のシートベルトリトラクタのウェビングセンサの挙動を説明し、(a)はウェビングセンサの非作動状態を示す図、(b)はウェビングセンサの作動状態を示す図である。 この例のシートベルトリトラクタのELR−ALR切換機構、ヴィークルセンサによるエンドロック防止機構、およびウェビングセンサによるエンドロック防止機構を示す図である。 この例のシートベルトリトラクタのウェビングセンサによるエンドロック防止機構を説明し、(a)はストッパの説明図、(b)はストッパを制御するカム溝の説明図である。 (a)ないし(d)は、ELR機能からALR機能への切換作動の一部を説明する図である。 (a)および(b)は、ELR機能からALR機能への切換作動の他部を説明する図である。 (a)ないし(d)は、ヴィークルセンサによるエンドロック防止機構の作動の一部を説明する図である。 (a)および(b)は、ヴィークルセンサによるエンドロック防止機構の作動の他部を説明する図である。 (i)(a)および(b)は、フライホイールにおけるエンドロック防止機構の作動の一部を説明する図、(ii)(a)および(b)は、フライホイールにおけるエンドロック防止機構の作動を制御する一対のストッパとカム溝の各挙動の一部を説明する図である。 (i)(a)および(b)は、フライホイールにおけるエンドロック防止機構の作動の他の一部を説明する図、(ii)(a)および(b)は、フライホイールにおけるエンドロック防止機構の作動を制御する一対のストッパとカム溝の各挙動の他の一部を説明する図である。 (i)(a)は、フライホイールにおけるエンドロック防止機構の作動の残部を説明する図、(ii)(a)は、フライホイールにおけるエンドロック防止機構の作動を制御する一対のストッパとカム溝の各挙動の残部を説明する図である。 本発明の変形例のストッパを示す図である。
符号の説明
1…シートベルト装置、2…車両シート、3…シートベルトリトラクタ、4…シートベルト、6…タング、7…バックル、9…スプール、10…ケース、11…ロックギヤ、11a…ラチェット歯、12…フライホイール(ウェビングセンサ)、12b…リング部、12c…係止爪、13…偏心ディスク、14…偏心ギヤ、14a…外歯、15…リングギヤ、15a…内歯、16…第1レバー作動カム、17…第2レバー作動カム、18…第3レバー作動カム、19…切換レバー、20…係合レバー、21…係合解除レバー、22…突部、23…係止アーム、24…切換レバー位置制御ばね、24a…第1凹部、24b…第2凹部、25…ELR−ALR切換機構、ラチェット歯、27…ヴィークルセンサ、30…アクチュエータ、30a…係止爪、34…パウル、35…歯、37…エンドロック防止機構、38…エンドロック防止レバー、39…エンドロック防止レバー位置制御ばね、39a…第1凹部、39b…第2凹部、40…ロックレバー、41…ロック解除レバー、42…突部、43…エンドロック防止アーム、44…エンドロック防止機構、45,46…ストッパ、45a,46a…当接部、45b,46b…被ガイド部、45c,46c…カムフォロワ、47,48…ガイド溝、49…カム溝、49a,49b…小径側円弧状溝、49c,49d…大径側円弧状溝、51…スプリング機構、53…弾性付勢部材

Claims (5)

  1. 乗員を拘束するシートベルトと、このシートベルトを巻き取るスプールと、非作動時前記スプールの回動を許容し、作動時に前記スプールのベルト引出し方向の回動を阻止するロック機構と、前記シートベルトの引出し開始時にこのシートベルトを通常時より速い所定速度以上で急激に引出したとき作動するベルト引出しセンサと、前記ベルト引出しセンサの作動により前記ロック機構を作動するロック作動機構を備えているシートベルトリトラクタにおいて、
    前記ロック作動機構は、非作動時に前記スプールと一体回動可能にかつ作動時に前記スプールと相対回動可能に設けられ、作動時に前記スプールと相対回動することで前記ロック機構を作動させるロックギヤを少なくとも備えており、
    前記ベルト引出しセンサは前記ロックギヤに、このロックギヤの回動をベルト巻取り方向およびベルト引出し方向のいずれの方向にも許容する非作動位置と前記ロックギヤの少なくともベルト引出し方向の回動を阻止する作動位置との間で揺動可能に設けられ、
    前記ベルト引出しセンサの揺動を阻止する揺動阻止部材が、少なくとも前記シートベルトの全量またはほぼ全量巻取り時に前記ベルト引出しセンサを前記非作動位置に保持して作動位置の方への揺動を阻止する揺動阻止位置と前記シートベルトの全量巻取りから所定量以上の引出し時に前記ベルト引出しセンサの揺動を自由にする揺動自由位置との間で前記スプールの回転中心を通る直径方向に移動可能に設けられているとともに、前記揺動阻止部材を移動制御する揺動阻止部材制御機構が設けられており、
    前記揺動阻止部材制御機構は、前記スプールの回転時にこのスプールの回転速度より低い回転速度で減速回転して前記揺動阻止部材を移動制御する移動制御部材を備えていることを特徴とするシートベルトリトラクタ。
  2. 車両に通常時より大きな減速度が作用した緊急時にこの減速度を検知して作動し前記スプールのベルト引出し方向の回転を阻止する緊急ロック機構と、前記シートベルトの全量引出し時に作動して、前記シートベルトの所定量の巻取りまで、全量引出し後の前記シートベルトの巻取り途中では、前記シートベルトの引出しを阻止する自動ロック機構と、前記緊急ロック機構による緊急ロック機能と前記自動ロック機構による自動ロック機能とを切り換えるロック切換機構とを備えており、
    前記ロック切換機構は、前記緊急ロック機能に設定する緊急ロック位置と前記自動ロック機能に設定する自動ロック位置とのいずれかに択一的に設定される切換レバーと、前記スプールの回転時にこのスプールの回転速度より低い回転速度で減速回転しかつ前記切換レバーの設定位置を切り換える切換レバー制御カム部材を有する偏心ギヤとを有し、
    前記移動制御部材は前記偏心ギヤからなるとともに、前記揺動阻止部材は前記偏心ギヤの回転で作動制御されて、前記シートベルトの全量またはほぼ全量の巻取時に前記ベルト引出しセンサの作動を阻止する部材であることを特徴とする請求項1記載のシートベルトリトラクタ。
  3. 前記ベルト引出しセンサにリング部材が設けられており、前記揺動阻止部材は、前記シートベルトの全量またはほぼ全量の巻取時に前記リング部材の内周面を押圧して前記ウェビングセンサの作動を阻止する複数のストッパ部材であることを特徴とする請求項2記載のシートベルトリトラクタ。
  4. 前記ストッパ部材が前記リング部材を押圧する方向に前記ストッパ部材を付勢するストッパ部材付勢手段を備えていることを特徴とする請求項3記載のシートベルトリトラクタ。
  5. 乗員を拘束するシートベルトと、前記シートベルトを引き出し可能に巻き取るとともに、前記緊急時に作動して前記シートベルトの引出しを阻止するシートベルトリトラクタと、前記シートベルトリトラクタから引き出された前記シートベルトに摺動可能に支持されたタングと、車体または車両シートに設けられ、前記タングが離脱可能に係止されるバックルとを少なくとも備えるシートベルト装置において、
    前記シートベルトリトラクタに、請求項1ないし4のいずれか1に記載されたシートベルトリトラクタが用いられていることを特徴とするシートベルト装置。
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