上記した従来の課題を解決するために、本願発明者らは、多層の情報記録層を備える光記録媒体の再生層からの反射光と他層からの反射光との干渉について鋭意検討を行い、干渉の課題が生じるのは、特許文献1で考慮されている裏焦点課題を引き起こすディスク構造の場合だけに限られず、記録層の層数が増加すると、他層に集光することなく他層から反射された光による干渉が大きな影響を与えるという干渉課題を見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下に説明する知見に基づくものである。
図1は、特許文献1で考慮している裏焦点課題が生じないように、ディスク構造を設定した4層ディスクの断面図を示している。この図において、111〜114は記録層、115〜117は中間層を示しており、図25と同じ構成要素には同じ符号を付して説明を省略する。ここで、中間層115と中間層117との厚みは等しく、中間層116の厚みは他の中間層より厚くなるように構成してあり、隣接する中間層の厚みが異なるので裏焦点課題は生じない。
このディスク構造において、記録層111から信号を再生する場合、光ディスクから照射された光108は記録層111に集光するが、中間層115の厚みが中間層117の厚みと等しいと、記録層113、記録層114、記録層112の順で反射した光(破線)、及び、図示していないが記録層112、記録層114、記録層113の順で反射した光は、記録層111で反射した光と同じ光路で光学ヘッドに戻ってしまう。この波線で示した光路の光は他層で集光しないが、再生光と同一光路で光学ヘッドに戻るため、干渉課題を引き起こす。
この干渉課題を引き起こすディスク構造について一般化して考える。例えば、図1の記録層111と記録層112との間、あるいは記録層113と記録層114との間に複数の記録層がある場合を考えると、この場合も記録層111と記録層112との間隔と記録層113と記録層114との間隔とが等しければ、同様に干渉課題が生じる事が分かる。
また、4層ディスクの場合、記録層だけでなく、カバー層107の光入射側の表面となる光入射面3aによる反射の影響も、上記と同程度になり、同様に干渉課題が生じる。例えば、記録層111から信号を再生する場合、光ディスクから照射された光108は記録層111に集光するが、カバー層107の厚みが中間層115の厚みと等しいと、記録層114、カバー層107の光入射面3a、記録層112の順で反射した光(一点鎖線)は、記録層111で反射した光と同じ光路で光学ヘッドに戻ってしまう。この一点鎖線で示した光路の光も、他層で集光しないが、再生光と同一光路で光学ヘッドに戻るため、上記と同様に、干渉課題を引き起こす。
上記の現象を一般化すると、2つの任意の記録層(一方がカバー層の光入射面である場合を含む)の間隔が、他の2つの任意の記録層(一方がカバー層の光入射面である場合を含む)の間隔と等しいことが、前述の干渉課題を引き起こす条件であると言える。以後、本明細書では、2つの記録層の間隔(一方がカバー層の光入射面である場合を含む)を層間隔、一の層間隔と他の層間隔との差を層間隔差と呼ぶことにする。
したがって、隣接する2つの記録層の層間隔は、この2つの記録層間に配置される中間層の厚みとなり、また、中間層の厚みに比べて記録層の厚みは非常に薄いため、1つ以上の記録層を挟む2つの記録層(一方がカバー層の光入射面である場合を含む)の層間隔は、この2つの記録層間に配置されるすべての中間層(カバー層を含む)の厚みの和に等しいものとして取り扱う。また、実際には、中間層及びカバー層の表面に細かな凹凸が存在するため、中間層及びカバー層の厚みは、面内平均厚みを意味するものとする。
前述の干渉課題について厳密に言えば、ある層間隔が別の層間隔とほぼ一致した場合に発生する。この層間隔差を大きくしていくと、受光素子上での再生層からの反射光と他層からの反射光の波面がずれていくので、次第に干渉縞が細かくなり、干渉縞が変動しても平均化されて信号への影響は小さくなる。
この層間隔差と干渉の影響とについて、光ディスクの屈折率1.6、光の波長405nmの条件でシミュレーションしたところ、図2に示すように層間隔差が1μm以下の時、光量変動が顕著に現れることが確認された。つまり、前記条件では、光ディスク内のすべての組合せの層間隔差が1μm以上であれば、干渉課題を回避できることになる。
ただし、実際の光ディスクにおいては、中間層の厚み誤差及びばらつきを考慮する必要があり、例えば、中間層の厚み誤差が±2μmの場合では、最悪でも層間隔差1μm以上を確保するため、各層間隔差の設計値が5μm以上となるようにディスク構造を決めればよい。
このようなディスク構造は各中間層の厚さを増大させることにより、容易に構成できるが、現在実用化されている光ディスクとの互換性を確保するためには、中間層を無制限に厚くすることは出来ない。中間層の厚みを抑えつつ、すべての層間隔の差が一定値以上となる様に構成するためには、ディスク構造に工夫が必要となる。
以下、一例を挙げると、4層ディスクにおいて、記録層を支持基板側から順にL0層、L1層、L2層、L3層、中間層の厚みを支持基板側から順にT1、T2、T3とし、特許文献1において提案されているようにT1<T2<T3であるとする。このディスクにおいて、すべての層間隔差が5μm以上となるディスク構造を考える。
ここで考慮している層間隔とは、L0層とL1層、L1層とL2層、L2層とL3層、L0層とL2層、L1層とL3層、L0層とL3層の6つの層間隔である。このとき、T1を5μm、T2を10μm、T3を15μmのように薄い順に構成すると、L0層とL2層との間隔がL2層とL3層との間隔とが等しくなり、これを回避するためには、例えば、T1を5μm、T2を10μm、T3を20μmとする等、中間層を厚くする必要がある。
一方、例えば、T1を5μm、T2を15μm、T3を10μmのように中間層厚みの順序を変えると、L0層とL3層との層間隔はそのままで、すべての層間隔差が5μm以上となるように構成できる。このように、最小層間隔差が一定値以上になるように構成する場合、中間層の厚みの順序を工夫しないと中間層の厚みは厚くなってしまう。
このように、本発明の他の目的は、上記目的に加えて、中間層の厚みが必要以上に厚くなることを防ぎ、現在実用化されている光ディスクとの互換性を確保し易い光記録媒体を提供することである。
以下、上記の知見に基づいて完成された本発明の各実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図3は、本発明の実施の形態1における光ディスクの部分断面図である。図3において、1は、複数の記録層を有する光ディスク、2は、光ディスク1に求められる厚み(約1.2mm)を確保するための支持基板、3は、高い光透過性を有するカバー層、3aは、カバー層3の光入射面を示している。
10〜14は、それぞれデータを保持するための情報記録層(以後、記録層という)であり、各記録層の一部又は全部がそれぞれ再生専用の記録層若しくは、ユーザーによる書き込みが可能な追記型又は書き換え型の記録層を構成しており、以後、記録層10をL0層、記録層11をL1層、記録層12をL2層、記録層13をL3層、記録層14をL4層と呼ぶことにする。15〜18は、高い光透過性を有し、各記録層を物理的及び光学的に離間させる役割を持つ中間層を示している。
ここで本実施の形態にかかる光ディスク1においては、中間層15の厚みをT1、中間層16の厚みをT2、中間層17の厚みをT3、中間層18の厚みをT4としたとき、各中間層15〜18の厚みは式(1)〜(4)を満たすように設定されている。
T1=a+2b・・・(1)
T2=a ・・・(2)
T3=a+3b・・・(3)
T4=a+b ・・・(4)
ここで、aは最小層間隔、bは最小層間隔差であり、a≧2bを満たすように設定されている。また、最小層間隔差bの値は、各中間層15〜18の厚み誤差よりも大きな値に設定されている。
図4は、図3に示す光ディスク1を記録あるいは再生する記録再生装置の構成図である。この図において、80は、光学ヘッド、81は、光源である半導体レーザ、82は、半導体レーザからの光を光ディスクの所望の記録層に集光する対物レンズ、83は、光ディスクの表面と各記録層までの厚みの違いにより発生する球面収差を補正する球面収差補正部材であるコリメートレンズ、84は、光ディスクからの反射光を受光し信号検出を行う受光素子、85は、受光素子で得られた信号をもとにトラッキングエラー信号及びフォーカスエラー信号を生成して帰還し、対物レンズ82の位置を制御するサーボ制御回路を示している。サーボ制御回路85は、コリメートレンズ83を矢印方向に移動させることにより、各層での球面収差を補正するとともに、対物レンズ82をフォーカス駆動、トラッキング駆動させて各層での記録再生を実現するように構成されている。
以上のような構造を有する記録再生装置を用いて光ディスク1からデータを再生する場合、光学ヘッド80から出射したレーザビームは、光ディスク1の光入射面3a側から入射し、その焦点がL0層〜L4層のうちの所望の記録層に合わせられる。この記録層で反射した光は再び光学ヘッド80に戻り、受光素子84で信号が検出される。このとき、再生している記録層以外の記録層で反射した光の一部も光学ヘッドに戻る。なお、上記の説明では、記録再生装置を例に説明したが、情報の再生のみを行う再生装置でも、上記と同様に動作し、本発明を同様に適用することができ、同様の効果を得ることができるので、再生装置は、再生専用の装置及び記録及び再生を行う装置のいずれであってもよい。
しかしながら、本実施の形態における光ディスク1では、L0層〜L4層の内のどの記録層にレーザビームを集光しても、他層で反射した光が再生層からの反射光と同一の光路で光学ヘッドに戻ることはない。以下、この理由を説明する。
光ディスク1において、再生層からの反射光と他層からの反射光とが同一の光路で光学ヘッドに戻らないための条件は、すべての層間隔が一致しないことである。
光ディスク1におけるすべての層間隔を中間層15〜18の厚みT1〜T4を用いて表すと、T1、T2、T3、T4、T1+T2、T2+T3、T3+T4、T1+T2+T3、T2+T3+T4、T1+T2+T3+T4の10通りとなる。このとき、各層間隔は図5に示すようになり、大小関係を考えると以下の不等式が成り立つ。なお、図5において、L0〜L1に対応付けられているa+2bは、L0層(記録層10)とL1層(記録層11)との間の層間隔、すなわち、中間層15の厚みT1を意味し、他の欄も同様である。
T2<T4<T1<T3・・・(5)
T1+T2<T2+T3<T3+T4・・・(6)
T2+T3+T4<T1+T2+T3<T1+T2+T3+T4・・・(7)
ここで、本実施の形態ではa≧2bとなるように構成されているため、最も厚い中間層17の厚みT3と、隣接する2つの中間層の厚みの和のうちの最小厚みT1+T2との間には、下式が成り立ち、T3とT1+T2との差は最小層間隔差bより大きい。
T3<T1+T2・・・(8)
したがって、式(5)〜(8)より、すべての層間隔の間に不等式が成り立つ。ここで、最小層間隔差bの値は中間層15〜18の厚み誤差よりも大きな値に設定しているため、これらの不等式は常に成り立つ。
このようにして、本実施の形態の光ディスク1では、すべての層間隔が一致しないため、再生時に他層で反射した光が、再生層からの反射光と同一の光路で光学ヘッドに戻ることを避けられる。
次に、比較例として、支持基板2側からカバー層3側に向かって順に中間層15〜18が厚くなるように設計した場合を考える。このとき、中間層の厚みを抑えるため、図5に示した構造の順序の入れ替えで構成すると、各層間隔は図6に示すようになる。
ここで、すべての層間隔差がb以上とすると、T1+T2の厚みはT4より厚くなる。なぜなら、T1+T2の厚みがT2とT3との間、あるいはT3とT4との間とすると、層間隔差がb以上にならないためである。このことから、この設計条件ではa≧3bでなければならない。
最小層間隔差bは、干渉課題を回避出来る条件(例えば、シミュレーションで求めた1μm)と、中間層15〜18の厚み誤差との和よりも大きくする必要があり、自由に設定できる値ではない。したがって、同じ条件で比べると、比較例の設計よりも本実施の形態の方が中間層15〜18全体の厚みを抑えることができる。
以上のように、本実施の形態によれば、他層からの反射光が再生層からの反射光とほぼ同一の光路で光学ヘッドに戻ることを防止した5層ディスク及びそれを用いた記録再生装置を提供できる。これにより、光学ヘッドの受光素子上で他層からの反射光と再生層からの反射光とが干渉することにより生じる光量変動を低減することができ、良好な再生信号が得られる。また、L0層〜L4層までの間隔を比較的短くできるので、既存のディスクに対する互換性の確保に対しても有利である。
なお、各中間層15〜18の厚みT1〜T4を式(9)とした場合にも、同様の効果が得られる。
T1<T3<T2<T4・・・(9)
また、各中間層15〜18の厚みT1〜T4を式(10)とした場合にも、同様の効果が得られる。
T3<T1<T4<T2・・・(10)
また、各中間層15〜18の厚みT1〜T4を式(11)とした場合にも、同様の効果が得られる。
T4<T2<T3<T1・・・(11)
次に、本実施の形態の他の設計例を図7に示す。図7に示す例では、光入射面3a側からみて最も手前の中間層18を除く中間層15〜17に対して、奇数層(中間層15、17)の厚みT1、T3より偶数層(中間層16)の厚みT2を大きく構成しており、中間層18の厚みを最小層間隔としている。この場合も、a≧2bを満たすように構成すれば、すべての層間隔は一致しないため、同様の効果が得られる。
(実施の形態2)
図8は、本発明の実施の形態2における光ディスクの部分断面図であり、図9は、図8に示す光ディスクの記録層の間隔を示している。本実施の形態において、実施の形態1と異なるのは、ディスク断面の構造のみであり、図3と同じ構成要素は同じ符号を付して説明を省略する。また、本実施の形態に用いられる記録再生装置の構成も図4に示した実施の形態1と同じであり、詳細な説明を省略する。
図8において、20〜25は、それぞれデータを保持するための情報記録層を示し、以後、記録層20をL0層、記録層21をL1層、記録層22をL2層、記録層23をL3層、記録層24をL4層、記録層25をL5層と呼ぶことにする。26〜30は、高い光透過性を有し、各記録層を物理的及び光学的に離間させる役割を持つ中間層を示している。
ここで本実施の形態にかかる光ディスク1aにおいては、中間層26の厚みをT1、中間層27の厚みをT2、中間層28の厚みをT3、中間層29の厚みをT4、中間層30の厚みをT5としたとき、各中間層の厚みは式(12)〜(16)を満たすように設定されている。
T1=a+2b・・・(12)
T2=a ・・・(13)
T3=a+3b・・・(14)
T4=a+b ・・・(15)
T5=a+4b・・・(16)
ここで、aは最小層間隔、bは最小層間隔差であり、a≧3bを満たすように設定されている。また、最小層間隔差bの値は、各中間層26〜30の厚み誤差よりも大きな値に設定されている。
以上のような構造を有する光ディスク1aからデータを再生する場合、光学ヘッドから出射したレーザビームは、光ディスク1aの光入射面3a側から入射し、その焦点がL0層〜L5層のうちの所望の記録層に合わせられる。この記録層で反射した光は再び光学ヘッドに戻り、受光素子で信号が検出される。このとき、再生している記録層以外の記録層で反射した光の一部も光学ヘッドに戻る。
しかしながら、本実施の形態における光ディスク1aでは、L0層〜L5層の内のどの記録層にレーザビームを集光しても、他層で反射した光が再生層からの反射光と同一の光路で光学ヘッドに戻ることはない。以下、この理由を説明する。
光ディスク1aにおいて、再生層からの反射光と他層からの反射光とが同一の光路で光学ヘッドに戻らないための条件は、すべての層間隔が一致しないことである。このとき、光ディスク1aにおけるすべての層間隔(15通り)は、図9に示すようになり、大小関係を考えると以下の不等式が成り立つ。
T2<T4<T1<T3<T5・・・(17)
T1+T2<T2+T3<T3+T4<T4+T5・・・(18)
T2+T3+T4<T1+T2+T3<T3+T4+T5・・・(19)
T1+T2+T3+T4<T2+T3+T4+T5<T1+T2+T3+T4+T5・・・(20)
ここで、本実施の形態ではa≧3bとなるように構成されているため、下式が成り立つ。
T5<T1+T2・・・(21)
T4+T5<T2+T3+T4・・・(22)
T3+T4+T5<T1+T2+T3+T4・・・(23)
したがって、式(17)〜(23)より、すべての層間隔の間に不等式が成り立つ。ここで、最小層間隔差bの値は中間層26〜30の厚み誤差よりも大きな値に設定しているため、これらの不等式は常に成り立つ。
このようにして、本実施の形態の光ディスクではすべての層間隔が一致しないため、再生時に他層で反射した光が、再生層からの反射光と同一の光路で光学ヘッドに戻ることを避けられる。
次に、比較例として、支持基板2側からカバー層3側に向かって順に中間層26〜30が厚くなるように設計した場合を考える。このとき、中間層の厚みを抑えるため、図9に示した構造の順序の入れ替えで構成すると、各層間隔は図10に示すようになる。
ここで、すべての層間隔差がb以上とすると、T1+T2の厚みはT5より厚くなる。なぜなら、T1+T2の厚みがT5以下であるとすると、T1+T2の厚みと、T2あるいは、T3あるいは、T4あるいはT5との層間隔差がb以上にならないためである。このことから、この設計条件ではa≧4bでなければならない。したがって、同じ条件で比べると、比較例の設計よりも本実施の形態の方が中間層26〜30全体の厚みを抑えることができる。
以上のように本発明の実施の形態によれば、他層からの反射光が再生層からの反射光とほぼ同一の光路で光学ヘッドに戻ることを防止した6層ディスク及びそれを用いた記録再生装置を提供できる。これにより、光学ヘッドの受光素子上で他層からの反射光と再生層からの反射光とが干渉することにより生じる光量変動を低減することができ、良好な再生信号が得られる。また、L0層〜L5層までの間隔を比較的短くできるので、既存のディスクに対する互換性の確保に対しても有利である。
なお、各中間層26〜30の厚みT1〜T5を式(24)とした場合にも、同様の効果が得られる。
T1<T3<T5<T2<T4・・・(24)
また、各中間層26〜30の厚みT1〜T5を式(25)とした場合にも、同様の効果が得られる。
T5<T3<T1<T4<T2・・・(25)
また、各中間層26〜30の厚みT1〜T5を式(26)とした場合にも、同様の効果が得られる。
T4<T2<T5<T3<T1・・・(26)
次に、本実施の形態の他の設計例を図11に示す。図11に示す例では、光入射面3a側からみて最も手前の中間層30を除く中間層26〜29に対して、奇数層(中間層26、28)の厚みT1、T3より偶数層(中間層27、29)の厚みT2、T4を小さく構成しており、中間層30の厚みを最小層間隔としている。この場合も、a≧3bを満たすように構成すれば、すべての層間隔は一致しないため、同様の効果が得られる。
(実施の形態3)
図12は、本発明の実施の形態3における光ディスクの部分断面図であり、図13は、図12に示す光ディスクの記録層の間隔を示している。本実施の形態において、実施の形態1と異なるのは、ディスク断面の構造のみであり、図3と同じ構成要素は同じ符号を付して説明を省略する。また、本実施の形態に用いられる記録再生装置の構成も図4に示した実施の形態1と同じであり、詳細な説明を省略する。
図12において、40〜46は、それぞれデータを保持するための情報記録層を示し、以後、記録層40をL0層、記録層41をL1層、記録層42をL2層、記録層43をL3層、記録層44をL4層、記録層45をL5層、記録層46をL6層と呼ぶことにする。47〜52は、高い光透過性を有し、各記録層を物理的及び光学的に離間させる役割を持つ中間層を示している。
ここで本実施の形態にかかる光ディスク1bにおいては、中間層47の厚みをT1、中間層48の厚みをT2、中間層49の厚みをT3、中間層50の厚みをT4、中間層51の厚みをT5、中間層52の厚みをT6としたとき、各中間層の厚みは式(27)〜式(32)を満たすように設定されている。
T1=a+3b・・・(27)
T2=a ・・・(28)
T3=a+4b・・・(29)
T4=a+b ・・・(30)
T5=a+5b・・・(31)
T6=a+2b・・・(32)
ここで、aは最小層間隔、bは最小層間隔差であり、a≧3bを満たすように設定されている。また、最小層間隔差bの値は各中間層47〜52の厚み誤差よりも大きな値に設定されている。
以上のような構造を有する光ディスク1bからデータを再生する場合、光学ヘッドから出射したレーザビームは、光ディスク1bの光入射面3a側から入射し、その焦点がL0層〜L6層のうちの所望の記録層に合わせられる。この記録層で反射した光は再び光学ヘッドに戻り、受光素子で信号が検出される。このとき、再生している記録層以外の記録層で反射した光の一部も光学ヘッドに戻る。
しかしながら、本実施の形態における光ディスク1bでは、L0層〜L6層の内のどの記録層にレーザビームを集光しても、他層で反射した光が再生層からの反射光と同一の光路で光学ヘッドに戻ることはない。以下、この理由を説明する。
光ディスク1bにおいて、再生層からの反射光と他層からの反射光とが同一の光路で光学ヘッドに戻らないための条件は、すべての層間隔が一致しないことである。このとき、光ディスク1bにおけるすべての層間隔(21通り)は、図13に示すようになり、大小関係を考えると以下の不等式が成り立つ。
T2<T4<T6<T1<T3<T5・・・(33)
T1+T2<T2+T3<T3+T4<T4+T5<T5+T6・・・(34)
T2+T3+T4<T1+T2+T3<T4+T5+T6<T3+T4+T5・・・(35)
T1+T2+T3+T4<T2+T3+T4+T5<T3+T4+T5+T6・・・(36)
T2+T3+T4+T5+T6<T1+T2+T3+T4+T5<T1+T2+T3+T4+T5+T6・・・(37)
ここで、本実施の形態ではa≧3bとなるように構成されているため、下式が成り立つ。
T5<T1+T2・・・(38)
T5+T6<T2+T3+T4・・・(39)
T3+T4+T5<T1+T2+T3+T4・・・(40)
T3+T4+T5+T6<T2+T3+T4+T5+T6・・・(41)
したがって、式(33)〜(41)より、すべての層間隔の間に不等式が成り立つ。ここで、最小層間隔差bの値は中間層47〜52の厚み誤差よりも大きな値に設定しているため、これらの不等式は常に成り立つ。
このようにして、本実施の形態の光ディスクではすべての層間隔が一致しないため、再生時に他層で反射した光が、再生層からの反射光と同一の光路で光学ヘッドに戻ることを避けられる。
次に、比較例として、支持基板2側からカバー層3側に向かって順に中間層47〜52が厚くなるように設計した場合を考える。このとき、中間層の厚みを抑えるため、図13に示した構造の順序の入れ替えで構成すると、各層間隔は図14に示すようになる。
ここで、すべての層間隔差がb以上とすると、T1+T2の厚みはT6より厚くなる。なぜなら、T1+T2の厚みがT6以下であるとすると、T1+T2の厚みと、T2あるいは、T3あるいは、T4あるいは、T5あるいは、T6との層間隔差がb以上にならないためである。このことから、この設計条件ではa≧5bでなければならない。したがって、同じ条件で比べると、比較例の設計よりも本実施の形態の方が中間層47〜52全体の厚みを抑えることができる。
以上のように本発明の実施の形態によれば、他層からの反射光が再生層からの反射光とほぼ同一の光路で光学ヘッドに戻ることを防止した7層ディスク及びそれを用いた記録再生装置を提供できる。これにより、光学ヘッドの受光素子上で他層からの反射光と再生層からの反射光とが干渉することにより生じる光量変動を低減することができ、良好な再生信号が得られる。また、L0層〜L6層までの間隔を比較的短くできるので、既存のディスクに対する互換性の確保に対しても有利である。
なお、各中間層47〜52の厚みT1〜T6を式(42)とした場合にも、同様の効果が得られる。
T1<T3<T5<T2<T4<T6・・・(42)
また、各中間層47〜52の厚みT1〜T6を式(43)とした場合にも、同様の効果が得られる。
T5<T3<T1<T6<T4<T2・・・(43)
また、各中間層47〜52の厚みT1〜T6を式(44)とした場合にも、同様の効果が得られる。
T6<T4<T2<T5<T3<T1・・・(44)
次に、本実施の形態の他の設計例を図15に示す。図15に示す例では、光入射面3a側からみて最も手前の中間層52を除く中間層47〜51に対して、奇数層(中間層47、48、51)の厚みT1、T3、T5より偶数層(中間層48、50)の厚みT2、T4を大きく構成しており、中間層52の厚みを最小層間隔としている。この場合も、a≧3bを満たすように構成すれば、すべての層間隔は一致しないため、同様の効果が得られる。
(実施の形態4)
図16は、本発明の実施の形態4における光ディスクの部分断面図であり、図17は、図16に示す光ディスクの記録層の間隔を示している。本実施の形態において、実施の形態1と異なるのは、ディスク断面の構造のみであり、図3と同じ構成要素は同じ符号を付して説明を省略する。また、本実施の形態に用いられる記録再生装置の構成も図4に示した実施の形態1と同じであり、詳細な説明を省略する。
図16において、60〜67は、それぞれデータを保持するための情報記録層を示し、以後、記録層60をL0層、記録層61をL1層、記録層62をL2層、記録層63をL3層、記録層64をL4層、記録層65をL5層、記録層66をL6層、記録層67をL7層と呼ぶことにする。68〜74は、高い光透過性を有し、各記録層を物理的及び光学的に離間させる役割を持つ中間層を示している。
ここで本実施の形態にかかる光ディスク1cにおいては、中間層68の厚みをT1、中間層69の厚みをT2、中間層70の厚みをT3、中間層71の厚みをT4、中間層72の厚みをT5、中間層73の厚みをT6、中間層74の厚みをT7としたとき、各中間層の厚みは式(45)〜(51)を満たすように設定されている。
T1=a+3b・・・(45)
T2=a ・・・(46)
T3=a+4b・・・(47)
T4=a+b ・・・(48)
T5=a+5b・・・(49)
T6=a+2b・・・(50)
T7=a+6b・・・(51)
ここで、aは最小層間隔、bは最小層間隔差であり、a≧4bを満たすように設定されている。また、最小層間隔差bの値は各中間層68〜74の厚み誤差よりも大きな値に設定されている。
以上のような構造を有する光ディスク1cからデータを再生する場合、光学ヘッドから出射したレーザビームは、光ディスク1cの光入射面3a側から入射し、その焦点がL0層〜L7層のうちの所望の記録層に合わせられる。この記録層で反射した光は再び光学ヘッドに戻り、受光素子で信号が検出される。このとき、再生している記録層以外の記録層で反射した光の一部も光学ヘッドに戻る。
しかしながら、本実施の形態における光ディスク1cでは、L0層〜L7層の内のどの記録層にレーザビームを集光しても、他層で反射した光が再生層からの反射光と同一の光路で光学ヘッドに戻ることはない。以下、この理由を説明する。
光ディスク1cにおいて、再生層からの反射光と他層からの反射光が同一の光路で光学ヘッドに戻らないための条件は、すべての層間隔が一致しないことである。このとき、光ディスク1cにおけるすべての層間隔(28通り)は、図17に示すようになり、大小関係を考えると以下の不等式が成り立つ。
T2<T4<T6<T1<T3<T5<T7・・・(52)
T1+T2<T2+T3<T3+T4<T4+T5<T5+T6<T6+T7・・・(53)
T2+T3+T4<T1+T2+T3<T4+T5+T6<T3+T4+T5<T5+T6+T7・・・(54)
T1+T2+T3+T4<T2+T3+T4+T5<T3+T4+T5+T6<T4+T5+T6+T7・・・(55)
T2+T3+T4+T5+T6<T1+T2+T3+T4+T5<T3+T4+T5+T6+T7・・・(56)
T1+T2+T3+T4+T5+T6<T2+T3+T4+T5+T6+T7<T1+T2+T3+T4+T5+T6+T7・・・(57)
ここで、本実施の形態ではa≧4bとなるように構成されているため、下式が成り立つ。
T7<T1+T2・・・(58)
T6+T7<T2+T3+T4・・・(59)
T4+T5+T6+T7<T2+T3+T4+T5+T6・・・(60)
T3+T4+T5+T6+T7<T1+T2+T3+T4+T5+T6・・・(61)
ここで、a=5bとすると、T1+T2+T3+T4=T5+T6+T7となってしまうので、本実施の形態では、a=4bとすると、下式が成り立つ。
T3+T4+T5<T1+T2+T3+T4<T5+T6+T7<T2+T3+T4+T5・・・(62)
したがって、式(52)〜(62)より、すべての層間隔の間に不等式が成り立つ。ここで、最小層間隔差bの値は中間層68〜74の厚み誤差よりも大きな値に設定しているため、これらの不等式は常に成り立つ。
このようにして、本実施の形態の光ディスクではすべての層間隔が一致しないため、再生時に他層で反射した光が、再生層反射光と同一の光路で光学ヘッドに戻ることを避けられる。
次に、比較例として、支持基板2側からカバー層3側に向かって順に中間層68〜74が厚くなるように設計した場合を考える。このとき、中間層の厚みを抑えるため、図17に示した構造の順序の入れ替えで構成すると、各層間隔は図18に示すようになる。
ここで、すべての層間隔差がb以上とすると、T1+T2の厚みはT7より厚くなる。なぜなら、T1+T2の厚みがT7以下であるとすると、T1+T2の厚みと、T2あるいは、T3あるいは、T4あるいは、T5あるいは、T6あるいは、T7との層間隔差がb以上にならないためである。このことから、この設計条件ではa≧6bでなければならない。したがって、同じ条件で比べると、比較例の設計よりも本実施の形態の方が中間層68〜74全体の厚みを抑えることができる。
以上のように本発明の実施の形態によれば、他層からの反射光が再生層からの反射光とほぼ同一の光路で光学ヘッドに戻ることを防止した8層ディスク及びそれを用いた記録再生装置を提供できる。これにより、光学ヘッドの受光素子上で他層からの反射光と再生層からの反射光とが干渉することにより生じる光量変動を低減することができ、良好な再生信号が得られる。また、L0層〜L7層までの間隔を比較的短くできるので、既存のディスクに対する互換性の確保に対しても有利である。
なお、各中間層68〜74の厚みT1〜T7を式(63)とした場合にも、同様の効果が得られる。
T1<T3<T5<T7<T2<T4<T6・・・(63)
また、各中間層68〜74の厚みT1〜T7を式(64)とした場合にも、同様の効果が得られる。
T7<T5<T3<T1<T6<T4<T2・・・(64)
また、各中間層68〜74の厚みT1〜T7を式(65)とした場合にも、同様の効果が得られる。
T6<T4<T2<T7<T5<T3<T1・・・(65)
次に、本実施の形態の他の設計例を図19に示す。図19に示す例では、光入射面3a側からみて最も手前の中間層74を除く中間層68〜73に対して、奇数層(中間層68、70、72)の厚みT1、T3、T5より偶数層(中間層69、71、73)の厚みT2、T4、T6を小さく構成しており、中間層74の厚みを最小層間隔としている。この場合も、a≧4bを満たすように構成すれば、すべての層間隔は一致しないため、同様の効果が得られる。
(実施の形態5)
図20は、本発明の実施の形態5における光ディスクの部分断面図であり、図21は、図20に示す光ディスクの記録層の間隔及び記録層とカバー層の光入射面との間隔を示している。本実施の形態において、実施の形態1と異なるのは、ディスク断面の構造のみであり、図3と同じ構成要素は同じ符号を付して説明を省略する。また、本実施の形態に用いられる記録再生装置の構成も図4に示した実施の形態1と同じであり、詳細な説明を省略する。
図20において、10〜13は、それぞれデータを保持するための情報記録層を示し、以後、記録層10をL0層、記録層11をL1層、記録層12をL2層、記録層13をL3層と呼ぶことにする。15〜17は、高い光透過性を有し、各記録層を物理的及び光学的に離間させる役割を持つ中間層を示している。3は、高い光透過性を有するカバー層、3aは、カバー層3の光入射面を示し、以後、光入射面3aをSf面と呼ぶことにする。
ここで本実施の形態にかかる光ディスク1dにおいては、中間層15の厚みをT1、中間層16の厚みをT2、中間層17の厚みをT3、カバー層3の厚みをT4としたとき、各中間層15〜17及びカバー層3の厚みは式(66)〜(69)を満たすように設定されている。
T1=a+2b・・・(66)
T2=a ・・・(67)
T3=a+3b・・・(68)
T4=a+b ・・・(69)
ここで、aは最小層間隔、bは最小層間隔差であり、a≧2bを満たすように設定されている。また、最小層間隔差bの値は、各中間層15〜17及びカバー層3の厚み誤差よりも大きな値に設定されている。
以上のような構造を有する光ディスク1dからデータを再生する場合、光学ヘッドから出射したレーザビームは、光ディスク1dの光入射面3a側から入射し、その焦点がL0層〜L3層のうちの所望の記録層に合わせられる。この記録層で反射した光は再び光学ヘッドに戻り、受光素子で信号が検出される。このとき、再生している記録層以外の記録層で反射した光及びSf面で反射した光の一部も光学ヘッドに戻る。
ここで、Sf面で反射した光の影響について詳細に説明する。通常、カバー層の厚みは、Sf面の傷やほこりの影響を低減するため、各記録層の再生時にSf面で反射された光が受光素子上で十分デフォーカスするように設定される。しかし、現在実用化されている光ディスクとの互換性を考慮すると、Sf面から最も奥の記録層までの厚みは大きく変えられないので、記録層の数が増えるほどカバー層の厚みを薄くせざるを得ない。
例えば、実施の形態1を例に考えると、最小層間隔aが10μm、最小層間隔差bが5μmの場合、中間層の厚みは、20μm、10μm、25μm、15μmとなり、既存の光ディスクとしてBD(Blu−ray Disc)を想定すると、Sf面から最も奥の記録層までの厚みは100μmであるので、このとき、カバー層の厚みは30μmとなる。このカバー層の厚みは中間層の厚みと大きな差はなく、反射光量次第では再生層以外の記録層での反射と同様に、光入射面での反射も考慮する必要がある。
次に、Sf面での反射光量と信号光の反射光量について説明する。各記録層及びカバー層の光入射面から帰ってくる信号光の反射率を積層反射率とすると、例えば、L0層の積層反射率LR0は、TSをカバー層の光入射面の単独膜透過率、TL3をL3層の単独膜透過率、TL2をL2層の単独膜透過率、TL1をL1層の単独膜透過率、RL0をL0層の単独膜反射率とすると、下式で表される。
LR0=(TS×TL3×TL2×TL1)2×RL0・・・(70)
したがって、図25に示すような3層ディスクにおいて、カバー層の光入射面の単独膜反射率が3.0%、単独膜透過率が97.0%、L2層の単独膜反射率が5.8%、単独膜透過率が78.3%、L1層の単独膜反射率が10.0%、単独膜透過率が71.7%、L0層の単独膜反射率が22.0%である場合、カバー層の光入射面、L2層、L1層及びL0層の積層反射率は、それぞれ、3.0%、5.5%、5.8%、6.5%となる。
また、本実施の形態のような4層ディスクにおいて、カバー層の光入射面の単独膜反射率が3.0%、単独膜透過率が97.0%、L3層の単独膜反射率が4.0%、単独膜透過率が80.8%、L2層の単独膜反射率が5.6%、単独膜透過率が78.5%、L1層の単独膜反射率が9.7%、単独膜透過率が72.0%、L0層の単独膜反射率が24.0%である場合、カバー層の光入射面、L3層、L2層、L1層及びL0層の積層反射率は、それぞれ、3.0%、3.8%、3.4%、3.7%、4.7%となる。
また、実施の形態1のような5層ディスクにおいて、カバー層の光入射面の単独膜反射率が3.0%、単独膜透過率が97.0%、L4層の単独膜反射率が3.0%、単独膜透過率が81.8%、L3層の単独膜反射率が4.0%、単独膜透過率が80.8%、L2層の単独膜反射率が5.6%、単独膜透過率が78.5%、L1層の単独膜反射率が9.7%、単独膜透過率が72.0%、L0層の単独膜反射率が24.0%である場合、カバー層の光入射面、L4層、L3層、L2層、L1層及びL0層の積層反射率は、それぞれ、3.0%、2.8%、2.5%、2.3%、2.5%、3.2%となる。
以上より、3層ディスクでは、各記録層からの信号光は5.5%以上となり、カバー層の光入射面からの反射光の2倍程度の信号光となるが、4層ディスクでは、各記録層からの信号光は3.4%程度のものもあり、カバー層の光入射面からの反射光と同程度となる。また、5層ディスクでは、各記録層からの信号光は2.5%程度となり、カバー層の光入射面からの反射光より小さくなる。
このように、記録層の数が増加するほど、各記録層の積層反射率も低下するので、カバー層が薄くなる影響も含め、Sf面で反射された光も信号光に大きな影響を与えることとなる。
なお、本発明が解決しようとする干渉課題は、上記のような1回の反射による光ではなく、各記録層及びカバー層の光入射面で反射される多数回の反射による光に起因するものであり、記録層の数が増えると、Sf面での反射にも注意が必要である。これは、前述のように記録層の数が増えると、カバー層の厚みと中間層の厚みとの差が小さくなり、カバー層の光入射面からの反射光が信号光との干渉条件を満たしやすくなるためである。この多数回反射光(迷光)は非常にわずかであっても、信号光と干渉すると、信号光の光量を大きく変動させる。
例えば、信号光の光量をP1、迷光の光量をP2とすると、干渉による信号光の変動量dは、下記式で表される。
d=±2√(P1×P2)・・・(71)
上記の3層、4層、5層の光ディスクの記録層の設計例では、信号光の光量に対する迷光の光量はせいぜい0.2%程度であるが、P2を0.002×P1として、式(71)にあてはめると、信号光の光量P1は、干渉により±9%も変動することとなる。
したがって、例えば、4層以上の記録層を有する光ディスクにおいては、カバー層の光入射面からの反射光も、再生層からの反射光と同一の光路で光学ヘッドに戻ることを防止する必要がある。
このため、本実施の形態における光ディスク1dでは、L0層〜L3層の内のどの記録層にレーザビームを集光しても、他層及びSf面で反射した光が再生層からの反射光と同一の光路で光学ヘッドに戻ることがないように、各中間層15〜17の厚みだけでなく、カバー層3の厚みをも設定している。以下、この理由を説明する。
光ディスク1dにおいて、再生層からの反射光と他層及びSf面からの反射光とが同一の光路で光学ヘッドに戻らないための条件は、すべての層間隔が一致しないことである。
光ディスク1dにおけるすべての層間隔を中間層15〜17及びカバー層3の厚みT1〜T4を用いて表すと、T1、T2、T3、T4、T1+T2、T2+T3、T3+T4、T1+T2+T3、T2+T3+T4、T1+T2+T3+T4の10通りとなる。このとき、各層間隔は図21に示すようになり、大小関係を考えると以下の不等式が成り立つ。なお、図21において、L3〜Sfに対応付けられているa+bは、L3層(記録層13)とSf面(カバー層3の光入射面3a)との間の層間隔、すなわち、カバー層3の厚みT4を意味し、他の欄も同様である。
T2<T4<T1<T3・・・(72)
T1+T2<T2+T3<T3+T4・・・(73)
T2+T3+T4<T1+T2+T3<T1+T2+T3+T4・・・(74)
ここで、本実施の形態ではa≧2bとなるように構成されているため、最も厚い中間層17の厚みT3と、隣接する2つの中間層の厚みの和のうちの最小厚みT1+T2との間には、下式が成り立ち、T3とT1+T2との差は最小層間隔差bより大きい。
T3<T1+T2・・・(75)
したがって、式(72)〜(75)より、すべての層間隔の間に不等式が成り立つ。ここで、最小層間隔差bの値は中間層15〜17及びカバー層3の厚み誤差よりも大きな値に設定しているため、これらの不等式は常に成り立つ。
このようにして、本実施の形態の光ディスクでは、すべての層間隔が一致しないため、再生時に他層及びSf面で反射した光が、再生層からの反射光と同一の光路で光学ヘッドに戻ることを避けられる。
次に、比較例として、支持基板2側からカバー層3側に向かって順に中間層15〜17及びカバー層3が厚くなるように設計した場合を考える。このとき、中間層及びカバー層の厚みを抑えるため、図21に示した構造の順序の入れ替えで構成すると、各層間隔は図22に示すようになる。
ここで、すべての層間隔差がb以上とすると、T1+T2の厚みはT4より厚くなる。なぜなら、T1+T2の厚みがT2とT3との間、あるいはT3とT4との間とすると、層間隔差がb以上にならないためである。このことから、この設計条件ではa≧3bでなければならない。
最小層間隔差bは、干渉課題を回避出来る条件(例えば、シミュレーションで求めた1μm)と、中間層15〜17及びカバー層3の厚み誤差との和よりも大きくする必要があり、自由に設定できる値ではない。したがって、同じ条件で比べると、比較例の設計よりも本実施の形態の方が中間層15〜17及びカバー層3全体の厚みを抑えることができる。
以上のように、本実施の形態によれば、他層及びSf面からの反射光が再生層からの反射光とほぼ同一の光路で光学ヘッドに戻ることを防止した4層ディスク及びそれを用いた記録再生装置を提供できる。これにより、光学ヘッドの受光素子上で他層及びSf面からの反射光と再生層からの反射光とが干渉することにより生じる光量変動を低減することができ、良好な再生信号が得られる。また、L0層〜Sf面までの間隔を比較的短くできるので、既存のディスクに対する互換性の確保に対しても有利である。
なお、各中間層15〜17及びカバー層3の厚みT1〜T4を式(76)とした場合にも、同様の効果が得られる。
T1<T3<T2<T4・・・(76)
また、各中間層15〜17及びカバー層3の厚みT1〜T4を式(77)とした場合にも、同様の効果が得られる。
T3<T1<T4<T2・・・(77)
また、各中間層15〜17及びカバー層3の厚みT1〜T4を式(78)とした場合にも、同様の効果が得られる。
T4<T2<T3<T1・・・(78)
次に、本実施の形態の他の設計例を図23に示す。図23に示す例では、光入射面3a側からみて最も手前のカバー層3を除く中間層15〜17に対して、奇数層(中間層15、17)の厚みT1、T3より偶数層(中間層16)の厚みT2を大きく構成しており、カバー層3の厚みを最小層間隔としている。この場合も、a≧2bを満たすように構成すれば、すべての層間隔は一致しないため、同様の効果が得られる。
なお、本実施の形態では、4層ディスクにおいて中間層及びカバー層の厚みを説明したが、5層ディスクでは、実施の形態2において、記録層25及び中間層30を省略して記録層24の上にカバー層3を形成し、中間層30の厚みをカバー層3の厚みとして、中間層及びカバー層3の厚みを同様に設定することにより、カバー層3の光入射面3aからの反射光を含む干渉課題を解決することができる。また、6層ディスクでは、実施の形態3において、記録層46及び中間層52を省略して記録層45の上にカバー層3を形成し、中間層52の厚みをカバー層3の厚みとして、中間層及びカバー層の厚みを同様に設定することにより、カバー層3の光入射面3aからの反射光を含む干渉課題を解決することができる。また、7層ディスクでは、実施の形態4において、記録層67及び中間層74を省略して記録層66の上にカバー層3を形成し、中間層74の厚みをカバー層3の厚みとして、中間層及びカバー層の厚みを同様に設定することにより、カバー層3の光入射面3aからの反射光を含む干渉課題を解決することができる。
また、上記の説明では、8層の記録層を有する光ディスク及びカバー層と7層の記録層とを有する光ディスクまでについて説明したが、9層以上の記録層を有する光ディスク及びカバー層と8層以上の記録層とを有する光ディスクについても、本発明を同様に適用することができ、同様の効果を得ることができる。
上記の実施の形態から本発明について要約すると、以下のようになる。すなわち、本発明に係る光記録媒体は、複数の記録層を備え、前記複数の記録層の中から選択された2つの記録層のすべての組合せにおいて、前記2つの記録層間のすべての間隔は、互いに一致しない。
この光記録媒体においては、再生時に他層で反射した光が、再生層からの反射光と同一の光路で光学ヘッドに戻ることを避けられるので、再生装置のサーボ信号及び再生信号が受光素子上の干渉縞の変動により悪化することを防止し、良好な再生信号を得ることができる。
複数の記録層は、5層以上の記録層を含み、前記光記録媒体は、前記記録層の間に配置された4層以上の中間層をさらに備え、前記4層以上の中間層のうち、光の入射側からみて偶数番目の中間層の最小厚みは、奇数番目の中間層の最大厚みより厚く、又は、前記奇数番目の中間層の最小厚みは、前記偶数番目の中間層の最大厚みより厚く、且つ、前記奇数番目の中間層及び前記偶数番目の中間層はそれぞれ、光の入射側から厚い順又は薄い順に配置されていることが好ましい。
また、複数の記録層は、5層以上の記録層を含み、前記光記録媒体は、前記記録層の間に配置された4層以上の中間層をさらに備え、前記4層以上の中間層のうち、光の入射側からみて最も手前又は最も奥側の中間層を除く3層以上の中間層のうち、光の入射側からみて偶数番目の中間層の最小厚みは、奇数番目の中間層の最大厚みより厚く、又は、前記奇数番目の中間層の最小厚みは、前記偶数番目の中間層の最大厚みより厚く、且つ、前記奇数番目の中間層及び前記偶数番目の中間層はそれぞれ、光の入射側から厚い順又は薄い順に配置されるようにしてもよい。
上記の場合、再生時に他層で反射した光が、再生層からの反射光と同一の光路で光学ヘッドに戻ることを避けられるので、再生装置のサーボ信号及び再生信号が受光素子上の干渉縞の変動により悪化することを防止し、良好な再生信号を得ることができるとともに、必要以上に中間層の厚みが厚くなることを防止し、層数が増えても既存の光ディスクとの互換性を確保できる。
1つの記録層がその間に配置された2つの記録層の間隔はすべて、前記中間層の最大厚みより大きくなることが好ましい。この場合、各中間層の厚みを必要最低限に設定することができるので、層数が増えても既存の光ディスクとの互換性をより確実に確保できる。
前記中間層の数をM(Mは4以上の整数)、前記中間層の最小厚みをa、前記中間層の厚み差のうち最小の厚み値をbとしたとき、a/b≧M/2を満たすことが好ましい。この場合、各中間層の厚みを必要最低限に設定することができるので、層数が増えても既存の光ディスクとの互換性をより確実に確保できる。
前記中間層は、厚みの薄い順に並べたとき、ほぼ一定の厚み差で順に並ぶことが好ましい。この場合、各中間層の厚みを必要最低限に設定することができるので、層数が増えても既存の光ディスクとの互換性をより確実に確保できる。
前記複数の記録層の中から選択された2つの記録層のすべての組合せにおいて、一の記録層間の間隔と他の記録層間の間隔との差を表す層間隔差の最小値は、1μm以上であることが好ましく、中間層の厚み誤差及びばらつきを考慮した場合、設定値として5μm以上であることが好ましい。
この場合、再生装置のサーボ信号及び再生信号が受光素子上の干渉縞の変動により悪化することを確実に防止し、良好な再生信号を得ることができるとともに、各中間層の厚みを必要最低限に設定することができるので、層数が増えても既存の光ディスクとの互換性をより確実に確保できる。
前記光記録媒体は、光の入射側に配置されたカバー層をさらに備え、前記カバー層の光の入射側の表面と前記複数の記録層の各々との間隔は、前記2つの記録層の間隔と一致しないことが好ましい。
この場合、再生時に他の記録層及びカバー層で反射した光が、再生層からの反射光と同一の光路で光学ヘッドに戻ることを避けられるので、記録層の層数が増加してカバー層からの反射光の影響が大きくなる場合でも、再生装置のサーボ信号及び再生信号が受光素子上の干渉縞の変動により悪化することを防止し、良好な再生信号を得ることができる。
前記複数の記録層は、4層以上の記録層を含み、前記光記録媒体は、前記記録層間に配置された3層以上の中間層と、光の入射側に配置されたカバー層とをさらに備え、前記カバー層及び前記3層以上の中間層のうち、光の入射側からみて偶数番目の層の最小厚みは、奇数番目の中間層の最大厚みより厚く、又は、前記奇数番目の層の最小厚みは、前記偶数番目の層の最大厚みより厚く、且つ、前記奇数番目の層及び前記偶数番目の層はそれぞれ、光の入射側から厚い順又は薄い順に配置されていることが好ましい。
また、前記複数の記録層は、4層以上の記録層を含み、前記光記録媒体は、前記記録層間に配置された3層以上の中間層をさらに備え、前記カバー層及び前記3層以上の中間層のうち、前記カバー層又は光の入射側からみて最も奥側の中間層を除く3層以上の層のうち、光の入射側からみて偶数番目の層の最小厚みは、奇数番目の層の最大厚みより厚く、又は、前記奇数番目の層の最小厚みは、前記偶数番目の層の最大厚みより厚く、且つ、前記奇数番目の層及び前記偶数番目の層はそれぞれ、光の入射側から厚い順又は薄い順に配置されるようにしてもよい。
上記の場合、再生時に他の記録層及びカバー層で反射した光が、再生層からの反射光と同一の光路で光学ヘッドに戻ることを避けられるので、記録層の層数が増加してカバー層からの反射光の影響が大きくなる場合でも、再生装置のサーボ信号及び再生信号が受光素子上の干渉縞の変動により悪化することを防止し、良好な再生信号を得ることができるとともに、必要以上に中間層及びカバー層の厚みが厚くなることを防止し、層数が増えても既存の光ディスクとの互換性を確保できる。
1つの記録層がその間に配置された2つの記録層の間隔はすべて、前記カバー層及び中間層の最大厚みより大きいことが好ましい。この場合、各中間層及びカバー層の厚みを必要最低限に設定することができるので、層数が増えても既存の光ディスクとの互換性をより確実に確保できる。
前記中間層の数をM(Mは4以上の整数)、前記カバー層及び中間層の最小厚みをa、前記カバー層及び中間層間の厚み差のうち最小値をbとしたとき、a/b≧M/2を満たすことが好ましい。この場合、各中間層及びカバー層の厚みを必要最低限に設定することができるので、層数が増えても既存の光ディスクとの互換性をより確実に確保できる。
前記カバー層及び中間層は、厚みの薄い順に並べたとき、ほぼ一定の厚み差で順に並ぶことが好ましい。この場合、各中間層及びカバー層の厚みを必要最低限に設定することができるので、層数が増えても既存の光ディスクとの互換性をより確実に確保できる。
前記カバー層及び中間層の厚み差の最小値は、1μm以上であることが好ましく、カバー層及び中間層の厚み誤差及びばらつきを考慮した場合、設定値として5μm以上であることが好ましい。
この場合、再生装置のサーボ信号及び再生信号が受光素子上の干渉縞の変動により悪化することを確実に防止し、良好な再生信号を得ることができるとともに、各中間層及びカバー層の厚みを必要最低限に設定することができるので、層数が増えても既存の光ディスクとの互換性をより確実に確保できる。
本発明に係る再生装置は、複数の記録層を有する光記録媒体から情報を再生する再生装置であって、光源と、前記光源からの光を前記光記録媒体の所望の記録層に集光する対物レンズと、前記光記録媒体からの光を受光して信号を検出する受光素子と、前記受光素子により検出された信号を基にトラッキングエラー信号及びフォーカスエラー信号を生成し、前記対物レンズの位置を制御する制御部とを備え、前記光記録媒体は、上記いずれかの光記録媒体から構成され、前記光記録媒体の少なくとも1つの記録層を再生する。
この再生装置においては、再生時に他層で反射した光が、再生層からの反射光と同一の光路で光学ヘッドに戻ることを避けられるので、サーボ信号及び再生信号が受光素子上の干渉縞の変動により悪化することを防止し、良好な再生信号を得ることができる。
前記光記録媒体の各記録層における球面収差を補正する球面収差補正部をさらに備えることが好ましい。この場合、各記録層の厚みの違いにより発生する球面収差を補正することができるので、良好なサーボ信号及び再生信号を得ることができる。