図11は、導電性の異物が混入した液晶表示パネル20の断面構造を示した図である。図示されるようにTFTアレイ基板21は、可撓性のガラス基板22の上面に画素電極23がマトリクス状に形成された構成となっている。画素電極23の上には、絶縁膜25が形成されている。また、CF基板26は、同じく可撓性のガラス基板27の下面に共通電極28が形成された構成となっている。そして、これら両電極23,28間には、液晶24が封入されている。
また、TFTアレイ基板21には複数本のゲート電極31と同じく複数本のソース電極32とが交差するように形成され、隣り合うゲート電極31,31と隣り合うソース電極32,32とで囲まれた領域にはそれぞれ上述した画素電極23が形成されている。更に、ゲート電極31とソース電極32の交差部近傍には薄膜トランジスタ(TFT)33が形成されている。TFT33はゲート電極31に印加されるゲート信号電圧によりオン・オフされて、ソース電極32からのソース信号電圧が半導体層34とドレイン電極35を介して画素電極23に印加されるようになっている。また、CF基板26には、上述したゲート電極31とソース電極32を遮光するように格子形状のブラックマトリクス36が形成されており、隣り合うブラックマトリクス36,36で囲まれた領域には、赤、青、緑等の着色層37が形成されている。
図11に示されるように、何らかの理由により、導電性異物38が画素電極23上に混入し、その状態で絶縁膜25が形成されているため、導電性異物38は絶縁膜25で覆われている。この場合、導電性異物38の大きさは画素電極23と共通電極28の間の間隔程度の大きさを有している。図示されるように、この状態では導電性異物38による両電極23,28間の短絡は発生していないが、何らかの理由で絶縁膜25が剥がれて導電性異物38の先端が共通電極28に接触すると両電極23,28間の短絡が発生するという不安定な状態となっている。
このような導電性異物38による両電極23,28間の短絡が不安点な状態から両電極23,28間を短絡させた状態にするために上述したゴムローラ治具50で液晶表示パネル20の表面を押圧して両電極間23,28の間隔を狭めても、導電性異物38を覆う絶縁膜25が介在しているため、図12に示されるように導電性異物38の先端が共通電極28に接触せず、両電極23,28間の短絡による表示欠陥が発生しない場合があった。したがって、ゴムローラ治具50を用いて液晶表示パネル20の表面を押圧するだけでは、このような両電極23,28間の短絡が不安定な導電性異物38の混入を検出することができない。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、液晶表示パネルの基板間に混入した導電性の異物による短絡が不安定な場合であっても、これを確実に短絡させて導電性異物による表示欠陥を顕在化させることができる液晶表示パネルの異物検出方法および異物検出装置を提供することである。
上記課題を解決するため本発明は、一対の可撓性の基板間に液晶が介在された液晶表示パネルの該基板間に混入した導電性の異物の有無を検出する異物検出方法であって、前記液晶表示パネルの一方の面に設けられた前記液晶表示パネルを支持する一対の支持部材と、他方の面に設けられた前記支持部材間に位置して前記液晶表示パネルを押圧する押圧部材との間に前記液晶表示パネルを通過させて、前記液晶表示パネルに撓みを起こして前記基板同士が面方向において互いにずらされるようにしたことにより、前記基板間に混入した導電性の異物による表示欠陥を顕在化させることを要旨とするものである。
このような構成の液晶表示パネルの異物検出方法によれば、液晶表示パネルの一方の面に設けられた液晶表示パネルを支持する一対の支持部材と、他方の面に設けられた支持部材間に位置して液晶表示パネルを押圧する押圧部材との間に液晶表示パネルを通過させることにより、液晶表示パネルに撓みを起こして基板同士が面方向において互いにずらされることになる。したがって、例えば図11に示したように電極23,28間に混入した導電性異物38の先端が絶縁膜25で覆われていて両電極23,28に短絡が発生していない不安定な状態でも、図5に示されるように導電性異物38の先端の絶縁膜25が擦らされることにより剥がすことができ、両電極23,28を導電性異物38による短絡を発生させることができる。また、図5に示される構成とは逆にCF基板側から導電性異物が突き出している場合も、TFTアレイ基板の電極上の絶縁膜を剥がして両電極の短絡を発生させることができる。
これにより、従来用いられてきたゴムローラ治具による液晶表示パネルの一方の面への押圧では顕在化させることができなかった基板間に混入した導電性の異物による表示欠陥を顕在化させることができる。
この場合、前記支持部材は円筒形状を有する回転自在な支持ローラであると共に、前記押圧部材は円筒形状を有する回転自在な押圧ローラである構成にすれば、液晶表示パネルをこれらローラ間に通過させ易くなると共に、簡便に液晶表示パネルに撓みを起こして基板同士を面方向において互いにずらすことができる。
また、前記基板がガラス製である場合において、前記支持ローラと前記押圧ローラの少なくとも一方のローラの表面がナイロン製の樹脂層により覆われている構成にすれば、ガラス製の基板と帯電列において順位が近いナイロンでローラ表面が覆われていることにより、両者を帯電し難くすると共に帯電量も少なくすることができる。帯電列とは、異種の材料間で接触、摩擦が生じた場合に、正(+)に帯電し易い材料と、負(−)に帯電し易い材料を順に表したもので、液晶表示パネルを構成する基板がガラス製である場合に、これに接触、摩擦されるローラの表面を帯電列においてガラスと順位が近いナイロン製の樹脂層で覆うことで、液晶表示パネルが帯電してしまうことが抑制される。通常、液晶表示パネルが帯電してしまうとムラとなって表示されてしまうことがあり、液晶表示パネルの点灯検査の際の妨げになってしまうが、これを防止することができる。この場合、支持ローラと押圧ローラの双方の表面をナイロン製の樹脂層により覆うのが好ましく、液晶表示パネルが帯電してしまうことが更に防止されることになる。
更に、このようなローラの表面を覆うナイロン製の樹脂層は、その周方向に沿って複数の隙間が形成されることにより、弾性が付与されたクッション層として構成されているようにすれば、例えば、液晶表示パネル表面に異物が付着した場合に、ローラ表面がクッション層として機能するので、異物による液晶表示パネル表面への傷つきが防止されることになる。
そして、前記液晶表示パネルを撓ませる撓み量が0.5mm〜2mmである構成にすれば、液晶表示パネルを構成する対になった可撓性の基板のそれぞれの板厚が一般的な0.7mm程度のガラス基板であれば、液晶表示パネルを破損させることなく撓ませることが可能である。
また、前記支持部材と前記押圧部材との間を通過させた液晶表示パネルを点灯検査する構成にすれば、撓まされることにより導電線異物による表示欠陥が顕在化された液晶表示パネルの表示欠陥を検出することができる。
また、上記課題を解決するため本発明は、一対の可撓性の基板間に液晶が介在された液晶表示パネルの該基板間に混入した導電性の異物の有無を検出する異物検出装置であって、前記液晶表示パネルの一方の面には前記液晶表示パネルを支持する一対の支持部材と、他方の面には前記支持部材間に位置して前記液晶表示パネルを押圧する押圧部材とを備え、前記液晶表示パネルをこれら支持部材と押圧部材との間に通過させた際には、前記液晶表示パネルに撓みを起こして前記基板同士が面方向において互いにずらされるようにしたことにより、前記基板間に混入した導電性の異物による表示欠陥を顕在化させることを要旨とするものである。
このような構成の液晶表示パネルの異物検出装置によれば、液晶表示パネルの一方の面には液晶表示パネルを支持する一対の支持部材と、他方の面には支持部材間に位置して液晶表示パネルを押圧する押圧部材とを備え、液晶表示パネルをこれら支持部材と押圧部材との間に通過させた際には、液晶表示パネルに撓みを起こして基板同士が面方向において互いにずらされるようにしたことにより、基板間に混入した導電性の異物による表示欠陥を顕在化させるので、例えば図11に示したような電極23,28間に混入した導電性異物38の先端が絶縁膜25で覆われていて両電極23,28に短絡が発生していない不安定な状態でも、図5に示されるように導電性異物38の先端の絶縁膜25が擦らされることにより剥がすことができ、両電極23,28間の導電性異物38による短絡を発生させることができる。これにより、従来用いられてきたゴムローラ治具による液晶表示パネルの表面の押圧では顕在化させることができなかった基板間に混入した導電性の異物による表示欠陥を顕在化させることができる。
この場合、前記支持部材は円筒形状を有する回転自在の支持ローラであると共に、前記押圧部材は円筒形状を有する回転自在の押圧ローラである構成にすれば、液晶表示パネルをこれらローラ間に通過させ易くなると共に、簡便に液晶表示パネルに撓みを起こして基板同士を面方向において互いにずらすことができる。
また、前記支持ローラを回転駆動する手段が備えられている構成にすれば、液晶表示パネルをこれらローラ間に通過させつつ搬送することができるので、簡便に液晶表示パネルに撓みを起こして基板同士を面方向において互いにずらすことができると共に、従来用いられてきたゴムローラ治具による液晶表示パネルの表面を押圧する作業よりも作業者への負担が少ない上に時間も短縮される。
また、前記基板がガラス製である場合において、前記支持ローラと前記押圧ローラの少なくとも一方のローラの表面がナイロン製の樹脂層により覆われている構成にすれば、ガラス製の基板と帯電列において順位が近いナイロンでローラ表面が覆われていることにより、両者を帯電し難くすると共に帯電量も少なくすることができる。これにより、液晶表示パネルが帯電してしまうことが抑制されるので、ムラとなって表示されてしまうことが防止される。この場合、支持ローラと押圧ローラの双方の表面をナイロン製の樹脂層により覆うのが好ましく、液晶表示パネルが帯電してしまうことが更に防止されることになる。
更に、このようなローラの表面を覆うナイロン製の樹脂層は、その周方向に沿って複数の隙間が形成されることにより、弾性が付与されたクッション層として構成されているようにすれば、例えば、液晶表示パネルに異物が付着した場合に、ローラ表面がクッション層として機能するので、ローラ間を通過させた際の異物による液晶表示パネルへの傷つきが防止されることになる。
そして、前記液晶表示パネルを撓ませる撓み量が0.5mm〜2mmである構成にすれば、液晶表示パネルを構成する対になった可撓性の基板のそれぞれの板厚が一般的な0.7mm程度のガラス基板であれば、液晶表示パネルを破損させることなく撓ませることが可能である。
また、前記支持部材と前記押圧部材との間を通過させた液晶表示パネルを点灯検査する点灯検査手段を備えている構成にすれば、撓まされることにより導電線異物による表示欠陥が顕在化された液晶表示パネルの表示欠陥を検出することができる。
本発明に係る液晶表示パネルの異物検出方法および異物検出装置によれば、液晶表示パネルに撓みを起こして基板同士が面方向において互いにずらされるようにしたことにより、基板間に混入した導電性の異物による表示欠陥を顕在化させるので、従来用いられてきたゴムローラ治具による液晶表示パネルの一方の面への押圧では顕在化させることができなかった基板間に混入した導電性の異物による表示欠陥を顕在化させることができる。
以下に、本発明に係る液晶表示パネルの異物検出方法および異物検出装置の実施の形態ついて、図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明に係る液晶表示パネルの異物検出装置の概略構成を示す上面図、図2〜図4は図1の異物検出装置が液晶表示パネルを搬送しつつ撓ませる動作を順に示した側面図、図5は基板間に導電性異物が混入した液晶表示パネルの基板同士がずらされた状態の概略構成を示した断面図である。尚、以下の説明においては、図11および図12で説明した液晶表示パネル20を構成する部材と同一の構成については同符号を付して説明は省略する。
図1に示されるように異物検出装置1には、液晶表示パネル20を下面から水平に支持する2本の支持ローラ3,3と、これら2本の支持ローラ3,3間のほぼ中央に位置して液晶表示パネル20を上面から押圧する1本の押圧ローラ4とが、装置フレーム5,6の中央に備えられている。
支持ローラ3は、ニトリルゴム材料からなる円筒形状の2本のゴムローラ3a,3aが中央で連結部3bを介して連結された構成となっている。この場合、ゴムローラ3aは、直径が約60mmでゴム硬度が約Hs70のものが用いられている。また支持ローラ3,3間の距離は約100mmとなっている。
このような支持ローラ3の両端からはそれぞれ支軸3c,3dが突設されている。一方の支軸3cは、図中下側に設けられた装置フレーム5に回転可能に支持されている。他方の支軸3dは、図中上側に設けられた装置フレーム6に回転可能に支持されると共に、その先端には歯車7が取り付けられ、この歯車7に噛合する歯車8が軸部材9に取り付けられている。この軸部材9は、モータ10の駆動により回転するようになっており、モータ10の駆動に伴って支持ローラ3は回転するようになっている。これにより支持ローラ3,3上に載置された液晶表示パネル20を、この場合図示されるように図中右側から左側へと搬送することができようになっている。
また、押圧ローラ4は、同じくニトリルゴム材料からなる円筒形状の2本のゴムローラ4a,4aが中央で連結部4bを介して連結された構成となっている。この場合、ゴムローラ4aは、直径が約30mmでゴム硬度が約Hs70のものが用いられている。また、押圧ローラ4の両端からはそれぞれ支軸4c,4dが突設されている。支軸4c,4dは、それぞれ支持ブラケット11により回転自在に支持されている。図2に示されるように、支持ブラケット11はエアシリンダ12の伸縮自在なシリンダロッド12aの先端に固定されている。この場合、エアシリンダ12はシリンダロッド12aの伸縮方向が液晶表示パネル20の上面に対して垂直方向となるように上方に設けられた装置フレーム13に固定されている。したがって、押圧ローラ4は、エアシリンダ12の動作により支持ローラ3,3上に支持された液晶表示パネル20に対して相対的に上下に移動することが可能となっている。
これら支持ローラ3,3と押圧ローラ4の前後には液晶表示パネル20の下面を水平に支持する複数本の搬送ローラ14が備えられている。各搬送ローラ14の両端からはそれぞれ支軸14a,14bが突設されており、それぞれ装置フレーム5,6に回転可能に支持されている。
次に、このような構成の異物検出装置1の動作の手順について図2〜図4を用いて説明する。図2に示されるように、先ず、支持ローラ3,3の右側に設けられた搬送ローラ14の上に液晶表示パネル20を載置し、その液晶表示パネル20の左端部が2本の支持ローラ3,3の上に位置するように搬送する。このとき、押圧ローラ4はまだ支持ローラ3,3の上方位置に離間されており、液晶表示パネル20の上面をまだ押圧していない状態になっている。
そして、図3に示されるように、エアシリンダ12の駆動により押圧ローラ4が上方から下降されると、支持ローラ3,3に支持された領域の中央位置において液晶表示パネル20の上面が押圧される。このとき、押圧ローラ4の下端の水平面と支持ローラ3,3の上端の水平面の差が約1mm重なる位置まで押圧ローラ4はエアシリンダ12により下降される。したがって、支持ローラ3,3の間に支持された領域の液晶表示パネル20は、図示されるように支持ローラ3,3と押圧ローラ4によって下側に約1mm変位するように撓まされることになる。
次に、支持ローラ3,3をモータ10の駆動により回転動させると、図4に示されるように、液晶表示パネル20の全面が支持ローラ3,3と押圧ローラ4との間を撓まされつつ通過することなる。
このように支持ローラ3,3と押圧ローラ4との間を撓まされつつ通過した液晶表示パネル20の基板21,26間に上述した図11に示されるような導電性異物38が混入していた場合について説明する。
図3および図4に示されるように、支持ローラ3,3と押圧ローラ4により液晶表示パネル20が撓まされることによって液晶表示パネル20に曲げ応力が加えられるので、液晶表示パネル20の下側の基板(TFTアレイ基板)21と上側の基板(CF基板)26のそれぞれの曲率半径の差によって、基板21,26同士が面方向においてずらされることなる。具体的には、図示されるように、右側の支持ローラ3と押圧ローラ4の間における液晶表示パネル20は、下側の基板21の曲率半径と上側の基板26の曲率半径の差によって、下側の基板21は左方向へ、上側の基板26は右方向へとずらされることになる。
また、同じく左側の支持ローラ3と押圧ローラ4の間における液晶表示パネル20は、下側の基板21の曲率半径と上側の基板26の曲率半径の差によって、下側の基板21は右方向へ、下側の基板26は左方向へとずらされることになる。
図5はこのような左側の支持ローラ3と押圧ローラ4の間を通過する際に基板21,26同士が面方向においてずらされた状態の液晶表示パネル20の断面構造を示している。図示されるように液晶表示パネル20の下側の基板(TFTアレイ基板)21は右方向へずらされ、上側の基板(CF基板)26は左方向へとずらされている。このように基板21,26同士が面方向においてずらされるので、図11に示したように電極23,28間に混入した導電性異物38の先端が絶縁膜25で覆われていて両電極23,28に短絡が発生していない不安定な状態でも、図5に示されるように、その導電性異物38の先端の絶縁膜25が擦らされることにより剥がすことができる。これにより、絶縁膜25が剥がされて先端が露出された導電性異物38と共通電極28が接触されることで、両電極23,28間の導電性異物38による短絡を発生させることができる。
このように、両電極23,28間に混入した導電性異物38の先端が絶縁膜25で覆われていて両電極23,28間に短絡が発生していない不安定な状態の部分を有した液晶表示パネル20でも、上述した支持ローラ3,3と押圧ローラ4との間を通過させることで、撓みを起こして曲げ応力を発生させることにより、基板21,26同士が面方向において互いにずらされるようにしたので、基板21,26間に混入した導電性異物38による表示欠陥を顕在化させることができる。
次に上述した異物検出装置1による処理が行われた後の液晶表示パネル20を点灯検査する点灯検査手段について説明する。図6に示されるように点灯検査手段40には、液晶表示パネル20の画像表示領域が露出するように矩形状に開口されて、液晶表示パネル20が載置されるステージ41と、このステージ41に載置された液晶表示パネル20に向かって下方から光を照射するバックライト42が備えられている。また、ステージ41に載置された液晶表示パネル20の端部に形成された信号入力部に検査信号を入力する信号入力ピン43を有したフレーム44が備えられている。
このような点灯検査手段40による点灯検査の手順について説明する。先ず、上述した異物検出装置1によって撓まされることにより導電性異物38による表示欠陥が顕在化された液晶表示パネル20をステージ41上に載置する。次に、フレーム44を下降させて液晶表示パネル20の信号入力部にその信号入力ピン43を当接させる。これにより図示しない検査信号を発生する回路と液晶表示パネル20の信号入力部が信号入力ピン43を介して電気的に接続された状態になる。
そして、バックライト42を点灯させた状態で、液晶表示パネル20の信号入力部に検査信号を入力することにより、液晶表示パネル20の画像表示領域の全ての画素が可視状態にされる。可視状態にされた液晶表示パネル20に表示された検査画像が作業者の目視により観察されて、その検査画像中に上述した導電性異物38が原因のライン状の表示欠陥や点状の表示欠陥がある場合は不良品とされる。
このような液晶表示パネル20の点灯検査では、図12に示されるようにゴムローラ治具50で押圧された状態の液晶表示パネル20については混入した導電性異物38による欠陥が発見されない場合においても、図5に示されるように異物検出装置1によって撓まされた状態の液晶表示パネル20については混入した導電性異物38による欠陥が発見されることになる。したがって、導電性異物38による両電極23,28間の短絡が不安定な状態を有した液晶表示パネル20は、異物検出装置1によって両電極23,28間の短絡が顕在化され、点灯検査で確実に不良とされるので、このような液晶表示パネルが市場に流出することが防止される。
以上説明したように本発明に係る異物検出装置1によれば、液晶表示パネル20の一方の面には液晶表示パネル20を支持する2本の支持ローラ3,3と、他方の面には支持ローラ3,3間に位置して液晶表示パネル20を押圧する押圧ローラ4とを備えており、液晶表示パネル20をこれら支持ローラ3,3と押圧ローラ4との間に通過させた際には、液晶表示パネル20に撓みを起こして基板21,26同士が面方向において互いにずらされるようになっている。
これにより図11に示したようにTFTアレイ基板21の画素電極23とCF基板26の共通電極28との間に混入した導電性異物38の先端が絶縁膜25で覆われていて両電極23,28間に短絡が発生していない不安定な状態でも、図5に示されるように導電性異物38の先端の絶縁膜25が擦らされることにより剥がすことができるので、両電極23,28間の導電性異物38による短絡を発生させることができる。
したがって、図10に示したようなゴムローラ治具50による液晶表示パネル20の表面の押圧では顕在化させることができなかった基板21,26間に混入した導電性異物38による表示欠陥を顕在化させることが可能になる。
この場合、上述したようにモータ10により支持ローラ3,3が回転駆動されるので、液晶表示パネル20をこれら支持ローラ3,3と押圧ローラ4との間に通過させつつ搬送することができるので、簡便に液晶表示パネル20に撓みを起こして基板21,26同士を面方向において互いにずらすことができる。したがって、ゴムローラ治具50による液晶表示パネル20の表面の全てを押圧する場合よりも作業者への負担が少ない上に時間も短縮される。
また、上述したように支持ローラ3,3間に位置する領域の液晶表示パネル20が、図3および図4に示されるように支持ローラ3,3と押圧ローラ4によって下側に約1mm変位するように撓まされるので、一般的に用いられている液晶表示パネル20を構成する対になった基板21,26のそれぞれの板厚が0.7mm程度の可撓性を有するガラス基板等であれば、液晶表示パネル20を破損させることなく撓ませることができる。
次に、上述した異物検出装置1が備える支持ローラ3の第1の変形例について図7の断面図を用いて説明する。図示されるように支持ローラ3は、金属製のシャフト3eを中心軸としたゴムローラ3aの表面に所定の厚みを有する円筒形状のナイロン製の樹脂層16が形成された構成を有している。これはガラス製であるガラス基板22と帯電列において順位が近いナイロンで支持ローラ3表面を覆うことにより、両者を帯電し難くすると共に帯電量も少なくするための構成である。
帯電列とは、図8の帯電列図に示されるような、異種の材料間で接触、摩擦が生じた場合に、正(+)に帯電し易い材料と、負(−)に帯電し易い材料を順に表したもので、電子を放ち易い材料、或いは、電子を受け取り易い材料の序列を示している。
この場合、図8に示されるように正(+)に帯電し易い材料を上位にし、負(−)に帯電し易い材料を下位にして並べられている。例えば、帯電列より任意のA材料とB材料を擦り合わせた場合に、A材料がB材料より+側に近い場合は、A材料は+側に帯電しB材料は−側に帯電することを示している。したがって、帯電列上で順位が近い位置にある材料同士が接触、摩擦した場合には、比較的帯電量が少なく、遠い位置にある材料同士が接触、摩擦した場合には、帯電量が多くなることが知られている。
上述した液晶表示パネル20の構成部材であるガラス基板はガラス製であることから、これに帯電列上で順位が遠い位置になるゴム材料からなる支持ローラ3を接触させると、ガラス基板が正(+)に帯電すると共に、その帯電量が多くなるおそれがある。通常、液晶表示パネル20が帯電してしまうとこれがムラ(静電ムラ)となって表示されてしまうことがあり、液晶表示パネル20の上述した点灯検査の際の妨げになってしまう。
そこで、上述した異物検出装置1によって液晶表示パネル20に接触、摩擦される支持ローラ3の表面を図示される帯電列図においてガラスと順位が近いナイロン製の樹脂層16で一様に覆うことで、液晶表示パネル20が帯電してしまうことが抑制される。
特に、上述した異物検出装置1を通過する際に支持ローラ3が接触される液晶表示パネル20のTFT基板21には、画素電極23やゲート電極31などの各種電極が形成されているため帯電され易いが、この支持ローラ3の表面をナイロン製の樹脂層16で覆うことで、そのような帯電を抑制することが可能である。
尚、図示しないが、押圧ローラ4も、その表面を支持ローラ3と同様にナイロン製の樹脂層16で覆う構成とすることで、更に液晶表示パネル20が帯電してしまうことを抑制することができることから、これら支持ローラ3と押圧ローラ4の双方の表面をナイロン製の樹脂層16により覆うのが好ましい。
次に、支持ローラ3の第2の変形例について図9(a)を用いて説明する。図示されるように支持ローラ3は、金属製のシャフト3eを中心にその外周が図7に示したナイロン製の樹脂層16よりも厚みが大きい円筒形状を有するナイロン製の樹脂層17に覆われた構成となっている。
このナイロン製の樹脂層17の表面から所定の深さの部位には、断面円形状の隙間17aと断面鼓形状の隙間17bがその周方向に沿って交互に複数開口形成されており、この隙間17a,17bが形成された部分は、弾性が付与されたクッション層として機能するようになっている。
このようなナイロン製の樹脂層17の表面にクッション性を持たせることで、例えば、液晶表示パネル20の支持ローラ3が接触する面に異物が付着していた場合に、支持ローラ3がその異物上に乗り上げられた際に、支持ローラ3表面がその異物の形状に沿って内側に窪むことで、異物による液晶表示パネル20への局所的な応力が緩和されるようになっている。したがって、異物検出装置1が備えるローラ3,4間に液晶表示パネル20を通過させた際のそのような異物による液晶表示パネル20への傷つきが防止されることになる。
このようなナイロン製の樹脂層17の表面にクッション性を持たせる構造としては、図9(b)に示されるような構造もある。この場合、図示される隙間17c,17c,17c,・・・は、その開口断面が略D字形状に形成されており、この場合、このような支持ローラ3の回転方向を図中矢印で示されるようなD字形状の隙間17cの右側方向とすることで、上述した異物に乗り上げた際の表面を内側に窪みさせ易く、クッション層として効果的に機能させることができる。
尚、図示しないが、押圧ローラ4も、その表面を図9(a)および(b)に示した支持ローラ3と同様に隙間17a,17b(17c)を有したナイロン製の樹脂層17で覆う構成とすることで、更に液晶表示パネル20が帯電してしまうことを抑制することができる上に、液晶表示パネル20の押圧ローラ4が接触する面に異物が付着していた場合にも、押圧ローラ4がその異物上に乗り上げられた際に、押圧ローラ4表面がその異物の形状に沿って内側に窪むことで、異物による液晶表示パネル20への局所的な応力が緩和させることができる。したがって、これら支持ローラ3と押圧ローラ4の双方の表面を隙間17a,17b(17c)を有したナイロン製の樹脂層17により覆うのが好ましい。
尚、図9(c)に示されるように、このようなナイロン製の樹脂層17が形成された支持ローラ3を図1に示したものよりも更に長手方向に複数分割して構成することで、隙間17a,17b(17c)を有したナイロン製の樹脂層17を樹脂成形し易い形状とすることが可能である。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施できることは勿論である。例えば、2本のゴムローラ3a,3aが直線状に連結された構成の支持ローラや2本のゴムローラ4a,4aが直線状に連結された構成の押圧ローラ4について説明したが、連結部分がない1本である構成や、3本以上が連結された構成でもよく、上述した実施の形態には限定されない。また、上述した2本の支持ローラ3,3と1本の押圧ローラ4を備えた構成についても、これらの本数には限定されず、更に多くの支持ローラ3と押圧ローラ4を備えた構成でもよい。
また、ナイロン製の樹脂層17の内部に形成された隙間17a,17b(17c)の断面形状についても、上述した円形状、鼓形状、D字形状の他に、ナイロン製の樹脂層17の表面にクッション性を付与する構成として種々なる断面形状が採用できる。