≪第1の実施形態≫
本発明の第1の実施形態について、図1〜図14に基づいて説明する。図1には、本発明の第1の実施形態に係る評価方法を好適に実施可能な露光装置100の概略構成が示されている。露光装置100は、照明系10、レチクルRを保持するレチクルステージRST、投影光学系PL、ウエハWが搭載されるウエハステージWST及び装置全体を統括制御する主制御装置20等を備えている。露光装置100は、走査型露光装置である。
前記照明系10は、例えば特開2001−313250号公報(対応する米国特許出願公開第2003/0025890号明細書)などに開示されるように、光源、オプティカルインテグレータを含む照度均一化光学系、リレーレンズ、可変NDフィルタ、レチクルブラインド(マスキングブレードとも呼ばれる)及びダイクロイックミラー等(いずれも不図示)を含んで構成されている。本国際出願で指定した指定国又は選択した選択国の国内法令が許す限りにおいて、上記公報及びこれに対応する米国特許出願公開における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。この照明系10は、回路パターン等が描かれたレチクルR上のレチクルブラインドで規定されたスリット状の照明領域を照明光ILによりほぼ均一な照度で照明する。
ここで、照明光ILとしては、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)などの遠紫外光、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)、あるいはF2レーザ光(波長157nm)などの真空紫外光などが用いられる。照明光ILとして、超高圧水銀ランプからの紫外域の輝線(g線、i線等)を用いることも可能である。また、オプティカルインテグレータとしては、フライアイレンズ、ロッドインテグレータ(内面反射型インテグレータ)、あるいは回折光学素子等が用いられる。
前記レチクルステージRST上には、レチクルRが、例えば真空吸着により固定されている。レチクルステージRSTは、例えばリニアモータ等を含むレチクルステージ駆動部(不図示)によって照明系10の光軸(後述する投影光学系PLの光軸AXに一致)に垂直なXY平面内で微少駆動可能であるとともに、所定の走査方向(ここでは図1における紙面内左右方向であるY軸方向とする)に指定された走査速度で駆動可能となっている。
レチクルステージRSTのステージ移動面内の位置は、レチクルレーザ干渉計(以下、「レチクル干渉計」という)16によって、移動鏡15を介して、例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時検出されている。レチクル干渉計16からのレチクルステージRSTの位置情報はステージ制御装置19及びこれを介して主制御装置20に供給される。ステージ制御装置19では、主制御装置20からの指示に応じ、レチクルステージRSTの位置情報に基づいてレチクルステージ駆動部(図示省略)を介してレチクルステージRSTを駆動制御する。なお、レチクルRの上方には、不図示の一対のレチクルアライメント系が配置されている。この一対のレチクルアライメント系の構成については、例えば特開平7−176468号公報及び対応する米国特許第5,646,413号明細書等に開示されているのでここでは詳細な説明については省略する。本国際出願で指定した指定国又は選択した選択国の国内法令が許す限りにおいて、上記公報及びこれに対応する米国特許における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
前記投影光学系PLは、レチクルステージRSTの図1における下方に配置され、その光軸AXの方向がZ軸方向とされている。投影光学系PLとしては、例えば両側テレセントリックな縮小系が用いられている。この投影光学系PLの投影倍率は例えば1/4、1/5あるいは1/6等である。このため、照明系10からの照明光ILによってレチクルRが照明されると、このレチクルRを通過した照明光ILにより、投影光学系PLを介してその照明光の照射領域(前述の照明領域)内のレチクルRの回路パターンの縮小像(部分像)が表面にレジスト(感光剤)が塗布されたウエハW上に形成される。
前記ウエハステージWSTは、投影光学系PLの図1における下方で、不図示のベース上に配置され、例えばリニアモータ等を含むウエハステージ駆動部24によってY軸方向及びこれに直交するX軸方向(図1における紙面直交方向)に所定ストロークで駆動されるとともに、Z軸方向、θx方向(X軸回りの回転方向)、θy方向(Y軸回りの回転方向)及びθz方向(Z軸回りの回転方向)に微小駆動可能な構成となっている。このウエハステージWST上には、ウエハホルダ25が載置され、このウエハホルダ25上にウエハWが例えば真空吸着等によって固定されている。
ウエハステージWSTのXY平面内での位置は、その上面に設けられた移動鏡17を介して、ウエハ干渉計18によって、例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時検出されている。すなわち、本第1の実施形態では、ウエハステージWSTの移動位置を規定する静止座標系(直交座標系)が、ウエハ干渉計18のY干渉計及びX干渉計の測長軸によって規定されている。以下においては、この静止座標系をステージ座標系とも呼ぶ。ウエハステージWSTのステージ座標系上における位置情報(又は速度情報)はステージ制御装置19及びこれを介して主制御装置20に供給される。ステージ制御装置19では、主制御装置20の指示に応じ、ウエハステージWSTの上記位置情報(又は速度情報)に基づき、ウエハステージ駆動部24を介してウエハステージWSTを制御する。
また、ウエハステージWST上のウエハWの近傍には、基準マーク板FMが固定されている。この基準マーク板FMの表面は、ウエハWの表面と同じ高さに設定され、この表面には後述するアライメント系のベースライン計測用の基準マーク及びレチクルアライメント用の基準マークその他の基準マークが形成されている。
また、投影光学系PLの側面には、オフアクシス方式のアライメント系ASが固定されている。アライメント系ASは、LSA(Laser Step Alignment)系、FIA(Field Image Alignment)系の2種類のアライメントセンサを有しており、基準マーク板FM上の基準マーク及びウエハ上のアライメントマークのX、Y2次元方向の位置計測を行うことが可能である。ここで、LSA系は、レーザ光をマークに照射して、回折・散乱された光を利用してマーク位置を計測する最も汎用性のあるセンサである。また、FIA系は、ハロゲンランプ等のブロードバンド(広帯域)光でマークを照明し、このマーク画像を画像処理することによってマーク位置を計測するセンサである。なお、このようなアライメント系ASに関しては、例えば特開平7−321028号公報に開示されているので、詳細な説明を省略する。本国際出願で指定した指定国又は選択した選択国の国内法令が許す限りにおいて、上記公報における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
露光装置100には、さらに、投影光学系PLの最良結像面に向けて複数のスリット像を形成するための結像光束を光軸AX方向に対して斜め方向より供給する不図示の照射光学系と、その結像光束のウエハWの表面での各反射光束をそれぞれスリットを介して受光する不図示の受光光学系とから成る斜入射方式の多点フォーカス検出系が、投影光学系PLを支える支持部(図示省略)に固定されている。この多点フォーカス検出系としては、例えば特開平6−283403号公報(対応する米国特許第5,448,332号明細書)などに開示されるものと同様の構成のものが用いられ、ステージ制御装置19はこの多点フォーカス検出系からのウエハ位置情報に基づいてウエハステージWSTをウエハステージ駆動部24を介してZ軸方向及び傾斜方向(θx方向及びθy方向)に微小駆動して、ウエハWのフォーカス・レベリング制御を行う。本国際出願で指定した指定国又は選択した選択国の国内法令が許す限りにおいて、上記公報及びこれに対応する米国特許における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
ステージ制御装置19は、主制御装置20の指示の下、ウエハステージWST、レチクルステージRSTの位置制御動作などを行う。
主制御装置20は、マイクロコンピュータ又はワークステーションを含んで構成され、装置の構成各部を統括して制御する。この主制御装置20は、露光装置の動作を制御する各種プログラムを実行するCPUの他、そのプログラムや各種データを記憶する内部メモリなど(いずれも不図示)を備えている。また、主制御装置20は、記憶装置21に接続されており、記憶装置21に対するデータの読み出し、書き込みを行うことができるようになっている。さらに、主制御装置20は、LAN(Local Area Network)などの通信ネットワークを介して、パーソナルコンピュータ(PC)130とのデータの送受信が可能となっている。
PC130は、コンピュータ本体(以下、「PC本体」と略述する)130Pと、ディスプレイ130Dとを含んで構成されている。PC130は、オペレータに対し、マウスなどのポインティングデバイスによる操作が可能なグラフィック・ユーザ・インターフェイス(以下、「GUI」と略述する)の環境を提供する所定のオペレーティングシステム(以下、「OS」と略述する)で動作するパーソナルコンピュータを用いて構成されている。
PC本体130Pは、マイクロプロセッサ及びメモリ(いずれも不図示)、キーボード130K,マウス130Mを接続するためのキーボードインターフェイス(キーボードコントローラ)、ディスプレイ130Dを接続するためのビデオインターフェイス、シリアルインターフェイス、ハードディスク、露光装置100の主制御装置20と通信可能な通信ネットワークを行うための通信インターフェイス等を有しており、PC本体130には、その入力デバイスであるキーボード130K,マウス130Mと、ディスプレイ130Dとが接続されている。また、PC本体130Pには、露光装置100で行われる、後述するマーク認識処理に対する解析・評価を行うためのアプリケーションソフトウエア(以下、「アプリケーション」と略述する)がインストールされている。このアプリケーションは、通信ネットワークを介して、例えば、FTP(ファイル転送プロトコル)の下で、露光装置100の少なくとも一部を構成する主制御装置20との間でデータファイルの送受信を行う。
なお、PC130は、パーソナルコンピュータである必要はなく、露光装置100のマンマシンインターフェイスを実現する専用ボードであってもよい。
<露光動作>
次に、露光装置100における一連の露光動作について説明する。この露光動作は、主制御装置20の制御の下に行われる。前提として、露光対象となるウエハWは、既に一層以上の露光が終了し、図2(A)に示されるような複数のショット領域SApが形成されたウエハWであるものとする。
まず、不図示のレチクルローダにより、転写対象である回路パターンが形成されたレチクルRをレチクルステージRSTにロードする。そして、主制御装置20は、ステージ制御装置19及びウエハステージ駆動部24を介してウエハステージWSTを駆動制御し、不図示のレチクルアライメント検出系、アライメント系ASなどの検出系を用いて、レチクルアライメント、ベースライン計測等の準備作業を行なった後、不図示のウエハローダを用いて、露光対象となるウエハWをウエハステージWSTにロードする。
(サーチアライメント)
次に、主制御装置20は、アライメント系ASを用いてサーチアライメントを行う。図2(A)で示されるように、ウエハW上の少なくとも2箇所には、低倍率で観察可能なマーク、いわゆるサーチアライメントマーク(以下、「サーチマーク」と略述する)SYM、SθMが設けられている。主制御装置20は、各サーチマークをアライメント系ASの検出視野内に順次位置させるため、ウエハステージWSTの目標位置(サーチマークSYM、SθMの設計位置座標などに基づく目標位置)をステージ制御装置19に与える。ステージ制御装置19は、この目標位置に応じて、ウエハステージ駆動部24を介してウエハステージWSTを順次位置決めする。この位置決めの都度、主制御装置20は、アライメント系ASに対し、サーチマークSYM、SθMの一方を含む領域に対応する光電変換信号を検出させ、その光電変換信号を取得する。主制御装置20は、光電変換信号を用いた波形データ内でマークを探索し、その探索結果に基づいてサーチマークSYM、SθMの位置情報を算出する。サーチマークSYM、SθMは、ショット領域SApが転写形成される際に、そのショット領域SApとの位置関係が固定となった状態で転写形成されたマークであるため、ショット領域SApの配列を規定する配列座標系(図2(A)のαβ座標系)に従って形成されている。主制御装置20は、サーチマークSYM、SθMの検出位置から、ステージ座標系に対するウエハのショット領域SApの配列座標系の回転成分、オフセット成分を算出する。
次に、主制御装置20は、ウエハアライメントを行う。図2(A)に示されるように、ウエハW上にすでに形成されている複数のショット領域SApのうち、8つのショット領域SApには、中央に丸形のマークが表示されているが、このマークは、そのショット領域SApが、このウエハアライメントで位置座標が計測されるサンプルショット領域であることを示している。主制御装置20は、サーチアライメントでその成分が求められた配列座標系に従って、サンプルショットSApに付設され、その中心Cpに対応して設けられたファインアライメントマーク(以下、ウエハマークと略述する)MXp,MYpをアライメント系ASの検出視野内に順次位置させるようなウエハステージWSTの目標位置をステージ制御装置19に与える。ステージ制御装置19は、この目標位置に応じて、ウエハステージ駆動装置24を介してウエハステージWSTを順次位置決めする。この位置決めの都度、主制御装置20は、アライメント系ASに、ウエハマークMXp,MYpを含むウエハ上の領域に対応するように検出された光電変換信号を取得し、その光電変換信号に基づく波形データを用いて、ウエハマークMXp,MYpを探索するマーク探索処理を行い、その探索結果に基づいて、ウエハマークMXp,MYpの位置情報を検出する。
ウエハマークMXp,MYpの位置は、そのウエハマークMXp,MYpに対応するサンプルショット領域SApの中心CpのXY位置と同じである。すなわち、ウエハマークMXp,MYpの位置情報を検出すれば、このウエハアライメントでは、サンプルショット領域SApの位置情報を計測したことになる。図3では、このように計測されたウエハマークの実測位置、すなわちサンプルショット領域SApのXY位置が、ウエハWのショット領域のイメージマップ上に×で示されている。
次に、主制御装置20は、算出されたサンプルショット領域SApの位置情報を用いて、例えば特開昭61−44429号公報及びこれに対応する米国特許第4,780,617号明細書などに開示される最小自乗法を用いた統計演算を実行し、ステージ座標系におけるショット領域の配列のスケーリング成分、オフセット成分、直交度成分等のパラメータを算出する。本国際出願で指定した指定国又は選択した選択国の国内法令が許す限りにおいて、上記公報及びこれに対応する米国特許における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。そのパラメータによって規定される演算式が、いわゆるEGAモデル式である。このEGAモデル式は、ショット領域SApの中心Cpの設計上の位置座標を代入したときに、その中心の位置座標のX軸及びY軸方向に関する補正量(アライメント補正量)が出力として得られるモデル式となっている。主制御装置20は、重ね合わせ露光を行う際には、ウエハW上に各ショット領域の設計上の位置座標をこのEGAモデル式に代入して、そのショット領域でのアライメント補正量を算出し、アライメント補正量で補正された位置座標をショット領域SApに対する重ね合わせ露光の基準位置として算出する。
図3には、ウエハWのショット領域SApのイメージマップ上のサンプルショット領域SApでのアライメント補正量がベクトル表示されている。このベクトルの基点が、ショット領域SApの設計上の位置を示し、終点が補正後の基準位置を示している。図3に示されるように、アライメント補正量のベクトルの先端と、サンプルショット領域SApの実測位置とはほぼ一致しているが、実際には若干のずれが生じている。これは、アライメント補正量を求めるためのEGAモデル式が、スケーリングや回転成分などの線形成分のみに基づくモデル式であって、サンプルショット領域SApの実測位置座標を用いて統計的手法を用いて規定されたものであるためである。アライメント補正量により補正された重ね合わせの基準位置と、サンプルショット領域SApの実測位置座標との差を、以下では残差という。
ウエハアライメントを終了する際には、各サンプルショット領域のアライメント補正量と、アライメント補正量に基づいて算出された補正後のサンプルショット領域の位置座標のデータと、それらの残差のデータとは、それぞれ記憶装置21に格納される。
こうしたウエハアライメントの終了後、以下のようにしてステップ・アンド・スキャン方式の露光動作が行われる。
この露光動作にあたって、まず、主制御装置20は、ステージ制御装置19及びウエハステージ駆動部24を介して、ウエハアライメントの結果及びベースラインの計測結果に基づいて、ウエハWのXY位置が最初のショット領域(ファースト・ショット)の露光のための走査開始位置となるように、ウエハステージWSTを移動させると同時に、ステージ制御装置19及び不図示のレチクルステージ駆動部を介してレチクルRの位置が走査開始位置となるようにレチクルステージRSTを移動させる。そして、ステージ制御装置19の位置制御によりレチクルステージRSTとウエハステージWSTとを同期移動させた状態で、照明系10により照明光ILを照射することにより、1番目のショット領域SApに対する走査露光が行われる。
1番目のショット領域SApに対するレチクルパターンの転写が終了すると、ウエハステージWSTが、2番目のショット領域の走査開始位置まで移動すると同時に、レチクルステージRSTが、2番目のショット領域用の走査開始位置まで移動し、その後、上記の最初のショット領域の場合と同様にして走査露光が行われる。このようにして、ウエハステージWSTの次のショット領域の走査開始位置への移動及びレチクルステージRSTの次のショット領域用の走査開始位置への移動と、走査露光とが順次繰り返され、ウエハW上に必要なショット数のパターンが転写される。
上述したように、ウエハWに対する一連の露光動作では、サーチアライメント及びウエハアライメントを行っている。各アライメントでは、サーチマークSYM、SθMと、サンプルショット領域SApのファインアライメントマークMXp、MYpとを含むウエハW上の領域に対応する光電変換信号をアライメント系ASに検出させ、その光電変換信号に対応する波形データ内においてマークを探索し(マーク探索処理)、その探索結果に基づいてそのマークの位置情報を算出している。以下では、このマーク探索処理について具体的に説明する。
前述のように、アライメント系ASでは、FIA方式とLSA方式との2つのセンサが用意されている。いずれのセンサを選択しても、そのセンサにより検出されたマークを含む領域に対応する光電変換信号を取得することができるが、ここではFIAセンサが選択されているものとする。この光電変換信号は、後述するように、X軸方向又はY軸方向の1次元の信号波形データとなる。主制御装置20は、この波形データに対し所定の探索アルゴリズムを用いてマークの探索を行い、その探索結果に基づいて、各マークの位置情報を検出する。
ここで、探索アルゴリズムの一例について説明する。ここでは、1次元の波形データに基づいて、Y軸方向に沿って並べられたライン・アンド・スペース(L/S)マークを探索し、その探索結果に基づいてそのマークのY位置を算出する場合について説明する。
FIA方式のセンサによって検出される光電変換信号は、ウエハW上の各L/Sマークを含む領域の撮像結果(撮像データ)である。この探索アルゴリズムでは、まず、アライメント系ASから送られた撮像データについて、Y軸方向の複数本の走査線上の強度分布の平均を求めることによりホワイトノイズを相殺した後、波形の平滑化(スムージング処理)を行って、Y軸方向に関する1次元の平均的な信号強度分布を求める。この信号強度分布が、マークを探索するための信号波形データとなる。図4(A)には、その波形データの一例としての波形データ関数p(Y)が示されている。
(波形データの微分)
主制御装置20は、上記信号強度分布の微分波形を算出する。図4(B)には、図4(A)の波形データ関数p(Y)の微分波形p’(Y)が示されている。
(エッジ候補位置の抽出)
図4(B)に示されるように、この微分波形p’(Y)には、L/Sマークのラインパターンとスペース部との境界であるエッジに対応すると思われるピークが幾つか現れるようになる。主制御装置20は、この微分波形内において、コントラストリミット値以上となるピークを有する位置を、L/Sマーク内のパターン端部(すなわちエッジ)が存在する位置の候補となる候補位置として抽出する。図4(B)では、複数の候補位置が、縦の破線で示されている。
(マーク認識処理)
次に、上述のようにして抽出された複数のエッジ候補位置それぞれについて、L/Sマークを認識することができるか否かを判断する処理、いわゆるマーク認識処理を行う。以下では、このマーク認識処理について説明する。
このマーク認識処理では、L/Sマークの設計情報に基づくマークテンプレート波形を用いてマークの認識を行う。具体的には、図4(B)で太い矢印で示されるように、マークテンプレート波形の−Y端のエッジを起点とし、その起点を、特定のエッジ候補に一致させた状態で、マークテンプレート波形と、その波形に対応する波形データの部分(すなわち、マークテンプレート波形の枠内の部分)との間にどれだけの相関性があるかを調べることにより、その位置でマークが認識できるか否かを判断する。
まず、マークテンプレート波形枠内の部分での合計のエッジ数を求め、そのエッジ数が、設定エッジ数より少ないか否かを判断する。この判断が肯定されると、マークを認識することができなかったものとみなし、エラー要因を示すエラーコードとしてerrorcode01を設定する。このエラーコードについては後述する。
なお、マークは波形データの中央付近に存在すると考えられるため、計測範囲(処理範囲)を定め、マーク認識処理を行う範囲をある程度制限している。図4(B)では、計測範囲の境界が縦の二重線で示されている。そこで、本第1の実施形態では、次に、マークテンプレート枠内のエッジが処理範囲からはみ出しているか否かを判断する。この判断が肯定されると、マークを認識することができなかったものとみなし、エラーコードとしてerrorcode02を設定する。
また、マークテンプレート枠内のエッジの強度が所定の強度以下であるか否かを判断する。この判断が肯定されると、マークを認識することができなかったものとみなし、エラーコードにerrorcode03を設定する。
さらに、マークテンプレート枠内のエッジ強度の向きが交互に並んでいるか否かを判断する。この判断が肯定されると、マークを認識することができなかったものとみなし、エラーコードとしてerrorcode04を設定する。
上記いずれの判断も否定された場合には、マークテンプレートの各エッジ位置に対応するエッジ候補位置を確定することができるので、確定されたエッジ候補位置に基づいてマークの認識度を示すスコアの算出を行う。
このスコアは、マークテンプレートの枠内の波形データが、マークの特徴をどの程度正確に再現しているかを示す指標値である。本第1の実施形態では、上記マークの設計上の特徴と、実際の波形データのその特徴との乖離量を特徴量として求め、その特徴量に基づいてスコアを算出するようになる。L/Sマークの特徴としては、例えば、各ラインパターンの幅(マーク幅)、ラインパターン間の間隔(マーク間隔)、各ラインパターンのスペース部との境界のエッジ形状などが上げられるので、ここでは、これらの特徴それぞれに対応する特徴量を算出する。
まず、L/Sマークの各ラインパターンの間隔の設計値(テンプレートのラインパターンの間隔)と、エッジ候補位置により仮定される各ラインパターンの間隔との誤差の和(これを特徴量1とする)を算出する。次に、L/Sマークの各ラインパターンの幅の設計値(テンプレートのラインパターンの幅)と、エッジ候補位置により仮定される各ラインパターンの幅との誤差の和(これを、特徴量2とする)を算出する。そして、「エッジ強度の均一性」に関する特徴量をピーク値の標準偏差(これを特徴量3とする)を算出することにより求める。そして、これらの特徴量の重み付け和を求める。この値をそのエッジ候補位置の組合せのスコアとする。
次に、算出されたスコアと予め設定されている閾値とを比較し、スコアがその閾値よりも良好であればマークを認識することができたものとみなし、そうでなければマークを認識することができなかったものとみなす。
ここで、スコアが閾値よりも良好でなく、マークを認識することができなったとみなした場合には、その要因を解析する。
まず、特徴量1が予め設定されている許容値を超えているか否かを判断する。この判断が肯定されれば、マークを認識することができなかった要因が、マーク間隔誤差が許容値を超えていたものとみなし、そのエラーコードとしてerrorcode05を設定する。
次に、特徴量2が予め設定されている許容値を超えているか否かを判断する。この判断が肯定されれば、マークを認識することができなかった要因が、マーク幅誤差が許容値を超えていたものとみなし、そのエラーコードとしてerrorcode06を設定する。
この他、マークのエッジ間隔のバランスが予め設定されている許容値を超えているか、特徴量3に基づいてマークエッジ強度のバランスが予め設定されている許容値を超えているか、ラインマーク間のエッジ強度のばらつきが予め設定されている許容値が超えているか、各ラインパターンの検出エッジ数が予め設定されている設定エッジ数よりも少ないか否かなどについても判断を行い、各判断が肯定されれば、マークを認識することができなかった要因を特定し、各エラー要因のエラーコードとして、特定された要因のコード(errorcode07〜0A)を設定する。
このように、エラー要因は、解析によりある程度まで細分化され、コード化される。図5には、このエラーコードとエラー要因との関係表が示されている。
上述したように、マークテンプレートの起点を、エッジ候補位置のいずれかに合わせて行われるマーク認識処理では、途中で算出されるマークの特徴に基づくスコアの値が閾値よりも良好であれば、マーク認識成功とするが、スコアの算出が可能な程度にエッジが存在しないか、又は、マークテンプレートの枠内の波形の特徴がマークの特徴から著しくはずれたものであった場合には、マークの認識に失敗したものとしてマーク検出エラーを発生させる。このようなマーク認識結果、すなわち、スコア又はエラーコードは、バッファメモリb[0]に格納される。
次に、図4(B)に示されるように、マークテンプレートの起点を2番目のエッジ候補位置にずらした状態で、上述したマーク認識処理を再び行い、その認識結果(スコア、エラーコード)をバッファメモリb[1]に格納する。以降、このようにして、マークテンプレートの起点を+Y方向に1つずつずらしながら、その都度、マークテンプレートを用いたマーク認識処理を行い、その認識結果を、バッファメモリb[i](i=2、3、・・・)に順次格納していく。図4(B)には、マークテンプレートを+Y方向にずらしていく様子が模式的に示されており、図4(C)には、各バッファメモリb[i]に格納されたマーク認識処理の認識結果(スコア、エラーコード)の一例が示されている。各バッファメモリb[i](図4(C)のバッファメモリb[0]〜b[23])に格納されたデータは、記憶装置21に格納される。
主制御装置20では、上述したマーク認識アルゴリズムを用いて、各エッジ候補位置におけるマーク認識処理を行い、各エッジ候補位置でのマーク認識結果を得る。そして、複数のエッジ候補位置の中から、最もスコアが良好であったエッジ候補位置を決定し、そのエッジ候補位置から、所定オフセットを有するマークの中心位置を、そのマークの位置として算出する。なお、本第1の実施形態では、マークテンプレート波形の左端のエッジをマーク認識の起点としているため、所定オフセットは、その左端のエッジとマークの中心との設計上の距離となる。
主制御装置20は、波形データ、スコア、マークの検出に成功した場合にはサーチマークの位置情報、マークの検出に失敗した場合にはエラーコードに関する情報などを、そのウエハの属するロット番号、ウエハ番号、アライメント系ASにおけるマーク認識処理に用いられた認識パラメータ(FIA方式かLSA方式か、ラインパターンの幅、間隔などの設計値、アルゴリズム番号、アルゴリズム番号ごとの処理パラメータ)等のデータが書き込まれたデータファイルをアライメント履歴データファイルとして作成し、そのアライメント履歴データファイルを、記憶装置21に格納する。これによりマーク探索処理が終了する。
主制御装置20は、上述のようにマーク探索処理を用いて得られたサーチマークSYM、SθM、ウエハマークMXp,MYpの位置情報に基づいてサーチアライメント又はウエハアライメントを行う。このとき、すべてのエッジ候補位置で、マークを認識することができなかった場合には、マーク検出エラーを発生させる。
なお、上述したマーク認識アルゴリズムにおけるエラーチェックの順番は、上述したものには限られず、適宜その順番を変更することができる。
(マーク認識処理の評価)
上述したように、本第1の実施形態では、1次元の波形データ内において、複数のエッジ候補位置でマークの認識処理を行うことによりマークを探索し、探索の結果検出されたマークの位置座標に基づいて、重ね合わせ露光の際の基準位置を求めている。したがって、高精度な重ね合わせ露光を行うためには、マークの探索の際にマークを適切に認識できるようになっていることが必須であり、このためにも、マーク認識処理を評価できる仕組みが構築されているのが望ましい。そこで、本第1の実施形態では、マーク認識処理を評価するためのアプリケーションがPC130上で動作可能となっている。以下では、このアプリケーションについて説明する。
なお、前提として、PC130では、露光装置100におけるマーク認識処理を評価するための上記アプリケーションが既に起動されているものとする。この状態で、オペレータが、マウス130M又はキーボード130Kを介して、製品名、ロット名、ウエハ番号、レイヤ番号を指定すると、アプリケーションは、FTP(ファイル転送プロトコル)クライアントとして、その露光装置100の主制御装置20(FTPサーバ)に対して接続要求を送信する。アプリケーションは、その接続要求が許可されると、次に、主制御装置20に対しディレクトリ表示要求を送信する。主制御装置20は、この要求を受けて、指定されたウエハのレイヤに関するアライメント履歴データを記憶装置21から読み出してPC130に送る。アプリケーションは、このアライメント履歴データを受けて、ディスプレイ130Dに表示されたウインドウ内に、指定されたウエハのショットマップのイメージ表示及びアライメント履歴データを表示するためのウインドウをディスプレイ130Dに表示させる。図6には、このウインドウ表示の一例が示されている。
図6に示される画面には、オペレータによって指定されたウエハW上のショットマップのイメージ図が表示され、このウエハWのショット領域SApのイメージ図には、マトリクス状のセルが表示される。このセルは、ウエハ上に形成された各ショット領域SApを示すものである。セルの中には、マークが表示されているものがあるが、マークが表示されたセルは、サンプルショット領域を示している。
さらに詳細に見ると、各セルのマークとして、丸形のマークと、三角形(上凸の三角形)のマークと、逆三角形(下凸の三角形)のマークと、四角形のマークとが表示されている。丸形のマークは、そのショット領域SApが、ウエハマークMXp、MYpの両方についてマーク検出エラーが発生せず、マークの位置情報の検出に成功したサンプルショット領域であることを示している。また、三角形のマークは、そのショット領域SApが、ウエハマークMXpの検出は成功したが、ウエハマークMYpの検出に失敗してマーク検出エラーが発生したサンプルショット領域であることを示している。また、逆三角形のマークは、そのショット領域SApが、ウエハマークMYpの検出が成功し、ウエハマークMXpの検出に失敗してマーク検出エラーが発生したサンプルショット領域であることを示している。また、四角形のマークは、そのショット領域SApが、ウエハマークMXp、MYpの両方についてマーク検出エラーが発生したサンプルショット領域であることを示している。なお、図6では不図示であるが、このウエハマークMXp、MYpの他に、サーチマークSYM、SθMに対応するマークも表示されているものとする。
すなわち、このアプリケーションの画面では、ウエハW上に形成された複数のサンプルショット領域SApに付設されたウエハマークMXp,MYpの位置情報の検出に成功したか否かが表示される。アプリケーションは、FTPクライアントとして、主制御装置20から、このウエハW上の複数のショット領域SApの位置情報の検出結果を取得し、取得されたショット領域SApの位置情報の検出結果を、ウエハW上の複数のショット領域SApのショットマップのイメージ表示(セル表示)とともにディスプレイ130Dの画面上に表示させる。
セル上に表示された各種マークは、マウス130Mのクリック操作により、このアプリケーションに対し、新たなウインドウを表示させるためのイベントを発生させるオブジェクトとなっている。例えば、オペレータが、マウス130Mを操作して、サンプルショット領域中のいずれか1つのマークを選択すると、このオブジェクトからOSにその旨のコマンドメッセージが発行される。PC130上で動作するOSは、このコマンドメッセージを、このアプリケーションのメッセージキューにポスト(投函)する。アプリケーションのメインルーチンは、このメッセージを取得し、いわゆるディスパッチを行って、OSに対しCPUを開放する。OSは、このアプリケーションのウインドウプロシージャを呼び出し、そのウインドウプロシージャに対し、コマンドメッセージとともに、その付帯情報として、このオブジェクトが選択された旨の情報を渡す。このウインドウプロシージャでは、この付帯情報を参照して、該当するプルダウンメニューに対応するメッセージハンドラを実行する。
ディスプレイ130Dの画面には、図7に示されるウインドウが表示される。このウインドウには、アライメント系ASによって取得された、サンプルショット領域のウエハマークMXp又はウエハマークMYpを含む領域に対応する光電変換信号に対応する波形データがグラフ表示されている。図7のウインドウ左下のテキストボックスでは、Yが指定されているので、ここでは、ウエハマークMYpの波形データが表示されている。このウインドウを波形表示ウインドウと呼ぶ。
図7では、この2つの波形データが表示されているが、下側の波形データが、アライメント系ASにより取得された光電変換信号に対応する生の波形データである。以下では、この波形データを「生波形データ」と呼ぶ。この生波形データは、図4(A)の波形データ関数p(Y)に相当する。
この「生波形データ」の上側には、マーク探索処理において作成されるその微分波形データの波形が表示されている。また、その微分波形データp’(Y)のピークに基づいて算出された複数のエッジ候補位置が、縦の破線で、生波形データ、微分波形データに跨るように表示されている。この微分波形データが、図4(B)の波形データ関数p’(Y)に相当する。
2つの波形データの波形表示枠の右側には、選択されたウエハのウエハ番号(Wafer No.)、サンプルショット領域の配列番号(Shot Pos)、アライメントマークの設計上の位置情報(Mark Pos)が表示されている。また、2つの波形データの下には、前述したように、そのサンプルショット領域の生波形データを表示するマークをX軸方向の位置検出用マークとするかY軸方向の位置検出用マークとするかをオペレータが選択入力するためのテキストボックスが表示されている。オペレータによるマウス130Mやキーボード130Kの操作により、このテキストボックスにXが指定されると、表示される波形データが、ウエハマークMXpの生波形データ及びその微分波形データに切り替わるようになる。
オペレータがマウス130Mで波形データをクリックすると、その点を通過する縦線が表示されるようになるとともに、その点の位置座標が表示されるようになる。なお、この縦線は、生波形データの下側に表示されるマークテンプレートの中心に対応している。
図8に示されるように、ディスプレイ130Dの画面上には、この波形表示ウインドウの他にパラメータ設定ウインドウが画面右下に表示されている。このパラメータ設定ウインドウには、波形表示ウインドウに表示された波形データに対するマーク認識処理を行うために必要な処理パラメータを設定するためのウインドウである。
パラメータ設定ウインドウでは、上から、Sensor for Sequenceの表示欄と、Measured Axisの表示欄が表示されており、それぞれの表示欄には、EGA FIA、Yと表示されている。この表示により、波形表示ウインドウに表示された波形データが、アライメント系ASのFIA方式のセンサにより取得されたウエハマークMYpを計測対象としたときのY軸方向に関する波形データであることをオペレータが認識することができる。その下の「Sim Pos」の表示欄については後述する。
「Sim Pos」の表示欄の下のSearch Mark Dataの枠内に表示された各種設定欄は、主としてサーチマークの設計情報を設定するための設定欄である。まず、マークの波形形状の特徴を規定するFIA信号波形の設定欄には、「Normal」と指定されているが、これは信号波形の形状タイプが通常のタイプであることを示している。ここで、マークの波形が、プロセス種類やマーク周辺の下地の反射率などの条件により逆極性の波形形状となる場合は「Reverse」を指定すればよい。また、マークの種類を設定するための「Type」設定欄には「Triple」が設定されているが、これは、このマークが3本のラインマークから成るライン・アンド・スペース・マークであったことを示している。その設定欄の右側には、マークの間隔(マークピッチ)の設定欄a〜dのテキストボックスが表示されており、マークピッチ許容値の設定欄ALW−1、マークの幅の設定欄W1〜W3、マーク幅許容値ALW−2の設定欄(テキストボックス)がこの順で表示されている。
Search Mark Dataの枠の下には、Search Parameterの枠が表示されている。この枠内では、マーク認識処理に用いられるマーク認識パラメータの設定欄が表示されている。ここでは、サーチ信号波形の中から検出すべきサーチマークの選択(Search Mark Choice)と、サーチマークの波形処理に適用されたアルゴリズム番号(Search Processing Algorithm)が表示されている。図8に示される例では、MIddleと46とが選択されている。
このウインドウの左下には、「Load SIG File」ボタンが表示されている。このボタンをマウス130Mの操作によりクリックすると、このウインドウ内に表示されているSearch Mark Data、Search Parameterの枠内に実際のアライメントの再に設定されていた各種パラメータの設定値をアライメント履歴データから読み込み、このウインドウ内に表示する。図8では、「Load SIG File」ボタンがクリックされ、実際のアライメントの際に用いられている各種パラメータの設定が表示された状態が示されている。図8に示されるように、例えば、マークパラメータ枠では、Type設定欄に”Triple”、マークピッチ設定欄a〜dにはそれぞれ、”8、20、26、8[μm]”が表示され、マークピッチ許容値ALW−1には、”2[μm]”が表示され、マーク幅の設定欄には、W1、W2、W3が表示され、マーク幅許容値ALW−2には、0.5[μm]が表示されている。
このウインドウの右下には、”Simulate”ボタンが表示されている。”Simulate”ボタンをマウス130Mの操作によりクリックすると、このパラメータ設定ウインドウにおいて表示されているパラメータを用いて、マーク認識処理のシミュレーションが実行される。このマーク認識処理のシミュレーションでは、上述した露光装置100におけるマーク認識処理と同等の処理、すなわちエラーコード01〜0Aまでのエラーチェックと、スコアの算出とを行う。
オペレータは、波形表示ウインドウに表示された波形データとパラメータ設定ウインドウに表示された各種パラメータとを参照して、マーク認識処理の評価、解析を行う。
波形表示ウインドウに表示された波形データをマウス130Mでクリックすると、クリックされた位置の位置座標が、パラメータ設定ウインドウの位置座標の設定欄(Sim Pos.)に設定されるようになる。この設定された位置がオペレータによって指定された位置である。図8に示される例では、この設定欄に−15μmが設定されている。このテキスト入力された位置座標が、本第1の実施形態における特定情報となる。Fixは、このテキストボックスをアクティブにするか否かを決定するための設定であり、No Fixによりアクティブとなる。なお、クリックされた位置座標が、波形表示ウインドウに表示され、オペレータが表示された位置座標を参照して、キーボード130Kを用いて、その位置座標を(Sim Pos.)に設定するようにしてもよい。また、オペレータは(Sim Pos.)に直接、マークの設計位置座標に基づく、エッジの起点の位置座標を入力するようにしてもよい。
この状態で、Simulateボタンをクリックすると、アプリケーションは、図9に示される処理を開始する。図9に示されるように、まず、ステップ201において、Sim Pos.に指定された位置座標を含む、パラメータ設定ウインドウに設定されていた各種パラメータの設定値を、内部メモリに入力する。
Sim Pos.に指定された位置座標は、マーク認識処理を行うエッジ候補位置を特定するための特定情報であるが、その特定情報に基づいてマーク認識処理を行うエッジ候補位置を特定する方法には、大別して2つの方法がある。まず、第1に、図10(A)の3本マークのサーチアライメント波形の例で示されるように、指定された位置の最寄のエッジ候補位置を、マーク認識処理を行う位置として特定する方法がある。そして、第2に、図10(B)の同じく3本マークのサーチアライメント波形の例で示されるように、指定された位置を基準とする所定範囲内のエッジ候補位置の中から、エッジの強度が最大のエッジ候補位置を選択する方法がある。この場合、所定範囲内のノイズ信号を拾わず、検出すべきマークの起点エッジ位置を拾うことができる。以下では、前者を方法1とし、後者を方法2とする。方法2における所定範囲としては、例えば、ウエハアライメントでは、1本のラインパターンの幅程度の値を設定することができ、サーチアライメントでは、1本のラインパターンの幅の3〜5倍程度の値を設定することができるが、任意の値を設定して構わない。
そこで、図9に戻り、次のステップ203では、方法1を用いるか否かを判断する。どちらの方法を選択するかは、予めオペレータにより設定されているものとする。この判断が否定されればステップ205に進み、肯定されればステップ207に進む。ステップ205では方法1を実行し、ステップ207では方法2を実行する。通常、方法1はマニュアルアシスト時に使用され、方法2はロット処理での自動調整時に使用されることが多いと想定されるが、マニュアルアシスト時、自動調整時の何れの場合であってもどちらの方法を使用してもよい。図8に示される例では、オペレータによって指定された位置が−15μmであったときに、特定されたエッジ候補位置が−15.225μmであったことが示されている。
ステップ205及びステップ207が実行され、マーク認識処理を行うエッジ候補位置が特定されると、ステップ209において、特定されたエッジ候補位置でのマーク認識処理を行う。これにより、選択されたエッジ候補位置でのマーク認識結果(マーク認識成功であればスコアの値、マーク認識失敗であればエラーコード)が得られるようになる。
次のステップ211では、そのエッジ候補位置でのマーク認識処理の認識結果を表示する。この場合、マークの認識に成功した場合には、その成功した旨と、スコアの値、マークの認識に失敗した場合にはエラー要因も併せて表示する。図8に示される例では、波形表示ウインドウやパラメータ設定ウインドウとは別個にポップアップウインドウが表示され、その中のエラー要因(マーク幅誤差が許容値を超えている旨)が表示されている。また、波形表示ウインドウには、図8に示されるように、その際に検出されたマークの中心の位置座標も表示されており、図7に示されるように、マーク認識処理に用いられたエッジ候補位置が、他のエッジ候補位置から識別可能に太く表示されている。ステップ211終了後は、処理を終了する。
(オペレータによるパラメータ調整)
上述したように、PC130上で動作するアプリケーションにより、実際に取得された波形データを用いて、その波形データにおけるオペレータが指定した位置を基準とした任意のマーク候補位置でのマーク認識処理のシミュレーション及びそのマーク認識結果の表示を行うことが可能となる。このシミュレーションでは、実際のアライメントで用いられたパラメータの下でのマーク認識処理を行うことも可能であり、パラメータ設定ウインドウによってその設定値が更新されたパラメータの下でのマーク認識処理を行うことも可能である。これにより、このアプリケーションのシミュレーション機能を用いて、オペレータがマーク認識パラメータの調整を行うことが可能となる。
まず、オペレータは、露光装置100で処理されたパラメータの設定値を、Load SIG FILEボタンをクリックしてそのまま読み込み、そのパラメータの設定値のままで、波形データを目視して、その波形データの形状から、マークがあると思われる位置を指定する。するとアプリケーションは、その指定位置から特定されたエッジ候補位置(指定位置の最寄の位置又は所定範囲内のエッジ強度最大の位置)でのマーク認識処理を行う。これにより、その指定された位置に近い位置でのマーク認識処理結果を得ることができるようになる。
例えば、このマーク認識処理結果が、図8に示されるように、マークの認識に失敗しており、マーク認識処理において判断されたエラー要因が、マーク幅誤差が許容値を超えている旨のマーク検出エラーであったとする。この場合には、マーク幅誤差が許容値を超えていることがマークを正しく認識することができなかった原因であると考えることができる。オペレータは、このエラー要因の表示結果を見て、例えばパラメータ設定ウインドウの処理パラメータのマーク幅許容値(ALW−2)を大きくするなどして、パラメータを調整することができる。
オペレータが、パラメータ設定ウインドウのマーク幅許容値(ALW−2)などの設定値を変更し、Simulateボタンを押下すると、変更されたマーク幅許容値の下で、そのエッジ候補位置でのマーク認識処理が再実行され、その設定値が適切であり、算出されたスコアの値が閾値よりも良好であった場合には、マーク検出エラーが解消され、マークの認識に成功する可能性が出てくる。
オペレータは、このようなパラメータの設定の変更と、マーク認識処理のシミュレーションとを繰り返し行い、マークが存在すると思われる位置でのマーク検出エラーをできるだけ解消することができる。
オペレータは、パラメータ設定ウインドウを介して設定されたパラメータの最終的な設定値を、露光装置100に設定することができる。このパラメータの設定値が適切なものであれば、露光装置100での後続のウエハWに対するサーチアライメント又はウエハアライメントにおいて、不必要なマーク検出エラーの発生を低減できるようになり、適切なマーク認識処理を行うことができるようになる。
以上詳細に述べたように、本第1の実施形態によれば、検出対象であるマーク(ウエハマークMXp、MYpやサーチマークSYM、SθM)を含むウエハW上の領域内におけるマークの位置の候補となる複数のエッジ候補位置が抽出されている場合に、それらのエッジ候補位置のうちの任意のエッジ候補位置にマークが位置していると仮定した場合における、アライメント系ASにより検出された波形データを用いたマークの認識結果を取得し、表示するアプリケーションを備えている。このアプリケーションでは、マウス130M又はキーボード130Kの操作によってマーク概略位置を指定することにより、指定された位置に基づいてマークのエッジ候補位置を所定の方法(方法1又は2)で特定し、特定されたエッジ候補位置にマークが位置していると仮定した場合での波形データを用いたマークの検出結果を表示することができる。このようにすれば、オペレータの指定により、任意の候補位置におけるマークの認識結果の表示を参照して、オペレータがその認識結果を把握することが可能となる。
また、本第1の実施形態によれば、パラメータ設定ウインドウを介して、オペレータが、マークの認識処理に必要な処理パラメータを変更可能となっている。アプリケーションは、変更されたパラメータの下で、指定した任意のマーク候補位置でのマーク認識処理結果を取得し、表示することができるようになっている。このようにすれば、オペレータが、マークが存在すると思われる位置でのマーク認識結果を参照しながら、処理パラメータの調整を行うことができる。
また、本第1の実施形態のアプリケーションでは、上記アプリケーションの波形表示ウインドウを参照して入力された指定位置を基準として、その指定位置の最寄のエッジ候補位置か、所定範囲内においてエッジ強度が最大であるエッジ候補位置かの一方を選択する。指定された位置に最も近いエッジ候補位置を選択するか、指定された位置を中心とする所定範囲内にあるエッジ候補位置を選択するかは、オペレータが自由に判断することができる。このようにすれば、オペレータが、波形表示を参照して、マウスの操作により、マークを認識する位置をラフに指示したとしても、その位置近傍において、確実なマークの認識処理を実行することが可能となる。
なお、本第1の実施形態では、オペレータがマーク認識を行う位置を指定したが、通常、オペレータが指定する位置としては、設計上のマーク位置に近い位置が指定される場合も多い。しかしながら、実際のマーク位置は、ウエハステージWSTにロードされる際のウエハの位置及び向きによって設計上の位置からずれているのが一般的であるため、より正確には、設計上の位置とは異なる位置を指定した方が望ましい。そこで、このアプリケーションでは、その指定位置を決定する際のオペレータの支援機能を有するようにしてもよい。以下では、この支援機能について説明する。
この支援機能では、オペレータが位置を指定するのに先立って、図11(A)に示されるショットマップのイメージ図が表示される。このショットマップ内の各サンプルショット領域に対応するセルには、そのウエハでウエハアライメントが行われた時の各サンプルショット領域のアライメント補正量が表示されている。このアライメント補正量は、記憶装置21に格納されたアライメント履歴データから読み出されたものである。
ここで、図11(A)中、点線の円で囲まれるサンプルショット領域が、ウエハマークMXp、MYpのマークの検出に失敗したショット領域であったとする。そこで、本第1の実施形態と同様に、このサンプルショット領域のウエハマークのマーク探索処理の解析・評価をPC130のアプリケーションを用いて行おうとした場合に、オペレータは、このショット領域のアライメント補正量のベクトル表示を参照して、マーク認識処理を行うマーク概略位置を指定することができる。
図11(B)には、あるサンプルショット領域のアライメント補正量のベクトルが拡大して示されている。この場合、ウエハマークMXp、MYpに関するマーク認識を行う場合には、ウエハマークMXp、MYpの設計上の位置に、アライメント補正量のベクトルのX成分、Y成分をそれぞれ加算して、その加算により求めれた位置を指定位置とすればよい。
このように、ウエハW上のサンプルショット領域は、このアライメント補正量だけ設計上の位置からずれていると考えられるので、このアライメント補正量を考慮してマーク位置を指定するのが望ましいといえる。
さらに、図3に示されるように、実際のウエハWにおけるマークの実際の位置座標は、アライメント補正量で補正された位置座標とは多少ずれており、残差を有している。そこで、このアライメント補正量のX成分、Y成分に加え、この残差のX成分、Y成分をさらに考慮して、ウエハWの位置を指定するようにしても良い。
図12(A)には、同一ロット内のいずれか1つのウエハWでの各サンプルショット領域でのアライメントにおける残差がベクトル表示されている。残差は十分に小さいため、ここでは各ショット領域の残差を拡大して示している。同一ロット内におけるウエハWの同一のサンプルショット領域では、残差成分がほぼ同一であるとみなされる場合には、オペレータは、この残差の表示も参考にして、図12(B)に示されるように、ウエハマークMXp、MYpの設計上の位置を、アライメント補正量のベクトルのX成分、Y成分に、残差のベクトルのX成分、Y成分を加算した分のX成分及びY成分だけ補正して、マーク位置を指定するのがより望ましい。
なお、図12(A)では、同一ロット内の1つのウエハWでの残差成分を表示しているが、図13(A),図13(B)に示されるように、ロット内の残りのウエハでの残差成分を表示するようにし、併せて、各サンプルショット領域の残差成分の平均値を算出するようにしても良い。上述したように、ロット内でのウエハW上の同一サンプルショット領域での残差成分のばらつきが少ない場合には、ロット内の残りのウエハWにおける残差成分の平均値を、指定するマーク位置の補正に用いれば、その指定位置の信頼性がさらに向上する。
なお、ロット内のウエハの同一サンプルショット領域での残差のばらつきが許容値を超える場合には、このような残差(又は残差の平均値)による指定位置の補正を行うべきではない。残差による指定位置の補正は、残差のばらつきがロット内において小さい場合にのみ有効である。ロット内において、一部のウエハで残差が他のウエハに対し著しくずれている場合には、そのウエハで求められた残差を平均値の算出から除外するようにしてもよい。
なお、ウエハアライメントにおいて、複数のウエハマークの検出に失敗したときなど、アライメントの結果の信頼性が必ずしも高くない場合には、そのウエハのサーチマークSYM、SθMの検出結果に基づく座標系に従って、指定位置を補正するようにしても良い。
なお、本第1の実施形態では、最終的に画面に表示されるのは、最終的に特定された1つのエッジ候補位置におけるマークの認識結果であった。しかしながら、マーク認識処理のシミュレーションを複数のエッジ候補位置で行い、表示するようにしても良いことは勿論である。
例えば、上記ステップ209において、指定された位置を基準とする所定範囲内のエッジ候補位置の中から、指定された位置に近い順又はエッジの強度の順に、複数のエッジ候補位置それぞれについてマーク認識処理を行い、上記ステップ211において、各エッジ候補位置での認識結果を並べて表示する。図14には、表示された認識結果の一例が示されている。なお、図14では、マークの認識結果(エラー表示等)がポップアップ表示されておらず、波形表示ウインドウの下側に、複数のエッジ候補位置でのエラー要因が表示されている。この場合の表示の順番も、指定された位置に近い順又はエッジの強度の順とすることができる。
図14に示される例では、最も優先順位が高いエッジ候補位置に対応するマーク検出エラーが、マーク幅誤差が許容値を超えていることが原因とされるものであり、2番目に優先順位が高いエッジ候補位置に対応するマーク検出エラーが、各ラインパターンのエッジ強度のばらつきが許容値を超えていることが原因とされるものであった。エッジ強度のばらつきが許容値を超えている場合には、その位置が、マーク位置である可能性は低いため、そのエッジ候補位置は、検出されるべきマーク位置ではない。そこで、オペレータは、このケースでは、マーク幅許容値(ALWー2)などをパラメータ設定ウインドウで変更して、このエッジ候補位置でのエラー要因の解消を図るようになる。
このように、複数のエッジ候補位置でのマークの認識結果を表示できるようにすれば、特定されたエッジ候補位置に幅をもたせることができるようになり、その結果、本来検出すべきマーク位置でのマーク認識結果をより確実に取得することができるようになるうえ、パラメータの調整などのエラーリカバリ−をより確実に行うことができるようになる。
≪第2の実施形態≫
次に、本発明の第2の実施形態に基づいて説明する。上記第1の実施形態では、露光装置100に接続されたPC130において、サーチアライメント又はウエハアライメントにおけるマーク探索処理を評価する場合について述べたが、この第2の実施形態では、露光装置100におけるサーチアライメント又はウエハアライメントを行う際に、マーク認識処理の処理パラメータの自動調整を行う場合について述べる。
本第2の実施形態に係る露光装置の構成は、上記第1の実施形態の露光装置100の構成と同一であるので、詳細な説明を省略する。また、一連の露光動作も、ウエハアライメントの処理を除き、上記第1の実施形態とほぼ同じである。ウエハアライメント処理では、EGAモデル式が決定され、各ショット領域のEGA補正量が算出された後、いずれかのサンプルショット領域において、マーク検出エラーが発生した場合にウエハアライメントの最終処理としてのパラメータの自動調整処理が行われる点だけが異なる。したがって、以下では、そのパラメータの自動調整処理についてのみ説明する。
図15には、このパラメータ自動調整処理を示すフローチャートが示されている。図15に示されるように、まず、ステップ401において、マーク検出エラーが発生したサンプルショット領域SApでのマークの設計上の位置座標を、EGAモデル式より求まるアライメント補正量を用いて補正する。このときの補正方法も、上記第1の実施形態で述べた方法と同様である。
次のステップ403では、ロット内におけるウエハWの残差のばらつきが許容範囲内であるか否かを判断する。この判断が肯定されればステップ405に進み、否定されればステップ407に進む。
ステップ405では、ロット内のウエハWで、そのサンプルショット領域SApでのアライメント補正量の残差のX成分、Y成分の平均値を算出し、アライメント補正量のX成分、Y成分に加算する。このときの補正方法も、上記第1の実施形態で述べた方法と同様である。
ステップ407〜ステップ413までの処理は、上記第1の実施形態の図9のステップ201〜211とほぼ同様である。すなわち、ステップ409において、マーク認識処理のパラメータの設定値を読み込み、方法1が選択されていた場合には、ステップ411に進んで、ウエハマークの設計上の位置座標にアライメント補正量さらには残差成分が加算された位置に最も近いエッジ候補位置を算出し、方法2が選択されていた場合には、ステップ413に進んで、ウエハマークの設計上の位置座標にアライメント補正量さらには残差成分が加算されたアライメント補正量を加算した位置を基準とした所定範囲内にあるエッジ候補位置の中で、最もエッジ強度が強いエッジ候補位置を算出する。この算出処理も、上記第1の実施形態と同様である。
ステップ415では、記憶装置21に格納された決定されたエッジ候補位置でのエラー要因を取得し、ステップ417においてそのエラー要因に関連するパラメータを調整する。すなわち、本第2の実施形態においても、上記第1の実施形態と同様に、マーク検出エラーのエラー要因に基づいて、調整するパラメータが選択される。例えば、マーク幅に関するエラーが発生していた場合には、マーク幅に直接関連するパラメータが補正され、マークの間隔に関するエラーが発生していた場合には、マークの間隔に直接関連するパラメータが調整される。次のステップ419において、選択されたエッジ候補位置でのマーク認識処理を行い、マーク検出エラーが解消されたか否かを判断する。解消されなかった場合には、ステップ415に戻る。ステップ415では、再び、そのエラー要因を解析し、ステップ417において解析されたエラー要因に関連するパラメータが調整され、ステップ419においてマーク認識処理を再度行う。
このようにして、エラー要因のマーク検出エラーが解消されなかった場合、そのエラー要因とは別のエラー要因のマーク検出エラーが新たに発生する限り、ステップ415→ステップ417→ステップ419→ステップ421の処理が繰り返される。これにより、最終的にマーク検出エラーが解消されると、ステップ421における判断が肯定され、処理を終了する。
なお、マークの認識に失敗したウエハマークが1つでない場合には、そのウエハマーク毎に、上記処理が実行される。この場合、EGAモデル式を精度良く算出することができる数のウエハマークが検出された場合には、そこで、処理を終了するようにしてもよい。また、マークの認識結果が改善されない場合には、そのウエハマークでのパラメータ自動調整を中断し、次のウエハマークでのパラメータ自動調整に移行するようにしてもよく、上記第1の実施形態と同様に、オペレータの操作によるパラメータのマニュアル調整を行うようにしてもよい。
この処理の後に、露光装置100にロードされたウエハWのウエハアライメントの際には、この調整されたパラメータの下でマーク認識処理が行われるようになる。
また、このパラメータの調整後、マーク認識処理の認識結果が良好であり、マークの検出に成功した場合には、そのマークの位置情報を用いて、ウエハアライメントを再度行うようにしてもよいし、そのウエハマークのアライメント系ASの再計測を行うようにしてもよい。
以上詳細に述べたように、本第2の実施形態においても、マークの位置の候補となる複数のエッジ候補位置の中から、マーク認識処理を行うエッジ候補位置を特定するが、上記第1の実施形態にように、オペレータからの指示に基づいて、そのエッジ候補位置を特定するのではなく、ウエハマークMXp,MYpの設計位置座標を、既に得られているそのウエハWのショット領域のEGAモデル式から得られるアライメント補正量や、ロット内の他のウエハWにおけるそのサンプルショット領域SApでの残差に基づいてエッジ候補位置を特定するための基準となる位置及び範囲を推定する。このようにすれば、ウエハマークが存在する可能性が統計的に高い位置に絞ってマーク認識処理の評価を行うことができるようになり、パラメータの調整を自動的に行うことが可能となる。
なお、本第2の実施形態では、ロット内の残りのウエハでのそのサンプルショット領域における残差の平均値を、アライメント補正量に加算することとしたが、上記第1の実施形態と同様に、ロット内のいずれか1つのウエハにおける残差を、そのままアライメント補正量に加算することとしてもよい。この場合には、ロット内において残差のばらつきが大きい場合には、残差をアライメント補正量に加算しないようにするのが望ましい。
なお、上記第1、第2の実施形態では、エラー要因の直接関連する処理パラメータに限定してその設定値の調整を行ったが、実際には、エラー要因と処理パラメータとの関係が複雑である場合がある。そこで、上記各実施形態で説明したパラメータ調整を行った後に、その調整結果を記憶しておき、その後のパラメータ調整に利用するようにしてもよい。例えば、過去に同じエラー要因が発生していた場合に、その時調整したパラメータ及びその設定値はパラメータ調整の目安となる。また、複数の処理パラメータの調整が必要である場合には、有効であったパラメータの調整の優先順位に従って、その後のパラメータの調整を行うようにしても良い。すなわち、過去の調整結果に基づく経験則に基づいてパラメータの調整を行う学習機能を備えるようにすれば、その調整効率を上げることも可能となる。
なお、上記各実施形態では、主として、ウエハマークの認識処理について説明したが、本発明はこれには限られず、サーチマークの認識処理にも用いられることは前述したとおりである。
ただし、実際のプロセス(ロット処理)では、サーチマークの検出結果を用いてアライメント補正量に相当する補正量や残差のようなサーチマークの位置を推定するのに利用できる情報が少ないので、サーチマーク位置の推定方法としては他の方法を適用する必要がある。以下では、この方法について説明する。
まず、最初に計測されるサーチマーク(SYMとする)のマーク認識処理の評価では、ウエハWのロード前に行われるウエハWの位置合わせでウエハWのXY位置及び回転が、比較的精度良く位置決めされているものとし、設計上の位置座標を、指定位置とする。そして、2番目に計測するサーチマーク(SθMとする)のマーク認識処理の評価では、上述したサーチマークSYMのマーク認識処理の評価により得られたサーチマークSYMの検出されたX位置、Y位置から予想されるサーチマークSθMの位置座標を、指定位置とする。
このような指定位置の推定以外は、サーチマークについても、上記各実施形態でのウエハマークでのマーク認識処理の評価と同様な方法で、パラメータの調整等を実現することが可能となる。
なお、エッジ候補位置の特定に用いられる情報は、そのウエハのサンプルショット領域でのアライメント補正量や、ロット内の他のウエハで行われたウエハアライメントにおける残差などには限られず、既に得られている経験上の情報又はウエハマークの設計情報であれば良い。例えば、そのウエハにおいて事前に計測されたウエハ上に形成されていたショット領域の配列誤差(いわゆるショット間誤差)に関する情報や、予め計測されていた露光装置100と、元工程で用いられた他の露光装置とのステージ座標系のずれに関する情報を、エッジ候補位置の選定に用いるようにしてもよい。
また、上記各実施形態では、ロット内の他のウエハにおいて、そのサンプルショット領域の残差が所定の閾値を超える場合には、その残差を平均値の算出には、用いないようにしてもよい。
また、上記各実施形態では、マーク検出波形を微分して、その微分結果からマークの特徴量を演算することによりマークの位置情報の検出を行ったが、他の方法で検出することも可能である。例えばマークの検出波形データとテンプレート波形データとの相関処理を行い、最も相関値の高い位置をマーク位置とするような処理であってもよい。この場合には、その相関処理で得られたテンプレートパターンを検出波形データに対して走査させたときの各位置での相関値をスコアとすることができる。
上記各実施形態では、1次元の波形におけるマークの探索処理について説明したが、本発明はこれには限られず、2次元画像データ内におけるマークを探索する際にも適用することができる。図16には、ショットマップ表示及びそのショットマップ内のあるショット領域上の回路パターン中に形成された2次元十字マークが模式的に示されている。
この場合にも、上記各実施形態と同様に、2次元画像信号データに微分処理を施し、複数のエッジ候補位置を抽出、そのエッジ候補位置を、マークのテンプレート波形の起点を合わせて、各位置での両マークの相関度をスコアで数値化し、そのスコアに基づいてマークの位置情報を検出することが可能となるが、周辺の回路パターンの影響により、マークを適切に認識することができなかった場合には、上記各実施形態と同様にして、マーク認識処理の評価を行うことになる。その際に指定される位置は、そのショット領域内におけるそのマークの設計上の位置座標又は過去に計測されたそのマークの位置の計測値などに基づくものとすれば良い。
この2次元画像の例も含めた上述した波形処理では、検出された生波形データに対し微分処理を施すことにより抽出されたエッジ候補位置に基づいてマークの位置を検出する方法に本発明を適用する場合について説明したが、本発明はこれには限られない。例えば、上述の2次元画像処理の場合を例にとると、生の画像データに対し、マークのテンプレートパターンを2次元方向に走査して、最も相関性の高かった位置を、マーク位置として検出する画像処理、すなわち画像の濃淡を利用してマークの位置を検出する画像処理の評価にも本発明を適用することが可能であり、輪郭相関、正規化相関などの画像処理方法には限定されない。
この場合にも、マークの設計上の位置座標や、過去に計測されたマークの実測位置などに基づいた位置を基準としてマークを探索すれば、画像処理のパラメータの調整を適切に行うことが可能となる。
なお、上記各実施形態では、マークの探索の評価結果に基づいて、その処理の処理パラメータを調整したが、これには限られない。例えば、最終的にマーク検出エラーが解消されなかったマークについては、後続するウエハの処理におけるアライメントでは、計測対象から除外するようにしても良い。すなわち、マークの探索の評価結果に基づいて、検出対象とするマークの選択を行うようにしてもよい。また、上記マーク認識アルゴリズムの処理手順の順番を変更するなどの処理手順の最適化を図るようにしてもよい。
マーク認識エラーが発生する要因としては、アライメント系ASによって検出された波形データ以外のデータを用いることが可能である。例えば、そのマークが転写形成されたときのフォーカスずれ、露光量、ウエハフラットネス、ウエハステージ、レチクルステージとの同期精度誤差などはその転写形成が行われた露光装置でロギングされているため、それらの結果を参照して、処理パラメータの調整を行うようにしてもよい。
また、上記各実施形態では、検出対象となるマークをL/Sマークとしたが、これには限られず、1本のラインマークでも良いし、ボックスマークあるいはそれらのマークの集合であってもよい。検出対象となるマークは、ユニークなマークであれば、2次元、1次元を問わず、また、マークの形状、大きさ等も任意のもので良い。
なお、上記各実施形態では、アライメント系ASが、オフアクシス方式のFIA系(結像式のアライメントセンサ)、LSA系のセンサを有する場合について説明したが、これに限らずいずれか一方のセンサのみを有するアライメント系であっても構わない。また、アライメント系ASは、TTR(Through The Reticle)方式、TTL(Through The Lens)方式、またオフアクシス方式の何れの方式であっても、更には検出方式がFIA系などで採用される結像方式(画像処理方式)以外、例えば回折光又は散乱光を検出する方式などであっても構わない。例えば、ウエハ上のアライメントマークにコヒーレントビームをほぼ垂直に照射し、当該マークから発生する同次数の回折光(±1次、±2次、……、±n次回折光)を干渉させて検出するアライメント系でもよい。この場合、次数毎に回折光を独立に検出し、少なくとも1つの次数での検出結果を用いるようにしてもよいし、波長が異なる複数のコヒーレントビームをアライメントマークに照射し、波長毎に各次数の回折光を干渉させて検出してもよい。
また、上記各実施形態では、ウエハ上に位置合わせ用マークを検出する場合について述べたが、本発明は、レチクル上に形成された位置合わせ用マーク、すなわちレチクルアライメントマークの検出波形についても適用可能であることはいうまでもない。
また、本発明は上記各実施形態の如き、ステップ・アンド・スキャン方式の露光装置に限らず、ステップ・アンド・リピート方式、又はプロキシミティ方式の露光装置(X線露光装置等)を始めとする各種方式の露光装置にも全く同様に適用が可能である。
上記各実施形態では、光源として、KrFエキシマレーザ、ArFエキシマレーザなどの遠紫外光源や、F2レーザなどの真空紫外光源、紫外域の輝線(g線、i線等)を発する超高圧水銀ランプなどを用いることができる。この他、真空紫外域の光を露光用照明光として用いる場合に、上記各光源から出力されるレーザ光に限らず、DFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(Er)(又はエルビウムとイッテルビウム(Yb)の両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いてもよい。
更に、露光用照明光としてEUV光、X線、あるいは電子線やイオンビームなどの荷電粒子線を用いる露光装置に本発明を適用してもよい。この他、例えば国際公開第WO99/49504号パンフレットなどに開示される、投影光学系PLとウエハWとの間に液体が満たされる液浸型露光装置などにも本発明を適用してもよい。また、露光装置は、例えば特開平10−214783号公報や国際公開第WO98/40791号パンフレットなどに開示されているように、投影光学系を介してレチクルパターンの転写が行われる露光位置と、ウエハアライメント系によるマーク検出が行われる計測位置(アライメント位置)とにそれぞれウエハステージを配置して、露光動作と計測動作とをほぼ並行して実行可能なツイン・ウエハステージタイプでも良い。さらに、投影光学系PLは、屈折系、反射屈折系、及び反射系のいずれでもよいし、縮小系、等倍系、及び拡大系のいずれでも良い。本国際出願で指定した指定国又は選択した選択国の国内法令が許す限りにおいて、上記公報及びこれに対応する国際公開パンフレットにおける開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
なお、上述の実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(または位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスク、あるいは光反射性の基板上に所定の反射パターンを形成した光反射型マスクを用いたが、これらのマスクに代えて、露光すべきパターンの電子データに基づいて透過パターンまたは反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスクを用いてもよい。このような電子マスクは、例えば米国特許第6,778,257号明細書に開示されている。ここではこの米国特許第6,778,257号明細書を参照して援用する。
なお、上述の電子マスクとは、非発光型画像表示素子と自発光型画像表示素子との双方を含む概念である。ここで、非発光型画像表示素子は、空間光変調器(Spatial Light Modulator)とも呼ばれ、光の振幅、位相あるいは偏光の状態を空間的に変調する素子であり、透過型空間光変調器と反射型空間光変調器とに分けられる。透過型空間光変調器には、透過型液晶表示素子(LCD:Liquid Crystal Display)、エレクトロクロミックディスプレイ(ECD)等が含まれる。また、反射型空間光変調器には、DMD(Digital Mirror Device,またはDigital Micro-mirror Device)、反射ミラーアレイ、反射型液晶表示素子、電気泳動ディスプレイ(EPD:ElectroPhoretic Display)、電子ペーパ(又は電子インク)、光回折ライトバルブ(Grating Light Value)等が含まれる。
また、自発光型画像表示素子には、CRT(Cathode Ray Tube)、無機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、電界放出ディスプレイ(FED:Field Emission Display)、プラズマディスプレイ(PDP:Plasma Display Panel)や、複数の発光点を有する固体光源チップ、チップを複数個アレイ状に配列した固体光源チップアレイ、または複数の発光点を1枚の基板に作り込んだ固体光源アレイ(例えばLED(Light Emitting Diode)ディスプレイ、OLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ、LD(Laser Diode)ディスプレイ等)等が含まれる。なお、周知のプラズマディスプレイ(PDP)の各画素に設けられている蛍光物質を取り除くと、紫外域の光を発光する自発光型画像表示素子となる。
なお、本発明は、半導体製造用の露光装置に限らず、液晶表示素子などを含むディスプレイの製造に用いられる、デバイスパターンをガラスプレート上に転写する露光装置、薄膜磁気ヘッドの製造に用いられるデバイスパターンをセラミックウエハ上に転写する露光装置、及び撮像素子(CCDなど)、マイクロマシン、有機EL、DNAチップなどの製造に用いられる露光装置などにも適用することができる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。ここで、DUV(遠紫外)光やVUV(真空紫外)光などを用いる露光装置では一般的に透過型レチクルが用いられ、レチクル基板としては石英ガラス、フッ素がドープされた石英ガラス、螢石、フッ化マグネシウム、又は水晶などが用いられる。また、プロキシミティ方式のX線露光装置、又は電子線露光装置などでは透過型マスク(ステンシルマスク、メンブレンマスク)が用いられ、マスク基板としてはシリコンウエハなどが用いられる。
また、上記各実施形態では、露光装置及びその解析・評価に本発明を適用する場合について述べたが、露光装置の他、検査装置、搬送装置、計測装置、試験装置、その他の装置で、波形処理や画像処理を行う装置であればその解析・評価を行う際に本発明の適用が可能である。この場合、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置ではなく、露光装置などの各種装置本体に上記アプリケーション機能を組み込んで本発明を適用することも可能である。
半導体デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいたレチクルを製作するステップ、シリコン材料からウエハを製作するステップ、前述した実施形態の露光装置100によりレチクルのパターンをウエハに転写するステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、検査ステップ等を経て製造される。
また、上記各実施形態では、PC130を制御するオペレーティングシステムを、Windows(登録商標)としたが、GUIを提供するマルチタスクのオペレーティングシステムであれば他のOSでもよいことは勿論である。このようなOSはプリエンプティブなものでも、ノンプリエンプティブなものでもよい。
なお、現在では、上記のようなOSには、多種多様なプログラミング開発言語及びAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェイス)がサポートされており、上記アプリケーションのソフトウエアを開発することは容易にできる。基本的には、発生したイベント(すなわちオペレータによる操作)に対するアプリケーションのふるまい、具体的には、アプリケーションに送られてくるメッセージに対するメッセージハンドラ等の処理内容を設計するだけでよい。