以下、図面に基づいて本発明に係るプラネタリギヤ装置の実施の形態について説明する。自動変速機1は、図1に示すように、トルクコンバータ2と、多段変速機構6とを備えており、これらトルクコンバータ2及び多段変速機構6が1軸上に直列的に配置されているとともに、コンバータハウジング7及びミッションケース9からなる一体ケースに収納されている。多段変速機6は、3個のクラッチC1,C2,C3が油圧アクチュエータ(油圧サーボ)と共にまとめて配置されたクラッチ部23と、3個のプラネタリギヤ3,4,5を有するギヤ部24とからなる。多段変速機構6は、前方部分(トルクコンバータ側)がクラッチ部となり、後方部分(出力軸105側)がギヤ部24となっている。
クラッチ部23には、3個のクラッチ、すなわち第1クラッチC1,第2クラッチC2,第3クラッチC3が、これらの油圧アクチュエータとともにまとめて配置されている。これら3個のクラッチのうち第2,第3クラッチC2,C3は、外径側において第2クラッチC2が前方側に、第3クラッチC3が後方側に配置されている。すなわち、第2,第3クラッチC2,C3は、外径側において第2クラッチC2の後方側と第3クラッチC3の前方側とが対面するように、軸方向に略々整列されて配置されている。そして、第1クラッチC1は、軸方向については第2クラッチC2とオーバラップすることなく、第3クラッチC3の内径側に配置されている。
ギヤ部24は、多段変速機構6の後方部分に設けられており、3個のプラネタリギヤ(第1プラネタリギヤ3、第2プラネタリギヤ4、第3プラネタリギヤ5)がその係止手段(第1〜第4係止手段)と共にまとめて配置されている。なお、本実施の形態においては、第1係止手段は第1ブレーキB1と第1ワンウェイクラッチF1とにより構成され、第2係止手段は、第2ブレーキB2により構成され、第3係止手段は、第3ブレーキB3と第2ワンウェイクラッチF2とにより構成され、第4係止手段は、第4ブレーキB4と第3ワンウェイクラッチF3とによって構成されている。
ついで、上述の構成の多段変速機構6の作動を、自動変速機構1の多段変速機構6に関する図2のスケルトン図、図3に示す作動表、及び図4の速度線図に基づいて説明する。多段変速機構6は、第1プラネタリギヤ3からなるフロントギヤユニット130と、第2プラネタリギヤ4及び第3プラネタリギヤ5からなるリヤギヤユニット131とにその機能上分かれており、かつリヤギヤユニット131は、中間軸31を介して連結されている両サンギヤS2,S3からなる第1の回転要素137と、連結部材を介して連結されているキャリヤCR2及びリングギヤR3からなる第2の回転要素136と、相互に連結されているリングギヤR1,R2からなる第3の回転要素135と、出力軸105に連結されているキャリヤCR3からなる第4の(出力)回転要素138の、合計4個の回転要素から構成される。
そして、第1の回転要素137は、中間軸31を介してクラッチ部23内径側に位置する第1クラッチC1に、第2の回転要素136は、第2スリーブ軸43を介してクラッチ部23の外径側において前方側に位置する第2クラッチC2に、第1プラネタリギヤ3の入力要素であるサンギヤS1は、第3スリーブ軸46を介してクラッチ部23の外径側において後方側に位置する第3クラッチC3にそれぞれ連結している。
前進段の1速(1速段:1ST)では、図3に示すように、第1クラッチC1が係合し、第3ワンウェイクラッチF3が作動し、入力軸12とサンギヤS2,S3(第1の回転要素137)が連結されるとともに、キャリヤCR2及びリングギヤR3(第2の回転要素136)の逆転が第3ワンウェイクラッチF3により阻止されて、入力軸12の回転(RIN)は、第1クラッチC1を介して直接、第3プラネタリギヤ5のサンギヤS3に入力される。すると、第3ワンウェイクラッチF3の作動に基づき停止状態にあるリングギヤR3により、図4の速度線図において、線図L1に示す状態となり、出力軸105が接続されたキャリヤCR3(出力回転要素138)からは、正回転の1速が取り出される。なお、第2プラネタリギヤ4は、サンギヤS2が回転するが、空転状態となっている。
この際、1速状態及び発進時に基づく大きなトルクが作用し、このトルクを第3ワンウェイクラッチF3にて担持することになるが、この第3ワンウェイクラッチF3は、第2,第3プラネタリギヤ4,5の間部分にて軸方向に比較的長い空間に配置され、特にその係止部材(ローラ又はスプラグ)及びそれに接するアウタレース及びインナレース部分の面積も広くなっており、上述の大きなトルクを確実に担持し得る。また、第1クラッチC1は、クラッチ部23の内径側においてかつ独立した第1油圧アクチュエータにより操作される。
前進段の2速(2速段:2ND)では、図3に示すように、1速時の第1クラッチC1の係合に加えて、第3ブレーキB3が係合するとともに、第3ワンウェイクラッチF3の作動が解除され、第1,第2ワンウェイクラッチF1,F2が作動する。この状態では、第1プラネタリギヤ3は、ロック状態の第1ワンウェイクラッチF1により停止状態のキャリヤCR1、及び第3ブレーキB3の係止によりロック状態の第2ワンウェイクラッチF2により停止状態のサンギヤS1に基づき、停止状態にあり、従ってそのリングギヤR1に連結している第2プラネタリギヤ4のリングギヤR2も停止状態にある。
そして、入力軸12の回転は、第1クラッチC1を介してサンギヤS2から第2プラネタリギヤ4に入力されるとともに、サンギヤS3を介して第3プラネタリギヤ5に入力される。第2プラネタリギヤ4は、前述のようにリングギヤR2の回転が阻止され(速度=0)、図4の速度線図において、線図L2に示す状態となり、出力軸105が接続されたキャリヤCR3から、正回転の2速回転が取り出される。
この際の、リングギヤR2の回転トルクは、第1,第2ワンウェイクラッチF1,F2を介して第3ブレーキB3により分担されて担持され、第1ワンウェイクラッチF1のトルク担持能力を利用する形でその分、第2ワンウェイクラッチF2及び第3ブレーキB3のトルク負担能力を小さなものとすることができ、第2ワンウェイクラッチF2及び第3ブレーキB3の小容量化及び小型化が図れる。これにより、第3ブレーキB3及びその油圧アクチュエータ、並びに第1,第2ワンウェイクラッチF1,F2を、第1プラネタリギヤ3の前方部分にまとめてコンパクトに配置することが可能となる。
前進段の3速(3速段:3RD)では、図3に示すように、1,2速時の第1クラッチC1の係合に加えて、第3クラッチC3が係合されるとともに、第2ワンウェイクラッチF2の作動が解除され、第1ワンウェイクラッチF1の作動が維持される。この状態では、入力軸12の回転は、それまでの第1クラッチC1を介したリヤギヤユニット131への入力に加えて、第3クラッチC3を介してフロントギヤユニット130のサンギヤS1にも入力され、かつキャリヤCR1が第1ワンウェイクラッチF1により係止される。
第1プラネタリギヤ3は、サンギヤS1に入力軸12の回転が入力され、キャリヤCR1が係止されることから、図4の速度線図において、線図L3に示す状態となり、フロントギヤユニット130の出力要素としてのリングギヤR1から、正回転RV1がリヤギヤユニット131の入力要素としての第2プラネタリギヤ4のリングギヤR2に出力される。一方、リヤギヤユニット131には、サンギヤS2,S3に入力軸2の回転RINが入力されているので、上述のリングギヤR2へ入力される回転RV1は、図4の線図L4に示すように合成され、出力軸105に連結されるキャリヤCR3からは、3速回転が取り出される。なお、第3ブレーキB3は、係合状態となっているが、第2ワンウェイクラッチF2が空転状態なので、この第3ブレーキB3は変速に何ら関与しない。
この際、第1ワンウェイクラッチF1が、第1プラネタリギヤ3へ伝達されるトルクの反力を担持するが、3速状態にあっては、このフロントギヤユニット130である第1プラネタリギヤ3を経由するトルクと、リヤギヤユニット131に第1クラッチC1を介して直接伝達されるトルクとが合成されるため、上述の第1ワンウェイクラッチF1が担持する反力トルクは、伝達トルク全体の一部で足りる。したがって、この第1ワンウェイクラッチF1は、トルク容量が小さい小型のもので足り、第1プラネタリギヤ3の前方の比較的狭いスペースに、他の係止手段である第3ブレーキB3、第2ワンウェイクラッチF2とともにまとめて配置することが可能となる。
また、第3クラッチC3は、第3油圧アクチュエータへの油圧の供給により、第3ピストンが軸方向前方に移動し、第3ピストンの後方側の一部が後方側から前方側に向けて第3クラッチC3のドライブプレート及びドリブンディスクを押圧することにより接続する。第2クラッチC2は、第3クラッチC3との間にクラッチドラムを共有しており、それぞれのドライブプレートが軸方向に並ぶようにして、クラッチドラム内面のスプラインに係合されているが、これらを作動させる第2ピストン、第3ピストンがそれぞれ個別に独立して作動されるので、この第3クラッチC3の作動が、第2クラッチC2に影響を及ぼすことはない。
前進段の4速(4速段:4TH)では、図3に示すように、1,2,3速時の第1クラッチC1の係合及び3速時の第3クラッチC3の係合に加えて、第2クラッチC2が係合されるとともに、第1ワンウェイクラッチF1の作動が解除される。この状態では、入力軸12の回転は、それまでの第1クラッチC1を介したリヤギヤユニット131のサンギヤS2,S3への入力に加えて、第2クラッチC2を介してキャリヤCR2及びリングギヤR3にも入力され、このリヤギヤユニット131、すなわち第2,第3プラネタリギヤ4,5全体が直結回転となり、図4の線図L5に示す状態となり、出力軸105に連結されるキャリヤCR3から、4速回転が取り出される。
この際、第3クラッチC3及び第3ブレーキB3は、図3に示すように、係合状態となっているが、第1プラネタリギヤ3は、サンギヤS1に第2クラッチC2を介して入力軸12の回転が伝達される一方で、第2プラネタリギヤ4が、入力軸12と直結状態で正回転することから、そのリングギヤR2に連結されたリングギヤR1にも入力軸12の回転が入力され、図4の線図L6の状態となり、フロントギヤユニット130を構成する第1プラネタリギヤ3は全体が直結状態で空転する。また、この4速状態では、フロントギヤユニット130及びリヤギヤユニット131は、ともに直結状態であって第1〜第4係止手段、すなわち第1〜第4ブレーキB1〜B4及び第1〜第3ワンウェイクラッチF1〜F3はなにも作動せず、反力を担持することはない。
また、第2クラッチC2は、第2油圧アクチュエータへの油圧供給により、第2ピストンを軸方向後方に移動し、その後端部がドライブプレート及びドリブンディスクを押圧することにより接続する。この際、上述したように、第3クラッチC3が係合状態に保持されているが、この第2クラッチC2の作動が第3クラッチC3の係合状態に何等影響を与えることはない。
前進段の5速(5速段:5TH)では、図3に示すように、第1クラッチC1の係合が解除されるとともに、第2,第3クラッチC2,C3がそのまま係合状態を維持され、かつ第1ブレーキB1が係合される。この状態では、入力軸12の回転は、第2クラッチC2を介してリヤギヤユニット131である第2プラネタリギヤ4のキャリヤCR2及び第3プラネタリギヤ5のリングギヤR3に入力されるとともに、第3クラッチC3を介してフロントギヤユニット130である第1プラネタリギヤ3のサンギヤS1に入力される。すると、キャリヤCR1が第1ブレーキB1により係止されているので、フロントギヤユニット130は、図4の線図L3で示す状態となり、リングギヤR1からは、減速された正回転RV1がリヤギヤユニット131のリングギヤR2に出力される。一方、前述したように、リヤギヤユニット131のキャリヤCR2及びリングギヤR3には、入力軸12の回転が入力されるので、速度線図は、図4の線図L7となり、キャリヤCR3から出力軸105へ、5速回転が取り出される。この際、第3ブレーキB3は、図3に示すように、係合状態となっているが、第2ワンウェイクラッチF2が空転状態となっているので、この第3ブレーキB3は何ら変速に関与しない。
また、この5速状態にあっては、第1ブレーキB1が上述の伝達トルクの反力を担持するが、高速状態である5速にあっては、そのトルク容量は小さくて足り、さらに、第2クラッチC2を経由する経路と、第3クラッチC3を経由する経路とからのトルクが、リヤギヤユニット131で合成されて出力軸105に伝達されるので、キャリヤCR1及びリングギヤR1を係止する第1ブレーキB1のトルク容量は、伝達トルク全体の一部で足り、さらにそのトルク容量は小さなもので足りる。したがって、この第1ブレーキB1は、第1プラネタリギヤ3の外径側にて軸方向に比較的短い長さに設置でき、かつその油圧アクチュエータも、隣接する第1,第2プラネタリギヤ3,4に股がる外径側における、軸方向に比較的短い小さなスペースに設置することができる。
また、第1クラッチC1は、第1油圧アクチュエータの第1油圧室の油圧解放により、リターンスプリングにより第1ピストンが軸方向前方に移動するのでドライブプレートとドリブンディスクとの押圧が解除される。この際、第1クラッチドラムは比較的高速で回転しているが、第1キャンセル室内のオイルにも、同じ回転に基づく遠心油圧が作用しており、上述の第1油圧室内の油圧は、速やかに排出される。
前進段の6速(6速段:6TH)では、図3に示すように、第3クラッチC3の係合が解除されるとともに、第2クラッチC2がそのまま係合状態を維持され、かつ第2ブレーキB2が係合される。この状態では、入力軸12の回転は、第2クラッチC2を介してリヤギヤユニット131である第2プラネタリギヤ4のキャリヤCR2及び第3プラネタリギヤ5のリングギヤR3に入力される。一方、リングギヤR2が第2ブレーキB2により係止されているので、上述のキャリヤCR2の回転により、サンギヤS2,S3が上述の5速のときよりも高速で正回転する。上述のリングギヤR3の回転とこのサンギヤS3の高速回転とにより、キャリヤCR3から出力軸105には、5速よりもさらに高速の6速回転が取り出される。この6速は、図4の速度線図のL8に対応する。この際、第1,第3ブレーキB1,B3は、図3に示すように、係合状態となっているが、第1,第2ワンウェイクラッチF1,F2が空転状態となっているので、これら第1,第3ブレーキB1,B3は何ら変速に関与しない。また、第3クラッチC3が解放されるが、第3油圧室の油圧は、第3キャンセル室のオイルに作用する遠心油圧により、速やかに解放される。
また、この6速状態にあっては、第2ブレーキB2が上述の伝達トルクの反力を担持するが、上述の5速よりもさらに高速状態である6速にあっては、そのトルク容量は小さくて足る。したがって、第1ブレーキB1の場合と同様、第2ブレーキB2は、第2プラネタリギヤ4の外径側にて軸方向に比較的短い長さに設置でき、かつその油圧アクチュエータ55も、第3ワンウェイクラッチF3の前方側の比較的短い小さなスペースに設置することができる。
本実施の形態においては、図3から明らかなように、1速〜4速までの変速がワンウェイクラッチにより行われ、4速から5速への変速及び5速から6速への変速が、クラッチの係合からブレーキの係合に切替えて変速が行われる。一方、シフトダウン時においては、第2クラッチC2又は第3クラッチC3が作動するのは、図3に示すように、6速から5速、4速から3速、そして3速から2速へのシフトダウン時である。これらのいずれも場合においても、第2,第3油圧アクチュエータの第2,第3ピストンがそれぞれ独立に作動して、それぞれ独立にドライブプレート及びドリブンディスクを係脱させることができるので、一方のクラッチの作動が他方のクラッチの作動や係合状態の保持に影響を及ぼすことはない。
後進(後進段:REV)では、図3に示すように、第3クラッチC3が係合されるとともに、第4ブレーキB4及び第1ワンウェイクラッチF1が係止される。この状態では、入力軸12の回転は、第3クラッチC3を介してフロントギヤユニット130のサンギヤS1に入力され、キャリヤCR1が第1ワンウェイクラッチF1により係止されることから、速度線図は、図4の線図L3に示す状態となり、リングギヤR1からは、正回転の出力回転RV1がリヤギヤユニット131のリングギヤR2に出力される。このリヤギヤユニット131は、リングギヤR3及びキャリヤCR2が第4ブレーキB4により係止されるので、図4の線図L10で示す状態となり、キャリヤCR3から出力軸105へ、後進回転が取り出される。
この後進状態は、減速された大きなトルクが上述のリングギヤR3及びキャリヤCR2を係止する第4ブレーキB4に作用するが、この第4ブレーキB4は、第3プラネタリギヤ5の外径側にてこの第2プラネタリギヤ5に略々オーバラップする比較的軸方向に長いものからなり、かつその油圧アクチュエータは、ミッションケース9の後端9eに配置された比較的広い受圧面積からなるとともにダブルピストン構造からなり、大きな押圧力を作用することができ、上述の大きな反力に対応する要求トルクを確実に担持することが可能となる。
また、エンジンブレーキ(コースト)時には、図3に示すように、通常の作動に加えて、3速及び後進時には、第1ブレーキB1が係合され、第1ワンウェイクラッチF1の空転に対してキャリヤCR1を確実に係止し、2速時には第2ブレーキB2が係合され、リングギヤR2を確実に係止し、さらに1速時には、第4ブレーキB4が係合されて、リングギヤR3が確実に係止される。
さらに、2速のエンジンブレーキ時に、本来のエンジンブレーキ用の第2ブレーキB2に加えて第1ブレーキB1を作動させて、リングギヤR2の係止を、直接作動する第2ブレーキB2及びキャリヤCR1を介して作動する第1ブレーキB1によりともに行わせ、第2ブレーキB2のトルク容量を小さくし、その分だけこの第2ブレーキB2を小型化することも可能である。第2ブレーキB2は、上述の2速時のエンジンブレーキ用であって、そのトルク容量は小さくて足り、第2プラネタリギヤ4の外径部分の比較的小さな設置スペースで足りるが、さらに上述したように、この2速エンジンブレーキ時に、第1ブレーキB1を共働作動すると、さらに第2ブレーキB2のトルク容量が小さくて足り、その油圧アクチュエータも含めて小さな設置スペースに配置したものでありながら、確実で信頼性の高いブレーキ作動を行うことができる。
さらに、上述したように、第2プラネタリギヤ4に入力軸12からのトルクが入力する場合、2速時にサンギヤS2,S3から、3速時にサンギヤS1,S2,S3から、4速時にサンギヤS2,S3から、5速時にサンギヤS1,S2及びリングギヤR3から、そして6速時にサンギヤS2,S3及びリングギヤR3から、それぞれ入力トルクがフロントギヤユニット130及びリヤギヤユニット131に入力される。従って、入力トルクが第2プラネタリギヤ4のみに入力されることはなく、この第2プラネタリギヤ4は、最適なギヤ比を得るために小型化されるとともに、上述の分散入力に基づいて強度上からも小型化が可能となり、この小径の第2プラネタリギヤ4の外径側に、第1ブレーキB1の油圧アクチュエータを配置して、第1ブレーキB1の必要トルクを担持し得るトルク容量を有するものでありながら、軸方向及び径方向のコンパクト化を可能とする。
また、入力トルクを第1,第2,第3プラネタリギヤ3,4,5に伝達する第1,第2,第3クラッチC1,C2,C3は、トルク容量を充分に確保するために径方向寸法を大きくすることが好ましいが、クラッチ部23は、多段変速機構6のトルクコンバータ2側に配置されるので、径方向寸法の大きなものから、出力軸に向けて小径化して配置することができ、FR用の自動変速機として車両搭載上好ましい全体形状の変速機を得ることができる。
次に、本発明の実施の形態に係るプラネタリギヤ装置30について説明する。プラネタリギヤ装置30は、図5に示すように第2のプラネタリギヤ(ミドルプラネタリギヤ)4及び第2ブレーキB2を中心に構成されている。第2のプラネタリギヤ4は、サンギヤS2、ピニオンP2を支承するキャリヤCR2及びリングギヤR2を有しており、半径方向において中間軸31と第2ブレーキB2の間、軸方向において第1プラネタリギヤ3と第3ワンウェイクラッチF3との間に配置されている。中間軸31はケース9に中心軸線回りに回転可能に軸承されている。
第2プラネタリギヤ4のサンギヤS2は、ケース9に回転可能に軸承された中間軸31にスプライン62によりスプライン係合するとともに中間軸31に形成された段部に当接し軸方向に位置決めして固定されている。キャリヤCR2は、図略の連結部で連結された左右のキャリヤプレート58,59を有しており、キャリヤプレート58,59間に支持されたピニオンシャフト60にニードルベアリング61を介してピニオンP2が回転可能に支承されている。ピニオンP2は、サンギヤS2及びリングギヤR2に噛合している。
中間軸31には、スリーブ軸43が第2プラネタリギヤ4の左側でブッシュ44を介して回転可能に支承され、該スリーブ軸43に左キャリヤプレート58のボス部58aが嵌合してスプライン係合している。スリーブ軸43は、第2のクラッチC2のクラッチハブに接続されている(図2参照)。
左キャリヤプレート58のボス部58aの内端面とサンギヤS2端面との間には、スラストベアリング68が介在され、サンギヤS2を中間軸31の段部との間で挟持するとともに、キャリヤCR2を軸方向に位置決めしている。左キャリヤプレート58のボス部58aの外周面にはブッシュ69を介して回転部材57が中間軸31回りに回転可能に支承され、この回転部材57にリングギヤR2が支持されている。回転部材57は、左右端面がスラストベアリング72を介して第1プラネタリギヤ3のサンギヤS1とキャリヤCR2の左キャリヤプレート58との間に位置決めされている。回転部材57の外周は第1プラネタリギヤ3のリングギヤR1に係合している。
リングギヤR2は、環状のリングギヤ部50を有している。リングギヤ部50は、振動低減手段70を介して回転部材57に連結されている。即ち、リングギヤ部50の左端には、回転部材57と僅かな隙間を置いて平行に中間軸31方向、即ち、中心軸線と直角な半径方向に延在する延在部71が溶接され、リングギヤ部50は該延在部71を介して回転部材57に中間軸31に接近した連結位置Aで連結されている。
第2ブレーキB2は、リングギヤR2と一体に回転するとともにリングギヤR2とは別体に設けられたハブ部51を有する。ハブ部51の左端は外方に立ち上がって第1プラネタリギヤ3のリングギヤR1に回転部材57と共に係合されてスナップリング56により抜止めされ、回転部材57と相対回転を規制して連結されている。ケース9の内周面に形成されたスプライン9aとハブ部51の外周面に形成されたスプライン51aとの間に、多数の摩擦板(摩擦ディスクとセパレータプレート)52が交互に積層されており、摩擦板の一端はスナップリング53及びバックアッププレートにより軸方向移動が規制され、他端は、油圧アクチュエータ(サーボ)55のピストン55aが対面している。
第2プラネタリギヤ4は、総合力・総合モーメントをキャンセルさせるように構成され、例えば4個のピニオンP2が等間隔でキャリヤCR2に支承され、ピニオンP2との噛合によりリングギヤ部50に励起される振動が互いに1/2周期ずれて互いにキャンセルされるように歯数等が設定されている。総合力・総合モーメントをキャンセルさせる技術は、前述の非特許文献1に記載されているので、詳細な説明は省略する。
第2プラネタリギヤ4のリングギヤR2が第2ブレーキB2によりケース9に係止される6速段において、入力軸12の回転が第2クラッチC2を介して第2プラネタリギヤ4のキャリヤCR2に入力されると、ピニオンP2からリングギヤ部50に1/2周期ずれた振幅の等しい噛合加振力が伝達され、リングギヤ部50に楕円振動モードが励起される。この振動は、回転部材57と僅かな隙間を置いて平行に中間軸31方向に延在する延在部71介して中間軸31に接近した連結位置Aで回転部材57に伝達される。この連結位置Aは、振動波が集まる点であり、ピニオンP2とリングギヤR2との噛合部と連結位置Aとの間の通路長さである距離dは、各ピニオンP2について同じである。
これにより、各ピニオンP2との噛合によりリングギヤ部50に励起される位相の異なる振動は互いにキャンセルされ回転部材57に伝達されることが有効に低減される。出力軸105での噛合い周波数の増加に対するケース9における加速度の変化をFEM解析した図6から明らかなように、ケース9における加速度は、リングギヤ部50の延在部71が回転部材57に連結される連結位置Aがリングギヤ部50の中心軸線に接近するほど低下し、各ピニオンP2との噛合によりリングギヤ部50に励起される振動が回転部材57に伝達されることが有効に低減される。図6において、曲線(1)は従来装置における加速度を示し、曲線(2)〜(4)は、連結位置Aを中間軸31に変位させた各場合におけるケース9における加速度を示す。連結位置Aを中間軸31に最も接近させた場合、ケース9における加速度が最も低くなっている。
上記実施の形態では、リングギヤ部50に中心軸線方向に延在する延在部71を設け、該延在部71を介して中間軸31に接近した位置でリングギヤ部50を回転部材57に連結することにより、振動低減手段70を構成しているが、リングギヤ部50を回転伝達可能で、かつ半径方向に弾性変形可能な弾性部材を介して回転部材57に連結することにより、振動低減手段70を構成するようにしてもよい。
また、リングギヤ部50の延在部71と回転部材57とをスプラインを介して連結し、リングギヤR2を相対回転を規制し、かつ半径方向に僅かに相対移動可能に回転部材57に連結することにより、振動低減手段70を構成してもよい。また、延在部71を回転部材71に溶接し、延在部材71とリングギヤR2とをスプラインを介して連結してもよい。さらに、ブレーキB2のハブ部51と回転部材57とをスプラインを介して連結するようにしてもよい。これらの場合、総合力・総合モーメントをキャンセルさせる技術に基づかないプラネタリギヤについても振動が回転部材57に伝達されることを低減することができる。