この発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1に従う不揮発性記憶装置の代表例であるMRAMデバイス1の全体構成図である。
図1を参照して、MRAMデバイス1は、外部からの制御信号CMDおよびアドレス信号ADDに応答してランダムアクセスを実行し、入力データDinの書込みおよび出力データDoutの読出しを実行する。MRAMデバイス1におけるデータ書込み動作およびデータ読出し動作は、たとえば、外部からのクロック信号CLKに同期したタイミングで実行される。なお、外部からのクロック信号CLKを受けることなく、内部で動作タイミングを定めてもよい。
そして、MRAMデバイス1は、コントロール回路12と、メモリアレイ10a,10bと、行デコーダ16と、ワード線ドライバ帯18a,18bと、列デコーダ24a,24b,26a,26bと、データ入出力回路14と、読出/書込回路20,22a,22bとを備える。
コントロール回路12は、外部からの制御信号CMDおよびアドレス信号ADDに応答し、MRAMデバイス1の全体動作を制御する。
メモリアレイ10aおよび10bは、それぞれ行列状に配置されたMTJメモリセル(以下、単にメモリセルとも称す)MCおよびそれぞれの列に対応して配置されたダミーメモリセルDMCを含む。なお、以下では、メモリアレイ10aおよび10bを総称して、メモリアレイ10とも称し、また、メモリアレイ10の各々に行列状に配置されたメモリセルMCの行および列をそれぞれメモリセル行およびメモリセル列とも称す。なお、図1においては、一対のメモリアレイ10aおよび10bからなるMRAMデバイス1を示しているが、これに限られず、さらに複数対のメモリアレイ10を備えるように構成してもよい。
また、メモリアレイ10は、メモリセル行にそれぞれ対応して配置される複数のワード線WLと、メモリセル列にそれぞれ対応して配置される複数のビット線対BL,/BLと、ダミーメモリセルDMCに対応して1本のダミーワード線DWLとを含む。なお、ビット線/BLは、隣接する2本のビット線BLに対してそれぞれ相補となるように、2本のビット線BL毎に1本のビット線/BLが共通に配置される。
図1には、メモリアレイ10aおよび10bにおいて、代表的にそれぞれ2つのメモリセルMCを示し、その2つのメモリセルMCのメモリセル列に対応して、2つのメモリセルMCの両端と結合される2本のビット線BLと、2つのメモリセルMCの接続点と共通に結合される1本のビット線/BLとを示す。さらに、図1には、代表的に示す2つのメモリセルMCのメモリセル行に対応して、それぞれ2つのダミーメモリセルDMCおよびその2つのダミーメモリセルと共通に結合されるダミーワード線DWLを示す。その他のメモリアレイ10についても同様であるので、詳細な説明は繰返さない。
なお、以下では、ワード線、ビット線対、ビット線およびダミーワード線のそれぞれを総称して表現する場合には、符号WL、BL(/BL)、DWLを用いて表記することとし、特定のワード線、ビット線、ビット線対、ダミーワード線を示す場合には、これら符号に添え字を付して、WL1a、BL1(/BL1−2)、DWL1aのように表記する。また、信号、信号線およびデータなどの2値的な高電圧状態および低電圧状態をそれぞれ「H」レベルおよび「L」レベルとも称す。
行デコーダ16は、アドレス信号ADDのうちロウアドレスRAに基づいて、データ読出しまたはデータ書込み(以下、単にアクセスとも称す)の対象となるメモリアレイ10における行選択を実行し、ワード線ドライバ帯18a,18bへ指令を与える。
ワード線ドライバ帯18a,18bは、それぞれ複数のワード線WLおよび1本のダミーワード線DWLと結合され、行デコーダ16からの指令に基づいて、ワード線WLおよびダミーワード線DWLを選択的に活性化する。
列デコーダ24a,24b,26a,26bは、それぞれアドレス信号ADDのうちカラムアドレスCAに基づいて、アクセスの対象となるメモリアレイ10における列選択を実行する。
データ入出力回路14は、入力データDinおよび出力データDoutのデータ入出力を制御し、コントロール回路12からの指令に応答して内部回路へデータを伝達、または内部回路から外部へデータを出力する。
なお、この発明の実施の形態1においては、ビット線BLおよび/BLが「第1および第2の電流供給線」を実現し、コントロール回路12、読出/書込回路20および22a,22b、列デコーダ24a,24bおよび26a,26b、行デコーダ16ならびにワード線ドライバ帯18a,18bが「データ書込読出回路」を実現する。
図2は、この発明の実施の形態1に従うメモリアレイ10およびその周辺回路の概略構成図である。
図2を参照して、メモリアレイ10a,10bの各々は、m×n(n,m:偶数の自然数)に配置された複数のメモリセルMCを有する。メモリセルMCの各々は、ワード線WLおよびビット線対BL,/BLと結合される。ワード線WLは、メモリセル行にそれぞれ対応して列方向に配置される。一方、ビット線対BL,/BLは、メモリセル列にそれぞれ対応して行方向に配置される。
すなわち、メモリアレイ10a全体においては、ワード線WL1a〜WLnaと、ビット線BL1〜BLmと、ビット線/BL1−2〜/BL(m−1)−mが配置され、メモリアレイ10b全体においては、ワード線WL1b〜WLnbと、ビット線BL1〜BLmと、ビット線/BL1−2〜/BL(m−1)−mが配置される。
メモリセルMCは、トンネル磁気抵抗素子TMRと、トンネル磁気抵抗素子TMRと直列に接続されるアクセストランジスタATRとを含む。
トンネル磁気抵抗素子TMRは、記憶データのレベルに応じて、電気抵抗値が変化する磁気記憶部として作用する。すなわち、トンネル磁気抵抗素子TMRは、2通りの磁化方向のいずかに磁化されて、電気抵抗値を高抵抗状態(最大抵抗値)Rmaxまたは低抵抗状態(最小抵抗値)Rminのいずれか一方に変化する。
アクセストランジスタATRは、対応するワード線WLの活性化に応じて、トンネル磁気抵抗素子TMRの両端をそれぞれビット線BLおよび/BLと電気的に結合する。また、アクセストランジスタATRは、半導体基板上に形成される電界効果型トランジスタであるMOSトランジスタが代表的に適用される。
さらに、メモリアレイ10は、メモリセル列に対応して1×mに配置された複数のダミーメモリセルDMCを有する。ダミーメモリセルDMCの各々は、ダミーワード線DWLおよびビット線対BL,/BLと結合される。
ダミーメモリセルDMCは、ダミー抵抗素子TMRdおよびダミー抵抗素子TMRdと直列に接続されるダミーアクセストランジスタATRdを含む。そして、ダミー抵抗素子TMRdの電気抵抗値Rdは、メモリセルMCの記憶データレベル「1」および「0」にそれぞれ対応する電気抵抗値RmaxおよびRminの中間値、すなわちRmax>Rd>Rminに設定される。また、ダミーアクセストランジスタATRdは、メモリセルMCのアクセストランジスタATRと同様に、代表的には電界効果型トランジスタで構成される。
ワード線ドライバ帯18a,18bは、ワード線WLのそれぞれと対応して結合された複数のワード線ドライバWDVと、ダミーワード線DWLと結合されたダミーワード線ドライバDWDVとを含む。そして、ワード線ドライバ帯18a,18bは、データ書込み時およびデータ読出し時において、行デコーダ16からの行選択指令に応じて、選択されたワード線WLまたはダミーワード線DWLをHレベルに活性化する。
列デコーダ26a,26bは、ビット線BL1〜BLmとデータ線DBa,DBbとの間に配置され、それぞれビット線BL1〜BLmとデータ線DBa,DBbとの間の電気的な結合をオン・オフするカラム選択ゲートCSG1〜CSGmを含む。なお、以下では、データ線DBa,DBb、カラム選択ゲートCSG1〜CSGmをそれぞれ総称して、単に、データ線DB、カラム選択ゲートCSGとも称す。
そして、列デコーダ26a,26bは、コントロール回路12からのカラムアドレスCAに応じて、選択されたメモリセル列に対応するカラム選択ゲートCSGを選択状態(Hレベル)に活性化し、対応するビット線BLをデータ線DBと電気的に結合する。
また、列デコーダ24a,24bは、データ線DBa,DBbに相補であるデータ線/DBa,/DBbと、ビット線/BL1−2〜/BL(m−1)−mとの間に配置され、それぞれビット線/BL1−2〜/BL(m−1)−mとデータ線/DBa,/DBbとの間の電気的な結合をオン・オフするカラム選択ゲートCSG1−2〜CSG(m−1)−mを含む。そして、列デコーダ24a,24bは、列デコーダ26a,26bと同様に、コントロール回路12からのカラムアドレスCAに応じて、選択されたメモリセル列に対応するカラム選択ゲートCSGを選択状態(Hレベル)に活性化し、対応するビット線/BLをデータ線/DBと電気的に結合する。
なお、以下では、メモリアレイ10a,10bと、列デコーダ24a,24bと、列デコーダ26a,26bとをメモリマット4a,4bとも総称する。ここで、メモリマット4aおよび4bは、読出/書込回路20を中心として、対称に配置される。
読出/書込回路22a,22bは、「1」書込み電流源SRCIw(1)と、「1」書込みゲートGIw(1)da,GIw(1)dbと、「0」書込みゲートGIw(0)sa,GIw(0)sbとを含む。
「1」書込み電流源SRCIw(1)は、選択されたメモリセルMCに「1」データを書込むための書込み電流Iw(1)を供給する。「1」書込みゲートGIw(1)da,GIw(1)dbは、「1」書込み電流源SRCIw(1)と、データ線/DBa,/DBbとの間に配置され、コントロール回路12からの指令に応じて、「1」書込み電流源SRCIw(1)と、データ線/DBa,/DBbとの間を電気的に結合する。すると、「1」書込み電流源SRCIw(1)から供給されるデータ書込み電流は、データ線/DBを介して、選択されたメモリセルMCへ供給される。
一方、「0」書込みゲートGIw(0)sa,GIw(0)sbは、データ線/DBa,/DBbと、基準電位Gndの間に配置され、コントロール回路12からの指令に応じて、データ線/DBa,/DBbと、基準電位Gndとの間を電気的に結合する。すると、選択されたメモリセルMCに供給された「0」データ書込み電流Iw(0)がデータ線/DBを介して、基準電位Gndへ流れる。
さらに、「0」書込みゲートGIw(0)sa,GIw(0)sbは、選択されたメモリセルMCからデータを読出す場合おいて、データ線/DBa,/DBbと、基準電位Gndとの間を電気的に結合する。すると、選択されたメモリセルMCを介して、読出/書込回路20から基準電位Gndまでの電流経路が形成され、メモリセルMCの電気抵抗値の測定が可能となる。
読出/書込回路20は、2つの「0」書込み電流源SRCIw(0)と、「0」書込みゲートGIw(0)da,GIw(0)dbと、「1」書込みゲートGIw(1)sa,GIw(1)sbとを含む。
「0」書込み電流源SRCIw(0)は、選択されたメモリセルMCに「0」データを書込むための「0」データ書込み電流Iw(0)を供給する。「0」書込みゲートGIw(0)da,GIw(0)dbは、「0」書込み電流源SRCIw(0)と、データ線DBa,DBbとの間に配置され、コントロール回路12からの指令に応じて、「0」書込み電流源SRCIw(0)と、データ線DBa,DBbとの間を電気的に結合する。
一方、「1」書込みゲートGIw(1)sa,GIw(1)sbは、データ線DBa,DBbと、基準電位Gndの間に配置され、コントロール回路12からの指令に応じて、データ線DBa,DBbと、基準電位Gndとの間を電気的に結合する。
なお、以下では、「0」書込みゲートGIw(0)sa,GIw(0)sb,GIw(0)da,GIw(0)db、「1」書込みゲートGIw(1)sa,GIw(1)sb,GIw(1)da,GIw(1)dbをそれぞれ総称して、単に、「0」書込みゲートGIw(0)、「1」書込みゲートGIw(1)とも称す。
センスアンプ22は、データ入出力回路14からセンスアンプイネーブルSAEに応答し、選択されたメモリセルMCと、その選択されたメモリセルMCの対となるメモリアレイ10における選択列に配置されるダミーメモリセルDMCとに対して、読出し電流を供給し、そのときに生じる電圧を比較して、いずれがより高電圧であるかを判断する。すなわち、センスアンプ22は、選択されたメモリセルMCの電気抵抗値をダミーメモリセルDMCの電気抵抗値と比較し、メモリセルMCに記憶されるデータを読出す。
後述するように、行デコーダ16(図1)、列デコーダ24a,24bおよび読出/書込回路20,22a,22bは、データ書込みおよびデータ読出し動作において、選択されたメモリセルMCに対する読出し電流が所定の時間幅および所定の電流値をもつように互いに協働し、データの誤書込み、すなわち読出しディスターブを抑制する。
(メモリセルの構造)
図3は、この発明の実施の形態1に従うメモリセルMCを説明する概念図である。
図3を参照して、トンネル磁気抵抗素子TMRは、固定された一定の磁化方向を有する強磁性体である固定磁化層PLと、素子に流す電流によって磁化方向が反転する強磁性体である自由磁化層FLと、固定磁化層PLと自由磁化層FLとの間にトンネル効果を生じるように形成される絶縁体膜であるバリア層BALとからなる。
自由磁化層FLは、書込まれるデータのレベルに応じて切替えられる、書込み電流の流れる方向に応じて固定磁化層PLと同一方向(平行)、または固定磁化層PLと反対方向(反平行)に磁化される。これらの固定磁化層PL、バリア層BALおよび自由磁化層FLによって磁気トンネル接合(MTJ)は形成される。
自由磁化層FLは、CoFe合金,Co,Fe,CoNi合金,CoFeNi合金などのCo,Fe,Niなどを主成分とする金属材料にB(ホウ素)を含んだ強磁性体からなる。また、バリア層BALは、AlOxやMgOなどのトンネル効果を生じる絶縁物からなる。
一方、固定磁化層PLは、一例として、上述の自由磁化層FLと同様の強磁性体と、PtMn,FeMn,IrMnなどの半強磁性体との積層構造を有し、このような積層構造により、強磁性体のスピンの向きが固定され、固定磁化層PL全体の磁化方向が固定される。
トンネル磁気抵抗素子TMRの電気抵抗値は、固定磁化層PLおよび自由磁化層FLにおけるそれぞれの磁化方向の相対関係に応じて変化する。具体的には、トンネル磁気抵抗素子TMRの電気抵抗は、自由磁化層FLの磁化方向と固定磁化層PLの磁化方向とが同じ(平行)である場合には低抵抗状態Rminとなり、両者の磁化方向が反対(反平行)方向である場合には高抵抗状態Rmaxとなる。
(データ読出し動作)
選択されたメモリセルMCから記憶されるデータを読出す場合には、センスアンプ22を用いて、選択されたメモリセルMCと、その選択されたメモリセルMCの対となるメモリアレイ10において、選択列と同一の選択列に配置されるダミーメモリセルDMCとの電気抵抗値を比較する。
再度、図2を参照して、一例として、メモリアレイ10aにおける第1列の第1行目に配置されるメモリセルMCのデータを読出す場合には、まず、メモリマット4aにおいて、列デコーダ26aがカラム選択ゲートCSG1を選択状態とし、列デコーダ24aがカラム選択ゲートCSG1−2を選択状態とし、ワード線ドライバ帯18aがワード線WL1aをHレベルに活性化する。一方、メモリマット4bにおいて、列デコーダ26bがカラム選択ゲートCSG1を選択状態とし、列デコーダ24bがカラム選択ゲートCSG1−2を選択状態とし、ワード線ドライバ帯18bがダミーワード線DWLbをHレベルに活性化する。
すると、センスアンプ22から見ると、メモリマット4aにおいて選択されたメモリセルMCを介して基準電位Gndに流れる電流経路と、メモリマット4bにおいて選択されたメモリセルMCと同一のメモリセル列に配置されるダミーメモリセルDMCを介して基準電位Gndに流れる電流経路とが形成される。なお、いずれのメモリセルMCが選択されたとしても、その電流経路のパス長さ(経路長)は略等しくなるので、メモリセルMCの構成数が多くなった場合においても、読出し電流の変動などによる電圧値の変動を抑制でき、安定したデータ読出しが可能となる。以下、読出し動作について、より詳細に説明する。
図4は、この発明の実施の形態1に従うメモリセルMCからデータを読出す場合の回路
接続図である。
図4を参照して、メモリマット4aに配置されるメモリセルMCからデータを読出す場合には、上述したように、列デコータ24a,24bおよび26a,26b(図2)は、選択されたメモリセルMCおよびそれに対応するダミーメモリセルDMCがそれぞれ接続されるビット線対BL,/BLをデータ線DB,/DBと電気的に結合する。そして、行デコーダ16(図1)がワード線ドライバ帯18a,18bを活性化し、ワード線WLaおよびダミーワード線DWLbをそれぞれHレベルに活性化する。すると、メモリセルMCのアクセストランジスタATRおよびダミーメモリセルDMCのダミーアクセストランジスタATRdがターンオンする。さらに、読出/書込回路22a,22bが「0」書込みゲートGIw(0)sa,GIw(0)sbを導通状態にする。
一方、センスアンプ22は、センスアンプイネーブルSAEを受けると、データ線DBa,DBbを介して、それぞれ略同一のデータ読出し電流Irをメモリマット4a,4bへ供給する。すると、センスアンプ22からデータ線DBaへ供給された読出し電流Irは、ビット線BLa、トンネル磁気抵抗素子TMR、アクセストランジスタATR、ビット線/BLaおよびデータ線/DBaの順で基準電位Gndまでの電流経路を流れる。一方、センスアンプ22からデータ線DBbへ供給された読出し電流Irは、ビット線BLb、ダミー抵抗素子TMRd、ダミーアクセストランジスタATRd、ビット線/BLbおよびデータ線/DBbの順で基準電位Gndまでの電流経路を流れる。
したがって、センスアンプ22は、メモリマット4a,4bにおけるそれぞれの経路で生じる電気抵抗値に応じた電圧値を互いに比較することで、トンネル磁気抵抗素子TMRが高抵抗状態Rmaxまたは低抵抗状態Rminのいずれであるかを検出する。
ここで、センスアンプ22が電圧値を比較する場合には、一次遅れなどの検出遅れが存在する。そのため、センスアンプ22における検出遅れを抑制するためには、それぞれの電圧値の差が大きい方が望ましい。したがって、センスアンプ22が供給する読出し電流は可能な限り大きい方がよい。
しかしながら、センスアンプ22が供給する読出し電流が大きくなれば、データの誤書込みが懸念されるため、行デコーダ16、列デコーダ24a,24bおよび読出/書込回路20,22a,22bは、センスアンプ22の検出遅れ時間およびデータの誤書込み頻度を抑制するように、読出し電流の供給時間およびその電流値を最適化する。
なお、上述の説明では、メモリマット4aに配置されるメモリセルMCからデータの読出し動作を説明したが、メモリマット4bについても同様にデータ読出しが可能である。
(データ書込み動作)
図5は、この発明の実施の形態1に従うメモリセルMCのデータ書込みを説明する図である。
図5(a)は、メモリセルMCに「0」データを書込む場合の回路接続である。
図5(b)は、メモリセルMCに「1」データを書込む場合の回路接続である。
図5(a)を参照して、メモリセルMCに「0」データを書込む場合には、読出/書込回路20および22a,22bは、それぞれにおける「0」書込みゲートGIw(0)をいずれもオンとし、「1」書込みゲートGIw(1)をいずれもオフとする。すると、「0」データ書込み電流源SRCIw(0)から供給される書込み電流Iw(0)は、「0
」書込みゲートGIw(0)、データ線DB、ビット線BL、トンネル磁気抵抗素子TMR、アクセストランジスタATR、ビット線/BL、データ線/DB、および「0」書込みゲートGIw(0)の経路で基準電位Gndへ流れる。そのため、トンネル磁気抵抗素子TMRには、ビット線BLからビット線/BLの方向、すなわち、自由磁化層FLから固定磁化層PLの方向に書込み電流が通過することになる。
一方、図5(b)を参照して、メモリセルMCに「1」データを書込む場合には、読出/書込回路20および22a,22bは、それぞれにおける「1」書込みゲートGIw(1)をいずれもオンとし、「0」書込みゲートGIw(0)をいずれもオフとする。すると、「1」データ書込み電流源SRCIw(1)から供給される書込み電流Iw(1)は、「1」書込みゲートGIw(1)、データ線/DB、ビット線/BL、アクセストランジスタATR、トンネル磁気抵抗素子TMR、ビット線BL、データ線DB、および「1」書込みゲートGIw(1)の経路で基準電位Gndへ流れる。そのため、トンネル磁気抵抗素子TMRには、ビット線/BLからビット線BLの方向、すなわち、固定磁化層PLから自由磁化層FLの方向に書込み電流が通過することになる。
図6は、この発明の実施の形態1に従うメモリセルMCの磁化方向の反転を説明する図である。
図6(a)は、自由磁化層FLから固定磁化層PLの方向に書込み電流が通過する場合である。
図6(b)は、固定磁化層PLから自由磁化層FLの方向に書込み電流が通過する場合である。
図6(a)を参照して、自由磁化層FLの磁化が紙面右向きから紙面左向きに変化する場合を示す。この場合において、書込み電流Iw(0)が自由磁化層FLから固定磁化層PLの方向に通過するため、電子は固定磁化層PLから自由磁化層FLへ移動し、それに伴い、固定磁化層PLの電子スピン方向と同一方向に偏極したスピン偏極電子が固定磁化層PLから自由磁化層FLへ注入される。すると、自由磁化層FLは、注入されたスピン偏極電子の偏極方向へのトルクを受け、その電子スピン方向が変化する。そして、最終的に、自由磁化層FLの磁化方向は、固定磁化層PLの磁化方向と同じ、すなわち平行となる。
図6(b)を参照して、自由磁化層FLの磁化が紙面左向きから紙面右向きに変化する場合を示す。この場合において、書込み電流が固定磁化層PLから自由磁化層FLの方向に通過するため、電子は自由磁化層FLから固定磁化層PLへ移動し、それに伴い、自由磁化層FLからは、固定磁化層PLの電子スピン方向と同一方向に偏極したスピン偏極電子のみが移動する。そのため、自由磁化層FLには、相対的に、固定磁化層PLの磁化方向の電子スピン方向と反対方向に偏極したスピン偏極電子の蓄積量が多くなる。そして、最終的に、自由磁化層FLの磁化方向は、固定磁化層PLの磁化方向と反対、すなわち反平行となる。
(データ書込み特性)
図7は、トンネル磁気抵抗素子TMRにおいて、磁化反転が生じる書込み電流の電流値と供給時間との関係を示すグラフである。なお、図7に示すグラフにおいて、実線の紙面上側の領域が磁化反転の生じる領域である。
図7を参照して、書込み電流の電流値Iwriteは、供給時間Twriteに対して、単調減少することがわかる。これは、書込み電流がトンネル磁気抵抗素子TMRを通過
することで、抵抗損失による熱エネルギーが生じ、その熱エネルギーによる温度上昇に伴い、トンネル磁気抵抗素子TMRの自由磁化層FLの磁化方向が不安定化するため、より少ない書込み電流で磁化反転が生じるためである。このような現象を「熱アシスト効果」と称する。
特に、供給時間Twriteが所定の時間より短くなると、磁化反転に要する電流値Iwriteが急激に増加する変極点が存在することがわかる(図7においては、供給時間10[ns])。これは、書込み電流によりトンネル磁気抵抗効果素子TMR内に生じる熱エネルギーが短時間では十分発生せず、したがって、トンネル磁気抵抗効果素子TMRにおける温度上昇が抑制されるためであると考察される。また、単純に、熱エネルギーによるスイッチングに必要なエネルギーが供給されないためという見方もできる。本明細書においては、このような変極点における供給時間を温度上昇の時定数と定義する。
(読出し電流および書込み電流の最適化)
図8は、読出し電流および書込み電流の最適化を説明するための図である。
図8を参照して、データ読出し時には、トンネル磁気抵抗素子TMRに対して、磁化反転を生じさせないように、磁化反転特性の紙面下方向に十分なマージン(読出しディスターブマージン)をもつ読出し電流を選択する必要がある。また、データ書込み時には、トンネル磁気抵抗素子TMRに対して、十分な磁化反転を生じさせるように、磁化反転特性の紙面上方向に十分なマージン(書込みマージン)をもつ書込み電流を選択する必要がある。
上述したように、磁化反転が生じる電流値と供給時間との間には、単調減少の関係がある。これは、供給時間を短くすることで、磁化反転が生じる電流のしきい値が高くなることを意味する。そのため、読出しディスターブの発生を抑制する観点から見ると、読出し電流の供給時間を短くすることにより、磁化反転が生じる電流のしきい値を高めて、読出しディスターブマージンを十分に確保できる。
したがって、読出し電流の供給時間を書込み電流の供給時間に比較して短くすることで、読出しディスターブマージンを確保し、読出しディスターブの発生を抑制することができる。
さらに、センスアンプ22における検出速度を高めるため、読出し電流値は可能な限り大きいことが望ましい。読出し電流の供給時間を書込み電流の供給時間に比較して十分に短くすることで、大きな読出しディスターブマージンを確保できる場合には、その確保した読出しマージンの範囲内において、読出し電流の電流値を書込み電流の電流値に比較して、より大きくすることもできる。すると、読出し電流の電流値が書込み電流の電流値より小さいか、または同程度である場合に比較して、センスアンプ22における検出速度をより高めることができる。
特に、上述したように、磁化反転が生じる電流値と供給時間との間には、温度上昇の時定数において、電流値が急激に増加する変極点が存在する。そこで、書込み電流の供給時間を温度上昇の時定数より長くし、かつ、読出し電流の供給時間を温度上昇の時定数より短くすることで、書込みマージンおよび読出しディスターブマージンのいずれについても十分に確保できる。
なお、本願発明者は、設計ルール(デザインルール)が0.1[μm]以下であるMRAMデバイス、すなわち、トンネル磁気抵抗素子TMRが約0.1×0.2[μm2]の
面積に形成される場合には、常温(たとえば、約25℃)において、温度上昇の時定数が10[ns]程度となることを見出しており、このような条件下においては、読出し電流の供給時間は、10[ns]より短いことが望ましいと言える。当然のことながら、この温度上昇の時定数は、トンネル磁気抵抗素子TMRを構成する物質、環境温度およびトンネル磁気抵抗素子TMRの大きさ(面積)などに応じて変化する。たとえば、環境温度が常温(たとえば、約25℃)から120°の範囲で変化すれば、温度上昇の時定数は、約5〜10[ns]の範囲で変化する。また、トンネル磁気抵抗素子TMRの大きさが小さくなれば、熱容量も小さくなるので、温度上昇の時定数もより短くなると考えられる。
(動作タイムチャート)
図9は、この発明の実施の形態1に従うMRAMデバイス1の動作シーケンスである。
図1および図9を参照して、コントロール回路12は、外部からのクロック信号CLKに同期したタイミングでデータ読出しまたはデータ書込みを実行する。そして、コントロール回路12は、読出/書込回路20へセンスアンプイネーブルSAEを与えセンスアンプ22を活性化し、行デコーダ16へロウアドレスRAを与えてワード線WLおよびダミーワード線DWLを活性化し、列デコーダ26a,26b,24a,24bへカラムアドレスCAを与えてビット線対BL,/BLを活性化することで、選択されたメモリセルMCからデータを読出す。すなわち、これらのすべてが活性化されて、初めてデータ読出しが実行される。
そのため、図9においては、一例として、データ読出し時おけるカラム選択ゲートCSGの活性化時間幅をワード線WLおよびダミーワード線DWLなどの活性化時間幅に比較して最も短くし、カラム選択ゲートCSGの時間幅に応じて読出し電流の供給時間Treadが決定されるように構成する。
一方、データ書込み時におけるカラム選択ゲートCSGについても同様に、カラム選択ゲートCSGの活性化時間幅をワード線WLおよびダミーワード線DWLなどの活性化時間幅に比較して最も短くし、カラム選択ゲートの時間幅により書込み電流の供給時間Twriteが決定されるように構成する。
そして、データ読出し時およびデータ書込み時におけるカラム選択ゲートの時間幅を適切に設計することで、読出し電流の供給時間Treadおよび書込み電流の供給時間Twriteを最適化できる。
(読出/書込回路)
図10は、読出/書込回路における書込み電流源および書込みゲートの実現例を示す図である。なお、図10は、一例として、読出/書込回路20の要部を実現する構成である。
図10を参照して、読出/書込回路20は、データ入出力回路14(図1)から制御信号W0を受けて、「0」書込み電流Iw(0)をデータ線DBaへ与える一方、制御信号W1を受けて、基準電位Gndをデータ線DBaへ与える。そして、読出/書込回路20は、トランジスタQP11,QP12,QP10,QN11,QN10と、インバータ42とを含む。そして、トランジスタQP11は、電源電圧Vddの供給を受けるノードN10とノードN11との間に配置されて、そのゲートがノードN11と電気的に結合される。トランジスタQP12は、ノードN10とノードN11との間に配置され、そのゲートに制御信号W0を受ける。トランジスタQP10は、電源電圧Vddとデータ線DBaとの間に配置され、そのゲートがノードN11と電気的に結合される。インバータ42は、制御信号W0を受け、反転信号を出力する。トランジスタQN11は、ノードN11と基準電位Gndとの間に配置され、そのゲートがインバータ42と電気的に結合される。トランジスタQN10は、データ線DBaと基準電位Gndとの間に配置され、そのゲートに制御信号W1を受ける。
さらに、読出/書込回路20は、データ線DBaと電気的に結合されるセンスアンプ22を含む。そして、センスアンプ22は、データ線DBaおよびデータ線DBbに生じる読出し電流差に応じた電圧差をセンスする。
読出/書込回路20は、データ書込み時において、コントロール回路12(図1)から制御信号W0およびW1を受ける。すなわち、トランジスタQP12は、「0」データ書込み時において、「L」に活性化される制御信号W0を受け活性化される一方、トランジスタQN10は、「1」データ書込み時において、「H」に活性化される制御信号W1を受け活性化される。このように、読出/書込回路20は、制御信号W0またはW1の入力に伴い活性化される。
ここで、トランジスタQP10〜QP12は、一例としてPチャンネルMOSトランジスタである。また、トランジスタQN10,QN11は、一例としてNチャンネルMOSトランジスタである。なお、本発明の実施の形態1に従う読出/書込回路20においては、トランジスタQP10〜QP12の各トランジスタサイズは互いに等しく、また、トランジスタQN10,QN11の各トランジスタサイズは互いに等しいものとする。
そのため、トランジスタQP10およびQP11は、カレントミラー回路を構成し、それぞれ同一の動作電流(ミラー電流)を供給する。なお、上述の説明では、各トランジスタサイズが互いに等しいものとして説明したが、トランジスタサイズを調整することにより、各動作電流量を調整することも可能である。具体的には、カレントミラー回路を構成するトランジスタのサイズ比に応じた動作電流を供給可能である。以下においても同様である。
トランジスタQP10は、ノードN11を流れる電流と同一の電流をデータ線DBaに供給する。一方、トランジスタQP12およびQN11は、電源電圧Vddと基準電位Gndとの間に配置され、「L」に活性化される制御信号W0を受けて、いずれもターンオンする。そして、トランジスタQP12およびQN11を介して、電源電圧Vddから基準電位Gndへ貫通電流が流れるようになる。すると、トランジスタQP10は、ノードN11を流れる貫通電流と同一の「0」書込み電流をデータ線DBaへ供給する。
また、トランジスタQN10は、データ線DBaと基準電位Gndとの間に配置され、「H」に活性化される制御信号W1を受けて、ターンオンする。そして、基準電位Gndをデータ線DBaへ供給する。
したがって、読出/書込回路20は、制御信号W0またはW1に応答して、書込み電流または基準電位Gndをデータ線DBaへ供給可能である。
以下、読出/書込回路20に含まれる、データ線DBbへ書込み電流または基準電位Gndを供給するための回路構成、ならびに読出/書込回路22aおよび22bの回路構成については、図10と同様であるので詳細な説明は繰返さない。
図11は、読出/書込回路20におけるセンスアンプ22の実現例を示す図である。
図11を参照して、センスアンプ22は、データ線DB,/DBを所定の電圧以下に維持するとともに、データ線DB,/DBに生じる読出し電流差に応じた電圧差をセンスノードSN,/SNに生じさせる。そして、センスアンプ22は、トランジスタQPS,QP1〜QP5,QN1〜QN3と、アンプ44とを含む。
トランジスタQPSは、電源電圧Vddと電源供給ノードN0との間に配置され、そのゲートにセンスアンプイネーブル/SAEを受ける。トランジスタQP2は、電源電圧Vddの供給を受けるノードN3とセンスノード/SNとの間に配置され、そのゲートがノードN1と電気的に結合される。トランジスタQP5は、ノードN3とセンスノードSNとの間に配置され、そのゲートがノードN2と電気的に結合される。トランジスタQP1は、ノードN0とノードN1との間に配置され、そのゲートがノードN1と電気的に結合される。トランジスタQP4は、ノードN0とノードN2との間に配置され、そのゲートがノードN2と電気的に結合される。トランジスタQP3は、ノードN3とノードN6との間に配置され、そのゲートがノードN1と電気的に結合される。トランジスタQP6は、ノードN3とノードN4との間に配置され、そのゲートがノードN2と電気的に結合される。トランジスタQN1は、センスノード/SNとノードN5との間に配置され、そのゲートがセンスノード/SNと電気的に結合される。トランジスタQN2は、ノードN4とノードN5との間に配置され、そのゲートがセンスノード/SNと電気的に結合される。トランジスタQN3は、センスノードSNとノードN5との間に配置され、そのゲートがセンスノードSNと電気的に結合される。トランジスタQN4は、ノードN6とノードN5との間に配置され、そのゲートがセンスノードSNと電気的に結合される。
アンプ44は、センスノードSN,/SNに接続されて、センスノードSN,/SNに伝達されたセンス出力Sout,/Soutの差をさらに増幅して出力データDoutを出力する。
さらに、センスアンプ22は、トランジスタQV1,QV2を含む。トランジスタQV1は、ノードN1とデータ線DBaとの間に配置され、そのゲートがVref発生回路40によって生成される参照電圧Vrefの入力を受ける。トランジスタQV2は、ノードN2とデータ線DBbとの間に配置され、そのゲートが参照電圧Vrefの入力を受ける。これに伴い、トランジスタQV1およびQV2は、データ線DBa,DBbを所定の電圧以下に維持する。
センスアンプ22は、データ読出し時において、コントロール回路12(図1)からセンスアンプイネーブルSAE,/SAEを受ける。そして、トランジスタQPSは、データ読出し時において、「L」レベルに活性化されるセンスアンプイネーブル/SAEの入力を受ける一方、トランジスタQNSは、データ読出し時において、「H」レベルに活性化されるセンスアンプイネーブルSAEの入力を受ける。このように、センスアンプ22は、センスアンプイネーブルSAE,/SAEの入力に伴い活性化される。
ここで、トランジスタQP1〜QP7およびQPSは、一例としてPチャンネルMOSトランジスタである。また、トランジスタQN1〜QN4,QNS,QV1およびQV2は、一例としてNチャンネルMOSトランジスタである。なお、本発明の実施の形態1に従うセンスアンプ22においては、トランジスタQP1〜QP7の各トランジスタサイズは互いに等しく、また、トランジスタQN1〜QN4の各トランジスタサイズは互いに等しいものとする。
トランジスタQP1〜QP3は、カレントミラー回路を構成し、それぞれ同一の動作電流(ミラー電流)を供給する。同様に、トランジスタQP4〜QP6は、カレントミラー回路を構成し、それぞれ同一の動作電流を供給する。また、トランジスタQN1およびQN2は、カレントミラー回路を構成し、同一の動作電流(ミラー電流)を供給する。同様に、トランジスタQN3およびQN4は、カレントミラー回路を構成し、同一の動作電流を供給する。なお、上述の説明では、各トランジスタサイズが互いに等しいものとして説明したが、トランジスタサイズを調整することにより、各動作電流量を調整することも可能である。具体的には、カレントミラー回路を構成するトランジスタのサイズ比に応じた動作電流を供給可能である。以下においても同様である。
なお、トランジスタQP2は、ノードN1を流れる動作電流と同一の動作電流をセンスノード/SNに供給するとともに、トランジスタQP6,QN1,QN2は、センスノード/SNからノードN2に向けて流れる動作電流と同一の動作電流を供出する。
一方、トランジスタQP5は、ノードN2を流れる動作電流と同一の動作電流をセンスノードSNに供給するとともに、トランジスタQP3,QN3,QN4は、センスノードSNからノードN1に向けて流れる動作電流と同一の動作電流を供出する。
以下、センスアンプ22のセンス動作について説明する。
一例として、データ線DBa,DBbにそれぞれ読出し電流IraおよびIrbが流れたとすると、上述したようにトランジスタQP1〜QP3は、カレントミラー回路を構成するため、トランジスタQP2およびQP3は、トランジスタQP1を流れる読出し電流Iraと同一の動作電流をセンスノード/SNおよびノードN6にそれぞれ供給しようとする。同時に、トランジスタQP5およびQP6においても、トランジスタQP4に流れる読出し電流Irbと同一の動作電流をセンスノードSNおよびノードN4にそれぞれ供給しようとする。
一方、上述したようにトランジスタQN1およびQN2もカレントミラー回路を構成するため、トランジスタQN1は、トランジスタQN2と同一の動作電流Irbをセンスノード/SNから接地電圧と接続されたノードN5に供給しようとする。また、上述したようにトランジスタQN3およびQN4もカレントミラー回路を構成するため、トランジスタQN4は、トランジスタQN3と同一の動作電流IraをセンスノードSNから基準電位Gndと接続されたノードN5に供給しようとする。
すると、センスノードSNには、トランジスタQP5により動作電流Irbが供給されようとするが、トランジスタQN3がトランジスタQN4と同一の動作電流IraをセンスノードSNから供出しようとする。一方、センスノード/SNにはトランジスタQP2により動作電流Iraが供給されようとするが、トランジスタQN1がトランジスタQN2と同一の動作電流Irbをセンスノード/SNから供出しようとする。
したがって、カレントミラー回路によりデータ線DBa,DBbを通過する読出し電流に応じたミラー電流を生じさせるとともに、生成されたミラー電流の電流差が電圧差に変換され、センスノードSN,/SNに出力される。たとえば、読出し電流Ira>Irbの場合には、センスノードSN,/SNの電圧レベルはそれぞれ「L」レベルおよび「H」レベルに変換される。一方、動作電流Irb>Iraの場合には、センスノードSN,/SNの電圧レベルは、それぞれ「H」レベルおよび「L」レベルに変換される。
そして、アンプ44において、このセンスノードSN,/SNの電圧レベルであるセンス出力Sout,/Soutをさらにアンプ44で増幅して出力データDoutが生成される。
この発明の実施の形態1によれば、コントロール回路、読出/書込回路、行デコーダおよび列デコーダにおいて活性化時間および活性化タイミングが調整されることで、データ読出し時における読出し電流の供給時間をデータ書込み時における書込み電流の供給時間に比較して短くなるように構成される。そのため、読出し電流によるトンネル磁気抵抗素子における熱アシスト効果が抑制され、磁化反転を生じるしきい電流値に対する読出しディスターブマージンを十分確保することができる。よって、読出し電流によるデータの誤書込みを抑制することができ、安定したアクセス動作を実行する不揮発性記憶装置を実現できる。
さらに、この発明の実施の形態1によれば、十分な読出しディスターブマージンを確保できるため、読出し電流の電流値を書込み電流の電流値より大きくすることも可能となる。よって、センスアンプにおける検出遅れ時間を抑制し、高速な読出し動作を実行する不揮発性記憶装置を実現できる。
また、この発明の実施の形態1によれば、読出/書込回路が共通のデータ線を介して読出し電流および書込み電流を選択されたメモリセルへ供給する。よって、読出し電流を流すための読出し線および書込み電流を流すための書込み線をそれぞれ配置する構成に比較して、全体の配線数をより低減することができ、チップ面積の小さい不揮発性記憶装置を実現できる。
また、この発明の実施の形態1によれば、選択されたメモリセルに関わらず、読出し電流、「0」書込み電流および「1」書込み電流のいずれも、メモリマットの対角に配置される電流源から基準電位までの経路を流れる。そのため、選択メモリセルのアドレス、データ読出し動作およびデータ書込み動作に関わらず、電流パスの経路長が同一となるので、電流パスにおける電気抵抗値を均一化できる。よって、読出し電流および書込み電流を安定して供給することができ、安定した動作を実行する不揮発性記憶装置を実現できる。
(変形例1)
上述の実施の形態1においては、図9に示すように、カラム選択ゲートCSGの活性化時間幅をワード線WLおよびダミーワード線DWLの活性化時間幅に比較して最も短くすることで、読出し電流および書込み電流の供給時間を最適化する構成について説明した。一方、カラム選択ゲートCSGの活性化時間幅に代えて、ワード線WLおよびダミーワード線DWLの活性化時間幅、または、ワード線WLおよびダミーワード線DWLの活性化時間幅とカラム選択ゲートの活性化タイミングを調整することで、読出し電流および書込み電流の供給時間を最適化することもできる。
図12は、この発明の実施の形態1の変形例1に従うMRAMデバイスの動作シーケンスである。
図12を参照して、上述したように、センスアンプ22、ワード線WLおよびダミーワード線DWL、ならびにビット線対BL,/BLのすべてが活性化されて、初めてデータ読出しが実行される。そこで、ワード線WLおよびダミーワード線DWLの活性化時間幅を図9の場合に比較して短くする。一方、カラム選択ゲートCSGの活性化時間幅は図9の場合に比較して長くしてもよい。すると、ワード線WLおよびダミーワード線DWLの
活性化期間と、カラム選択ゲートCSGの活性化期間との重なり期間により、読出し電流の供給時間Treadおよびおよび書込み電流の供給時間Twriteが決定される。
よって、データ読出し時およびデータ書込み時におけるワード線WLおよびダミーワード線DWLの活性化時間幅またはそのタイミングを適切に設計することで、読出し電流の供給時間Treadおよび書込み電流の供給時間Twriteを最適化できる。
(変形例2)
実施の形態1および実施の形態1の変形例1に示す構成に加えて、読出/書込回路のセンスアンプまたは電流源回路の活性化時間幅を調整することで、読出し電流および書込み電流の供給時間を最適化することもできる。
図13は、この発明の実施の形態1の変形例2に従うMRAMデバイスの動作シーケンスである。
図13を参照して、上述したように、センスアンプ22、ワード線WLおよびダミーワード線DWL、ならびにビット線対BL,/BLのすべてが活性化されて、初めてデータ読出しが実行される。そこで、センスアンプイネーブルSAEの活性化時間幅を図9の場合に比較して短くする。一方、カラム選択ゲートCSGの活性化時間幅は図9の場合に比較して長くしてもよい。すると、センスアンプ22の活性化期間と、カラム選択ゲートCSGの活性化期間との重なり期間により、読出し電流の供給時間Treadおよびおよび書込み電流の供給時間Twriteが決定される。
よって、データ読出し時におけるセンスアンプイネーブルSAEの活性化時間幅、および、電流源イネーブルの活性化時間幅を適切に設計することで、読出し電流の供給時間Treadおよび書込み電流の供給時間Twriteを最適化できる。
なお、上述の実施の形態1およびその変形例においては、スピン注入方式のMRAMメモリデバイスについて説明したがこれに限られず、電流(電圧)の印加によりメモリセルデータを書換える抵抗可変メモリ素子、例えばRRAM(Resistance RAM)にも同様に適用可能である。
[実施の形態2]
上述の実施の形態1においては、熱アシスト効果を考慮して、読出し電流および書込み電流の供給時間とその電流値とを最適化したスピン注入方式のMRAMメモリデバイスについて説明した。一方、実施の形態2においては、熱アシスト効果を考慮して、読出し電流の供給方向を最適化したスピン注入方式のMRAMメモリデバイスについて説明する。
この発明の実施の形態2に従う不揮発性記憶装置の代表例であるMRAMデバイスの全体構成ならびに、メモリアレイおよびその周辺回路の概略構成図は、上述した図1および図2と同様であるので、詳細な説明は繰返さない。また、この発明の実施の形態2に従うMRAMデバイスを構成するメモリセルMCについても、上述した図3と同様であるので、詳細な説明は繰返さない。
さらに、メモリセルMCからデータ読出しを行なう場合の回路動作およびメモリセルMCへデータ書込みを行なう場合の回路動作についても、メモリセルMCの記憶データレベル「1」をトンネル磁気抵抗素子TMRの低抵抗状態(最小抵抗値)Rminに対応させ、記憶データレベル「0」をトンネル磁気抵抗素子TMRの高抵抗状態(最大抵抗値)Rmaxに対応させる点を除いて、上述した図4および図5と同様であるので、詳細な説明は繰返さない。
図14は、この発明の実施の形態2に従うメモリセルMCの磁化方向の反転を説明する図である。
図14(a)は、自由磁化層FLから固定磁化層PLの方向に書込み電流Iw(−)が流れる場合である。
図14(b)は、固定磁化層PLから自由磁化層FLの方向に書込み電流Iw(+)が流れる場合である。
なお、書込み電流Iwの添え字(−)および(+)は、トンネル磁気抵抗素子TMRの電気抵抗値の変化方向を示すものである。すなわち、書込み電流Iw(−)は、トンネル磁気抵抗素子TMRの電気抵抗値を高抵抗状態(最大抵抗値)Rmaxから低抵抗状態(最小抵抗値)Rminへ変化させる方向に流れる書込み電流を示し、書込み電流Iw(+)は、トンネル磁気抵抗素子TMRの電気抵抗値を低抵抗状態(最小抵抗値)Rminから高抵抗状態(最大抵抗値)Rmaxへ変化させる方向に流れる書込み電流を示す。
図14(a)を参照して、書込み電流Iw(−)は、自由磁化層FLから固定磁化層PLの方向に通過するため、電子が固定磁化層PLから自由磁化層FLへ移動し、それに伴い、固定磁化層PLの電子スピン方向と同一方向に偏極したスピン偏極電子が固定磁化層PLから自由磁化層FLへ注入される。すると、自由磁化層FLは、注入されたスピン偏極電子の偏極方向へのトルクを受け、その電子スピン方向が変化する。そして、最終的に、自由磁化層FLの磁化方向は、固定磁化層PLの磁化方向と同じ、すなわち平行となる。この自由磁化層FLの磁化反転により、トンネル磁気抵抗素子TMRの電気抵抗値は、低抵抗状態(最小抵抗値)Rminに変化する。
図14(b)を参照して、書込み電流Iw(+)は、固定磁化層PLから自由磁化層FLの方向に通過するため、電子は自由磁化層FLから固定磁化層PLへ移動し、それに伴い、自由磁化層FLからは、固定磁化層PLの電子スピン方向と同一方向に偏極したスピン偏極電子のみが移動する。そのため、自由磁化層FLには、相対的に、固定磁化層PLの磁化方向の電子スピン方向と反対方向に偏極したスピン偏極電子の蓄積量が多くなる。そして、最終的に、自由磁化層FLの磁化方向は、固定磁化層PLの磁化方向と反対、すなわち反平行となる。この自由磁化層FLの磁化反転により、トンネル磁気抵抗素子TMRの電気抵抗値は、高抵抗状態(最大抵抗値)Rmaxに変化する。
なお、上述したように、この発明の実施の形態2においては、メモリセルMCの記憶データレベル「1」をトンネル磁気抵抗素子TMRの低抵抗状態(最小抵抗値)Rminに対応させ、記憶データレベル「0」を高抵抗状態(最大抵抗値)Rmaxに対応させるので、書込み電流Iw(−)が「1」データ書込み電流Iw(1)に相当し、書込み電流Iw(+)が「0」データ書込み電流Iw(0)に相当する。
(データ書込み特性)
図15は、トンネル磁気抵抗素子TMRにおいて、磁化反転が生じる書込み電流Iwの電流値と供給時間との関係を示すグラフである。なお、図15に示すグラフにおいて、実線の紙面上側の領域が磁化反転の生じる領域である。
本願発明者は、図14に示すようなトンネル磁気抵抗素子TMRでは、書込み電流Iwの流れる方向に応じて、磁化反転が生じる書込み電流Iwの絶対値に差異が生じることを見出した。
スピン偏極電子がトンネル磁気抵抗素子TMRに注入されることで、磁化反転が生じるメカニズムとしては、(I)s軌道伝導電子とd軌道磁化電子との間のスピントルク遷移、および(II)スピン偏極電子の抵抗損失による熱アシスト効果、の2つが主要要因となる。
図15を参照して、書込み電流のIwの供給時間が時定数以上となると、(II)の熱アシスト効果が顕著となり、書込み電流Iw(−)の絶対値と書込み電流Iw(+)の絶対値との間の差異は、ほとんど見られない。一方、書込み電流のIwの供給時間が時定数未満の領域においては、(II)の熱アシスト効果が小さくなり、トンネル磁気抵抗素子TMRの構造上の非対称性が顕著に現れて、書込み電流Iw(−)の絶対値と書込み電流Iw(+)の絶対値との間には差異を生じると考えられる。
(読出し電流の最適化)
上述したように、書込み電流Iwの供給時間が時定数未満であれば、書込み電流Iw(−)の絶対値に比較して、書込み電流Iw(+)の絶対値が大きくなる。したがって、読出し電流がトンネル磁気抵抗素子TMRに対して、磁化反転特性の紙面下方向に十分なマージン(読出しディスターブマージン)をもつためには、より絶対値の大きい書込み電流Iw(+)と同じ方向に読出し電流を流すことが望ましい。よって、読出し電流Irは、磁化反転を生じるのに要する絶対値がより大きい書込み電流Iw(+)(この発明の実施の形態2においては、「0」データ書込み電流Iw(0)に相当)と同じ方向に流すことが望ましい。
このように、読出し電流の流れる方向を決定することで、読出しディスターブマージンを相対的に大きくできる。さらに、センスアンプ22(図2)における検出速度を高めるため、読出し電流値は可能な限り大きいことが望ましい。そこで、書込み電流Iw(+)に対する読出しディスターブマージンを確保できる場合には、その確保した読出しディスターブマージの範囲内において、読出し電流の電流値を書込み電流の電流値に比較して、より大きくすることもできる。
その他については、上述したこの発明の実施の形態1と同様であるので、詳細な説明は繰返さない。
この発明の実施の形態2によれば、書込み電流の流れる方向に依存して、抵抗値を変化させる(トンネル磁気抵抗素子の磁化反転を生じる)ために要する書込み電流の絶対値に差異を生じるメモリセルに対して、抵抗値を変化させるための書込み電流の絶対値がより大きい方向と一致するように、読出し電流が供給される。そのため、抵抗値を変化させるために要する書込み電流の絶対値と読出し電流の絶対値との差、すなわち読出しディスターブマージンをより大きくできる。よって、データ読出し時において、メモリセルを不安定化させることがなく、読出しディスターブを抑制し、かつ、アクセス速度の高速化が可能な不揮発性記憶装置を実現できる。
[実施の形態3]
上述のこの発明の実施の形態2においては、電気抵抗値を高抵抗状態から低抵抗状態に変化させるのに要する書込み電流の絶対値と、低抵抗状態から高抵抗状態に変化させるのに要する書込み電流の絶対値との間に差異があるトンネル磁気抵抗素子について説明した。一方、この発明の実施の形態3においては、電気抵抗値がいずれの方向に変化する場合であっても、対応の書込み電流の絶対値が略一致するトンネル磁気抵抗素子について説明する。
この発明の実施の形態3に従う不揮発性記憶装置の代表例であるMRAMデバイスの全体構成ならびに、メモリアレイおよびその周辺回路の概略構成図は、上述した図1および図2と同様であるので、詳細な説明は繰返さない。
図16は、この発明の実施の形態3に従うメモリセルMCを説明する概念図である。
図16を参照して、トンネル磁気抵抗素子TMR#は、図3に示すトンネル磁気抵抗素子TMRにおいて、自由磁化層FLに代えて自由磁化部FL#を配置したものと等価である。
自由磁化部FL#は、バリア層BALに近接する順に、第1自由磁化層FL1、第1非磁性層AML1、第2自由磁化層FL2、第2非磁性層AML2および固定磁化層PL#が積層されて形成される。そして、第1自由層FL1および第2自由層FL2は、その磁化方向を互いに反対方向に保ちつつ、書込み電流の流れる方向に応じて磁化方向を変化させる。すなわち、第1自由層FL1および第2自由層FL2は、その間に介挿される第1非磁性層AML1とともに、いわゆるSAF(Synthetic Anti Ferro-Magnet)構造を形成する。そのため、第1自由層FL1の磁化と、第2自由層FL2の磁化とは、互いに打消しあって、全体としては実質的に無磁化状態となる。
このように、SAF構造を有する自由磁化部FL#においては、構造上の非対称性を抑制できるので、第1自由磁化層FL1および第2自由磁化層FL2の磁化方向を変化させるために要する書込み電流の絶対値は、いずれの方向であっても略一致する。
一方、第2自由層FL2と、第2非磁性層AML2を介して接合される固定磁化層PL#は、固定された固定磁化層PLと同じ磁化方向を有する強磁性体である。そのため、自由磁化部FL#の全体としては、書込み電流にかかわらず、固定磁化層PLに略等しい磁化を常に生じることになる。
さらに、トンネル磁気抵抗素子TMR#の電気抵抗値は、自由磁化部FL#のうち第1自由磁化層FL1と、固定磁化層PLとにおけるそれぞれの磁化方向の相対関係に応じて変化する。具体的には、トンネル磁気抵抗素子TMR#の電気抵抗は、第1自由磁化層FL1の磁化方向と固定磁化層PLの磁化方向とが同じ(平行)である場合には低抵抗状態Rminとなり、両者の磁化方向が反対(反平行)方向である場合には高抵抗状態Rmaxとなる。
したがって、この発明の実施の形態3に従うトンネル磁気抵抗素子TMR#においては、書込み電流の流れる方向にかかわらず、抵抗値を変化させる(磁化反転を生じる)ために要する書込み電流の絶対値は互いに略一致する。
その他については、図3に示すトンネル磁気抵抗素子TMRと同様であるので、詳細な説明は繰返さない。
図17は、この発明の実施の形態3に従うメモリセルMCの磁化方向の反転を説明する図である。
図17(a)は、自由磁化部FL#から固定磁化層PLの方向に書込み電流Iw(−)が流れる場合である。
図17(b)は、固定磁化層PLから自由磁化部FL#の方向に書込み電流Iw(+)が流れる場合である。
なお、書込み電流Iwの添え字(−)および(+)は、トンネル磁気抵抗素子TMR#の電気抵抗値の変化方向を示すものである。すなわち、書込み電流Iw(−)は、トンネル磁気抵抗素子TMR#の電気抵抗値を高抵抗状態(最大抵抗値)Rmaxから低抵抗状態(最小抵抗値)Rminへ変化させる方向に流れる書込み電流を示し、書込み電流Iw(+)は、トンネル磁気抵抗素子TMR#の電気抵抗値を低抵抗状態(最小抵抗値)Rminから高抵抗状態(最大抵抗値)Rmaxへ変化させる方向に流れる書込み電流を示す。
図17(a)を参照して、書込み電流Iw(−)が自由磁化部FL#から固定磁化層PLの方向に流れることにより、固定磁化層PLから第1自由磁化層FL1へ電子が移動する一方、第2自由磁化層FL2から固定磁化層PL#へも電子が移動する。
このような電子の移動に伴って、固定磁化層PLの電子スピン方向と同一方向に偏極したスピン偏極電子が固定磁化層PLから第1自由磁化層FL1へ注入される。すると、第1自由磁化層FL1は、注入されたスピン偏極電子の偏極方向へのトルクを受け、その電子スピン方向が変化する。そして、最終的に、第1自由磁化層FL1の磁化方向は、固定磁化層PLの磁化方向と同じ、すなわち平行となる。
また、第2自由磁化層FL2からは、固定磁化層PL#の電子スピン方向と同一方向に偏極したスピン偏極電子のみが移動する。そのため、第2自由磁化層FL2には、相対的に、固定磁化層PL#の磁化方向の電子スピン方向と反対方向に偏極したスピン偏極電子の蓄積量が多くなる。そして、最終的に、第2自由磁化層FL2の磁化方向は、固定磁化層PL#の磁化方向と反対、すなわち反平行となる。
書込み電流Iw(−)は、トンネル磁気抵抗素子TMR#を貫通して流れるので、それぞれのスピン偏極電子の注入量は略一致する。その結果、第1自由層FL1と第2自由層FL2とは、その磁化方向を互いに反対方向に保ちつつ、書込み電流Iw(−)の流れる方向に応じた磁化方向に変化する。同時に、固定磁化層PLと近接する第1自由磁化層FL1の磁化反転により、トンネル磁気抵抗素子TMR#の全体の電気抵抗値は、低抵抗状態(最小抵抗値)Rminに変化する。
図17(b)を参照して、書込み電流Iw(+)が固定磁化層PLから自由磁化部FL#の方向に流れることにより、第1自由磁化層FL1から固定磁化層PLへ電子が移動する一方、固定磁化層PL#から第2自由磁化層FL2へも電子が移動する。
このような電子の移動に伴って、第1自由磁化層FL1からは、固定磁化層PLの電子スピン方向と同一方向に偏極したスピン偏極電子のみが移動する。そのため、第1自由磁化層FL1には、相対的に、固定磁化層PLの磁化方向の電子スピン方向と反対方向に偏極したスピン偏極電子の蓄積量が多くなる。そして、最終的に、第1自由磁化層FL1の磁化方向は、固定磁化層PLの磁化方向と反対、すなわち反平行となる。
また、固定磁化層PL#の電子スピン方向と同一方向に偏極したスピン偏極電子が固定磁化層PL#から第2自由磁化層FL2へ注入される。すると、第2自由磁化層FL2は、注入されたスピン偏極電子の偏極方向へのトルクを受け、その電子スピン方向が変化する。そして、最終的に、第2自由磁化層FL2の磁化方向は、固定磁化層PL#の磁化方向と同じ、すなわち平行となる。
書込み電流Iw(+)は、トンネル磁気抵抗素子TMR#を貫通して流れるので、スピン偏極電子の注入量はそれぞれの略一致する。その結果、第1自由層FL1と第2自由層FL2とは、その磁化方向を互いに反対方向に保ちつつ、書込み電流Iw(+)の流れる方向に応じた磁化方向に変化する。同時に、固定磁化層PLと近接する第1自由磁化層FL1の磁化反転により、トンネル磁気抵抗素子TMR#の全体の電気抵抗値は、高抵抗状態(最大抵抗値)Rmaxに変化する。
(データ書込み特性)
図18は、トンネル磁気抵抗素子TMR#において、磁化反転が生じる書込み電流Iwの電流値と供給時間との関係を示すグラフである。なお、図18に示すグラフにおいて、実線の紙面上側の領域が磁化反転の生じる領域である。
上述したように、SAF構造を含むトンネル磁気抵抗素子TMR#では、書込み電流Iwの流れる各方向において、磁化反転が生じる書込み電流Iwの絶対値は互いに略一致する。そのため、書込み電流Iw(−)および書込み電流Iw(+)のいずれについても、上述した図7に示すような、磁化反転が生じる書込み電流の電流値と供給時間との関係が得られる。
(読出し電流の最適化)
上述したように、書込み電流Iwの流れる方向にかかわらず、磁化反転特性は略一致するので、読出しディスターブマージンを大きくするという観点からは、読出し電流をいずれの方向に流してもよいとも考えられる。しかしながら、上述の図11で示すように、センスアンプ22は、複数の直列接続されたトランジスタに電源電圧Vddが供給されることで、読出し電流を生成する。したがって、センスアンプ22は、電圧源としての作用を持ち、接続されるメモリセルMC、すなわちトンネル磁気抵抗素子TMR#の電気抵抗値に応じて、流れる読出し電流Irの電流値が変化する。
そのため、トンネル磁気抵抗素子TMR#が低抵抗状態(最小抵抗値Rmin)である場合に比較して、高抵抗状態(最大抵抗値Rmax)である場合には、センスアンプ22から供給される読出し電流の絶対値はより小さくなる。このことは、読出し電流の流れる方向を、トンネル磁気抵抗素子TMRの電気抵抗値を高抵抗状態(最大抵抗値)Rmaxから低抵抗状態(最小抵抗値)Rminへ変化させる方向に流れる書込み電流Iw(−)と一致させることで、読出しディスターブマージンをより大きくできることを意味する。
そこで、この発明の実施の形態3においては、書込み電流Iw(−)を「0」データ書込み電流Iw(0)に相当させ、書込み電流Iw(+)を「1」データ書込み電流Iw(1)に相当させる。このような記憶データレベル「0」および「1」の割当てを行なうことで、図2に示すメモリアレイ10およびその周辺回路の構成を用いて、読出し電流Irの流れる方向を書込み電流Iw(−)と一致させることができる。
なお、その流れる方向を書込み電流Iw(−)と一致させた読出し電流Irを用いた場合には、書込み電流Iw(+)による磁化反転と同様の読出しディスターブを生じることはない。すなわち、読出し電流Irは、トンネル磁気抵抗素子TMR#を高抵抗状態(最大抵抗値Rmax)から低抵抗状態(最小抵抗値Rmin)に変化させる方向に作用するので、読出し電流Irにより、トンネル磁気抵抗素子TMR#が低抵抗状態(最小抵抗値Rmin)から高抵抗状態(最大抵抗値Rmax)に変化することはない。
このように、読出し電流の流れる方向を決定することで、読出しディスターブマージンを相対的に大きくできる。さらに、センスアンプ22(図2)における検出速度を高めるため、読出し電流値は可能な限り大きいことが望ましい。そこで、書込み電流Iw(−)に対する読出しディスターブマージンを確保できる場合には、その確保した読出しディスターブマージの範囲内において、読出し電流の電流値を書込み電流の電流値に比較して、より大きくすることもできる。
その他については、上述したこの発明の実施の形態1と同様であるので、詳細な説明は繰返さない。
この発明の実施の形態3によれば、書込み電流の流れる方向にかかわらず、抵抗値を変化させる(トンネル磁気抵抗素子の磁化反転を生じる)ために要する書込み電流の絶対値が互いに略一致するメモリセルに対して、抵抗値をより大きい値からより小さい値に変化させるために流される書込み電流の方向と一致するように、読出し電流が供給される。そのため、メモリセルが同一の電源電圧に接続されて電気抵抗値を間接測定される場合において、読出しディスターブを生じ得る読出し電流の絶対値を相対的に小さくできる。よって、データ読出し時において、メモリセルを不安定化させることがなく、読出しディスターブを抑制し、かつ、アクセス速度の高速化が可能な不揮発性記憶装置を実現できる。
[実施の形態4]
上述の実施の形態1〜3においては、スピン注入方式のMRAMメモリデバイスにおいて、熱アシスト効果を考慮したデータ読出しおよびデータ書込みを実行する構成について説明した。一方、実施の形態4においては、現行のMRAMデバイスにおいて、熱アシスト効果を考慮してデータ読出しおよびデータ書込みを実行する構成について説明する。
図19は、この発明の実施の形態4に従うMRAMデバイス2の全体構成を示す概略ブロック図である。
図19を参照して、この発明の実施の形態4に従うMRAMデバイス2は、上述したこの発明の実施の形態1に従うMRAMデバイスと同様に、外部からの制御信号(図示せず)およびアドレス信号ADDに応じてランダムアクセスを実行し、入力データDinの入力および出力データDoutの出力を実行する。
MRAMデバイス2は、n行×m列(n,m:自然数)に配列されるメモリセルMCを含むメモリアレイ10を備える。
メモリアレイ10には、メモリセル行に対応して、データ読出し用の読出しワード線RWL1〜RWLnおよびデータ書込み用の書込みワード線WWL1〜WWLnが配置される。メモリセル列にそれぞれ対応して、ビット線対BLP1〜BLPmが配置される。各ビット線対は、2本の相補のビット線で構成され、たとえば、ビット線対BLP1は、ビット線BL1および/BL1から構成される。
各メモリセルMCは、トンネル磁気抵抗素子TMRと、トンネル磁気抵抗素子と直列に接続されるアクセストランジスタATRとを含む。そして、メモリセルMCは、1行ごと
にビット線BLおよび/BLのいずれか一方と接続される。たとえば、第1番目のメモリセル列に属するメモリセルについて説明すれば、第1行目のメモリセルは、ビット線/BL1と結合され、第2行目のメモリセルはビット線/BL1と結合され、以下同様に、メモリセルの各々は、奇数行において一方のビット線/BL1〜/BLmと接続され、偶数行において、他方のビット線BL1〜BLmと接続される。
さらに、メモリアレイ10は、ビット線BL1,/BL1〜BLm,/BLmとそれぞれ結合される、データ読出し参照用の複数のダミーメモリセルDMCを有する。
ダミーメモリセルDMCは、ダミー読出しワード線DRWL1およびDRWL2のいずれか一方と対応するように、2行×m列に配置される。ダミー読出しワード線DRWL1に対応するダミーメモリセルは、ビット線BL1〜BLmとそれぞれ結合される。一方、ダミー読出しワード線DRWL2に対応する残りのダミーメモリセルは、ビット線/BL1〜/BLmとそれぞれ結合される。さらに、ダミーメモリセルの行にそれぞれ対応して、ダミー書込みワード線DWWL1,DWWL2が配置される。
ワード線ドライバ帯30は、データ読出し時において、行選択結果に応じて、各読出しワード線RWLおよびダミー読出しワード線DRWL1,DRWL2を選択的にHレベル
に活性化する。具体的には、奇数行が選択されて、選択行のメモリセルがビット線/BL1〜/BLmと接続される場合には、ダミー読出しワード線DRWL1がさらに活性化されて、ダミーメモリセル群がビット線BL1〜BLmと接続される。偶数行が選択される場合には、選択行の読出しワード線RWLに加えて、ダミー読出しワード線DRWL2が活性化される。
また、ワード線ドライバ帯30は、データ書込み時において、選択行の書込みワード線WWLの一端を、電源電圧Vddと結合する。これにより、選択行の書込みワード線WWL上に、ワード線ドライバ帯30から紙面下方向に、行方向のデータ書込み電流を流すことができる。一方、非選択行の書込みワード線WWLは、ワード線ドライバ帯30によって、基準電位Gndと結合される。
また、MRAMデバイス2は、メモリセル列にそれぞれ対応して、列選択を実行するためのカラム選択線CSL1〜CSLmが設けられる。列デコーダ25は、カラムアドレスCAのデコード結果、すなわち列選択結果に応じて、データ書込み時およびデータ読出し時の各々において、カラム選択線CSL1〜CSLmのうちの1本を選択状態(たとえば、Hレベル)に活性化する。
さらに、MRAMデバイス2は、読出しデータおよび書込みデータを伝達するための互いに相補のデータ線DBおよび/DBと、データ書込回路51Wと、データ読出回路51Rと、メモリセル列にそれぞれ対応して設けられるカラム選択ゲートCSG1〜CSGmとを含む。なお、以下では、カラム選択線CSL1〜CSLm、カラム選択ゲートCSG1〜CSGmをそれぞれ総称して、単に、カラム選択線CSL、カラム選択ゲートCSGとも称する。
各カラム選択ゲートCSGは、データ線DBと対応するビット線BLとの間に電気的に結合されるトランジスタスイッチと、データ線/DBと対応するビット線/BLとの間に電気的に結合されるトランジスタスイッチとを含む。これらのトランジスタスイッチは、対応するカラム選択線CSLの電圧に応じてオン・オフする。すなわち、対応するカラム選択線CSLが選択状態(Hレベル)に活性化された場合には、各カラム選択ゲートCSGは、データ線DBおよび/DBを、それぞれ対応するビット線BLおよび/BLと電気的に結合する。
さらに、MRAMデバイス2は、メモリセル列にそれぞれ対応して設けられる短絡スイッチトランジスタ62−1〜62−mおよび制御ゲート66−1〜66−mと、ビット線BL1,/BL1〜BLm,/BLmと基準電位Gndとの間にそれぞれ設けられるプリチャージトランジスタ64−1a,64−1b〜64−ma,64−mbとを含む。
なお、以下においては、短絡スイッチトランジスタ62−1〜62−m、プリチャージトランジスタ64−1a,64−1b〜64−ma,64−mb、制御ゲート66−1〜66−mをそれぞれ総称して、単に、短絡スイッチトランジスタ62、プリチャージトランジスタ64、制御ゲート66とも称する。
各制御ゲート66は、対応するカラム選択線CSLと制御信号WEとの論理積の演算結果を出力する。したがって、データ書込み時には、カラムアドレスCAに対応する選択列において、制御ゲート66の出力が選択的にHレベルへ活性化される。
短絡スイッチトランジスタ62は、対応する制御ゲート66の出力にそれぞれ応答して
オン・オフする。したがって、データ書込み時には、カラムアドレスCAに対応する選択列において、ビット線BLおよび/BLの一端同士は、短絡スイッチトランジスタ62によって電気的に結合される。
各プリチャージトランジスタ64は、ビット線プリチャージ信号BLPRの活性化に応答してオンすることにより、ビット線BL1,/BL1〜BLm,/BLmの各々を基準電位Gndにプリチャージする。ビット線プリチャージ信号BLPRは、MRAMデバイス2のアクティブ期間において、少なくともデータ読出し実行前の所定期間においてHレベルに活性化される。一方、MRAMデバイス2のアクティブ期間におけるデータ読出し動作時およびデータ書込み動作時において、ビット線プリチャージ信号BLPRは、Lレベルに非活性化されて、プリチャージトランジスタ64はオフされる。
なお、実施の形態4においては、書込みワード線WWLが「書込み線」を実現し、ビット線BLおよび/BLが「第1および第2の読出し線」を実現する。
(データ書込み動作)
ワード線ドライバ帯30は、選択されたメモリセルの選択行に対応する書込みワード線WWLを電源電圧Vddに活性化する。各書込みワード線WWLの一端は、基準電位Gndと結合されているので、選択行の書込みワード線WWLには、ワード線ドライバ帯30から紙面下側に向かう方向にデータ書込み電流が流される。一方、非選択行においては、書込みワード線WWLは非活性状態(Lレベル)に維持されるので、データ書込み電流は流れない。
列デコーダ25が選択列のカラム選択線CSLを選択状態(Hレベル)に活性化すると、選択列のビット線BLおよび/BLの一端の各々は、データ線DBおよび/DBとそれぞれ結合される。さらに、対応する短絡スイッチトランジスタ62がターンオンして、選択列のビット線BLおよび/BLの他端同士を短絡させる。
データ書込回路51Wは、データ線DBおよび/DBを、それぞれ電源電圧Vddまたは基準電位Gndのいずれか一方に設定する。たとえば、入力データDinのデータレベルがLレベルである場合には、データ線DBにLレベルデータを書込むためのデータ書込電流−Iwが流される。
選択列のビット線BLに流されるデータ書込み電流−Iwは、短絡スイッチトランジスタ62によって折返される。これにより、他方のビット線/BLにおいては、反対方向のデータ書込み電流+Iwが流される。ビット線/BLを流れるデータ書込み電流+Iwは、カラム選択ゲートCSGを介してデータ線/DBに伝達される。
入力データDinのデータレベルがHレベルである場合には、データ線DBおよび/DBの電圧設定を入れ替えることによって、反対方向のデータ書込電流を、選択列のビット線BL,/BLに流すことができる。
これにより、対応する書込みワード線WWLおよびビット線BL(/BL)の両方にデータ書込み電流が流された選択メモリセルに対して、データ書込が実行される。
図20は、この発明の実施の形態4に従うメモリセルMCの構成およびデータ記憶原理を説明する概念図である。
図20を参照して、トンネル磁気抵抗素子TMRは、上述の実施の形態1と同様に、固定された一定の磁化方向を有する強磁性体である固定磁化層PLと、素子に流す電流によって磁化方向が反転する強磁性体である自由磁化層FLと、固定磁化層PLと自由磁化層FLとの間にトンネル効果を生じるように形成される絶縁体膜であるバリア層BALとからなる。
自由磁化層FLは、書込まれるデータのレベルに応じて切替えられる、書込み電流の流れる方向に応じて固定磁化層PLと同一方向(平行)、または固定磁化層PLと反対方向(反平行)に磁化される。これらの固定磁化層PL、バリア層BALおよび自由磁化層FLによって磁気トンネル接合(MTJ)は形成される。
トンネル磁気抵抗素子TMRの電気抵抗値は、固定磁化層PLおよび自由磁化層FLにおけるそれぞれの磁化方向の相対関係に応じて変化する。具体的には、トンネル磁気抵抗素子TMRの電気抵抗は、自由磁化層FLの磁化方向と固定磁化層PLの磁化方向とが同じ(平行)である場合には低抵抗状態Rminとなり、両者の磁化方向が反対(反平行)方向である場合には高抵抗状態Rmaxとなる。
データ書込み時においては、読出しワード線RWLが非活性化されて、アクセストランジスタATRはターンオフされる。この状態で、自由磁化層FLを磁化するためのデータ書込み磁界H(BL)およびH(WWL)が、ビット線BLおよび書込みワード線WWLを流れるデータ書込み電流によってそれぞれ発生される。特に、ビット線BL上のデータ書込電流は、書込データのレベルに応じて、互いに反対方向の+Iwおよび−Iwの一方に設定されるので、自由磁化層FLに印加されるデータ書込磁界H(BL)の方向は、書込データのレベルに応じて異なる。
ここで、書込みワード線WWLから印加される書込み磁界H(WWL)により、トンネル磁気抵抗素子TMRには熱エネルギーが生じ、トンネル磁気抵抗素子TMRの自由磁化層FLの磁化方向が不安定化する。すなわち、書込みワード線WWLから印加される書込み磁界H(WWL)により、トンネル磁気抵抗素子TMRには「熱アシスト効果」が生じる。そのため、磁化反転を生じさせる書込みワード線WWLにおける書込み電流値とその供給時間との関係は、この発明の実施の形態1における図7と同様となる。
したがって、書込みワード線WWLにおける書込み電流の供給時間を長くすると、周囲温度に対するトンネル磁気抵抗素子TMRの記憶データの信頼性、すなわち熱擾乱耐性が低下する。そこで、書込みワード線WWLにおける書込み電流の供給時間は、その書込み電流により印加される書込み磁界H(WWL)で生じるトンネル磁気抵抗素子TMRにおける温度上昇の時定数より短くなるように設定する。具体的には、ワード線ドライバ帯30が、選択行の書込みワード線WWLの一端を電源電圧Vddと結合する時間を所定の時間となるように制御する。さらに、書込みワード線WWLにおける書込み電流の供給時間は、5[ns]より短いことが望ましい。
(データ読出し動作)
再度、図19を参照して、ワード線ドライバ帯30は、選択されたメモリセルの選択行に対応する読出しワード線RWLをHレベルに活性化する。非選択行においては、読出しワード線RWLの電圧レベルは非活性状態(Lレベル)に維持される。データ読出しが開始され、選択行の読出しワード線RWLが活性化されて、対応するアクセストランジスタATRがターンオンすると、選択行に対応するメモリセルMCは、アクセストランジスタATRを介して、ビット線BL,/BLと基準電位Gndとの間に電気的に結合される。
データ読出回路51Rは、所定の読出し電流をデータ線DBおよび/DBに供給する。また、列デコーダ25は、データ書込み時と同様に、カラムアドレスCAに応じて、選択列のカラム選択線CSLを選択状態(Hレベル)に活性化する。
すると、列デコーダ25から供給される読出し電流は、データ線DB,/DBおよび選択列のビット線BL,/BLを介して、選択メモリセルMCのトンネル磁気抵抗素子TMRを通過する。これにより、選択列のビット線BL,/BLの一方およびデータ線DB,/DBの一方には、トンネル磁気抵抗素子TMRの電気抵抗値、すなわち選択メモリセル記憶データのレベルに応じた電圧変化が生じる。同様に、選択列のビット線BL,/BLの他方およびデータ線DB,/DBの他方には、ダミーメモリセルDMCのダミー抵抗素子TMRdの電気抵抗値に応じた電圧変化が生じる。
データ読出回路51Rは、このようにして生じたデータ線DBおよび/DBの間の電圧差を検知増幅して、選択メモリセルの記憶データを出力データDoutとして出力する。
ここで、ビット線BLまたは/BLから供給される読出し電流がトンネル磁気抵抗素子TMRを通過することで、トンネル磁気抵抗素子TMRには熱エネルギーが生じ、トンネル磁気抵抗素子TMRの自由磁化層FLの磁化方向が不安定化する。すなわち、読出し電流により、トンネル磁気抵抗素子TMRには「熱アシスト効果」が生じる。
したがって、上述の書込み動作時と同様に、読出し電流の供給時間を長くすると、周囲温度に対するトンネル磁気抵抗素子TMRの記憶データの信頼性、すなわち熱擾乱耐性が低下する。そこで、読出し電流の供給時間は、その読出し電流で生じるトンネル磁気抵抗素子TMRにおける温度上昇の時定数より短くなるように設定する。具体的には、ワード線ドライバ帯30による読出しワード線RWLの活性化時間の制御、データ読出回路51Rによる読出し電流供給時間の制御、および列デコーダによるカラム選択線CSLの活性化時間の制御、のいずれかまたは複数の組み合わせにより、読出し電流の供給時間が所定の時間となるように制御する。さらに、読出し電流の供給時間は、10[ns]より短いことが望ましい。
この発明の実施の形態4によれば、書込み電流の供給時間が書込み磁界の印加により生じるメモリセルにおける温度上昇の時定数より短くなるように、選択されたメモリセルに対応する書込みワード線に書込み電流が供給される。また、読出し電流の供給時間が読出し電流により生じるメモリセルにおける温度上昇の時定数より短くなるように、選択されたメモリセルに読出し電流が供給される。よって、書込み磁界および読出し電流によるメモリセルにおける熱アシスト効果を抑制することができ、周囲などからの温度外乱に対する熱擾乱耐性を高めた不揮発性記憶装置を実現できる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1,2 MRAMデバイス、4a,4b メモリマット、10,10a,10b メモリアレイ、12 コントロール回路、14 データ入出力回路、16 行デコーダ、18a,18b,30 ワード線ドライバ帯、20,22a,22b 読出/書込回路、22
センスアンプ、24a,24b,25,26a,26b 列デコーダ、40 Vref発生回路、42 インバータ、44 アンプ、51W データ書込回路、51R データ読出回路、62 短絡スイッチトランジスタ、64 プリチャージトランジスタ、66 制御ゲート、ADD アドレス信号、ATR アクセストランジスタ、ATRd ダミーアクセストランジスタ、BAL バリア層、BL,/BL ビット線、BLP ビット線対、BLPR ビット線プリチャージ信号、CA カラムアドレス、CLK クロック信号、CMD 制御信号、CSG カラム選択ゲート、CSL カラム選択線、DB,/DB データ線、Din 入力データ、DMC ダミーメモリセル、Dout 出力データ、DRWL1,DRWL2 ダミー読出しワード線、DWDV ダミーワード線ドライバ、DWL ダミーワード線、DWWL1,DWWL2 ダミー書込みワード線、FL 自由磁化層、GIw 書込みゲート、Gnd 基準電位、MC メモリセル、PL 固定磁化層、QN1,QN2,QN3,QN4,QN10,QNS,QP1,QP2,QP3,QP4,QP5,QP6,QPS,QP10,QP11,QP12,QV1,QV2 トランジスタ、RA ロウアドレス、RD,/RD データ線、Rmax,Rmin 電気抵抗値、RWL 書込みワード線、SAE,/SAE センスアンプイネーブル、SN,/SN センスノード、Sout,/Sout センス出力、SRCIw 電流源、TMR トンネル磁気抵抗素子、TMRd ダミー抵抗素子、Vdd 電源電圧、Vref 参照電圧、WDV ワード線ドライバ、WL ワード線、WWL 書込みワード線。