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JP5023645B2 - アルカリ蓄電池 - Google Patents
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本発明はアルカリ蓄電池に関し、より詳しくは正極の生産性と特性の双方を高次化したアルカリ蓄電池に関する。
近年アルカリ蓄電池は、携帯機器の普及に伴い高容量化が強く要望されている。特にニッケル水素蓄電池は、水酸化ニッケルを主体とした正極と、水素吸蔵合金を主体とした負極からなる二次電池であり、高容量で高信頼性の二次電池として普及している。このアルカリ蓄電池用の正極には、大別して焼結式と非焼結式の二つがある。
前者の焼結式正極はパンチングメタル等の芯材とニッケル粉末とを焼結させて得た多孔度80%程度のニッケル焼結基板に、硝酸ニッケル水溶液等のニッケル塩溶液を含浸し、続いて、アルカリ水溶液に含浸するなどして多孔質ニッケル焼結基板中に活物質である水酸化ニッケルを生成させて作製するものである。この正極は基板の多孔度をこれ以上大きくすることが困難であるため、活物質量を増加することができず、高容量化には限界がある。
後者の非焼結式正極は3次元網状構造を有する金属多孔体(例えば多孔度95%程度の発泡ニッケル基板)に、活物質である水酸化ニッケルを充填して作製するものであり、高容量タイプのアルカリ蓄電池の正極として広く用いられている。この非焼結式正極では高容量化の観点から、嵩密度が大きい球状の水酸化ニッケルが使用される。
発泡式ニッケル基板は発泡させたポリウレタンなどの3次元網目状構造体の表面をニッケルでメッキした後、3次元網目状構造体を除去して製造される。一般的には発泡ニッケル基板の孔径は活物質の粒径よりも十分大きく設定するため、集電が保たれた基板骨格近傍の活物質の充放電反応は円滑に進行するが、骨格から離れた活物質の充放電反応は不十分になる。そこで非焼結式正極では充填した活物質の利用率を向上させるために、導電剤を用いて活物質間の導電性を高めている。導電剤としては水酸化コバルト、一酸化コバルトのような2価のコバルト酸化物を使用する。これら2価のコバルト酸化物はそれ自身は導電性を有しないものの、電池内での初期の充電において導電性を有するβ−オキシ水酸化コバルトへと電気化学的に酸化され、これが導電ネットワークとして機能する。導電ネットワークの存在によって、非焼結式正極では高密度に充填した活物質の利用率を大幅に高められ、実用的な電池特性が発揮できるようになる。
しかしながら充放電を繰り返して非焼結式正極が電解液を吸収した際、活物質の粒径よりも発泡ニッケル基板の孔径を大きくしたがゆえに活物質の保持力が低下し、発泡ニッケル基板から活物質が脱落しやすくなる。そこでこの課題を解決するために、非焼結式正極の表面に糸状化したフッ素樹脂層を設ける提案がなされている(例えば、特許文献1)。
特開平6−20685号公報
しかしながら特許文献1で用いるフッ素樹脂層は撥水性が高い上に電池内の残空間を減少させるので、電解液の注入性や浸透性を悪化させることになる。本発明は上記課題に基づいてなされたものであり、非焼結式正極における活物質の脱落を無理なく抑制し、高容量でかつ容量維持率の高いアルカリ蓄電池を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明のアルカリ蓄電池は、3次元網状構造を有する金属多孔体に活物質を充填してなる正極と、負極と、これらの間に介在させたセパレータと、電解液とからなり、金属多孔体の骨格に中空を設けかつその断面を略三角形状とし、この断面における各頂点部の厚みAを辺部の中空までの厚みBより大きくしたことを特徴とする。
上述したような断面構造を有する金属多孔体は空孔内に活物質を効率的に囲い込めるので、非焼結式正極からの活物質の脱落を回避して、容量維持率を高めることができるようになる。
なお金属多孔体の骨格平面上に突起を設けることにより、金属多孔体と活物質との接触面積が大きくなるので接触性が向上し、高率放電特性および容量維持率をより高めることができる。
本発明の構成を活用すれば、高容量ながら活物質の脱落が顕著であった非焼結式正極の課題が解決できるので、高容量でかつ容量維持率の高いアルカリ蓄電池を提供することができる。
以下、発明を実施するための最良の形態について、図を用いて説明する。なおここで示す図は一例であって、本発明の請求項に表す構成を有していれば、同様の効果を得ることができる。
第1の発明は、3次元網状構造を有する金属多孔体に活物質を充填してなる正極と、負極と、これらの間に介在させたセパレータと、電解液とからなり、金属多孔体の骨格に中空を設けかつその断面を略三角形状とし、この断面における各頂点部の厚みAを辺部の中空までの厚みBより大きくしたことを特徴とするアルカリ蓄電池に関する。
図1は本発明のアルカリ蓄電池の金属多孔体の骨格断面を示す概略図である。金属多孔体1は骨格の断面が略三角形状でかつその内部に中空4が設けられている。この断面における頂点部2の厚みAは、辺部3の中空4までの厚みBより大きい。このような断面構造を有する金属多孔体1は空孔内に活物質を効率的に囲い込めるので、非焼結式正極からの活物質の脱落を回避して、容量維持率を高めることができるようになる。
図1に示すような断面構造を有する金属多孔体1は、例えば繊維系が5〜100μmのポリウレタンに電流密度5A/dm2以上でエッジ部への電流集中現象が起こるようにメッキを行うことにより得ることが可能である。なおメッキを行う金属はニッケルのほかに銅、亜鉛などを用いることができる。
第2の発明は、第1の発明において、頂点部2の厚みAと辺部3の中空4までの厚みBとの比A/Bを1.5〜3.0としたことを特徴とする。この比が1.5倍未満の場合、本発明の効果である活物質の効率的な囲い込みが不十分になって活物質の脱落による容量低下がやや顕著になる。またこの比が3.0倍より大きい場合、金属多孔体1の空孔内に活物質を充填しにくくなり、所望の容量が得られなくなるので好ましくない。この比は上述したメッキ条件(具体的にはメッキ速度)を変えることにより調整が可能である。
第3の発明は、第1の発明において、金属多孔体1の骨格平面上に突起を設けたことを特徴とする。図2は本発明のアルカリ蓄電池における金属多孔体1の表面を示す図で、円
で囲んだCが図1に示す金属多孔体1の骨格断面(ただし、終端部につき中空4はなし)に相当する。金属多孔体1の表面には突起5を設けることにより、第1の発明の効果に加えて、金属多孔体1と活物質との接触面積が大きくなって接触性が向上するので、高率放電特性および容量維持率をより高めることができるようになる。なお第3の発明に示す金属多孔体1は、例えば繊維系が5〜100μmのポリウレタンにカーボンを塗布した後、電流密度5A/dm2以上でエッジ部への電流集中現象が起こるようにメッキを行うことにより得ることが可能である。なお、図2に示すように電子顕微鏡撮影にて突起5と認定される箇所は、金属多孔体1の断面において、通常の骨格平面の厚みの1.2倍以上の厚みを有している。
ここで本発明の金属多孔体1を用いたニッケル水素蓄電池を例にあげ、アルカリ蓄電池の製造方法を具体的に説明する。まず正極は、活物質として水酸化ニッケル(Ni(OH)2)の粉末に、CoOやCo(OH)2のような2価のコバルト化合物の粉末を混合し、その混合粉末にカルボキシメチルセルロース(以下、CMCと略記)やメチルセルロースなどを溶解して成る増粘剤水溶液を添加して全体を混練し、粘稠な合剤ペーストを調製したのち、この合剤ペーストをスポンジ状のニッケルシートやニッケルフェルトのような3次元網状構造の金属多孔体1に充填塗布し、乾燥、圧延処理を順次行うことにより製造される。金属多孔体1には、厚み方向に押しつぶされた凹没部が予め所定位置に形成されており、この凹没部に正極集電体としてニッケル片のような金属片をスポット溶接し、正極が得られる。
負極は、パンチングメタル(穿孔鋼板にニッケルメッキを施したもの)やニッケルネットのような多孔質導電板に、活物質である水素吸蔵合金粉末に導電材粉末、結着剤および増粘剤を所定割合で混合した混合物スラリーを塗着し、乾燥、圧延処理を順次行うことにより製造される。
セパレータはポリプロピレンなどのポリオレフィンの不織布にスルホン化などの表面処理を施したものが用いられる。セパレータは正極および負極の寸法より大きく切断され、両者の間に介在した状態で捲回され、負極が最外周に位置するように捲回する。以上のようにして形成された電極群は、外装缶の開口部から外装缶の中へ挿入される。この外装缶内にKOHなどを主体とするアルカリ電解液が注入された後、正極集電体と封口体とが溶接され、この封口体が正極端子となる。一方負極においては、電極群の最外周に位置する負極が負極端子を兼ねる外装缶と接触することにより、負極と負極端子が電気的に接続される。そして最後に、外装缶の開口部に、封口体が絶縁板を介して嵌合装着され、外装缶と封口体との封口溶接がなされ、密閉構造のニッケル水素電池が製造される。
本発明の金属多孔体1を用いることができるアルカリ蓄電池としては、上述したニッケル水素蓄電池のほかにニッケルカドミウム蓄電池やニッケル鉄蓄電池、ニッケル亜鉛蓄電池などを挙げることができる。中でもニッケル水素蓄電池は、エネルギー密度が高いので本発明の主旨に最も合致している。
以下に、本発明の実施例および比較例を、ニッケル水素蓄電池を用いて詳細に説明する。
(実施例1)
1インチあたりの空孔数が約50個で繊維径が40μm、平均孔径300μm、気孔率96%、厚さ1.8mmの発泡ウレタン基板に真空中でニッケルを蒸着させ、10g/m2のニッケル金属を被覆した。次いでこれをワット浴中で電流密度10A/dm2にて電解ニッケルメッキしてメッキ層を形成した。メッキ析出量は400g/m2であった。この
後、下地である発泡ウレタン基板を600℃で焼成除去し、さらに900℃の水素気流中でニッケル還元処理を行った。得られた金属多孔体1は均一に1.3mm厚になるようにロールプレスして調厚した。得られた金属多孔体1の頂点部2の厚みAは30μm、辺部3の中空4までの厚みBは15μm、比A/Bは2.0であった。
この金属多孔体1に活物質である水酸化ニッケルと、導電剤である水酸化コバルトおよび一酸化コバルト粉末とを充填した後で圧延し、所定の寸法に切断して正極を得た。一方負極は、活物質である水素吸蔵合金粉末と、導電剤であるケッチェンブラックと、結着剤であるスチレン−ブタジエンゴム共重合体と、増粘剤であるCMCとからなるペーストを、穿孔鋼板にニッケルをメッキした2次元多孔体(パンチングメタル)に塗布乾燥した後、圧延を行い、所定の寸法に切断して得た。これら正負極を、ポリプロピレン製不織布を主構成要素とするセパレータを介して捲回し、電極群を構成した。この電極群を円筒型の有底缶に挿入し、ここに水酸化カリウム水溶液からなる電解液を注入して、公称容量3Ahのニッケル水素蓄電池を作製した。これを実施例1とする。
(実施例2〜5)
実施例1のアルカリ蓄電池に対し、金属多孔体1のニッケルめっきの電流密度を5A/dm2(実施例2)、7A/dm2(実施例3)、15A/dm2(実施例4)、18A/dm2(実施例5)とすることにより、頂点部2の厚みAを23.5μm(実施例2)、27μm(実施例3)、33.8μm(実施例4)、35μm(実施例5)とし、辺部3の中空4までの厚みBを21.5μm(実施例2)、18μm(実施例3)、11.2μm(実施例4)、10μm(実施例5)とし、比A/Bを1.1(実施例2)、1.5(実施例3)、3.0(実施例4)、3.5(実施例5)とした以外は、実施例1と同様のアルカリ蓄電池を構成した。これを実施例2〜5とする。
(実施例6)
実施例1のアルカリ蓄電池に対し、実施例1と同様の発泡ウレタン基板に平均粒径が3μmの導電性カーボン粉末を塗布した後、真空中でニッケルを蒸着させた以外は、実施例1と同様のアルカリ蓄電池を構成した。これを実施例6とする。
(比較例1)
実施例1のアルカリ蓄電池に対し、金属多孔体1のニッケルめっきの電流密度を4A/dm2とすることにより、頂点部2の厚みAおよび辺部3の中空4までの厚みBを22.5μm(比A/Bが1.0)とした以外は、実施例1と同様のアルカリ蓄電池を構成した。これを比較例とする。
これらのアルカリ蓄電池に対し、以下の評価を行った。
(サイクル寿命評価)
20℃環境下において3Aで1.5Vまでの充電を行った後、3Aで0.9Vまで放電する充放電を繰り返した。5サイクル、100サイクル及び300サイクル後の放電容量を(表1)に示す。
(高率放電評価)
20℃環境下において3Aで1.5Vまでの充電を行った後、10Aで0.9Vまで放電した。その時の放電容量を(表1)に示す。
Figure 0005023645
(表1)より、A/B比が1.0である比較例は、300サイクルでの容量維持率が極端に低下している。この理由として、隣り合う骨格の頂点部2どうしで活物質を囲い込むという本発明の効果が発揮できなかったため、活物質の脱落による容量低下が顕著になったと考えられる。
これら比較例に対し、本発明の実施例1〜5は良好なサイクル特性を示した。ただし比A/Bが1.5倍未満の実施例2は、本発明の効果である活物質の効率的な囲い込みが不十分になって活物質の脱落による容量低下がやや顕著になった。また比A/Bが3.0倍より大きい実施例5は、金属多孔体1の空孔内に活物質を充填しにくくなり、5サイクル目の容量がやや小さくなった。この結果から、比A/Bの好適範囲は1.5〜3.0であることがわかる。
また、本発明の実施例6は実施例1に対し良好な高率放電特性を示した。この理由として、金属多孔体1と活物質との接触面積が大きくなって接触性が向上したことが挙げられる。また容量維持率も他の実施例より高くなっていることから、活物質の脱落もより強固に抑制できたと推測される。
本発明は、3次元網目状構造を有する金属多孔体を用いるアルカリ蓄電池に好適であり、電池反応を妨げることなく、正極表面全体での活物質脱落不良を少なくでき、正極容量低下を抑えることが可能になるので、産業上の利用可能性は高いと考えられる。
本発明のアルカリ蓄電池の金属多孔体の骨格断面を示す概略図 第3の発明のアルカリ蓄電池における金属多孔体の表面を示す図
符号の説明
1 金属多孔体
2 頂点部
3 辺部
4 中空
5 突起

Claims (1)

  1. 3次元網状構造を有する金属多孔体に活物質を充填してなる正極と、負極と、これらの間に介在させたセパレータと、電解液とからなるアルカリ蓄電池であって、
    前記金属多孔体は、発泡ウレタンにカーボン粉末を塗布した後、前記発泡ウレタンおよびカーボン粉末上に金属層を形成することにより、前記金属多孔体の骨格平面上に突起が設けられており、
    前記金属多孔体の骨格に中空を設けかつその断面を略三角形状とし、この断面における各頂点部の厚みA辺部の中空までの厚みBとの比A/Bを1.5〜3.0としたことを特徴とするアルカリ蓄電池。
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