この発明において、動力分配装置は、差動回転可能な複数の回転要素、例えば、4つの回転要素を有しており、いずれかの回転要素が入力要素であり、いずれかの回転要素が出力要素であり、残りの2つの回転要素が、選択的に反力要素となる。そして、入力要素が駆動力源に連結され、出力要素が駆動軸に連結される。さらに、反力要素となる一方の回転要素に発電機が接続され、反力要素となる他方の回転要素の回転を阻止することが可能である。また、駆動力源は車輪に伝達する動力を発生する動力装置であり、駆動力源としては、エンジン、電動機、油圧モータ、フライホイールシステムなどのうちの少なくとも1つを用いることが可能である。また、動力分配装置は、駆動力源と駆動軸との間における回転速度比(変速比)を無段階に変更可能な無段変速機としての機能を有する。動力分配装置を構成する入力要素および出力要素および反力要素、つまり4要素は、相互に差動回転可能に、かつ、動力伝達可能に接続されている。このような動力分配装置としては、例えば、遊星機構を用いた無段変速機を用いることができる。遊星機構としては、歯車同士の噛み合い力により動力伝達をおこなう遊星歯車機構、または作動油のせん断力でトラクション伝動により動力伝達をおこなう遊星ローラ機構を用いることが可能である。さらに、3要素は動力を伝達する機能を備えた要素であり、4要素には、ギヤ、キャリヤ、コネクティングドラム、回転軸、プーリ、ローラ、スプロケット、チェーンなどの要素が含まれる。この発明において、固定変速モードおよび無段変速モードは、駆動力源と駆動軸との間の回転速度比の制御範囲を変更するために用いられるモードであり、駆動力源と駆動軸との間の回転速度比は、固定変速モードの方が無段変速モードよりも制御範囲が狭い。
さらに、この発明における電動機は、車輪に伝達されるトルクを発生する駆動力源であり、電動機としての機能に加えて、発電機としての機能を兼備したモータ・ジェネレータを用いることも可能である。さらに、この発明は、駆動力源の動力が前輪または後輪のいずれか一方に伝達される二輪駆動車、または、駆動力源の動力が前輪および後輪の両方に伝達される四輪駆動車のいずれにも適用可能である。さらに、駆動力源のトルクが伝達される車輪と、電動機のトルクが伝達される車輪とが、同じでもよいし異なっていてもよい。例えば、駆動力源のトルクが前輪に伝達され、かつ、電動機のトルクが後輪に伝達されるように構成された四輪駆動車でもよい。これに対して、駆動力源のトルクが前輪に伝達され、かつ、電動機のトルクが前輪に伝達されるように構成された二輪駆動車でもよい。また、駆動力源のトルクが後輪に伝達され、かつ、電動機のトルクが後輪に伝達されるように構成された二輪駆動車でもよい。さらに、この発明における駆動軸は、出力要素と車輪とを動力伝達可能に接続する回転要素であり、この駆動軸には、ギヤ、キャリヤ、コネクティングドラム、回転軸、プーリ、ローラ、スプロケット、チェーンなどの要素が含まれる。つまり、駆動軸は形状が軸形状のものに限定されるわけではない。
つぎに、この発明を図面を参照しながら具体的に説明する。図2は、この発明の一実施形態であるF・R(フロントエンジン・リヤドライブ;エンジン前置き後輪駆動)形式のハイブリッド車(以下、「車両」と略記する)の概略構成図である。図2において、車両1は、駆動力源としてのエンジン2を有している。エンジン2としては内燃機関、具体的にはガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、LPGエンジンなどを用いることができる。エンジン2は、燃料を燃焼させた場合の熱エネルギを運動エネルギとして出力する動力装置である。この実施例では、エンジン2として、トルク制御装置、例えば、電子スロットルバルブ、燃料噴射量制御装置、点火時期制御装置などを有するガソリンエンジンが用いられているものとする。エンジン2から車輪3に至る動力伝達経路に動力分配装置4が設けられている。車両1のフロアー(図示せず)の空間にはケーシング5が配置されており、そのケーシング5内に動力分配装置4が配置されている。
そして、動力分配装置4は2組の遊星歯車機構を有している。まず、第1遊星車機構6はシングルピニオン型の遊星歯車機構である。すなわち、第1遊星歯車機構6は、同軸上に配置されたサンギヤ7およびリングギヤ8と、サンギヤ7およびリングギヤ8に噛合するピニオンギヤ9を、自転、かつ公転可能に保持したキャリヤ10とを有している。キャリヤ10が動力分配装置4の入力部材である。そして、キャリヤ10にはインプットシャフト11が動力伝達可能に連結、具体的には一体回転するように連結されており、そのインプットシャフト11とエンジン2のクランクシャフト12とが、動力伝達可能に接続されている。クランクシャフト12とインプットシャフト11との間の動力伝達経路には、ダンパ機構、トルクリミッタ機構、クラッチ機構などを設けることも可能である。ダンパ機構は、トルク変動を吸収する機構であり、トルクリミッタは、伝達されるトルクを設定トルク以下に制限する機構であり、クラッチ機構はトルク容量を制御する機構である。
図2の具体例では、インプットシャフト11およびクランクシャフト12の回転軸線(図示せず)が、車両1の前後方向に沿って配置されている。さらに、ケーシング5の内部には、第1モータ・ジェネレータMG1が設けられている。インプットシャフト11の回転軸線に沿った方向で、エンジン2と第1遊星歯車機構6との間に第1モータ・ジェネレータMG1が配置されている。この第1モータ・ジェネレータMG1は、電気エネルギを運動エネルギに変換する力行機能(電動機としての機能)と、運動エネルギを電気エネルギに変換する回生機能(発電機としての機能)とを兼備している。第1モータ・ジェネレータMG1は、ステータ13およびロータ14を有しており、ステータ13はケーシング5に固定されている。また、ロータ14は、サンギヤ7と一体回転するように連結されている。
動力分配装置4を構成する第2遊星車機構15は、ダブルピニオン型の遊星歯車機構である。すなわち、第2遊星歯車機構15は、同軸上に配置されたサンギヤ16およびリングギヤ17と、サンギヤ16に噛合する第1ピニオンギヤ18と、リングギヤ17および第1ピニオンギヤ18に噛合する第2ピニオンギヤ19と、第1ピニオンギヤ18および第2ピニオンギヤ19を、自転、かつ公転可能に保持したキャリヤ20とを有している。そして、キャリヤ20とリングギヤ8とが一体回転するように連結され、リングギヤ17とキャリヤ10とが一体回転するように連結されている。そして、キャリヤ20と一体回転するアウトプットシャフト21が設けられている。このアウトプットシャフト21は、動力分配装置4から出力されたトルクを車輪3に伝達する要素であり、インプットシャフト11とアウトプットシャフト21とが同軸上に配置されている。さらに、回転軸線に沿った方向で、第1モータ・ジェネレータMG1と第2遊星歯車機構15との間に第1遊星歯車機構6が配置されている。さらに、サンギヤ16に制動力を与えるブレーキBKが設けられている。このブレーキBKとしては、摩擦ブレーキ、または噛み合いブレーキを用いることが可能である。そのブレーキBKの制動力を制御するアクチュエータ32としては、電磁式アクチュエータまたは油圧式アクチュエータのいずれを用いてもよい。
一方、アウトプットシャフト21は終減速機22に接続されており、終減速機22にはアクスルシャフト30を介して車輪3が接続されている。終減速機22は、アウトプットシャフト21の回転数よりも、アクスルシャフト30の回転数を低下させるように、その減速比が決定されている。また、回転軸線に沿った方向で第2遊星歯車機構15と終減速機22との間には、第2モータ・ジェネレータMG2が配置されている。この第2モータ・ジェネレータMG2は、ケーシング5の内部またはケーシング5の外部のいずれに配置されていてもよい。この第2モータ・ジェネレータMG2は、電気エネルギを運動エネルギに変換する力行機能と、運動エネルギを電気エネルギに変換する回生機能とを兼備している。第2モータ・ジェネレータMG2は、ステータ23およびロータ24を有している。さらに、回転軸線に沿った方向で第2遊星歯車機構15と終減速機22との間には、変速機25が設けられている。図2では、車両1の前後方向で、第2モータ・ジェネレータMG2の後方に変速機25が配置されたレイアウトが示されている。
また、変速機25は、ケーシング5の内部またはケーシング5の外部のいずれに配置されていてもよい。この変速機25は、第2モータ・ジェネレータMG2のロータ24と、アウトプットシャフト21とを動力伝達可能に接続するものである。さらに、変速機25は、入力要素26および出力要素31を有しているとともに、その入力要素26と出力要素31との間の変速比を変更可能に構成されている。この変速機25は、変速比を段階的に変更可能な有段変速機、または、変速比を無段階に変更可能な無段変速機のいずれでもよい。また、変速機25の変速比は、「1」よりも大きい値、または「1」以上の値で変更可能に構成されている。この変速機25として、有段変速機を用いる場合、選択歯車式変速機、遊星歯車式変速機を採用することが可能である。これに対して、変速機25として、無段変速機を用いる場合、トロイダル型無段変速機、ベルト式無段変速機を採用することが可能である。そして、入力要素26がロータ24と動力伝達可能に接続され、出力要素31がアウトプットシャフト21と動力伝達可能に接続されている。
さらに、第1モータ・ジェネレータMG1および第2モータ・ジェネレータMG2は、いずれもロータが回転運動をおこなうものであり、各モータ・ジェネレータは直流型または交流型のいずれでもよい。この具体例では、3相交流型のモータ・ジェネレータを用いる場合について説明する。また、すべてのモータ・ジェネレータは、インバータ27を介して蓄電装置28に接続されている。蓄電装置28としては、キャパシタまたはバッテリを用いることが可能である。このように、各モータ・ジェネレータと蓄電装置28との間で、電力の授受をおこなう電気回路が形成されている。なお、蓄電装置28に加えて燃料電池を設け、その燃料電池から各モータ・ジェネレータに電力を供給する回路を設けてもよい。燃料電池は、酸素と水素とを反応させて起電力を発生させる装置である。なお、各モータ・ジェネレータ同士の間に、蓄電装置28を経由することなく、電力の授受を可能とする電気回路を形成することも可能である。
さらに、車両1の制御系統について説明すると、コントローラとしての電子制御装置33が設けられており、電子制御装置33には、エンジン回転数、各モータ・ジェネレータの回転数、車速、蓄電装置28の充電量、燃料電池における発電電力、モータ・ジェネレータに対する発電要求、車両1における加速要求、車両1における制動要求、シフトポジションなどの信号が入力される。また、電子制御装置33には、蓄電装置28における出力電力の上限値、燃料電池における出力電力の上限値などのデータが、予め記憶されている。この電子制御装置33からは、変速機25の変速比を制御する信号、ブレーキBKを制御する信号、エンジン2を制御する信号、各モータ・ジェネレータを制御する信号が出力される。エンジン2を制御する信号には、エンジン2の停止・運転を制御する信号、エンジン回転数を制御する信号、エンジントルクを制御する信号が含まれる。モータ・ジェネレータを制御する信号には、モータ・ジェネレータを力行制御または回生制御させる信号、モータ・ジェネレータの回転数を制御する信号、モータ・ジェネレータのトルクを制御する信号が含まれる。ブレーキBKを制御する信号には、ブレーキBKからサンギヤ16に与える制動力を制御する信号が含まれる。
つぎに、図2に示された車両1の制御例を説明する。まず、車速およびアクセル開度に基づいて、車両1に対する要求駆動力が求められ、その要求駆動力に基づいて、エンジン2の目標出力および第2モータ・ジェネレータMG2の目標出力が求められる。エンジン2の目標出力に基づいてエンジン出力を制御する場合、基本的には、エンジン2の運転状態が、最適燃費線に沿ったものとなるように、エンジン2の目標回転数およびエンジンの目標トルクを求めることが可能である。ここで、最適燃費線に基づいて、エンジン2の目標回転数および目標トルクを求めるマップが、予め電子制御装置33に記憶されている。そして、エンジン2の実際の回転数を目標回転数に近づけるために、動力分配装置4の変速比が制御される。動力分配装置4の変速比を制御する場合には、図3に示すモード切替マップを用いることが可能である。このモード切替マップは電子制御装置33に記憶されており、このモード切替マップによれば、固定変速モードが選択される運転領域と、無段変速モードが選択される運転領域とが、車速および加速要求をパラメータとして示されている。なお、基本的には、無段変速モードが選択された場合に、エンジン2の運転状態が、最適燃費線に沿ったものとなるように、エンジン2の目標回転数および目標トルクが制御される。これに対して、電力損失を抑制することを優先する場合は、固定変速モードが選択される。また、後述するように、固定変速モードが選択された場合は、動力分配装置4の変速比が「1」未満に限定される。また、無段変速モードが選択された場合は、動力分配装置4の変速比を「1」未満、または「1」以上の範囲で任意に変更可能である。
この図3のマップでは、アクセル開度または要求駆動力、および車速がパラメータとなっている。図3のマップにおいては、予め定められた車速V1以上の車速であり、かつ、アクセル開度が所定値θ1未満である場合に、固定変速モードが選択される。これに対して、予め定められた車速V1未満の車速である場合、または、予め定められた車速V1以上の車速であり、かつ、アクセル開度が所定値θ1以上である場合は、無段変速モードが選択される。このように、要求駆動力が高い場合、あるいは加速要求が高い場合は、無段変速モードが選択される。まず、固定変速モードが選択される運転領域と、無段変速モードが選択される運転領域とを、車速V1をしきい値として区別した技術的な理由の一例を説明する。エンジン2は、燃料を燃焼させて動力を出力する装置であるから、エンジン回転数が低回転数となる低車速領域では、燃料の燃焼状態が不安定となり、エンジントルクが変動すると、エンジン2から車輪3に至る動力伝達経路で、振動・騒音が発生しやすい。
このため、動力分配装置4の変速比が「1」未満に限定される場合でも、エンジン2から車輪3に至る動力伝達経路で発生する振動および騒音が、車両1の乗員が違和感を持たない程度に抑制するために、車速V1をしきい値として、その車速V1以上の運転領域で固定変速モードが選択されるように、図3のマップが決定されている。この固定変速モードが選択された場合も、実駆動力を要求駆動力に近づけるように、エンジン回転数およびエンジントルクが制御されるが、エンジン回転数およびエンジントルクは、最適燃費線に沿ったものではない。これに対して、無段変速モードが選択された場合は、動力分配装置4の変速比を「1」以上に制御することが可能であるから、低車速でもエンジン回転数を高回転数とすることが可能であり、エンジン2から車輪3に至る動力伝達経路で発生する振動および騒音が、車両1の乗員が違和感を持たない程度に抑制することが可能である。なお、動力伝達経路における振動および騒音の程度は、エンジン2のトルク変動特性、動力伝達経路の固有振動数などの条件により求めればよい。
つぎに、固定変速モードが選択される運転領域と、無段変速モードが選択される運転領域とを、アクセル開度の所定値θ1をしきい値として区別した技術的な理由の一例を説明する。固定変速モードが選択された場合、動力分配装置4の変速比が「1」未満に限定されるため、動力分配装置4の入力トルクよりも、動力分配装置4の出力トルクが低減される。このため、要求駆動力が高い場合は駆動力不足となる可能性がある。この実施例では、動力分配装置4の変速比が「1」未満に限定されている場合でも、要求駆動力に応じた動力分配装置4の出力トルクを確保できるしきい値として、所定値θ1を決定している。つまり、要求駆動力が高い所定値θ1以上の運転領域において、動力分配装置4の変速比が「1」未満であると駆動力不足となる可能性があるため、動力分配装置4の変速比を「1」以上に設定できる無段変速モードが選択されるように、図3のマップが構成されている。一方、要求駆動力が所定値θ1未満の運転領域においては、動力分配装置4の変速比が「1」未満であっても駆動力不足となる可能性が少ないため、動力分配装置4の変速比が「1」未満に限定される固定変速モードが選択されるように、図3のマップが構成されている。
つぎに、図4および図5に基づいて、動力分配装置4の変速比の制御を説明する。この動力分配装置4を制御するモードとして、固定変速モードおよび無段変速モードを選択的に切り替え可能である。図4および図5の共線図は、動力分配装置4を構成する要素同士、およびその要素に連結された回転要素同士の位置関係および回転状態を示すものである。図4および図5において、「停止」は回転要素が停止することを示し、「正」は回転要素が正方向に回転することを示し、「逆」は回転要素が逆方向に回転することを示す。なお、正方向とは、エンジン2のクランクシャフト12の回転方向と同じ回転方向である。図4および図5の共線図において、第1遊星歯車機構6はシングルピニオン型の遊星歯車機構であるため、サンギヤ7とリングギヤ8との間にキャリヤ10が配置されている。
これに対して、第2遊星歯車機構15は、ダブルピニオン型の遊星歯車機構であるため、サンギヤ16とキャリヤ20との間にリングギヤ17が配置されている。また、キャリヤ10とリングギヤ17とが一体回転するように連結されているため、図4および図5の共線図上で、キャリヤ10およびリングギヤ17が同じ位置に示されている。また、キャリヤ20とリングギヤ8とが一体回転するように連結されているため、図4および図5の共線図上で、キャリヤ20およびリングギヤ8が同じ位置に示されている。さらに、図4および図5の共線図上において、サンギヤ7とリングギヤ8との間にサンギヤ16が配置され、このサンギヤ16とリングギヤ8との間に、キャリヤ10が配置されている。この図4および図5に示すように、動力分配装置4は、相互に差動回転可能な4個の回転要素を有している。さらに、第2モータ・ジェネレータMG2は、変速機25を介してアウトプットシャフト21に接続されているが、図4および図5においては、便宜上、キャリヤ20と同じ位置に(MG2)として示してある。
まず、固定変速モードが選択された場合はブレーキBKが反力発生装置として機能する。すなわち、ブレーキBKの制動力が高められて、図4に示すようにサンギヤ16が固定(停止)される。このため、固定変速モードが選択されていることを「ロック」と記すことがある。また、動力分配装置4は、機構上、キャリヤ20およびリングギヤ8が一体回転するように連結され、かつ、リングギヤ17およびキャリヤ10が一体回転するように連結されている。このため、エンジントルクがインプットシャフト11を経由してキャリヤ10およびリングギヤ17に入力されると、ブレーキBKおよびサンギヤ16により反力が受け持たれ、キャリヤ20からトルクが出力される。このキャリヤ20のトルクは、アウトプットシャフト21および終減速機22およびアクスルシャフト30を経由して車輪3に伝達されて、駆動力が発生する。
そして、エンジン回転数を制御することにより、動力分配装置4の入力回転数と出力回転数との間の変速比を、無段階(連続的)に変更可能である。また、固定変速モードが選択された場合はサンギヤ16が固定されるため、動力分配装置4の変速比は「1」未満に限定される。すなわち、動力分配装置4が増速機として機能するため、動力分配装置4への入力トルクよりも、動力分配装置4から出力されるトルクの方が低くなる。また、固定変速モードが選択されるとともに、エンジン回転数が正である場合は、エンジントルクにより第1モータ・ジェネレータMG1が逆回転される。この場合、第1モータ・ジェネレータMG1では回生制御(発電制御)をおこなうか、または回生制御をおこなうことなくロータ14を空転させることが可能である。さらに、エンジン2からアウトプットシャフト21に伝達された動力を第2モータ・ジェネレータMG2に伝達し、その第2モータ・ジェネレータMG2で回生制御(発電制御)をおこない、発生した電力を蓄電装置28に充電することも可能である。これに対して、車両1に対する加速要求が増加して、車輪3に伝達するトルクを増加する場合に、蓄電装置28から第2モータ・ジェネレータMG2に電力を供給して、第2モータ・ジェネレータMG2を電動機として駆動することも可能である。さらにまた、固定変速モードが選択された場合、第1モータ・ジェネレータMG1の回転数よりも、キャリヤ20の回転数の方が高い。さらにまた、変速機25の変速比は「1」以上に設定されるため、第2モータ・ジェネレータMG2の回転数は、アウトプットシャフト21の回転数以上となる。このため、第2モータ・ジェネレータMG2が力行制御され、かつ、変速機25の変速比が「1」よりも大である場合、第2モータ・ジェネレータMG2のトルクが増幅されてアウトプットシャフト21に伝達される。
これに対して、無段変速モードが選択された場合は、ブレーキBKからサンギヤ16に与えられる制動力が低下され、図5に示すようにサンギヤ16が回転可能となる。つまり、無段変速モードが選択された場合は、ブレーキBKが解放されてサンギヤ16の固定が解かれるため、「無段変速モードを選択する」ことを「アンロック」と記すことがある。この無段変速モードが選択された場合において、エンジントルクがインプットシャフト11を経由してキャリヤ10に入力されると、第1モータ・ジェネレータMG1により反力が受け持たれ、リングギヤ8から出力されたトルクがアウトプットシャフト21に伝達される。つまり、第1モータ・ジェネレータMG1が反力発生装置として機能する。第1モータ・ジェネレータMG1が正回転してエンジントルクの反力を受け持つ場合、第1モータ・ジェネレータMG1が回生制御され、発生した電力が蓄電装置28に充電される。これに対して、第1モータ・ジェネレータMG1が逆回転する場合、蓄電装置28から第1モータ・ジェネレータMG1に電力が供給されて、その第1モータ・ジェネレータMG1が電動機として駆動されて、エンジントルクの反力を受け持つ。
また、無段変速モードが選択された場合、第1モータ・ジェネレータMG1の回転数を制御することにより、動力分配装置4の入力回転数と出力回転数との間の変速比を、無段階(連続的)に変更可能である。さらに、無段変速モードが選択された場合、動力分配装置4の変速比として「1」未満、または「1」以上のいずれをも選択可能である。動力分配装置4の変速比が「1」を越える場合、動力分配装置4は減速機として機能し、動力分配装置4でトルクの増幅がおこなわれる。動力分配装置4の変速比が「1」未満である場合が、図5に破線で示されている。これに対して、動力分配装置4の変速比が「1」を越えている場合が、図5に一点鎖線で示されている。図5の共線図では、第1モータ・ジェネレータMG1が正回転である場合が示されているが、第1モータ・ジェネレータMG1が逆回転する場合、または停止する場合もある。さらに、図5に実線で示すように、動力分配装置4の変速比を「1」に制御することも可能である。
さらに、固定変速モードまたは無段変速モードの何れが選択されている場合においても、第2モータ・ジェネレータMG2に電力を供給して電動機として駆動させ、その第2モータ・ジェネレータMG2のトルクを、変速機25を経由させてアウトプットシャフト21に伝達することが可能である。なお、蓄電装置28から第2モータ・ジェネレータMG2に電力を供給して電動機として駆動させ、その第2モータ・ジェネレータMG2のトルクをアウトプットシャフト21に伝達する場合、エンジン2に燃料が供給されていてもよいし、エンジン2への燃料の供給が停止されていてもよい。この「エンジン2への燃料の供給が停止されている」には、エンジン2が空転する場合と、エンジン2が停止している場合とが含まれる。さらに、固定変速モードまたは無段変速モードの何れが選択されている場合においても、エンジン2からアウトプットシャフト21に伝達される動力の一部を、第2モータ・ジェネレータMG2に伝達して発電をおこない、発生した電力を蓄電装置28に充電するか、または発生した電力を第1モータ・ジェネレータMG1に供給することが可能である。
つぎに、動力分配装置4を制御するモードを選択する条件について説明する。動力分配装置4を制御するモードは、エンジン2の燃費、およびエンジン2から車輪3に至る動力伝達経路における動力の伝達効率などに基づいて決定される。まず、エンジン2の燃費について説明する。車両1では、車速およびアクセル開度に基づいて、車両1に対する要求駆動力が求められ、その要求駆動力に基づいて、エンジン2の目標出力および第2モータ・ジェネレータMG2の目標出力が求められる。エンジン2の目標出力に基づいてエンジン出力を制御する場合、基本的には、エンジン2の運転状態が、最適燃費線に沿ったものとなるように、エンジン2の目標回転数およびエンジンの目標トルクを求めることが可能である。図4および図5の共線図に基づいて説明したように、無段変速モードが選択された場合は、固定変速モードが選択された場合に比べて、動力分配装置4の変速比の制御範囲が広い。したがって、エンジン2の燃費を優先する場合は無段変速モードが選択される。
これに対して、図4の共線図で説明したように、固定変速モードが選択された場合は、エンジントルクの反力をブレーキBKにより受け持つため、第1モータ・ジェネレータMG1および第2モータ・ジェネレータMG2と、電気回路との間で流通する電力量が少なくなり、電気損失量の増加を抑制できる。したがって、エンジン2の燃費よりも電気損失量の増加を優先する場合は、固定変速モードを選択することができる。なお、固定変速モードまたは無段変速モードの何れが選択された場合も、動力分配装置4の変速比の制御と並行して、エンジン2の実際のトルクを目標トルクに近づけるために、電子スロットルバルブの開度の制御、点火時期の制御などがおこなわれる。
ところで、動力分配装置4を制御するモードを図3のマップを用いて変更する場合において、車両1の走行状態が、図3に示されたしきい値を繰り返し横断すると、固定変速モードと無段変速モードとが頻繁に切り替わり、制御がビジー状態となる恐れがある。そこで、固定変速モードと無段変速モードとが頻繁に切り替わることを抑制するための制御例を順次説明する。
(制御例1)
まず、制御例1を、図1のフローチャートに基づいて説明する。図1では、現在、固定変速モードが選択されている(ロック中)か否かが判断される(ステップS1)。このステップS1で肯定的に判断された場合は、切替禁止カウンタの計測(カウントアップ)が開始される(ステップS2)。ステップS2における「切替禁止カウンタ」とは、「無段変速モードから固定変速モードに変更された時点からの経過時間」である。なお、「経過時間」の技術的意義は後述する。
このステップS2についで、現在選択されている固定変速モードから、再度、無段変速モードに変更する要求があるか否かが判断される(ステップS3)。このステップS3の判断が、図1では「アンロック要求あり?」で示されている。このステップS3で肯定的に判断された場合は、「ステップS2で計測が開始された経過時間(切替禁止カウンタ)」が、「予め定められた所定時間(ある時間)」を越えたか否かが判断される(ステップS4)。この所定時間の技術的意義を説明する。動力分配装置4を制御するモードを変更すると、ブレーキBKからサンギヤ16に与えられる制動力が変化し、かつ、動力分配装置4から出力されるトルクが変化して、ショックとして体感される可能性がある。このため、動力分配装置4を制御するモードが短時間内に頻繁に変更された場合、車両1の乗員が違和感を持ち、ドライバビリティが悪化すると考えられる。そこで、前回のモード変更がおこなわれた後は、再度モードを変更する条件が成立した場合でも、一定の時間内は、再度のモード変更をおこなうことを禁止して、車両1の乗員が違和感を持つことを回避するために、「所定時間」が設定されている。この所定時間は、動力分配装置4のモード変更をおこなうことにより、実験的に求められて電子制御装置33に記憶されている。
そして、ステップS4で否定的に判断された場合は、現在選択されている固定変速モードから、無段変速モードに変更すると、車両1の乗員が違和感を持つ可能性がある。そこで、ステップS4で否定的に判断された場合は、ステップS5に進み、固定変速モードを維持することで、エンジン動作点(回転数およびトルク)を維持する。また、このステップS5では、第2モータ・ジェネレータMG2が電動機として駆動され、この第2モータ・ジェネレータMG2からアウトプットシャフト21に伝達されるトルクが増加される。このように、第2モータ・ジェネレータMG2からアウトプットシャフト21に伝達されるトルクが増加されるため、高負荷要求に見合う駆動力を得られる。このステップS5において、第2モータ・ジェネレータMG2からアウトプットシャフト21に伝達されるトルクを増加する場合、変速機25の変速比を変更せずに、第2モータ・ジェネレータMG2のトルクを高める制御、または、第2モータ・ジェネレータMG2のトルクを変更せずに、変速機25の変速比を大きくする変速をおこなう制御のいずれを選択してもよい。
一方、ステップS4で肯定的に判断された場合は、現在選択されている固定変速モードから、無段変速モードに変更しても、車両1の乗員が違和感を持つ可能性がないことを意味する。そこで、ステップS4で肯定的に判断された場合は、ステップS6に進み、現在選択されている固定変速モードから、無段変速モードに変更する制御をおこなう(アンロック実施)とともに、切替禁止カウンタ(計測された経過時間)をゼロに戻す処理をおこない、この制御ルーチンを終了する。また、ステップS3で否定的に判断された場合は、この制御ルーチンを終了する。
さらに、ステップS1の判断時点で否定的に判断されるということは、現在、無段変速モードが選択されていることになる。そこで、ステップS1で否定的に判断された場合は、切替禁止カウンタの計測が開始(カウントアップ)される(ステップS7)。このステップS7における「切替禁止カウンタ」は、「固定変速モードから無段変速モードに変更された時点からの経過時間」を意味する。このステップS7についで、現在選択されている無段変速モードから、固定変速モードに再度変更する要求(ロック要求)があるか否かが判断される(ステップS8)。このステップS8で肯定的に判断された場合は、「ステップS7で計測が開始された経過時間(切替禁止カウンタ)」が、「予め定められた所定時間(ある時間)」を越えたか否かが判断される(ステップS9)。このステップS9の判断に用いる所定時間の技術的意味は、ステップS4で説明した所定時間の技術的意味と同じである。また、ステップS4で用いる所定時間と、ステップS9で用いる所定時間とは、同じでもよいし異なっていてもよい。そして、ステップS9で否定的に判断された場合は、現在選択されている無段変速モードから、固定変速モードに変更すると、車両1の乗員が違和感を持つ可能性があるため、無段変速モードを維持(アンロック維持)し(ステップS10)、この制御ルーチンを終了する。
これに対して、ステップS9で肯定的に判断された場合は、現在選択されている無段変速モードから、固定変速モードに変更しても、車両1の乗員が違和感を持つ可能性がないことになる。そこで、ステップS9で肯定的に判断された場合は、現在選択されている無段変速モードから、固定変速モードに変更する制御をおこなう(ロック実施)とともに、切替禁止カウンタ(計測された経過時間)をゼロに戻す処理をおこない(ステップS11)、この制御ルーチンを終了する。
ところで、ステップS2およびステップS7では、前回モードが変更された時点からの経過時間を計測し、ステップS4,S9では、その経過時間が所定時間を越えたか否かを判断している。これは、モードが頻繁に変更された場合に、車両1の乗員が違和感を持つか否かを「時間」により判断する例である。これに対して、モードが頻繁に変更された場合に、車両1の乗員が違和感を持つか否かを「車両の走行距離」により判断することも可能である。この場合は、ステップS2およびステップS7では、前回モードが変更された時点からの走行距離を計測し、ステップS4,S9では、その走行距離が所定距離を越えたか否かを判断するように制御ルーチンを構成する。そして、走行距離が所定距離を越えていない場合は、ステップS4,S9で否定的に判断され、走行距離が所定距離を越えている場合は、ステップS4,S9で肯定的に判断するルーチンとする。
以上のように、図1の制御例においては、車両1の走行状態、具体的には、車速およびアクセル開度が、図3に示されたしきい値を頻繁に横断する場合であっても、固定変速モードと無段変速モードとが、連続して頻繁に変更されることを抑制でき、車両1の乗員が違和感を持つことを回避できる。したがって、ドライバビリティが向上する。また、ステップS5に進むルーチンでは、第1モータ・ジェネレータMG1で力行制御も回生制御もおこなわれないため、第1モータ・ジェネレータMG1に接続された電気回路内における電力損失を低減できる。
ここで、この実施例で説明した構成と、この発明の構成との対応関係を説明すると、エンジン2が、この発明の駆動力源に相当し、動力分配装置4が、この発明の動力分配装置に相当し、インプットシャフト11およびキャリヤ10が、この発明の入力要素に相当し、サンギヤ7,16が、この発明の反力要素に相当し、キャリヤ20が、この発明の出力要素に相当し、アウトプットシャフト21が、この発明の駆動軸に相当し、車輪3が、この発明の車輪に相当し、第2モータ・ジェネレータMG2が、この発明における電動機に相当し、蓄電装置28および燃料電池が、この発明における電力供給装置に相当する。また、図1のフローチャートは、請求項1に対応する制御例を示しており、図1に示された機能的手段と、この発明の構成との対応関係を説明すると、ステップS1が、この発明のモード変更判断手段に相当し、ステップS3,S8が、この発明のモード変更要求判断手段に相当し、ステップS2,S4,S7,S9が、この発明の期間判断手段に相当し、ステップS5,S10が、この発明のモード選択手段に相当する。また、変速モードを再度変更する条件が成立したか否かは、車両の走行状態、例えば、車速、要求駆動力に基づいて判断される。さらに、経過時間および走行距離が、この発明の「所定期間」に相当する。また、上記の動力分配装置4においては、リングギヤ8とアウトプットシャフト21とが動力伝達可能に、具体的には一体回転するように連結されており、キャリヤ10とエンジン2とが動力伝達可能に連結されている。したがって、動力分配装置4の変速比が、この発明における「駆動力源と駆動軸との間の回転速度比」と等価の値となる。
(制御例2)
つぎに、制御例2を図6に基づいて説明する。この図6において、図1と同じ処理をおこなうステップでは、図1と同じステップ番号を付してある。また、図6の制御は、単独で実行されるのではなく、図1の制御と組み合わせて実行される。この図6では、ステップS1で肯定的に判断された場合は、ステップS3に進み、このステップS3で肯定的に判断された場合は、第2モータ・ジェネレータMG2に対する要求パワーを、その第2モータ・ジェネレータMG2で発生させるための電力が、蓄電装置28の出力電力の上限を越えているか否かが判断される(ステップS12)。蓄電装置28の出力電力の上限は、温度に依存しており、その温度に基づいて出力電力の上限を求めることができる。このステップS12の処理が、図6では「モータ駆動力要求がバッテリ出力上限を越える」と示されている。このステップS12で否定的に判断された場合は、第2モータ・ジェネレータMG2に対する要求パワーを、その第2モータ・ジェネレータMG2で発生させるための電力が、蓄電装置28に蓄電されている(バッテリ容量が十分)か否かが判断される(ステップS13)。このステップS13で肯定的に判断された場合は、第2モータ・ジェネレータMG2を電動機として駆動させて、要求パワーを満足できるため、ステップS5に進む。
これに対して、ステップS13で否定的に判断された場合は、第2モータ・ジェネレータMG2を電動機として駆動させても、要求パワーを満足できないため、ステップS6に進む。また、ステップS12で肯定的に判断された場合も、ステップS6に進む。なお、ステップS1で否定的に判断された場合は、図1と同様にして、ステップS7ないしステップS11の処理をおこなう。なお、図6の制御例では、蓄電装置28の他に燃料電池が設けられている場合は、燃料電池の出力電力を加味して、ステップS12、ステップS13の判断をおこなうことも可能である。
この図6の制御例において、図1の制御例と同じ処理をおこなう部分については、図1の制御例と同じ作用効果を得られる。また、ステップS12からステップS6に進む処理、またはステップS13からステップS6に進む処理により、蓄電装置28の残存容量が減少することを回避できる。このように、制御例2では、蓄電装置28の出力電力の上限値、燃料電池の出力電力の上限値に基づいて、第2モータ・ジェネレータMG2に供給される電力が判断することが可能であり、その判断結果に基づいて、変速モードを再度変更することを禁止するか否かが判断されている。この制御例2は、請求項2、請求項3、請求項4に相当するものであり、ステップS12,S13、ステップS5,S6が、モード選択手段に相当する。
(制御例3)
つぎに、制御例3を図7に基づいて説明する。この図7において、図1および図6と同じ処理をおこなうステップでは、図1および図6と同じステップ番号を付してある。また、図7の制御は、単独で実行されるのではなく、図1の制御と組み合わせて実行される。この図7では、まず、蓄電装置28の充電量(バッテリ容量)が一定値以上あるか否かが判断される(ステップS14)。このステップS14の判断に用いられる充電量は、蓄電装置28の耐久性を判断するために用いるものであり、実験的に求められて電子制御装置33に記憶されている。このステップS14で用いられる充電量の所定値は、ステップS14の判断に用いられる充電量よりも更に少ない。そして、ステップS14で肯定的に判断された場合は、蓄電装置28の耐久性が低下する可能性が低いため、ステップS1に進む。
これに対して、ステップS14で否定的に判断された場合は、蓄電装置28から電力を持ち出すと蓄電装置28の耐久性が低下すると考えられる。そこで、固定変速モードを選択することを禁止し、かつ、無段変速モードを維持(アンロック維持)し(ステップS15)、この制御ルーチンを終了する。このように、無段変速モードが用いられた場合、固定変速モードが選択された場合に比べて、第2モータ・ジェネレータMG2に供給する電力が少なくなるとともに、第1モータ・ジェネレータMG1でエンジントルクの反力を受け持つ場合に、発電をおこなえば、その電力を蓄電装置28に充電することができる。したがって、蓄電装置28の充電量を、ステップS14の判断に用いられる所定値以上に増加することができ、蓄電装置28を保護できる。なお、この図7の制御例において、図1および図6の制御例と同じ処理をおこなう部分については、図1および図6の制御例と同じ作用効果を得られる。この制御例3は請求項5に相当するものであり、ステップS14,S15が、モード選択手段に相当する。
この発明の動力分配装置として、1組の遊星機構を備えたものを用いることも可能である。例えば、サンギヤおよびリングギヤと、ピニオンギヤを保持するキャリヤとを有するシングルピニオン型の遊星歯車機構を用いることが可能である。そして、この構成では、キャリヤが入力部材となり、サンギヤが反力部材となり、リングギヤが出力部材となる。さらに、サンギヤに接続する反力発生装置として、モータ・ジェネレータおよびブレーキを用いることができる。このブレーキは、摩擦ブレーキまたは噛み合いブレーキのいずれでもよい。このように動力分配装置を構成した場合、固定変速モードでは、ブレーキによりサンギヤを停止させるか、またはモータ・ジェネレータによりサンギヤを停止させる制御がおこなわれる。すなわち、エンジン回転数を制御することにより、動力分配装置の変速比を「1」未満の範囲で無段階に制御可能である。これに対して、無段変速モードでは、ブレーキが解放され、かつ、モータ・ジェネレータの回転数を制御することにより、動力分配装置の変速比を「1」未満の範囲、または「1」以上の範囲で無段階に制御可能である。なお、動力分配装置として1組の遊星機構を用いる場合、遊星歯車機構に代えて遊星ローラ機構を用いることも可能である。なお、図2に示すパワートレーンは、エンジン2の動力が後輪に伝達される構成の後輪駆動車であるが、この発明を、エンジンの動力が前輪に伝達される構成の前輪駆動車に適用することも可能である。この場合、回転要素の回転軸線は車両の幅方向に配置される。
1…車両、 2…エンジン、 3…車輪、 4…動力分配装置、 7,16…サンギヤ、 8…リングギヤ、 10…キャリヤ、 11…インプットシャフト、 20…キャリヤ、 21…アウトプットシャフト、 28…蓄電装置、 BK…ブレーキ、 MG1…第1モータ・ジェネレータ、 MG2…第2モータ・ジェネレータ。