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JP5010966B2 - 撥水性塗料および撥水金属板 - Google Patents
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JP5010966B2 - 撥水性塗料および撥水金属板 - Google Patents

撥水性塗料および撥水金属板 Download PDF

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Description

本発明は、撥水性塗料および撥水金属板に係り、特に、撥水性(防汚性、耐着雪性、耐候性)に優れる撥水塗膜を形成する撥水性塗料およびこの撥水性塗料を塗布した撥水金属板に関する。
従来、防汚性、耐着雪性および耐候性等に優れた金属板を提供するため、金属板の表面にフッ素系樹脂やシリコン系樹脂のような撥水性塗料をコーティングすることにより、金属板に撥水性を付与することが行われている。ここで、例えば、平らなアルミニウム合金板にフッ素系塗料を塗布すると、水の接触角が100〜110°程度の撥水性が得られることが知られている。また、塗料中に微粒子を混合することで、金属板にコーティングされた塗膜の表面に凹凸を形成させることにより、撥水性を高められることが知られている。
このように、塗料中に微粒子を混合することで撥水性を高めるものとして、四フッ化エチレン(PTFE)粉末を非フッ素樹脂中に混入させた撥水性塗料をFRP(Fiber Reinforced Plastics)基板の上に塗布することにより、水の接触角が150°程度の撥水性となる技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、疎水性微粒子と樹脂とを混合した撥水性塗料をアルミニウム板に塗布することにより、水の接触角が最大170°の撥水性となる技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平8−3477号公報(段落0008〜0013) 特開平3−215570号公報(第4頁左上欄10行目〜第5頁右上欄20行目)
しかしながら、前記した撥水性塗料では、以下に示す問題があった。
これらの撥水性塗料は、微粒子を塗料中に分散させることで、金属板に塗料を塗布することにより形成された塗膜の表面に凹凸を形成させるものである。
しかし、塗料中に微粒子を混合した場合、微粒子を完全に均一に分散させることは難しく、混合した微粒子は塗料中に不均一な状態で分散してしまう。このように、微粒子が塗料中に不均一な状態で分散していると、塗料を金属板に塗布したときに、塗布した塗膜の表面に形成される凹凸が、不均一な状態となる。そのため、金属板に塗膜を形成しても、金属板の表面全体に均質な撥水性を付与することが困難となり、金属板の表面に、撥水性に劣る部位が生じるという問題があった。
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、撥水性に優れ、また、この撥水性により、防汚性、耐着雪性および耐候性にも優れるとともに、塗膜の表面の凹凸を塗膜の表面全体に均一に形成させることで、均質な撥水性を有する塗膜を形成する撥水性塗料およびこの撥水性塗料を塗布した撥水金属板を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究した結果、金属板の塗膜の表面の凹凸を、微粒子を分散させることだけで形成させるのではなく、塗膜自体の自発的なミクロン単位の凹凸を塗膜の表面全体に均一に形成させることで、撥水性(防汚性、耐着雪性、耐候性)に優れるとともに、均質な撥水性を有する塗膜を形成する撥水性塗料およびこの撥水性塗料を塗布した撥水金属板を完成するに至った。
すなわち、請求項1に係る撥水性塗料は、有機溶媒中に、アクリル樹脂を溶解させるとともに、微粒子を混合させた撥水性塗料であって、前記微粒子の平均粒径が、5〜1700nmであり、前記撥水性塗料中に、構造制御剤として、エチレングリコールまたはポリエチレングリコールを含有し、前記有機溶媒が、トルエン、ベンゼンおよびキシレンから選択される1種以上であることを特徴とする。
このような構成によれば、撥水性塗料中に、微粒子と、エチレングリコールまたはポリエチレングリコールを含有することで、撥水性塗料を金属板に塗布した場合に、塗膜自体の自発的なミクロン単位の凹凸が塗膜の表面全体に均一に形成される。
また、有機溶媒中に、微粒子を混合して撥水性塗料中に分散させることで、当該微粒子に由来する機能(例えば、光触媒機能、強度等)を塗膜に付与することができるため、撥水性塗料を塗布した金属板において、これらの機能が向上する。
また、有機溶媒として、トルエン、ベンゼンおよびキシレンから選択される1種以上を使用することにより、アクリル樹脂と、エチレングリコールまたはポリエチレングリコールの溶解が容易になる。
請求項に係る撥水性塗料は、前記アクリル樹脂の主鎖または側鎖にフッ素を含有することを特徴とする。
このような構成によれば、アクリル樹脂の主鎖または側鎖にフッ素を含有することで、撥水性塗料を塗布した金属板における撥水性がさらに向上する。
請求項に係る撥水性塗料は、前記アクリル樹脂の一部が、シリコン変性されたアクリル樹脂またはシリコン変性されたアクリルウレタン樹脂であることを特徴とする。
請求項に係る撥水性塗料は、前記アクリル樹脂の全部が、シリコン変性されたアクリル樹脂またはシリコン変性されたアクリルウレタン樹脂であることを特徴とする。
これらのような構成によれば、撥水性塗料を塗布した金属板における撥水性がさらに向上することに加えて、塗膜中の微粒子や塗膜構成成分と金属板との密着性が向上し、撥水塗膜が物理的接触に晒された際の耐久性が向上する。
請求項に係る撥水金属板は、前記記載の撥水性塗料を金属板に塗布することにより、前記金属板に撥水塗膜を形成したことを特徴とする。
このような構成によれば、金属板に、塗膜自体の自発的なミクロン単位の凹凸が塗膜の表面全体に均一に形成された撥水塗膜を形成することにより、金属板の表面全体に均質な撥水性を有する金属板を得ることができる。
請求項に係る撥水金属板は、前記金属板が、アルミニウム板、アルミニウム合金板、鉄鋼板、銅板およびチタン板から選択される1種であることを特徴とする。
このような構成によれば、アルミニウム板、アルミニウム合金板、鉄鋼板、銅板、チタン板においても、塗膜自体の自発的なミクロン単位の凹凸が塗膜の表面全体に均一に形成された撥水塗膜を形成することにより、これらの金属板の表面全体に均質な撥水性を付与することができる。
本発明の請求項1に係る撥水性塗料によれば、金属板に当該撥水性塗料を塗布し、塗膜自体の自発的なミクロン単位の凹凸を塗膜の表面全体に均一に形成させることにより、撥水性(防汚性、耐着雪性、耐候性)に優れるとともに、均質な撥水性を有する撥水塗膜を形成させることができる。
また、アクリル樹脂と、エチレングリコールまたはポリエチレングリコールの溶解を容易に行うことができる。
請求項に係る撥水性塗料によれば、撥水塗膜の撥水性が向上するため、撥水性塗料を塗布した金属板の撥水性をさらに向上させることができる。
請求項に係る撥水性塗料によれば、撥水塗膜の撥水性および密着性が向上するため、撥水性塗料を塗布した金属板の撥水性および物理的接触に対する耐久性を向上させることができる。このような撥水塗膜の耐久性向上は、使用時における耐久性が向上するため有用である他、塗装済み金属板における加工時の皮膜損傷が抑制されるため、産業上において、大きな優位点を有する。
本発明の請求項に係る撥水金属板によれば、金属板に、塗膜自体の自発的なミクロン単位の凹凸が塗膜の表面全体に均一に形成された撥水塗膜を形成することにより、優れた撥水性(防汚性、耐着雪性、耐候性)を得るとともに、金属板の表面全体に、均質な撥水性を得ることができる。
請求項に係る撥水金属板によれば、アルミニウム板、アルミニウム合金板、鉄鋼板、銅板、チタン板においても、優れた撥水性(防汚性、耐着雪性、耐候性)を得るとともに、金属板の表面全体に、均質な撥水性を得ることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
≪撥水性塗料≫
本発明に係る撥水性塗料は、有機溶媒中に、アクリル樹脂を溶解させるとともに、微粒子を混合して撥水性塗料中に分散させたものであり、また、構造制御剤として、エチレングリコールまたはポリエチレングリコールを含有するものである。
以下、各構成について説明する。
<有機溶媒>
有機溶媒は、アクリル樹脂と、エチレングリコールまたはポリエチレングリコールを溶解するものである。また、微粒子を混合することで、撥水性塗料中に、この微粒子を分散させる。
使用する有機溶媒としては、トルエン、ベンゼン、キシレン(p−キシレン、m−キシレン、o−キシレン)等の芳香族化合物を用いることが好ましいが、アクリル樹脂と、エチレングリコールまたはポリエチレングリコールを溶解できるものであれば特に限定されるものではない。例えば、アセトン、シクロヘキサノン、エチルメチルケトン等のケトン化合物、酢酸エチル等のエステル化合物、ペンタノール等のアルコール化合物等を用いることができる。なお、これらは単独で用いてもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
<微粒子>
微粒子は、塗膜自体の自発的なミクロン単位の凹凸を形成させるために必要なものであり、有機溶媒に混合することで、撥水性塗料中に分散させるものである。
添加する微粒子としては、特に限定されるものではなく、撥水性塗料に、さらに付与したい機能によって適宜選択することができる。
例えば、光触媒機能や紫外線防止機能を付与する場合には、酸化チタンを添加し、強度を向上させる場合には、シリカを添加することができる。
酸化チタンとしては、石原産業(株)製酸化チタン、例えば、超微粒子酸化チタン、光触媒用酸化チタン、白色導電性酸化チタン、針状導電性酸化チタン、高純度酸化チタン等が挙げられる。
シリカとしては、日本アエロジル(株)製シリカ、例えば、アエロジル200(登録商標)、アエロジル300(登録商標)、アエロジルR202(登録商標)、アエロジルR972(登録商標)、アエロジルR974(登録商標)等が挙げられる。
ここで、微粒子の平均粒径は、5〜1700nmとする。なお、ここでの平均粒径とは、日機装(株)製 ナノトラック粒度分布測定装置 UPA−EX150でトルエンに分散させた粒子を測定した場合の50%体積の粒径をいう。
微粒子の平均粒径が5nm未満であると、微粒子の入手が困難であり、入手できる場合でも、高価であるため、経済性の観点から好ましくない。一方、1700nmを超えると、塗料を金属板に塗布した際、金属板に形成された塗膜の表面に、塗膜自体の自発的なミクロン単位の凹凸が形成されない。また、微粒子の平均粒径は、好ましくは、5〜500nm、さらには、30〜200nmがより好ましい。微粒子の平均粒径が5〜500nm、さらには30〜200nmであると、微粒子の粒径が各々近いため、微粒子が塗膜中に均一に分散されやすく、また、付与する機能が塗膜中に均一になりやすい。
なお、微粒子の表面は、親水性、疎水性のどちらでもよい。
<アクリル樹脂>
アクリル樹脂は、撥水性塗料を金属板に塗布することにより、金属板に撥水塗膜を形成させるものである。
アクリル樹脂としては、メタクリル酸、アクリル酸、アクリル酸メチル等のアクリル酸エステルのポリマーを用いることができるがこれらに限定されるものではない。
ここで、アクリル樹脂の主鎖または側鎖(エステル基部)には、フッ素を含有することが好ましい。そのため、アクリル樹脂の主鎖または側鎖(エステル基部)にフッ素を含む化合物を用いることが好ましく、これにより、塗膜の撥水性をさらに向上させることができる。
フッ素を含む化合物としては、例えば、旭硝子(株)製のアサヒガードAG−7600(登録商標)、アサヒガードAG−7160(登録商標)、アサヒガードAG−950(登録商標)、アサヒガードAG−7000(登録商標)、アサヒガードAG−1100(登録商標)、ダイキン工業(株)製のユニダインシリーズ(登録商標)等が挙げられる。
また、前記のアクリル樹脂の一部または全部が、シリコン変性されたアクリル樹脂またはシリコン変性されたアクリルウレタン樹脂であることが好ましい。これにより、塗膜の撥水性に加え、物理的接触に対する耐久性をさらに向上させることができる。
シリコン変性されたアクリル樹脂またはシリコン変性されたアクリルウレタン樹脂としては、例えば、東亞合成社製のサイマックUS−270(登録商標)、サイマックUS−380(登録商標)、大日本インキ化学社製のアクリディックA−9540(登録商標)、アクリディックA−9510(登録商標)、アクリディックA−9585(登録商標)、アクリディックBZ−1161(登録商標)、ナトコ社製のパピレス(登録商標)、イサム塗料社製のハイアート♯3000(登録商標)等が挙げられる。
アクリル樹脂、シリコン変性されたアクリル樹脂、シリコン変性されたアクリルウレタン樹脂の配合量について特に制限は設けていないが、撥水性と耐久性のバランスの観点から、微粒子合計質量に対する樹脂合計質量は、質量比で1.0倍以上2.5倍以下の範囲で含有させた場合が好ましい。
<エチレングリコールまたはポリエチレングリコール>
構造制御剤としてのエチレングリコールまたはポリエチレングリコールは、金属板に形成された塗膜の表面に、ミクロン単位の凹凸を形成させるのに大きな役割を果たす物質である。
微粒子とともに、エチレングリコールまたはポリエチレングリコールを添加することにより、微粒子を分散させることだけで形成される凹凸とは異なる、塗膜自体の自発的なミクロン単位の凹凸が塗膜の表面全体に均一に形成される。塗膜の表面に形成された凹凸構造は、塗膜の表面積を増大させることで接触角を強調(大きく)する方向へ働くため、撥水性を向上させる。
エチレングリコールまたはポリエチレングリコールは、有機溶媒にも可溶であるが、どちらかといえば、水溶性の性質が高いため、有機溶媒中では、相分離を起こしやすい状態にあると考えられる。そのため、有機溶媒に溶解させたエチレングリコールまたはポリエチレングリコールは、塗料の塗布後に有機溶媒を乾燥させる際に、相分離を起こすものと考えられる。この相分離を起こすことで、添加した微粒子との相乗効果により塗膜表面に孔ができ、凹凸構造を形成するものと考えられる。
なお、ミクロン単位の凹凸とは、具体的には、幅が0.5〜500μmの直径の孔をもつ部分と、平坦な部分を持つ箇所のことを指す。この凹凸の多くは、平坦な部分に凹ができることで形成され、形成された凹の部分にさらに小さな凹凸が形成される。
また、孔の幅は、好ましくは、直径が1〜10μm、より好ましくは、直径が1〜3μmである。直径が1〜10μm、さらには1〜3μmであると、ミクロン単位の凹凸がより均一に形成されるため、金属板表面の撥水性がさらに均質となりやすい。
ここで、エチレングリコールまたはポリエチレングリコールの含有量は、撥水性塗料中に、0.1〜20質量%の範囲であることが好ましい。エチレングリコールまたはポリエチレングリコールの含有量が0.1質量%未満であると、含有量が少なすぎるために、塗膜の表面に凹凸構造が形成されにくい。一方、20質量%を超えると、撥水性塗料の粘度が高くなるため、金属板に塗布ができない場合が生じやすく、また、塗膜の表面に凹凸構造が形成されない場合があるためである。
また、エチレングリコールまたはポリエチレングリコールの分子量は、2000以下が好ましい。分子量が2000を超えると、有機溶媒への溶解度が大幅に低下し、前記に示した最低質量%(0.1質量%)を添加することが困難となるためである。
次に、前記した撥水性塗料を塗布した撥水金属板について説明する。
≪撥水金属板≫
本発明に係る撥水金属板は、前記した撥水性塗料を塗布することにより、金属板に撥水塗膜を形成したものである。
このような撥水塗膜は、金属板に撥水性塗料を塗布し、加熱して有機溶媒を除去した後、水洗、再加熱乾燥することにより、金属板表面に形成することができる。
撥水性塗料を塗布する金属板としては、アルミニウム板、アルミニウム合金板、鉄鋼板、銅板、チタン板等を用いることができるがこれらに限定されるものではない。
なお、これらの金属板には、撥水塗膜との密着性を良くするため、下地処理を施してもよい。また、撥水塗膜と金属板の密着性の向上、もしくは塗料の塗工性確保のため、撥水性塗料中に、表面調整剤、カップリング剤、チクソ性付与剤、潤滑剤、硬化剤等を加えてもよい。
以上説明したように、本発明に係る撥水性塗料によれば、撥水性塗料中に、微粒子と、エチレングリコールまたはポリエチレングリコールを含有させることにより、塗膜自体の自発的なミクロン単位の凹凸が塗膜の表面全体に均一に形成された撥水塗膜を形成することができる。そのため、撥水性(防汚性、耐着雪性、耐候性)に優れるとともに、均質な撥水性を有する撥水塗膜が形成された金属板を得ることができる。
本発明に係る撥水金属板によれば、金属板に、塗膜自体の自発的なミクロン単位の凹凸が塗膜の表面全体に均一に形成された撥水塗膜を形成することにより、優れた撥水性(防汚性、耐着雪性、耐候性)を得るとともに、金属板の表面全体に、均質な撥水性を得ることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく本発明の範囲を逸脱しない範囲で変更することができる。
例えば、本発明に係る撥水性塗料を塗布する基材として、金属板に限らず、プラスチック、セラミックス、木材、ガラス等に適用してもよく、また、適宜、その他の基材に適用してもよい。
次に、本発明に係る撥水性塗料および撥水金属板について、本発明の要件を満たす実施例と本発明の要件を満たさない比較例とを比較して具体的に説明する。
[実施例1]
塗膜を形成した金属板表面の撥水性について、以下の試験を行った。
まず、表1に示す各物質を混合し、1時間攪拌して、撥水性塗料を作製した。次に、この撥水性塗料を1000系アルミニウム板または鉄の金属板(EG鋼板)上に塗布し、塗膜厚25μmの塗膜を形成した。その後、37℃で15分間乾燥させた後、水洗し、さらに150℃で30分間乾燥させた。そして、そのときの水の静的接触角を、FACE−CA−A(協和界面化学社製)を用いて測定した。この結果を表1の「接触角」欄に示す。
なお、エチレングリコールまたはポリエチレングリコールを含有していない塗料を用いて形成した塗膜の接触角(比較例であるNo.11の82°)を基準に、10°以上接触角が高くなったものを撥水性が良好、10°以上接触角が高くならなかったものを撥水性が不良とした。すなわち、接触角が92°以上のものを撥水性が良好、92°未満のものを撥水性が不良とした。
なお、表1において、成分を含有していないものについては「−」で示す。
表1に示すように、実施例であるNo.1〜9は、本発明の範囲を満足しているため、撥水性が良好であった。特に、No.6は、アクリル樹脂として、フッ素を含む化合物を用いているため、接触角の値が他の実施例に比べ高かった。
一方、No.10は、微粒子、エチレングリコールまたはポリエチレングリコール、有機溶媒を含んでおらず、アクリル樹脂のみで塗膜を形成しているため、塗膜自体の自発的なミクロン単位の凹凸が塗膜の表面全体に均一に形成されず、撥水性が不良であった。
No.11は、微粒子を混合させているものの、エチレングリコールまたはポリエチレングリコールを含んでいないため、塗膜自体の自発的なミクロン単位の凹凸が塗膜の表面全体に均一に形成されず、撥水性が不良であった。
No.12は、微粒子である酸化チタンの平均粒径が上限を超えるため、塗膜自体の自発的なミクロン単位の凹凸が塗膜の表面全体に均一に形成されず、撥水性が不良であった。
なお、実施例であるNo.1において、ポリエチレングリコール(PEG600)の含有量を50質量%としたものについては、撥水性塗料の粘度が高くなり、塗布ができなかった。
[実施例2]
塗膜を形成した金属板表面の撥水性および塗装金属板の耐久性について、以下の試験を行った。
まず、表2に示す各物質を混合し、1時間攪拌して、撥水性塗料を作製した。次に、この撥水性塗料を1000系アルミニウム板上に塗布し、塗膜厚25μmの塗膜を形成した。その後、37℃で15分間乾燥させた後、水洗し、さらに150℃で30分間乾燥させた。そして、そのときの水の静的接触角を、FACE−CA−A(協和界面化学社製)を用いて測定した。この結果を表2の「接触角」欄に示す。
塗装金属板の耐久性は、キムワイプS−200(日本製紙クレシア製)を四つ折りし、これに3kgの荷重をかけながら、約5cm/秒の速さで1回擦った後の供試材を目視観察して評価した。塗膜の外観に変化がない場合を◎、やや外観が変化した場合を○、金属地肌が部分的に露出したものを△とした。この結果を表2に示す。
なお、撥水性の評価基準は、前記実施例1と同様である。また、表2中のサイテック社製のサイメル350(登録商標)は硬化剤である。
表2に示すように、実施例であるNo.13〜19は、本発明の範囲を満足しているため、撥水性が良好であった。特にこれらは、シリコン変性されたアクリル樹脂またはシリコン変性されたアクリルウレタン樹脂を含んでいるため、撥水性に加えて、耐久性が高かった。実施例であるNo.20は、本発明の範囲を満足しているため、撥水性が良好であった。しかし、シリコン変性されたアクリル樹脂またはシリコン変性されたアクリルウレタン樹脂を含まないため、耐久性はやや低かった。
No.21〜24は、本発明の範囲外の樹脂を適用しているため、撥水性が低かった。
[実施例3]
エチレングリコールまたはポリエチレングリコールを含有した塗料を塗布した金属板と、エチレングリコールまたはポリエチレングリコールを含有しない塗料を塗布した金属板の表面状態について以下の試験を行った。
(1)ポリエチレングリコールを含有した塗料を塗布した場合として、表1の実施例であるNo.1のアルミニウム板の表面状態を観察した。すなわち、有機溶媒であるトルエンに、微粒子として、酸化チタン(石原産業(株)製 TTO−55(S)(登録商標))およびシリカ(日本アエロジル(株)製 R972)、アクリル樹脂として、ポリメタクリル酸メチル(和光純薬工業(株)製 コードナンバー:138−02375)、ポリエチレングリコールとして、PEG600(三洋化成工業(株)製)を混合し、1時間攪拌して、これらの各物質を含有した撥水性塗料を作製した。次に、この撥水性塗料を1000系アルミニウム板上に塗布し、塗膜厚25μmの塗膜を形成した。その後、37℃で15分間乾燥させた後、水洗し、さらに150℃で30分間乾燥させた。このアルミニウム板の表面を500倍のSEM(ニコン製ESEM−2700を使用)により観察した。このSEM写真を図1に示す。
(2)エチレングリコールまたはポリエチレングリコールを含有しない塗料を塗布した場合として、表1の比較例であるNo.11のアルミニウム板の表面状態を観察した。すなわち、有機溶媒であるトルエンに、微粒子として、酸化チタン(石原産業(株)製 TTO−55(S)(登録商標))およびシリカ(日本アエロジル(株)製 R972)、アクリル樹脂として、ポリメタクリル酸メチル(和光純薬工業(株)製 コードナンバー:138−02375)を混合し、1時間攪拌して、これらの各物質を含有した撥水性塗料を作製した。次に、この撥水性塗料を1000系アルミニウム板上に塗布し、塗膜厚25μmの塗膜を形成した。その後、37℃で15分間乾燥させた後、水洗し、さらに150℃で30分間乾燥させた。このアルミニウム板の表面を500倍のSEM(ニコン製ESEM−2700を使用)により観察した。このSEM写真を図2に示す。
図1および図2より、ポリエチレングリコールを含む塗料の場合には、アルミニウム板の表面全体に、塗膜自体の自発的なミクロン単位の凹凸が均一に形成されている。一方、エチレングリコールまたはポリエチレングリコールを含まない塗料の場合には、塗膜自体の自発的なミクロン単位の凹凸がなく、ところどころに微粒子が不均一に分散して存在している表面をしていることがわかる。
これらの結果から、ポリエチレングリコール(またはエチレングリコール)がミクロン単位の凹凸の形成に大きな役割を果たし、ポリエチレングリコール(またはエチレングリコール)の添加により、微粒子を分散させることだけで形成される凹凸とは異なる、塗膜自体の自発的なミクロン単位の凹凸が塗膜の表面全体に均一に形成されることがわかる。
また、塗膜自体の自発的なミクロン単位の凹凸が塗膜の表面全体に均一に形成されることにより、撥水性が向上することがわかる。
以上、本発明の好適な実施例について説明してきたが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲において広く変更、改変して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
塗料中にポリエチレングリコールを含有する撥水性塗料を塗布したアルミニウム板表面のSEM写真である。 塗料中にエチレングリコールまたはポリエチレングリコールを含有しない撥水性塗料を塗布したアルミニウム板表面のSEM写真である。

Claims (6)

  1. 有機溶媒中に、アクリル樹脂を溶解させるとともに、微粒子を混合させた撥水性塗料であって、
    前記微粒子の平均粒径が、5〜1700nmであり、
    前記撥水性塗料中に、構造制御剤として、エチレングリコールまたはポリエチレングリコールを含有し、
    前記有機溶媒が、トルエン、ベンゼンおよびキシレンから選択される1種以上であることを特徴とする撥水性塗料。
  2. 前記アクリル樹脂の主鎖または側鎖にフッ素を含有することを特徴とする請求項1に記載の撥水性塗料。
  3. 前記アクリル樹脂の一部が、シリコン変性されたアクリル樹脂またはシリコン変性されたアクリルウレタン樹脂であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の撥水性塗料。
  4. 前記アクリル樹脂の全部が、シリコン変性されたアクリル樹脂またはシリコン変性されたアクリルウレタン樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の撥水性塗料。
  5. 請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載の撥水性塗料を金属板に塗布することにより、前記金属板に撥水塗膜を形成したことを特徴とする撥水金属板。
  6. 前記金属板が、アルミニウム板、アルミニウム合金板、鉄鋼板、銅板およびチタン板から選択される1種であることを特徴とする請求項に記載の撥水金属板。
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