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JP5000875B2 - 燃料油組成物の製造方法 - Google Patents
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Description

本発明は、色相を改良した燃料油組成物、特にA重油の製造方法に関するものである。
周知のとおり、原油を蒸留して得られる留分の中で、石油中間留出油と呼ばれる、沸点が100〜450℃の範囲の留分は、灯油、軽油、A重油等の各種燃料源として大量に消費されている。この石油中間留出油、特に、灯油及び軽油留分に、残留炭素付与材としてエキストラクト及び低温流動性向上剤を配合して、燃料油組成物、特にA重油を製造することが行われている。
例えば、特許文献1では、A重油基油に対し、常圧残油、減圧残油、脱硫残油、スラリーオイルおよびエキストラクトから選ばれる1種あるいは2種以上の炭化水素油を、A重油最終製品中の10%残留炭素分が0.2質量%以上、アスファルテン分が200質量ppm以下及び−10℃におけるワックス含有量が0.1〜5.0質量%となるように添加し、かつ流動性向上剤を100〜1000容量ppmとなるように添加してなる低温流動性燃料油組成物が提案されている。
また、特許文献2では、水素化分解軽油およびエキストラクトを用いて得られるA重油 組成物が開示されている。
しかしながら、これらのエキストラクトを用いる方法は、エキストラクトが貯蔵中に酸化劣化することにより、製品である燃料油組成物、特にA重油の色相が悪化する問題がある。
そこで、エキストラクトを有効に用いながら、色相が改善された燃料油組成物の製造方法が望まれていた。
ところで、簡便な食用油や潤滑油の酸化劣化防止方法として、食用油等に不活性ガスを注入し、該油中で前記不活性ガスを微細な気泡にして混合分散させることにより、油中の酸素の脱酸素を行い、また油と酸素との接触を抑制して酸化を抑止せんとする方法が提案されている(特許文献3参照)。
しかし、貯蔵中のエキストラクトに不活性ガスを注入して、酸化劣化を防止せんとする試みは、今までなされていなかったのが実情である。
特開平6−116573号公報 特開2001−49269号公報 特開2001−200288号公報
本発明は、このような状況下で、エキストラクトを用いながら、色相が改善された燃料油組成物、特にA重油の製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定圧力の不活性ガス雰囲気によるエキストラクトの酸化劣化防止に着目し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は下記のとおりである。
1. (1)不活性ガス圧力を一定に保持する貯蔵装置内でエキストラクトを貯蔵する段階と、(2)石油中間留出油に、燃料油組成物基準で、該エキストラクトを0.1〜5質量%配合する段階とを含むことを特徴とする燃料油組成物の製造方法。
2. 保持される不活性ガス圧力が1000〜1030hPaである上記1に記載の燃料油組成物の製造方法。
3. 不活性ガスが窒素である上記1又は2に記載の燃料油組成物の製造方法。
4. 貯蔵装置が不活性ガスの供給又は排出を自動制御する手段を具備してなる上記1〜3のいずれかに記載の燃料油組成物の製造方法。
5. 石油中間留出油の沸点範囲が100〜450℃である上記1〜4のいずれかに記載の燃料油組成物の製造方法。
6. 不活性ガスの供給が、貯蔵装置内のエキストラクトに不活性ガスを直接吹き込むことによりなされる上記1〜5のいずれかに記載の燃料油組成物の製造方法。
7. 燃料油組成物がA重油である上記1〜6のいずれかに記載の燃料油組成物の製造方法。
本発明により、エキストラクトを用いながら、色相が改善された燃料油組成物、特にA重油の製造方法を提供することができる。
本発明方法における燃料油組成物は、A重油、中間留分組成物等をいい、特にA重油をいう。そして、エキストラクトとは、原油の常圧蒸留残渣油を減圧蒸留して得られる中質・重質の減圧蒸留留出油(潤滑油原料用)あるいは減圧蒸留残渣油の脱歴油(ブライトストック油)をフルフラール等で留出分離した、高芳香族分の抽出油であって、具体的には、その性状として、15℃の密度が0.95〜1.05g/cm3、100℃における動粘度が5〜100mm2/s、硫黄分が0.5〜5.0質量%である。
エキストラクトは、石油中間留出油に、燃料油組成物基準で、0.1〜5質量%配合されるが、好ましくは、0.2〜2.0質量%、さらに好ましくは、0.3〜1.0質量%である。0.1質量%未満では、10%残油残炭分が0.21質量%以上となるのが困難であり、5質量%を超えれば、10%残油残炭分が高くなり過ぎて色相が悪化し、スラッジが発生する等の問題を引き起こす可能性がある。
また、石油中間留出油の沸点範囲が140〜500℃であることが好ましい。石油中間留出油の具体例としては、軽質直留軽油(LGO),軽質脱硫軽油(DGO),重質直留軽油(HGO),接触分解軽油(LCO),直接脱硫軽油(DSGO),間接脱硫軽油(VHLGO),水素化分解軽油(HCGO),灯油(KERO)等の各基材を挙げることができ、これらを単独であるいは組み合わせて使用することができる。上記各基材については通常の方法で調製することができ、またその性状としては下記に示すものを一般に使用可能である。
基材 沸点範囲(℃)
LGO 140 〜390
DGO 140 〜390
HGO 200 〜600
LCO 140 〜380
DSGO 140 〜400
VHLGO 140 〜390
HCGO 140 〜390
KERO 140 〜280
さらに、本発明方法の燃料油組成物には、好ましくは、燃料油組成物基準で、流動性向上剤が0.001〜0.1質量%配合されるが、より好ましくは、0.005〜0.05質量%、さらに好ましくは、0.01〜0.03質量%である。0.001質量%以上であれば、流動性向上効果を享受することができ、0.1質量%以下であるのが経済的に有利である。
流動性向上剤としては、市販のものをはじめ各種流動性向上剤を使用することができ、特に制限はないがエチレン−酢酸ビニル共重合体等のエチレン−飽和カルボン酸ビニルエステル共重合体、エチレン−エチレン性不飽和エステル共重合体に代表されるポリマータイプ、あるいは長鎖ジカルボン酸アミドに代表される油溶性分散剤タイプが好ましい。
本発明方法における燃料油組成物には、必要に応じてセタン価向上剤、酸化防止剤、金属不活性剤、氷結防止剤、腐食防止剤、微生物殺菌剤、助燃剤、帯電防止剤、潤滑性付加剤、着色剤等の添加剤を適宜加えることができる。
本発明方法においては、まず、不活性ガス圧力を一定に保持する貯蔵装置内でエキストラクトを貯蔵する段階を要する。この不活性ガス圧力は1000〜1030hPaであることが好ましく、1010〜1020hPaであることがさらに好ましい。1000hPa以上であれば、エキストラクトの劣化防止に効果があって色相も良好となり、減圧による貯蔵装置の強度耐性にも問題ない。また、1030hPa以下であれば、加圧による貯蔵装置の強度耐性に問題なく、不活性ガス消費を節減でき、経済的に有利である。
タンク等の貯蔵装置内の不活性ガス圧力を一定に保持する手段としては、貯蔵装置内に圧力センサを設置して、このセンサ情報と、供給弁及び排気弁の開閉とをコンピュタにより連動させる自動制御により圧力保持させてもよいし、圧力の変動により弁が自動的かつ機械的に開閉するガスシール・ユニット及び/又はブリザーバルブを設置して、不活性ガス圧力を一定に自動制御してもよい。
不活性ガスは貯蔵装置の上部の空気層に供給されてもよいが、貯蔵装置内のエキストラクト中に供給されると、より迅速にエキストラクト中の酸素を排除することができるので、より好ましい。
不活性ガスは、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノン等のいずれでもよいが、コストが安く取り扱いが容易な窒素が好ましい。
窒素源としては、石油コンビナートで副生されるコンビナート窒素を用いてもよいし、各種窒素発生装置から発生する窒素を用いてもよい。
各種窒素発生装置の窒素発生方法は、膜分離法、PSA(Pressure Swing Adsorption)法(ゼオライト等の吸着材を用いた吸着分離法)のほかに、空気を−200℃まで冷却し、沸点の差を利用して酸素と窒素を分離する方法である深冷分離法等が知られているが、小規模な設備で稼動でき、運転費用も安価な膜分離法が好ましい。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、色相及び沸点範囲を、下記の方法に従って測定した。
1.色相
JIS K 2580−1993の参考1・石油製品の色試験方法(刺激値換算法)7.2に従って、ASTM色相を測定した。
2.沸点範囲
ASTM D2887「石油留分のガスクロマトグラフィー法蒸留試験方法」に準拠して測定した。
実施例1
窒素ガス圧力が1014.3hPaに保持された貯蔵装置内でエキストラクトを200日間貯蔵した後、沸点範囲が140〜330℃である接触分解軽油(LCO)及び沸点範囲が140〜280℃である灯油(KERO)をそれぞれ等量(容積基準)含有する石油中間留出油に、燃料油組成物基準で、上記のエキストラクトを0.5質量%配合し、燃料油組成物としてのA重油を得た。色相は、1.6であった。
実施例2
窒素ガス圧力が1014.3hPaに保持された貯蔵装置内で実施例1と同じエキストラクトを200日間貯蔵した後、沸点範囲が172〜357℃である軽質直留軽油(LGO)と沸点範囲が140〜330℃である接触分解軽油(LCO)とを75/25の容積比で含有する石油中間留出油に、燃料油組成物基準で、上記のエキストラクトを0.5質量%配合し、燃料油組成物としてのA重油を得た。色相は、1.6であった。
実施例3
窒素ガス圧力が1014.3hPaに保持された貯蔵装置内で実施例1と同じエキストラクトを200日間貯蔵した後、沸点範囲が172〜357℃である軽質直留軽油(LGO)、沸点範囲が140〜330℃である接触分解軽油(LCO)と沸点範囲が150〜390℃である間接脱硫軽油(VHLGO)とを65/25/10の容積比で含有する石油中間留出油に、燃料油組成物基準で、上記のエキストラクトを0.5質量%配合し、燃料油組成物としてのA重油を得た。色相は、1.8であった。
比較例1
空気圧力が1014.3hPaに保持された貯蔵装置内で実施例1と同じエキストラクトを200日間貯蔵した後、沸点範囲が140〜330℃である接触分解軽油(LCO)及び沸点範囲が140〜280℃である灯油(KERO)をそれぞれ等量(容積基準)含有する石油中間留出油に、燃料油組成物基準で、上記のエキストラクトを0.5質量%配合し、燃料油組成物としてのA重油を得た。色相は、3.1であった。
比較例2
空気圧力が1014.3hPaに保持された貯蔵装置内で実施例1と同じエキストラクトを200日間貯蔵した後、沸点範囲が172〜357℃である軽質直留軽油(LGO)と沸点範囲が140〜330℃である接触分解軽油(LCO)とを75/25の容積比で含有する石油中間留出油に、燃料油組成物基準で、上記のエキストラクトを0.5質量%配合し、燃料油組成物としてのA重油を得た。色相は、3.5であった。
比較例3
空気圧力が1014.3hPaに保持された貯蔵装置内で実施例1と同じエキストラクトを200日間貯蔵した後、沸点範囲が172〜357℃である軽質直留軽油(LGO)、沸点範囲が140〜330℃である接触分解軽油(LCO)と沸点範囲が150〜390℃である間接脱硫軽油(VHLGO)とを65/25/10の容積比で含有する石油中間留出油に、燃料油組成物基準で、上記のエキストラクトを0.5質量%配合し、燃料油組成物としてのA重油を得た。色相は、3.5であった。
実施例1と比較例1との比較、実施例2と比較例2との比較及び実施例3と比較例3との比較により明らかなごとく、本発明方法により、燃料油組成物の色相がASTM色相で2以下となり、色相が大幅に改善された。
本発明方法により色相が大幅に改善されるので、各種燃料油組成物、特にA重油の製造方法として好適に用いられる。

Claims (7)

  1. (1)不活性ガス圧力を一定に保持する貯蔵装置内で、該貯蔵装置内の気体を不活性ガスとしてエキストラクトを貯蔵する段階と、
    (2)石油中間留出油に、燃料油組成物基準で、該エキストラクトを0.1〜5質量%配合する段階とを
    含むことを特徴とする燃料油組成物の製造方法。
  2. 保持される不活性ガス圧力が1000〜1030hPaである請求項1に記載の燃料油組成物の製造方法。
  3. 不活性ガスが窒素である請求項1又は2に記載の燃料油組成物の製造方法。
  4. 貯蔵装置が不活性ガスの供給又は排出を自動制御する手段を具備してなる請求項1〜3のいずれかに記載の燃料油組成物の製造方法。
  5. 石油中間留出油の沸点範囲が100〜450℃である請求項1〜4のいずれかに記載の燃料油組成物の製造方法。
  6. 不活性ガスの供給が、貯蔵装置内のエキストラクトに不活性ガスを直接吹き込むことによりなされる請求項1〜5のいずれかに記載の燃料油組成物の製造方法。
  7. 燃料油組成物がA重油である請求項1〜6のいずれかに記載の燃料油組成物の製造方法。
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