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JP5000727B2 - コヒーレント光受信器における適応偏光追跡および等化 - Google Patents
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コヒーレント光受信器における適応偏光追跡および等化 Download PDF

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Description

本発明は、コヒーレント光受信器、およびコヒーレント光受信器を動作させる方法に関する。
本セクションでは、本発明のよりよい理解を促進するのに有用となり得る諸態様について紹介する。したがって、本セクションの言明は、この観点から読まれるべきであり、何が従来技術に含まれ、何が従来技術に含まれていないかについて認めるものと理解すべきでない。
光通信システムでは、コヒーレント検波を実施するために、さまざまな方式が考えられてきた。ホモダイン検波がしばしば望ましいが、高データ転送速度の光通信システムにおいてホモダイン検波を実施するのはかなり困難である。ホモダイン検波は、受信キャリアに位相ロックするものであり、位相ロックはしばしば、光キャリアの場合、達成するのが複雑である。一部には、光ホモダイン検波のこの欠点のため、ヘテロダインおよびイントラダイン検波もコヒーレント光受信器向けに考えられてきた。
イントラダイン検波では、受信器が局部発振器を使用して、データ搬送キャリアをダウン・ミックスする。しかし、受信器の局部発振器は、データ搬送光キャリアに厳密に位相ロックまたは周波数ロックされるわけではない。むしろ、受信器の局部発振器は、データ搬送キャリアの帯域幅よりも、データ搬送キャリアの周波数に近くなるようにゆるく構成された周波数を有する。したがって、イントラダイン光受信器には典型的に、光位相ロック・ループがないことになる。光位相ロック・ループがないため、イントラダイン光受信器は、コヒーレント光検波において利点をもたらすことができる。
コヒーレント検波は、位相偏移変調(PSK)変調方式によって送信されたデータを回復させるために使用することができる。しかし、PSK変調データの受信器の性能は典型的に、周波数オフセットおよびキャリア線幅に影響されやすい。このため、PSK変調光キャリア用のイントラダイン光受信器の効率的な実施には、いくつかの課題が生じている。
米国特許出願第11/204,607号 米国特許出願第11/426,191号 米国特許出願第11/483,280号 米国特許出願第11/644,536号
さまざまな実施形態では、デジタル信号処理を使用して、位相偏移変調(PSK)によって変調された光キャリアからのデータの回復に関連する問題を取り扱う。デジタル信号処理を通じて、いくつかの実施形態は適応偏光追跡を行い、いくつかの実施形態は適応等化を行う。そのようなデジタル信号処理は、光通信チャネルによりキャリアの偏光が時間的に変化する、かつ/または偏光依存位相偏移が導入される場合でさえ、光シンボル間干渉(OISI)を補償することができる。
本明細書では、ハイブリッド光検波器が、測定すべき1つまたは複数の特性を有する光を入力するための、1つまたは複数の光ポートを有し、1つまたは複数の光ポートに入力された光に関する1つまたは複数の特性の1つまたは複数の値を表す1つまたは複数の電気信号を出力するための、1つまたは複数の電気出力ポートを含む。
一実施形態は、PSK変調光キャリアからデータを回復させるように構成された光受信器を含む装置を特徴とする。光受信器は、光検波器およびデジタル・プロセッサを含む。光検波器は、第1および第2のデジタル成分を有するベクトルのシーケンスを生成するように構成される。第1の成分はそれぞれ、変調光キャリアの第1の偏光成分の、対応するサンプリング時間における複素数値を表す。第2の成分はそれぞれ、変調光キャリアの別の第2の偏光成分の、そのサンプリング時間における複素数値を表す。デジタル・プロセッサは、このベクトルを受け取るように接続され、変調光キャリアをその光送信器から光受信器に送信することにより生じた偏光回転を補償するような形で、各受け取られたベクトルに対する回転を個々に実施するように構成される。
装置のいくつかの実施形態では、デジタル・プロセッサが、回転のうち1つ前のものによって生成されたベクトルの成分の絶対値間の差に比例する量だけ、回転の各角度を反復的に更新するように構成される。デジタル・プロセッサは、回転後ベクトルの成分のうち1つの成分の振幅の誤差を評価するように構成することができる。デジタル・プロセッサは、回転後ベクトルの第1の成分を、回転後ベクトルの第1の成分のうち連続する成分間の微分位相誤差に基づいて等化するように構成することができる。デジタル・プロセッサは、回転後ベクトルの第2の成分を、回転後ベクトルの第2の成分のうち連続する成分間の微分位相誤差に基づいて等化するように構成することもできる。
装置のいくつかの実施形態では、デジタル・プロセッサが、ベクトルの第1および第2の成分間の交差等化(cross equalization)を実施せずに、受け取られたベクトルを回転させるように構成される。
装置のいくつかの実施形態では、プロセッサが、第1および第2の成分の振幅を等化する傾向がある形で回転を実施するように構成される。
装置のいくつかの実施形態では、ハイブリッド光検波器が、変調光キャリアと基準光キャリアとの第1の混合波を第1の出力端から出力し、それらのキャリア同士の別の相対位相を有する第2の混合波を第2の出力端から出力するように構成された光ハイブリッドを含む。そのような実施形態では、回転後ベクトルの第1の成分を回転後ベクトルの第1の成分のうち連続する成分間の評価した微分位相誤差に基づいて等化するように、デジタル・プロセッサを構成することができる。
別の実施形態は、受信光キャリアにPSK変調されたデータを回復させるように構成された光受信器を含む装置を特徴とする。光受信器は、光検波器およびデジタル・プロセッサを含む。光検波器は、第1のデジタル電気信号成分を有するベクトルのシーケンスを生成するように構成される。第1の電気デジタル信号成分はそれぞれ、受信光キャリアの1つの偏光成分の、対応するサンプリング時間における値を表す。デジタル信号プロセッサは、第1のデジタル電気信号成分を受け取り、第1のデジタル電気信号成分を、第1のデジタル電気信号成分のうち連続する成分間の微分位相誤差に応答する形で等化するように接続される。
装置のいくつかの実施形態では、光検波器が、ベクトルの第2のデジタル電気信号成分を生成するように構成される。第2のデジタル電気信号成分はそれぞれ、受信光キャリアの別の偏光成分の、対応するサンプリング時間における値を表す。第2のデジタル電気信号成分を、第2のデジタル電気信号成分のうち連続する成分間の微分位相誤差に応答する形で等化するように、デジタル・プロセッサを構成することができる。
装置のいくつかの実施形態では、デジタル・プロセッサが、FIRフィルタとして機能するように構成されたデバイスを含むことができ、FIRフィルタは、第1のデジタル電気信号成分を、第1のデジタル電気信号成分のうち(2L+1)個の連続する成分の加重和を生成することにより等化し、ただしLは1以上である。デジタル・プロセッサは、その和を定義する加重を微分位相誤差に基づいて更新するように構成された加重更新デバイスを含むこともできる。
別の実施形態は、光受信器を動作させる方法を特徴とする。方法は、変調光キャリアの1つの偏光成分の位相および振幅をその第1の成分が表し、そのキャリアの別の偏光成分の位相および振幅をその第2の成分が表す、第1の2D複素デジタル信号ベクトルを、一続きのサンプリング時間のそれぞれにおいて生成するステップを含む。方法は、サンプリング時間の1つごとに、サンプリング時間のその1つに関する第1の2D複素デジタル・ベクトルの回転である第2の2D複素デジタル信号ベクトルを構成するステップを含む。この回転により、変調光キャリアを光送信器と光受信器との間で送信することにより生じた偏光回転が補償される。
いくつかの実施形態では、方法はさらに、回転のうち1つ前のものによって生成されたベクトルの成分の絶対値間の差に比例する量だけ、回転の各角度を反復的に更新するステップを含む。
いくつかの実施形態では、方法はさらに、構成するステップの実施のうち1度の実施の前に、構成するステップの実施のうち前記1度の実施によってより良好な等化振幅をその第1および第2の成分が有する第2の2D複素デジタル信号ベクトルが生成されるように、構成するステップの実施のうちその1度の実施に関する回転の式を更新するステップを含む。
いくつかの実施形態では、方法はさらに、第2の2Dデジタル信号複素ベクトルの第1の成分を、第2の2D複素デジタル信号ベクトルの第1の成分のうち連続する成分間の微分位相誤差に基づいて等化するステップを含む。方法は、第1の成分それぞれを等化するステップが、第2の2D複素デジタル信号ベクトルの第1の成分のうち(2L+1)個の連続する成分の加重和を生成することを含み、ただしLは1以上であるようなものでよい。
本明細書に記載される実施形態において実施することができる、4相PSK(QPSK)、8相PSK(8PSK)、および16相PSK(16PSK)シンボル・コンスタレーションを示す図である。 本明細書に記載される実施形態において実施することができる、4相PSK(QPSK)、8相PSK(8PSK)、および16相PSK(16PSK)シンボル・コンスタレーションを示す図である。 本明細書に記載される実施形態において実施することができる、4相PSK(QPSK)、8相PSK(8PSK)、および16相PSK(16PSK)シンボル・コンスタレーションを示す図である。 光通信システムを示すブロック図である。 図2に示すコヒーレント光受信器の一実施形態を示すブロック図である。 図2のコヒーレント光受信器の、単一の光ハイブリッドを含む一代替実施形態を示すブロック図である。 図3Aのハイブリッド光検波器の一実施形態を示すブロック図である。 図3Aおよび3Bのデジタル信号プロセッサ(DSP)の、伝播誘起偏光回転を補償する一実施形態を示すブロック図である。 図3A〜3BのDSPの、等化を行う一実施形態を示すブロック図である。 図3Aおよび3BのDSPの、伝播誘起偏光回転を補償し、等化を行う一実施形態を示すブロック図である。 図3Aおよび3BのDSPの、偏光多重化をしない光通信システムにおいて等化を行う一実施形態を示すブロック図である。 図3Aおよび3BのDSPの、偏光多重化をしない光通信システムにおいて伝播誘起偏光回転を補正し、等化を行う一実施形態を示すブロック図である。 図5AのDSPにより行われる偏光回転を定義する回転角度を更新するためのプロセスを示す流れ図である。 図5BのDSP内にあるODLF等化器の一構造を示すブロック図である。 図7で示すODLF等化器を動作させる一方法を示すブロック図である。 図7のODLF等化器内にあるFIRフィルタの加重係数を更新する一方法を示すブロック図である。
図および説明では、同様の参照符号が、類似の機能を有する要素を示す。
図では、いくつかのフィーチャの相対寸法が、図中の構造のうち1つまたは複数をより明確に示すために、誇張されていることがある。
本明細書では、さまざまな実施形態について、図および例示的実施形態の詳細な説明によって、より詳細に記載する。しかし、本発明は、さまざまな形態で実施することができ、図および例示的実施形態の詳細な説明に記載の実施形態に限定されない。
本明細書における諸実施形態において有用となり得る、光データ送信およびコヒーレント光受信のための方法および装置は、2005年8月15日にYoung−Kai Chen等により出願され、本明細書に参照によりその全体が組み込まれる、米国特許出願第11/204,607号に記載されている。本明細書では、Y.K.Chen等のこの米国特許出願を‘607出願と呼ぶ。
光受信器は、受信PSK変調光キャリアをデジタル・データ・シンボルのストリームに変換する。そのような変換を効率的に行うために、本明細書に記載されるイントラダイン光受信器のいくつかの実施形態は、1つまたは複数の特定の適応形態を含むことができる。1つの特定の適応形態は、イントラダイン光受信器の局部光発振器と変調光キャリアとの間の周波数および位相の同期の欠如を補償することを対象とする。別の特定の適応形態は、光受信器の局部光発振器と変調光キャリアとの間の偏光ロックの欠如を補償または補正することを対象とする。1つまたは複数の特定の適応形態は、光通信チャネルによって生じる変調光キャリアに対する劣化のうち1つまたは複数を補償または補正することも対象とする。これらの劣化は、インライン光増幅器によって生じる増幅自然放出光(ASE)雑音および/または波長分散もしくは偏光モード分散(PMD)によって引き起こされることがある光シンボル間干渉、ならびにPMDによって引き起こされた偏光回転を含んでよい。
図1A〜1Cは、本明細書に記載される光通信システムにおいてデータを光キャリアに変調するために使用することができる、いくつかのシンボル・コンスタレーションを示す。これらのコンスタレーションは、図1Aの4相PSK(QPSK)コンスタレーション、図1Bの8相PSK(8PSK)コンスタレーション、および図1Cの16相PSK(16PSK)コンスタレーションを含む。QPSK、8PSK、および16PSKコンスタレーションにはそれぞれ、4個、8個、および16個のシンボルがあり、それらは、複素平面内に点(1)、(2)、...、(16)として示されている。さまざまな実施形態では、選択されたPSKコンスタレーションのシンボルが、光キャリアの位相に変調(すなわち式exp(iθ)という係数として)される。QPSK、8PSK、および16PSKコンスタレーションではそれぞれ、変数θが、{0、π/2、π、3π/2}、{0、π/4、π/2、3π/4、π、5π/4、3π/2、7π/4}、および{0、π/8、π/4、3π/8、...、15π/8}に属することができる。さまざまな実施形態では、これらのPSKコンスタレーションのシンボルをそれぞれ、2、3、および4ビットを有するデータ・ワードを、例えば図1A〜1Cの2、3、および4ビット・ワードのマッピングによって、異なった形で符号化するために使用することもできる。
図2は、PSK変調光キャリアがデータを通信する光通信システム10の全体を示す。光通信システム10は、光送信器12、光通信チャネル14、および光受信器16を含む。光送信器12は、連続光波を、選択されたPSK形式、例えばQPSK、8PSK、または16PSKのシンボルのシーケンスを得るように変調する。光送信器12は、非ゼロ復帰(NRZ)をまたはゼロ復帰(RZ)形式を有する光パルスをPSK変調することができる。光送信器12は、1つのPSKシンボル・ストリームを光キャリアの1つまたは複数の直線偏光成分に変調し、または独立したPSKシンボル・ストリームを光キャリアの各直線偏光成分に変調する。後者の技法は、偏光多重化として知られている。光通信チャネル14は、PSK変調光キャリアを光送信器12から光受信器16に伝送する。光通信チャネル14は、自由空間光リンク、ならびに/あるいは単一もしくは複数スパン光ファイバ伝送路、または全光ファイバ伝送路を含むことができる。光受信器16は、光通信チャネル14から受信した変調光キャリアから、1つまたは2つの推定シンボル・ストリームを、すなわち光キャリアが偏光多重化されているかどうかに応じて、回復させる。
図3Aは、図2の光受信器16の一実施形態を示す。光受信器16は、局部光発振器18、2つの光学偏光スプリッタ20、2つの2×2ハイブリッド光検波器22、22、デジタル信号プロセッサ(DSP)24、ならびに光受信器16内の要素18、20、22、22、24を接続する複数の光導波路(OW)および電気ライン(EL)を含む。本明細書では、文字「V」および「H」は、異なる2つの直線偏光成分、例えば実験室系の相互に直交する「垂直」および「水平」成分を示すために使用される。
局部光発振器18は、光通信チャネル14から受信した光キャリアの波長付近の連続波(CW)基準光キャリアを生成する。局部光発振器18は、コヒーレント光源、例えば環境的に安定したダイオード・レーザである。局部光発振器18は、受信光キャリアを、ハイブリッド光検波器22、22内で周波数ダウン・ミックスする。このため、局部光発振器18は、光通信チャネル14から受信した変調光キャリアの周波数ωMCにほぼ等しい周波数ωRCを有する基準光キャリアを出力するようにセットアップされる。しかし、光受信器16には、CW基準光キャリアの位相を光通信チャネル14から受信した変調光キャリアの位相に厳密にロックさせる光位相ロック・ループ(PLL)がない。実際、局部光発振器18および/または光送信器12からの光の線幅が、変調光キャリアと基準光キャリアとの間のそのようなどんな厳密な位相同期も損なうのに十分な周波数変動を発生させることがある。したがって、基準光キャリアおよび変調光キャリアは、時間的に大幅にドリフトする位相オフセットを有することがある。
周波数ロックがなくても、光受信器16のいくつかの実施形態は、イントラダイン検波器として機能することが可能となり得る。それらの実施形態では、光送信器12が、例えば周波数安定化光源を使用して光キャリアを生成することができ、局部光発振器18が、例えば周波数安定化光源を使用して、基準光キャリアを生成することができる。
2つの光学偏光スプリッタ20は、局部光発振器18からの基準光キャリア、および光通信チャネル14からの変調光キャリアを、直線偏光成分「H」および「V」に分離し、それらは、実験室系において、実質的に直交した、例えば「垂直」および「水平」成分である。各光学偏光スプリッタ20は、V直線偏光成分の光を2×2ハイブリッド光検波器22の一方の光入力端に送出し、実質的に直交したH直線偏光の光を、他方の2×2ハイブリッド光検波器22の一方の光入力端に送出する。したがって、2×2ハイブリッド光検波器22、22はそれぞれ、局部光発振器18からの光を、その光入力端の一方で受け取り、光通信チャネル14からの光を、その光入力端の他方で受け取る。
ハイブリッド光検波器22、22は、それらの光入力端で受け取られた光をコヒーレントに混合して、結果として得られる混合波のデジタル指標を、それらの電気出力端から出力する。具体的には、ハイブリッド光検波器22、22はそれぞれ、複素デジタル信号値をその電気出力端から出力する。複素デジタル信号値は、基準光キャリアによって周波数ダウン・ミックスされた変調光キャリアの対応する偏光成分の複素振幅を表し、すなわち、複素デジタル信号は、振幅および位相の情報を含む。ハイブリッド光検波器22、22は、複素デジタル信号値を、光検波器の電気信号レベルをその中でサンプリング(すなわち光送信器12によって発生した光キャリアの変調周波数またはその整数倍であるサンプリング周波数で)することにより生成する。k番目のサンプリング周期中に、ハイブリッド光検出器22および22は、それぞれに対応する複素デジタル信号値を出力し、それらはY(k)およびY(k)と呼ばれ、ただしY(k)=Re[Y(k)]+i・Im[Y(k)]であり、Y(k)=Re[Y(k)]+i・Im[Y(k)]である。
DSP24は、推定デジタル・シンボル、すなわちD(k)の1つまたは複数の出力ストリームを、ハイブリッド光検波器22、22から出力された複素デジタル・データ値の1つまたは2つのストリーム、すなわちY(k)およびY(k)のストリームから構成する。出力ストリーム内では、各D(k)が、変調周期「k」において変調光キャリアにより搬送されるPSKコンスタレーションのシンボルの推定値である。DSP24は、複素デジタル信号値のストリーム、すなわちストリームY(k)、Y(k+1)、...およびY(k)、Y(k+1)、...に対して、さまざまなタイプのデジタル処理を実施して、推定シンボルの1つまたは複数の出力ストリームを生成することができる。このデジタル処理は、例えばPMD、波長分散、雑音、ならびに/あるいは光送信器12および局部光発振器18の線幅による信号劣化を、補償または補正することができる。
図4は、QPSK変調光キャリアを検波するように構成されたハイブリッド光検波器22、例えば、図3のハイブリッド光検波器22、22の一例示的実施形態を示す。ここでも以下でも、添え字「X」は、「H」直線偏光成分または「V」直線偏光成分を適宜表すことができる。ハイブリッド光検波器22は、光ハイブリッド(OH)、ならびに光ハイブリッドOHから出力された光強度をデジタル・サンプリングによって測定する第1および第2の光検出器を含む。
光ハイブリッドは、2つの1×2光強度スプリッタ28A、28B、光位相遅延器30、および2つの2×2光混合器32A、32B、ならびにこれらの要素のうちさまざまな要素に接続された光導波路OWを含む。光ハイブリッドは、2対の光出力端、例えば対(1、2)および対(3、4)のところに、変調光キャリアと基準光キャリアの干渉した混合波を生成する。各対の2つの出力端のところの混合波の相対強度は、干渉した光の相対位相に感応する。干渉した混合波の相対位相は、第1対(1、2)の光出力端のところと、第2対(3、4)の光出力端のところとでは異なる。図1A、1Bおよび2の光受信器16、16’に適切となり得る例示的光ハイブリッドについては、例えば、「System And Method For Receiving Coherent、Polarization−Multiplexed Optical Signals」という名称の、Noriaki KanedaおよびAndreas Levenにより2006年6月23日に出願され、本明細書に参照によりその全体が組み込まれる、米国特許出願第11/426,191号に記載されている。
各光検出器は、1対34A、34Bの整合型フォトダイオード36A、36B、差動増幅器38A、38B、およびアナログ−デジタル変換器40A、40B、ならびにこれらの要素のうちさまざまな要素を相互接続する電気ラインELを含む。各光検出器は、光ハイブリッドOHの1対の光出力端、すなわち対(1、2)または対(3、4)のところの光信号を測定する。実際、各光検出器は、デジタル電気値のシーケンスを、光ハイブリッドの1対の光出力端のところの干渉したキャリアの強度をサンプリングすることにより生成する。
1×2光強度スプリッタ28A、28Bがそれぞれ、受け取られた光を、前記光の約50パーセントがその光出力端のそれぞれに向けられるように電力分割する。1×2光強度スプリッタの一方のスプリッタ28Aが、局部光発振器18からの光を受け取り、それを電力分割するように接続される。1×2光強度スプリッタの他方のスプリッタ28Bが、光通信ライン14から受信した変調光キャリアの光を受け取り、それを電力分割するように接続される。各1×2光強度スプリッタ28A、28Bは、光導波路OWにより、2×2光混合器32Aの光入力端に光を供給するように接続し、別の光導波路OWにより、他方の2×2光混合器32Bの光入力端に光を供給するように接続する。
次いで、光位相遅延器30および導波路OWが、1×2光スプリッタ28Bから2×2光混合器32Aに送出される光と、1×2光スプリッタ28Bから2×2光混合器32Bに送出される光との間に、相対位相遅延Δを導入する。典型的に、相対位相遅延Δは、Nπを法としてπ/3と2π/3の間である。相対位相遅延Δは、好ましくは、Nπを法として3π/8と5π/8の間であり、より好ましくは、Nπを法として約π/2である。ここで、Nは整数である。これとは対照的に、残りの光導波路OWは、他方の光強度スプリッタ28Aから光混合器32Aに送出される光と、他方の光強度スプリッタ28Aから光混合器32Bに送出される光との間に、実質的な相対位相遅延(すなわちNπを法として)を導入しない。
あるいは、光位相遅延器30を、1×2光スプリッタ28Bの光出力端の一方にではなく、1×2光スプリッタ28Aの光出力端の一方に接続することもできる(図示せず)。次いで、光位相遅延器30が、1×2光スプリッタ28Aから2×2光混合器32Aに送出される光と、1×2光スプリッタ28Aから2×2光混合器32Bに送出される光との間に、相対位相遅延Δを導入することになる。そのような相対位相遅延Δは、Nπを法としてπ/3と2π/3の間である。相対位相遅延Δは、好ましくは、Nπを法として3π/8と5π/8の間であり、より好ましくは、Nπを法として約π/2である。ここで、Nは整数である。そのような諸実施形態では、他方の光強度スプリッタ28Bと光混合器32A、32Bとの間の光導波路OWが、2つの光混合器32A、32Bに供給される光相互間に、実質的に相対位相遅延(すなわちNπを法として)を導入しない。
ハイブリッド光検波器22では、2×2光混合器32A、32Bがそれぞれ、変調光キャリアおよび基準光キャリアの同じ直線偏光成分を受け取るように接続される。光混合器32A、32Bは、それらの光入力端で受け取られた光を混合し、すなわち干渉させて、前記光の予め選択された組合せをそれらの光出力端にもたらす。光混合器32A、32Bは、例えば従来型のデバイスまたは多モード干渉(MMI)デバイスとすることができる。
2×2光混合器32A、32Bは、変調光キャリアの周波数ダウン・ミックスしたバージョンを生成する。第1の光混合器32Aは、その光入力端で受け取られた光を、その光出力端での光強度の差が光通信チャネル14から受信した光と局部光発振器18から受け取られた光との間の位相差、すなわち(φ+t・[ωMC−ωRC])を表すように混合する。ここで、ωMCおよびωRCはそれぞれ、変調光キャリアおよび基準光キャリアの周波数であり、「t」は時間であり、φは位相オフセットである。具体的には、第1の光混合器32Aの第1の光出力端1での光強度から第1の光混合器32Aの第2の光出力端2での光強度を引いた差は、第1の光混合器32Aの2つの光入力端での光の振幅に、相対位相依存係数、例えばsin(φ+t・[ωMC−ωRC])を掛けた積に比例する。同様に、第2の光混合器32Bも、その光入力端で受け取られた光を、その光出力端3、4での光強度の差が、光通信チャネル14から受信した光と局部光発振器18から受け取られた光との間の位相差、すなわち(φ+t・[ωMC−ωRC])を表すように混合する。具体的には、上記で論じた相対位相遅延Δが、π/2 modulo 2Nπ、ただしNは整数である場合、第2の光混合器32Bの第1の光出力端3での光強度から、第2の光混合器32Bの第2の光出力端4での光強度を引いた差が、第2の光混合器32Bの2つの光入力端での光の振幅に、別の相対位相依存係数、例えばcos(φ+t・[ωMC−ωRC])を掛けた積に比例する。
2×2光混合器32A、32Bの各光出力端1〜4のところに、対応するフォトダイオード36A、36Bが、出力光の強度を検出するために配置される。これらのフォトダイオードは、2対34A、34Bのバランスのとれた、または整合した光感度を形成する。対34A、34Bでは、各フォトダイオード36A、36Bが、差動増幅器38A、38Bの1つの入力端のところに、検出した光強度を表す電圧または電流を発生させる。
各差動増幅器38A、38Bは、その2つの入力端に印加された電圧差に比例するアナログ電圧、すなわちVX、1またはVX、2を出力する。
アナログ電圧VX、1およびVX、2から、第1および第2のA/D変換器40A、40Bが、それぞれに対応する、デジタル信号値の第1および第2の時間的なシーケンス、すなわちYX、1(k)、YX、1(k+1)、...およびYX、2(k)、YX、2(k+1)、....を生成する。これらのシーケンスを生成するために、A/D変換器40A、40Bは、アナログ電圧VX、1およびVX、2を、シンボル/変調速度に等しくてよい、または変調/シンボル速度の整数倍でよいサンプリング速度でサンプリングする。A/D変換器40A、40Bは、k番目のサンプリング周期において、デジタル信号値YX、1(k)およびYX、2(k)をDSP24に送出する。
各複素デジタル信号値Y(k)=YX、1(k)+iYX、2(k)は、式
Figure 0005000727
を有するものとしてモデリングすることができる。上記の式では、B(k)およびφ(k)が、サンプリング周期「k」における振幅および位相であり、N(k)が、サンプリング周期「k」における雑音である。位相φ(k)は、Φ(k)+Φ(k)+k・T・(ωMC−ωRC)と表すことができ、ただしTはサンプリング周期であり、Φ(k)はPSKシンボルの位相であり、Φ(k)は、総位相雑音である。総位相雑音Φ(k)は、図2〜3の光送信器12および/または局部光発振器18の線幅により、かなりの寄与を得ることができる。
図3を再度参照すると、DSP24は、各サンプリング周期「k」における2D複素デジタル・ベクトルY(k)、すなわちY(k)=[Y(k),Y(k)]を処理する。(本明細書では、上付き文字「」および「」はそれぞれ、エルミート共役および行列転置を意味する。)ベクトルY(k)は、受信変調光キャリアから光受信器16が回復させようとしている実際の変調位相がその成分である、2DベクトルP(k)に対応する。すなわち、P(k)=[P(k),P(k)]であり、ただし、位相P(k)およびP(k)は、対応する変調時間に、それぞれに対応する光キャリアの「V」および「H」偏光成分に、光送信器12によって変調されたものである。送信および受信信号の劣化のため、ベクトルY(k)はしばしば、元のベクトルP(k)とは異なる。DSP24は、Y(k)のさまざまなタイプのデジタル処理を実施して、元のP(k)のより良好な推定値を回復させることができる。
図3Bは、光受信器16’の一代替実施形態を示す。光受信器16’は、局部光発振器18、単一の光ハイブリッドOH、4つの光学偏光スプリッタ20、4対34A、34Bの整合型またはバランス型フォトダイオード36A、36B、4つの差動増幅器38A、38B、DSP24、ならびに前記要素を接続する光導波路OWおよび電気ラインELを含む光検波器である。光受信器16’では、各要素が、図3Aおよび4の光受信器16の同様に参照符号付けされた要素、例えば18、20、34A、34B、36A、36B、38A、38B、OW、ELと参照符号付けされた要素と類似した構造および/または機能を有する。また、光受信器16’は、類似の光信号および電気信号を受信および出力する。さらに、DSP24に送出されるデジタル・サンプリングされた値YV、1(k)、YV、2(k)、YH、1(k)、YH、2(k)は、光受信器16および光受信器16’において同様である。このため、光受信器16、16’はどちらも、実質的に同一のDSP24を有することができる。
光受信器16’は、光ハイブリッドOHに光を送出するより前にではなく、光ハイブリッドOHの光出力端1、2、3、4のところで偏光分割を実施する。各光学偏光スプリッタ20が、光ハイブリッドOHの1つの光出力端1、2、3、4からの光の2つの偏光成分を、異なるフォトダイオード36A、36Bに送出する。このため、光受信器16’は、図1Aおよび2の光受信器16と同様に2つの光ハイブリッドOHではなく、単一の光ハイブリッドOHを有する。
光受信器16’では、光ハイブリッドOHが、図4に示すプレーナ光ハイブリッドOHではなく、バルク光ハイブリッドでよい。適切なバルク光ハイブリッドは、3374−3390 Gateway Boulevard、Fremont、California 94538、United StatesのOptoplex Corporationから市販されている(インターネット上ではwww.optiplex.com)。
図3Aおよび3Bの光受信器16、16’に関して、それらにおけるデジタル処理の例示的なタイプが、図5A〜5Eに示すDSP24A、24B、24C、24D、24Eの特定の実施形態により示されている。
図5Aおよび5Cを参照すると、DSP24A、24Cは、偏光追跡ユニット(PolTrack)44を含む。PolTrackユニット44は、受け取られた2D複素ベクトルY(k)それぞれに対して個々に線形変換を実施して、2D複素ベクトルZ(k)、すなわちZ(k)=[Z(k),Z(k)]を生成する。この線形変換は、
Figure 0005000727
によって与えられる。ここで、2×2行列J(k)が回転を実施する。したがって、J(k)の成分は、
Figure 0005000727
である。単一の回転角度θ(k)が、行列J(k)を定義する。回転角度θ(k)は、光通信チャネル14の時間的変化によって生じる変化を追跡するように、定期的に更新される。回転角度θ(k)の更新は、回転後ベクトルZ(k)および元の位相変調ベクトルP(k)の「V」および「H」成分が、実質的に整合した状態にとどまるように構成される。具体的には、PolTrackユニット44は、光送信器12から光通信チャネル14を通る伝播により生じた偏光回転を追跡するように、Y(k)を変換する。
図6は、回転角度θ(k)を動的に更新する方法50を示す。例えば、PolTrackユニット44は、更新方法50を実施するように構成することができる。PolTrackユニット44は、方法50を通常動作の間の各サンプリング周期中に実施しても、θ(k)をより少ない頻度で更新するように方法50を実施してもよい。
回転角度θ(k)の各更新について、方法50は、PolTrackユニット44によって最後に生成された2D複素デジタル信号ベクトルZ(k)の成分における2乗電力誤差の和の、回転角度θ(k)に対する勾配を評価すること(ステップ52)を含む。Z(k)の「V」および「H」成分は、それぞれに対応する電力誤差e(k)およびe(k)を有し、これらは、
Figure 0005000727
によって与えられる。上記では、P(k)およびP(k)が、1として選択された一定振幅に及ぶ位相であるため、電力誤差に関する第2の式が成立する。Z(k)の上記の定義から、e(k)およびe(k)のθ(k)勾配は、
Figure 0005000727
を満足させることが分かる。2D複素ベクトルZ(k)の2乗電力誤差の和の、回転角度θ(k)に対する勾配は、∂θ[(e(k))+(e(k))]である。式(4)〜(5)から、この式は、
Figure 0005000727
を満足させることが分かる。ステップ52の実施は、∂θ[e(k)]を式(5)を用いて評価し、∂θ[e(k)]の値を使用して式(6)の右側を評価することを含むことができる。
回転角度θ(k)の各更新について、方法50は、最後に評価したベクトルZ(k)の2つの成分に関する2乗電力誤差の評価した勾配に比例する量だけ、最終回転角度θ(k)を更新すること(ステップ54)を含む。上記の式(6)から、ステップ54は、回転角度に対して反復的な更新
Figure 0005000727
を実施することを含む。ここで、γは、更新ステップ・サイズを固定する、予め選択された正の数である。式(7)から、更新ステップ54は、θ(k)に補正を付加するものであり、その補正は、|Z(k)|と|Z(k)|との差に比例し、すなわち更新は|Z(k)|−|Z(k)|に比例する。更新された回転角度が、ハイブリッド光検波器22、22から受け取られた次の複素デジタル信号ベクトルY(k)を回転させるために、PolTrackユニット44により使用される。
上記の方法50は、回転角度θ(k)を、PolTrackユニット44により生成されたベクトルZ(k)の偏光成分のエネルギーを等化するように構成された形で更新する。
さらに、式(1)の偏光追跡変換も更新方法50も、等化を必要としない。例えば、回転角度θ(k)の各反復更新は、1つ前のサンプリング周期のエネルギー誤差に基づいている。また、式(1)の回転は、複素デジタル信号ベクトルY(k)の個々の偏光成分の等化を必要としない。具体的には、方法50の実施には、複素デジタル信号ベクトルY(k)の2つの偏光成分Y(k)とY(k)を一緒に交差等化することが含まれない。方法50の実施中、ベクトルY(k)のどちらの偏光成分も、以前のサンプリング時間におけるデジタル信号ベクトルY(k)の成分の加重和(この和には他の偏光成分が含まれる)で置き換えられない。等化に依拠しないため、PolTrackユニット44は、より単純でより速いハードウェア・デバイスとなり得る。
式(5)および(7)により示すように、方法50は、送信されている特定の位相データの知識を必要としない。このため、方法50は、トレーニング・シンボルの予め選択されたシーケンスを送信せずに実施することができる。実際、PolTrackユニット44は、「V」および「H」偏光成分に変調されたシンボル・シーケンスが同じシーケンスであろうと独立したシーケンスであろうと、方法50を効果的に実施することができる。方法50を用いると、PolTrackユニット44は、光送信器12が送信光キャリアにデータを偏光多重化する場合に効果的に動作することができ、その他の場合には、光受信器16の偏光多様性実施形態を実施する助けとなることができる。
図5Bを参照すると、DSP24Bは、2つの光学線形微分フィルタ(OLDF)等化器46V、46Hを含む。オプションとして、DSP24Bは、例えばデータが偏光多重化されていない変調光キャリアを受信するように構成された光受信器16、16’の実施形態向けに、シンボル推定コンバイナ(SEC)48を含む。ODLF等化器46Vは、2D複素デジタルY(k)のシーケンスを、光シンボル間干渉(OISI)の時間的な広がりの影響が低減された複素デジタルD(k)のシーケンスを生成するように処理する。ODLF等化器46Hは、複素デジタルY(k)のシーケンスを、OISIの時間的な広がりの影響が低減された複素デジタルD(k)のシーケンスを生成するように処理する。ODLF等化器46V、46Hは図7に示されており、ただし「X」は「V」または「H」直線偏光成分を適宜表す。
図7は、ODLF等化器46Xの一例示的構造を示す。ODLF等化器46Xは、有限インパルス応答(FIR)フィルタ60、加重更新デバイス(WUD)62、1サンプル周期遅延器(D)、およびシリアル・ロード・パラレル出力シフト・レジスタ(SR)64を含む。Y(k)から、FIRフィルタ60は、等化複素数D(k)を図8の方法70によって生成する。さらに、WUD62が、FIRフィルタ60の(2L+1)個の複素係数、すなわち係数CX、−L(k)、...、CX、0(k)、...、CX、+L(k)の更新を、図9の方法82によって実施する。FIRフィルタ60の係数のそのような更新は、ODLF等化器46Xにより実施される等化が光通信チャネル14の変化を追跡するように、定期的に行われる。
図8は、図7のODLF46Xを用いて等化を実施する方法70について説明している。方法70は、適切な複素デジタル信号値、すなわちY(k)のシーケンスを、図3Aまたは3Bの光受信器16、16’内の光ハイブリッドOHからシリアルに受け取ること(ステップ72)を含む。方法70は、受け取られた複素デジタル信号値Y(k)それぞれについて等化複素デジタル信号値D(k)を評価することを含み、例えば、Y(k)それぞれにつき1つのD(k)を評価することができる(ステップ74)。評価ステップ74は、連続して受け取られた複素デジタル信号値のうち(2L+1)個の複素デジタル信号値の加重平均を形成するものである。すなわちこの和は、(2L+1)個の時間的に隣接する値、例えば値Y(k−L)、...、Y(k+L)にわたる加重平均である。ここで、Lは、等化領域の幅を定義する正の整数である。具体的には、FIRフィルタ60は、等化複素デジタル信号値D(k)をそれぞれ、
Figure 0005000727
により定義される加重平均として評価することができる。上記の式(8)では、(2L+1)次元複素ベクトルC(k)およびY(k)が、
Figure 0005000727
及び
Figure 0005000727
によって与えられる。式(9)および(10)では、複素加重ベクトルC(k)は成分、すなわちCX、−L(k)、...、CX、+L(k)を有し、これらは、FIRフィルタ60の加重係数である。上記の開示に照らして、当業者なら、式(8)の加重平均を形成するのに適した例示的FIRフィルタ60を製作することができるであろう。方法70は、各変調周期について評価した1つまたは複数の等化複素デジタル信号値、すなわち1つまたは複数のD(k)が、トレーニング・シーケンス中のシンボルの変調位相P(k)に対応するかどうかについて判定すること(ステップ76)も含む。1つまたは複数の評価した複素デジタル信号値が、トレーニング・シーケンス中のシンボルの変調位相P(k)の推定値に対応する場合、方法70は、1つまたは複数の評価した等化複素デジタル信号値、すなわち1つまたは複数のDを、FIRフィルタ60の加重係数の更新に使用するために、WUD62に送出すること(ステップ78)を含む。そうでない場合は、1つまたは複数の評価した等化複素デジタル信号値が、データ搬送シンボルの変調位相係数P(k)の1つまたは複数の推定値を形成する。この場合、次いで方法100は、1つまたは複数の評価した等化複素デジタル信号値、すなわち1つまたは複数のD(k)を、変調位相係数P(k)に対応するデータ搬送シンボルの推定に使用するために出力すること(ステップ80)を含む。
光送信器12が、PSKシンボルの独立したシーケンスを光キャリアの「V」および「H」偏光成分に変調しない場合、図5Bに示すオプションのSEC48が、例えば偏光ダイバーシチを行うために、2つのODLF等化器46V、46Hからの推定変調位相を組み合わせ、または比較することができる。例えば、SEC48により処理することによって、対応する変調周期中に光キャリアに変調された実際のシンボルに対する改善された推定値D(k)を得ることができる。オプションのSEC48は、実際の変調シンボル値に対する改善された推定値D(k)を生成するために、変調シンボルのそのような推定位相を、同じ変調周期に対応する1サンプリング周期を上回って組み合わせることもできる。
図9は、図7のFIRフィルタ60の係数を更新する方法82について説明している。
方法82は、トレーニング・シンボルの推定値と実際値との間の誤差を測定する微分等化誤差E(k)を図7のWUD62において評価すること(ステップ84)を含む。WUD62は、FIRフィルタ60から出力(すなわち上述の方法70のステップ78において)された推定値を得る。WUD62は、予め選択された値を有する実際の変調位相P(k)およびP(k−1)を、DSP24Bから得ることができる。D(k)とP(k)はどちらも、例えば1のN乗根であり、ただしNはPSKコンスタレーションのサイズである。そのような微分等化誤差E(k)の一例示的定義は、
Figure 0005000727
によって与えられる。誤差E(k)は時間的な微分関数であるため、変調光キャリアの周波数ωMCと基準光キャリアの周波数ωRCとの間のわずかな不一致により典型的に、E(k)の大きな絶対値が典型的に生じない。このため、そのような微分誤差は、変調光キャリアと基準光キャリアとの間に光位相または光周波数のロックがない場合でさえ、等化関連不一致の十分な指標になると考えられる。
次に、方法82は、(2L+1)次元複素加重ベクトルC(k)の更新値を求めることを含む。更新値は、評価した微分等化誤差E(k)、ならびに既に推定および/または受け取られたデジタル信号値に基づく(ステップ86)。例えば、ステップ82は、各変調周期または各サンプリング周期における複素加重ベクトルC(k)を、以下のように更新することができる。
Figure 0005000727
ここで、βは更新ステップ・サイズを定義する正の数である。
方法82は、FIRフィルタ60に、ステップ86で見い出された更新複素加重係数ベクトルC(k+1)をロードすること(ステップ88)を含む。次いで、ロードされた加重係数が、FIRフィルタ60によって実施される次のデジタル等化に使用される。
方法82は、FIRフィルタ60から次に出力されるべき等化複素デジタル信号値、例えばD(k+1)が、別のトレーニング・シンボル、すなわち新しい変調周期のトレーニング・シンボルの推定変調位相に対応するかどうかについて判定すること(ステップ90)を含む。次に出力される複素デジタル値がそのような新しいトレーニング・シンボルに確かに対応する、または対応することになっている場合、方法82は、ステップ84を再度実施するためにループ・バック92することを含む。そのようなループ・バック92は、FIRフィルタ60に対してロードされる加重係数の値を、例えば上述の微分等化誤差を反復的に低減することによって改善することができる。そうでない場合、方法82は、等化複素デジタル信号値D(k+1)を、変調光キャリアによって搬送されたデータ搬送シンボルの推定変調位相として出力(すなわちステップ80と同様に)し、次いで、ODLF等化器46Xを、図8の方法70に従って等化を実施するモードに戻すこと(ステップ94)を含む。
FIRフィルタ60の複素加重係数を更新する方法80では、微分誤差E(k)がいくつかの望ましい特性を有する。第1に、誤差E(k)は、変調光キャリアと基準光キャリアとの間のどんな一定の位相偏移とも無関係である。第2に、誤差E(k)は、サンプリング周期が十分に短いことを条件として、小さな線幅誘起位相回転に実質的に無関係である。これらの理由から、ODLF等化器46Xは、受信変調光キャリアと基準光キャリアとの間の光位相ロックがない場合でさえ、光通信チャネル14により誘起されたOISIを補償することができる。そのようなOPLLを回避することがしばしば望ましい。というのも、OPLLの実施は、光通信周波数において達成が困難となり得るためである。適応等化器46Xは、そのような望ましくないOPLLなしでコヒーレント光検波を行うための1つの様式を提供する。
図5Cは、図5AのPolTrackユニット44と図5BのDSP24Bを組み合わせ、それにより光通信チャネル14において生じる偏光回転およびOISIの補償を行う、DSP24Cを示す。DSP24Cでは、PolTrackユニット44が、図5Aに関して説明したように機能する。DSP24Cでは、各ODLF等化器46V、46Hが、図5Bおよび図7〜9のODLF等化器46Xのように機能し、この場合、PolTrackユニット44からのデジタル信号値Z(k)およびZ(k)が、ハイブリッド光検波器22、22からのデジタル信号値Y(k)およびY(k)に取って代わっている。
PolTrackユニット44とDSP24Bを組み合わせることによって、変調光キャリアの「V」偏光成分と「H」偏光成分との間のPMD誘起位相偏移の、ある程度の補償を行うこともできる。PolTrackユニット44は、そのような偏光依存位相偏移をそれ自体で補償することができない。「H」偏光成分と「V」偏光成分との間のそのような位相偏移は、変調光キャリアが光通信チャネル14中を伝播するときに生じ得る。ODLF等化器46HおよびODLF等化器46Vそれぞれにおいて「H」および「V」偏光成分を独立して等化すると、そのような偏光依存位相偏移の十分な補償を行うことができる。
図5Dは、図5BのODFL等化器46Vただ1つを含むDSP24Dを示す。DSP24Dでは、ODLF等化器46Vが、図5BのODLF等化器46Xと同様に機能する。DSP24Dは、変調光キャリアが偏光多重化されていない場合に、光通信チャネル14におけるOISIを補正することができる。
図5Eは、図5Cに示すPolTrackユニット44および1つのODFL等化器46Vを含む、DSP24Eを示す。DSP24Eでは、PolTrackユニット44およびODLF等化器46Vが、図5CのDSP24Cと同様に機能する。DSP24Eは、変調光キャリアが偏光多重化されていない場合に、一部の光通信チャネル14における偏光回転およびOISIを補正することができる。
図2を再度参照すると、一部の光通信チャネル14は、例えばインライン光増幅器により、高レベルの光学雑音を発生させることがある。そうした光通信チャネル14では、微分位相誤差に基づく、すなわちE(k)に基づく等化が、十分最適な等化となり得ない。そのような光通信チャネル14では、図7のODLF等化器46Xを、別の等化器の入力端に直列に結合することができる。この別の等化器は、受信光キャリアに変調された位相を、ODLF等化器46Xから出力される等化複素信号値、すなわちD(k)に基づいて再帰的に推定するように構成することができる。そのような実施形態では、再帰的に推定される位相を、FIRフィルタ60の加重係数の更新に使用するために、WUD62にフィードバックすることもできる。変調位相のそのような再帰的推定のためのデジタル処理方法および装置については、例えば、「Recursive Phase Estimation for a Phase−Shift−Keying Receiver」という名称の、Ut−Va Kocにより2006年7月7日に出願された米国特許出願第11/483,280号に記載されている。この米国特許出願は、参照により本明細書にその全体が組み込まれる。
本明細書における記載および図面に照らして、図3のDSP24は、偏光回転を補償し、かつ/または光通信チャネル14によって生じたOISIを低減させるために、別の方法を使用できることが、当業者には明らかとなり得よう。例えば、そのような別の方法では、図5A〜5Cおよび図6〜9に関して説明したものとは異なる誤差指標を使用することができる。
図3Aおよび3BのDSP24のいくつかの実施形態では、信号処理の第1または第2の段階が、変調光キャリアと基準光キャリアとの間の周波数オフセットによって生じる位相誤差の補正を含むことができる。そのような補正を実施するためのデバイスが、光受信器16、16’において有用となる可能性があり、そうしたデバイスについては、例えば、「Frequency Estimation In An Intradyne Optical Receiver」という名称の、Andreas Leven等により本特許出願と同日に出願されており、本明細書に参照によりその全体が組み込まれる、米国特許出願第11/ , 号に記載されている。
上記の開示、図、および特許請求の範囲から、当業者には他の実施形態が明らかとなるであろう。

Claims (9)

  1. 装置であって、前記装置が、
    PSK変調光キャリアからデータを回復させるよう構成された光受信器を含み、前記光受信器は、
    第1および第2のデジタル成分を有するベクトルのシーケンスを生成するように構成された光検波器を含み、第1の成分の各々が、対応するサンプリング時間における前記変調光キャリアの第1の偏光成分の複素数値を表し、第2の成分の各々が、前記サンプリング時間における前記変調光キャリアの別の第2の偏光成分の複素数値を表すものであり、前記光受信器はさらに、
    前記変調光キャリアをその光送信器から前記光受信器に送信することにより生じた偏光回転を補償するように、受信したベクトルの各々の回転を個々に実施するように構成された、前記ベクトルを受け取るように接続されたデジタル・プロセッサを備え、
    前記デジタル・プロセッサが、の回転によって生成されたベクトルの前記成分の大きさの差に比例する量だけ、前記前の回転の角度を更新することによって、前記回転についての角度を反復的に決定するように構成される、装置。
  2. 前記デジタル・プロセッサが、前記ベクトルの前記第1および第2の成分間の交差等化を実施せずに、前記受け取られたベクトルを回転させるように構成される、請求項1に記載の装置。
  3. 前記プロセッサが、前記第1および第2の成分の振幅を等化する傾向がある形で前記回転を実施するように構成される、請求項1に記載の装置。
  4. 前記光検波器が、
    前記変調光キャリアと基準光キャリアとの第1の混合波を第1の出力端から出力し、前記キャリア同士の別の相対位相を有する第2の混合波を第2の出力端から出力するように構成された光ハイブリッドを備える、請求項1に記載の装置。
  5. 次の回転についての角度を決定するために、前記デジタルプロセッサが、最終回転の角度に、前記最終回転によって生成されたベクトルの前記成分の大きさの差に比例する補正を付加するよう構成される、請求項1に記載の装置。
  6. 光受信器を動作させる方法であって、
    一続きのサンプリング時間のそれぞれにおいて、第1の2D複素デジタル信号ベクトルを生成するステップを含み、前記第1の2D複素デジタル信号ベクトルの第1の成分は、前記サンプリング時間のうちの対応するサンプリング時間において受信された変調光キャリアの1つの偏光成分の位相および振幅を表し、そして、前記第1の2D複素デジタル信号ベクトルの第2の成分は、前記サンプリング時間のうちの対応するサンプリング時間において受信された前記キャリアの別の偏光成分の位相および振幅を表すものであり、さらに、
    前記サンプリング時間の1つごとに、前記サンプリング時間の前記1つに関する前記第1の2D複素デジタル・ベクトルの回転である第2の2D複素デジタル信号ベクトルを構成するステップを含み、前記回転は、前記変調光キャリアを光送信器と前記光受信器との間で送信することにより生じた偏光回転を補償し、そして、
    の回転によって生成されたベクトルの前記成分の大きさの差に比例する量だけ、前記前の転の角度を更新することによって、前記回転についての角度を決定するステップとを含む、方法。
  7. 構成するステップの実施のうち1度の実施の前に、構成するステップの実施のうち前記1度の実施によってより良好な等化振幅をその第1および第2の成分が有する第2の2D複素デジタル信号ベクトルが生成されるように、構成するステップの実施のうち前記1度の実施に関する前記回転の式を更新するステップをさらに含む、請求項に記載の方法。
  8. 受信光キャリアの前記1つの偏光成分と、受信光キャリアの前記別の偏光成分とを分離するステップと、
    前記分離された1つの偏光成分を、基準光キャリアと、第1対の光混合器内で混合するステップと、
    前記分離された別の偏光成分を、前記基準光キャリアと、第2対の光混合器内で混合するステップと、
    前記第1対の光混合器から出力された光の強度を、前記サンプリング時間に前記混合するステップに応答してサンプリングすることにより、前記第1の2D複素デジタル信号ベクトルの前記第1の成分を評価するステップと、
    前記第2対の光混合器から出力された光の強度を、前記サンプリング時間に前記混合するステップに応答してサンプリングすることにより、前記第1の2D複素デジタル信号ベクトルの前記第2の成分を評価するステップとをさらに含む、請求項に記載の方法。
  9. 最終回転の角度に、前記最終回転によって生成されたベクトルの前記成分の大きさの差に比例する補正を付加することによって、次の回転についての角度を決定するステップをさらに含む、請求項6に記載の方法。
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